2003/11/21 VEC

リサイクルへの取組みの現状と計画

1.現状認織

環境問題への取組みを強めるため、塩化ビニル工業協会から塩ビ工業・環境協会(VEC)と改めた。(1998年5月)
⇒リサイクルの必要性を強く認識し、塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)を始め関係団体と連携しながらシステムの構築に努カしてきた。


@MR率は現在約24%で他樹脂と較べ10〜15%高い。(管・継手や農ビフィルムのリサイクルが進展)しかしながら今後はMRの伸びは大きくは期待できない。
→5年後でも1〜2%の伸びに止まる。

Aその他FR,TRを加えたトータルリサイクル率は5年後の2008年でも43%と推計される。

B今後はFRの割合を高める事が重要と認識しており、産業間連携による事業化を探る。
→今までの技術開発成果をべ一スとして廃塩ビのリサイクル事業が経済的に可能ならしめるようなやり方を提案する。
           ↓

                                「5年後の2008年にはトータルで50%を
                                 目指したい」

2.取り組みの重点分野

リサイクル取組みの重点を建材分野(パイプ、床材、窓枠、雨樋、壁紙、電線)に置く。
(理由)
@国内の塩ビ樹脂総需要の60%強を建材分野が占める。(図2)
A今後、建築解体系の副産物の排出量が増える。(図3)     
  それに伴い、プラスチックの排出量も増える。
  (廃プラスチックは副産物総量の0.6〜0.7%)
   
(参考)
 建設系廃プラスチックス製品中のPVC製品の割合
  (プラスチック処理促進協会産廃WG2002年度調査より)

 ・戸建て住宅解体時の廃プラスチック製品の発生量は床面積1u当たり2.62s。
 ・そのうち塩ビ製品が76%を占める。
 ・発生段階で分別されることが多いパイプ、電線を除くと塩ビ製品の含有率は
  約20〜30%である。

        

塩ビ樹脂が他樹脂に比べ、耐久性、難燃性に優れているだけでなく、加工性の良さ、更に経済性にも優れ建材分野で多用されていることを裏付けている。)
     

3. フィードストックリサイクル(FR)への取り組み

3−1 使用済み塩ビ製品の高炉原料化(JFE)
  1) VECとJFEスチール(当時日本鋼管)は社団法人プラスチック処理促進協会のもとで、NEDOの助成や塩ビ製品加工団体の支援を得て使用済み塩ビの高炉原料化を実証研究した。
     
    @ NEDO助成研究  1999年1月〜2001年3月                   
    A 業界自主研究    2001年4月〜2002年6月
       
  2) 2003年度、本格的事業化に向け、実用化技術の開発に取り組む事とした。廃棄物市場から収集した有姿の使用済み塩ビ製品を対象に案証試験を進展させ、連続操業時の操業特性、品質管理及び設備上の課題を検証し.年度内には案用化技術について目処をたてる予定。
  3) JFEスチールの「製鉄と関連させたリサイクル事業の展開」が根本にある。
       
3−2 使用済み塩ビ製品のガス化(住金)
     
  1) 2001年度よりVECと住友金属工業は、環境事業団(2003年度から環境省)の助成を得て、ガス化溶融技術による使用済み塩ビ製品再資源化技術開発をスタートさせ、現在も継続実施中である。
2001年度:パイブ、農業用ビニルフイルム、電線被覆材のガス化溶融試験
2002年度:壁紙、床材などのMR処理の困難な廃塩ビ製品の溶融試験、塩酸の
        回収試験および性状の確認
  2) 2003年度は建築物解体由来の廃プラスチックスや自動車廃材のガス化溶融試験、塩ビモノマー原料化を念頭においた回収塩酸の精製技術の確立をする予定。ガス化溶融、塩酸の回収・精製の一貫プロセスを構築し実用化技術確立の目途をたてる。
       
3−3 容リ法その他プラスチック分別重量物の再資源化(神鋼)
     
  1) 現在埋立て処分している分別重量物を再資源化することで、高炉原料化向けのリサイクル率が60%から90%へとアップする。
  2) 今回神鋼が導入した技術は、昨年度(平成14年度)、VECが日本製鋼所と共同開発した技術(2軸押出し機による脱塩化水素と排ガス処理)がべ一ス
  3) 今年度、吸着分離方法による回収塩酸の精製技術開発及び所内酸洗ラインヘの適用性の評価を神鋼と共同で行う事とした。

4.マテリアルリサイクル(MR)への取組み

塩ビ業界(主として加工業界)は、他の樹脂業界に先駆けて20数年前からリサイクルに取り組んできた。⇒他の樹脂に比べ、MR率が高い。
   
VECのMRに対する基本的姿勢は次の通りである。
  1) 加工業界が主体的に進める用途開発、技術開発および設備開発に対して情報提供、資金面で協カする。
  2) 加工業界の更なる取り組みを促すため、運営組織などをつくり、支援する。
    ・JPEC再資源化委員会(メンバー:塩ビ製品加工団体、VEC)
・塩ビ建材検討会議
  (メンバー:建材加工6団体、経済産業省化学課/住宅産業窯業建材課、VEC)
  3) 共同技術開発への参画
・幾つかの塩ビ製品に共通、若しくは波及効果の大きな重要な内容の研究へ参画する。
   
  上述した基本姿勢で加工業界の取り組みを側面から支援している事例を以下、紹介する。
     
  @ 塩ビサッシのリサイクル
    2002年度は、経済産業省のテーマ募集に選ばれ、「(社)日本サッシ協会」「プラスチックサッシ工業会」が中心となり、北海道内の塩ビサッシのリサイクル構築について検討され、今後はリサイクル構築の具体化のため、分別解体方法のマニュアル作り等、リサイクルシステムの確立を目指している。
  A 塩ビ壁紙のリサイクル
    2003年度「目本壁装協会」が中心となって、東京都23区内を対象にリサイクルシステム構築に向けたモデル試験を開始している。このモデルは施行業者により分別された使用済み塩ビ壁紙を破砕、圧縮減容後、産業廃棄物処理の熱源やセメント原料としてリサイクルするものである。これとは別に屋上緑化などのブロック材等にもリサイクルされている
  B 塩ビ床材のリサイクル
    2003年3月 「インテリアフロア工業会」は業界団体として初めて環境大臣の「広域再生利用指定産業廃棄物処理者指定」を取得し、同年4月より同工業会を構成する塩ビ床材メーカー8社の手で新築現場から排出された塩ビ床材の施工端材等を分別回収、粉砕した後、各社工場で塩ビ床材にリサイクルする試みが全国8地域で開始された。
  C 塩ビ電線被覆材のリサイクル
    (社)電線総合技術センター(JECTEC)のマルチクライアント研究「廃電線被覆材のマテリアルリサイクル技術の実用化開発」「ビニループ・プロセスの電線リサイクルヘの適用化可能性調査」に2001年度から電線メーカー、ナゲット業者と共にVECは共同委託研究メンバーの一員として参画している。