Bio Regenerations

バイオ・リジェネレーションズ、杏林大など、iPS細胞作製に必要な遺伝子の発現を羊膜幹細胞でも確認
  バイオ・リジェネレーションズ(神奈川県横浜市)の坂上正行社長としんやしき産婦人科、国立がんセンター、東京薬科大学、杏林大学の研究チームは、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立に使用される遺伝子OCT4、SOX2、KLF4が、ヒト羊膜間葉系細胞の多くで共発現していることを発見した。横浜市 で開催される日本分子生物学会で、2009年12月10日に発表する予定だ。

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出産後に廃棄されている「羊膜」中に、iPS(人工多能性幹)細胞樹立に必須となる3種類の遺伝子が同時に発現している細胞が存在することが、横浜のバイオベンチャー企業と杏林大・国立がんセンターなどの共同研究で明らかになった。
羊膜中の多能性幹細胞は、iPS細胞で懸念されるがん化のリスクがないため、これまでの再生医療の問題点を克服する多能細胞として期待できるという。
12月10日、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される「日本分子生物学会」で発表される。

 この企業は、2004年から羊膜細胞バンク事業を展開する「バイオ・リジェネレーションズ」(横浜市中区、坂上正行社長)。
同社は、08年12月から杏林大保健学部分子生物学教室の蒲生忍教授らとともに、どんな細胞にもなれる可能性を持つ「多能性幹」細胞を羊膜から抽出し、培養。
09年3月に、羊膜培養細胞の中にiPS細胞樹立に必須といわれる3種類の遺伝子の発現を確認した。

 iPS細胞は通常、大人の皮膚細胞に三つの遺伝子を入れて作る。
さまざまな細胞に分化する能力を持つiPS細胞は「身体器官・臓器の再生を可能にする技術」を目指して研究が進んでいるが、がん化のリスクなどが報告されている。

 また、骨髄細胞や臍帯(さいたい)血、受精卵を使うES細胞なども再生医療を担うとされているが、採取の難しさや生命倫理上の課題から、広範囲への活用が難しいという課題があった。

 研究グループは「原料の採取に倫理的問題が少なく、 人為的な遺伝子導入が不要な羊膜中に多能性幹細胞が存在することが証明され、 再生医療の可能性を広げ得る」と話している。

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iPS細胞に必須の3遺伝子、羊膜に存在 学会発表へ

 胎児を包む羊膜にiPS(人工多能性幹)細胞を作るために必要な3遺伝子がすでに存在していることを、横浜のバイオベンチャー企業と杏林大などの共同研究グループが突き止めた。iPS細胞が容易に作れ、iPS細胞の課題であるがん化が抑えられる可能性があるという。10日、横浜市で開催される日本分子生 物学会で発表される。

 羊膜には、他の種類の細胞に変わる能力「多分化能」があると指摘されてきた。京都大のグループも羊膜の細胞に四つの遺伝子を組み込んで効率よくiPS細胞を作ることに成功している。

 バイオベンチャー企業の「バイオ・リジェネレーションズ」と杏林大、国立がんセンターなどの研究グループは、羊膜の幹細胞にはすでにiPS細胞作製に必須の3種類の遺伝子が働いた状態で存在(発現)していると仮定。今年3月、培養羊膜の幹細胞を使った実験で証明に成功した。効率よく幹細胞を抽出する技術を高め、応用に向けた取り組みを進めている。

 研究グループは、羊膜幹細胞を応用すれば、外来遺伝子導入によるがん化の危険性を抑えられる可能性があるとしている。

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 《理化学研究所バイオリソースセンター細胞材料開発室の中村幸夫室長の話》 発現した状態の3遺伝子があればiPS細胞を容易につくれる可能性がある。羊膜細胞は成人細胞に比べ遺伝子変異の可能性が少ないとされ、再生医療に有益な材料になり得る。

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会社名 株式会社 バイオ・リジェネレーションズ
設立 2004年 2月 23日

代表取締役  坂上 正行

1988年 東京農業大学 農学部 畜産学科 卒業
1990年 東京農業大学 大学院修士課程 修了
1994年 東京農業大学 博士 (畜産学)

警察庁科学警察研究所にてDNA鑑定法を学び、
日本中央競馬会にてDNAによるサラブレッドの親子鑑定法を開発。
その後、カリフォルニア大学 サンフランシスコ校 医学部に留学、
癌発生メカニズムの解明を研究テーマとする。
慶応義塾大学医学部分子生物学教室助手・理化学研究所横浜研究所研究員を経て
2004年 有限会社 バイオ・リジェネレーションズを設立
2005年 横浜市金沢区に研究所を開所 株式会社 バイオ・リジェネレーションズに変更

DNA鑑定

・理化学機器・試薬

・羊膜細胞バンク

羊膜細胞保管サービス〜

152,000円
採取・培養費用…102,000円  10年間の保管費用…50,000円

※10年以降は、10年間の保管延長 50,000円