日本とアジアの石油化学の現状その他を、各社のホームページや新聞雑誌情報を基にまとめ
た個人のデータベースです。


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                                    連絡先 knak@js2.so-net.ne.jp            

           

燃料電池                                

燃料電池の仕組み   その2(図)  メーカー

燃料電池の種類と特徴    水素供給システム 

各社記事                

燃料電池「充電」可能に 北大が開発水素、繰り返し利用

燃料電池マッチ箱大 生ごみ原料、微生物活用

2003/4 三菱商事 燃料電池の素材開発 

2003/5 米GMとダウ・ケミカル、世界最大の燃料電池式発電設備設置で基本合意

2007/11 三洋の家庭用燃料電池事業 新日石が買収

BP and Edison Mission Group Plan Major Hydrogen Power Project for California


燃料電池の仕組み  http://www.gas.or.jp/fuelcell/fc2.html

発電の原理は水の電気分解の逆

水の電気分解では、水に外部から電気を通じると水素と酸素に分解することはご存知だと思います。燃料電池は、水の電気分解の逆の原理により、水素と酸素を電気化学的に反応させると、水を生成すると同時に電気を外部に取り出す(すなわち、発電する)ものです。
水素と酸素を供給し続ければ連続して発電できるので、発電装置として利用することができるのです。

燃料電池の種類と特徴   

  リン酸形
(PAFC)
溶融炭酸塩形
(MCFC)
固体電解質形
(SOFC)
固体高分子形
(PEFC)
アルカリ形
(AFC)
原料 都市ガス、
LPG等
都市ガス、
LPG,石炭等
都市ガス、
LPG等
都市ガス、
LPG等
水素
作動気体 水素 水素、
一酸化炭素
水素、
一酸化炭素
水素 水素
電解質 リン酸 炭酸リチウム
/炭酸カリウム
安定化ジルコニア 陽イオン交換膜 水酸化カリウム
イオン伝導種 水素イオン 炭酸イオン 酸素イオン 水素イオン 水酸イオン
運転温度 約200℃ 約650℃ 約1000℃ 常温
〜約100℃
常温
〜約100℃
発電効率 40〜50% 45〜60% 50〜60% 40〜60% 45〜60%
開発段階 商用化段階 試験研究
〜実証段階
試験研究
〜実証段階
試験研究
〜実証段階
宇宙船に実用
されている

各社記事

   中部電力・三菱重工

   日立

   トヨタ自動車

東邦ガス・日本触媒、燃料電池基幹部品を生産

 


日本経済新聞 2002/11/2

燃料電池で熱電併給 中部電・三菱重工が新会社
 リース方式で実用化 2004年メド コンビニや病院向け


中部電力と三菱重工業は燃料電池を使った分散型電源事業を手掛ける共同出資会社を2004年をめどに設立する。


Nikkei Net IT Information Technology 2002/10/31

エネルギー新時代  燃料電池、日立が参入


茨城県日立市にある日立製作所の日立研究所。地下二階の研究室でひそかに進められていた小型燃料電池の開発が、実用化に向け大きな一歩を踏み出した。試作品は開発済み、近く特許を申請する。日立マクセルなどグループ会社の社員もプロジェクトチームに加わり、日立が小型燃料電池事業に本格参入する体制を整えつつある。

 カートリッジ
 連続10時間使用
 出力低下が課題
 


2002/7/1 トヨタ自動車

 トヨタ、燃料電池ハイブリッド乗用車の限定販売計画を前倒し
   −本年末を目処に日米で限定販売を開始−
      
http://www.toyota.co.jp/News/2002/Jul/nt02_7002.html


当初の開発計画を早め本年末を目処に、日本および米国で限定販売を開始することとした。


(参考資料)
  【新型燃料電池ハイブリッド乗用車 主要諸元(計画値)】 

車両 ベース車両 クルーガーV
  全長/全幅/全高(mm) 4,735/1,815/1,685
重 量(kg) 1,850
最高速度(km/h) 150以上
乗車定員(人) 5
燃料電池 種 類 固体高分子形
出 力(kW) 90
モーター 種 類 交流同期電動機
最高出力(kW(PS)) 80(109)
最大トルク(N・m(kg・m)) 260(26.5)
燃 料 種 類   純水素
貯蔵方式 高圧水素タンク
最高充填圧力(MPa) 35
2次電池 種 類   ニッケル水素電池

 

 


日本経済新聞 2003/1/10

燃料電池「充電」可能に 北大が開発水素、繰り返し利用


水素と酸素を反応させて発電する燃料電池で、水素を繰り返し使えるようにする技術を北海道大学の市川勝教授らの研究グループが開発した。


日本経済新聞 2003/2/1

燃料電池車向け 水素供給システム競う
 新日鉄 余剰ガスを転用、荏原 太陽光発電活用

機械、エネルギー各社が燃料電池自動車向けの水素供給ステーションの実用化に向け技術開発に乗り出す。

水素供給ステーション関連の技術開発

社名 技術内容
新日本石油 ナフサから水素供給
コスモ石油 脱硫ガソリンから水素供給
東京ガス・日本酸素 液化石油ガスから水素供給
日本エア・リキード メタノールから水素供給
岩谷産業・昭和シェル石油 液化水素による水素供給
新日本製鉄 製鉄所の余剰水素を液化燃料に
日東工器 高圧充てんに耐える燃料供給弁
日立インダストリイズ 燃料供給用の高圧圧縮機
日本製鋼所 燃料供給用の高圧圧縮機
荏原 太陽光発電で水を電気分解
住友商事 夜間電力で水素生成

 


日本経済新聞 2003/2/13 

燃料電池マッチ箱大 生ごみ原料、微生物活用 シャープなど基礎技術

経済産業省所管の地球環境産業技術研究機構(京都府木津町)とシャ−プは、生ごみを原料に微生物を使って水素を作り、発電する超小型バイオ燃料電池の基礎技術を開発した。


日本経済新聞 2003/4/16

三菱商事 燃料電池の素材開発 本荘ケミカルと共同で新会社


三菱商事は電池材料メーカーの
本荘ケミカル(大阪市)と高温や低温の環境下でも使用できる燃料電池をつくるためのナノテクノロジー(超微細技術)素材の開発会社を共同で設立する。

新会社「プロトンC60パワー」(。本荘ケミカルが51%、三菱商事が49%出資

電解質膜や電極は、三菱商事が日本や韓国などで独占的な製造・販売権を持つフラーレン(球状炭素分子)と呼ぶ超微細物質でつくる。

 


日本経済新聞夕刊 2003/5/8

GMとダウ・ケミカル提携

 米ゼネラル・モーターズ(GM)と米ダウ・ケミカルは7日、次世代の発電方式である燃料電池の事業で提携すると発表した。発電装置の性能向上や電力の効率的な利用法などを実証的に共同研究し、本格的な実用に向けてコスト引き下げを目指す。



2003/5/7 GM               日本語版

Dow Plans To Use GM Fuel Cells in World's Largest Fuel Cell Transaction
    http://www.dow.com/dow_news/corporate/2003/20030507c.htm


The intent of this is for GM to commercialize its hydrogen fuel cell technology to generate electricity from hydrogen created as a co-product at Dow's operations in Freeport, Texas. The 30-square-mile complex in Freeport, 65 miles east of Houston, is Dow's largest manufacturing facility.


2003/05/08 ゼネラルモーターズ

GM、ダウ・ケミカル・ケミカル社、世界最大の燃料電池式発電設備設置に関し基本合意
   
http://www.gmjapan.co.jp/cgi-bin/whatsnewDetail_GMAPJ.cgi?RecNo=00427


GMは、燃料電池技術採用の分散型発電の商業化を目指しつつ、ダウ・ケミカル社に燃料電池技術を提供する。一方、ダウ・ケミカル社は、テキサス州フリーポートに在る最大規模のコンビナートにおいて、燃料電池発電設備を設置し、そこから副産物として得られる水素を利用して発電する。



2015年7月1日  東レ

燃料電池および水電解装置の部材開発・製造・販売会社の買収について

東レは、この度、Umicore AG & Co. KG、およびSolvay GmbHがそれぞれ50%ずつ保有するSolviCore GmbH & Co. KG(所在地:ドイツ共和国ヘッセン州マイン=キンツィヒ郡)の株式を取得し、7月1日付けで新会社Greenerity GmbHとして100%子会社化しました。  

SolviCore社は、燃料電池や水電解装置の部材となる触媒層付き膜「Catalyst Coated Membrane(CCM」、膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)の開発、製造および販売を目的に、2006年7月にUmicore社とSolvay社が折半出資して設立した会社です。 

SolviCore社が保有しているCCMやMEAは、燃料電池や水電解装置の中核を成す重要な部材であり、来るべき水素社会の実現には不可欠な製品です。東レは、SolviCore社を買収しGreenerity社として発足させることで、互いの持つ製品や技術力により燃料電池およびその関連分野におけるシナジーを発揮させ、当該分野での事業拡大を図ります。  

なお、新会社の社名である「Greenerity」は、「Greener(より環境に優しく)」+「-ity(状態を表す抽象名詞語尾)」として、より環境に優しい社会の創造を目指していくことを意図したものです。  

東レは、中期経営課題"プロジェクト AP-G 2016"で進める全社プロジェクトの一つとして「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」を掲げ、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を通じて社会に貢献することで、東レグループの持続的成長を支えることを目指しています。 今回の買収・新会社の発足は、このGRプロジェクトの一環であり、今後もGreenerity社の事業推進を通じて、水素製造(水電解)、水素インフラ(圧縮・貯蔵)、水素利用(燃料電池)技術の発展に貢献し、持続可能な低炭素・循環型社会の実現を目指していく所存です。



1.Greenerity社の概要

(1) 社名  Greenerity GmbH
(2) 設立     2015年7月1日(前社名SolviCore社としては2006年7月)
(3) 所在地 ドイツ共和国ヘッセン州マイン=キンツィヒ郡
(4) 資本金 25千ユーロ
(5) 代表者 Holger Dziallas
(6) 事業内容 燃料電池や水電解装置の部材となる触媒層付き膜「Catalyst Coated Membrane(CCM)」、
                         膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)」の開発、製造および販売

Solvay はポリマー膜の技術を、Umicore は貴金属をベースとする触媒の技術を持ち寄ることで、燃料電池という新技術分野で重要な役割を演ずることを目指す。両社は、
ジョイントベンチャーSolviCore の枠内で、Membrane Electrode Assemblies の開発・製造のため、電気触媒とポリマー膜の組み立てを行う。

 

2.Umicore社の概要
(1) 社名 Umicore AG & Co. KG
(2) 設立 1805年
(3) 所在地 ベルギー ブリュッセル
(4) 資本金 5.0億ユーロ
(5) 代表者 Marc Grynberg
(6) 事業内容 貴金属リサイクル、自動車用触媒、バッテリー材料などの研究、開発、生産



3.Solvay社の概要
(1) 社名 Solvay GmbH
(2) 設立 1867年
(3) 所在地 ベルギー ブリュッセル
(4) 資本金 12.7億ユーロ
(5) 代表者 Nicolas Boël
(6) 事業内容 樹脂、ゴム、電池、医薬品などの製造、販売


<用語解説>

1.水電解装置について
      水を電気分解し、水素と酸素を発生させる装置です。

2.触媒層付き膜「Catalyst Coated Membrane(CCM)」について
      触媒層と電解質膜からなる燃料電池用電極膜です。
      燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を発生させる発電装置で、水しか排出しない次世代のエネルギー源として期待されています。

3.膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)」について
      触媒層と電解質膜とガス拡散層からなる燃料電池用膜電極接合体です。



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Umicore and Solvay sell SolviCore joint venture to Toray

Umicore and Solvay today announced that they have sold their respective 50% stakes in joint venture SolviCore to Japanese chemical company Toray. 

Since its inception in 2006, SolviCore has built up a strong portfolio of clients for its membrane electrode assemblies used in fuel cells and proton exchange membrane (PEM) electrolysis.  SolviCore will benefit from Toray’s expertise in fuel cell materials and experience in mass production and will remain based in the Hanau-Wolfgang Industriepark near Frankfurt.

Both Solvay and Umicore will continue to be active in the fuel cell material market. Solvay will focus on its core competence in advanced materials that will enable key innovation in the fuel cell industry for mobility, stationary and other markets. Umicore will focus on its core competence in catalysis and continue to develop and commercialize electro-catalysts for the fuel cell industry.