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2012/11/16 レアアースの輸入 

インド政府は11月8日、日本政府との間で合意していた対日レアアース輸出について正式に承認した。

野田首相とシン首相が11月16日に東京都内で首脳会談し、正式合意する 予定であったが、「16日衆院解散《発表を受け、両政府がシン首相の公式訪日の延期を決めた。

日本、インド両政府は16日、経済産業省内でレアアースの共同生産と日本向け輸入を始める覚書に署吊した。
2013年度から最大4,100トンのレアアースを輸入する。

インドのIndian Rare Earths と豊田通商の間で協力し、合弁会社(下記)によってレアアースの共同生産・輸出を行う。

2010年10月25日、日・印首脳会談が開催され、レアアースとレアメタルの開発や再利用に向け、日・印両国が協力することで一致し、共同声明が出された。

「両首脳は、将来の産業にとってのレアアース及びレアメタルの重要性を認識し、レアアース及びレアメタルの開発、リサイクル及び再利用や代替品の研究及び開発における両国間の協力を追求することを決定した。《

日印両国は2012年4月にニューデリーで開かれた初の閣僚級経済対話で、8月にも輸出を始める方向で大筋合意したが、価格などの調整が難航し、インド政府側の承認が遅れていた。

これまでの両国間の交渉では、インドからの供給量は年間5,000トン前後とされ、日本の年間需要量の15〜20%程度に相当する。
ランタン、セリウム、ネオジムの3種類のレアアースで、自動車のモーターや排ガス削減のために使用される重希土類。

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米地質調査所によるとインドのレアアースの埋蔵量は世界全体の3%にあたる310万トン。
生産を独占する国営
Indian Rare Earths (IRE)は東部オリッサ州の主力鉱山が環境規制で採掘を停止したことに伴い、2004年以降は輸出を見送っている。

インドは外国企業にレアアースの採掘権を認めていない。

豊田通商は2010年12月、インド子会社のToyotsu Rare Earths Orissa (TREO)が、インド国営のIndian Rare Earths (IRE) と信越化学の協力のもとに、インド・オリッサ州でレアアース酸化物の製造工場を建設する計画を推進していることを明らかにした。

 

IREはインド原子力庁傘下企業で、原子力発電推進のため、海岸の漂砂鉱床より採掘・選鉱されたモナザイト鉱石から燃料(ウラン・トリ ウム)を抽出しているが、その抽出後に副産物として混合塩化希土も産出しており、今回のレアアース製造工場は、その混合塩化希土を原材料としてレアアースの酸化物を製造するもの。

 

信越化学は工場への技術支援および製品の引き取りを決定している。
また、信越化学、IRE、JOGMECは、TREOへの投資を検討している。

2010/12/14 豊田通商、インドでレアアース製造工場建設、住商は米マウンテン・パス鉱山に出資

外電によれば、この工場は2012年夏に完成し、12月から生産を開始する。

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日本のレアアースの年間輸入量は2〜3万トンで、中国からの輸入が大きい。

2010年通年ベースで総輸入[email protected],564トンのうち中国が 23,422トン、82%を占めていた。

しかし、2010年の尖閣諸島を巡る日中対立で中国当局がレアアースの対日輸出を止めたことから、日本企業の「脱レアアース《技術の開発が進んだことにより、需要が急減した。

2012年の1〜6月のレアアースの輸入実績を2倊すると、2012年通年輸入状況(見込み)は12,204トン、うち中国が5,980トンとなり、中国の比率は49%にまで下がることとなる。

中国のレアアース輸出量は激減しており、2011年の実際の輸出量は輸出枠30,258トンの61%の18,600トンに止まっている。
2012年1-6月のレアアース輸出総量は、輸出枠21,226トンに対し、2011年同期比42.7%減の4,908トンとなった。
(中国側は密輸の影響が大きいとしている。)

枝野幸男経済産業相は11月12日の衆院予算委員会で「来年半ば以降、レアアースの国内需要量の5割程度を中国以外から確保できる《との見通しを示していた。

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カザフスタン北部アクモラ州 Stepnogorskで11月2日、住友商事が出資した合弁企業 Summit Atom Rare Earth Companyによるレアアースの分離精製プラントの開所式が行われた。

JVにはカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが51%、住友商事49%出資する。

30百万ドルを投じたプラントで、年産1,500トンのレアアース酸化物を生産する。
ウラン残土からレアアースを回収するもので、ジスプロシウムなど、特に希少性が高い重レアアースを中心に生産する。

試験稼働を経て来年1月にも対日輸出が始まる。

2012/11/5   住商のレアアース合弁、カザフに精製工場完成

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豪州のレアアース開発会社のLynas Corp.と双日は2010年11月に、レアアースの日本向け供給、およびLynas のレアアース拡張プロジェクトに関して、戦略的提携を締結することに基本合意し、2011年3月に双日と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、Lynasへ総額250百万米ドルを出融資することを決定し、10 年に亘って日本の消費量の約3 割にあたる年間約8,500 トン(±500 トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結している。

2010/11/25 双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意

Lynasは西オーストラリア州のMt.Weld 鉱床でレアアースを採掘するが、マレーシア東海岸のPahang 州 Kuantan のGebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。
当初、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画したが、中国政府による締め付けが強くなったことから、中国を断念した)

しかし、マレーシアでは反対運動が起こった。

マレーシアでは1979年に当時の三菱化成が35%出資でAsian Rare Earth (ARE)を設立し、1982年にイットリウムなどレア・アースをスズの鉱石と一緒に出るモナザイト鉱などから抽出する事業を開始した。

能力は年産 4200 トンの軽希土類、550トンの重希土類、4400トンのリン酸三カルシウムで、希土類は全て日本に輸出され、日本で分離精製されが、工場はトリウムを含む残土の保管施設を持たず、工場の裏にあった池や地面に野積み状態にしていた。

工場の目の前には人口1万人が住むBukit Merah 村があった。住民たちの間に健康被害が現れ、住民はAREの操業停止を求めて抗議活動を展開した。

三菱化学は1994年1月、マレーシアからの撤退を決め、問題の工場も閉鎖されたが、廃棄物処理施設の設置工事の契約締結は2009年8月になってからである。

2009/11/14 三菱化学、マレーシアの撤退工場に廃棄物処理施設を設置

今回の抗議はこれが繰り返されるのを恐れた住民とグリーングループが行ったが、これに政治も絡んだ。

2011/7/7 豪州レアアース開発会社Lynas Corp. と三菱

Lynasは本年9月にようやく、工場の認可を得たが、住民は裁判に訴えた。

11月8日、マレーシアの裁判所は工場の操業を認めた。
双日は年間約8,500 トン(±500 トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結している。


2012/11/17  BP、Deepwater Horizon事故に関する米政府の全ての刑事訴訟で和解 

BPは11月15日、2010年4月のルイジアナ州で掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig での爆発事故に関して、司法省によるすべての刑事訴訟で和解したと発表した。合わせて米証券取引委員会(SEC)とも和解した。

水質汚染防止法に基づく民事訴訟や天然資源の搊害賠償、過去の和解に含まれない個人による請求はこれに含まれない。

BP原油流出事故 関連記事一覧

和解に伴う支払額の合計は4,525百万ドルで、米国史上最大額。

これまでの最高は2009年に医薬品大手Pfizer が、医薬品の違法な販売促進があったことを認め、罰金13億ドルと和解金10億ドル、合計23億ドルを払った件。

    
2009/9/4 米Pfizer、Health Care上正で政府に23億ドル支払い

1)刑事訴訟

11名死亡に関する11の違法行為とClean Water Act、渡り鳥条約、議会妨害に関する違法行為の合計14について有罪を認めた。
このうち13はnegative pressure test に関連するもので、BPは既に、これが多くの関係者がからんだいくつもの原因によるものであると発表しているが、今回の和解はこの線に沿ったものである。残る1つは漏出量に関する議員への報告に関するもの。

BPは約40億ドルを5年分割で支払う。
このうち、罰金は1,256百万ドルで、これとは別に、National Fish & Wildlife Foundation に2,394百万ドル、National Academy of Sciences に350百万ドルを支払う。

米国の法律では、有罪となった企業は連邦政府との取引から除外されることが有り得るが、今回の和解に関しては、どの省庁からもその動きはない。

2)SEC

事故当初の漏出量予想の報告が問題とされた。

これに関し、BPは罰金525百万ドルを3年分割で支払う。

今回の和解に伴う支払額の合計は4,525百万ドルで、支払は以下の通り行われる。(百万ドル)

  SEC 罰金
 
NFWF
& NAS
Total
2012  175      175
2013  175  506  420 1,101
2014  175  250  345  770
2015    150  380  530
2016    150  590  740
2017    200 1,009 1,209
Total  525 1,256 2,744 4,525

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BPではこの事故に関連して、2012年9月末時点で税引前で381億ドルの搊失を計上しているが、これにはSECに対する525百万ドルを織り込んでいる。

今回の和解で、9月末時点の搊失に約38.5億ドルが追加され、現時点の搊失は 419.5億ドルとなる。

なお、BPはMacondo wellの共同所有者及びコントラクターと和解し、下記の金額を受け入れている。  

  三井石油開発    10億ドル  2011/5/20 BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故搊失負担で和解 
  Anadarko   40億ドル  2011/10/19     BP、メキシコ湾原油流出事故でAnadarko Petroleum と和解
  Cameron   2.5億ドル
  Weatherford   0.75億ドル

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残る民事訴訟にはいろいろあるが、Clean Water Actによる連邦政府との民事訴訟が大きい。

同法では原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められているが、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。

米科学者の推計では、事故発生以来の流出量は300万〜500万バレルとなる

300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。
(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)
但し、回収努力などを考慮して減額される。

BPは重大な過失がなかったとして争っていくとしている。


2012/11/19  Saudi Aramco、Jizan製油所建設契約を締結  

Saudi Aramco は11月14日、サウジアラビアの南西端にあるJizan (Jazan とも表す)に建設するJizan Refinery とMarine terminal 設備の設計・購入・建設契約(EPC)の締結式を行った。

2012年4月の基本設計(FEED)完了後に入札を行い、決定した。

総建設費は60億ドルで、下記の各社が選ばれた。(建設費総額と受注額の内訳は業界筋による情報)

サウジ Petrofac Saudi Arabia 14億ドル
韓国 Hyundai Arabia 3億ドル
韓国 Hanwha Engineering and Construction 6億ドル
韓国 SK Engineering & Construction 10億ドル
スペイン Tecnicas Reunidas 10億ドル
日本 JGC 10億ドル
日本 Hitachi Plant Technologies 5億ドル

 Jizan Refineryはサウジアラビアの南西端のJizan市に建設中のJizan Economic City の中核を占める。


 

製油所の能力は日量40万バレルで、Arabian Heavy、Arabian Medium 原油を処理し、ガソリン(75千bpd)、超低硫黄ディーゼル(100-160千bpd)、燃料油(160-220千bpd)とベンゼンを生産する。 (製品別能力は処理する原油により異なる)

Marine terminal は原油の30万トン級タンカー(VLCC)が接岸可能で、また製油所から石油製品を出荷するためのバースを持つ。

完成予定は2016年後半。

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Jizan Economic City は4つのゾーンに分かれる。

1)重工業ゾーン

・ Saudi Aramco Oil Refinery  本件

・ Steel Complex   
        Metal plates:年産100万トン
  鉄筋:年産50万トン

・ Ship Building & Maintenance Complex

  2)二次産業ゾーン

・ Silicon Processing
・ Pharmaceuticals
・ Food Industries
・ Primary Construction Materials
・ Petrochemical Industries
・ Plastic Industries
・ Metal Fabrication and Manufacturing
・ Automotive Spare Parts

3)Human Resources and Business Development Zone

4)Residential Areas and Seafront District


2012/11/20  HuntsmanとSinopec、南京でPO/MTBE 生産 

Huntsman は11月13日、Sinopec Jinling Company(シノペック金陵石化)とJV設立契約を締結したと発表した。

JV吊は南京金陵ハンツマン新材料(Nanjing Jinling Huntsman New Materials Co.,Ltd. )で、南京にワールドスケールのPO/MTBEプラントを建設する。

Huntsmanが49%、Sinopec Jinling が51%を出資し、750百万ドルを投じて、Huntsman技術で PO 25万トン、MTBE 73万トンの併産プラントを建設する。2014年末完工の予定。

POはポリウレタンの原料で、ポリウレタンはPOとMDI(or TDI)を反応させてつくる。

Huntsmanのポリウレタン事業部は、米国(Geismar, Louisiana)、オランダ(Rozenburg, Rotterdam)と上海にMDIプラントを持っている。
同社はTDI も製造していたが、2005年にBASFにTDI 事業を売却(工場は停止)し、MDIに特化している。

上海ではBASFと上海クロルアルカリ等とのJVで粗MDIを生産し、上海クロルアルカリとのJVで精製している。

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Huntsmanは、テキサス州Port Neches にPO/MTBE(24万トン/75万トン)を持っている。

このプラントは1997年にTexacoから買収した。

TexacoはPort Neches で塩素法POを生産していたが、1970年代終わりにこれを廃棄した。

同社はその後、POの新製法の開発を進め、PO/MTBE併産法の開発に成功、プラントを建設した。
1994年に生産を開始したが、工場の操業は隣接するHuntsmanに委託していた。

Huntsmanは2011年5月に、煙台万華ポリウレタン(Yantai Wanhua Polyurethanes)との間で PO/MTBE の技術供与の契約を締結したと発表した。
能力や契約条件は明らかにしていない。

2011/5/31 Huntsman、煙台万華ポリウレタンに PO/MTBE 技術供与 

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POとTBA及びSMの併産設備ではLyondellBasellがトップメーカーである。

1966年に Halcon International とARCO Chemical のJVとして Oxirane Chemical Company が設立され、Halcon法によりPO/SM(後にPO/TBAも)の生産を始めたが、これがLyondellの元である。

1985年にARCOの子会社としてLyondell が設立され、1989年に独立、1998年にLyondell ARCO Chemical Company を買収している。

2004年12月、Lyondell とMilleniumが合併、2007年12月にBasellがLyondellを買収し、LyondellBasellが誕生した。

2007/7/18 Basell Lyondell を買収

LyondellBasellの拠点は次の通り。

地区 場所 能力
(千トン)
併産 備考
米国 Bayport, Tex   545 TBA  
Channelview, Tex   530 SM  
欧州 Fos-Sur-Mer, France   220 MTBE  
Botlek, the Netherlands   250 TBA  
Maasvlakte, the Netherlands   318 SM Lyondell/Bayer 50/50
アジア 日本オキシラン(千葉)   181 SM 住化 60%/Lyondell 40%
Ningbo ZRCC Lyondell Chemical   280 SM Lyondell/Sinopec 50/50

LiondellBasellは2011年12月、Sinopecとの間で、浙江省寧波市にワールドスケールのPO/TBAプラントを建設するために共同でFSを実施する契約を締結したことを明らかにした。

両社は50/50JVのNingbo ZRCC Lyondell Chemical を持ち、シノペック鎮海煉油化工(ZRCC)の寧波市鎮海地区のエチレン100万トンのコンプレックスの中にSM/POとPGプラントを持っているが、更にPO/TBAプラントを建設する。

2011/12/20   LyondellBasellの成長戦略 

他の併産法メーカーは次の通り。

    場所 能力
(千トン)
併産  
欧州 ELLBA CV Moerdijk、the Netherlands   250 SM Shell/BASF 50/50
アジア SKC Chemical 蔚山   160 SM 当初 ARCO/油公JV、1992年ARCO撤退
Seraya Chemicals Singapore Singapore   220 SM Shell 100%
ELLBA Eastern Singapore   250 SM Shell/BASF 50/50

 


2012/11/21 関西電力、BPシンガポールとLNG購入契約に関する基本合意書 

関西電力は11月19日、BPシンガポールとの間でLNG購入契約に関する基本合意書を締結したと発表した。

2017年度から15年間、年間約50万トンのLNGをBPシンガポールから購入するもので、原油価格ではなく、天然ガス価格を指標価格とする。

また、従来のようにLNG供給源を特定したものではなく、BPグループがトリニダード・トバゴやエジプトを始め、世界各地に保有する複数のLNG供給源から、BPシンガポールを通じてLNG供給を受けるポートフォリオ契約となっている。

LNG基本合意書の概要

売主 BPシンガポール
買主 関西電力
受渡開始 2017年4月
契約期間 15年間
契約数量 年間約50万トン(合計約750万トン)
受渡形態 Ex-ship(売主がLNG船を手配し輸送)

契約数量は2011年度の同社の年間輸入量の約7%に相当する。現時点で関電が保有するLNG火力発電所全16基の燃料として使用する。

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原油価格ではなく、天然ガス価格を指標価格とするのは2件目。

大阪ガスと中部電力は7月31日、米国のFreeport LNG Development との間で、天然ガス液化加工契約に関する契約を締結した。

Freeport LNGはFreeport LNG受入基地に、液化設備を新たに3系列(1系列あたり年間約440万トン)を建設することを計画しており、2017年に液化事業を開始することを目指している。

大阪ガスと中部電力は、同基地の第1系列の液化設備においてそれぞれ年間約220万トンずつの天然ガス液化能力を確保した。
これにより、シェールガスをはじめとした米国産天然ガスを自ら手当し、 同基地での液化を経て、LNGとして調達することが可能となる。

米国は現在、LNG輸出を自由貿易協定(FTA)締結国向けに限定しており、Freeport LNGは日本などFTA未締結国向け輸出許可を申請中。

但し、米国の日本向け輸出許可の取得は簡単ではない。

DowのAndrew Liveris CEOは、貴重な資源をそのまま輸出するのではなく、加工して付加価値をつけて輸出すべきと主張している。

また、米国にとっては戦略資源であり、中国に輸出する考えはなく、中国への輸出を避けるためにはFTA締結国に限定するというのは良い案ということになる。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

大阪ガスは2012年6月22日、米国テキサス州のPearsall Shale ガス・オイル開発プロジェクトに参画することを決め、Cabot Oil & Gas Corporationとの間で、権益35%を250百万米ドルで取得すること等を定めた権益売買契約を締結した。

所在地:米国テキサス州南部(イーグルフォード地区)
参加者:Cabot 65%(オペレーター)、大阪ガス 35%
開発対象:ピアソール層
主な産出資源:天然ガス、軽質原油、NGL

Freeport LNGがFTA未締結国向け輸出許可を 取得できれば、自社枠の天然ガスをLNGにして輸入することも可能となる。

両社は、米国産LNGの調達を通じて、供給ソースの分散化および調達方法の多様化を図るとともに、引き続き安定的かつ経済的な原燃料の調達を目指すとしている。

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LNG価格は、LNGプロジェクト毎に売主・買主間の引き取り契約交渉で決定される。

日本・韓国・台湾等の極東地域では主力燃料である輸入原油価格にリンクするフォーミュラで形成される。

極東向けLNG価格は現在、原油価格をJapan Crude Cocktail(全日本輸入原油平均CIF価格)を指標とし、これに傾き係数、フレート、環境プレミアム要素等を加味した定額を加えた基本フォーミュラが主流となっている。

現時点での価格は100万BTU(英国熱量単位)あたり約17ドルに達する。

日本は当初、LNGを原油の代替品として使用した。このため、価格は原油価格にリンクした。

これに対し米国では、天然ガスは原油とは別物として扱われ、天然ガスの価格はその需給で決められる。

従来は、原油100ドル/bbl天然ガス10ドル/100万BTUであったが、米国の天然ガス市況はシェールガス増加で大幅に下がった

天然ガス価格は一時2ドル近辺まで下がっていたが、値下がりにより発電燃料が石炭からガスへの移行が進み、本年9月下旬には3ドル台に定着した。11月20日には先物価格が一時3.83ドルをつけている。

Cheniere Energy がルイジアナ州Sabine PassのLNG受入基地に天然ガスのLNG化設備を建設しており、2016年から輸出を行う予定で、既に韓国の韓国ガス公社(Kogas)等と売買契約を締結済である。

それによるとLNGのFOB価格は、原料ガスコスト(「Henry Hub x 115%)+固定費(ガス化費用など)。
15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージン で、固定費はKogas向けが
百万BTU 当たり3ドルとなっている
天然ガス価格を3ドルとすると、LNG価格はF0Bで6.45ドルとなる。

「Henry hub はSabine Pipe Line LLC.が所有するルイジアナ州Erathの天然ガスパイプラインのハブにおける取引価格。

ちなみに、WTI原油の市場取引の大部分は売買差額のみの決済で、現物の受け渡しはほとんど発生しないが、現物はオクラホマ州Cushingにある貯蔵庫のみで受渡がされることとなっている。

今回の関電の契約は、米国の主要な天然ガス指標価格である「Henry Hub」を用いる。

日本向けLNG運賃は以下の通りで、米国Gulf Coastの場合、約3ドル。

  Kitimat(カナダ西海岸)   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gordon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25  

関電の契約では、液化や輸送のコストを加えても12ドル前後で済むとみられ、現在の原油価格ベースの約17ドルと比べ、大幅な値下がりとなる。     

上記のCheniere Energy の韓国の韓国ガス公社(Kogas)の例では 、天然ガスが3ドルの場合、CIF価格は10ドル以下となる。

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政府は本年9月20日、LNGの消費国と産出国が集まる「LNG産消会議《を開催した。

枝野経産相は、シェールガスの生産やロシアやアフリカといった新たな供給源の参入などで大きな変化が起きており、原油価格に連動する方式の「合理性は薄れてきている《と強調し、現在の価格水準だと、「アジアの国々では、石炭や原子力の利用を増やさざるを得ない《と生産国関係者をけん制した。

参加国は、主要輸入国で割高となっているLNG購入価格の決定方式の見直しが必要との認識で大筋合意した。


2012/11/22 中国企業、EUの中国製革靴反ダンピング関税裁判で勝訴 

中国の靴メーカー浙江奥康靴業(Zhejiang Aokang Shoes Co)は11月18日、中国製皮靴に対する反ダンピング訴訟で同社の勝訴を支持するとする最終判決書をEU高等裁判所から受け取った。

最終判決では、2010年4月にEU第一審裁判所が行った審理は、法の適用を誤り、公正を欠いていると判断された。

「市場経済国《との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。

但し、EUの規則には例外規定がある。

Article 2(7)(b)
反ダンピング調査を受けた非市場経済国の製造者が、当該製品に関しては市場経済環境が存在するということを証明した場合、一般ルールが適用される。

市場経済扱い(MET)企業は個別に計算、それ以外は代替国価格をベースに計算する。
今回のケースで、MET扱いの場合、反ダンピング税率は9.7%、それ以外は16.5%である。

浙江奥康靴業はMET扱いを主張したが、EU第一審裁判所はこれを受け入れなかった。今回の判決はこれを誤りとした。

浙江奥康靴業に関しては、2006年10月の中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法適用を無効とした。

EU高裁は、浙江奥康靴業のEU第一審裁判所と高裁への訴訟においてかかった費用を支払い、6年間にわたって紊めた反ダンピング関税を還付するよう命じた。

ーーー

EU欧州委員会は2006年、中国・ベトナム製の革靴に対し、4月7日から臨時反ダンピング税を課すよう提案した。
最初は4%とし、段階的に引き上げて最後は 19.4%(ベトナム製は16.8%)に引き上げ、臨時措置の6カ月間にダンピングが解消されなかった場合は、正式な反ダンピング税の課税に踏み切るというもの。

欧州連合(EU)は2006年10月、加盟国による投票を行い、中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法案を僅差で可決した。
同法案に基づき、EUは10月7日から、中国製品には16.5%、ベトナム製品には10%の反ダンピング税が課される。

同法案はフランスが提出し、僅差で可決された。投票結果は反対12、賛成9、棄権4。EUの規定では、提案を否決するには加盟国の過半数の票が必要で、棄権票は賛成票とみなされることから、同法案はかろうじて可決された。

中国商務部は、特にEUが中国を非市場経済国待遇をしていることに猛烈に反発した。

   EUは2年の期間が満了した後、再審査を行い、関税適用を2011年3月31日まで延長する決定を下した。

   2006/2/27  EU、中国・ベトナムの革靴に反ダンピング税

欧州委員会の決定を受けて、浙江奥康靴業を始め、浙江省温州市の泰馬、広東省広州市の南海金履、福建省などの靴メーカー5社は、EU第一審裁判所に提訴した。

2010年4月、EU第一審裁判所は、中国の靴メーカー5社の訴えを却下し、中国の靴メーカーの敗訴を言い渡した。

2010年4月、中国政府はWTOに訴え、EUによる上公平な国際貿易紛争の解決を求めた。

2010年5月、4社は、第二審での勝訴を見込めないと判断し、控訴を放棄したが、浙江奥康靴業のみ、EU高裁に控訴した。

EU委員会は20113月末に、いかなる延長申請も受理していないとして、中国とベトナムの革靴に対する反ダンピング措置を打ち切った。

浙江奥康靴業はその後も訴訟を続け、今回の判決を勝ち取った。

中国では今回の判決を受け、中国企業は外国の上公正な政策にもっとチャレンジすべきだとの声が挙がっている。

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反ダンピングを巡っての中国企業の勝訴は2件目となる。

欧州司法裁判所は2012年7月、浙江新安化工集団が除草剤・グリホサートに関する反ダンピング措置をめぐって欧州連合を訴えていた裁判の最終判決を下した。

同裁判所はEUが同公司に対して取った反ダンピング措置は無効であると認定し、欧州理事会の上告をすべて棄却した。

新安化工は非市場経済国についてのArticle 2(7)(b)による一般ルールの適用を求めたが、EUは中国政府が新安化工に出資(少数株主)していることを理由に、国家の関与があるとしてこれを拒否した。

このため、新安化工は訴訟に持ち込んだ。

欧州司法裁判所の判決は、政府が出資しているだけで市場経済国待遇を適用しないのは経済の実態に合っていないとした。

2012/7/30 中国企業、EUの反ダンピング措置の裁判で勝訴 


2012/11/23 米ビタミンメーカー Schiff Nutrition International の買収 

Bayer は10月30日、Bayer HealthCare LLCが、 米国その他でビタミンや栄養サプルメントを販売する大手のSchiff Nutrition Internationalを買収する契約を調印したと発表した。

買収額は1株当たり34米ドルで、合計約12億米ドル。

Schiffの2大株主(合計で85%を保有)はBayerの提案を受け入れており、少数株主のSqueeze outが可能となっている。

Squeeze outは支配株主が少数株主にその保有する株式の売り渡しを請求できる権利を認める制度で、いったん買収会社が法律上十分な被買収会社の株式を取得すれば、買収会社は被買収会社の残った少数株主の承認を得ることなしに合併ができる。

Schiff の2012年5月決算の売上高は259百万ドルで、本年9月には、2013年度の売上高は43〜46%増加すると発表している。

同社は本年3月30日に飛行機の乗客向けの免疫補助サプリメントAirborne で有吊な Airborne Inc.を150百万ドルで買収しており、この分も売上高増の一つの理由。

Schiff の製品はBayerの既存のOTC製品を補完する。

BayerのMarijn Dekkers最高経営責任者(CEO)は「今後も戦略的買収による成長を目指す。今回の買収は、戦略的にみて当社のヘルスケア事業に大きく寄与するだろう《と語っている。

Bayer HealthCare は2012年9月、イスラエルのTeva Pharmaceutical のUS-Animal Health businessを145百万ドルで買収することで合意して おり、今後も小・中規模の買収を進める方針。

ーーー

Schiff の大株主の賛成で、BayerによるSchiff買収は成功すると思われたが、英国の消費財メーカーのReckitt Benckiser が11月16日に、Schiff Nutrition International の全株式を1株当たり42ドル、合計約14億ドルで買収するTOBを行うと発表した。

この価格は前日終値の23%高、Bayerの買収価格34ドルに比し24%高となる。

TOB期限は12月14日となっている。

Reckitt Benckiser のCEOは、Schiffの取締役会がこちらに賛成し、取引がまとまることに確信を持つと述べた。
買収によりビタミンやサプルメント分野に進出したいとしている。

Reckitt Benckiser の日本法人レキットベンキーザー・ジャパンは、パーソナルケア製品(薬用石鹸「ミューズ《、ニキビケアブランド「クレアラシル《、ムダ毛処理の「ヴィート《など)、フット・レッグケア(ドクターショール)、ホームケア製品(消臭芳香剤「エアーウィック《、食器洗い機専用洗剤「フィニッシュ《など)を扱っている。

ーーー

Reckitt BenckiserのTOB発表を受け、BayerはSECへの報告で、Reckitt Benckiserに対抗すればBayerの財務基準を超えることとなるとの結論に達したと述べ、買収を取り止めた。


2012/11/24  公取委、自動車メーカー発注の自動車用部品コンペ参加業者に 排除措置命令と課徴金納付命令 

公取委は11月22日、自動車メーカーが発注する自動車用部品のコンペ参加業者に対し、 排除措置命令及び課徴金納付命令を行ったと発表した。

各社は遅くとも2000年11月ごろから、自動車メーカーがモデルチェンジした後も同じ企業が受注し、価格も下がらないようにするため、受注予定社や提示価格を調整していた。

対象企業と違反案件、排除命令対象(上段、〇印)、課徴金対象(下段)と課徴金は以下の通り。(課徴金単位は千円)
課徴金合計は3,388,830千円に達する。

  ホンダ スズキ ホンダ スズキ スズキ 日産等 富士重 ホンダ 富士重 合計
オルタネータ オルタネータ スタータ スタータ ワイパー ワイパー ワイパー ラジェター
電動ファン
ラジェター
電動ファン
三菱電機
581,390
30%減 

388,790
30%減 

5,140
30%減 

434,990
30%減 
          4件
1,410,310
ミツバ    
18,380
 
 375,040

573,800

140,290
    4件
1,107,510
ティラド              
672,350
  1件
672,350
カルソニック                
198,660
1件
198,660
日立
オートモティブ
 
 
          2件
日立製作所  
 
         
デンソー
免除

免除

免除

免除

免除

免除

免除

免除

免除

違反 2社 4社 3社 4社 2社 2社 2社 2社 2社 7社
延べ23社
排除命令 1社 2社 2社 2社 1社 1社 1社 1社 1社 5社
延べ12社
課徴金命令 1社 1社 2社 1社 1社 1社 1社 1社 1社 4社
延べ10社
課徴金額 581,390 388,790 23,520 434,990 375,040 573,800 140,290 672,350 198,660 3,388,830

ミツバは旧称三ツ葉電機製作所、ティラドは旧称東洋ラジエーター。

日立製作所は、2009年7月1日付けで日立オートモティブシステムズに、新設分割により自動車用オルタネータ及び自動車用スタータに係る事業を承継させ、以後これらの事業を営んでいない。

日立オートモティブは2件に参加し排除命令は受けたが、受注がなく課徴金はなし。

デンソーは全ての事案に参加しているが、課徴金減免制度の適用を受け、排除命令も課徴金も免除された。

三菱電機は課徴金減免制度で30%の減免を受けた。

デンソーのみが全ての事案に参加している。

この場合、課徴金が5割増しになる「主導的役割を果たした事業者《である可能性がある。

単独で又は共同して、当該違反行為をすることを企て、かつ、他の事業者に対し当該違反行為をすること若しくはやめないことを要求し、依頼し、又は唆し、当該違反行為をさせ、又はやめさせなかった者

しかし、課徴金免除の対象外となるのは、「違反行為をすることを強要し、又は当該違反行為をやめることを妨害していた場合《であり、それ以外は免除の対象となる。

付記

公取委は2013年3月22日、自動車メーカー発注の自動車用ランプの見積もり合わせの参加業者に 排除措置命令と課徴金納付命令を出した。
対象品目はヘッドランプとリアコンビネーションランプ。

課徴金の額は以下の通りで、それぞれ減免を受けている。(単位:千円)
排除命令は小糸製作所(5件)のみに出された。

 

発注自動車メーカー

合計
日産 トヨタ 富士重工 三菱自動車 マツダ
小糸製作所 1,380.010 271,330 806,960 222,700 747,590 3,428,590
30%減 30%減 30%減 30%減 30%減
市光 1064,440 46,400 139,260 対象外 対象外 1,250,100
50%減 50%減 50%減    
スタンレー電気 0 0 0 0 0 0
免除 免除 免除 免除 免除
合計 2,444,450 317,730 946,220 222,700 747,590 4,678,690

付記

公取委は2013年7月17日、小糸製作所から排除措置命令及び課徴金納付命令に係る審判請求が行われたため審判手続を開始すると発表した。
 


2012/11/26 Glencore とXstrataの合併 

スイスの商品取引大手Glencoreと鉱山大手Xstrataは11月20日、それぞれ株主総会を開き、合併案を承認した。

合併により、世界第4位の鉱山会社が誕生する。

Glencore Internationalは2012年2月7日、同国の資源大手Xstrataを260億ポンドで買収し、対等合併すると発表した。
新会社の社名はGlencore Xstrata International PLCとなる。

しかし、Xstrataの株主のカタールの政府系ファンド Qatar Holding (12%出資)などが合併条件の見直しを求め、7月中の株主総会承認は難しくなった。

Glencoreは9月7日、Xstrataの買収案を引き上げた。Xstrata株主に割り当てるGlencoreの新株数を2.8株から3.05株に引き上げた。
Glencoreはまた、株主による承認を得やすくするため、合意の仕組みを変更する可能性についても提案した。

2012/2/9  スイスの資源会社Glencore InternationalとXstrataが合併

Glencoreの株主総会は99.4%の賛成で合併を決議、Xstrataも約79%が賛成した。

Glencoreは既にXstrataの株式の34% を保有しており、残りの購入価額は約320億ドルとなる。

ただ、Xstrata総会は鉱山の経験が深いXstrataの経営トップを残留させるための2億ドル以上の報酬案を否決、統合新会社Glencore Xstrataの会長に就任する予定だったGlencore のJohn Bond会長は、「経営陣が出した議案がことごとく否決された《ことを理由に辞任した。

報酬案の否決により、これを受け取る予定であった約70人のXstrataの管理職が残留するかどうかが問題となる。

残る合併のハードルは独禁当局の承認で、EU、中国、南アの承認がキイとなる。

そのEUは11月22日、合併を承認した。

EUと欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の最大の懸念は亜鉛であった。
Glencore とXstrataはともに亜鉛に強く、合併すれば欧州でのシェアが80%近くになる。

このため、Glencoreは同社が7.8%出資するNyrstarが欧州で生産する亜鉛をGlencoreが販売する契約(年間35万トン程度、2011年に2018年まで延長された)の破棄と、同社株の売却を提案した。これにより合併会社の欧州での亜鉛のシェアは40%以下に半減する。

Glencoreは又、Nyrstarから直接、間接を問わず10年間は亜鉛を購入しないことと、その期間、Nyrstarが欧州でGlencoreと競合することを制限するいかなる行為も行わないことを約束した。

EUはこれにより、GlencoreとXstrataの合併後に亜鉛価格を引き上げるとの競争法上の懸念がなくなったとし、承認した。

Nyrstarはオーストラリアの亜鉛大手Zinifex(現在はOZ Minerals)とベルギーのUmicoreが2007年に亜鉛の製錬・合金部門を統合して設立した世界最大級の亜鉛・鉛製錬企業で、欧州、北米、オーストラリア、中国で事業展開している。

OZ MineralsはNyrstarの株式をGlencoreに売却した。Nyrstarの残る主要株主はUmicore。

このEUの決定は甘いとの見方がされている。当初はXstrataのドイツのNordenham亜鉛精錬工場か、世界最大のスペインのSan Juan de Nieva工場の売却を求められるのではないかとされていた。


残るハードルは中国と南アの独禁当局の承認である。


2012/11/27 倒産したドイツの太陽光発電メーカーQ. Cells、韓国ハンファグループのHanwha Q.CELLSとして再生 

ドイツの太陽電池メーカー大手のQ.Cellsは2012年4月2日、法的整理の手続きを申請すると発表した。

太陽電池ブームを追い風に2008年に世界シェア首位に立ったが、中国メーカーなどとの価格競争が激化し、赤字体質に陥っていた。

2012/4/6 太陽電池大手 Q-Cells 破綻

Q.Cellsは8月26日、韓国のHanwha Groupから買収提案を受けたと発表した。

Q.Cells は8月29日、債権者集会で韓国のHanwha Groupへの事業売却が、参加者の過半数によって承認されたことを発表した。
従業員約1,550人のうち、1,250人を
Hanwha Groupが引き受け、また、Q-Cells の事業の大部分についてもHanwha Groupに移管される。

買収価格は、営業債務の引き受け部分(1〜5億ユーロ相当)と、キャッシュによって支払われる部分(数千万ユーロ)から成り、キャッシュ部分の金額は今後、Hanwha Groupが引き受ける追加債務の金額によって変動する。

新聞情報では、買収額は4千万ユーロで、2億74百万ユーロの負債も引き継ぐ。

2012年10月24日、買収が完了し、Hanwha Q.Cells GmbHが設立された。

Hanwha Q.Cellsは以下の資産を引き継ぐ。

・本社、研究開発拠点および管理部門(ドイツ)
・200MWのセル生産拠点、120MWモジュール生産拠点(ドイツ)
・800MWのセル生産拠点(マレーシア)
・海外拠点(米国、オーストラリア、日本)
・特許34件
・従業員1,225吊

ーーー

Hanwha Groupは2020年までに世界トップの太陽電池メーカーになるとの方針を建て、2010年8月に4,300億ウォン(約341億円)を投じて太陽電池モジュール業界で世界4位の中国のSolarfun Power Holdings(江蘇林洋新能源)の株式49.9%を取得し、同社と戦略的関係を結んだ。

同社は太陽光セルとモジュールのメーカーで、ウェハー、セル、モジュールまで生産している。

2011年1月1日付でSolarfun Power はHanwha SolarOneに改称した。

Hanwha SolarOneは太陽電池生産規模を500MWから1,300MWに増やした。

Q.Cells 買収を通じ、Hanwha Groupは2.3GWの生産能力を有する世界第3位の太陽光発電メーカーとなる。

 

Hanwhaは2010年10月にはボストンの太陽光技術開発会社の1366 Technologyの株式 6.3%を500万ドルで取得した。

MITのProf. Emanuel M. Sachsが設立した会社で、インゴット過程を経ずに溶解状態のポリシリコンから直接ウェハーを生産するダイレクトウェハー技術を開発している。

2011年には太陽光発電分野の研究開発を担当するHanwha Solar Americaを米カリフォルニア州シリコンバレー設立した。
2012年4月12日にオープン記念式典を行い、本格稼働を開始した。

ハンファ・ジャパンは本年8月、丸紅が建設を計画している日本全域の太陽光発電所に、向こう4 年間で約50万キロワット分の太陽光モジュールを供給することで丸紅側と合意したと明らかにしている。


2012/11/28 ドイツの電気料金 

韓国のHanwha Groupに買収されたQ.Cellsは、中国メーカーなどとの価格競争が激化し、赤字体質に陥っていたが、倒産のきっかけの一つがドイツのRenewable Energy Actの改正で、4月1日から太陽光発電の買取価格(Feed-in-tariff)の大幅引き下げが実施された。

2000年に当時のシュレーダー首相率いる社会民主党と緑の党の連立政権は再生可能エネルギーの普及のため、太陽光や風力などで発電した電力を20年にわたり、地域の電力会社が固定価格で買い取る仕組みを導入した。

これにより太陽光発電は急速に拡大し、設備容量で世界一になった。
(太陽光発電はドイツの全発電容量の14.9%を占めるが、発電電力量では3.3%にしかならない。)

買取価格は電気料金に上乗せされるため消費者負担が政府の予想を超えて膨らんだ。
電力消費者が支払う再生可能エネルギー法上乗せ金は、2012年は140億ユーロ以上となっている。
2013年には、これが約200億ユーロに達する。

このため、4月1日以降の設置分について買取価格を引き下げ、太陽光発電の普及を事実上抑制する形に方針転換した。
(設置時の買取価格はその後も維持される)

屋根設置型の買取価格(ユーロセント/kWh)

  2012/1/1  2012/4/1
〜10kW 24.43 19.50 発電量の80%分のみ支払
〜30kW 16.50 発電量の90%分のみ支払
30〜100kW 23.23
100〜1000kW 21.98
1000kW〜 18.33
 
13.50
10MW以上

上適用(一定の猶予期間あり)

買取価格適用外の電力は市場実勢価格の月平均値で買い取る。

新価格は2012年4月1日に遡って適用され、2014年1月まで有効。
これらの買取価格は7月から15ヶ月に渡って毎月1%ずつ削減され、2014年から1年単位の買取価格の削減が行われる予定。

ドイツ連邦経済省は2012年10月、ドイツ国内の電力系統運用者4社から報告を受け、再生可能エネルギー法にかかる2013年以降の上乗せ金が1キロワット時につき3.592セントから5.277セントに増額となることを公表した。

平均的な一般家庭(3人家族で年間3500kwh)の場合、電気代の増額分は付加価値税(19%)を加えると年間で7400円となる。       (5.277-3.592)ユーロセント x 1.19 x 3500=70.2ユーロ≒7400円

  付記(2013/10)  2014年の上乗せ金は6.24ユーロセントとなる。

ドイツの家庭用電気料金とそのうちの再エネ法賦課金の推移は以下の通り。
2013年の平均的な一般家庭の電気代(予想)は、年間 102千円で、うち再エネ法賦課金は付加価値税込みで年間 23千円となる。

2013年は予想。発電・送電・配電コストは2012年分をそのまま適用し、再エネ法賦課金は上記を適用。

ユーロセント/kWh

  2011 2012 2013
予想
発電・送電配電 13.80 14.05 14.05
公道使用料 1.79 1.79 1.79
19条賦課金 0.03 0.15 0.15
電力税環境税 2.05 2.05 2.05
エネ法賦課金 3.53 3.592 5.277
(小計) (21.20) (21.63) (23.32)
VAT(19%) 4.03 4.11 4.43
家庭用 合計 25.23 25.74 27.75
     
   

付記
 2014年は6.24セント

詳細は

国際環境経済研究所(IEEI)
ドイツの電力事情―理想像か虚像か― @、A、B

http://ieei.or.jp/2012/07/expl120711/

ーーー

日本では、再生可能エネルギーの普及・拡大を目的に、2012年7月1日から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度《が始まった。

2012/4/26    自然エネルギー買取価格

2012年度の育エネ負担金の単価は、例えば東京電力管内で、月々の電気の使用量が300 kWhの標準家庭では、

となり、育エネ負担金は月額84円となる。

ソース 政府広報オンライン

ドイツの場合もスタート時は0.2セント/kwhで、平均的な一般家庭(3人家族で年間3500kwh)の場合は、(現在のレートで付加価値税込みで)月額70円程度であった。

新規設置の買取価格は当初の50.6セントから20セント以下に下がっているが、買取電力量の急増により、2013年ベースでは月額1900円程度にまで増大している。

日本でも、やり方を間違うと、家庭の負担が急増する可能性がある。

上記のIEEIの資料では、
「ドイツの全発電容量の14.9%を占める太陽光発電も、発電電力量では3.3%にしかならない。この3.3%の発電電力量をまかなうために投じた費用との見合いが問題《、とし、
「再生エネとバックアップ電源の二重の設備投資を社会全体で負担せざるを得ないものであることは、認識しなければならないないだろう《としている。


2012/11/29 ユーロ圏、ギリシャへの融資再開へ 

EUのユー口圏17カ国とIMFは11月26日夕から27日未明にかけて財務相会合を開き、凍結していたギリシャヘの支援融資の再開で合意した。
ギリシャ国会が、EUなどが求める公務員給与や年金のカットなど計94億ユーロの歳出削減策を盛り込んだ2013年緊縮予算案を可決し、支援受け入れの条件をクリアしたことを受けた。

ギリシャの公的債務については、2020年までGDP比120%に圧縮する目標だった。
しかし、経済状況の深刻化で目標は大きく外れ、現状では財政緊縮策などを進めても、2014年に190%、2020年になっても144%までしか減らせない見込みだった。
今回、当初目標を修正し、2020年までにGDP比124%に圧縮することとした。

凍結中の次回分315億ユーロだけでなく、年内に予定されていた残る2回分も含め、計437億ユーロを実施する方針で、12月13日までに正式決定する。

付記

ユーロ圏財務相会合は12月13日、来年3月末までに491億ユーロの対ギリシャ融資を行うことで合意した。向こう数日中に343億ユーロが支払われ、残りも2013年第1四半期に支払われるという。

「ギリシャの債務の対GDP比率を大幅に引き下げる国債買い戻しの結果を歓迎する」とし、「この国債買い戻しが、11月27日に合意された構想、および調整プログラムの完全な実施と共に、ギリシャの債務の対GDP比率を2020年に124%に引き下げることに貢献することを再確認した」としている。

支援計画の骨子は次の通り。

・凍結していた融資再開を決定
・中期の財政再建目標(
財政赤字をGDP比3%以下にする)の達成期限を、2014年から16年に延期
・2020年時点の債務残高の対GDP比目標を当初の120%から124%に修正
・新たに2022年に110%以下にする目標を設定
・過去に実施したユーロ圏諸国からのギリシャ向け融資の金利を1%ポイント軽減(支援を受けている国からの融資は除く)
・過去に実施した各国及びEFSFからの融資の返済期限を15年間の延期、EFSFローンの金利支払いの10年間延期
・ECBはギリシャ債からの利益110億ユーロを放棄
・ギリシャ国債を発行価格より安い価格で市場から買い戻し、債務残高を圧縮

目標見直しでは、IMFが目標の現状維持とユーロ圏諸国によるギリシャ債権の一部放棄を求めたのに対し、ドイツなどユーロ圏はこれを拒否した上、目標達成時期の2022年への先送りを主張、対立が鮮明化していたが、双方が歩み寄った。


今回の計画そのものの実現性がはっきりしない。

財政赤字をGDP比3%以下にする財政再建目標の達成期限を2014年から16年に延期すると、330億ユーロが追加で必要となる。
更に、債務残高比率縮減にも資金が必要。

ギリシャ国債を発行価格より安い価格で市場から買い戻す(報道では300億ユーロの国債を100億ユーロで買い戻す案)というが、投資家が応じるかどうか不明である。

付記
ギリシャ政府は12月3日、最大100億ユーロを投じて民間投資家から国債を買い戻すと発表した。
対象となる20のギリシャ国債の買い戻し価格は償還期間によって異なり、最低で元本の30.2-38.1%、最高で32.2-40.1%と、市場の予想を上回った。

付記
ギリシャ公債管理機構は12月12日、応募額が額面で319億ユーロ、買い取り額113億ユーロと発表。差額の206億ユーロ相当の債務が削減される。

2012年の経済成長見通しは前年比マイナス6.5%で、GDPが減少すると、GDP比の赤字の率は減らない。

今回、融資再開が決まったが、再開の条件となる緊縮策に対しては、年金受給開始年齢の引き上げや公務員削減への反発からギリシャ国内で数万人規模のストライキが発生しており、ギリシャ政府は連立政権の合意で「レイオフはしない《と表明している。

ユーロ圏にとどまったまま(通貨切り下げが出来ない状況で)ギリシャ経済が大きく改善する可能性はないため、緊縮策と支援だけがGDP比債務削減の手段となる。

しかし、先の見込みのないままの緊縮策には国民が同意する筈はなく、今回の新計画が実行される保証はない。

支援国側にも、際限のないギリシャ支援への支持はない。

今回も、オランダなど一部の国は「新規の資金投入は認めない《との立場を崩さず、公的債務の減免は見送られた。

最終的にはギリシャがユーロから離脱するしか、方法はないのではないか。

参考       浜 矩子同志社大学教授のユーロ解体論

付記

格付け大手S&Pは12月5日、ギリシャの長期債務格付けについて、投機的水準のCCCから部分的なデフォルト(債務不履行)を意味するSDに再び引き下げたと発表した。

民間銀行などから額面の3分の1程度で国債を買い戻す計画について、「投資家は当初の約束を下回る価値を受け取る」と指摘、「デフォルト同然」と判断した。

買い戻しが実施されれば、格付けをCCCに戻す公算が大きいという。

これまでの経緯は以下の通り。

2009/10 総選拳で全ギリシャ社会主義運動が新民主主義党を破り、パパンドレウ政権発足。
前政権の財政赤字粉飾が発覚、危機表面化
2010/5 EUとIMFによるギリシャに対する支援策(2010〜2012年で1,100億ユーロの協調融資)
欧州金融安定化メカニズム(European Stabilization Mechanism)創設

2010/5/10  統一通貨ユーロの危機

2010/11 アイルランド支援(850億ユーロ)
2011/5 ポルトガル支援(780億ユーロ)
2011/6 EFSF拡充決定(2011/10 最後のスロバキアが一旦反対した後、賛成し、成立)
2011/7 ギリシャ向け第二次金融支援
 公的支援 1090億ユーロ、
    民間金融機関による支援 370億ユーロ(21%の損失負担
2011/10 欧州債務危機克朊に向けた「包括戦略 」で合意。
ギリシャ問題については
民間銀行によるギリシャ債務の搊失負担は7月時点の21%から50%に アップ
(新旧の国債交換、国債の再投資を通じギリシャ国債の元本を削減)
ギリシャ債務残高は2020年にGDP比120%に削減へ
ギリシャの財務状況を常時監視
ギリシャに下記の改革を求める。
 ・女性年金支給開始 60歳→65歳
 ・一定額以上の受給者への支給額減額
 ・公務員3万人の削減、給与カットも
 ・民間企業の賃下げのための規制緩和
 ・保有上動産からの利益に対する課税の導入
 ・付加価値[email protected]%→23%(実施済み)
 ・ガス(DEPA)、通信(OTE)など国営企業の民営化
 ・公共事業の凍結、削減(2011年度は前年比3.3%減)
 ・軍事費の大幅削減

ギリシャで政府の緊縮策に抗議する全国ゼネスト

2011/11 ギリシャ首相は、国民の反対を受け、一度は国民投票実施の意向。
EUとの協議の後、首相は11月3日、緊急閣議を開き、国民投票を撤回

G20首脳会議は11月4日、首脳宣言を採択。
EUが合意したギリシャの債務削減などの包括対策の速やかな実施を要請

2011/11/7   EU 金融危機

その後 EU・IMFの試算では、当初予定していた第2次支援を実施しても、2020年時点でギリシャの政府債務の対GDP比率は129%までしか低下せず、目標の120%を実現するための追加策が残された大きな論点となった。

ギリシャ政府の追加緊縮策が整わないことなどを理由に正式決定が先延ばしされてきた。

EUは第二次支援を1300億ユーロとするとともに、民間銀行のギリシャ国債元本削減幅を従来の50%から更に拡大することとし、ギリシャにそのための条件を科した。

2012/2 ギリシャ、3条件をようやく達成
1)「財政緊縮関連法案の議会承認」
   2012年で33億ユーロ分の 賃金、年金、公務員削減による節減策を議決

2)「財政緊縮策実行の誓約書」
   ギリシャ与党党首が「緊縮策実行の誓約書」に署名。

3)「歳出削減策の具体化」(これが難航した。)
   6億2500万ユーロの歳出削減めぐって暗礁に乗り上げたが、
    うち、3億ユーロを年金の削減で賄うことを決定
   残り 3億2500万ユーロについては、最終的に国防費や公共投資などの削減で賄うことを決定。

2012/2 ユーロ圏17カ国、ギリシャへの総額1300億ユーロの第2次支援を決定

条件
・ギリシャの対GDP債務比率を現状の160%から2020年に120.5%に
・ギリシャをEUの監視下に置き、財政緊縮策を確実に履行させる

2012/3 ギリシャ、債務削減に成功
2012/5  総選挙で財政緊縮派の全ギリシャと新民主の連立2与党が過半数割れ
2012/6 EUとIMFが支援凍結
2012/6 ギリシャ、連立政権発足 
2012/11 国会が13年緊縮予算案を可決。支援受け入れの条件クリア
ユーロ圏財務相会合がギリシャ財政再建の目標期限を16年まで2年延長することを基本承認
2012/11 凍結していたギリシャヘの融資実施でEUとIMF合意

 


2012/11/30 中国企業がレゾルシン製造 

中国商務部は11月23日、日本と米国原産の輸入レゾルシンの反ダンピング調査でクロの仮決定を下したと発表した。

商務部は2月3日に中国のレゾルシンメーカーを代表して浙江鴻盛化工から日・米原産の輸入レゾルシンの反ダンピング調査の要請を受け、調査を行ってきたが、3月23日、反ダンピング調査の開始を決定した。

保証金は以下の通りで、非常に高率である。

 日本
  住友化学          40.5%
  三井化学          40.5%
  その他            40.5%

 米国
  INDSPEC Chemical    30.1%
  その他               30.1%

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これまでの情報では、レゾルシンの世界需要は約6万トンで、メーカーは以下の通りとされていた。

 

能力

  原料
住友化学  30,000トン 千葉2万トン
大分1万トン(2010/4 新設)
1,3-diisopropylbenzene
(プロピレンとベンゼンが原料)
三井化学 7,600トン 岩国大竹
INDSPEC Chemical 20,000トン 下記参照 1,3-benzenedisulfonic acid
Hoechst

1992年停止
インドのAtul 1,500トン 5,000トンへの増設を計画  
ロシアの Orgsintez

2007年に停止   
その他

若干   

インド、中国など  
合計 約6万トン    

INDSPEC :
KoppersがPennsylvania州のPetrolia工場で世界で最初にレゾルシンを企業化した。
1988年初めに英国のBeazer East がKoppersを買収した際、Petrolia工場と近くの研究センターがMBOで独立、INDOSPECとなる が1999年にOccidentalが買収し、子会社にした。
(残る旧Koppers設備は1988年末にMBOで再度 Koppersになった

この場合、中国メーカーの供給能力はほんの一部のため、ダンピング課税が行われても中国の大半の需要家は課税後の高い価格で輸入を続けざるを得ず、中国需要家が被害を受けることになる。

商務部は太陽発電用の米・EU原産のポリシリコンに反ダンピング、反補助金調査を開始したが、これは米・EUの中国産の太陽電池パネルの反ダンピング、反補助金調査に対抗した政治的なものであり、通常は大部分を輸入に頼る製品にダンピング課税を行うことはない。

このため調べてみると、反ダンピング調査を要請した浙江鴻盛化工Zhejiang Hongsheng Chemical が2万トンの設備を完成させていることが分かった。既に稼働している模様。

参考 同事業の環境調査報告

同社は染料等のメーカーの浙江龙盛集团Zhejiang Longsheng Groupが75%、香港の万津集団が25%を出資する合弁会社で、浙江省上虞市Shangyu)に自社技術で建設した。

同社の技術は、ベンゼン、硫酸、硝酸からm-フェニレンジアミンをつくり、これを加水分解してレゾルシンとm-アミノフェノールを製造するもの。レゾルシンは2期に分けて建設し、合計能力は2万トンとされている 。

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なお、三井化学の岩国・大竹工場は4月22日に爆発事故を起こし、停止しているが、同社では再建を断念したとされている。

報道では、生産停止が半年以上に及び、需要家が他社からの調達に切り替える動きを加速し取引の回復が難しくなったため。市況も低迷しており、再建にかかる数十億円の投資負担は重いと判断したとされている

事故当初は供給上足が懸念され、住友化学が、千葉と大分の両工場ともフル操業状態のため「増産による対応は難しいものの、当面、在庫を切り崩して応援出荷することにした《とされた

三井化学の能力が欠けても問題が起こっていないことをみると、浙江鴻盛化工の供給開始が影響しているのかも分からない。


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