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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2013/12/1
 中国EVメーカーのNIO、長安汽車に続き、吉利EVと電池交換で提携 

中国の新興のEVメーカーで、中国版Teslaと呼ばれる上海蔚来汽車(NIO Inc.)は11月21日、大手自動車メーカーの重慶長安汽車とバッテリー交換事業で協力協定を締結したと発表した。交換型バッテリーの標準規格化や、バッテリー交換ネットワークの構築と共有、交換型バッテリー搭載車種の研究開発、バッテリー資産管理メカニズムの構築などに共同で取り組む。

NIOの李斌CEOは「バッテリー交換事業に着手した時から、業界全体に事業領域を拡大することを試みていた。NIOの電池交換ネットワークと、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を掛け合わせた『AIoT』技術を採用したパワークラウドは、5年の発展を経て、研究開発や建設、運営などで豊富な経験を積み重ねており、電池交換業務を業界向けに開放する準備が整った」と説明した。今回の協力によって長安汽車と提携し、新エネルギー車産業の質の高い発展と自動車業界の低炭素化を推進していくと述べた。

更に、蔚来汽車(NIO)は11月29日、浙江吉利控股集団との間で、バッテリースワップに関する戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。電池の標準化や技術、モデル開発で提携し、効率的なバッテリー資産管理メカニズムの確立や電池交換可能な車両の開発などを目指すとしている。

電池交換により、ドライバーは車両を充電ポイントに接続するのではなく、消耗したパックをフル充電されたパックに素早く交換することが可能になる。

 

NIOは2023年5月、第3世代となる新たなバッテリー交換システムを発表した。同社のEVの駆動用バッテリーを5分以内に交換できるようになり、欧州市場にも導入される。

この時点でNIOは、中国で1,300か所以上のバッテリー交換ステーションを稼働させ、累計2,000万回以上の交換作業を完了させている。

(10月26日時点でNIOは中国全土で2,000カ所のバッテリー交換ステーションと、3,281カ所の充電ステーションを建設・運営している。)

欧州ではノルウェー、オランダ、ドイツでサービスを開始し、13か所のステーションですでに1万2000回以上の交換が完了しているという。

NIOは、同社のEVの「充電」の56%以上がバッテリー交換によるものであるとしている。NIOの全車種はバッテリー交換が可能で、交換ステーションでは車両下部からバッテリーを取り出し、フル充電されたユニットに入れ替えることができる。一般的な急速充電よりも手軽で素早い交換作業を特徴とする。

第1世代の交換ステーションは2017年に導入され、2021年には第2世代が登場した。最新の第3世代では、第2世代よりも交換にかかる時間が1分短縮され、約4分40秒で完了するという。実際の機械的な交換作業は約2分30秒で行われ、残りの時間は安全確認と車両の位置決めによるもの。

ーーー

バッテリー交換ステーションにはバッテリーユニットが保管されている。電池を交換するためには、車体床下の電池位置とステーションの機器の位置を正確に合わせる必要があり、この位置合わせのために、NIOの車両は自動運転での駐車を利用している。自動運転でも調整できない位置ずれは、ステーション側の設備で微調整が行われる。

車を持ち上げ、横からマシーンが動いてきて古い電池 を自動的に取り外し、新しい電池を取り付ける。



https://www.youtube.com/watch?v=kBY6nkkyD7M


自動的に使用済みの車載バッテリーを取り外し、新しいバッテリーを取り付ける。

     https://hasimoto-soken.com/archives/3536


2023/12/3 OPECプラス、協調減産不発、有志国で自主減産 

OPECプラスは11月30日、オンライン形式で閣僚級会合を開き、現行の協調減産態勢を維持することで合意した。

半年に1回の閣僚級会合では加盟国の生産枠を引き下げる追加の協調減産に踏み切れるかどうかが焦点だった。事前の折衝でサウジなどが中心となり追加の協調減産を模索していた。

これに対し、アフリカの産油国、ナイジェリアとアンゴラが反発した。

ナイジェリアの2024年の生産枠(138万バレル)は2023年の174万バレルから大幅に削減されることが決まっているが、足元の生産量はすでに枠の上限に迫っており、これ以上の減産には同意できない状況である。

アンゴラも状況は似ており、OPEC脱退も辞さないほど激しく反発していたという。

付記

減産に反発したアンゴラは12月21日にOPEC 脱退を決めた。「OPECにとどまっても何も得られない。自国の利益を守るために脱退を決断した」としている。

アンゴラの脱退によって、OPECの加盟国は12か国となる。

アンゴラの原油生産量は日量およそ110万バレルとOPECの中でのシェアは大きくないため、生産量全体への影響は限定的とみられる。

OPEC加盟国の推移

    加盟 離脱 再加盟 一時停止 加盟 脱退
イラク 中東 1960          
イラン 中東 1960          
クウェート 中東 1960          
サウジアラビア 中東 1960          
ベネズエラ  南米 1960          
カタール 中東 1961         2019/1
インドネシア アジア 1962 2009 2015

2016 減産不参加で停止 

リビア  アフリカ 1962          
UAE 中東 1967          
アルジェリア  アフリカ 1969          
ナイジェリア アフリカ 1971          
エクアドル 南米 1973 1993 2007     2020/1 
ガボン  アフリカ 1975 1994 2016      
アンゴラ  アフリカ 2007         2023/12
赤道ギニア アフリカ         2017  
コンゴ アフリカ         2018  
加盟国 14   14 -3 +3 -1 +2 -3 (12)

 

サウジアラビアの要請を受け、OPECプラス全体の協調減産が議論されたが、各国の足並みが整わず、見送りとなった。「減産で価格下支えを図りたいサウジアラビアなどと、今の価格で多く売りたい一部産油国の思惑のずれが大きい」とされる。


協調減産は見送りになったが、サウジアラビアなど有志国は現状の国際石油市場と原油価格の動向、今後の国際石油需給バランスの展望を踏まえ、2024年1〜3月期に日量計約220万バレルの自主減産を行うことを決めた。

220 万B/D 減産の内訳は次の通りで、減産は来年1月1日から3月末まで実施されることとなっている。

Saudi Arabia:1,000千バレル/日、Iraq:223千バレル/日、UAE:163千バレル/日、Kuwait:135千バレル/日、Kazakhstan:82千バレル/日、Algeria:51千バレル/日、Oman:42千バレル/日、合計 1,696千バレル/日

加えて、ロシアは2023年5〜6月の輸出水準から500千バレル/日分の輸出を削減する。内訳は原油が200千バレル、精製油が200千バレルとなっている。

合計で約220万バレル/日となる。

これはOPECプラスとしての発表ではなく、各国の個別の発表で、あくまで加盟国が自主的な取組みとして追加減産を行う意思を表明したものである。

また、4月以降は市場の状況を見据えつつ、徐々に自主減産量を縮小していく方向性も同時に示されている。

 

付記

OPECプラスは2024年3月3日、一部の国による自主減産の延長を決めた。サウジアラビアなどが実施している日量220万バレルの減産・輸出削減を6月末まで延ばし、ロシアはさらに47万バレルの生産を減らす。

Saudi Arabia:1,000千バレル/日、Iraq:220千バレル/日、UAE:163千バレル/日、Kuwait:135千バレル/日、Kazakhstan:82千バレル/日、Algeria:51千バレル/日、Oman:42千バレル/日、合計 1,693千バレル/日
ロシア 500    累計 2,193     + ロシア 471   再計 2,664

なお、OPECプラスは、産油国トップ10入りしているブラジル(生産量は日量約320万バレル)を加盟国として招待することを決めた。OPECプラスの減産をOPECプラスに属していない産油国の増産が打ち消す構図になっていることが背景にある。

ブラジルの鉱業・エネルギー相は、ブラジルが来年1月に協力憲章に参加すると述べた。憲章は全ての産油国に開かれているもので、加盟国に対する拘束力はなく、対話と意見交換のためのプラットフォームを提供するもの 。OPECプラスに参加することになったブラジルが協調減産に応じるかどうかも未知数である。

OPECとロシアなど11の非加盟の主要産油国(ロシア、メキシコ、オマーン、アゼルバイジャン、カザフスタン、バーレーン、ブルネイ、赤道ギニア、マレーシア、スーダン、南スーダン)は2016年12月10日、ウィーンのOPEC本部で閣僚会合を開き、協調減産で合意した。

ーーー

「OPECプラス」は2022年10月5日に閣僚級会合を開き、11月の日量200万バレル減産で合意した。

OPECプラスは新型コロナウイルス禍の2020年5月、世界需要の1割に当たる日量970万バレルの協調減産に踏み切った。その後、減産量を減らしてきて、9月には10万バレルの増産としたが、景気減速などで需要が減るとの見方が強まり、前回の9月会合で10月に日量10万バレル減産することを決めた。

当初、100万バレルの減産と噂されたが、一気に200万バレルとした。200万バレル減産は世界需要の2%に当たり、2020年の970万バレル減産以来の規模になる。

2022/10/6   OPECプラス、11月は日量200万バレル減産

OPECプラスは2023年4月2日、5月から日量115万バレルの減産を実施すると発表した。市場の安定を維持するために供給を据え置くとこれまで約束していたため、協調減産は意表を突く格好となった。ロシアが3月から単独で実施している減産を加えると、昨年末比で日量 165万バレルの減産となる。

2023/4/3 サウジ、日量50万バレルの減産を表明、クウェートやUAEも追随、OPECプラスとして昨年末比 165万バレル(計365万バレル)の減産 

「OPECプラス」は2023年6月4日、今後の原油の生産量を決める会合を開き、日量200万バレルの協調減産を2024年末まで延長することで合意した。

サウジアラビアは自主的に7月に日量100万バレルを追加で削減すると表明した。5月からの50万バレル減産に追加するもの。

2023/6/6 OPECプラス、協調減産を2024年まで延長

これらにより、現状は下記のとおりとなっている。

  2022/11
 協調減産
2023/5 2023/7  

2024/1-3

自主減産

自主減産

サウジアラビア OPEC+全体 500 +1,000 1,000
イラク 211   223
UAE 144   163
クウェート 128   135
カザフスタン 78   82
アルジェリア 48   51
オマーン 40   42
ガボン 8    
小計 1,157    
ロシア (輸出削減) 500   500
合計 2,000 1,657 2,657 2,196
総計 2,000 3,657 4,657  

2022 年11 月から実施されている 200 万B/D の協調減産は市場の状況に鑑み、2024 年末まで延長することが定まっていた。今回、それを確認した。

原油価格をさらに下支えするものとして、追加の自主減産が行われているが、自主減産の期間は 2023 年末までとなっており、その行方が市場関係者の注目するところとなっていた。


2023/12/4 米政府、EV税額控除で中国の影響排除

バイデン米大統領は2022年8月16日にインフレ対策法案:Inflation Reduction Act of 2022 に署名し、法案は成立した。大統領は「気候変動に関するこれまでで最大の前進だ」と強調した。

エネルギーコスト引き下げ、クリーンな生産、2030年までにカーボン排出の40%削減を狙い、3,690億ドルを投じる。

新法では、

低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。

既存のEV減税は適用対象を自動車メーカーごとに20万台と定めていたが、台数の上限を撤廃する。  

ただ、EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付けた。さらにEV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限する。世界シェアの高い中国製品をサプライチェーン(供給網)から排除する狙い。

2022/8/24 米「インフレ抑制法案」成立 電気自動車補助金で波紋 

IRAが成立して以来、米国のクリーン車両およびバッテリー供給チェーンにおいて約1,000億ドル近くの民間投資が発表されている。

ルールでは、2024年から対象のクリーン車両は「懸念される海外企業」(FEOC)が製造または組み立てたバッテリー部品を含んではならず、 2025年からは、「懸念される海外企業」が抽出、加工、またはリサイクルした重要鉱物を含んではならない。

しかし、この定義が明らかにされていなかった。

主な要件(控除額は個人の場合)  
税額控除額
価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 -
車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 -
電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること(日本については下の注を参照)
2023
2024
2025
2026
2027ー
40%
50%
60%
70%
80%

2025年からは、「懸念される海外企業」が抽出、加工、またはリサイクルした重要鉱物を含んではならない。

どちらか
必須
3,750ドル
電池用部品の50%が北米で製造されていること
2024-25
2026 
2027
2028 
2029-
60%
70%
80%
90%
100%

2024年から、「懸念される海外企業」が製造または組み立てたバッテリー部品を含んではならない。

3,750ドル

注)2023年3月28日に「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米重要鉱物サプライチェーン強化協定:日米CMA)が署名され、即日発効となった。米国は、同協定をインフレ抑制法(IRA)上のFTAとみなす。

 

「懸念される海外企業」の定義が明らかでなかったが、財務省は12月1日、「懸念される海外企業」と見なされるエンティティを定義する提案ガイダンスを公表した。
    https://public-inspection.federalregister.gov/2023-26513.pdf

それによると、「懸念される海外企業」は、懸念国(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)の企業 及びその企業が25%以上所有、またはコントロールする企業とされる。                   

In general, an entity incorporated in, headquartered in, or performing the relevant activities in a covered nation would be classified as a FEOC.
For purposes of these rules, an entity would be “owned by, controlled by, or subject to the direction” of another entity if 25 percent or more of the entity’s board seats, voting rights, or equity interest are cumulatively held by such other entity.

ライセンスその他の契約も"control" しているとみなされる可能性がある。
  In addition, licensing agreements or other contractual agreements may also create control.

バッテリー部品が条件を満たすかどうかは、該当する重要鉱物の抽出、加工、およびリサイクルのすべての段階のレビューによって決定される。

例えば、懸念外国法人でない企業によって抽出された鉱物が、懸念外国法人によって加工された場合、準拠していないと見なされる。

 

自動車メーカー各社は新ルールでどうなるか検討しているが、Fordは同社のMustang Mach-E EV が適用外になりそうだとしている。

 

Ford は2月13日、ミシガン州Marshall近郊に35億ドルを投じて電気自動車(EV)用のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池製造工場 BlueOval Battery Park Michigan を建設する計画を発表した。Fordの単独事業で、中国の大手電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)から技術のライセンス供与や技術支援を受ける。CATLは出資はしない。

2023/11/23 フォード、バッテリー工場計画を縮小

工場自体はフォードが全額出資で運営するため、フォードはこの工場でつくった電池を積むEVも税優遇の対象になりうるとしてきた。だが、今回の規制では、ライセンスその他の契約も"control" しているとみなされる可能性があり、そうなれば控除対象外となる。
コントロールの有無をどう政府当局が判断するかは不透明。

 

米政府は規制を巡り、1カ月程度、企業から要望を聞き取り、最終案を決める予定だが、野党・共和党は、今回のルール案にも「抜け穴が多い」として批判を強めており、最終案はさらに厳格になる可能性もある。

 


2023/12/5 米下院、刑事訴追の議員を除名

米連邦議会下院は12月1日、経歴詐称や選挙資金の不正利用などが指摘され、複数の刑事事件でも訴追されている共和党のGeorge Santos下院議員の除名処分を、超党派の賛成で可決した。

付記

10月に史上初めて下院議長職を解任されたマッカーシー下院議員(共和党)は12月6日、年末に議員を辞職すると表明した。共和党議員が2名減ることになる。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 105 206 311  
反対 111+本人 2 114  
棄権 5 5 10  

   合計

222 213 435 0
今後 220 213 433 2

下院による Santos 議員の除名決議はこれで3回目。

今回の下院の採決で超党派の311票が賛成し、初めて、憲法が議員除名に必要と規定する3分の2の賛成に達した。反対票は本人を含め114票だった。倫理委員会の調査で新たな窃盗などの疑惑が出てきたことを受け、過去に除名に反対してきた共和党議員の多くが賛成に回った。

米国憲法 第5条[議会手続]

[第2 項]両議院は、各々その議事規則を定め、秩序を乱した議員を懲罰し、3分の2の同意によって議員を除名することができる。

空席を埋める特別選挙は来年2月ごろに行われる見通し。

下院議員が除名となるのは2002年以来で、史上6人目。

過去に除名された5人のうち3人は、南北戦争で南軍を支持したのが理由だった。他の2人は、刑事事件で連邦法違反罪に問われて有罪判決を受けていた。

なお、上院は15人で、うち14人は南北戦争で南軍を支持。1人は土地投機にからみ、スペイン領であったフロリダとルイジアナを英領にすべく策略した件で1798年に議員として最初に除名。

 

Santos議員は2022年の中間選挙で、ニューヨーク州ロングアイランドから初当選した。しかし、当選後には複数の経歴詐称や詐欺疑惑が浮上した。

2022年11月の当選から間もなく、New York Timesが経歴詐称の疑惑を報道。議員は詐称を認めたが「犯罪者ではない」として当選を辞退しなかった。

これを機に、大学のバレーボールチームのチャンピオンであったとか、ゴールドマン・サックスやシティグループで働き、富を築いたとか、彼の母親が9/11のテロ攻撃でワールドトレードセンターにいたと主張するなど、数多くの誇大広告と事実に反する主張をしていたことが発覚した。

その後も、犬のブリーダーに対する詐欺行為など、議員に関する疑惑が相次いで明らかになった。

今年5月には、資金洗浄や公金横領など23件の犯罪について連邦検察に訴追された。本人は無罪を主張し、公判開始を控えている。司法取引を交わさずに有罪となった場合、約20年の実刑判決を受ける可能性がある。

11月に公開された下院倫理委員会の報告書では、「下院候補としてのあらゆる側面を自分個人の経済的利益のために」悪用したと断定された。倫理委は、美容目的のボトックス治療や私的なクレジットカード支払い、ポルノなどを含む有料コンテンツサイト「OnlyFans」の代金、ニューヨーク郊外のリゾート通いなどに、選挙資金を使っていたと結論した。

 


2023/12/6    Dow、CO2排出量実質ゼロに向けたエチレンプロジェクトの最終投資を決定

Dowは11月28日、カナダ・アルバータ州Fort Saskatchewanにおいて、世界初のScope 1 and 2 emission がネットゼロのエチレンクラッカーと誘導品工場を建設する「Path2Zero」(path to zero) プロジェクトへの最終投資を決定したと発表した。

Scope 1 は、燃料の燃焼や、製品の製造などを通じて企業・組織が「直接排出」するGreen House Gas
Scope 2 は他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで間接的に排出されるGreen House Gas

政府の補助金等を除き、65億ドルを投資するもので、エチレンクラッカーを新設、PEを200万トン増設するのに加え、既存の製造装置をネットゼロのスコープ1および2の排出量に改修することを含んでいる。この投資により、Dowの世界的なエチレン生産能力の20%を脱炭素化する見込み。

Dowによると、本プロジェクトに約15億ドルの補助金が国や地方政府から供与される見込み。

2024年に建設を開始する。2027年にエチレン、ポリエチレンの能力を1,285千トン/年増やし、2029年に更に600千トン増やす。

net-zero Scope 1 and 2 emissions の達成のため、Linde社の空気分離および自己熱改質技術を活用する。

エタンクラッカーのオフガスを水素に変換する。この水素は、炉へ供給されるクリーンな燃料として使用される。さらに、排出される二酸化炭素量が捕捉され、貯蔵される。既存の排出量を約100万トンCO2相当削減し、現地の新たな生産能力の追加によるすべての排出を抑制する。


2023/12/7 TOPPAN、JOLED能美事業所の土地・工場を購入、次世代半導体パッケージの開発・量産ラインを構築

TOPPANは11月28日、有機ELディスプレイ開発・製造のJOLEDから能美事業所の土地・建屋を購入する契約を締結した。

今後、購入した能美事業所で、主にデータセンターのサーバー向けや生成AI向けの需要増などでさらに伸長が期待できる高密度半導体パッケージであるFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)のさらなる高速伝送やチップレットに対応する次世代技術開発および量産ラインの構築を行い、2027年以降の稼働を予定している。TOPPANの手掛ける既存のエレクトロニクス製品の生産も検討している。

FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array) サブストレートは、LSIチップの高速化、多機能化を可能にする高密度半導体パッケージ基板で、TOPPANは、微細加工技術とビルドアップ配線板技術を独自に発展させた超高密度配線構造のサブストレートを開発、半導体プロセスの微細化に対応した製品を提供している。

PCやゲーム機向けのマイクロプロセッサやグラフィックプロセッサをはじめ、サーバー、AI、ネットワーク機器向けのハイエンドプロセッサ、高品質の車載用SoCなど、幅広い用途向けLSIの多彩な要求に対し、サブストレートの設計から製造まで顧客のニーズをトータルにサポートしている。

チップレットは、大規模な回路を複数の小さなチップに個片化して1つのパッケージに収める技術。

TOPPANは現在、新潟工場でFC-BGAの生産能力拡大を進めているが、旺盛な需要に対して将来的には新潟工場のみでは拡張余地がなく、新たな生産拠点の確保を検討していた。JOLED能美事業所は、次世代半導体パッケージの製造工程に求められる条件を満たしており、売買契約の締結となった。

ーーー

JOLEDは有機 EL ディスプレイの量産開発加速及び早期事業化を目的として、ソニー及びパナソニックの有機EL ディスプレイの開発部門を統合して、2015 年1 月に事業を開始した。

ジャパンディスプレイはJOLEDの設立時に株式15%を取得したが、2020年3月に全株式を譲渡し、現在は資本関係がない。

JOLEDは2019 年11月には、能美事業所において、世界初の印刷方式有機 EL ディスプレイ量産ラインの稼働を開始し、高性能・高品質な有機 ELディスプレイを、ハイエンドモニター、医療用モニター、車載向け等に生産するとともに、フレキシブルディスプレイやフォルダブルディスプレイの実用化に向けた研究開発も進めてきた。

しかしながら、安定した生産に想定以上のコスト・時間を要したほか、世界的な半導体不足による影響に加え、高性能・高品質ディスプレイ需要の伸び悩みや価格競争の激化により同社を取り巻く状況は厳しさを増した。

2020年6月、中国ハイテク企業TCL Tech傘下のディスプレイパネルメーカー、TCL華星光電技術(TCL CSOT)と資本業務提携契約を締結したが、収益が伸び悩むとともに、資金流出が続いた。

JOLEDの業績推移
  売上高 営業利益 純利益 利益剰余金
2018/3 5600万円 -149.19億円 -147.84億円  
2019/3 14.42億円 -247.53億円 -259.04億円  
2020/3 18.57億円 -284.07億円 -372.53億円  
2021/3 59.08億円 -310.65億円 -877.85億円  
2022/3 56.55億円 -211.18億円 -239.26億円 -1197.87億円

このまま自力で事業継続した場合、能美事業所や千葉事業所の撤退費用を捻出することも困難となるため、裁判所の関与の下で事業の再生を図ることがもっとも適切であると判断し、2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した。負債総額は約337億円。

JOLEDが培った有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーの技術や知的財産権はジャパンディスプレイが継承することなどで合意 、7月18日、10億円で取得した。

技術開発ビジネス事業については、ジャパンディスプレイの支援の下、再建を図る。

他方、製品ビジネス事業(製造・販売部門)についてはこれ以上継続することは困難であることから、能美事業所(石川県能美市)、千葉事業所(千葉県茂原市)は閉鎖し、同事業から撤退することとした。

2023/3/29 有機EL事業のJOLED、民事再生手続き

能美事業所は元々、ジャパンディスプレイ(JDI)の工場であったが、2017年2月に停止、2018年6月に産業革新機構が200億円で買収し、7月1日付でJOLEDに売却されたもの。

2018/4/3   ジャパンディスプレイ、550億円を調達 

今回、TOPPANがこれを購入した。買収額やその後の設備投資額は明らかにされていない。

ーーー

なお、JOLEDから有機EL事業を引き継いだジャパンディスプレイ(JDI)は、元々液晶パネルメーカーで、AppleのiPhone向けが中心だが、液晶パネルの販売不振で稼働が低迷し、債務超過となったが、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントの救済で累損を一掃した。

2022/1/14   JDI、減資で累損一掃

2023/4/13 ジャパンディスプレイ、世界第3位のディスプレイメーカー惠科股份(HKC)との戦略提携覚書締結 

 



2023/12/11 経産省、ロームと東芝デバイス&ストレージが共同で進める 「パワー半導体の供給確保計画」を助成

ローム鰍ニ東芝デバイス&ストレージが、共同で申請していたパワー半導体に関する製造連携及び量産投資計画が12月8日、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定された。
政府から最大1,294億円の支援を受ける見通し。

ロームがSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、
東芝デバイス&ストレージがSi(シリコン)パワー半導体
への投資を重点的に行うことで効率的に供給力を拡大しそれを相互に活用する製造に関する連携を行うもの。

SiCパワー半導体が2026年4月から年産72万枚(8インチ換算)、SiCウエハーが2025年1月から年産70.8万枚(8インチ換算)、シリコンパワー半導体が2025年3月から年産42万枚(12インチ換算)を予定している。

電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現に向けて必要不可欠であり、今後も継続的な需要拡大が見込まれている。
自動車向けにおいては、電動化が急速に進む中、より高効率で小型・軽量化された電動パワートレインシステムの開発が進んでいる。
また、産業機器向けにおいても、自動化・効率化の要請は強く、パワー半導体の安定供給に加えて、性能向上にも大きな期待が寄せられている。
 

ロームは、世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始して以来、常に業界をリードする技術開発を進めており、最新の第4世代SiC MOSFETは、数多くの電気自動車や産業機器等への採用が予定されている。また、急拡大するSiC需要に応えるため、生産能力増強に積極的かつ継続的な投資を計画する等、重点事業の一つとして取り組んでいる。

東芝デバイス&ストレージは、車載、産業向けを中心にSiパワー半導体を長年供給し、あらゆる電気機器の省エネ化・小型化に貢献してきた。昨年より300mmウエハを用いた生産を開始するとともに、引き続き旺盛な需要に応えるべくさらなる生産能力増強に取り組んでいる。
SiCパワー半導体についても研究開発を加速しており、鉄道向けで培ったノウハウを活用することによって、車載や送配電分野などに向けた製品ラインアップ拡充に努めている。

ロームは東芝の非公開化に際して3000億円を出資をしたことを公表しているが、これと関係なく、かねてよりパワー半導体事業における連携を検討しており、このたびの共同申請となったもの。ロームがSiCパワー半導体、東芝デバイス&ストレージがSiパワー半導体への投資を重点的に行い、相互に補完しあえる製造連携を加速することで、両社の国際的な競争力向上を目指すとともに、国内サプライチェーンの強靭化にも貢献する。

<認定された供給確保計画の概要>

SiCパワー半導体、Siパワー半導体及びSiCウエハの国内における生産能力の強化

  ローム 東芝 合計
事業者名 ローム、ラピスセミコンダクタ 東芝デバイス&ストレージ、加賀東芝エレクトロニクス  
事業総額 2,892億円 991億円 3,883億円
最大助成金額     1,294億円
(事業総額の1/3)
生産場所 宮崎県国富町
ラピスセミコンダクタ宮崎第二工場
石川県能美市
加賀東芝エレクトロニクス
 
主要製品 SiCウエハ 2025/1 70.8 万枚/年(8 インチ換算)
SiC パワー半導体  2026/4 72.0 万枚/年(8 インチ換算)
Siパワー半導体 2025/3 42.0 万枚/年(12 インチ換算)  
 

ロームは1958年設立の京都の半導体メーカー。

現在ではLSIをはじめ、ディスクリート半導体、光半導体、モジュール、バイオチップにいたるまでで、半導体製品を中心とした、さまざまな分野で開発、製造、販売をワールドワイドに展開している。

ラピスセミコンダクタについて

ラピステクノロジーはもともとOKIの半導体部門を源流としており、2008年にOKIセミコンダクタとしてロームグループの傘下に入った。
2011年にOKIセミコンダクタからラピスセミコンダクタへと社名変更をし、2020年に同社のLSI事業部門を切り出す形でラピステクノロジーが生まれた。

当時は商品企画、開発を担うラピステクノロジーと生産活動を担うラピスセミコンダクタそれぞれで専門性を生かすという目標を掲げていた。

ロームは2023年9月25日、100%子会社のラピステクノロジーを2024年4月1日に吸収合併することを発表した。

ロームは7月12日、出光興産子会社のソーラーフロンティアから、同社の国富工場の資産取得について基本合意し、11月に取得完了した。

今後、ローム製造子会社のラピスセミコンダクタの宮崎第二工場として整備、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の主力生産拠点として2024年度中の稼働を目指す。

8インチウエハーラインでSiC半導体を量産するほか、同サイズのウエハー基板も生産する。

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経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」の概要と、承認済みの計画(今回を含め18件)については下記を参照。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/semicon/index.html

これとは別に、特定半導体生産施設整備等計画認定制度があり、これまでTSMC、キオクシア、マイクロンメモリ(2件)が多額の助成金を認められている。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html

なお、次世代半導体の国産化をめざす共同出資会社「Rapidus」が北海道に建設する新工場に対しては、政府はポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択先として、2回計3300億円を補助している。

2023/4/26 政府、ラピダスに2600億円の追加補助


2023/12/13  住友化学、CO2からのメタノール製造のパイロットプラント完成

住友化学は12月12日、CO2からメタノールを高効率に製造する実証に向けたパイロット設備を愛媛工場に新設し、運転を開始したと発表した。NEDOのグリーンイノベーション基金事業の助成を受けて建設したもので、2028年までには実証を完了し、2030年代の事業化、および、他社へのライセンス供与を目指す。

メタノールは、合成樹脂や接着剤、薬品、塗料など化学品の基礎原料で、世界で年間約8,000万トンの需要があり、現在は、天然ガスや石炭ガスを主原料に、高温高圧下で複数の製造工程を経て生産されている。

天然ガス等の部分酸化で製造した一酸化炭素 (CO) に、酸化銅-酸化亜鉛/アルミナ複合酸化物を触媒として、50-100気圧、240-260℃で水素 (H2) を反応させる。
  CO + 2H2 → CH3OH                 

COの代わりにCO2からメタノールを効率的に合成するための触媒や製造技術の開発が行われてきた。しかし、従来のCO2からのメタノール製造には、大量のエネルギーが必要な「高温・高圧」反応条件が不可欠であり、可逆反応であることによる収率の低さや副生する水による触媒劣化といった課題があった。

住友化学は島根大学 総合理工学部の小俣光司教授が研究を進めてきた内部凝縮型反応器(Internal Condensation Reactor)に着目し、2020年9月に二酸化炭素からメタノールを実用化に見合うレベルで高効率に合成する共同研究を推進することとした。

島根大学は引き続き触媒とプロセスの基礎技術の開発を進め、住友化学はその基礎技術をもとに触媒とプロセスの工業化に取り組み、これらの問題を解決し、高効率なメタノールの合成反応の確立した。

既存技術では難しかった反応器内でのメタノールや水の凝縮分離が可能であり、これにより、収率の向上、設備の小型化、省エネルギー化につながるとともに、触媒劣化の抑制も期待できるとしている。

内部凝縮型反応器の原理

本技術の特徴

 反応器内で生成メタノールを分離 ⇒ 収率工場、設備小型化、省エネルギー化の実現

 副生する水の分離 ⇒ 触媒劣化の抑制

 

メタノールを、ごみの焼却処理により発生する二酸化炭素と再生可能エネルギー由来の水素を原料として合成すれば、温室効果ガス排出量の削減と有用な工業製品の生産を同時に達成することができる。

また、合成ガス(一酸化炭素、二酸化炭素および水素の混合ガス)からも製造ができるため、地域の使用済みプラスチックやバイオマス資源を合成ガスに変換し、この合成ガスを原料としてメタノールを得ることで、炭素循環の実現が可能となる。

 


2023/12/14 経産省、洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表

経済産業省は12月13日、国が指定した秋田・新潟・長崎の3海域で洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表した。

公募された海域は再エネ海域利用法で促進区域に指定しており、事業者は最大30年間占有できる。今回は2021年末の初回に続く第2弾となる。

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2022年に国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題になった。

日本で洋上風力発電の導入が進んでいなかったのは、@海域の占用に関する統一的なルールがない、A先行利用者との調整の枠組みが存在しないのが問題である。

これらの課題の解決に向け、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(「再エネ海域利用法」)が成立、2019年4月に施行された。選ばれた事業者はその区域内で最大30年間の占用許可を得る。 

促進区域に5か所が指定され、それぞれ入札により4か所の事業者が選定された。 

      選定事業者
促進地域 @長崎県五島市沖 1.7万kw 戸田建設グループ
A秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 47.88万kw 三菱商事連合 @13.26 (次点 @18.18)
B秋田県由利本荘市沖 81.9万kw 三菱商事連合 @11.99 (次点 @17.00)
C千葉県銚子市沖 39.06万kw 三菱商事連合 @16.49 (次点 @22.59)
D秋田県八峰町・能代市沖    
有望な区域 E長崎県西海市江島沖   2022/9/30 「促進区域」に指定
F青森県沖日本海(南側)    
G青森県沖日本海(北側)    
H秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖   2022/9/30 「促進区域」に指定
I山形県遊佐町沖    
J新潟県村上市及び胎内市沖   2022/9/30「促進区域」に指定
K千葉県いすみ市沖    

A〜Cの公募入札で2021年12月、三菱商事を中心とする企業連合がすべてを勝ち取った。上の表のとおり、最安値は11.99円/kWhで、次点とは5円程度の差があった。

小泉進次郎前環境相は「運転開始時期が早いことはどのくらい評価されたのか」と疑問をぶつけた。2月3日の自民党の会合で河野太郎前規制改革相が「明らかに配点がおかしい」と経済産業省幹部に詰め寄った。

経済産業省は2022年3月18日、洋上風力発電の事業者を公募する際の審査基準を見直す方針を発表した。ウクライナ危機を受け、国産エネルギーの導入を加速する必要があると判断し、早期に稼働できることを重視する方向で検討した。

2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に     

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今回の公募結果は下記の通り。

  事業者 発電設備 運転開始
秋田県八峰町及び能代市沖 (下記)    
長崎県西海市江島沖 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 42.0万kW (1.5万kW×28基、Vestas製) 2029年8月
秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 31.5万kW (1.5万kW×21基、Vestas製) 2028年6月
新潟県村上市及び胎内市沖 三井物産、RWE Offshore Wind Japan 、
大阪瓦斯
68.4万kW (1.8万kW×38基、GE製) 2029年6月

秋田県八峰町及び能代市沖については、最も評価の高かった事業者に再提出させ、第三者委員会における評価等を経て、2024年3月に選定結果を公表する。

各件についての「非選定事業者名」や「事業実現性評価点」の詳細な点数内訳及び講評等については、「秋田県八峰町及び能代市沖」と合わせ、2024年3月に公表する。

 

なお、秋本真利衆議院議員が9月7日、洋上風力発電の入札制度を巡って風力発電会社「日本風力開発」の塚脇正幸社長(当時)から収賄し、その見返りに便宜を図ったという容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

入札制度の変更にあたって、秋本議員が塚脇社長から収賄し、その見返りとして国会で質問をするなどして、日本風力開発に有利な制度になるよう活動したのではないか、という容疑である。

 

付記

評価の方法は、「価格点(120点満点)」と「事業実現性評価点(120点満点)」の合計で最高点だった事業者が落札者となる。

秋田県の「八峰町・能代市沖」と「男鹿市・潟上市・秋田市沖」、新潟県の「村上市・胎内市沖」の入札上限価格を19円/kWh
長崎県の「西海市江島沖」の上限価格を29円/kWhに設定していた。

「ゼロプレミアム水準」を3円/kWhとし、3円以下の価格はすべて価格点を満点(120点)とする。

「長崎県西海市江島沖」では、2事業者が入札に参加し、落札した事業者の価格が22.18円/kWhでもう1つの事業者よりも安く価格点で120点を獲得した一方、事業実現性評価点ではもう1つの事業者の方が高かった。結果的に価格点の差の方が大きかったため、住友商事、東京電力リニューアブルパワーのコンソーシアムが落札した。

「男鹿市、潟上市及び秋田市沖」では、3事業者が入札に参加し、価格はいずれも「ゼロプレミアム水準」で差が付かず、事業実現性評価点で最も高く運開時期が早かったJERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力のコンソーシアムが落札した。

「新潟県村上市及び胎内市沖」では、4事業者が参加し、そのうち3事業者の価格が「ゼロプレミアム水準」で差が付かず、事業実現性評価点で最も高く運開時期が早かった三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪ガスのコンソーシアムが落札した。

https://www.meti.go.jp/press/2023/12/20231213003/20231213003-1.pdf


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