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2023/12/15 韓国、オランダと「半導体同盟」、サムスン電子とASMLが韓国に最先端半導体研究施設建設

オランダを国賓として訪問している尹錫悦大統領は12月13日、ルッテ首相と会談し、「半導体同盟」を決めた。

経済安保分野である半導体問題で平常時には緊密に協力し、供給網危機時には共同対応に出る。両国政府は半導体対話チャンネルを新設し、核心品目供給網協議体構成を推進する。 「半導体バリューチェーンにおいて両国の特別な相互補完的関係を認識し、政府・企業・大学を合わせた半導体同盟構築に対する意志を再確認した」。これを実現するため産業当局間の半導体対話を新設し、半導体分野の人材育成プログラムを開設することにした。

合計20項目で構成された「韓国政府とオランダ政府間共同声明」には半導体分野のほかに外交・安保分野と新技術開発に向けた協力案が盛り込まれた。

 

尹錫悦大統領は12月12日、訪問先のオランダで半導体製造装置大手ASMLの本社を訪れ、次世代EUV装置の製造現場を見学した。

サムスン電子とASMLは12月13日、総額7億ユーロ(約1兆ウォン)を投じて次世代半導体製造技術を研究する「韓国・オランダ 先端半導体アカデミー」を設立し共同運営することにしたと明らかにした。

京畿道華城(キョンギド・ファソン)の東灘(トンタン)先端産業団地近くに作られる。ASMLが半導体メーカーと海外に研究開発センターを設立するのは今回が初めて。今後5年間、先端半導体分野の高級人材500人を養成する予定。

サムスン電子は「ASMLとの協力強化は欧州の半導体バリューチェーン強化と世界的供給網安定性に大きく寄与するだろう」と述べた。

研究センターは次世代極端紫外線(EUV)技術をベースに超微細製造工程とそれに必要な露光装備を開発するのが主目的。ASMLが世界で唯一生産するEUVV露光装備は半導体ウエハーに回路を描く核心装備で、半導体は回路線幅が微細なほど性能が高まるため、EUV装備は7ナノメートル以下の微細回路の実現に必須である

DRAMの14ナノ工程からは歩留まりと生産単価などの問題でEUV使用が必須であり、最近ではEUVは最先端メモリー(DRAM)工程の核心に浮上している。サムスン電子は「今回の協力を通じて最先端メモリー開発に必要な次世代EUV量産技術を早期に確保し、『メモリー超格差』を通じて30年間守ってきたメモリー世界1位の座をしっかり守っていく計画」と明らかにした。

 

この日SK HynixもASMLと、EUV工程で電力使用量と炭素排出を減らす技術を共同開発することにした。

現代自動車は車載用半導体市場シェア2位であるオランダ企業NXPなどと協力することにした。


2023/12/15   ネイチャー誌の「2023年に科学分野で話題になった今年の10人」に大阪大学の林克彦教授

英科学誌ネイチャーは12月14日、2023年に科学分野で話題になった今年の10人に大阪大学の林克彦教授らを選んだと発表した。

林教授は雄マウスの細胞から卵子をつくり、子どもを誕生させることに成功した。同誌は絶滅危惧種の保全に役立つ可能性がある「驚異的な成果」と評価した。

林教授らは2023年3月、哺乳類である雄マウスのiPS細胞から世界で初めて卵子をつくった研究成果を発表した。卵子を受精させ、雄の細胞だけで子どもの誕生にも成功した。


チームは、雄 (性染色体 XY) のマウスの尾から細胞を採取し、それらを幹細胞に変換した。

この過程で、そのような細胞の約3%が自然にY染色体を失う。

これらのYを持たない細胞を分離し、細胞分裂中にエラーを引き起こす化学物質で処理した。これらのエラーのいくつかは、X染色体を重複させた細胞を生じさせ (性染色体 XX) 、事実上、それらを雌性細胞にした。

チームはこれらの卵子を受精させ、その結果得られた胚を雌のマウスに移植した。630回の胚移植からわずか7匹の生きた子が生まれた。


現在、マウスでの作業を他の動物、北白毛のサイ(northern white rhinoceros:Ceratotherium simum cottoni) に適用しようとしている。現在知られている北白毛のサイはたった2匹しかおらず、その両方が雌で、このままでは絶滅する。うまくいけば、絶滅系統を保存する方法となり得るが、ラボでサイの精子や卵を育てることは、マウスよりもはるかに難しいとしている。

「今年の10人」は、下記参照
  
https://www.nature.com/immersive/d41586-023-03919-1/index.html

 


2023/12/18  東京ガス、米の天然ガス開発・生産事業会社「Rockcliff Energy II」の全株式取得

東京ガスは12月16日、100%子会社の東京ガスアメリカが出資するTG Natural Resources LLCを通じて、Quantum Energy Partnersが出資する米国テキサス州・ルイジアナ州における天然ガス開発・生産事業会社 Rockcliff Energy II LLCの全株式を取得することを決定した。2023年12月29日に約2,700百万米ドル(約4,050億円)で取得完了予定。

買収資金は協議中だとしたうえで「Rockcliffの持つローンを引き継いだり担保付きの融資を受けるなど、キャッシュと併せて最適な組み合わせを考えていく」としている。
 

東京ガスは2017年5月、テキサス州においてガス等の開発を行うためにCastleton Commodities International が設立したCastleton Resources の株式30%を取得し、米国でのガス開発事業の権益を保有することとなった。

Castleton Resourcesは、テキサス州東テキサスに約660km2の鉱区を保有しており、ヘインズビル層におけるシェールガス開発事業や、コットンバレー層におけるタイトサンドガス開発事業等を、傘下の操業会社を通じて行っている。

 

東京ガスは2020年7月29日、Castleton Resourcesがルイジアナ州で新たなガス田権益を取得するにあたり、同社が実施する増資を引き受け、出資比率を46%から70%超に引き上げ子会社化することを決定した。
 

子会社化にともないCastleton Resources の社名を2021年3月に「TG Natural Resources LLC」に改称した。

 

その後、出資比率を約93%とした。

 

今回の株式取得により、TG Natural Resourcesが保有する天然ガスおよび天然ガス液の生産量は、約330百万立方フィート/日(約9.3百万m3/日、天然ガス相当量)から約4倍の約1,300百万立方フィート/日(約37百万m3/日、天然ガス相当量)、保有エリアの面積は約1,540km2(東京都の約7割)となり、米国テキサス州・ルイジアナ州有数の事業規模となる。

東京ガスグループは、中期経営計画「Compass Transformation 23-25」において、北米でのシェールガス事業の拡大を掲げており、今回の株式取得により海外における収益基盤の構築を見込んでいる。

 

石油やガスへの底堅い需要が見込まれる中、エネルギー業界ではコロナ禍後の資源価格上昇で潤沢な資金を抱える大手企業によるM&Aが活発化している。

2023/5/25     Chevron、米シェール会社 PDC Energy を買収

2023/10/17 Exxon Mobil、米シェール大手Pioneer Natural Resources を595億ドルで買収合意 

 


2023/12/19 ドイツのEV補助金、1年前倒しで停止 

ドイツ政府は気候変動対策として2030年までに1500万台のEV普及を掲げ、2016年からEVの新車購入補助制度を始めた。これまでに210万台のEVに対し、100億ユーロ(約1兆5500億円)の補助金を支払った。

政府は11月27日、気候変動対策などに使う基金を大幅に減らし、インフレ対策などにあてる基金を今年末で廃止すると発表した。電気自動車(EV)の購入時に支給する補助金を停止する。

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ドイツ連邦経済・気候保護省は2022年12月9日、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)の新車購入時の補助金「環境ボーナス」制度の2023年以降の変更内容を正式発表した。今回の変更は2023年1月から適用、補助制度は2024年12月末で終了する。ただし、2023年以降は補助金財源がなくなり次第、支給終了となる。

PHEVへの補助金支給額はそれまで、(1)の場合は連邦政府支給分4,500ユーロ(これに自動車メーカー負担分2,250ユーロが加算され、総額6,750ユーロ)、(2)の場合は連邦政府支給分3,750ユーロ(同じく自動車メーカー負担分1,875ユーロが加算され総額5,625ユーロ)であった。

BEVとFCEVについては、連邦政府分の補助額を2023年1月から、(1)車体価格が4万ユーロ以下の場合は4,500ユーロ(それまでは6,000ユーロ)、(2)車体価格が4万ユーロ超6万5,000ユーロ以下の場合は3,000ユーロ(同5,000ユーロ)に減らす。

2024年1月からは、車体価格4万5,000ユーロ以下の車両に対してのみ、3,000ユーロを助成する。さらに、当初方針どおり、2023年9月から助成対象者を個人に限定し、企業などへの購入助成は終了するほか、これまで6カ月だった最低保有期間を2023年1月から12カ月に変更する。

また、それまでの制度では、自動車メーカーが連邦政府助成分の半分に相当する額を負担しており、このメーカー加算は継続する。例えば、2023年1月に車体価格が4万ユーロ以下のBEVを購入した場合、連邦政府助成分4,500ユーロに、メーカー負担分2,250ユーロが加算され、総額6,750ユーロが助成される。

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2022年12月の発表では、「補助制度は2024年12月末で終了する。ただし、2023年以降は補助金財源がなくなり次第、支給終了となる」としていたが、新型コロナウイルス対策で使わなかった過去の予算の転用が違憲となり、補助金を捻出できなくなった。

独憲法裁判所は11月15日、2021年度予算でコロナ禍の対応で借り入れた未使用の600億ユーロ(約9.8兆円)を気候変動対策などの基金に回した2022年の補正予算が、憲法に相当する基本法に違反すると判断した。

裁判長は、「ショルツ政権がコロナ・パンデミック対策予算のうち余った600億ユーロの国債発行権を、無関係の特別予算『気候保護・エネルギー転換基金』(KTF)に流用したのは憲法違反で、ショルツ政権が2022年初めに成立させた2021年度の2回目の補正予算は無効」とした。

判決の背景にあるのは、憲法(基本法)第109条の財政規律ルール「債務ブレーキ」。2009年に連邦議会で可決されたこの制度によって、連邦政府は2016年以来、GDPの0.35%を超える財政赤字を禁止されている。この債務ブレーキが一因となって、ドイツは2014年以来6年間財政黒字を記録した。

だが2020年にはコロナ・パンデミック、2022年にはロシアのウクライナ侵攻という未曽有の事態が発生した。憲法によると、自然災害や深刻な不況など政府がコントロールできない異常事態には、債務ブレーキの適用を一時的に停止することができる。

このため連邦議会は、2020〜2022年の3年間については、債務ブレーキを停止した。ドイツ政府は2020年3月、コロナ対策費用として、経済安定化基金(WSF)を創設し、2000億ユーロの資金を国債発行によって追加的に調達できることになった。

ショルツ政権は2021年にコロナ対策に充てられる予定だった経済安定化基金の予算のうち、600億ユーロの国債発行権が使われずに残っていたことに気付き、余った600億ユーロの国債発行権を、経済グリーン化を主目的とする『気候保護・エネルギー転換基金』に流用させた。さらに債務ブレーキの適用を免除した年度が終わった後にも、政府が追加的に国債を発行できるように規則を変更した。

憲法裁判所は、ショルツ政権がコロナ対策に充てるはずだった国債発行権を、経済のグリーン化という全く違う用途に流用する際に、その理由を十分に開示しなかったことや、債務ブレーキが免除された会計年度が終わっても、特別予算を理由にして新たな借金をできるようにした点を違憲と認定した。

『気候保護・エネルギー転換基金』からの助成が予定されていたプロジェクトは、ほかに、産業界の脱炭素化(230億ユーロ)、鉄道インフラの整備(125億ユーロ)、外国の半導体工場の誘致のための補助金(72億ユーロ)など多岐にわたる。

このため同基金を活用していたEV購入補助についても「できるだけ早く終了する」となり、独経済・輸出管理局は12月16日、EV購入補助金の申請が17日以降できなくなると発表した。

今回は補助金停止の事前告知がなかったため、大きな駆け込み需要が起きない。

フランス政府も12月15日から中国などアジアで生産し輸入するEVについて新たに補助金の対象外とすると発表した。テスラやルノーの人気車種に、5000〜7000ユーロの補助金がつかなくなる。

これまでフランスでは、どのEVを購入する場合でも、カーユーザーに対して一律の補助金を給付してきた。しかし10月10日に、EVの購入補助金の額を、生産から流通、登録に至るまでに生じる温室効果ガスの排出量に応じて決めるように制度を変更した。

仏政府は12月14日、電気自動車(EV)販売の補助金(1台当たり5000〜7000ユーロ)支給の対象となる車種を発表した。部材の生産や車両の組み立て、輸送などの過程で生じる二酸化炭素量に応じた「環境スコア」を算定し、規定に満たない車種は12月15日以降に支給の対象外とする。

2023年の仏国内販売上位10車種のうち、対象外となったのは中国で生産する米テスラのモデル3、ルノーの「ダチア・スプリング」、中国の上海汽車集団が生産する英MGモーターの「MG4」。いずれも中国などで生産するアジア製で、これまで補助金の支給対象だった。同じテスラ車でも、ベルリンで生産するモデルYは引き続き支給対象となった。

新制度は石炭火力発電が多く、輸送距離も長いアジア製の車種が不利になるため、中国や韓国などの自動車生産国は反発していた。

ルメール経済・財務相は「これまで数億ユーロの公的資金が炭素排出量が非常に大きい車種に流れていた」と指摘し、制度改定の意義を強調した。

EVはエンジン車と比べ5割程度価格が高い。EU域内で1、2番目に大きな自動車市場である独仏が相次ぎ補助金を停止・縮小したことで、EUが政策として進めるEVシフトにブレーキがかかる可能性がある。


2023/12/20 日本製鉄、USスチールを買収 

日本製鉄は12月18日、米国の高炉・電炉一貫の鉄鋼メーカーである United States Steel Corporation(U. S. Steel)を買収することを決定したと発表した。

本買収は、買収のために設立した子会社と U. S. Steel とを合併する方法(逆三角合併)により実行する。

U. S. Steel の発行済株式が合併対価(1株当たり 55 米ドル)を受領することができる権利に転換されて消滅し、それと同時に本買収のために設立した子会社の発行済株式が U. S. Steel の株式に転換されることにより、U. S. Steel は 日本製鉄の完全子会社となる。

合意した取得価格(1株当たり 55 米ドル)は U. S. Steel 株式の 2023 年12 月15 日の終値(39.33 米ドル)に対して 40%のプレミアムを加えた価格となる。

US Steel の株価は8月上旬から急騰している。

8月13日に US Steel は北米におけるフラットロール鋼の生産者で鉄鉱石ペレットの製造業者でもあるCleveland-Cliffsの買収提案を拒否した。

Cleveland-Cliffsは1株当たり、現金17.50ドルと自社株1.023株での買収を提案した。1株あたり32.53ドルに相当、合計72億5000万ドルとなる。11日終値である22.72ドルを43%上回る。

日本製鉄の買値の55ドルは、この時点での株価22.72ドルの2.4倍という高値である。発表後の18日終値は49.59ドルで、買収提案額に届かなかった。

Cleveland-Cliffs 提案の買収額 72億5000万ドルに対し、日本製鉄の買収総額は2倍弱の141億26百万ドル(約2兆100億円)で、負債込みの企業価値は148億68百万ドル。

この資金調達については、主として主要取引銀行からの借入金で対応する予定。

なお、バイデン政権は大企業のM&Aを厳しく審査する姿勢を示しており、承認されるかどうか懸念される。


付記

米ホワイトハウスは12月21日、日本製鉄によるUSスチール買収を巡り、安全保障上の観点から認可するか精査すると発表した。国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は声明で「たとえ緊密な同盟国からの買収であっても、真剣な精査に値するとバイデン大統領は考えている」と述べた。

付記

トランプ前大統領は2024年1月31日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収を巡り「私なら瞬時に阻止する。絶対にだ」と発言した。

トランプ氏は大統領在任当時、鉄鋼輸入に25%、アルミニウム輸入に10%の追加関税を課し、国家安全保障上の懸念に言及するとともに、米国内の生産を押し上げるためこうした措置が必要だと主張した。

今回、「われわれは鉄鋼産業を救った。今、USスチールは日本に買収されようとしている。とてもひどいことだが、われわれは雇用を米国に取り戻したい」と語った。

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U. S. Steel は、粗鋼生産量米国有数の高炉・電炉一貫鉄鋼メーカーで、自動車・家電・建材用途等の薄板、エネルギー分野用途の鋼管等を、米国と欧州(スロバキア)で製造・販売して いる。粗鋼生産能力は約 20 百万トンで、競争力ある高炉一貫製鉄所に加え、高級鋼の生産が可能な先端的な電炉ミニミル、北米生産拠点で使用する鉄鉱石を自給できる鉄鉱石鉱山などの有用な資産を保有して いる。

また、電炉ミニミルの能力増強、電炉の原料となる直接還元鉄用ペレット製造設備の新設等、カーボンニュートラル化にも資する成長投資を行って いる。

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日本製鉄はグループとして「グローバル粗鋼1億トン体制」を目指している。一貫生産体制の拡大に当たっては、買収・資本参加等による一貫製鉄所の取得、既存拠点の能力拡張を基本戦略としており、2019 年12 月にインドの Essar Steel India Limited(現 AM/NS India)、 2022 年3月にタイの G Steel・GJ Steel を買収した。

今回の買収は、日本製鉄の海外事業戦略に合致するだけなく、規模及び成長率が世界的に見ても大きいインド、ASEANに加えて、先進国である米国に鉄源一貫製鉄所を持つことによるグローバル事業拠点の多様化の観点からも、大きな意義のある投資と判断した。今後、この3つのグローバル重点拠点の拡張・充実により、企業価値の更なる向上を目指す。

本買収により、同社グループのグローバル粗鋼生産能力(30%以上出資先の公称能力単純合計)は約 86 百万トンまで拡大し、更なる広がりを持つことになる。


2023/12/22 元徴用工訴訟、日本企業の賠償命令確定

戦時中に日本本土で働かされた韓国の元徴用工7人が日本製鉄(旧新日鉄住金)を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、韓国大法院(最高裁)は12月21日、同社に賠償を命じた高裁判決を支持し、原告の勝訴が確定した。

女子勤労挺身隊として動員された韓国人3人と遺族1人が三菱重工業へ損害賠償を求めた訴訟も、賠償を命じた判決が確定した。

一、二審では原告が製鉄所や飛行機工場で過酷な労働を強いられたことを認め、元徴用工に対して1人当たり1億ウォン(約1100万円)、元挺身隊員には1人当たり1億〜1億5千万ウォン(約1650万円)の賠償を命じ、日本企業側が上告していた。
今回の裁判の元徴用工や元挺身隊員はいずれも故人となり、遺族らが裁判を引き継いでいる。

日本政府は元徴用工の補償問題は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決したとの立場をとる。しかし、韓国大法院は2012年に「植民地支配に関わる不法行為の損害賠償については請求できる」との解釈を提示した。

韓国大法院は2018年10月、日本製鉄強制徴用の被害者が出した損害賠償訴訟で被害者の勝訴を確定した。日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し、戦時中に日本の工場に動員された4人の韓国の元労働者に1人あたり約1000万円の賠償を命じた。

大法院判決(11対2の決定)は、戦時中に行われた日本統治下の朝鮮半島から日本本土の工場などへの動員は「日本政府の不法な植民地支配や、侵略戦争の遂行と結びついた日本企業の反人道的な不法行為」と認定していた。

原告側は2019年1月と3月の2回にわたり、日本製鉄とPOSCOのJVのPOSCO-NIPPON STEEL RHF JV の株式9億7300万ウォン(約8700万円)相当を差し押さえた。

大邱地裁浦項支部は2021年12月30日、日本製鉄が韓国内に所有する資産、POSCOとの合弁会社「PNR」の株式の売却命令を出した。

韓国大法院は2018年11月29日、三菱重工業に対し、第2次世界大戦中に同社の軍需工場で労働を強制された韓国人の元徴用工らに対する賠償支払いを命じる判決を下した。

1件は、元女子勤労挺身隊員の女性4人と親族1人に対し、それぞれ最大で1億5000万ウォン(約1500万円)の賠償を命じた。この女性らは1944年、名古屋市にあった三菱重工の航空機製作工場で、無償労働を強制されたと話している。
もう1件の訴訟では、原告6人(うち生存者2人)にそれぞれ8000万ウォン(約800万円)の賠償支払いが命じられた。

韓国の大田地裁は2019年3月25日、三菱重工業の商標権2件と、三菱重工業が韓国国内に保有中の770件余りの特許権のうち 発電技術特許などの特許権6件の差し押さえを決定した。

韓国大法院は2022年8月にも三菱重工業が韓国国内にもつ資産の売却命令を確定させる予定であったが、(恐らく韓国政府の介入で)最終判断をしないまま、現在に至っている。

元徴用工や元挺身隊員をめぐる大法院判決は2018年以来5年ぶり。  韓国最高裁では元徴用工や元挺身隊員を巡り、今回の2件を含め9件の訴訟が係争中。最高裁は今月28日、三菱重工を訴えた2件、日立造船を訴えた1件についても判決を言い渡す。

付記

戦時中に強制労働させられたとして元徴用工と元挺身隊員が起こした裁判で、韓国の最高裁は12月28日、三菱重工業を訴えた2件、日立造船を訴えた1件についてそれぞれ上告を棄却し、企業に賠償を命じた2審判決が確定した。


付記

日立造船の敗訴が確定した訴訟で、同社が2019年に賠償金相当額を「供託」していたことが判明した。

同社は2審で敗訴した直後の2019年1月に「強制執行を防ぐため」として、6000万ウォン(約660万円)を韓国の裁判所に供託した。

原告側は訴訟の賠償金として供託金を受け取る手続きを行う方針。

供託金を原告側が受けとれば、日立造船が賠償金を支払ったことになる。

付記

ソウル中央地裁は2024年1月23日、日立造船被害者のLさん側が供託金を賠償金として受け取るために申し立てていた差押取立命令の申立てを認めた。

韓国最高裁は2024年1月11日、戦時中に八幡製鉄所(現在の北九州市)で強制労働させられたとする元徴用工の遺族らが日本製鉄(旧新日鉄住金)を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、日本製鉄の上告を棄却、約1億ウォン(1100万円)の賠償を命じる判決が確定した。2023年12月以降、最高裁の判断が下るのは3回目で、いずれも日本側が敗訴している。

ーーー

韓国の朴振外相は2023年3月6日、元徴用工問題の解決策を正式に発表した。韓国最高裁が日本企業に命じた賠償金の支払いを韓国の財団が肩代わりする。

骨子:

・ 韓国政府傘下の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が原告に判決金相当の金額を支払う。

新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業を相手取った3件の訴訟で判決が確定している。韓国外務省によると賠償対象となる元徴用工は故人を含め15人いる。

聯合ニュースによると15人分の判決金と利子の総額は40億ウォン(約4億円)規模になる。遺族を含む原告に支給する。

・ 係争中の訴訟も、原告の勝訴が確定した場合は財団から支給する。

韓国の裁判所では、元徴用工らが日本企業に賠償などを求めた同様の訴訟が多数、係争中。

・ 肩代わりの財源は民間の自発的貢献により調達

1965年の日韓請求権・経済協力協定に基づく日本の経済協力で恩恵を受けた韓国鉄鋼大手ポスコなどが想定されている。

付記 韓国鉄鋼大手ポスコは3月15日、元徴用工を支援する韓国政府傘下の財団に40億ウォン(4.1億円)を拠出すると表明した。

被告の日本企業の資金拠出は前提としていない。日本政府は、元徴用工問題は1965年の協定で最終的に解決済みとの立場で一貫し、大法院判決は国家間の約束を覆す「国際法違反」と主張してきた。被告の日本企業の拠出がなければ、日本側も受け入れが可能となる。

別途、経団連と、韓国側のパートナーとなる全国経済人連合会は共同で「未来青年基金」(仮称)を設立する予定で、基金は留学生への奨学金支給など若者世代の交流増進に活用されるという。

・ 原告に判決金の受け取りに理解・同意を求める努力を継続する。

・ 歴史問題の真の解決に向けた研究と、未来世代に対する教育を強化

朴外相は「膠着した日韓関係をこれ以上放置せず、国益の次元で悪循環の輪を断ち切る」と話した。「これが最後の機会だと思う」と強調した。小渕恵三首相と金大中大統領による1998年の日韓共同宣言を「発展的に継承する」と言及した。

日本側には「日本政府の包括的な謝罪、日本企業の自発的な寄与で呼応することを期待する」と求めた。経団連と韓国の全国経済人連合会(全経連)による共同事業を念頭に「両国の経済界の自発的な寄与を検討中と聞いている。日本政府も反対しないという立場と理解している」と明らかにした。

2023/3/9 韓国、元徴用工解決策を発表 (過去の経緯も)

韓国政府は上記に基づき、政府傘下の財団が賠償金相当額を支払う「第三者弁済方式」による手続きを進めている。但し、一部の原告は政府案を拒否している。

今回勝訴が確定した原告らに対しても適用する方針とされる。



2023/12/23 経産省、サムスン電子の横浜の研究開発拠点に200億円の補助金 

横浜市経済局企業誘致・立地課は12月21日、Samsung Electronicsが横浜市西区の「みなとみらい21地区」に半導体の次世代パッケージング技術の研究拠点「Advanced Package Lab」を新設すると発表した。

Samsungの投資規模は今後5年間で400億円(約3500億ウォン)を上回ると予想され、政府がその半分、最大200億円の助成金を支給する。

Advanced Package Labは、合計2000坪の土地に、技術研究ができる施設やオフィスなどを構え、2024年度に開設する予定。研究開発の概要として、「先端パッケージ技術は、半導体業界が迎えつつある微細化の限界を突破するための方法の一つとして注目されている。異なる半導体を水平および垂直につなげるヘテロジニアスインテグレーションを使い、小さなパッケージによりたくさんのトランジスタを集積し、1つのパッケージにさまざまな機能を実装できるようにする」どと説明している。

「横浜はパッケージ関連企業が多く、優秀な大学と人材もあるため、業界、大学、研究機関などと協力するのに適した場所の一つだ」としている。


経産省は同日、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業の開発テーマ「高性能コンピューティング向け実装技術」に関して、採択審査委員会での審査を経て、日本サムスンを採択先として決定したと発表した。

日本サムスンの採択事業テーマは「高性能大面積3.xDチップレット技術の研究開発」で、ポスト5G情報通信システムを支えるHPC(高性能コンピューティング)/AI(人工知能)用プロセッサ向けチップレットモジュールに関し、処理性能向上のためのさらなる高集積化とチップ間データ転送帯域の向上、大面積化と製造性の向上によるコストダウンおよび電源の安定供給の実現を目的に、2.xD/3Dを組み合わせた「3.xDチップレット技術」を開発するとしている。

この開発目的達成のため、同社は専用のパイロットラインを構築。チップを効率良く3Dに実装する技術「ファインピッチChip to Waferボンディング」、より多くのチップを集積させるための大型化技術「高機能大面積樹脂インターポーザ」、大型化しても反りを抑えて製造性を維持するための技術「大面積サブストレートの微細フリップチップ実装技術」、異種多チップモジュール内でも安定した電源を供給する技術「電源特性向上技術」の研究開発を、日本国内の材料/装置メーカーと連携を図りながら行っていく方針。

経産省は最大で2分の1を補助する。半導体支援のために用意した「ポスト5G基金」から拠出する。

次世代半導体の国産化をめざす共同出資会社「Rapidus」が北海道に建設する新工場に対しては、政府はポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択先として、2回計3300億円を補助している。

2023/4/26 政府、ラピダスに2600億円の追加補助

他に、半導体支援として下記の2つがある。

1) 経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」 概要と、承認済みの計画(今回を含め18件)

2) 特定半導体生産施設整備等計画認定制度があり、これまでTSMC、キオクシア、マイクロンメモリ(2件)が多額の助成金を認められている。


2023/12/25 中国、レアアース加工技術の輸出を禁止 

中国は12月21日、レアアース(希土類)の抽出・分離技術の輸出を禁止した。

半導体材料となるガリウム・ゲルマニウムなどの輸出規制に続く措置で、戦略的鉱物で支配的地位を維持する狙いがあるとみられる。

 中国は今年8月に半導体材料のガリウムやゲルマニウムの輸出規制を導入した。

2023/7/6   中国が半導体材料ガリウムなど輸出規制 

 12月1日からはEVの主要材料であるグラファイト(黒鉛)製品の一部も輸出を許可制にした。

中国の商務部と税関総署は10月20日、「輸出管理法」「対外貿易法」「税関法」の規定に基づき、国家の安全と利益を守るため、商務部・国防科学技術工業委員会・税関総署公告2006年第50号「黒鉛類関連製品に対して臨時輸出管理措置を実施する決定」に記載の品目を調整し、一部の黒鉛品目に対して輸出管理を実施すると発表した。12月1日から実施される。

人造黒鉛や天然黒鉛のうち、特定の特性を満たす品目について、無許可での輸出を禁止するとした。輸出事業者はこれらの品目を輸出するに当たって、省レベルの商務主管部門を通じて商務部に申請を行い、その審査・承認を経て「両用品目および技術輸出許可証」を取得する必要がある。

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レアアースの加工技術について、商務部は2022年12月に、国家安全保障と公共の利益の保護などを目的とする「輸出禁止・制限技術カタログ」に追加する方向でパブリックコメントを募集していた。

今回、レアアースを使った高性能磁石などの製造技術の輸出を禁止し、レアアースの精錬などに関連する技術についても輸出を制限すると発表した。

2023年12月21日 2023年商務部・科学技術部告示第57号

「中華人民共和国外国貿易法」および「中華人民共和国技術輸出入管理規定」に基づき、商務部と科学技術部は、「中国輸出禁止・制限技術目録」を公表し、2020年第38号(「中国輸出禁止・制限技術目録の調整内容」)を同時に廃止すると発表した。 軍民両用の技術は輸出管理の対象となる。

希土類金属と希土類磁石の製造技術を海外移転禁止品目リストに掲載した。レアアースの抽出や加工に関する技術を明記。高性能磁石のネオジムやサマリウムコバルトを作る技術も対象とした。 

レアアースを使った高性能磁石は、EVのモーターなど、幅広い製品に使われているが、中国が世界のレアアースの産出量のおよそ7割を占めているほか、アメリカや日本など各国が高性能磁石を製造するためのレアアースの精錬や加工といった工程を中国に依存している。

中国は、こうした技術を囲い込むことで、半導体などの先端技術をめぐり、中国への輸出規制を強めるアメリカをけん制する狙いがある。

欧米は独自のレアアース加工産業の振興に力を入れているが、今回の禁輸措置は電気自動車(EV)のモーターや医療機器、兵器に使われ、中国が事実上の独占状態にあるいわゆる「重希土類」への影響が最も大きいとみられる。中国は世界の重希土類の99.9%の分離を手掛けており、欧米が新設している加工設備は主にネオジムやプラセオジムなどの軽希土類を扱っている。

中国は欧米のレアアース企業が苦戦しているレアアース精製のための溶媒抽出工程を確立している。

新たな規定はレアアース製品の出荷そのものには影響しないが、中国国外でレアアース産業を発展させようとする外国勢の取り組みを阻止しようしている可能性もあるされる。


2023/12/26 Tesla、上海に「大型蓄電装置」工場建設 

Teslaと中国(上海)自由貿易試験区臨港新片区管理委員会は12月22日、土地の取得に関する調印式を行い、上海に大型蓄電装置を製造する新たなギガファクトリーを建設するプロジェクトが正式に始動したことを明らかにした。

Teslaにとって米国以外で初の大型蓄電装置を生産するギガファクトリーで、計画では2024年の第1四半期に着工し、第4四半期に稼働開始する。

超大型商用バッテリー「Megapack 」を生産し、グローバル市場に供給する計画で、初期の計画では「Megapack 」を年間1万台生産する。蓄電の規模は40ギガワット時(GWh)。Megapack は1ユニットで約3.9メガワット時(MWh)の蓄電が可能で、これは約3600世帯の1時間の電力消費量に相当し、再生可能エネルギーをより効率的に貯蔵・配分できる。

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Teslaは2023年4月9日、上海市に大型蓄電装置「Megapack 」の工場を建設すると発表した。新工場の生産能力は年間1万ユニット、容量ベースで同約40GWh(ギガワット時)に上り、中国国内だけでなく世界各国に輸出する。

同社は上海市南東部の臨港新区に年間110万台のEV工場の「ギガファクトリー」を構える。Megapack の工場も同じく臨港新区に建設される。

2019/10/25 Tesla、中国工場の試運転開始 

臨港新区は、「このプロジェクトは上海市が外資企業の積極誘致だけでなく、市場メカニズムの導入や法治の推進、国際化されたビジネス環境整備などに注力してきた成果だ。対中投資に対する外資企業の信頼を高める効果がある」と述べ、歓迎している。

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現時点ではMegapack はカリフォルニア州の工場だけで製造されている。その生産能力は上海の新工場と同じ年間40GWh。

Teslaは電池セルの一部を自社生産するとともに、外部からも電池セルを調達し、車載電池パックや蓄電装置に組み込んでいる。同社の電池セルのサプライヤーは日本のパナソニック、韓国のLGエナジーソリューション、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)と比亜迪(BYD)の4社。

Megapack にはもともと三元系のリチウムイオン電池が使われていた。しかし2021年と2022年に起きた発火事故の後、CATLから(エネルギー密度が相対的に低い)リン酸鉄系のリチウムイオン電池の調達を開始した。


2023/12/27 オックスフォード辞典の「今年の流行語」=「Rizz

オックスフォード英語辞典を出版するオックスフォード大学出版局がこのほど、毎冬恒例の「今年の流行語」を発表、2023年は「Rizz」が大賞に選ばれた。

言語専門家チームや一般の投票によって決まる「Word of the year」で、SNSをにぎわせたZ世代のスラング「Rizz」が3万2000以上の票を獲得し、選ばれた。

この用語は「charisma(カリスマ)」の中間の言葉をとったもので、「他者を自身のセンスや魅力などで惹きつける力」を指す。

動詞としても、たとえば「rizz up」のように使われる。これは「chat up(相手を誘惑する)」と同様に、「人を惹きつける、誘惑する」という意味をもっている。

また「rizz」がたくさんある人のことを「rizzler」とも呼ぶ。

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過去の「今年の流行語」は下記の通りで、2005年には日本で開発され、2004年11月に英国の新聞Timesが採用し、大ブームとなった数独=「Sudoku」が選ばれている。

2022年 goblin mode

「goblin mode」は俗語で、「in goblin mode」や「to go goblin mode」という表現で使われる。コロナ禍の2022年2月にSNSで流行した。

「社会規範や期待を否定する形で、堂々かつ自己中心的、怠惰、ずぼらで強欲である行動のタイプ」

普通の生活に戻ることを拒否する人々や、SNS上で表現される達成不可能な美的基準や持続不可能な生活に反抗する人々の、一般的な雰囲気を捉えたもの。

2021年 vax 

vaccine(ワクチン)

2020年 Words of an unprecedented year

「前例のない年を表す単語たち」

環境問題、政治経済、社会運動、ソーシャルメディア、科学技術、世界英語の広がり」など様々な分野ごとに、新しい語が生まれ、1つの単語には絞れなかった。

2019年 CLIMATE EMERGENCY

気候変動を低減するあるいは抑止するための措置が急務である状況

2018年 Toxic

ネガティブな意味で、社会問題・政治問題のほか、あらゆる物事や状況とセットで使われた。

  • toxic waste   (有毒廃棄物・ゴミ)
  • toxic workplace   (有害な職場)
  • toxic relationship   (害のある関係)

2017年 Youthquake

youth (若者) と quake (地震)

若者の行動や影響から生ずる著しい文化的、政治的、社会的変化」:若者の強力な力が政治にまで影響を及ぼすようになった。

2016年 Post-Truth

「非常に緊迫した」政治的な1年を反映する言葉として選んだ。

客観的事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況を示す形容詞。6月のブレグジットと11月の米大統領選を反映した選択。

2015年 

初の絵文字「Face with Tears of Joy」うれし泣きの顔

世界で最も使われている絵文字(英国での利用率は前年比20%増、米国でも17%増)

2014年 vape

電子タバコを使用すること、または器具自体
ロンドンで初のベープカフェがオープン

2013年 selfie

自分撮りした写真

2012年 omnishambles

BBCテレビの風刺政治コメディ "The Thick of It" から生まれた造語で、「omni=すべて」と「shambles=大混乱」をくっつけた。ロンドン五輪に関する失言や不適切発言、欧州金融危機などによる混乱状態ならびに対処の誤りを表す。 

2011年 squeezed middle

ミリバンド労働党党首(当時)がBBCのラジオ番組で口にした言葉で、労働党は中産階級をターゲットにする必要があると話したときに使った表現で、直訳すると「圧迫されている中間層」

2010年 big society

キャメロン首相が2010年7月、big societyとは何かについて演説を行った。「大きな社会とは言い換えればliberalism(自由主義)であり、empowerment(権限付与)であり、freedom(自由)である」と説明し、「中央官庁のエリートから街の男女へ権力を再配分する」との考えを示した。



2023/12/28 柏崎刈羽原発の運転禁止解除

原子力規制委員会は12月27日、テロ対策の不備による東京電力柏崎刈羽原発への是正措置命令を解除した。事実上の運転禁止命令が解除された。

2年8か月ぶりに再稼働に向けた準備が再開されることになり、今後は、新潟県など地元自治体の同意が焦点となるが、地元では、失態を繰り返す東電への不信感が根強く、再稼働は全く見通せない。

新潟県は約11年をかけて福島事故の独自検証を続けてきたが、花角知事は「現時点で結論はない」と慎重な姿勢を崩していない。 知事は、県民の意思を確認するとして、知事選挙を行うことも選択肢の一つだという認識を示していて、最終的な判断が注目される。

柏崎刈羽原発の周辺住民らが東電を相手取り、原発の運転差し止めを求めた訴訟の第42回口頭弁論が12月25日、新潟地裁であったが、原告側は、東電が2002年のトラブル隠しの発覚以降、福島第1原発事故を経ても不正や不祥事を繰り返しているとし、「東電に原発を運転する適格性はない」と訴えた。

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東電は2013年9月に柏崎刈羽原発の6号機と7号機の審査を規制委に申請し、2017年12月に安全審査に合格した。(1〜5号機は未申請)

しかし、2020年以降、大きな問題が相次いで発生した。

2020年9月に社員が中央制御室に不正に入室する問題が発生した。

東電は7号機の新規制基準に基づく安全対策工事が2021年1月12日に完了したと発表したが、その後、施行ミスや未完のものが次々と見つかり、2月26日に検査日程を「未完」と変更した。他の箇所でも 問題がないか点検する。

さらに、2020年3月以降、テロリストなどの侵入を検知する複数の設備が壊れ、その後の対策も十分機能していなかったことが明らかになった。

原子力規制委員会は2021年3月16日、柏崎刈羽原発の核物質防護設備の機能一部喪失について、安全重要度評価 を「赤」とし、3月23日に「対応区分:第4区分」として扱うことを伝えた。

核セキュリティー分野で「赤」という判定は、日本で初めてというだけでなく、同種の検査制度を20年にわたって運用しているアメリカでも近年例がない という。
東電の核セキュリティーは最低レベルであり、原子力発電事業者としての適格性が問われる。

原子力規制委員会は4月14日、柏崎刈羽原発のテロ対策の不備を問題視し、原発再稼働に必要な核燃料の移動や装塡を禁じる行政処分の是正措置命令を決定した。規制委は27項目の是正を東電に要請した。

2021/3/29 柏崎刈羽原発の再稼働、見通しつかず
 

東京電力は2021年12月24日、7号機の消火設備の配管でずさんな溶接が74カ所見つかったと発表した。1000カ所以上の溶接を本来の仕様通りに再施工する。再施工の進捗をみながら、すでに30カ所の不適切溶接を確認している6号機の追加調査も検討する。

2022/1/5 東京電力柏崎刈羽原発でまたトラブル
 


 

その後、事務局の原子力規制庁が東京電力による再発防止の取り組みなどを検査してきた結果、12月に提出された報告書案では「自律的に改善できる仕組みが定着しつつある」と評価され、これを受けて規制委員会は、現地調査や東京電力の社長との面談を行い改善状況を確認してきた。

その結果、命令解除を判断する条件はそろったとして、27日の定例会合で、最終的に判断する方針を決めた。

テロ対策については、規制委が指摘した27項目の課題が是正され、劣化の兆候を自ら発見して改善する仕組みが新たに整備されたとした。規制委は今後も通常の検査で監視を続ける。

適格性については、東電が柏崎刈羽の保安規定で約束した「7項目」にのっとって活動していると判断した。

1)福島第一原発の廃炉をやりきる覚悟と実績を示す
2)柏崎刈羽原発の安全対策に必要な投資を行い、安全性向上を実現
3) いかなる経済的要因があっても安全性の確保を前提とする
4) 安全を最優先した経営上の判断を行い、内容を速やかに発信
5) 規制基準の順守にとどまらず、自主的に発電所の安全性を向上する
6) 社長をトップとして原子力安全の責任を担う
7) 関係部門の異なる意見や知見を一元的に把握し、発電所の安全性を向上する

12月27日に開かれた会合で、規制委員会は報告書案を了承し、自律的な改善が見込める状態であることが確認できたとして命令を解除することを全会一致で決めた。

「対応区分を「第4区分」から「第1区分」に変更することが決定された。
 また、原子炉設置者としての適格性について再度確認した。

しかし、規制委は12月20日の会合で、「条件付き」の判断であることを強調した。テロ対策の不備は一定程度改善したとする一方、委員からは今後も厳しく監視していく必要があるとの声が相次いだ。トラブルが続いた東電の体質に、不信感を拭いきれていないことをにじませた。

新たな課題が生じても自律的に対処できるようになったと判断したものの、「普通の状態になっただけ。これがスタート」(山中伸介委員長)など継続に向けた努力を求める意見も相次いだ。

「規制委の判断は、東電にお墨付きを与えたことにはならない」、「東電が生まれ変わったとか、非の打ち所のない組織になったと認定することではない」との発言もあった。

 


2023/12/29  ユーラシア経済連合、イランとFTA締結

旧ソ連を構成したロシアなど5カ国でつくるユーラシア経済連合(EAEU)は12月25日、サンクトペテルブルクでの首脳会議に合わせ、イランと関税の引き下げなどを定めた自由貿易協定(FTA)を締結した。

EAEUはロシア、アルメニア、カザフスタン、キルギス、ベラルーシで構成する。

2011/12/2 ユーラシア経済同盟 

2022年のEAEUとイランの間の貿易額は62億ドル。FTAの締結により、5〜7年後には両者の貿易額が180億〜200億ドルに達する見込みとしている。

現在のEAEUからイランへの主な輸出品は小麦や食用油、鉄鋼で、イランからEAEUへの主な輸出品は果物や野菜など。FTA締結後は工業製品で取引が拡大する可能性がある。

 

ユーラシア経済連合(EAEU)は、ユーラシア経済共同体(2000〜2014年)を前身とする経済同盟。

  ユーラシア経済共同体(2000〜2014年) ユーラシア
経済連合
ロシア 加盟国 2014/5/29
ベラルーシ 2014/5/19
カザフスタン 2014/5/19
ウズベキスタン  
タジキスタン  
キルギス 2014/12/23
アルメニア オブザーバー 2014/10/10
ウクライナ  
モルドバ オブザーバー

EAEUが締結したFTAのうち、ベトナム、セルビアとのFTAが発効済み。

ベトナムとユーラシア経済連合EAEU間の自由貿易協定VN-EAEU FTAが2016年10月5日に発効した。ユーラシア経済連合にとって、自由貿易協定を結ぶのはベトナムが初めて。

セルビアとユーラシア経済連合(EEU)との自由貿易協定(FTA)が2019年10月25日に締結された。セルビアはこれまで、EEU加盟国のうちロシアとベラルーシ、カザフスタンとそれぞれ個別のFTAを結んでいたが、今回のFTAはそれに代わるもので、他のEEU加盟国のアルメニアとキルギスも加わり、1億8,300万人の市場をカバーする。

2019年にンガポールとのFTAを締結したが、まだ発効していない。

2019/10/5 ユーラシア経済同盟、シンガポールとFTAを締結、イランとは3年限定のFTA 

ユーラシア経済連合(EAEU)加盟国首脳で構成される最高ユーラシア経済評議会が2022年5月27日にオンラインで開催され、インドネシアとの自由貿易協定(FTA)の締結交渉開始を決定した。FTAによる食料品や化学品などの輸出拡大を見込んでいる。

他、エジプト、イスラエル、インドと締結交渉をしており、モンゴル、アラブ首長国連邦(UAE)と共同研究を行っている。

 


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