2008/9/27 日本経済新聞夕刊

米銀ワコビア、身売り検討 米メディア報道 シティなどと交渉か

 米銀行4位のワコビアが身売りの検討に入ったと、米複数メディアが26日に報じた。買収に関心を持っているのは、米大手銀シティグループ、同ウェルズ・ファーゴ、スペイン最大手のサンタンデール銀行。ワコビアは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化で財務内容が悪化しており、同日の株価は前日比27%安い10ドルちょうどまで下落していた。
 3行は米東岸を中心に展開するワコビアの支店・営業網を手に入れたいようだ。サンタンデールはもともと南米に強い事業基盤を持つが、米国に本格進出するチャンスをうかがっていた。
 ワコビアは、これまで大手証券モルガン・スタンレーとの統合を模索していたとされる。モルガンは銀行持ち株会社となったうえ、三菱UFJフィナンシャル・グループからの出資を受け入れたため、ワコビアとの交渉を打ち切ったもようだ。


2008年9月30日 asahi 

米下院、金融法案を否決 

 米議会下院は29日、金融危機対策でブッシュ政権が創設を求めていた不良資産の買い取り制度の法案(緊急経済安定化法案)を否決した。公的資金を最大7千億ドル(約75兆円)投入することへの反対が予想以上に強く、賛成205に対し、反対228で否決された。

 下院指導部は法案を見直して30日以降の再審議に持ち込む考えだが、国民負担増への反発が強く、見通しは極めて不透明になっている。

 下院での法案採決に先立ち、ブッシュ大統領は、「この救助計画がなければ、米経済への損害は悲惨なことになりかねない」と異例の早朝声明を発表。議会の協力を強く促していた。

 ブッシュ政権が求めていた不良資産の買い取り制度の創設が頓挫すれば、米金融機関の業績悪化に歯止めがかけられず、金融危機が一層深まるという不安が強まった。

緊急経済安定化法案の骨子
   
最大7000億ドルを投じ、金融機関の不良資産を買い取る
買い取りは当初2500億ドル、その後、大統領判断で1000億ドルを追加。残り3500億ドルは議会の承認が必要
買い取りと引き換えに政府は金融機関の新株取得権を受け取る
買い取り対象の金融機関の経営陣の報酬を制限する
買い取り業務を監視する委員会を設置する
金融機関への時価会計適用について検証する
   

日本経済新聞 2008/9/30

米、安定化法案成立へ

 10月1日に成立する見通しの米金融安定化法案は、公的資金で不良資産を買い取り金融システムを健全化する枠組みとなる。枠組みとなる。金融安定へ不可欠な一里塚となるが、国民負担抑制、借り手支援、金融機関の経営責任にも目配りした。それぞれが矛盾する側面もあり、運用面では試行錯誤が続くとみられる。公的資金による資本注入制度など新たな対策が求められる可能性もある。



損失は金融界が負担

◆買い取り価格
 不良資産の買い取り制度は来月にも始まる見通し。焦点となっているのが買い取り価格だ。「価格の決め方は財務省があらかじめ公表する」。同省はある一定の不良資産を最も低い価格で売却すると申し出た金融機関から買い取る「逆入札」を検討しているが実効性は未知数だ。
 金融市場では取引が成立せず価格がつかない証券化商品も少なくない。低めの価格で買い取れば公的資金の損失リスクは小さくなる。だが不良資産を売却する金融機関の追加損失は拡大する可能性が高い。「経営が悪化している金融機関ほど追加損失を懸念し入札制度に参加しない」(米銀関係者)との見方も根強い。
◆国民負担
 「損失が残る場合は金融界に負担してもらう」(ペロシ下院議長=民主)。公的資金による不良資産買い取り業務の損失が5年後に残る場合は、金融界が穴埋めする仕組みを取り入れた。公的資金の損失リスクを最小限にする狙いだが、金融システムから不良資産を分離するという金融安定化法案の経済的な効果をそぐ面がある。
 金融機関の株式引受権(ワラント)を政府が取得する仕組みも同様の構図だ。株式値上がり益で公的資金の損失リスクを補うことができるが、既存株主への影響を懸念する民間金融機関にとっては制度利用に二の足を踏む要因となる。

経営者には懲罰的 役員の報酬に所得控除制限

◆経営責任
 金融安定化法案の合意を巡っては、共和、民主両党から経営責任の明確化を求める声が強まった。法案は不良資産買い取
りの対象金融機関の経営者報酬について、財務省がルールを公表することを盛り込んだ。具体的には同省が資産を直接買い取る場合は、成功報酬を制限し、高額退職金(ゴールデン・パラシュート)は原則禁止する。
 資産を日本経済新聞 2008/9/30

米、安定化法案成立へ

 10月1日に成立する見通しの米金融安定化法案は、公的資金で不良資産を買い取り金融システムを健全化する枠組みとなる。枠組みとなる。金融安定へ不可欠な一里塚となるが、国民負担抑制、借り手支援、金融機関の経営責任にも目配りした。それぞれが矛盾する側面もあり、運用面では試行錯誤が続くとみられる。公的資金による資本注入制度など新たな対策が求められる可能性もある。

損失は金融界が負担

◆買い取り価格
 不良資産の買い取り制度は来月にも始まる見通し。焦点となっているのが買い取り価格だ。「価格の決め方は財務省があらかじめ公表する」。同省はある一定の不良資産を最も低い価格で売却すると申し出た金融機関から買い取る「逆入札」を検討しているが実効性は未知数だ。
 金融市場では取引が成立せず価格がつかない証券化商品も少なくない。低めの価格で買い取れば公的資金の損失リスクは小さくなる。だが不良資産を売却する金融機関の追加損失は拡大する可能性が高い。「経営が悪化している金融機関ほど追加損失を懸念し入札制度に参加しない」(米銀関係者)との見方も根強い。
◆国民負担
 「損失が残る場合は金融界に負担してもらう」(ペロシ下院議長=民主)。公的資金による不良資産買い取り業務の損失が5年後に残る場合は、金融界が穴埋めする仕組みを取り入れた。公的資金の損失リスクを最小限にする狙いだが、金融システムから不良資産を分離するという金融安定化法案の経済的な効果をそぐ面がある。
 金融機関の株式引受権(ワラント)を政府が取得する仕組みも同様の構図だ。株式値上がり益で公的資金の損失リスクを補うことができるが、既存株主への影響を懸念する民間金融機関にとっては制度利用に二の足を踏む要因となる。

経営者には懲罰的 役員の報酬に所得控除制限

◆経営責任
 金融安定化法案の合意を巡っては、共和、民主両党から経営責任の明確化を求める声が強まった。法案は不良資産買い取
りの対象金融機関の経営者報酬について、財務省がルールを公表することを盛り込んだ。具体的には同省が資産を直接買い取る場合は、成功報酬を制限し、高額退職金(ゴールデン・パラシュート)は原則禁止する。
 資産を入札方式で買い取る際には、一定の条件で高額退職金に税率20%の税金を課したり、役員報酬の所得控除に制限を加えたりする。
 資産買い取りの手法や規模で制限に差を設けたが、金融機関経営者にとってはいずれにしても懲罰的な条項となる。
◆借り手支援
 法案は住宅ローンの借り手支援策も盛り込んだ。財務省が買い取った住宅ローン債権について、財務長官の権限で債権回収業者に対し、返済条件の見直しを要請する。景気悪化でローン返済が滞る債務者が増え、金融機関による住宅差し押さえの増加が深刻な問題になっているためだ。
 政府管理下の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付低当公社(フレディマツク)を念頭に、財務省以外の連邦政席機関にも同様の返済条件の緩和を求める。
 民主党は司法手続きでローン返済の元本削減や金利を減免できる破産法改正を主張したが、借り手の救済色が濃いため、返済期間の延長や金利引き上げ時期の延期など返済条件の見直しにとどまった。

時価会計停止の権限 危機深化に備え

◆SEC
 米金融安定化法案では、証券取引委員会(SEC)に時価会計を停止する権限を与える条項が盛りこまれた。SECが「必要もしくは適当と判断した場合」には停止できると定めている。金融危機深化に備えた条項との見方も出ている。
 法案は「時価会計に関する調査」も明記。一連の金融機関の破綻に時価会計が与えた影響なども精査した上で、法案成立から90日以内にSECに議会に報告書を提出するよう求めている。
 時価会計は、保有資産を現時点の市場価格で評価し財務諸表に反映する制度。金融市揚の信用収縮で取引が成立しにくい証券化商品などは極端な減価を迫られるケースが続出。ただ時価会計を凍結した場合、金融機関が損失計上を先送りする可能性も出てくる。投資家保護の観点から問題があるとの見方も根強い。入札方式で買い取る際には、一定の条件で高額退職金に税率20%の税金を課したり、役員報酬の所得控除に制限を加えたりする。
 資産買い取りの手法や規模で制限に差を設けたが、金融機関経営者にとってはいずれにしても懲罰的な条項となる。
◆借り手支援
 法案は住宅ローンの借り手支援策も盛り込んだ。財務省が買い取った住宅ローン債権について、財務長官の権限で債権回収業者に対し、返済条件の見直しを要請する。景気悪化でローン返済が滞る債務者が増え、金融機関による住宅差し押さえの増加が深刻な問題になっているためだ。
 政府管理下の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を念頭に、財務省以外の連邦政府機関にも同様の返済条件の緩和を求める。
 民主党は司法手続きでローン返済の元本削減や金利を減免できる破産法改正を主張したが、借り手の救済色が濃いため、返済期間の延長や金利引き上げ時期の延期など返済条件の見直しにとどまった。

時価会計停止の権限 危機深化に備え

◆SEC
 米金融安定化法案では、証券取引委員会(SEC)に時価会計を停止する権限を与える条項が盛りこまれた。SECが「必要もしくは適当と判断した場合」には停止できると定めている。金融危機深化に備えた条項との見方も出ている。
 法案は「時価会計に関する調査」も明記。一連の金融機関の破綻に時価会計が与えた影響なども精査した上で、法案成立から90日以内にSECに議会に報告書を提出するよう求めている。
 時価会計は、保有資産を現時点の市場価格で評価し財務諸表に反映する制度。金融市場の信用収縮で取引が成立しにくい証券化商品などは極端な減価を迫られるケースが続出。ただ時価会計を凍結した場合、金融機関が損失計上を先送りする可能性も出てくる。投資家保護の観点から問題があるとの見方も根強い。


日本経済新聞 2008/9/30

シティがワコビア救済 銀行部門買収 米政府、損失補てんを保証

 連邦預金保険公社(FDIC)は29日、経営危機に陥っていた米大手銀ワコビアの銀行部門を、大手銀シティグループが買収すると発表した。預金量は米銀でトップになる。シティが将来損失を被る可能性があるため、一定額以上はFDICが負担する損失補てん契約を結ぶ。破綻による混乱回避へ政府が買収を支援する異例の措置に踏み切った。
 シティは普通株発行で100億ドルを増資するとともに四半期配当を削減。資本を増強し、損失負担に備える。ワコビアの預金は全額保護される。
 ワコビアは銀行部門を除く形で存続し、個人向け証券業務などは続ける。シティはワコビアに普通株で21億ドルを支払い、銀行部門の資産と負債を取得。ローン債権3120億ドルから将来発生する損失のうち、420億ドルまでを負う。これを超えた分はFDICが補てんする。FDICはリスクを負う代償として、シティの優先株と株式購入権を120億ドル分取得する。
 シティは買収で、弱みだった米国内の個人向け業務を大幅に強化する。



2008/10/3 日本経済新聞 

野村、米リーマンのインド拠点買収 2000人受け入れ

 野村ホールディングスは2日、破綻した米証券大手のリーマン・ブラザーズから、証券決済などのバックオフィス業務やIT(情報技術)開発を手掛けるイン ド拠点を数十億円で買収することで大筋合意した。2000人強の社員も引き継ぐ。すでに買収で合意したリーマンのアジア、欧州部門に続き証券業務のインフ ラとなる後方部門も取り込み、世界戦略を加速する。

 リーマンは北米、欧州、アジアの世界全部門で、証券決済や受け渡し事務、資産の時価計算などのバックオフィス業務を切り離し、インドのムンバイに設けた 子会社に集中。同拠点は優秀な技術者が豊富な土地柄を生かし、証券売買システムなど自社で活用するITの開発業務や、調査部門の機能を担当するなど、リー マンの最先端のシステム開発を担う心臓部となっていた。


2008.10.02 CNN ビジネス

米上院、金融安定化法案の修正案可決

米上院本会議は10月1日夜、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金で不良資産を買い取る金融安定化法案の修正案について採決を行い、賛成74、反対25の賛成多数で可決した。賛成票が、法案可決に必要な60票を上回った。

修正案には、金融システム安定化と国民の動揺抑制を図るため、預金保険制度で保護する預金の上限を現状の10万ドルから、一時的に25万ドルに引き上げる 措置が盛り込まれた。共和党のジョン・マケイン上院議員、民主党のバラク・オバマ上院議員の米大統領選の両候補は賛成票を投じた。

審議の場は今後、9月29日に修正前の法案を否決した下院に移る。採決は10月3日の見通し。法案が可決された場合、米政府による経済介入として1929年の大恐慌以来最大規模となる。

金融安定化法案修正案の骨格

 不良資産買い取り制度創設
  ・金融機関から買い取る公的資金は最大7000億ドル
  ・買い取り価格などを監視する委員会を設置
  ・政府は損失回避へ金融機関の株式引受権を取得
  ・対象金融機関の経営者報酬を制限

 預金者保護策を拡充(追加)
  ・経営破綻時の預金保証上限額を10万ドルから25万ドルに引き上げ

 国民の理解を得るための対策(追加)
  ・中堅所得層の税優遇を延長
  ・代替エネルギー促進へ税優遇策
  ・研究・開発減税を延長


2008/10/4 asahi

米の金融救済法が成立 最大75兆円の公的資金投入へ

 米議会下院は3日、最大7千億ドル(約75兆円)の不良資産買い取り制度などを柱にした「緊急経済安定化法案」(金融救済法案)を賛成263―反対171で可決した。ブッシュ大統領は同日署名し、成立させた。米国発の金融恐慌はひとまず回避されたが、金融危機の収束にはなお時間がかかりそうだ。

      賛成 反対
民主党  172  63
共和党   91  108
合計    263  171

 ブッシュ大統領は「経済の脅威となっている信用危機(貸し渋り)を和らげる決め手となる。最終的な税金負担は、(最大7千億ドルの公的資金の)当初投入額より、はるかに少なくなるだろう」との声明を発表。中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長も「信用市場の混乱を和らげるため、あらん限りの力を発揮する」と全面協力の姿勢を打ち出した。

 法案は、相次ぐ金融破綻(はたん)で混乱した市場を鎮める緊急対策として打ち出されたが、先月29日の下院で国民負担増を警戒する強い反対にあい、23票差で否決されていた。再審議の可決をめざし、ブッシュ政権と議会指導部は総額1100億ドル(約12兆円)の減税などを追加。景気対策の色彩を強めた結果、それぞれ民主党から32人、共和党から26人の計58人が賛成に回った。同じ法案はすでに上院が1日に可決させている。

 法案は、最大7千億ドルを投じ、金融機関から住宅ローンや関連の金融商品などを政府が買い取る計画。企業救済では過去最大となる。経営不安の原因になっている不良資産を政府が肩代わりし、身軽にして業績の回復と市場の安定化をめざす。

 安易な救済との印象を薄め、国民負担増を食い止めるために(1)救済する企業から株式を得る権利をもらい、株価が上がった時に売って利益を得る(2)救済する企業の経営陣の報酬を抑える(3)住宅ローンの焦げ付きを防ぐため、政府が保証する低金利ローンへの借り換えを加速させる、なども盛り込んだ。

 さらに、バラマキに近い大型減税も実施する。住宅課税の負担を軽くして、児童控除も拡充。これまで実施を見送っていたさまざまな企業向けの優遇税制も打ち出した。

 政府が銀行預金を保証する限度額も約28年ぶりに、来年末まで現行10万ドル(約1050万円)から25万ドル(約2600万円)に引き上げる。財務省が連邦預金保険公社(FDIC)に無制限の融資をできるようにするなど、金融機関が負担してきた原則を緩め、公的資金による保護を強める。

 さらに、金融機関の損失拡大を食い止めるため、厳しい会計処理を緩める姿勢も示した。証券取引委員会(SEC)が金融資産などの価値急落を帳簿に反映させる「時価会計」を一時的に停止でき、損失計上を先送りできるようにする。

 大盤振る舞いの追加策で「景気減速で疲弊している勤労世帯の税金で、ウォール(金融)街の失敗を尻ぬぐいする」との反発を抑える狙いだが、米国民が大きな負担を背負う可能性がある。


2008/10/4 日本経済新聞

米AIG、アリコ売却へ
 エジソン生命、スター生命も 損保事業に集中 売却後も契約維持

 米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の日本法人は3日、AIGエジソン生命保険とAIGスター生命保険に加え、アリコジャパンを含む米アリコを売却すると発表した。これに先立ちAIG本社は事業の再構築(リストラ)の方向性について「損害保険事業に経営資源を集中する」方針を示した。日本の生保3社が売却されても保険契約は基本的に継続される見通し。

 AIGが売却意向を示した日本の生保3社の保険料収入の合計額は2兆円を超え、日本生命保険など四大生保に次ぐ規模。すでに海外の大手生保を中心に買収に関心を寄せているとの見方もあり、米金融危機が国内の生保再編の引き金を引く可能性が大きい。
 AIGは、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化などに伴い、資金繰りが急速に悪化。9月に米金融当局が最大850億ドルの融資枠を設ける公的支援策を発表した。
 これを受け経営陣を刷新、資産売却計画を練ってきた。
 日本事業では独立した法人の形態を取っているエジソンとスターが早くから売却の検討対象となっていた。日本の中核生保であるアリコジャパンはAIG傘下の生保会社、アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーの日本支店という形を取っているため、切り離して売るのは難しいとみられてきた。このためAIGは米国に本社を置くアリコを会社ごと売りに出す見通し。
 AIG日本法人は日本でアメリカンホーム保険などを通じ損保事業を展開しているが、これについては「売却の意図はない」としている。
 米AIG本社は3日開いた電話会見で「米国外の生命保険事業のいくつかを売却する」と表明、日本など55カ国以上で生保事業を手掛けるアリコの売却方針を示した。
 またアジアを中心に生保事業を展開するAIA(アメリカン・インターナショナル・アシュアランス)の一部株式も売却するとし、世界で損保事業に集中する方針を示した。
 海外の生保事業については「株式の持ち分を継続して保有する」としており、日本の生保子会社3社も株の一部を持ち続ける可能性もある。


日本経済新聞 2008/10/4

米銀大手ワコビア ウェルズ・ファーゴが買収
  1.6兆円 シティへの売却撤回

 米大手銀ウェルズ・ファーゴは3日、経営危機に陥っていた米大手銀ワコビアを株式交換を用いて151億ドルで買収すると発表した。ワコビアは政府が一定額以上の損失を補てんする条件で米大手銀シティグループヘの銀行業売却を決めていたが、これを撤回。全社買収を提案し、政府支援なしで条件の良いウェルズの提案を受け入れることに決めた。
 総資産規模1兆4210億ドル、店舗数約1万の巨大金融機関が誕生する。預金量ではシティなどに匹敵する規模となる。ワコビア株1株に対して、ウェルズ株 0.1991株を割り当てる。また、ウェルズはワコビアが抱える不良資産の切り離しや政府支援を求めない。
 ウェルズはワコビアの買収に伴って、貸倒引当金の追加計上や統合コストなど100億ドルの損失・費用が発生するとみている。自己資本比率を維持するために、今回の買収に合わせて普通株を中心に200億ドルの増資を計画している。
 ワコビアは9月29日に、シティグループに対して預金を含めた銀行業を売却すると発表したばかり。だが、同売却案では売却額が21億ドルにとどまる。法人向け融資の一部、資産運用、証券部門などは売却対象に入っておらず、企業価値の減損を嫌気されてワコビアの株価はその後2-3ドル程度に急落していた。
 同行は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)を積極的に手掛けたため、財務内容が悪化していた。一方、シティグルーブは3日、「ワコビアがウェルズ・ファーゴと(統合で)合意したのは独占交渉を定めた当初取り決めに違反する。ワコビアとウェルズ・ファーゴには(統合の)作業を取りやめるように要請した」と発表した。訴訟を含めた対抗措置を打ち出す可能性が出てきた。


「公的負担なし」で逆転 「シティより堅実」判断も

 シティグループヘの事実上の営業譲渡が決まっていた米大手銀ワコビアを、米大手銀ウェルズ・ファーゴが買収するというM&A市場でも珍しい逆転劇が起きた。経営が安定していて全部門を買収するウェルズの方がワコビアにとっては望ましい。公的負担を避ける点も、政府などの支持を得やすいと判断したようだ。

ウェルズはワコビアが抱える不良資産の切り離しや追加損失に対する政府保証を求めておらず、米連邦預金保険公社(FDIC)には預金保護など負担がかからない。ワコビア買収に伴って今後発生する損失は増資によって吸収する。
 一方で、ワコビアが9月29日にシティと決めた銀行業売却では、シティが将来被る損失の一定額以上をFDTCが負担する損失補てん契約を結んだ。
 シティが購入するローン債権3120億ドルから将来発生する損失のうち420億ドルまでをシティが負担。これを超えた分はFDICが補てんするという内容。将来、シティの経営内容が悪化すればFDICは損失リスクを負う。
 ウェルズは当初からワコビア買収に向けてシテイと競っていたが買収条件の決定にもたついていたとされる。シティがワコビア事業買収を決めた先月29日は、米金融安定化法案が米下院で採決予定日で、法案は否決された。
 金融市場が不安定になる可能性が高かったことを危惧し、預金者保護を第一とするFDICは、ウェルズよりも事業規模が大きく、買収提案が明確だったシティに対して、緊急避難的にワコビアの銀行業を売却することを認めた。米政府はワコビアを破綻させれば、経済全体への悪影響が大きいと判断し、信用不安が悪化する前に介入して支援策をまとめる異例の手法を使った。その後、ウェルズも全体買収の条件を詰めた。ワコビアとしても資産運用、証券部門と銀行業がバラバラになるのを避けたかった。
 シティはサブプライム関連損失が膨らみ、合併後の経営を不安視する声も市場では出ていた。一方、ウェルズは今年4-6月期の純利益が17億5千万ドルの黒字を維持。金融当局もウェルズによる救済買収の方が安定的な経営が期待できると判断したとみられる。
 米連邦準備理事会(FRB)と米通貨監督庁(0CC)は3日、「預金者などを含むワコビアの債権者を保護し、市場の安定化を達成できるように関係者と連携する」と発表し、ウェルズによるワコビア買収の可否を審議することを明らかにした。


2008/10/11 日本経済新聞夕刊

リーマン対象のCDS 清算価格、元本の8.6%    残高 大部分損失の公算

 国際スワップ・デリバティブス協会(ISDA)は10日、破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズを対象にしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の清算価格が元本の8.625%に決まったと発表した。市場推計では同CDSの残高(想定元本)は約4千億ドル(約40兆円)にのぼるとされ、この大部分が損失となる見通しだ。
 CDSはデリバティブ(金融派生商品)の一種で、企業の信用リスクを取引するのに用いられる。リーマン破綻に伴って同社の社債は大幅に元本を下回る水準まで市場価格が落ち込んでおり、連動する形でCDSの清算価格も決まった。大手金融機関などがCDSの引き受け手となっているが、CDSは比較的新しい金融商品で統計が整備されていないため、詳しい実態は不明。単純計算では損失は数千億ドル規模にのぼるが、契約時の手数料やヘッジ(損失回避)取引で一部は相殺される可能性がある。


日本経済新聞 2008/10/12

リーマン対象のCDS清算 損失、国内に波及も
 総額、世界で7000-8000億円か

 経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズを対象にしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の清算に伴って国内外の金融機関に大きな影響が広がる可能性が出てきた。リーマン関連の想定元本は4千億ドル(約40兆円)もあり、CDSの清算では過去最大規模。思わぬ損失を迫られることから、金融市場で不透明感が高まる一因になっている。
 CDSとは企業が倒産して、出したおカネが返ってこなくなる可能性を想定して取引する保険契約。投資家が保証料を払って契約すると、企業倒産時に保証料を受け取った相手から元本の補てんを受ける。リーマンの場合は10日に清算価格が元本の約8.6%で決定した。この契約をしていると、元本から差し引いた残りの90%強も保証される。逆に売り手は多額の損失を受ける。
 CDSの主な売り手は証券会社、保険会社、ヘッジファンドなど。これらの金融機関は売りと買いの両方の取引をしているため、差し引きした損失は元本に比べて少額にとどまりそうだ。とはいえ損失は全世界で総額で7億ー8千億円との見方もある。日本では主に大手証券や外国証券が活発に取引しているが、取引実態は不明だ。
 米国で住宅ローンを証券化して投資家にさばく連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を対象にしたCDSも今月上旬、清算価格が決まった。損失率は10%未満だったが、取引残高が巨額のためリーマン同様に金融機関の間で損失が懸念されている。破綻した米貯蓄金融機関(S&L)最大手ワシントン・ミューチュアル対象のCDSも近く清算手続きを控えており、金融機関の思わぬ損失への警戒感が高まっている。
 CDSの清算は、こうした取引を複数束ねて再加工した金融商品にも影響する。日本でも証券会社がオーダーメードでつくって地域金融機関や企業などに売っていた。リーマン関連を組み入れた商品の残高は数千億円あるもようで、この金融淘汰の余波は日本でもまだ広がりそうだ。

▼CDS
 企業が倒産しておカネが戻ってこなくなる可能性に備えた保険のような金融商品。ある企業が発行する社債などを持つ投資家は証券会社などから買って保証料を払う。実際に倒産した場合は売り手は買い手に元手である「元本」を補てんする。倒産の可能性が高ければ高いほど保証料率も高くなる。多額の資金を運用する機関投資家の売買が活発で、6月末の取引残高は全世界で54兆ドル(約5400兆円)に達する。


2008/10/11 日本経済新聞夕刊

公的資金注入でG7協調 
 金融安定へ5つの行動計画

日米欧の7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は10日夕、公的資金による資本増強など5項目を盛り込んだ異例の「行動計画」を発表し、閉幕した。文書は「現下の状況は緊急かつ例外的な行動が必要」と言及。主要金融機関の破綻回避へあらゆる手段を活用することで一致した。金融機関の流動性確保へ必要な手段をとることでも合意。金融危機の克服へ各国が協調して全力を挙げる姿勢を明確にした。ただ、具体策への踏み込み不足との見方もあり、週明けの世界の市場の反応が注目される。

行動計画の骨子
・金融システム上重要な金融機関の破綻回避へ断固たる行動をとり、あらゆる手段を活用
・信用市場および短期金融市場の機能を回復し、金融機関が流動性と調達資金を確保できるよう必要な手段を講じる
・銀行など金融仲介機関が信認回復に向けて、公的資金と民間資金の双方で資本増強できるようにする
・各国の預金保険・保証制度が、頑健で一貫しているようにする
・住宅ローン担保証券など証券化商品の流通市場を再開させるため行動
 資産の正確な評価や、透明性の高い開示など一貫した実施が必要
・必要かつ適切な場合には、マクロ経済政策上の手段を活用する

 


2008年10月13日 asahi

モルガンへ出資、すべて優先株 三菱UFJが前倒し実行

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は13日、米大手金融機関モルガン・スタンレーに対する90億ドル(約9000億円)の出資について、すべて優先株とするよう条件を変更した上で、予定より1日前倒しで実行したと発表した。

 MUFGは普通株への転換権を持つ優先株を78億ドル(約7800億円)分取得。普通株に転換した場合の議決権は、当初計画と同じ21%となる。残る12億ドル(約1200億円)分も優先株で取得する。

 MUFGはこれまでモルガン株の約21%を90億ドルで取得し、うち30億ドル分は議決権を持つ普通株としていた。だが、モルガンの株価は下落を続け、10日には9ドル台で取引を終えた。

 普通株だと、買い取った価格から大幅に値下がりすると損失処理を迫られる。このため、こうした処理の必要のない優先株で出資することにした。1株あたりの買い取り価格も31.25ドルから25.25ドルに引き下げた。

 MUFGは13日に臨時取締役会を開いて出資内容を再検討。市場の混乱を避けるため、14日としていた出資を1日早めた。


日本経済新聞 2008/10/15

三菱UFJ、モルガンへ出資 株急落 窮余の条件変更
 全株優先株で9000億円 決着前倒し要請で異例の小切手発行

 三菱UFJフィナンシャル・グループが難産の末、米モルガン・スタンレーへの90億ドル(約9千億円)出資を実行した。邦銀による欧米大手金融機関との資本提携では過去最大。名門投資銀行との提携を通じて海外展開を加速するのが目的だが、想定外のモルガン株の急落で、交渉は土壇場の決着まで二転三転した。

 米東部時間の13日早朝、ニューヨーク・マンハッタンのオフィスを訪れた三菱UFJの担当者がモルガン側に一通の小切手を手渡した。記載された額面は90億ドルーー。

銀行開店待たず
 13日は銀行の祝日で株式市場は開いているが銀行取引は休み。三菱UFJは14日の払い込みを予定していた。しかし、前週末に株価が10ドルを割ったモルガン側が、週明けの株取引が始まる前に出資を実行するよう強く要望。異例の小切手による資本注入となった。
 三菱UFJとモルガンの資本提携が基本合意したのは、米リーマン・ブラザーズ破綻から1週間後の9月22日。「モルガンとリーマンとでは格が違う」。三菱UFJが当初、想定していた取得価格は1株当たり約31ドル。しかも減損処理のリスクにさらされやすい普通株だった。「米政府が金融安定化策を発表したし、モルガンは銀行持ち株会社の資格を得て資金調達しやすくなった。これ以上悪くなることはないだろう」。幹部は自信を見せた。
 しかし、モルガン株の下落が続く。「想定外の動きだ」。慌てた三菱UFJは同29日、出資額の3分の2を、株価下落の影響を受けにくい優先株に変更すると発表。普通株の取得価格も6ドル引き下げ、25.25ドルとした。

良好な関係演出
 「三菱との資本提携が破談になるのでは」。それでもモルガンの信用不安は続く。先週半ば、モルガンのジョン・マック最高経営責任者(CEO)の姿はニューヨークと並ぶ重要拠点であるロンドンにあった。
 「正念場だ。顧客と密接に連絡を取れ」。マック氏は従業員に激を飛ばした。マック氏自らも動いた。ロンドンで9日開いた永易克典・三菱東京UFJ銀行頭取の就任披露パーティーに足を運ぶ。畔柳信雄・三菱UFJ社長らと記念撮影に応じるなど、衆人環視下、良好な関係をアピールした。にもかかわらず、格下げ観測が浮上して翌10日もモルガン株は急落。終値は9.68ドルと前日比22%下げ、10ドルを割り込んだ。
 三菱UFJも、ぎりぎりの判断を迫られた。予定通り出資すれば、普通株への3千億円の投資のうち約1800億円の損失が発生してしまう。しかし、出資を取りやめればモルガンの信用不安が拡大するのは必至。モルガンヘの出資を「大歓迎」していた米金融当局との関係も気になった。
 はざまに立った経営陣に残されたぎりぎりの選択が出資条件の再変更だった。市場での株価下落の影響を受けにくい優先株に全額を切り替えることでリスクを軽減。さらにもう一つ重要な条項を盛り込んだ。「公的資金を含め、モルガンに追加増資があっても保有株の希薄化や優先株の金利払いで不利益を被らない」(三菱UFJ関係者)
 モルガンヘの出資を最終決定した13日夕。臨時取締役会にはワシントン出張から緊急帰国した畔柳社長の姿があった。当初はテレビ電話を通じた取締役会で承認を得る予定だったが、社外取締役に対する直接説明が欠かせないと判断した。
 出資要請から3週間半。米東部時間に合わせて深夜の協議に当たった役員の顔には疲労の色がにじんだ。「やっとここまで来たが、損失のリスクが消えたわけではない」。首脳の表情は険しいままだ。


日本経済新聞 2008/10/15

公的資金 米、まず大手9行に注入
 大統領 対策発表 年内、全体で25兆円

 ブッシュ米大統領は14日、金融機関への資本注入を柱とする総合的な金融安定化策を発表した。金融安定化法に基づく最大7千億ドル(約70兆円)の公的資金のうち2500億ドル(約25兆円)を資本注入に使う方針で、JPモルガン・チェースなど大手9行に1250億ドルを先行注入する。銀行間取引への保証や預金保護の拡大など、欧州並みの幅広い安全網も設ける。欧米主要国がグローバルな金融危機打開へ足並みをそろえた。

 注入対象は流動的だが、米メディアによると、JPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サツクス、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ステート・ストリート、メリルリンチの9行になる見通し。

〈米政府の金融危機対策の骨子〉
・最大2500億ドルの公的資金を金融機関に資本注入。優先株の購入の形で年内に実施。
・大手9行に先行注入
・金融機関の経営者に報酬制限
・連邦預金保険公社(FDIC)は銀行間取引などを保証する制度導入
・中小企業が利用する無利子の決済用預金を2009年末まで全額保護
・米連邦準備理事会はコマーシャルペーパー(CP)を購入

 

米欧で資本注入62兆円

  金融機関への資本注入 銀行間取引の保証など 預金保護
米国
(GDP 1400兆円)
25兆円(2500億ドル) 金融機関の新規債務を保証 当座預金は全額
英国
(290兆円)
9兆円(500億ポンド)
まず大手3行に7兆円
(370億ポンド)
45兆円(2500億ポンド) 上限900万円(5万ポンド)
ドイツ
(340兆円)
11兆円(800億ユーロ) 58兆円(4200億ユーロ) 全額
フランス
(265兆円)
6兆円(400億ユーロ) 44兆円(3200億ユーロ) 全額
欧州合計 37兆円 231兆円  
       
日本(515兆円) 拡充を検討中  − 現状は上限1000万円

(注)1ドル=102円、1ユー口=139円、1ポンド=179円で換算。GDPは2007年、日本を除きlMF調べ


2008/10/23 日本経済新聞夕刊

格付け会社に批判 米下院公聴会 「商業目的を優先」

 米下院の政府改革・監視委員会は22日、金融危機における格付けの役割に関する公聴会を開催し、証人として登場した米ムーディーズ・インベスターズ・サービスや米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など格付け会社トップに対して「(格付け手数料を得るという)商業目的が格付け業務に優先したのでは」と批判が集中した。


2008/10/24 日経

金融監督で「過ち犯した」 グリーンスパン前FRB議長が証言

 「過ちを犯した」――。米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長は23日、下院監視・政府改革委員会で開いた公聴会で、金融危機の震源となった米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)について、金融監督上の不備があったことを認めた。

 4時間にわたる公聴会で、民主党のワクスマン委員長は前議長を「金融市場の規制緩和について最有力の支持者だった」と指摘。証券化商品を活用したサブプライムローンの膨張について「規制を求めなかった点において間違えたのではないか」などと厳しく追及した。

 前議長は証券化商品の大半は金融機関のリスク管理上、うまく機能したと説明したが「金融機関の自己利益の追求が、株主や株主資本を最大限守ることになると思いこんだ点で過ちを犯した」と答えた。

 


October 23, 2008 Time

Alan Greenspan admits to some mistakes
The former Chairman of the Federal Reserve said that he left
interest rates too low, spurring an unsustainable housing boom

Alan Greenspan, the former Chairman of the Federal Reserve, has declared the financial crisis a once in a century credit tsunamiand gave warning that it would lead to mass unemployment.

Mr Greenspan blamed the global economic meltdown on investorsinsatiable appetite for bonds backed by increasingly suspect mortgages. He said: It was the failure to properly price such risky assets that precipitated the crisis.

But Mr Greenspans critics said that he left interest rates too low in the early part of this decade, spurring an unsustainable housing boom.

Speaking at a congressional hearing into the meltdown, Henry Waxman, a California Democrat, said that Mr Greenspan had the authority to prevent irresponsible lending practices that led to the sub-prime mortgage crisis.

Mr Waxman said: You were advised to do so by many others. And now our whole economy is paying the price.

Mr Greenspan admitted that he was partiallywrong in his opposition to tighter regulation, and added that he was in a state of shocked disbeliefthat shareholders were not protected.

Separately, Henry Paulson, the US Treasury Secretary, has rejected criticism that he did not save Lehman Brothers from bankruptcy by protesting that he didnt have the powersto prevent the brokers collapse.

Mr Paulson told The New York Times that it would have been illegal for the US Government to bail out Lehman because the banks assets were so toxic that they could not have acted as collateral for any loan. If someone thinks Hank Paulson could have made the Fed save Lehman Brothers, the answer is no way,Mr Paulson said, pointing out that the recipients of government money had much safer assets.

His comments came as it emerged that the US Treasury is working with the Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC) to devise ways of enticing banks to rewrite the terms of mortgages to help struggling borrowers stay in their homes. The head of the FDIC, Americas banking insurer, said that the two organisations were drawing up plans to offer federal loan guarantees on mortgages. Under the legislation approved to bail out American banks, the Treasury has also been empowered to use taxpayersmoney to guarantee lower repayments.

Dick Fuld, the chief executive of Lehman, was among the biggest critics of the US Governments decision not to bail out the brokerage.

Speaking at a hearing earlier this month into Lehmans collapse, Mr Fuld said that he would wonder until they put me in the groundwhy the Government did not rescue his group.

Mr Paulson retorted yesterday that he had long urged Mr Fuld to find a solution for Lehmans problems. He was asked to aggressively look for a buyer,Mr Paulson said.

The Treasury Secretary said that he made personal pleas to other companies to buy some of Lehmans toxic assets or the entire brokerage but, like Mr Fuld, he was unable to find a buyer.

Mr Paulson acknowledged that he could have seen the sub-prime problems coming earlier. But Im not saying I would have done anything differently,he said.

His detractors argue that Mr Paulson and Ben Bernanke, the Chairman of the US Federal Reserve, wasted valuable time finalising the details of the $700 billion (£434 billion) government bailout.


2008/11/23 Reuters

Bernanke says he erred in gauging impact of martgage crisis

Federal Reserve Chairman Ben Bernanke acknowledged that he underestimated the fallout that the subprime mortgage crisis would have on broader financial sector, according to an article in the latest edition of The New Yorker magazine.

"I and others were mistaken early on in saying that the subprime crisis would be contained,"
Bernanke said in an article in the December 1 issue of The New Yorker.

"The causal relationship between the housing problem and the broad financial system was very complex and difficult to predict," he said, according to the report.

The subprime mortgage crisis, sparked what is seen as the worst financial crisis to hit the world since the Great Depression of the 1930's.


日本経済新聞 2008/11/25

米シティ救済 資産29兆円に政府保証 資金注入1.9兆円追加

 米政府は23日、経営難に陥った米銀行大手シティグループに対して、金融安定化法に基づく公的資金を使った大規模な救済策を発表した。(10月29日に金融安定化法案に基づく250億ドルの資本注入)
 シティが抱える3060億ドル(約29兆円)の不良資産について、損失が発生した場合に大半を政府が埋め合わせることを保証。200億ドル(約1兆9千億円)の資本注入も追加で実施する。金融危機の深刻化を防ぐため、個別の金融機関向けとしては過去最大の公的資金の投入に踏み切る。



シティ救済策概要 配当抑制や報酬制限

・金融安定化法に基づく公的資金から200億ドルを新たに資本注入
・シティが保有する不良資産の3060億ドルについて政府が保証。
 巨額の損失が出た場合に政府は大半を負担
  (シティは290億ドルを損失処理、その後の損失の90%は政府が負担)
・シティは政府保証の手数料として優先株70億ドルを発行し、政府が引き受け(配当8%--当初分は5%)
・シティは今後3年間の配当抑制(1セント/株を超えない)と役員報酬の制限で合意
・政府は金融市場の安定化へ支援を継続。すべての資源を投入する方針を表明

 


2008/11/26

米、追加金融対策 8000億ドル

FRBは11月25日、個人向け信用収縮緩和のため、最大で8000億ドルの追加金融対策を発表した。

・l個人向け金融の円滑化に向けFRBは資金供給の手段を拡大し、総額8000億ドルの対策を策定
・FRBは政府系住宅金融公社が保有する債権や住宅ローン担保証券の買い取りに6000億ドルを用意。
 来週から年内にかけて順次実施
・FRBは自動車ローン、カードローン、小企業向けローンなどを裏づけにした資産担保証券の市場向けに2000億ドルの融資制度を創設。
 数週間内に条件などを決定。
・ポールソン財務長官は信用収縮の緩和を期待し、追加策の可能性を示唆