2003/3/4 旭化成 

韓国・東西石油化学株式会社でのアクリロニトリル増設プラントの商業運転開始について

旭化成株式会社(社長:山本一元)の100%子会社である韓国・東西石油化学株式会社(社長:李均鐵)は、アクリロニトリル(AN)需要増に対応すべく、
年産20万トンのプラント建設を進めてきましたが、このたび商業運転を開始しましたのでお知らせします。
尚、このANプラントの商業運転開始に伴い、副生する青酸を利用した青化ソーダの増強プラント(年産3.9万トン/年)も稼動しましたことを併せてお知らせします。

1. 今回のAN増設の背景

  ANの世界需要は年間約500万tで、そのほぼ半分に当たる量が日本を含むアジアにあり、今後もアジアの需要拡大が期待されています。当社は世界第2位のANメーカーであり、従来から成長市場であるアジアを中心にAN事業を展開してきました。拡大する市場に安定供給を果たすべく、東西石油化学での増設プラント建設に2001年春から着手し、ほぼ当初予定(3月)通りに商業運転開始に至りました。
  東西石油化学は、従来から2系列で年産13万トンのAN生産能力を有してきましたが、今回の増設プラント稼動に伴い、老朽化した1系列(年産6万トン)を停止し、生産能力は年産27万トンとなります。
  旭化成グループとしては、国内の水島・川崎を合わせた年産40万トン、韓国27万トン及び米国5万トンの計72万トンのAN生産能力を有することになり、アジアのみならずグローバルな供給能力及びコスト競争力を高め、AN事業のより一層の強化に繋がるものと考えています。


(ご参考) 東西石油化学株式会社 概要 (増設プラント完成後)

(1)会 社 名 東西石油化学株式会社(Tongsuh Petrochemical Corp., Ltd.,)
(2)資 本 金 506億4千万Won(約50億6千万円)
(3)出資比率 旭化成100%
(4)事業概要 AN(生産能力27万t/年)、青化ソーダ(同3.9万t/年)、
    アクリルアマイド(同1万t/年)、EDTA(同3千t/年)製造販売
(5)代 表 者 (社長)李 均鐵、(副社長)松本 誠
(6)所 在 地 (本社・工場)大韓民国慶尚南道蔚山市

 


(2000/10/26 発表)

     韓国・東西石油化学株式会社でのアクリロニトリル及び青化ソーダ増設について

 旭化成工業株式会社(社長:山本一元)と当社の100%子会社である韓国・東西石油化学株式会社(社長:李均鐵)は、アクリロニトリル(AN)需要増に対応すべく共同で増設の検討を進めてきましたが、このほど東西石化におけるAN製造設備増強を決定いたしましたのでお知らせ致します。今回のAN製造設備は生産能力 20万t/年で、2000年12月に着工致します。尚、本製造設備増強に伴い、同社における青化ソーダの増強(1.5万t/年)を合わせて行い副生する青酸の有効活用を図ることとします。

1. 今回増強の背景・経緯

 ANの世界需要は年間約500万tでそのほぼ半分に当たる量が日本を含むアジアにあり、今後もアジアの需要拡大が期待されております。当社は従来から成長市場であるアジアを中心にAN事業を展開し、拡大する需要増に対応すべく早期の生産体制再構築の検討 を進めて参りました。
 現在当社のAN生産能力は、日本(水島、川崎)40万t/年、韓国・東西石化13万t/年、ソルーシアからの製品引取権5万t、グループ合計で58万t/年ですが、今後のアジア地域の需要拡大に対応するには不十分な状況となっております。
 このような背景から最も早期にアジアの需要拡大に対応することが可能な東西石化におけるAN製造設備増強をスクラップ アンド ビルド(
純能力増14万t)で実施し、合わせて国際的コスト競争力の強化を図ることを決定いたしました。
 尚、本件増設後の当社グループのAN総生産能力は 72万tとなります。

2.AN及び青化ソーダ増強計画の概要

生産規模 :AN20万t/年

20万t設備増設に伴い、現設備1系列・6万t/年を休止予定
これにより東西石化AN生産能力は総計27万t/年となる

青化ソーダ1.5万t/年
増設後の東西石化の青化ソーダ生産能力は4万t/年。
2001年末完成の旭化成(川崎)1万t/年 新設後の旭グループの総生産能力は5万t/年となる。

総投資額 :約100億円(AN及び青化ソーダ合計)
工場立地 :東西石化蔚山(ウルサン)工場敷地内
着工 :2000年12月(2003年3月商業生産開始予定)

<ご参考>
東西石油化学株式会社 概要

会社名   :東西石油化学株式会社(Tongsuh Petrochemical Corp., Ltd.)
資本金   :156億4千万Won(約14億9千万円)
出資比率 :旭化成100%
事業概要 :AN(生産能力13万t/年)、青化ソーダ(同2.5万t/年)、
        アクリルアマイド(同1万t/年)、EDTA(同3千t/年)製造販売
代表者   :(社長)李 均鐵、(副社長)松井 良直
所在地   :(本社・工場)大韓民国慶尚南道蔚山市


(1998年4月23日 旭化成発表)

韓国東西石油化学(株)株式の買い取りについて


 当社は、株式会社韓一合繊(本店:韓国馬山市、代表理事:金重源)との合弁会社 東西石油化学株式会社(本店:韓国蔚山市、代表理事:李相顕、出資構成:当社50 %・韓一合繊50%)について、韓一合繊保有の同社株式全量を買い取ることで、今般、 韓一合繊と合意に達し、契約を調印いたしました。

 東西石油化学は1969年、韓国忠州肥料株式会社と米国スケーリー石油社との折半 出資で設立され、アクリロニトリルの製造、販売を開始致しました。その後1970年 から1975年にかけて、韓一合繊が忠州肥料保有の株式を、当社がスケーリー石油保有の 株式を順次譲り受け、1975年12月より韓一合繊と当社の合弁会社としてアクリロニ トリルや青化ソーダ等の石油化学製品の事業を展開してまいりました。

 今般、韓一合繊は自社の経営体質の強化を図るため東西石油化学の株式の売却を希望し、 当社はアクリロニトリル事業強化のため同社株式の買い取りを希望し、両者のニーズが合致 したため、売買交渉の結果、今回の合意に至りました。株式の正式譲渡については、関係当 局の必要な認可を得次第、実施の予定であります。

 韓一合繊は韓国におけるアクリルファイバーの大手メーカーであり、東西石油化学は今後とも 引き続き韓一合繊向けにその原料であるアクリロニトリルの供給を継続し、両者は協力関係を 維持してまいります。

 尚、当社は東西石油化学を当社のコアビジネスであるアクリロニトリル事業戦略における重要な 生産拠点として位置づけ、一層発展させてゆく所存であります。


(1998/3/5 旭化成 発表)

     米国ソルーシア(Solutia)社のアクリロニトリル計画への参画
            − グローバルオペレーション構築の布石 −

 当社は、米国ソルーシア社の
年産25万トンのアクリロニトリル(AN)プラント新設計画に、年間約5万トンのAN引取権を取得する形で参画することについて、今般、同社と合意に達し契約を調印した。

 当社は、米国BPケミカルズ社に次ぐ年産40万トン(今秋に増設の完了する5万トンを含む) のAN能力を有し、AN事業をコア事業と位置づけてグローバル展開を目指している。そのため、 アセアン市場での生産拠点の構築、また成長が期待される中南米市場と安定的な米国市場への参入を検討していた。

 一方、ソルーシア社は、これまでアクリル繊維やナイロン原料用に不足するANを外部から購入していたが、今回建設する新プラントにより外部購入量を大幅に減らせることになる。また、同プラントの高稼働を維持するため、同社は安定的にANを購入するパートナーを求めていた。

 今回の両社の合意はこうした双方のニーズが合致したものである。
 当社はこれまで、米国は高関税のため、また中南米は高い輸送コストのため、事実上日本からの輸出ができなかったが、今回の参画により両市場をカバーすることが可能となる。

 また、当社とソルーシア社とは、この合意を契機に、今後石油化学事業の分野でより広い協力関係を模索して行く。

 尚、同プロジェクトは、2000年前半の稼働を目途にテキサス州アルヴィンに建設される予定。当社の他に既にバイエル社がABS樹脂用にソルーシア社からANの供給を受けることを決定しており、副生する青酸についても旺盛な需要のある飼料添加剤に関係して米国ノーバス・インターナショナル社が今回の計画に参画することを決定している。

<ご参考> ソルーシア社の概要:

1997年9月1日モンサント社よりファイバー、化学品部門を中心に分離、独立。

売 上 高 : 約3,000百万$
代 表 者 : 会長兼最高経営責任者(CEO) Robert G. Potter
AN能力 : 26万トン/年(米国:テキサス州アルヴィン)

Solutia       http://www.solutia.com/corporate/pages/about/history.asp

Solutia was founded in St. Louis in 1901 as Monsanto Company. For decades, chemicals were the foundation of Monsanto, which eventually expanded beyond its original identity as a local producer of saccharin to become one of the world's leading chemical companies by the 1960s.

Solutia was
created as an independent company on September 1, 1997, after Monsanto shareholders approved the spin-off of the company's chemical businesses. Today, Solutia is a specialty chemicals company with a growth-oriented business strategy that drives our commitment to excellent customer service. A true global enterprise, Solutia has more than $3 billion in annual sales, $4 billion in assets and more than 10,000 employees located at 35 manufacturing sites throughout 13 countries.

Solutia is a major producer for:

Laminated glass and aftermarket applications
Resins and additives for high-value coatings
Specialties such as heat transfer fluids, aviation hydraulic fluids, environmentally friendly cleaning solvents for aviation
An integrated family of nylon products, including high-performance polymers and fibers
Process development and scale-up services for pharmaceutical fine chemicals


2000/8/23 旭化成・三井化学発表

三井化学 青化ソーダ事業の旭化成への営業譲渡について
    --- 旭化成 青化ソーダ事業へ参入 ---

 旭化成工業株式会社(本社:東京、社長:山本一元、以下「旭化成」)と三井化学株式会社(本社:東京、社長:中西宏幸、以下「三井化学」)は、三井化学の青化ソーダ事業の営業権を旭化成に譲渡し、これを受けて旭化成が青化ソーダ事業へ参入することに関し、以下のとおり合意に達しましたのでお知らせいたします。

<背景・経緯>  三井化学は、現在、千葉県茂原工場において、天然ガスを原料として青酸を合成し、それをもとに青化ソーダ(年産能力 11千トン)等の青酸誘導体を事業化している。
 同社では生産拠点の最適化を進めるなか、茂原工場を「工業樹脂、電子情報材料を中心とする製造センター」と位置づけ、青酸の合成から誘導体に至る製品群について再構築すべきとの方針をもっていた。
 一方、旭化成は、現在、神奈川県川崎工場の
アクリロニトリル(AN)プラントから副生される青酸を活用して、MMAモノマーの原料であるアセトンシアンヒドリン(ACH)を生産してきた。1999年1月よりMMAモノマーの製法が直メタ法に転換されたことに伴いACHが不要となるため、これに代わる新たな青酸の誘導体を事業化し、AN事業の競争力を総合的に強化することが課題となっていた。
 今回の営業譲渡は、こうした両社の戦略が一致したことにより実現したものである。

<合意の内容>

1. 三井化学は、2000年10月1日をもって青化ソーダの営業権を旭化成に譲渡する。
   
2. 旭化成は、川崎工場内にAN副生青酸を原料とした年産10千トンの青化ソーダプラントを建設する。今秋より工場建設を開始し、2002年1月稼動を予定している。
   
3. 営業権の譲渡後、旭化成のプラント稼動開始までの間、旭化成は三井化学に生産を委託し、同社の茂原工場で生産する青化ソーダを販売する。取引ルートについては、三井物産をはじめとして、原則として既存の商社を譲渡後も継続して起用していく予定。
   
4. 尚、両社は、この青化ソーダの営業権譲渡を機に、三井化学のメタクリルアマイドの原料として旭化成がメタクリロニトリルを供給する契約を同時に締結する。三井化学は、メタクリルアマイドの製法を、現行のACH法からメタクリロニトリルを原料とするバイオ法へ転換する。

 


日本工業新聞 2002/4/25

三井化学が韓国アクリルアマイド事業を再編

 三井化学は韓国のアクリルアマイド事業を再編する。龍山化学(蔚山市)と龍山三井化学(同)の関係会社2社で同事業を手掛けているが、2003年初めにも龍山三井化学に統合する。生産、販売を一体化することで効率化を実現し、コスト競争力の向上を目指す。アクリルアマイドは紙力増強剤や凝集剤などに使われる。日本市場での需要は横ばいだが、アジアでは2けたのペースで成長している。三井化は今後、龍山三井化学をアジアの供給拠点として育成する。

 
龍山三井化学は三井化学と韓国の化学メーカー、龍山が2000年に折半出資で設立したアクリルアマイド専業メーカー。三井化学として初のバイオ法を採用した製造設備を建設しており、今春からサンプル出荷をスタートし、10月から量産に入る。生産能力は同5000トン。韓国内のほか、アジア地域にも輸出する考え。

 バイオ法は不純物が少ないうえ、濃縮工程が要らないので生産プロセスが簡略化でき、建設コストを約30%削減できるという。

 一方、三井化学、龍山、トーメンが出資する
龍山化学は、銅法によるアクリルアマイド(年産7000トン)のほか、古くから無水マレイン酸などを手掛けている。アクリルアマイドを龍山三井化学に分離統合した後、無水マレイン酸などに事業を特化する。

 三井化学はアクリルアマイドを消費地に立地することを目的に、日本、韓国、
インドネシアの3極で合計5万5000トン生産する体制を整備している。バイオ法を軸にコスト競争力を強化し、アジアでのトップシェア確保を目指す。


2002/10/29 三井化学

韓国アクリルアマイド バイオ法プラント営業運転開始

 当社(社長:中西宏幸)の韓国にある関連会社 龍山三井化学株式会社(YMC)は、蔚山工場にてアクリルアマイド(AAM) バイオ法プラント(生産能力5千t/年)の建設・試運転を進めてまいりましたが、去る10月1日に営業運転に入りました。

 本プラントは、2001年4月着工以降順調に工事が進み、本年3月末完工、その後試運転を順調に推移し、この度設備並びに品質に問題ないことが確認されたため営業運転に入ったものです。

 YMCバイオAAM設備は、当社が遺伝子組替え技術により新開発した酵素を触媒とした設備で、生産能力は5千t/年であります。従来の銅触媒法AAM設備7千t/年と合わせ12千t/年の設備を有することとなります。韓国での生産拠点増強により、日本38千t/年(大阪工場・茂原センター)・
インドネシア 5千t/年(三井エテリンドケミカル)とあわせ3カ国で55千t/年の生産能力を有することとなり、アジアでは最大級のAAMメーカーとなります。

 当社のバイオAAM技術は、プロセスが簡略化されたことにより、コンパクト化並びに建設費の低減ができました。且つ、遺伝子組替え技術により触媒の高活性化が可能となり、AAMの競争力の強化を図ることができました。

 AAM需要は、ダンボールの製造に使われる紙力増強剤や工場排水処理・下水処理等の環境整備に使われる凝集剤で、アジアでは高成長が期待されます。当社では、コア事業であるAAM事業強化の為、拡大する需要をバイオ法AAM設備により生産拠点を整備し、当社の紙力増強剤・凝集剤の誘導品事業展開と一体化して、成長するアジアAAM需要の獲得を目指し事業拡大を推進して行く計画であります。

<龍山三井化学株式会社(Yongsan Mitsui Chemicals,Inc.)概要>

・資本金 :25億won(2.5億円)
・所在地 :本社 ソウル市龍山区葛月洞
 工場  蔚山(ウルサン)廣城市南区
・出資 :三井化学 50%、(株)龍山 50%
・代表役員 :社長 金 基俊   副社長  牛嶋 毅
・設立 :2000年7月
・事業内容 :アクリルアマイドの製造・販売

P.T. MITSUI ETERINDO CHEMICALS

工 場:西ジャワ州 メラク
事業内容:アクリルアマイドの製造、販売。


May 18, 2001 Business Development Asia
http://www.bdallc.com/news/Chemical/pdf/Asian%20Chem%20Newsletter%20June%202001.pdf

Mitsui Chemical of Japan plans to build a 10,000tpa acrylamide plant, adjacent to its existing 35,000tpa acrylamide plant in Merak, West Java. Construction is scheduled to commence in 2002 or 2003, with completion scheduled two years later.


化学工業日報 2001/4/12

ASEANでアクリルアマイド新設備計画−三井化学

 三井化学は、紙力増強剤や合板糊剤などに使われるアクリルアマイドのASEANにおける生産・供給体制を強化する。インドネシア、タイの事業拠点にアクリルアマイドポリマーの設備を相次いで建設する方針を固め、検討に入る。同社は日本、韓国、インドネシアに生産拠点を持つアジア最大のアクリルアマイドのサプライヤーで、さらに韓国の合弁会社でバイオ法の新設備を建設するなどアジア戦略の拡大に乗り出していた。インドネシア、タイのポリマー設備新設もこの一環で、ASEAN地域の需要急成長に対応する。

 


2004/10/07 三井化学

アクリロニトリルの製造・販売からの撤退について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=83363

 当社(社長:中西宏幸)は、来年5月をもってアクリロニトリル(AN)の製造・販売から撤退することとし、当社および当社国内関係会社が必要とするANについては、旭化成ケミカルズ株式会社(社長:藤原健嗣)に生産を委託することと致しましたので、お知らせいたします。

<停止する当社AN設備の概要>
1.製造設備:当社大阪工場内
2.生産能力:59,000トン/年
3.停止時期:2005年5月

<AN生産委託契約の概要>
1.生産委託先:旭化成ケミカルズ株式会社
2.契約の内容
(1)当社及び国内当社関係会社の必要とするANを全量生産委託する。
(2)原料アンモニアは、当社より供給する。

 当社は、現在進めている中期経営計画において事業構造の変革と収益力強化を掲げており、石化・基礎化学品分野においては、国際競争力あるコア事業への選択と集中による収益力の一層の強化を進めております。こうした中、ANは、アジアでは、中国を中心に堅調な需要伸長が見込まれるものの、中国における生産設備の新増設も続いており、需給は緩和の方向にあります。一方、国内では、アクリル繊維等の需要減少が顕著であり、現在の余剰状態が更に一層拡大していくものと思われます。

 このような事業環境において、当社はANの製造・販売から撤退することとしました。一方、当社が得意とするアクリルアマイド等のAN誘導品分野については、AN事業において世界第2位の生産能力を有し競争力の高い旭化成ケミカルズからのAN調達により、引き続き強化・拡大を図っていきます。


日本経済新聞 2006/2/23

旭化成、タイで合弁生産 アクリル原料、最大手に

 旭化成はタイ国営石油会社(PTT)と石油化学事業で提携する。両社で400億ー500億円を投じ、自動車や家電などに使うアクリル樹脂やその原料を製造する工場をタイに建設、2009年に稼働させる。旭化成はアクリル原料の生産規模で世界最大手に並ぶ。原料に石油より割安な天然ガスをPTTから調達。中国、インドで生産が急拡大している自動車産業向け市場を本格開拓する。
 両社は2006年半ばに折半出資会社を設立する。生産するアクリル樹脂とその原料は自動車のランプカバーや内装材などに広く使われる。資本金など詳細は今後詰める。タイ南東部ラヨン県の沿岸地域に建設する工場の生産能力はアクリル原料が年20万トン、アクリル樹脂が同7万トン。
 石化原料には一般的に原油を精製して作るナフサを使うが、新工場では原油産出時に副産物として出るプロパンガスを利用する。PTTの油田からパイブラインで調達する。原油価格の高騰に伴って上がっているナフサ系原料に比べ、原料価格がおよそ半分に抑えられるという。
 旭化成はプロパンガスからアクリル原料を製造する手法を独自開発しており、この新技術をタイ工場に導入する。割安な原料に加え、タイには樹脂の供給先となる自動車部品メーカーの集積が進みつつあることから工場建設を決めた。


2006年2月23日 旭化成ケミカルズ

タイ国PTT社との石油化学事業でのコラボレーションについて
http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2005/ch060223.html

 旭化成ケミカルズ株式会社(東京都千代田区有楽町 社長:藤原健嗣)と、タイ国において天然ガス、石油精製、石油化学事業を展開するPTT Public Company Limited(バンコク市、社長:Prasert Bunsumpun(プラサート・ブンサムパン)、略称PTT 社)とは、アクリロニトリル(AN)とメチルメタクリレート(MMA)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)のタイにおける共同事業化の詳細検討を開始しましたのでお知らせいたします。両社は、同時にこれら以外においても、更なる提携、共同事業化について検討を進めることにも合意し、その可能性について協議を始めております。

1. 背景
  旭化成グループは、現在策定中の新中期経営計画において、 「成長へのギアチェンジ」をキーワードとしています。 旭化成ケミカルズもこの方針に基づき、競争優位事業・製品について集中的に資源を投入し、 グローバル市場において積極拡大を図る方針です。とくに今後需要拡大が見込まれるアジア市場は、 戦略的に極めて重要な市場と位置付けています。
 エネルギー資源の高価格時代が継続することが予見される中、 強固な原料基盤、インフラを構築することが、石油化学事業を拡大していくために 極めて重要な課題となっており、当社は、このための有力なパートナーを求めていました。
 PTT社は、タイ国工業省傘下の国営企業を前身として2001年に設立されたタイ国最大の民間企業です。 天然ガス田の開発、石油精製、石油化学事業を展開しており、 特にダウンストリームとしての石油化学事業の基盤強化・拡大を積極的に進める方針です。 このため、グローバルに優位性ある多くの製品、技術力、マーティング力を有する当社との提携に強い関心を示してきました。 今回、両社のニーズが一致し検討を進めることになりました。
   
2. AN、MMAのプロジェクトについて
(1) ANの共同事業化の検討
以下の基本スキームを前提に共同事業化の詳細検討を実施する。
1. 事業化形態 : 製造・販売合弁会社
2. 出資比率 : 未定
  *本計画には丸紅梶i東京都千代田区大手町 社長:勝俣宣夫)も資本参加する意向
3. プラント能力 : 年産20万トン
  *旭化成ケミカルズとして、 これにより約100万トン/年(関係会社含む)の能力規模となり、
    世界最大手のIneos Nitriles社(米国、旧BP chemicals)と同等の規模を確立
4. 目標稼働時期 : 2009年末
5. 採用技術 : 当社が独自開発したプロパン法ANプロセスを採用
  *プロピレンを原料とする従来のANプラントに対し コスト優位性を確保(商業プラントとしては世界初)
6. 原料供給 : プロパンはPTTが供給

(2) MMAおよびPMMAの共同事業化の検討
以下のスキームを前提に共同事業化の詳細検討を実施する。
1. 事業化形態 : 製造・販売合弁会社
2. 出資比率 : 未定
3. プラント能力 : MMA年産7万トン、PMMA年産2万5千トン
4. 目標稼働時期 : 2009年末
5. 採用技術 : ACH法MMAプロセス
  *上記ANプラントからの副生する青酸を活用することにより高いコスト競争力を確保する
6. 原料供給 : アセトンはPTTが供給
   
3. 提携事業の拡大検討について
  両社は、AN、MMA以外の事業、製品、技術についても、 提携、共同事業化の可能性について広範な視点で検討することとし、そのための協議をスタートしております。
     
[参考]
PTT Public Company Limitedの概要
(1) 本 社 : 555 Vibhavadi Rangsit Rd., Chatuchak, Bangkok, Thailand
(2) 社 長 : Prasert Bunsumpun
(3) 設 立 : 2001年10月
(4) 事業内容 : 下記の3グループに大別される。従業員4,807人(関係会社含む)
1. Oil Business Group (売上高:下記の26%)
   原油の採掘・輸入。LPG、ガソリンの輸出入、販売等
2. Gas Business Group (売上高:下記の62%)
   天然ガスの採掘および分離生産・販売等
3. Petrochemical & Refining Business Group(売上高:下記6%)
   石油精製および石油化学(エチレン、プロピレン等)
   エチレン生産能力 年産約110万トン
(5) 資本金 : 184,915百万バーツ(約5千2百億円)(2004年末)
(6) 売上高 : 644,673百万バーツ(約1兆8千億円)(2004年)


日本経済新聞 2007/2/2

旭化成 プロパンから樹脂原料 
 韓国で量産 タイに350億円投資

 旭化成は主力のアクリル繊維や樹脂の原料を新たに開発した独自製法で量産する。原油ではなく低コストのプロパンガスから生産する世界初の技術で、製造コストの低減が見込めるほか、基礎原料の調達が容易になり、増産しやすいメリットがある。まず韓国で商業生産を開始。約350億円を投じてタイに建設する計画のプラントでも新製法を採用。新製法をテコに2010年には年産能力95万トンと世界首位を目指す。
 新製法で量産するのはアクリル繊維のほか、合成ゴムや家電の外装品原料から電子部品の素材まで幅広く利用されているアクリロニトリル(AN)。ナフサ(粗製ガソリン)から作る基礎原料(プロピレン)とアンモニアを反応させて量産するのが一般的だが、原料の原油価格が上昇。さらにプロピレン製造時に副産物が大量に出るため、調達が容易ではなく、増産の制約になっていた。
 旭化成が実用化したのは、プロパンガスに独自の触媒を反応させることでプロピレンを用いずANを直接量産する「プロパン法」。原料のプロパンガスは現在、プロピレンの半値程度で、量産が軌道に乗れば製造コストも引き下げることができる見通しだ。
 品質やコスト面で本格量産のメドが付いたため、韓国の石化子会社、東西石油化学(蔚山広域市)で1月20日から年産約5万トン規模の商業生産を開始。週内にもアジア地域の顧客企業に出荷を始める。タイでは国営石油会社(PTT)と合弁で事業化する計画で、350億円をPTTと折半出資、年産20万トンのプラントを新設する。10年の本格稼働が目標。
 PTTとは150億円を投資して他の化学製品も生産する方針。詳細は今夏をメドに詰める。
 原油価格の上昇を受けて住友化学がサウジアラビアで石油精製・石油化学の合弁事業に着工するなど、化学メーカーの原料産出国への進出の動きが増えている。旭化成はPTTからタイ産のプロパンガスを現地調達し、中東勢が低価格のプロピレンを武器にして生産を拡大するのに対抗する。


2007年2月2日 旭化成ケミカルズ 

プロパン法アクリロニトリルプラント稼働について

 旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:藤原 健嗣)では、子会社の韓国東西石油化学(本社:蔚山広域市 社長:李 均鐵)でのプロパン法アクリロニトリル(AN)の実証及び商業運転を開始しましたのでお知らせいたします。

 プロパン法ANの製造技術は、当社が独自開発した世界で初めてのプロパンから直接ANを製造する技術です。当社の子会社の東西石油化学の1系列に導入し、実証並びに商業化運転を計画し進めてきましたが、この度計画通り新技術のプラントをスタートさせることに成功しました。
   
1.本技術の意義
 旭化成グループは、昨年作成した中期経営計画「Growth Action - 2010」においてANを戦略的拡大事業と位置付け、需要拡大が見込まれるアジア市場を中心としたグローバル市場において積極的に拡大していく方針です。
 プロパン法ANの製造技術は、今後エネルギー資源の高価格継続が予想される中、原油とは異なるガスを出発原料とすることで原料調達に新たな選択肢を加えることになり、事業の基盤強化に繋がるとともに競争力あるAN生産を実現する技術です。
 当社は、タイにおいてプロパン法ANのプラントを建設する計画を推進中ですが、今回の実証をもってその具体化に向け注力していく所存です。
 
2.東西石化でのプロパン法AN実証・商業運転概要
(1)工場立地: 東西石油化学蔚山工場にて既存AN2系列(年産23万トン、同7万トン)のうち
          小規模系列を改造し実証・商業運転を実施。
(2)稼働開始: 2007年1月20日

 
【ご参考】
(1)本社: 韓国蔚山広域市南區夫谷洞 154
(2)社長: 李 均鐵
(3)設立: 1969年
(4)事業内容: AN及びアクリルアマイド、青化ソーダ、EDTA等ANの副生品・誘導品事業の製造・販売
(5)資本金: 506億ウォン(2005年度)
(6)株主: 旭化成100%
(7)売上高: 3,578億ウォン(2005年度)


日本経済新聞 2007/4/6

旭化成、中東でも生産 高機能樹脂の原料 2011年にも拠点

 旭化成の蛭田史郎社長は5日の記者会見で、家電製品などに幅広く使われる高機能樹脂の原料、アクリロニトリル(AN)の生産拠点を2011−12年をめどに中東で稼働する方針を明らかにした。投資額は数百億円規模とみられる。進出先や合弁企業の相手を現在選定している。家電分野などでの急激な需要拡大に対応する。
 ANは家電製品の外装や自動車部品などに使うABS樹脂や、アクリル繊維の原料として幅広く使われる。旭化成は中東で年20万ー30万トン規模の工場を合弁事業の形で新設する方針で、「複数の相手と交渉中」(蛭田社長)という。
 ANはナフサ(組製ガソリン)から造る基礎原料(プロピレン)を原料に使う。中東では安価な基礎原料を安定的に調達できるため、旭化成はAN事業で中東進出を模索していた。
 ANは旭化成の主力事業の一つで、現在は日本や韓国の3拠点で世界2位の年75万トンの生産能力を持つ。10年までに約350億円を投じてタイに年20万トンの合弁工場を開設する計画も進めており、中東の拠点が稼働すれば総生産能力は世界首位となる。


2008/3/19 旭化成

タイでのANおよびMMAプラントの建設決定について

旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤原 健嗣)は、PTT Public Company Limited(本社:タイ国バンコク市、社長:Prasert Bunsumpun(プラサート・ブンサムパン)、以下PTT社)および丸紅株式会社(本社:東京都千代田区、社長:勝俣 宣夫)との合弁により、タイにアクリロニトリル(AN)およびメチルメタクリレート(MMA)のプラントを建設することを決定しましたので、お知らせいたします。

1 今回のプラント建設の意義
   当社のAN事業は、今後成長が見込まれるアジア市場においてNo.1、世界でもNo.2の生産能力を有しており、旭化成グループの中期経営計画「Growth Action 2010」の中でも、グローバル拡大事業として重点的に経営資源を投入し、積極的に拡大していく方針です。
 今回建設する
ANプラントでは、当社が世界で初めて開発したプロパン法AN製造プロセスを採用します。この技術は、プロピレンを主原料とする既存のプロピレン法AN製造プロセスに比較し、価格競争力のあるプロパンを主原料に使用することから低コストでANを製造することができます。さらに本プラントは、PTT社から安定的に競争力あるプロパンの供給を受けることにより、グローバル市場において圧倒的なコスト競争力を確保することができ、当社のAN事業拡大戦略を実行する上で重要なプラントとなります。
 なお、タイでの
ANプラントの建設は、当社AN事業の世界No.1を実現する第一ステップとなりますが、さらに世界No.1ポジションを目指し、中東において2010年代前半の稼動を目標に次期プラント計画の検討を進めています。
 また、今回同時に建設する
MMAプラントについても、ANプラントから副生する青酸を活用できるACHを採用することで、高いコスト優位性を確保することが可能となります。このプラントを拠点として、成長市場であるアジアでの拡販、シェアの拡大を積極的に推進する計画です。
 
2. ANMMAの事業計画概要
  1AN事業計画
 
  1) 生産能力・製法: 年産20万トン・プロパン法
  2) 立地: タイ国ラヨーン県・マプタプット工業区内
  3) 原料調達: プロパンはPTT社が供給、アンモニアは輸入
  4) 工期: 2008年夏着工、2010年末稼動(予定)
  5) 製品販売: タイ国内は合弁会社が販売、タイ国外は当社が引取り販売
  6) 売上規模: 400億円(予定)
   
  2MMA事業計画
 
  1) 生産能力・製法: 年産7万トン・ACH
  2) 立地: ANプラントと同様
  3) 原料調達: アセトンはPTT関係会社のPTTフェノール社から調達
  4) 工期: ANプラントと同様
  5) 製品販売: ASEAN地域は合弁会社が販売、ASEAN以外は当社が引取り販売
  6) 売上規模: 180億円(予定)※硫安(年産16万トン)販売を含む
   
  3)投資額
   本プロジェクトの総事業費は約75千万ドル(約800億円)、うち半分はプロジェクトファイナンスで調達し、当社の投資額は約200億円となる予定です。この投資は、「Growth Action ? 2010」で掲げる旭化成グループの戦略投資の一環となります。
 
<参考>
  1)合弁会社概要
 
  1) 会社名: PTT Asahi Chemical Company LimitedPTTAC社)
  2) 社長: Pailin Chuchottaworn
  3) 設立: 20068
  4) 所在地: タイ国バンコク市
  5) 登録資本金: 12,400百万バーツ(約400億円)
  6) 出資比率: 旭化成ケミカルズ48.5%,PTT48.5%,丸紅3.0
 
  2PTT Public Company Limitedの概要
 
  1) 社長: Prasert Bunsumpun
  2) 設立: 200110
  3) 事業内容:
下記3つに大別される。
  a Oil Business Group
    石油の生産および輸出入、LPG、ガソリン等の販売
  b Gas Business Group
    天然ガスの採掘、販売および分離生産
  c Petrochemicals and Refining Business Group
    石油精製および石油化学製品の生産
  4) 資本金: 398,652百万バーツ(約1兆3千億円、2007年末時点)
  5) 売上高: 1,495,806百万バーツ(約49千億円、200712月期)