日本経済新聞 2003/3/26

新薬の開発体制 効率化
   大日本製薬 管理システム導入
   三共    世界規模でチーム

 製薬各社が新薬の研究開発体制の効率化を加速し始めた。開発作業の管理システムの導入や世界規模での指揮系統の一本化などで、開発期間の短縮を目指す。世界的に新薬開発競争が激化するなか、欧米の製薬大手に比べて規模の小さい日本企業は研究開発費の絶対額で劣るため、効率向上で対抗する。

 大日本製薬は研究開発の管理システムを導入し、現在8−10年の新薬開発期間を5年に短縮する。進行状況やスケジュールを一元管理し、問題発生時の影響などをシミュレーションするシステムも使い、開発の遅れを防ぐ。研究や開発、生産、営業の担当者を集めて一つの新薬候補を担当する制度も導入した。
 塩野義製薬は大型新薬に育つと期待できる化合物に、管理番号を優先的に割り振る仕組みをつくった。動物実験などで薬の効果や毒性を確認する前臨床の段階から番号を管理することで、重要な化合物についての各試験を前倒しする。すでに抗肥満薬や抗エイズ薬など6つに新しい番号をつけた。これまでは人体を対象にした臨床試験入りが確実になった段階で管理番号を付けていた。
 三共は今夏をめどに日米欧の研究開発や営業などの関係者が地域や組織の壁を超えて協力できるよう、全社的な開発戦略会議やグローバル開発チームを設ける。指揮系統一本化で、開発期間を6年に縮める。
 第一製薬は日米欧の臨床開発計画を決定する責任者を本社に配置した。
 武田薬品工業は国内外の大学の研究者や專門の医師など社外の学識経験者による諮問機関を設置。研究の早期段階から社外の意見を採り入れて効率的な開発につなげる。

 費用のかかるゲノム創薬や海外での臨床試験の増加で、各社とも研究開発費負担が重くなっている。売上高に対する比率が20%を超える例もでている。統合予定の米ファイザーとファルマシアの年間研究開発費は約8千億円に達するのに対し、日本企業は最大手の武田でも1200億円にとどまっている。

製薬各社の開発効率化策

武田薬品工業 社外の学識経験者による諮問機関を設置
三共 全社的な開発戦略会議やグローバル開発チームを設置
山之内製薬 ゲノム解析の成果などを素早く新薬候補物質探しに生かすため化学合成
などの分野に人材を重点投入
エーザイ 米国内で分散していた研究所を2006年をめどに統合
第一製薬 日米欧の臨床開発計画を決定する責任者を本社に配置
三菱ウェルファーマ 合併2社で重複、類似する研究テーマを整理
塩野義製薬 重要な化合物に前臨床の段階から開発番号を付与し管理
大日本製薬 研究開発の進行状況やスケジュール を一元管理できるシステムを導入

日本経済新聞 2003/3/26

新薬の開発支援 三菱商事が開始         
同様のシステム

 三菱商事はオランダの
クリスタリクス社(アムステルダム)と提携し、製薬会社向けに新薬開発を支援するサービスを始める。化学的な組成が同一の化合物でも、結晶の形が異なれば体内への吸収のしやすさなどに大きな差が生じ、薬としての効き目が変わってくる。両社はどの結晶が新薬に最も適しているかのデータを提供する。
 製薬会社が独自に選別するには3−5カ月の時間が必要だが、同社に委託すれば1−2カ月に作業が短縮できるという。三菱商事は日本でのサービス窓口になり、国内製薬会社にサービスを売り込む。1つの化合物当たりのサービス料金は1千万−2千万円。すでに3社が利用の意向を示しているという。


化学工業日報 2003/3/26

 三菱商事は、蘭アバンティウム・テクノロジーズの子会社であるクリスタリクスと結晶の多形解析サービスにおいて、日本代理店契約を締結した。ハイスループット技術により結晶多形を大量に高速自動分析し、最適形を探索するもので、欧米では米ファイザーや英グラクソ・スミスクラインなどの受託実績を持つ。三菱商事は国内製薬大手2社と契約交渉に入り、当面、年商数億円規模の事業に育成する。

   Avantium Technologies : http://www.avantium.com/


Crystallics       http://www.crystallics.com/

Crystallics focuses on high throughput crystallization and structure determination of small molecular compounds. In this area, Crystallics has developed and continues to develop novel technology aimed at rapid and automated discovery of new salt and polymorphic forms followed by the optimization of the crystallization conditions.

Crystallics has all the expertise and technology needed to perform rational salt and polymorph screening, evaluate enantiomer separations and determine crystal structures. Crystallics is embarking on cutting-edge discovery research programs in co-operation with strategic partners in Industry and Academia.

Crystallics has become a key player in the field of polymorph screening and continues to develop its expertise to challenge today's technology and concepts.


2001.07.05   http://homepage2.nifty.com/ccsnews2/2001/3q/2001_3Qctclssymyxcontract.htm 

CTCLSがコンビナトリアル材料科学の研究システムを発売
   米シミックスと提携、不均一計触媒・ポリマー重合触媒開発用など

 伊藤忠テクノサイエンス(
CTC)グループのCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、コンビナトリアル材料科学の大手技術会社である米シミックステクノロジーズ(本社・カリフォルニア州、スティーブン・ゴールドビー社長)と国内における代理店契約を締結、シミックスが開発した材料開発のためのハイスループットスクリーニングシステム「ディスカバリーツールズ」の販売を開始した。新規な不均一系触媒とポリマー重合触媒を短期間で開発するための実験装置とソフトウエアツールがパッケージ化されたシステムで、自動化された環境で年間5万−6万件の実験を行うことができるなど、研究の探索範囲を従来の何100倍にも広げることが可能。世界初の商用システムであり、国内での反響も注目される。

 シミックスは
1994年に設立され、1996年から実際に活動をはじめた企業で、コンビナトリアル材料科学の受託研究ビジネスを主体にしている。現在、17社の顧客があり、アプリケーションは触媒、DNA分離膜、X線蛍光体、熱伝導材料、燃料電池、電極材料など幅広い。

 今回、
CTCLSが販売する「ディスカバリーツールズ」はシミックスがそれらのプロジェクトで実際に使用してきた研究環境を外販しようというもので、いまのところ「HetCatシステム」「ポリオレフィンシステム」「ポリマー特性システム」の3種類が製品化されている。来年には、医薬品製剤設計のプレフォーミュレーション分野で利用できる結晶多形関連のシステムが追加される。

 「
HetCatシステム」は不均一系触媒を対象にしたもので、触媒の配合などを調整してサンプルのライブラリーを作成し、それを実際に分注して、一次スクリーニング、二次スクリーニングを行い、候補物質を絞り込むまでの研究プロセスを自動化するためのソフトウエアと実験装置で構成されている。一次スクリーニングでは同時に256個のサンプル(数100から数10マイクログラムの微量サンプルを使用)の触媒活性を評価でき、二次スクリーニングでも同時に48サンプルの評価が可能。このシステムで年間6万件のスループットが得られるという。

 「ポリオレフィンシステム」は、オレフィン系ポリマー用の重合触媒を対象にしており、最大
96個の反応器を並べて実際にそれぞれの触媒候補物質でポリマーを重合(生成量は約7ミリグラム)させ、できたポリマーの分子量や融点、ガラス転移温度などの特性を評価することで触媒のスクリーニングを行う。年間48,000件の重合実験、同75,000件の解析を行う能力がある。

 
3つ目の「ポリマー特性システム」は、ポリマー自体の特性評価を微量サンプルにてハイスループットで行うシステムで、現在はねじれと弾性率、ゆらぎを計測することができるという。

 これらのシステムはすべてシミックス社が独自にデザインして開発したもので、消耗品も含めてシミックスから購入しなければならない。システムの価格は一式で
25,000万円から。標準的な構成をフルシステムで組むと、HetCat7億円、ポリオレフィンシステムで10億円ほどになるということだ。CTCLSでは、今後3年間に触媒などの化学向けで10セット、来年の結晶多形システムなどの医薬向けで10セットの販売目標を立てている。

 なお、シミックスのウェブサイトの情報によると、すでにダウケミカル、エクソンモービル、
IMP(メキシコの石油研究機関)、アベンティス、ギルサ(米のポリマー技術会社)、住友化学工業がすでにディスカバリーツールズを発注している模様。

 コンビナトリアル材料科学のノウハウを持つ企業は、シミックスのほかにドイツの
hteオランダのアバンティウムがある。あとの2社はやはり受託研究がメインで、システム商品を外販するのは今回のシミックスが初めてである。

 


化学工業日報 2003/3/26

 CBC、創薬支援事業を強化へ    

 CBCは創薬支援ビジネスを今2−3年での強化事業と位置付けた。薬事法改正により、アウトソーシングの傾向が強まると見込んでおり、一貫したソリューション作りに力が加わっているもの。そのひとつとして今年2月、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(米国・ミシガン州)の医薬製造受託事業部門である米国ダウファーマと、日本およびアジア一部地域での医薬製造受託活動において総代理店契約を締結した。それにより、創薬支援による臨床試験から工業生産までの新たな事業領域が大きく広がっている。

   CBC: 1999/2 中外貿易から改称  
http://www.cbc.co.jp/


2003/03/26 藤沢薬品工業

「藤沢クリニカルサプライ株式会社」設立のお知らせ

 当社は国内事業基盤強化策の一環として、治験薬製造業務にかかわる全額出資の子会社「藤沢クリニカルサプライ株式会社」を本年4月に設立しますので、お知らせします。

 現在、フェーズI及びII段階の医薬品の治験薬は、相当程度当社の大阪・加島地区研究所において内作していますが、今後開発プロジェクトの増加により、研究部門では、治験薬製造業務が増大していくとともに、創製された新規化合物の製造ノウハウ開発、処方設計などの研究業務量の増大が見込まれています。

 このような状況に対応するため、当社は治験薬製造業務にかかわる子会社「藤沢クリニカルサプライ株式会社」を設立します。同社は、当社との密接な技術連携により高い品質の治験薬を迅速かつ柔軟に提供することを目指します。また、治験薬製造業務を同社が行うことにより、当社の研究部門は上述しました業務に専念することが可能となり、当社の課題である製品創出力の向上と開発期間の短縮に貢献することになるものと考えています。

 「藤沢クリニカルサプライ株式会社」の概要は、下記の通りです。 

1.社 名 「藤沢クリニカルサプライ株式会社」
2.所在地 大阪市淀川区加島2−1−6藤沢薬品工業(株)内
3.資本金 10百万円
4.代表者 代表取締役社長 平林 敏 (現 藤沢薬品工業(株)研究本部次長)
5.従業員数 39名
6.設 立 2003年4月1日
7.事業内容 主にPI〜PII段階の治験薬供給
  ・治験原薬の製造
  ・治験薬の製造(製剤・包装)
    治験薬の製造施設・設備・機器の維持管理

 


日本経済新聞夕刊 2003/3/26

心筋梗塞など 投薬効果IT予測
 京大中心にシステムづくり 新薬の開発短縮

 京都大学は4月から、日本IBM、堀場製作所、日本新薬と組み、薬の投与で人体の細胞や臓器がどう反応するかをコンピューターで予測するシステムの開発を始める。投薬による心筋梗塞予防などに役立てることも可能とみられる。薬の効果を予測できるため、動物実験を減らし、新薬開発期間も短縮できる。
 京大は医学研究科の野間昭典教授らが代表となり、医学、薬学、情報学、工学などの研究者がプロジェクトチームを組んだ。大阪工業大学、立命館大学、京都府立医科大学も協力する。2008年を目標に技術を確立する。
 野間教授が1999年に発表した心筋細胞のモデルを利用する。このモデルは特定の細胞に化学反応を起こした際、細胞がどのように動くかを様々な条件で解析できる。データベースを構築し、生体機能を予測するシステムを完成させる。
 薬を投与した場合の副作用も調べられ、通常は半年以上かかる新薬開発の動物実験をなくし、開発費用を減らせる。システムの開発にかかる事業費は約18億円。京大は2008年までに新薬開発などによる関連産業の売上高増など累計500億円以上の経済効果が見込めるとみている。
 日本IBMはコンピューターによる機能予測、堀場製作所はソフト開発や検証作業、日本新薬は新薬開発を担当する。今後も情報技術(IT)、医用機器、製薬関連企業の参加を募る。
 バイオとITを融合した研究は食品や医薬品の新しい開発手法として注目されている。政府のバイオテクノロジー戦略会議の予測では2010年の国内市場規模は2兆2千億円と2001年の75倍。京大など産学の主要機関による共同研究で、バイオとITを融合した技術の商用化に弾みがつくとみられる。
 慶応義塾大学や大阪大学などもこの分野の研究に乗り出し、遺伝子やたんぱく質の解析など基礎研究を進めている。京大などは医療応用に近い研究に取り組む。
         


日刊工業新聞 2003/3/27

インテージ、臨床支援事業を集約−新会社設立

 
インテージは26日、臨床試験支援(CRO)事業の集約・統合を図るため、4月1日付で新会社「アスクレップ」を設立すると発表した。これまで臨床試験のデータ解析業務を行っていた同社のメディカルソリューション事業部と、臨床試験のモニタリング業務を行っている全額出資の子会社であるIBRDジャパンを統合する。重複分野をなくし、治験に関する業務を総合的に請け負う体制を整える。3年後をめどに、新会社だけで売上高36億円を目指す。

 新会社の資本金は1億5000万円。社長にはIBRDジャパン取締役臨床開発統括本部長の薫卓(かおる・たかし)氏が就任する。

 統合により、発注側の製薬会社にとっては開発期間の短縮化が実現できるメリットがある。


潟Cンテージ          http://www.intage.co.jp/

資本金   16億8140万円
創 業   1960年(昭和35年)3月
代表者   代表取締役社長 田下 憲雄
従業員   980人 (連結1,211人)
年 商   224億円 (連結233億円)

事業内容

 IT-Oriented Marketing Research
  国内最大のマーケティング・リサーチ企業として、膨大なセンサスデータと利用目的に則したサンプリングデータを収集。個々の情報を評価、分析、高度加工するデータハンドリング能力に先端ITを融合し、顧客の戦略策定、意思決定を支える「知的情報」を提供します。また、これら情報提供から活用までの仕組みをシステム化して提供することで、顧客の業務改革を支援しています。
   
 Marketing-Oriented Systems Solutions
  ひとつひとつ異なる顧客の情報環境・課題を見据えた多種多彩 なITソリューションサービスを通じて、CRM、SCMなど顧客の利益を極大化・顕在化する知的資産としてのシステム環境を実現します。また、今後はインターネット時代の情報戦略に不可欠なデータマイニング、OLAPなど、INTAGEの強みであるマーケティング技術(データ分析・評価力)を生かした分野に注力し、顧客のビジネスモデル改革を支援していきます。
   
   
 *CRO(医薬品開発受託機関)
  医薬業界へのソリューション・サービスをベースにして豊富な業務ノウハウをもとに、医薬品メーカーから医薬品の開発業務を受託するCRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)事業を推進しています。システム機能・情報活用機能を生かし、単なるメーカー代行業ではなく、ソリューション型CROを追求し、臨床第T相試験から市販後調査に亘る次のようなCRO業務に対応しています。

■ 臨床試験・市販後調査のデータマネジメント
■ データセンター
■ 統計解析
■ 試験デザイン(治験実施計画書、症例報告書等の作成支援)、治験総括報告書・論文の作成
■ 申請資料等の作成
■ 臨床試験支援システムの開発とコンサルテーション


日本経済新聞 2003/3/29

中国・蘇州で原薬加工 エーザイ、営業担当も2割増

 エ−ザイは中国での医薬事業を強化する。蘇州工場に原薬を錠剤に加工する製剤設備を導入するとともに、営業を担当する医薬情報担当者(MR)を来年に2割以上増やす。製造から販売までの一貫体制を整え、急成長が続く中国市揚の開拓を急ぐ。
 製販子会社である衛材製薬(蘇州市)の工場に抗かいよう剤「パリエット」の製剤設備を着工、来年前半をメドに稼働させる。現在は日本でつくった錠剤を包装する作業を受け持っているが、製剤工程も現地に移すことになる。将来は同工場から他のアジア諸国・地域に製品を輸出する。
 エーザイは中国に約150人のMRを配置し、沿岸部を中心とした約50都市で医薬品を販売している。来年には現地採用で30−40人を増員。2006年度には約250人に増やし、内陸部を含む約100都市で営業する体制にする。製販強化により、2006年度に現地売上高を2002年度の約6倍の200億円とする計画だ。中国では医薬品市揚が年率1割前後伸びている。


2003/03/31 三共

ヘルスケアベンチャーファンドへの資金拠出に関するお知らせ

 三共株式会社(東京 中央区社:藤鉄雄)は、このほど欧米のライフサイエンス企業へのアプローチをより充実させるための一環として、ヘルスケアベンチャーファンドへの資金拠出を開始することになりましたのでお知らせします。

 当社では、他社に先駆け1999年に米国サンディエゴにSankyo Pharma Research Institute(SPRI)を開設し、創薬に結びつく新しい研究シーズの情報収集を積極的に行なっております。

 今回のヘルスケアベンチャーファンドへの投資開始は、ここ数年来の情報収集活動を強化するものであり、優秀な投資成績を得るだけでなく、
トーマスワイゼルパートナーズ社(*英文名称:Thomas Weisel Partners以下、TWP社)の情報収集能力と投資効果予測能力、三共研究所の評価能力、SPRIの評価機能とを有機的に結びつけることにより、画期的新薬の創出に向けた創薬ターゲットや技術のより効果的な導入が可能になるものと期待しております。

 本ファンドは、全米におけるバイオ・ヘルスケア業界のファイナンス分野で多くの実績があるTWP社の組織及び人的ネットワークという独自の新ルートを活用し、主に有望な初期段階の米国バイオ・ライフサイエンス企業群に投資するといった新しいスキームによるものです。

 (ファンド名称:トーマスワイゼル・ヘルスケア・ベンチャー・パートナーズ・エルピー 
  *英文名称:Thomas Weisel Healthcare Venture Partners,L.P.)

 ファンドの管理は、ジェネラルパートナーであるトーマスワイゼル・ヘルスケア・ベンチャー・パートナーズ・エルエルシー(TWP社の子会社*英文名称:Thomas Weisel Healthcare Venture
Partners,LLC)が行い、同社内に設立される投資委員会で投資先企業等が選定されます。

 今回、製薬企業である当社に対しては、特別にファンドの主要資金拠出者として「優先的共同出資権」が付与されます。「優先的共同出資権」とは、TWP社が本ファンドの投資先企業の詳細情報を、当社に限定して提供するとともに、本ファンドが出資する企業への共同出資権を当社に限定して優先的に付与するというものです。
 これにより、投資先企業の未公開詳細情報の入手と共同研究パートナーの早期発掘が期待されます。

ファンドの概要

名称 トーマスワイゼル・ヘルスケア・ベンチャー・パートナーズ・エルピー
     (米国デラウェア州に立される投資事業組合)
参加者      : 主要参加者
  (1)業務執行組合員(ジェネラルパートナー)
    トーマスワイゼル・ヘルスケアー・ベンチャー・パートナーズ・エルエルシー
    (デラウェア州法上の有限責任会社でTWP社の子会社)
  (2)最初の一般組合員(リミテッドパートナー)
    ・三共
    ・その他投資家
  (3)加の一般組合員(リミテッドパートナー)
    最初のパートナーが登録された日から最長180日以内の最終クロージングまでの期間で、ジェネラルパートナーは追加拠出を受け入れる権限がある。
投資期間 10年間
(但し、一般組合員(リミテッドパートナー)の85%の賛成により更に延長が可能である)         
当社投資額 75百万ドル
尚、本ファンドの総額ファーストクロージング(*)では約120百万ドルが予定されております。
    (*)最初の一般組合員(イニシャルリミテッドパートナー)が契約調印を行なうこと


TWP社の概要

設立 1998年10月、トーマスワイゼル氏によりサンフランシスコに設立
資本金 240百万ドル
所在地 サンフランシスコ、ニューヨーク、ボストン、ロンドンにオフィス設置
事業内容 米国の成長企業(IT・バイオテク等)を対象とした「リサーチ業務」と「投資代行業務」
従業員数 約500名



日本経済新聞 2003/4/1

医薬品の臨床試験 医療機関を支援 エア・ウォーター

 工業ガス大手の
エア・ウォーターは医薬品の臨床試験をする医療機関の支援事業に参入する。同分野の大手企業と共同出資し、4月1日付で新会社を設立する。新薬の治験などを手掛ける医療機関からの需要が伸びており、同社は全国350の医療用ガスなどの営業拠点を活用する。
 設立するAWIメディカルサポート(東京・港、資本金8千万円)にはエア・ウォーターが51%、支援事業大手の
アイロム(東京・品川、森豊隆社長)が49%を出資。医療機関に代わり、薬剤師などを派遣して患者からの同意を得る作業をしたり、スケジュールを管理する。設立3年目に10億円の売り上げを目指す。
 エア・ウォーターは医療用ガスや医療用具の滅菌事業などを手がけ、2002年度の医療関連事業の売上高は約260億円。新事業参入をテコに早期に300億円に拡大したい考え。


株式会社アイロム  http://www.irom.co.jp/  

所在地   東京都品川区大崎1-11-2
設立年月日   平成9年4月9日
資本金   4,500万円


日本経済新聞 2003/4/2

先端医療技術に特許 日立など出願準備 年内にも第1号
 「再生」「遺伝子」開発に弾み

 皮膚の再生医療や遺伝子治療など先端医療技術を対象にした国内初の特許が年内にも誕生する見通しとなった。特許庁が審査基準を作成し、夏にも受け付けを開始するのを受け、日立製作所やオリンパス光学工業などが出願に踏み切る。成長分野と期待されている先端医療技術で、すでに特許を認めている米欧に対抗、日本企業の技術開発に弾みを付ける。
 日本では医薬品や医療機器の特許権は認められるが、診断や治療、手術など一連の医療行為は産業利用になじまないとの理由で特許の対象になっていない。ただ最近は、患者から採り出した細胞を医師以外の第三者が培養する加工技術や、遺伝子治療などが急速に広がっている。 特許庁はこうした技術開発に特許を認めなければ、産業界の研究開発意欲を低下させかねないと判断。検討をゆだねた産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)の知的財産政策部会は2日、再移植を目的に患者から採り出した皮膚や歯、軟骨、角膜、血管を培養する技術や遺伝子治療を特許の対象と認める方針を示す。ただ、手術手法など幅広く医療に特許を認めることには異論が出たため、まずは一部の技術に限定する。
 特許庁は具体的な審査基準を定め、夏から出願の受け付けを始める。日立製作所の各グループ企業は、目の角膜や歯の再生の技術を出願する。再生医療を手掛けるベンチャー企業のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(愛知県蒲郡市)なども、受け付け開始後、早い段階で出願することを検討している。海外でも同時に出願するなどの理由があれば迅速な特許取得が可能になる「早期審査」の手続きをとれば,3カ月程度での特許取得が可能とみられる。
 


化学工業日報 2003/4/2

住友商事、グループあげて医薬事業を強化へ

 住友商事は、医薬グループにおける輸入・国内取引の戦略を一体化し、事業強化を図る。これにともない4月1日付でライフサイエンス専門商社である子会社の
互栄商事を「住商メディケム」に社名変更し、本社機能を大阪から東京へ移転した。今後は同社を住商グループ医薬部門の中核事業会社に位置付ける方向で、社長は吉川隆弘住友商事メディカルサイエンス部長が兼務する。医薬品の輸入、国内取引を担当する住商のメディカルサイエンス部医薬・中間物第1チームと協力して、住商グループ全体での輸入、国内取引の拡大を目指す。


化学工業日報  2001/8/2

互栄商事、ヘルスケア特化で樹脂事業を子会社移管

 互栄商事は、ライフサイエンス分野へ特化するため今月、合成樹脂事業を子会社の新和産業に完全移管させる。成形品に強みを持つ新和産業に原料取引事業をプラスさせることにより、合成樹脂事業の強化につなげる。この移管にともない互栄商事では医薬品原料、中間体を中心とするビジネスに経営資源を集中することになり、ヘルスケアに関わる専門力をさらに高めるとともに、グローバル展開を加速させていく。


主要株主:
住友商事、田辺製薬、第一製薬、山之内製薬、扶桑化学工業、
東ソー、三菱瓦斯化学

2002年3月  住友商事(株)出資比率87%に増加

化学工業日報 2003/4/2

住友製薬、原薬拠点の大分工場を新設

 住友製薬は1日、大分工場(大分市、村上信二工場長)を新設した。原薬製造拠点で、これまでは住友化学工業・大分工場として供給を受けてきた。ただ高血圧症・狭心症治療薬「アムロジン」(製品名)や抗精神病剤「ルーラン」(同)などの好調、さらに薬事法改正で販売承認制度に移行するのにともない、原薬から製剤まで一貫生産体制での競争力強化の観点から、同工場内の製造設備の貸与を受け、生産本部の新たな工場とする。


2003/3/12 メルシャン

微生物変換(バイオコンバージョン)事業を本格推進
  メルシャンの新「生物資源研究所」が磐田で竣工
   −基礎研究から生産まで一貫した研究開発体制に−

 メルシャン株式会社(本社:東京、社長:鈴木忠雄)は、これまで神奈川県藤沢市と静岡県磐田市の2ヵ所にあった医薬・化学品部門の研究所を統合する新研究棟の建設を磐田工場敷地内で進めていましたが、この新「生物資源研究所」が3月12日に竣工しました。

 メルシャンの医薬・化学品事業のこれまでの研究開発体制は、藤沢の生物資源研究所湘南研究室が基礎研究を、また、磐田工場内の同研究所磐田研究室が生産プロセスをそれぞれ担当し、機能別に遠隔地に別れていましたが、微生物変換事業の強化と本格推進に向けて、研究開発体制の集約をはかったものです。

 メルシャンは1934年(昭和9年)に設立、酒類メーカー(当時の社名:昭和酒造)として創業しましたが、医薬・化学品事業の歴史も長く、酒類製造技術を基盤に、微生物を使った発酵技術を駆使して、戦前からアセトン・ブタノールの製造を開始し、グルタミン酸、抗生物質、制がん剤などの開発に努め、バイオテクロジー企業としても実績を挙げています。

 
微生物変換技術(バイオコンバージョン)は、微生物が持つひとつの特異的な反応に着目し、当該反応を有する微生物を選択して、遺伝子組換え技術を活用して改変した微生物を用い、医薬品や医薬中間体などとなる付加価値の高いキラル化合物(光学異性体)を効率よく製造する技術です。多大な設備やエネルギーを必要とし、コスト高となる従来の化学合成法に比べ、効率よく、低コストで有用物質を製造する、将来有望な技術です。

 メルシャンは、この微生物変換事業を今後の医薬・化学品事業の柱に位置づけており、このたび建設した新研究所はその基盤となるもので、基礎研究から生産技術開発までの一貫した研究開発体制を整えて、微生物変換事業を21世紀にふさわしい新しい事業として推進してゆきます。

 なお、新研究所は、新幹線側から眺める表側壁面にワインのリーディング・カンパニーであることを表したワインレッドを使い、企業の先進性と研究所の高機能を象徴したデザインを採用しています。

【新研究所の概要】

□名  称   メルシャン株式会社 生物資源研究所
□所 在 地   静岡県磐田市中泉1808  TEL 0538(21)1134
□所  長   執行役員 恒川 博(工学博士)
□面  積   建築面積約1,100u 延床面積約2,200u
□構  造   鉄骨造2階建て
□研究員数   約70名
□着  工   2002年7月30日
□竣  工   2003年3月12日
□総 工 費   約10億円

日本経済新聞 2003/4/5

動物薬生産 メルシャン、中国移管

 メルシヤンは動物薬の生産を中国に移管する。現地企業に技術供与し、2005年までに国内から中国での生産に切り替える。動物薬は価格低迷で採算が厳しくなっており、生産原価を引き下げ収益力を底上げする。
 メルシヤンは鶏や豚などの肺炎に効く治療薬「アイブロシン」を磐田工場(静岡県磐田市)で生産している。中国の製薬企業、山東魯抗(山東省)に製造手法の指導を開始した。2年後をメドに生産を委託する。
 生産コストは日本の2−3割程度に抑えられる見通し。磐田工場は現在、農薬なども生産しているが、将来は遺伝子組み換え微生物を活用した医薬品など、新技術に関する研究開発に特化する。
 メルシャンの動物薬の年商は5億円前後で低迷している。人用の抗がん剤では中国での拡販を進めており、動物薬も生産開始を機に中国市場の開拓に力を入れる。


2003/04/15 田辺製薬

田辺製薬(株): 物流機能の全面委託について

 田辺製薬株式会社(社長:葉山夏樹)は、
伊藤忠商事株式会社(社長:丹羽宇一郎)との間で、本年5月より医薬品の販売物流業務を全面的に委託することで合意しました。

 田辺製薬は、企業体質の強化を目的に物流業務の見直しを進めています。昨年、全国に4ヵ所あった物流センターのうち、4月に札幌、10月に小野田を閉鎖し、東京(埼玉県比企郡)と大阪(兵庫県西宮市)の2ヵ所に集約しました。

 今回の業務委託は、これら東西2ヵ所の物流センターを廃止し、伊藤忠商事が保有する東日本(埼玉県入間郡)と西日本(大阪府枚方市)の物流センターに麻薬製品を除く全取扱品に関し、入庫・保管から配送までの物流倉庫運営業務を移管するものです。
 また同時に、SAP R/3による販売系システムを稼動させ、配送にかかる時間の短縮等、徹底的な業務の合理化を図ります。これらの見直しによって、4物流拠点体制時に比べ、年間約5億円のコスト削減を見込んでいます。

 田辺製薬は、今後も原材料調達・生産・出荷を集中的にコントロールするため昨年設立したロジスティクスセンターを中心に、SCM(サプライチェーン・マネジメント)を強化し、在庫圧縮と物流コスト削減に取り組むとともに、医療の安全性と効率化に貢献できるよう努めていきます。


朝日新聞 2003/4/17

ライオン、大衆薬で事業拡大 規制緩和にらむ

 家庭用品大手のライオンは、大衆薬について、これまで未進出の胃腸薬や抗アレルギー薬も今後手がけ、すべての大衆薬領域に事業を拡大する。国が財政負担を減らすため、100%患者負担の大衆薬の役割拡大を打ち出したことで、許認可が早くなり、市場拡大も見込めると判断した。

 ライオンは現在、鎮痛解熱剤「バファリン」や点眼薬「スマイル」、湿布薬「ハリックス」などの大衆薬を製造。02年の売上高は306億円で、大衆薬では6位。新規事業の立ち上げにより、06年に大衆薬の売り上げ400億円を目指す。

 国は医療費負担の抑制を目指し、大衆薬の積極利用や生活習慣の自力改善を国民に求める「セルフメディケーション政策」を打ち出している。すでに医師が処方する処方薬の大衆薬への転換を積極的に進めているほか、数カ月かけていた大衆薬の認可を早める可能性がある。


日本経済新聞 2003/6/19

効く時間を調節できる薬 ライオン、開発加速 大衆薬の競争力強化

 ライオンは薬品の患部滞留時間や薬効時間を自在に調整する薬物送達システム(DDS)の開発を加速する。洗剤製造などで培った界面活性剤技術や高分子技術を応用し、薬品事業本部が手掛ける大衆薬の競争力を高める。2002年12月期で300億円強の薬品事業売上高を4年後には400億円台まで伸ばしたい考え。

 ライオンは既に一部薬品に界面活性剤や高分子技術を応用済み。例えば点眼薬「スマイル40EX」ではビタミンAを界面活性剤で囲い込み、水中の酸素による酸化を防いだ。今年2月に製品化したソフトコンタクトレンズ装着液では、瞳とレンズの間に高分子透過膜を形成し装着感を改善した。液に配合した防腐剤は界面活性剤の分子のすき間に取り込み、角膜に直接触れるのを防いだ。
 今後は界面活性剤と高分子技術を組み合わせ、DDSの開発を進める。薬効成分を界面活性剤で包み込み高分子のすき間に取り込めば、患部に長期間滞留し徐々に効果を発揮させることが可能。界面活性剤などの活用によって、患部の粘膜の透過性を高めた上で薬効成分を送り込むこともできる。具体的には鼻の粘膜に長時間滞留する花粉症予防薬などが候補。
 ライオンの薬品事業は鎮痛解熱剤「バファリン」や点眼薬など大衆薬が中心。ただ、大衆薬は競争が激しく「今後は他社にない界面活性剤や高分子技術を活用し付加価値を高める」(同社薬品事業本部)。薬品専業メーカーの中には大衆薬部門を売却する動きもあり、技術開発と並行してブランド買収も検討する。


化学工業日報 2003/5/1

アークレイ、上海工場稼働・営業拠点が活動開始

 アークレイは臨床検査機器・試薬事業での競争力強化を目的にした中国・上海での工場、営業拠点を整備、工場は3月から本格生産を開始したと4月30日発表した。本格稼働した工場は愛科来医療電子(上海)有限公司。すでに小型尿検査装置110台を生産している。営業拠点は愛科来国際貿易(上海)有限公司。製販一体を狙い、北京オフィスを移転し4月から営業活動を開始、上海を拠点に中国全土で営業、販促活動を展開する。

会社概要

社 名   アークレイ株式会社
設 立   1963年9月26日
本社所在地   京都府京都市南区東九条西明田町57
代表者   代表取締役社長 土井 茂
資本金   793百万円
社員数   693名(グループ合計 平成14年11月1日現在)
事業内容   疾患の早期診断・早期治療を目的に、血液や尿サンプルを分析し体外診断データを提供する臨床検査の為の検査機器および専用検査薬の開発・製造・販売・輸出入・保守、糖尿病予防関連商品の販売など。
             
1963   (株)京都第一科学を設立
1970   世界で初めて臨床検査機器にデジタル表示方式を採用した血液分析装置を開発
1988   乾式血液生化学検査システムを開発
1991   電極式簡易血糖自己測定装置(グルコカード)を開発
2000   社名を「アークレイ株式会社」に変更
    郵送式の健康チェックシステム(健診エクスプレス)を開発・販売
2001   携帯電話を用いた医師と糖尿病患者様とのコミュニケーションサポートe−SMBGを開始

 


日本経済新聞 2003/5/3

住友製薬 米に自社販売網 新薬投入、研究者も倍増

 住友製薬は海外での医薬品の自社開発・販売体制を構築する。現在開発中の精神疾患の一つである統合失調症治療薬の開発を急ぐため米国の人員を2倍に増やすほか、2007年度の発売に向けて販売や製品供給体制を整備する。
 これまで海外での新薬開発は現地企業に委託していたが、世界最大の市場である米国での体制確立が事業拡大に不可欠と判断した。
 開発中の統合失調症治療薬は少数の患者を対象にした第二相臨床試験段階にある。これまでは試験も治験支援業者に大部分を委託していたが、今後は自社中心の体制に切り替える。
 現在の臨床試験は年末にも結果が出る見通し。高い効果があれば多数の患者を対象にする試験に入るため、米国の研究開発担当人員を10人から20人に増やす。
 米国で新薬の自社販売網を持つ国内製薬企業は武田薬品工業や藤沢薬品工業など大手の一部に限られる。販売網を維持するためには大型新薬を継続的に市揚に投入する必要があり、多くの企業は欧米大手などに開発・販売を委託している。
 住友薬は米国で抗リウマチ薬も現在第二相臨床試験中のほか、今年度中に数品目が人間での臨床試験に入る予定。海外での体制確立で2010年の売り上げを昨年度比で44%増の2千億円、海外売上高比率を3割まで引き上げる計画だ。