日本経済新聞 2005/6/2                     発表    三井造船・三井化学が共同で建設を受注

                                      国際協力銀行 輸出金融供与

                                      SCC's Iranian project comes under pressure

イランで石化事業 伊藤忠、タイ企業と組む

 伊藤忠商事はタイのサイアム・セメントグループなどと企業連合を組み、イランの石油化学事業に乗り出す。現地で原料を調達し、包装材などに使うポリエチレンを2008年から生産、主に需要が急増する中国に出荷する。総投資額は約250億円。

 伊藤忠とサイアム、タイ国営石油会社PTTグループの3社による投資会社が月内にイランで設立する事業運営会社に60%を出資、残りはイラン国営石油化学公社が引き受ける。投資会社を通じた伊藤忠の出資比率は12%で約9億円。プラントは南部のペルシャ湾沿いのアサリューエ地区に建設し年産能力は30万トン。ペルシャ湾の大型ガス田から出る天然ガスを原料とするエチレンを使い生産する。三井化学の技術を採用し、三井造船が建設する。

伊藤忠は国際協力銀行などの輸出金融面の支援のほか、世界銀行グループの多国間投資保証機関(MIGA)の保証を受けることが決まっている。

(Assaluyeh,where the large South Pars gas field and several world-scale petrochemical projects are being developed, is located on the northern coast of the Persian Gulf. South Pars gas field, jointly owned by Iran and Qatar, is the world's largest independent gas field. )

中東の供給余力着目 政治的にリスクも

イランの核開発疑惑に対する米国の厳しい姿勢もあり、伊藤忠などは今回米国の専門家らとも協議。国際協力銀や世界銀行グループの承認を得るなどリスク対策を重ねた。


2005/6/2 伊藤忠商事

イランアサリューエ高密度ポリエチレン(HDPE)事業計画について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=101990&lindID=2

 伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、社長:小林栄三、以下「伊藤忠」)は、イランイスラム共和国における高密度ポリエチレン事業(年産30万トン、総事業費約250億円、立地は別紙1参照)参画につき、タイ Cementhai Chemicals Co., Ltd. (以下CCC)、National Petrochemical Public Company Limited(以下NPCT)、およびイラン National Petrochemical Company(以下NPC)と合意に至り、現在合弁会社設立準備中です。

 本事業は日本・タイ・イランによる画期的な共同事業となっており、当社は本事業を運営するイランのJV法人に投資会社を通じ
約12%を出資するもので、これはイランにおいては久々の日本企業による本格投資となるものです。また当社はタイCCC社、NPCT社と共に、現地パートナーであるNPC社との緊密な連携/協力体制のもと、プラント建設契約、ファイナンス契約等の取りまとめを行います。


 なお、本事業に際し、昨今のイランを取り巻く状勢を鑑み、米国の専門家とも内容を慎重に検討し、本事業が
大量破壊兵器やテロに繋がる可能性あるいは米国の法律(ILSA等)に抵触する可能性が無い事を検証しており、案件の透明性・健全性を確立致しました。

 また、国際協力銀行や日本貿易保険による輸出金融を活用し、加えて、
世銀グループMultilateral Investment guarantee Agency (MIGA)の保険の導入を予定しております。なお、本プラントの完成および生産開始は2008年を予定しております。


別紙1・・・アサリューエ地区地図

 

別紙2・・・外資投資会社及びイラン合弁会社出資構成図


                
Mehr Petrochemical Company Ltd

【各社概要】
Cementhai Chemicals Co., Ltd.
 本社所在地:タイバンコク
 事業概要:タイ民族系資本のコングロマリットであるSiam Cement Group傘下の石化事業統括会社。
       アジア最大級のオレフィンプラント、ポリエチレン・ポリプロピレンプラント、また、米国及び日本企業とのJVを有する。

National Petrochemical Public Company Limited
 本社所在地:タイバンコク
 事業概要:旧タイ国営石油公社(PTT)と下流石化メーカーによる半官半民の石化メーカー。
       天然ガスからエチレン、プロピレン、ポリエチレン等を生産。

National Petrochemical Company
 本社所在地:イランテヘラン
 事業概要:イラン国営石化会社。イラン国営石油会社の100%子会社。NPC自身はホールディングカンパニーとなっており、
       事業毎に子会社を設立する形態を取っている。

 


Business Day (Thailand)  2005/5/15

SCC, NPC to invest in $250m HDPE plant in Iran
http://www.biz-day.com/read/industrial/15_may_05/i3dmm-q/scc_npc_invest_250m_hdpe_plant_iran.htm

Siam Cement Plc (SCC), the countrys largest industrial conglomerate, said it will join hands with its 30 percent-owned subsidiary National Petrochemical Plc (NPC) to invest in a $250 million high-density polyethylene (HDPE) plant in Iran.
An industry source said the HDPE production will target plastic pallet users in Europe and Africa.

SCC, NPC and Japans Itochu Corporation will likely own a total of 60 percent in the project, while the remainder will be held by the national petrochemical company of Iran. The project is expected to have a production capacity of 250,000 tonnes of HDPE per year.

SCC recently said it boosted its ownership of NPC to 30.14 percent through collecting shares directly from the Thai bourse to strengthen its position as the countrys leading olefin maker.
The latest acquisition by SCC has made the group the second largest shareholder of NPC, closely behind the national oil company
PTT Plc, which holds 37.99 percent.
SCC directly owns about 27.64 percent of NPC, while it indirectly owns another 2.5 percent through its 60 percent-owned subsidiary Thai Plastic and Chemical Plc.


2005年06月16日 三井造船

イラン/MHPC社向け高密度ポリエチレン製造プラントの受注・契約調印
http://www.mes.co.jp/press/2005/20050616.html

 三井造船株式会社(社長:元山 登雄)は、三井化学株式会社(社長:中西 宏幸)と共同で、イランのMehr Petrochemical Company Ltd(略称:MHPC(*)/社長:Mr.Manouchehrian)より、高密度ポリエチレン製造プラントの建設を受注し、6月15日に契約を調印しました。

*MHPC:National Petrochemical Company (イラン国営石油化学公社、略称:NPC)とタイのCementhai Chemicals Co., Ltd(略称:CCC)、タイのNational Petrochemical Public Company(タイ国営石油化学公社、略称:NPCT)および伊藤忠商事株式会社(社長:小林 栄三氏)とがイランで設立した合弁会社。

■ [契約の内容]
受注プラント  高密度ポリエチレン(**)製造プラント 年産30万トン
          (**):包装材料、パイプおよび日用雑貨等の素材として利用される樹脂
建設地  イラン国 アサリュ−エ地区
プロセス  三井化学保有の高密度ポリエチレン製造技術
契約締結日  2005年 6月15日
着    工  2006年 2月(予定)
完    工  2008年 第1四半期(予定)


2005年8月15日 国際協力銀行

イラン国営石油化学会社に対する輸出金融供与について
http://www.jbic.go.jp/autocontents/japanese/news/2005/000098/index.htm

1. 国際協力銀行(総裁:篠沢 恭助)は、本日、イラン・イスラム共和国法人のイラン国営石油化学会社(National Petrochemical Company:略称NPC)との間で、総額約5,900万ドルを限度とする貸付契約(バイヤーズ・クレジット)に調印します。本融資は、ドイツ銀行東京支店(幹事銀行)及びスタンダードチャータード銀行東京支店との協調融資です。

2. 本プロジェクトは、
伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠)、NPC及びタイ王国の石油化学企業グループであるCementhai Chemicals Co., Ltd等が出資するMEHR Petrochemical Company(略称:MHPC)が、同国ペルシャ湾岸沿いの特別経済区であるバンダール・アサリュエ地区にて、包装材料・パイプ等に利用される高密度ポリエチレンの製造プラント(年産30万トン)を新設するものです。本融資は、その建設に必要な設備・役務を三井造船株式会社・伊藤忠等の企業連合がMHPC 向けに輸出するところ、それを支援するものです。なお当行は、本融資と併せて、伊藤忠に対し総額約8,900万ドルを限度とする貸付契約(サプライヤーズ・クレジット)を供与する予定であり、このように日本の企業連合によるプラント輸出を総合的に金融面から支援しています。

3.  当行は昨年より、イランの優良国営企業たるNPCの信用力に依拠した形で、既にNPC向けに3件の貸付契約に調印しており、本融資は、こうした形での第4 号案件となります。また、今回の融資にあたっては、伊藤忠等、MHPCの外国籍出資者に対して、世界銀行グループの多数国間投資保証機関(Multilateral Investment Guarantee Agency:略称 MIGA)が保険を付与する予定であり、MIGAとの協調案件となります。

4. こうした当行の取り組みを通じて、イラン向け輸出案件に関する日本企業の受注機会の増加を支援し、主要原油生産国の一つであるイランと日本との貿易関係のより一層の緊密化をもたらすことが期待されます。


Bangkok Post June 15, 2006

SCC's Iranian project comes under pressure

A petrochemical project in Iran involving the Siam Cement Group has come under pressure, with the United States lobbying for operations to halt because of the current conflict over Teheran's nuclear programme, according to an industry source.

''The project development process has been delayed due to the nuclear conflict in Iran, while major shareholders SCC and Itochu have been lobbied to halt the project,'' said the source.

SCC executives made no comment on the issue.

Aditheb Bisalbutr, the president of PTT Chemical Plc, played down nuclear and political tensions surrounding Iran.

''The project is currently only on paper. Investment details are not finalised yet. It will take another two years before the project is visible and then the political conflicts should have subsided,'' he said.


2007/5/21 日本経済新聞夕刊

イランの資源開発に参加企業 米、投資先から除外促す
 新法審議へ 日本企業に影響も

 米議会はイランの資源開発に参加する企業の株式を運用対象から除外するよう投資家に促す法案の審議に近く入る。欧州を中心に対イラン投資の動きがあることから、民間投資家への圧力を強める狙い。


 法案はまず、イランの原油・天然ガス分野に2千万ドル以上の投資額を持つ企業名を国籍を問わず公表するよう政権に義務づけた。
 そのうえでこうした企業を投資銀行や資産運用会社などが運用対象からはずしても「それを理由に民事・刑事訴追されない」と明記。各州に同様の内容の法整備を促す一項も盛り込んだ。新法が成立すれば、運用会社などが原油高で好業績の資源関連企業への投資をあえて避けても、受託元の個人や団体から法的責任を追及されずにすむことになる。


外国企業による最近の主な対イラン・エネルギー関連投資
(米議会調査局による。投資額は億ドル。生産目標は日量)

時期 企業名(国) 投資額 資源 生産目標
2007年1月 SKSベンチャーズ(マレーシア) 200 天然ガス 1億立方フィート
2006年6月 中国石油化工 0.5 原油 不明
2004年1O月 中国石油化工、インド石油天然ガス公社 700 原油 30万バレル
2004年2月 国際石油開発(日本) 2 原油 26万バレル
2002年10月 スタトイル(ノルウェー) 26 天然ガス 30億立法フィート
2002年9月 LG(韓国) 16 天然ガス 不明
2001年1月 ENI(伊) 10 原油 16万バレル
2000年7月 ENI(伊) 19 天然ガス 20億立方フィート
1999年11月 ロイヤル・ダッチ・シェル(英蘭) 8 原油 19万バレル