2017年 1月21日 小野薬品工業 

抗PD-1抗体特許侵害訴訟についてMerck社と和解し、ライセンス契約を締結


小野薬品工業およびブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、当社と本庶佑氏( 京都大学大学院医学研究科 客員教授)との共有に係る抗PD-1抗体の用途特許および当社とBMS社との共有に係る抗PD-1抗体の物質特許を保有しており、Merck社(米国)およびその関連会社による抗PD-1抗体製品である「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ、MK-3475)の販売等の特許侵害に対し、日本、米国、欧州等において特許侵害訴訟を提起するなど係争しておりましたが、このたび当社およびBMS社はメルク社と和解し、ライセンス契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。

本契約により、当社およびBMS社が保有する用途特許および物質特許が有効であることを確認した上で、メルク社の「Keytruda キイトルーダ®」の販売を許諾すること、また、メルク社は当社およびBMS社に対して6億2500万ドルの頭金を支払い、
2017年1月1日から2023年12月31日まではキイトルーダの全世界売上の6.5%
2024年1月1日から2026年12月31日までは2.5%をロイヤルティとして支払うことで合意に至りました。

なお、頭金およびロイヤルティは当社に25%、BMS社に75%の割合で分配されます。

今回の和解により、メルク社の「キイトルーダ®」販売に関する各国の訴訟は終結することになります。
なお、平成29年3月期の連結業績に与える影響については、平成29年3月期第3四半期決算発表時に公表する予定です。

Bristol-Myers Squibb and Ono, who discovered and developed the PD-1 antibody Opdivo (nivolumab), had asserted in litigation that Merck’s sale of Keytruda infringed the companies’ patents relating to the use of PD-1 antibodies to treat cancer in the U.S., Europe (United Kingdom, Netherlands, France, Germany, Ireland, Spain and Switzerland), Australia, and Japan.
 

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オプジーボは、免疫細胞上のタンパク質(PD-1)を発見した京都大学の本庶佑名誉教授の研究を基に「ゴールの見えないまま始めた研究から成果が出るまで20年以上かかった」(小野薬品)。

薬を作るには、PD-1分子の働きを邪魔する「抗体」が欠かせなかったが、小野薬品には抗体を作る技術がなかった。

その後、米ベンチャー企業 Medarexとの提携で「完全ヒト型抗PD-1 抗体」を入手でき、オプジーボが誕生した。

Bristol-Myers Squibbは2009年7月22日、Medarexを24億ドルで買収すると発表した。

現在、日本、韓国、台湾以外はBristol-Myers Squibbが開発・商業化の権利を持つ。

2016/11/17    オプジーボ 50%値下げ 

厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2016年11月24日、米Merck(海外子会社の社名はMSD)が開発中のがん免疫薬「キイトルーダ」を肺癌の大部分を占める非小細胞肺癌向けに承認して問題ないと判断した。12月にも厚労省が正式承認する見通し。

キイトルーダはオプジーボと作用が同じで、対象疾患も競合する。

オプジーボが使えるのは現時点で、皮膚癌の一種である悪性黒色腫と、非小細胞肺癌、腎細胞癌の3種類。
キイトルーダは本年9月に悪性黒色腫への使用が承認され、今回の非小細胞肺癌で2種類目となる。

2016/11/30 オプジーボと競合する米メルクの癌免疫薬承認へ