ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2010/8/22
韓国石油公社、英 Dana Petroleumを買収へ
韓国石油公社(KNOC)は8月20日、英国の原油探査会社Dana
Petroleumに対するTOBを発表した。
KNOCがDanaの株主に提案した株式の取得価格は1株18ポンドで、6月30日(下記の前回のアプローチの前日)の株価終値に比べ60%のプレミアムとなっている。今回の発表で株価は6%アップし、17.93ポンドとなった。
可能ならば全株式を取得する意向で、普通株と転換社債を全て買収した場合、買収金額は18.7億ポンド(約2,487億円)に達する。ロンドン証券取引所での公示当日、Dana株主の48.62%から売買意向書の提出を受けた。
KNOCは今年6月にも16.7億ポンドでDana買収を試みたが、経営陣が「北海油田探査の成功が会社評価に反映されていない」と反発したため、交渉が不調に終わっていた。
Danaは株主に対して、なんら行動を取らないよう、伝えた。8月27日に最新の実績を発表する。
付記
韓国石油公社は9月24日、「Danaの株主らから、64.26%の支持を取り付け、これをロンドン証券取引所に報告した」と明らかにした。
英公正取引委員会は前日、石油公社がDanaの買収に成功する場合、これを承認すると発表した。
英エネルギー省も同日、石油公社によるDana買収を承認した。石油公社は、提案の受け入れ期間を延長し、石油公社の買収提案をいまだ受け入れていない株主らに対しても、引き続き株の売却を促す計画で、75%を超える提案の受け入れを取り付けることになれば、Danaの上場を廃止する計画。
Danaは昨年現在で、英国領海、アフリカ北西部など14カ国、36地区(下図)で日産53千バレルの原油を生産している。
本年8月にはPetro-Canada
Netherlandsを328百万ユーロで買収し、原油埋蔵量3,100万バレルの北海のオランダ鉱区も確保した。
カナダ政府は1990年に国営石油会社のPetro-Canadaの民営化を発表、順次売却し、政府は19%を保有した。しかし、それも2004年に売却した。
Petro-Canadaは2009年8月にカナダのSuncor Energyと統合し、Suncor Energyの100%子会社となっている。Petro-Canada Netherlandsは、Petro-Canadaが2002年にドイツのVeba Oil & Gasの石油・ガス事業の大半を買収したうちの一つ。
Dana Petroleumの拠点 (Petro-Canada Netherlandsを除く)
KNOCでは「Danaの買収に成功すれば、韓国の原油の自主開発率が9%から10.7%に高まる。海外での石油開発拠点も旧ソ連、北海、アフリカへと拡大する」と指摘した。
2010年6月、韓国石油公社がカザフスタンの北西部アクチュビンスク州にあるAda鉱区で原油生産を開始した。
Ada鉱区の原油埋蔵量は推定3,570万バレルで、韓国石油公社が40%の株式を保有し、操業を担当している。
ほかにLG商事が35%、カザフスタンのVertom International が25%を保有している。
2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB
BHP
Billitonは8月18日、Potash Corporation of Saskatchewan
Inc. (PotashCorp)に対し、1株130ドルでの全株のTOBを行うと発表した。
合計金額は38,557百万ドルとなる。
BHP Billitonは8月12日にPotashCorpに対し、口頭で1株130ドルでの買収提案を行った。これに対し、PotashCorpは売る気はなく、統合の話をする積もりもないと返事したが、BHPは再度書面で提案し、返事を求めた。
PotashCorpは17日に、同社取締役会が満場一致で提案拒否を決めたと発表した。
提案価格は同社の価値を異常に低く見ており、戦略的に重要な産業での一位の地位にあること、比類なき将来性を反映しておらず、株主の利益にならないとしている。
PotashCorpは同時に買収防衛策としてShareholder Rights Planを発表した。
TOBの際に、取締役会は株主価値を高めるための代替案を検討するための十分な時間を確保する。
合わせて、取締役会は発行済み株式1株当たり1株の購入権発行を承認した。誰かが(子会社等を含めて)同社の株を20%以上取得したり、取得の意思を発表した場合に、取得者以外の株主は購入権を行使できる。
これに対し、翌18日にBHPが敵対的TOBを発表した。
1株130ドルはBHPが買収を提案した前日の終値に20%、過去30日平均では32%のプレミアムをつけた有利なものとしている。
但し、下記の通り2009年の損益は、グローバルな経済危機の影響を受け、前年を大幅に下回っている。
逆に2008年は純利益が前年の3倍にもなる好業績であった。
最近52週間の株価は、安値は88.68ドル、高値は152.93ドルとなっているが、2008年5-8月では200ドルを超えており、一時的には230ドルに達している。これを考慮すると、PotashCorp の言うとおり、1株130ドルは同社の価値を異常に低く見ていると言える。
BHP では買収に要する資金を、PotashCorpの既存の借入金の返済などを含め、430億米ドルとみている。
同社ではこれに必要な借入等のアレンジを既に行っている。
米格付け会社S&Pは19日、BHPが現在の条件で買収を進めれば、BHPを格下げする公算が大きいとの見方を示した。「買収に現金と債務を利用する計画では、BHPの財務の柔軟性が低下するというのが当社の見解だ」と指摘した。
現在のA+からAに1段階引き下げる公算が大きいとしている。
China Daily はカリは中国にとって重要であり、親会社がSinochemで、PotashCorp が22%を出資する中国の肥料輸入販売会社SinofertがBHPに対抗してPotashCorpの買収を図る可能性があると報じている。
付記
Reutersは10月15日、消息通の話として、Sinochemが対抗TOBを諦めたと報じた。
付記
カナダ政府は11月3日、BHPによる買収を拒否した。新たな提案を示して政府を説得する期間として30日間の余裕を与えた。
(カナダの法律では、政府は外国企業によるカナダ企業買収が国益に反すると判断した場合、拒否できる。)
BHPは11月15日、敵対的TOB提案の取り下げを発表した。「カナダ政府の見解に同意できなかった」と説明している。
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PotashCorp
は生産能力で世界最大の肥料会社で、肥料3要素のカリ(potash:K)、燐酸(P)、チッソ(N)を製造する。
カリでは世界の能力の20%を占める。
製造拠点及び投資先は以下の通り。
カリ | カナダに6工場(Allan、Cory、Lanigan、Patience Lake、Rocanville、New Brunswick) | ||
燐酸 | 米国に7工場(Aurora、Cincinnati、Geismar、Joplin、Marseilles、 Weeping Water、White Springs) |
||
チッソ | 米国に3工場(Augusta、Geismar、Lima)+トリニダード工場 | ||
投資先 | Arab Potash Company (Jordan) | 死海からカリ製造 | 28%出資 |
Sociedad Quimica y Minera (Chile) | potassium/lithium、 nitrates/iodineの製造 |
32%出資 | |
Israel Chemicals Limited | 世界6位のpotash 製造、 燐酸・カリ肥料製造 |
14%出資 | |
Sinofert Holdings (中華化肥) | 中国最大の肥料輸入販売会社 | 22%出資 (Sinochemが53%) |
同社の業績は以下の通り。(単位:100万US$)
2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2009/
1-6 |
2010/ 1-6 |
|||
Sales | Potash | 1,228 | 1,797 | 4,068 | 1,316 | 480 | 1,533 | |
Phosphate | 1,255 | 1,637 | 2,881 | 1,374 | 655 | 765 | ||
Nitrogen | 1,284 | 1,800 | 2,498 | 1,287 | 644 | 853 | ||
Total | 3,767 | 5,234 | 9,447 | 3,977 | 1,779 | 3,151 | ||
Gross Margin | Potash | 561 | 912 | 3,056 | 730 | |||
Phosphate | 125 | 433 | 1,115 | 104 | ||||
Nitrogen | 316 | 536 | 737 | 192 | ||||
Total | 1,002 | 1,881 | 4,907 | 1,026 | 397 | 1,299 | ||
Operating Income | 876 | 1,589 | 4,635 | 1,192 | 501 | 1,331 | ||
Net Income | 632 | 1,104 | 3,495 | 988 | 494 | 921 |
2006年から2008年の間の売上高、損益の伸びは驚異的である。
2009年はグローバルな経済危機の影響で、全製品で販売数量も価格も大幅に下落、カリの粗利益は前年を76%下回り、利益も前年の28%に止まった。
但し、2010年1-6月では業績は改善し、半年で既に2009年通年の損益水準に達している。
2009年の利益は同業と比較すると以下の通り。(単位:100万US$)
* はPotashCorpの出資先(上記)
PotashCorp 988 ICL(Israel) * 724 Yara (Norway) 613 Uralkali (Russia) 451 CF Industries (USA) 449 Mosaic (USA) 414 K+S (Germany) 403 SQM (Chile) * 372 Agrium (Canada) 366 APC (Jordan) * 281 Terra (USA) 153
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BHP Billitonの戦略は、大規模、低コスト、長寿命で、拡張可能で、輸出中心の、第一流の資産を、多分野にわたり、開発し、所有し、運営するというもの。
この買収は肥料産業への進出を加速するもので、カリ分野でグルーバルなリーダーになるという戦略に合致するとしている。
同社はPotashCorpの本拠のSaskatchewanに手付かずの土地を所有している。
2010/8/24 中国の漢方薬、FDAの第2相臨床試験に合格
中国の心臓血管治療の漢方薬が7月にFDAの第2相臨床試験に合格、早ければ2013年にも米国で販売を開始する。
天津に本拠を置く天士力製薬(Tasly Pharmaceutical)が8月7日に北京で発表した。
合格したのは同社の心臓血管治療の復方丹参適丸(Compound Danshen Dripping Pill)で、米国の15箇所のセンターで3年間にわたり第2相臨床試験(有効性・安全性等の試験)が行われ、良好な結果が得られた。
復方丹参適丸の成分は丹参、三七、冰片。
丹参:シソ科の植物の根を乾燥したもの
三七(田七): 中国人参(朝鮮人参と同じウコギ科だが、姿・形・効能が異なる)
冰片(竜脳):フタバガキ科の植物の樹脂を加工して結晶化させたもの
漢方薬としては初めて第2相臨床試験の合格となる。FDAは第3相臨床試験入りを承認した。
同社では今後12〜18ヶ月で全世界で50〜70箇所の臨床試験センターをつくり、第3相臨床試験を行う。
これが終わると、製造販売の承認申請となる。
復方丹参適丸は中国では昨年に10億人民元(148百万ドル)の売上げがある。
これまでに、カナダ、ロシア、韓国、ベトナム、シンガポール及びアフリカの数カ国で承認されている。
主に狭心症や冠動脈性心疾患の治療に使用されており、同社によると世界で毎年10百万人以上の患者がこれを服用している。
今回FDAの試験に合格したことは、欧米などの医薬品市場に漢方薬が進出するきっかけになるとみられている。
これまでは、東洋と西洋の文化および法規面の違いと成分の複雑さから漢方薬は西洋市場では医薬品として扱われなかった。
ーーー
天士力製薬は天士力グループ(Tasly
Group) の中核的企業で、1994年5月に設立された。
天津北辰科学技術園区にあり、社員数は2千人。漢方及び化学医薬品のほか、ヘルスケア製品、機能食品、化粧品などを製造販売している。
設立以来、同社は「天人合一を追求し、生命力を高める」を理念とし、現代の科学技術を利用して、伝統的な漢方薬に新しい生命力を与えてきた。
独自に研究開発した復方丹参滴丸は、すでに中国の心脳血管薬品市場の主要な製品になっており、国家科学技術部の「漢方薬現代化科学技術産業活動計画」の重点プロジェクトに、さらに国家計画委員会のハイテク産業化模範プロジェクトと、国家漢方薬現代化重大プロジェクト計画にも入れられている。
陜西省の商洛に原料の丹参薬源の生産拠点を、また雲南省の文山に三七の栽培基地を設けている。
2010/8/25 ブラジル裁判所、Shell とBASFに多額の罰金
ブラジルの裁判所はこのたび、Shell Brasil とBASF にSao Paulo州のPaulinia工場の従業員を毒性物質に曝した件で合計622百万レアル(354百万米ドル)の罰金を命じた。
従業員は高血圧や癌などの健康問題を抱えている。
裁判所はまた、両社が従業員や家族の肉体的及び精神的な被害の治療費用を負担すべきだとした。
上記の罰金に加え、両社は1000人以上の原告と、雇用中及び雇用後に生まれた子供に対し、治療費、検査費、賠償金として1人当たり64,500リアル(36,710US$)
の支払いを命じた。
両社は被害者やその子供に権利を知らせるため、2大TVネットワークで広告を行うことも命じられた。
付記 2012年2月のBASF Report 2011ではその後の状況を説明している。
・2010/8 BASFとShellは共同で490百万ユーロの補償を命じられた。
・控訴したが、2011年4月4日に拒絶された。
・BASFは2011年3月30日にシェルが責任あることを命じる判決を求め訴訟
・両社は現在、互いに、及び原告と協議中。付記
2012年7月、ブラジルの裁判所はBASFとShellに対し、382百万ドルを従業員への補償基金に入れるよう命じた。
BASFは控訴するとともに、法定外で元従業員及びShellと話し合うとしている。
付記
Shell とBASFは2013年3月11日、620 百万reais ($316 million) の支払いを受諾した。
1068人の元従業員に対する個別補償(終身医療を含む)が420百万reaisで、他に全体の精神的被害に対する200百万reaisで、これはPauliniaに妊産婦用診療所を建設するのと、複数の健康センターへの寄付に使われる。
両社間の配分は公表しない。
工場は1977年にShellが操業を開始、殺虫剤アルドリン、エンドリン、ディルドリンを製造した。
工場は2000年にBASFが引き継ぎ(下記)、2002年に閉鎖された。
ブラジルではこれら殺虫剤の販売は1985年に禁止された。
しかし、森林再生のためのシロアリ駆除剤としてのアルドリンの使用は認められた。これら殺虫剤の輸出用の生産は1990年まで続けられた。
1998年にこれら製品は完全に禁止された。
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2001年5月に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)が採択され、2004年5月に発効した。
残留性有機汚染物質から人の健康と環境を保護することを目的とし、 (1) PCB等 9物質(アルドリン、クロルデン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレックス、トキサフェン、PCB) の製造・使用、輸出入の禁止 (2) DDTの製造・使用・輸出入の制限、 (3) 非意図的に生成されるダイオキシン等4物質(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン及びポリ塩化ジベンゾフラン、PCB、ヘキサクロロベンゼン)の放出削減、 及び、これらの付属書掲載物質の廃棄物の環境上適正な管理等を定めている。
(2009年5月に新規9物質の附属書掲載が決定されたが未発効)アルドリン、エンドリン、ディルドリンは(1)の9物質に含まれている。
殺虫剤の生産中に、タンクからの漏れが見つかっている。
1990年代初めに国際研究機関が工場周辺の土地と地下水が殺虫剤
アルドリン、エンドリン、ディルドリンに汚染されていることを発見した。
Shellは2001年に汚染を認めた。州政府はShellにクリーンアップを命じた。
州政府はShellが住民を殺虫剤の危険に曝したとの報告を出したが、Shellはこれを否定した。
2002年の州政府の調査で、近隣の土地、川、飲用水源が鉛、カドミウム、重金属、ベンゼン、トルエン、DDT、アルドリンなどに汚染されていることが明らかになった。更に工場の従業員の医療検査でShellの操業に伴う毒物に汚染されていることが分かった。
2005年初めに、Shellと州政府は協定を結んだ。
Shellは危険廃棄物を捨てたり、埋めたりしないこと、汚染地域を回復させること、井戸水の危険物や重金属のモニター、井戸で見つかった高濃度の危険物を除去する有効な手を打つことなどのほか、従業員の身体検査などで健康保護の手を打つことなどが決められた。
ーーー
Shellは1993年に農薬事業の中止を決定し、ブラジルを含め農薬事業をAmerican Cyanamid に売却した。
(Shell USA の農薬事業については1986年にDuPontに売却している。)
1994年にAmerican Home Products がそのAmerican Cyanamid を買収した。
その後、2000年にAmerican Home Products はAmerican Cyanamid をBASFに売却した。
この結果、Paulinia工場はShellからAmerican Cyanamid を経由してBASFに渡った。
Shell は工場閉鎖後、2008年にBASFから土地を買い戻している。
BASFは、環境問題はShellが起こしたものであり、控訴するとしている。
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画
三菱商事は8月24日、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy
Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。
コルドバ堆積盆地は北米シェールガス鉱区の中でも屈指の生産性と埋蔵量を有する。
Penn
West Energy は、ここで最大の資産と知見を有している有望なパートナーで、2006年よりシェールガスの試掘作業を実施している。
三菱商事はPenn West Energy の当該鉱区のシェールガス資産、在来型天然ガス資産、関連する天然ガス処理・輸送設備の全50%を取得し、Penn West Energy との非法人合弁事業体を通じて、開発・生産を積極的に推進する。
取得費用は、既存資産の50%の取得対価
約250 百万カナダドルに、今後の開発井掘削費のPenn West Energy 負担分の内の約200 百万カナダドル追加負担を加え、合計約450百万カナダドル(約362億円)となる。
今後15 年間で累計約 数百本〜1,000
本以上の生産井を掘削して開発を進めるが、同期間を通じての三菱商事負担事業費は約3,000
億円程度を想定している。
対象鉱区のシェールガス資産は約5〜8 兆立方フィート(LNG換算で約 1〜1.6億トン)以上で、日本の天然ガス年間需要を大幅に上回る膨大な量の埋蔵量が見込まれる。
2014年に三菱商事持分で日量約5
億立方フィート(LNG 換算で約350万トン/年)の生産量を目指す。
三菱商事は今後50年以上の期間に亘り当該鉱区のシェールガス開発および生産を推進し、持分ガスをCIMA Energyなどを通じて、北米市場で販売する。
三菱商事は2008年6月、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltdの持分34%を同社の個人パートナーから取得した。
CIMA Energyは1996年設立で、米国内におけるガスおよび原油のマーケティング事業を行っており、年間のガス取扱高は約145百万MMBtu(LNG 換算280万t)となっている。
三菱商事は上流のガス田開発から、LNG液化プラントへの投資・操業、LNG船による輸送、LNG受入基地に至るまでLNG 事業のバリューチェーンを伸ばしてきたが、CIMA を通じて米国下流市場に参入、更なるバリューチェーンの延伸が達成された。
三菱商事は2009年1月より米国テキサス州のFreeport LNG 受入基地の使用を開始したが、同基地に持ち込むLNGを再気化した天然ガスについても、CIMA が米国内で販売を行う。
シェールガス開発プロジェクトの運営体制は以下の通り。 |
三菱商事 |
↓100% |
Shale Gas Investment Cooperatief U.A. |
↓100% |
Cordova Gas Resources Ltd. |
↓ 50% |
Penn West Energy との非法人合弁事業体 |
付記
2011年5月9日、中部電力/東京ガス/大阪ガス/石油天然ガス・金属鉱物資源機構の参加を発表
ーーー
シェールガスは非在来型天然ガスの一種で、根源岩と呼ばれる泥土が堆積して固まったシェール(頁岩)層に閉じ込められている天然ガス。
採掘が難しく、これ迄開発が進んでいなかったが、近年の技術革新によって、開発が注目されるようになった。
日本の各商社や石油メジャーが相次いで進出している。
三井物産は、三井石油開発とのJVのMitsui E&P USA を通して、Anadarko Petroleum が米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアにおいて開発・生産中のシェールガス事業に参画する。
Anadarko Petroleum が保有する権益の内、32.5%(全事業権益の約15.5%に相当)を約1,400
百万米ドルで譲り受けた。
2010/2/18 三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画
住友商事は、米国の独立系開発会社であるCarrizo Oil & Gasが米国テキサス州Barnett Shale fieldに保有している天然ガスコアエリア開発プロジェクトに12.5%参画した。
付記
住友商事は2010年9月1日、子会社Summit Discovery Resources II, LLCを通じ、米国の独立系石油ガス開発会社であるRex Energyが米国ペンシルベニア州マーセラス・シェール・フィールドで開発している天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結したと発表した。
Rex社の既存資産プラス新規リース権の約30%を取得する。
取得資産の対価として契約締結時に約88百万ドル、2011年12月末までに追加で約 106百万ドル、合計194百万ドルを拠出する。同社の持分ベースで総開発エリアは22,000エーカーで、生産量(ピーク)は 46 bcf/年(原油換算 約8.4百万バレル)。
今後約10年間で累計1,100本以上の井戸を順次掘削していく計画で、総開発費用は約 1,200百万米ドルを見込む。
ExxonMobil は、シェールガス、タイトガス、コールベッド・メタン、シェールオイルなど、合計換算 45兆立方フィートのガス資源を有し、Barnett, Fayetteville, Haynesville, Marcellusなど主要シェールガスの全てで開発を行っている XTO Energyを410億ドルで買収した。
シェルは、 Marcellus shaleを開発するEast Resources, Inc のほぼ全事業を買収する。
インドのReliance Industriesは、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得した。
2010/4/15 Reliacne Industries、Atlas Energy と組んで Marcellus Shale を開発
BPは8月25日、メキシコ湾の水質検査のため、Wave Gliderという新兵器を使用すると発表した。
Wave GliderはSilicon ValleyにあるLiquid Robotics が開発したもので、波を推進力にする無人の船で、エレクトロニクス用には2枚の太陽パネルを利用する。
錨で固定せず、ソフトウエアの操作で、一定箇所に留まることも、ある場所から他の場所に移動することも出来る。
常時収集するデータは人工衛星を通じて送信する。
収集できるデータは次の通り。
・水質:水中で乳化、分解、分散した油、植物プランクトン(クロロフィル)、
色素体溶存有機物(CDOM)、その他
・水中動物の音声
・天候、海水温度
まず、8月25日に2船を投入、油井と海岸の間で水質を調査、9月に更に2船を投入して、調査海域を広げるとともに、動物の音声など調査項目も増やす。
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流出事故対策本部のアレン本部長は8月19日の会見で、Bottom kill が予定より数週間遅れ、9月上旬以降になるとの見通しを明らかにした。圧力テストのほか、油井の上部に設置されていたが、故障して原油やガスの噴出を防げなかったBOPを取り外して交換し、事故原因の究明に役立てる作業などを行うため。
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ウッズホール海洋生物学研究所などの研究チームが、メキシコ湾の原油流出が起きた油井付近で、原油成分の濃度が高い巨大な水塊を見つけた。水塊は水深約1キロのところで長さ35キロ以上、厚さ200メートル、幅2キロに及んだ。
今回見つかったような水塊が広範囲にあるとすると、原油の消失に時間がかかることになる。
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BPは原油流出事故の補償コストをカバーする200億ドルの基金Gulf Coast Claims Facility (GCCF)を創設、当初の予定を早め、8月9日に最初の30億ドルを払い込んだ。
これまで個人や企業に対する補償支払いはBPが行っていたが、8月23日からは基金が行う。政府に対する補償支払いは従来どおりBPが行う。
8月23日までの支払額は399百万ドルとなった。
コンタクトがあったのが166千件、請求が154千件、うち支払いが127千件となっている。
2010/8/27 LyondellBasell、イラン撤退を決定
LyondellBasell
は、米国政府が近くイランとの取引禁止に従わない企業に対してペナルティを課すことを考慮し、イランでの活動を停止することを決めたことを明らかにした。
取締役会が数ヶ月検討の結果、8月初めに決定した。
イランの石油化学会社に対する技術ライセンスやサービスを停止する。
合わせてSudan と Syriaからも撤退する。
米国務省は8月5日、2009年版の国際テロ活動に関する国別報告を発表、昨年と同様、イラン、シリア、キューバ、スーダンの4カ国を「テロ支援国家」に指定した。
北朝鮮についてはテロ支援国家の再指定は見送られているが、米国のテロ対策に「非協力的な国」と位置づけた。
同社は民事再生法を申請したが、本年4月に再建計画が承認され、4月30日にChapter 11から離脱した。今後上場を検討しており、これに支障が生じるのを避ける狙いもある。
2010/4/27 LyondellBasell、民事再生法から離脱
米国法ではイランのテロ支援と核開発を止めさせるため、米国企業がイランのエネルギーセクターに投資することを禁止している。
加えてイラン制裁法では外国法人を含め、イランのエネルギーセクターに12ヶ月の間に20百万ドル以上を投資したものを制裁することとしている。(特例での非制裁あり)
米国政府は間もなく米国のイラン制裁に違反している欧州やアジアの企業に対し、制裁もしくは警告する予定。
これまで多くの企業が米国への影響を考え、イランとの取引を止めた。
シェルは3月10日、イランに対するガソリン販売を打ち切ったことを明らかにした。
トヨタ自動車は8月11日、イランへの自動車輸出を6月から止めていることを明らかにした。自動車は直接の制裁対象ではないが、最大市場である米国でのブランドイメージ低下や販売減を引き起こす可能性があると判断した。
米国会計検査院(GAO)は5月12日、上院の求めに応じて、イランのエネルギーセクター(石油、ガス、石油化学)で活動するとともに、米国政府とも契約を結んでいる海外41社の社名を発表した(下記)。
LyondellBasell はこの中に含まれている。
日本企業では国際石油開発帝石と日揮が含まれている。
Table 1: Foreign Firms Publicly Reported to Have Commercial Activity in the Iranian Oil, Gas, or Petrochemical Sectors
Firm | Country | Sector |
ABB Lummus | Refining, petrochemicals | |
OMV | Austria | Natural gas |
Belneftekhim | Belarus | Oil exploration and production |
Petrobras | Brazil | Oil exploration and production |
China National Offshore Oil Corporation | China | Natural gas |
China National Petroleum Corporation | China | Oil exploration and production, natural gas |
Sinopec | China | Oil exploration and production, refining |
INA | Croatia | Oil exploration and production, natural gas |
Haldor Topsoe | Denmark | Refining |
Total | France | Natural gas |
Uhde | Germany | Petrochemicals |
Indian Oil Corporation | India | Natural gas |
Oil and Natural Gas Corporation | India | Oil exploration and production, natural gas |
Oil India Ltd. | India | Natural gas |
ONGC Videsh Ltd. | India | Natural gas |
Petronet LNG | India | Natural gas |
Edison | Italy | Oil exploration and production |
ENI | Italy | Oil exploration and production |
Snamprogetti | Italy | Pipeline |
Tecnimont | Italy | Petrochemicals |
Inpex 国際石油開発帝石 | Japan | Oil exploration and production Azadegan油田開発 |
JGC Corporation 日揮 | Japan | Refining アラク・シャザンド製油所拡張 |
Amona | Malaysia | Oil exploration and production |
Petrofield | Malaysia | Natural gas |
SKS Ventures | Malaysia | Natural gas |
LyondelBasell | Netherlands | Petrochemicals |
Royal Dutch Shell | Netherlands | Natural gas |
StatoilHydro | Norway | Oil exploration and production, natural gas |
PGNiG | Poland | Natural gas |
Gazprom | Russia | Oil exploration and production, pipeline |
Lukoil | Russia | Oil exploration and production |
Daelim | South Korea | Natural gas |
Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering | South Korea | Oil tankers |
GS | South Korea | Natural gas |
Hyundai Heavy Industries | South Korea | Oil tankers |
Repsol | Spain | Natural gas |
PTT Exploration & Production | Thailand | Natural gas |
Turkish Petroleum Company | Turkey | Natural gas |
Costain Oil, Gas & Process Ltd. | United Kingdom | Natural gas |
Hinduja | United Kingdom | Oil exploration and production, natural gas |
Petroleos de Venezuela S.A. | Venezuela | Natural gas |
ボリビアのモラレス大統領が8月25日、2泊3日の予定で韓国を国賓訪問した。
日本や中国は訪問せず、韓国だけを訪問した。
訪韓初日の25日、大統領資源特使であるハンナラ党の李相得議員(李大統領の兄)と韓国鉱物公社社長、LG商事、ポスコ、大宇インターナショナル、SKエネルギー、GSカルテックス、LG化学、高麗亜鉛、三扶土建など国内企業の代表と夕食を一緒にした。すべてリチウム開発の関係者。
李相得議員は夕食会の席で、「韓国はボリビアからリチウムをただ持ってくるのではなく、そこで加工した後、輸入する計画であり、これを通して現地人の所得と雇用増大に寄与する」と述べた。
またモラレス大統領は訪韓中、LG化学研究所を訪問し、韓国の最先端リチウムイオン電池生産技術を見学する。
イ・ミョンバク大統領とモラレス大統領は26日、青瓦台(大統領府)で会談し、ボリビア西部のウユニ湖のリチウムを抽出するための研究を共同で行うことで一致し、両政府の間でリチウム抽出研究開発および事業化協力のための了解覚書を交わした。
モラレス大統領は、韓国企業のボリビアでの円滑な活動を支援するため、韓国企業関係者に5年の複数ビザを発給する一方、韓国との関係強化に向け駐韓ボリビア大使館を早期に開設する方針を明らかにした。あわせて、韓国政府に開発協力事業の拡大を要請した。
李大統領は、韓国政府が2014年までに2億5000万ドルの対外経済協力基金借款をボリビアに支援し、来年度の経済発展経験共有事業の対象国にボリビアを含める案を、積極的に検討する考えを示した。
両首脳は会談終了直後、韓国鉱物資源公社とボリビア鉱山公社の「ウユニ塩鉱山の蒸発資源産業化研究開発に関する了解覚書」締結式に立ち会った。
鉱物資源公社は昨年8月、ボリビア科学委員会および国営鉱業企業と了解覚書を締結し、ウユニ湖の塩水で炭酸リチウムを製造する技術を開発してきた。
2009/5/5 韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ
世界の埋蔵量の半分を保有するといわれるボリビアのリチウムをめぐり、日本やフランス 、ブラジルなどが開発権の獲得を目指している。両国の覚書は、リチウムを抽出する権利を含むものではないが、韓国にとって一歩前進となる。
公社関係者は「今月末までに報告することになっている1次研究結果を基礎に商用化研究を進行し、事業性が確認されればボリビアでリチウム工場の設立を推進する予定」と説明した。
日本はすでに今年2月、1次報告書を出し、来月中に2次報告書を提出する予定。
モラレス大統領は韓国紙とのインタビューで下記のように述べた。
韓国がボリビアに建設した橋は、わが国で孤立していた地域を結び、社会の統合に大きなプラスとなった。
わが国の大地にあるリチウムに対し、世界各国が関心を寄せている。韓国からはこれまで、鉱物資源公社や高麗亜鉛など多くの企業が資源開発に参加し、協力関係を維持してき た。複数の国が自然開発をめぐる提案を持ちかけているが、わたしは共に環境を守ることのできるパートナーを探している。
リチウム開発はまだ初期の段階だ。今年中に、ウユニ湖に試験工場を建設し、稼働させる計画だ。
本格的な開発のためには、技術面での研究が十分に行われなければならない。
その上で、積極的な投資やパー トナーシップが行われるだろう。我々のもう一つの原則はクリーン技術を利用することだ。クリーン技術が私たちが目指す自然環境保護にも最も適した方式だと考える
韓国が提示した、環境を破壊せずに資源を開発できるグリーン成長や清浄技術のコンセプトが非常に気に入っている。これまで、韓国の優れた技術力と情熱、努力を見てきた。これをもとに私たちが適切な決定をする。
特に銅と亜鉛の分野ではすでに韓国企業とパートナーシップを形成している。したがって経済協力分野で韓国に対する信頼はかなり高いと考えている。仁川空港からソウルに向かう際、漢江にかかる多くの橋を見て、韓国の橋梁技術に驚いた。
また今回、2次電池工場や港湾施設も視察する予定だ。これらを通じて、韓国の発展ノウハウや技術を学びたい。わが国にはリチウム、鉄鋼、亜鉛など豊富な資源があることは事実だ。
そのため植民地支配を受け、原住民は搾取と抑圧に苦しんできた。
先進的な技術を持った国はわが国との協力を望んでいるが、基本的にその開発はわが国の大地と自然を守る方向で行われなければならない。わが国の環境を守り貧困から救うことができるのであれば、左右のイデオロギーに関係なく対話に応じる考えだ。
付記 9月7日の韓国中央日報が背景を書いている。
韓国がボリビア資源開発と縁を結んだのは2006年で、老朽化したコロコロ銅鉱山再開発をめぐり、中国企業との競合の末、韓国鉱物資源公社が事業を獲得した。契約を着実に履行、ボリビアが韓国に対して好感を抱き始めた。
ボリビアはウユニリチウム開発事業への韓国の参加を認めていなかった。李相得議員が大統領特使としてボリビアを訪問、ボリビアはこの時初めて、ウユニ塩水15,000リットルを韓国に譲ることを約束した。
しかしボリビアは塩水を渡さず、李特使はさらに2度もボリビアを訪問、ボリビア
はついに今年2月、300リットルを、残り14,700リットルを4、5月に分けて送った。そして8月までに塩水からリチウムを抽出する実験の結果を提示するよう要求した。
「韓国が6カ月以内に実験結果を出せるだろうか」と半信半疑だったボリビア政府は、8月12日に韓国コンソーシアムが最初の実験
結果を発表すると、驚きを表した。
韓国の追撃に焦った日本はモラレス大統領の日本訪問を推進したが、鳩山首相の退陣で
訪日は白紙になった。
するとモラレス大統領は駐ボリビア韓国大使館を訪ね、韓国訪問の可能性を打診した。金洪洛大使は「韓国訪問で一段階進展した協定を結ぶのはどうか」とモラレス大統領を説得し、新たなMOUを引き出した。
日本が近いうちにモラレス大統領を日本に招待するとの噂がある。
日本はボリビア政府に対して、ウユニがあるポトシ州に地熱発電所を建設し、地下水を開発し、15の学校を設立する案を提示した。日本が物量攻勢で住民の不満を解消するということだ。
2010/8/28 三井物産、アイルランドの農薬製造・販売会社を買収
三井物産は8月17日、ベルギーの100%子会社Mitsui AgriScience International(MASI)を通じて、アイルランドの後発(特許切れ=post-patent)農薬製造・販売会社AgriGuard Holdings Ltd.の発行済株式100%を取得し、買収を完了したと発表した。
買収額は非公表だが、数十億円規模と見られる。
AgriGuardは、英国市場を中心に麦、菜種等の大型作物向けに後発農薬の製造・販売事業を展開している。
一方、 MASIは欧州における三井物産の農薬事業統括会社で、日系農薬メーカー製品を主力として、果樹・野菜などの高付加価値作物に使用される農薬(殺虫剤・殺菌剤)を主に販売している。
今回の買収により、AgriGuard が得意とする大型作物に使用される農薬(除草剤)を併せて提供できるようにな り、こうした品揃えの一層の充実を機に、高付加価値作物市場ならびに大型作物市場への販売力を更に強化する。
ーーー
三井物産はこのほか、農薬分野で欧米で以下の買収を行っている。
同社では今回の買収により、欧米を中心に年間500億円規模の農薬事業を、3〜5年で2倍の1000億円まで増やす方針。
1)米国 Certis USA, L.L.C. (生物農薬等の研究開発、生産、販売*)
旧称 Thermo Trilogy
2001年に親会社で大手計測機器メーカーのThermo Electronから買収
Bt剤分野で世界第二位のメーカーで、Bt剤の他、ニーム油、土壌線虫、フェロモンやウィルスを使用した天然農薬の製造・販売を行っている。
英国にフェロモン関連商品の製造・販売子会社AgriSenseを所有。
三井物産は従来より、果樹・野菜・花卉等の高付加価値作物を主たる対象とした農薬販売事業を欧州を中心に展開していたが、欧州では有機栽培面積の増加に伴い体系的かつ環境への影響の少ない病害虫防除を目指すIPM (Integrated Pest Management)が益々重要となって来ており、こうした動きに対応して、欧州のみならず米国も含めた全世界へのIPM展開を図るもの。
2)米国 Advan, LLC
2005年にCertis USA 50%、Sipcam Agro USA(イタリアの農薬大手 Sipcam-Oxon Groups子会社) 50%出資で設立。
両社の米国事業の販売部門のみを切り離して統合したもので、生物農薬と化学農薬の最適組み合わせを求める顧客の要望にこたえる体制をつくる。(Sipcamは殺菌剤などを販売)
製造や許認可、登録などの業務はそれぞれの製造部門で継続する。
3)欧州 Certis Europe B.V
上記のThermo Trilogy買収に伴い、2001年に欧州統括会社として、三井物産 70%、日本曹達 15%、Crompton 15% の出資で設立した。
Thermo Trilogyのフェロモン関連商品の英国子会社AgriSenseや、三井物産が1999年に買収した英国の天敵資材メーカーのBCM(Biological Crop Protection) などを傘下に置く。
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なお、三井物産は2002年に、アグロカネショウとの50/50JVのセルティスジャパンを設立した。
アグロカネショウは以前からBT農薬を手掛けていたが、生物農薬の登録取得・維持管理及び販売を目的にJVを設立したもの。
4)欧州 Spiess Urania Chemicals GmbH
同社はドイツの農薬メーカーで、銅を原料とした殺菌剤を自社製造するとともに、他社の除草剤、殺虫剤、殺菌剤、農業資材を販売。
1999年にUrania Agrochem GmbH と Spiess & Sohn GmbH & Co.が合併したもので、ドイツの大手銅精練会社Nord Deutsche Affinerie が60%、Spiess一族が40%保有していた。
Nord Deutsche Affinerieがコア事業への集中戦略で農薬事業の売却を決め、2003年に三井物産が80%を買収、2004年に残り20%を買収して100%子会社とした。
日米メーカーからの新規薬剤をSpiess Urania の販売網にも積極的に導入し、ドイツに於ける更なる販売基盤の強化を図ると共に、ポーランドやハンガリー等にも進出している。
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特許切れ農薬の世界第一位はイスラエルのMakhteshim Agan Industries で、第二位は豪州のNufarm Limited 。
本年4月に住友化学がNufarm Limitedの20%を取得、7月以降、農薬の相互販売を始めている。
2010/1/4 住友化学、豪州農薬メーカー Nufarm と包括的業務資本提携へ
付記
中国のChemChinaは2011年10月、イスラエルのMakhteshim Agan の株式60%を24億ドルで買収した。 (Koorに1128百万ドル、残り一般株主に1272百万ドル)
40%はイスラエル最大の持ち株会社IDB Groupの Koor Industriesが保有、Makhteshim Agan は上場を廃止。
2010/8/30 住友商事、大唐集団新能源と新エネルギー分野における合作枠組協議書締結
住友商事は7月22日付で中国の大唐集団新能源と新エネルギー分野における合作枠組協議書を締結した。8月26日に発表した。
大唐集団(China Datang)は中国の5大発電会社 (華能集団、大唐集団、華電集団、国電集団、中国電力投資集団)の一つで発電量で第二位。
新能源はその新エネルギー発電事業の専門子会社として2004年9月に設立された。風力発電で中国第二位、世界シェアでも6位とされる。住友商事は下記の通り、大唐集団と組んで、内蒙古自治区で風力発電事業を行っている。
今回の合作枠組協議書の締結により、住友商事および大唐集団新能源は中国内外において広く風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、CDMプロジェクトなど新エネルギー分野全般における共同プロジェクトの開発推進を強化する。
詳細は明らかにしていないが、日本経済新聞によると、2〜3年後をめどに約600億円を投じ、2〜5箇所の風力発電所を開発、発電能力で25万kwを確保する。
中国国内に加え、インドや南アフリカ、豪州など海外での風力、太陽光、バイオマス発電所などの建設も共同で進める。
住友商事は中国の需要の取り込みと、風力発電で知名度の高い新能源との提携で、海外の商談を有利に進める。
新能源は海外での事業経験が浅く、風力発電以外での実績も乏しいため、住友商事のノウハウを取り込む。
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住友商事は再生可能エネルギー事業を注力分野の一つと位置付け、日本や中国、米国、スペインで活動を行っている。
1.日本
100%子会社のサミットエネジーで電力の小売事業を行っている。
同社は以下の子会社、JVで事業を行っている。
1)サミットウインドパワー(風力発電)
サミットエナジー 100%
酒田発電所 16,000kW(2,000kW×8基)
鹿嶋発電所 20,000kW(2,000kW×10基)
2)サミット美浜パワー(都市ガスで電気、蒸気)
サミットエナジー 100%
千葉市美浜区食品コンビナート内の需要家に電気と蒸気を供給・販売
余剰電気はサミットエナジーに供給
3)サミット小名浜エスパワー(石炭火力発電)
サミットエナジー 65%、日本海水 35%
サミットエナジー向け電力
日本海水の小名浜工場向け電力・蒸気
4)サミット明星パワー(木質系バイオマス発電)
サミットエナジー、明星セメント
木質系バイオマス発電所としては国内最大級、35%の高発電効率を実現
隣接する明星セメント糸魚川工場から木質系バイオマス燃料を調達
発電所の燃焼灰は同工場でセメント原料として利用2008年7月よりヤマダ電機にグリーン電力を供給する契約を締結。
(ヤマダ電機本社と、併設する店舗 LABI1高崎に供給)
2.中国(風力発電事業)
大唐中日(赤峰)新能源有限公司
立地:内蒙古自治区赤峰市
出資:住友商事 20%、大唐集団 51%、九州電力
29%
設立:2007/11
発電量:年間1.3億kwh (2,000kw x 25基)
商業生産開始:2009/9
3.米国(風力発電事業)
Stanton風力発電所
立地:テキサス州
出資:住友商事 42.5%、GE Group、大手風力開発事業者
Invenergy
(住友商事は2009年7月にAIG Financial Products Corp.より取得し、参加)
能力:120MW (1.5MW x 80基)
4.スペイン(大型太陽光発電事業)
EVM2
Energias Renovables, S.L.
立地:カナリア自治州(カナリア諸島)テネリフェ島
出資:住友商事 43%、テネリフェ島政府子会社のITER(再生エネルギー技術研究所)ほか
出力:9,000kW
投資:85億円
発電パネル:シャープ製
操業開始:2008年後半
販売先:スペイン最大手電力会社エンデサの100%子会社ユネルコ
エンデサ
(スペイン政府の再生エネルギー電力買取制度に基づく)
2010/8/31 JX日鉱日石エネルギー、PetroChinaとの石油精製合弁会社設立
JX日鉱日石エネルギーは8月27日、PetroChinaとの間で、大阪製油所の合弁製油所化に関して最終合意に至り、契約を締結したと発表した。
国内の石油需要の大幅な減少で精製設備の過剰解消は喫緊の課題だが、アジア・太平洋地域における石油製品需要は今後も着実に増加する。
大阪製油所の優位性(生産する製品の品質の高さ、大容量の製品 タンク等)を活かし、同製油所を国内市場向けの製油所からアジア・太平洋市場に向けた輸出型製油所に転換することにより、国内石油産業の競争力強化とアジア・太平洋地域のエネルギー安定供給基盤強化を目指す。
新日本石油とPetroChinaは、2004年7月に「石油製品受託精製契約」を締結し、2007年4月には「長期協力に関する覚書」を締結した。
両社は2008年5月、新日本石油精製が保有する大阪製油所(115千バレル/日)を共同出資会社として運営することで合意した。
同製油所を輸出特化型製油所に転換するため新会社を設立、ペトロチャイナが49%出資するもので、2009年6月に中国国家発展改革委員会(NDRC)の承認を得た。
両社は2010年6月29日、主要条件を定めた基本合意書を締結、関連する諸契約の締結に向けた準備を進めてきた。
10月1日に合弁会社を設立し、事業を開始する。
合弁会社の概要は以下の通り。
社名: | 大阪国際石油精製株式会社 (Osaka International Refining Company, Limited 略称:OIREC) |
資本金: | 50億円 |
出資比率: | JX日鉱日石エネルギー 51% 中国石油国際事業日本 49% |
事業: | 大阪製油所(原油処理能力:日量11.5万バレル)で原油を精製、 生産した石油製品を主にアジア・太平洋市場で販売 |
原油調達、製品輸出販売はPetroChinaへ委託 製油所運営にかかわるサービスはX日鉱日石エネルギーへ委託 |
|
従業員数: | 約250名 |
ーーー
新日本石油と新日鉱ホールディングスは2008年12月4日に「経営統合に関する基本覚書」を締結、2010年4月1日に統合持株会社
JXホールディングス
を設立した。
7月1日に両社グループの全事業を統合持株会社の傘下に統合・再編・整理を行い、石油精製販売についてはJX日鉱日石エネルギーとなった。
これに先立ち、2009年12月に両社はJX日鉱日石エネルギーの体制を発表した。
2008年12月現在で両社合計で9製油所で
1,792千バレルの能力であったが(うち日本海石油富山製油所
60千バレルは2009年3月に廃止)、2011年3月には大阪製油所を除き、7製油所
1,392千バレルに400千バレルを削減する。
(大阪製油所は移管のため、能力的には実質285千バレルの減だが、国内向け能力としては400千バレルの減となる)
さらに、遅くとも2015年3月末までに、日量20万バレルの追加削減を行う予定。
2009/12/29 新日本石油と新日鉱ホールディングスとの経営統合詳細
ーーー
最近の石油業界への外資参入の状況は以下の通り。
1)南西石油(100千バレル)
東燃ゼネラル石油が87.5%、住友商事が12.5%出資していたが、2008年4月に東燃ゼネラル石油が全株をペトロブラスに売却、住友商事も本年4月に売却、ペトロブラス100%となった。
ぺトロブラスは1千億円を投じて大型設備を建設し、安価なブラジル産の重質原油を南西石油で処理、アジア向けの精製・輸出拠点に位置づけたいとしていたが、建設計画は凍結している。
2007/11/7 ペトロブラス、南西石油を買収
2)昭和シェル
2004年(と2005年)にSaudiAramco が昭和シェルの株式15%を取得
昭和シェル石油は2009年6月、15%の大株主であるサウジアラムコと、サウジアラビア王国内において太陽光を活用した小規模分散型発電事業の可能性の調査を開始することに合意したと発表した。
太陽光発電のパイロットプラントを建設し小規模独立型電力系統(マイクログリッド)への繋ぎ込みなどの技術検討を行い、この結果を受けて同国内での本格的な事業化へ移行する計画。
3)コスモ石油
2007年にアブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社(IPIC)が約900億円を投じコスモ石油に20%出資、筆頭株主になった。
IPICは活動を全世界に広げている。
UAE 内陸油田ハブシャンからの全長360kmの原油パイプラインとフジャイラ港でのタンクターミナルの建設
フジャイラにて50万バレル/日の能力の輸出を主体とした製油所の建設オーストリア 石油、ガス会社OMVに17.6%の出資
石化会社Borealisに65%の出資
2006/11/10 OMVとBorealis、オーストリアとドイツで石化増強
AMI Agrolinz Melamine International に50%出資(OMVが残り50%)日本 コスモ石油に出資 韓国 Hyundai Oil Bankに出資(70%)
↓
2009/11/21 現代グループ、Hyundai Oilbank の経営権を奪還パキスタン パキスタンのPak-Arab Refinery Co.株式40%を保有(残りはパキスタン政府)。
パキスタン政府との間で30万バレル/日規模の製油所建設を検討中(IPICが74%出資予定)オマーン Oman Polypropylene に出資(出資するGulf Investment Corporationを通して) エジプト Arab Company に出資 スペイン CEPSAに出資(47%にアップ) →100% 中央アジア 2008/8/27 Abu Dhabi のIPIC、中央アジアに進出 カナダ 2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収
最新情報は http://knak.cocolog-nifty.com/blog/