ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2010/4/22 SABIC、第四世代PP触媒を開発

SABICは4月1日、第四世代PP触媒を開発したと発表した。

中東での最初の開発で、サウジと欧州のSABICプラントでのテストで、現在同地で使用されている他の触媒よりも優れた素晴らしい結果を示した。生産性向上、品質向上、新製品開発に貢献するとしている。

この触媒はAl Jubail SABIC子会社 IBN ZAHR(Saudi European Petrochemical )で商業的に使用され、これまでの触媒(Unipol)よりも優れた成績をあげた。3月末時点で30千トンの生産を行い、国際市場で販売された。

IBN ZAHR 1984年にSABIC(70%)Neste Oy(10%)Eni 子会社のEcofuel (10%)Arab Petroleum Investment APICORP(10%) JVとして設立された。
20067月にSABICNeste Oy の持株を買収し、現在は80%の株主となっている。

第1系列 320千 トン(当初 260千 トン)と第2系列 320千トンに加え、2008年秋に1系列としては世界最大500千 トンを稼動、合計能力は1,140千 トンとなっている。いずれもDow のUNIPOL 法を採用している。
IBN ZAHR ではPPのほか、MTBEを生産販売している。

2008/11/11 SABIC1系列で世界最大のPPプラント 生産開始

SABICは1994年にRiyadh に中東最大のSABIC Research and Technology Center を立ち上げ、大学や研究組織、公私のパートナーと連携している。 技術開発、需要家へのテクニカルサポート、製造技術改善を目的とする。
パイロットプラントや2系列の触媒生産設備を持つとされている。

SABIC2002年に22.5億ユーロでDSMの石化部門を買収しSABIC Europe とした。

2006/8/22 SABIC Europe とその前身

オランダのGeleen工場にエチレン、HDPELDPELLDPEPPプラントとSABIC Technical Center を持つ。
同センターにはThe chemistry & catalysis department
があり、新触媒の開発と、SABICの各プラントでの触媒の選択の支援を行っている。

SABICは2006Huntsmanの英国の石化子会社の株式100%を7億ドルで買収した。
英国のWiltonに865千トンのエチレンと400千トンのプロピレンのクラッカー、130万トンの芳香族のプラントを有している。
その後、400千トンのLDPEプラントを完成させた。

2006/10/3 SABIC、Huntsmanから英国の石化子会社を買収 

今回の第四世代PP触媒はオランダとサウジの両センターの協力によるものと思われる。

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SABIC200910月に米国のAlbemarle Corporation と、SABIC子会社でプラスチック製品を製造するIbn Hayyan Plastic Products Company (TAYF)との間で、ポリオレフィン等の触媒トリエチルアルミの製造の50/50JV Saudi Organometallic Chemicals Company (SOCC)を設立すると発表している。

2009/10/30  SABIC、トリエチルアルミ製造JVを設立

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SABIC420日、King Abdullah University of Science and Technology (KAUST)との間で長期の研究・イノベーション契約を締結した。

大学構内に
SABIC Research and  Innovation Center を設置し、2012年に稼動させる。
ここでは
100150人の科学者を雇用し、特に触媒、コンポジット、膜の分野を中心に研究する。

完成すればSABICの上海やインドの研究所とも提携する。 

SABIC Innovative Plastics Global Application Technology Center
       
Application Development Center   Southfield, Mich, USA
Polymer Processing Development Center   Pittsfield, Mass, USA
European Processing Center   Bergen op Zoom, the Netherlands
Europe Technology Center   Munich, Germany
China Technology Center   Shanghai, China
Welch Technology Center   Bangalore, India
真岡 Technology Center   真岡, Japan

  


2010/4/23 経済産業省、資源エネルギー政策の見直しの基本方針を公表

経済産業省は4月19日、2030年を目標とする「資源エネルギー政策の見直しの基本方針」案(エネルギー基本計画見直しに向けて)を公表した。
  
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004657/pubcomm100419a.pdf

2002年6月に、エネルギーの需給に関する政策に関し、「安定供給の確保」、「環境への適合」、「市場原理の活用」を基本方針として定めること等を内容とする「エネルギー政策基本法」が制定された。

これに基づき2003年10月に、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るための「エネルギー基本計画」が策定された。

その後、2007年3月に
見直しが行われた。

今回の基本方針案は、これを再度見直すためのもので、今月末まで意見を公募し、6月中旬をめどに基本計画の閣議決定を目指す。

エネルギー安全保障を確保するため、原発14基以上の新設などによってエネルギー自給率を現状(18%)の2倍にすることなどが柱。

基本的視点として以下を挙げている。
 ・総合的なエネルギー安全保障の強化
 ・地球温暖化対策の強化
 ・エネルギーを基軸とした経済成長の実現
 ・安全と国民理解の確保
 ・市場機能の活用による効率性の確保
 ・エネルギー産業構造の改革

小沢鋭仁環境相は3月31日、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で 25%削減する目標の達成に向けた具体策の展開方法を示す「ロードマップ」の試案を発表した。

2010/4/8  温暖化対策「ロードマップ」、環境相試案を発表

これについて、「温暖化ガス削減の目標達成だけを重視し、経済成長や国民・企業の負担を軽視している」との不満も出ており、今回はエネルギーを基軸とした経済成長の実現を基本的視点としている。

2030年に向けた目標

1 エネルギー供給面
  自主エネルギー比率を約70%(現状38%)とする。
     従来のエネルギー自給率(国産エネルギー+原子力:現状18%)、
 自主開発権益下の化石燃料の引取量(現状約26%)をそれぞれ倍増
     
  ゼロ・エミッション電源比率を約70%とする。(現状34%)
     一層の省エネや電力供給システムの低炭素化の徹底
     
    * 原子力の新増設(少なくとも14基以上)、設備利用率の引き上げ(約90%)
 再生可能エネルギーの最大導入
     
2 エネルギー需要面
  「暮らし」のエネルギー消費から発生するCO2を半減
     
  産業部門では世界最高のエネルギー利用効率の維持・強化
     
3 我が国のエネルギー・環境製品や技術の国際展開
  エネルギー関連の製品・システムの国際市場において、我が国企業群がトップクラスのシェアを維持・獲得
     

目標実現のための取組 

資源確保・安定供給強化への総合的戦略
  1 エネルギーの安定供給源確保
   (1) 目指すべき姿
    化石燃料の自開発資源比率は2030年に約50%以上(現状約26%)
       石油及び天然ガスを合わせた自主開発比率を40%以上、
 石炭の自主開発比率を60%以上に引き上げることを目安とする。
       
    ベースメタル(銅・亜鉛)の自給率は2030年に80%以上
       
    「戦略レアメタル」(レアアース、リチウム、タングステン等)自給率を2030年に50%以上
      「準戦略レアメタル」(ニオブ、タンタル、白金族等)は常にその動向を注視
       
    ウラン燃料については安定供給に向けた取組を強化。
       
   (2) 実現に向けた基本戦略
   





資源国との二国間関係の強化
我が国企業による上流権益獲得に向けた支援
レアメタル等鉱物資源の確保
海洋エネルギー・鉱物資源開発の強化、及びレアメタル・リサイクルや代替材料開発の推進
石炭の安定供給確保
ウラン燃料の安定供給確保
市場安定化に向けた取組
       
  2 国内における石油製品サプライチェーンの維持
      原油の重質化や需要減退等の構造的変化を踏まえ、石油事業者が行う重質油分解能力の向上、精製機能の集約強化等の抜本的な構造調整等を促進し、競争力を強化。
       
  3 緊急時対応の推進
      今後とも90日+αに相当する国家石油・石油ガス備蓄量を確保するとともに、その安全かつ効率的な維持・管理に努める。
       
自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現
  1 原子力発電の推進
    2020年までに、9基の原子力発電所の新増設(設備利用率約85%)
(現状:54基稼働、2008年度:設備利用率約60%、1998年度:設備利用率約84%)
    2030年までに、少なくとも14基以上の原子力発電所の新増設(設備利用率約90%)
    水力等に加え、原子力を含むゼロエミッション電源比率を2020年までに50%以上、2030年までに約70%
       
  2 再生可能エネルギーの導入拡大
    固定価格買取制度の構築等により導入を図る。
 全量固定価格買取制度の構築、導入設備の設置促進、電力系統の整備、規制の適切な見直し等
    バイオ燃料について、LCAでの温室効果ガス削減効果等の持続可能性基準を導入
    ゼロ・エミッション電源比率を2020年までに50%以上、2030年までに約70%とする。
       
  3 化石燃料の高度利用
    火力発電の高度化
    石油の高度利用
      原油の重質化や国内石油製品需要の白油化等に対応しつつ、石油残渣等の高度利用の取組を推進
    クリーンコールテクノロジーの開発と海外展開支援
    電力・ガスの供給システムの強化
      世界最先端の次世代型送配電ネットワークの構築、ガスインフラネットワークの拡大、連携強化
       
低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現
  1 世界最高の省エネ・低炭素技術の維持・強化(産業部門対策)
    産業部門:
 設備更新時には全て現在の最先端技術を導入促進、
 省エネ法の運用強化、
 革新的技術(環境調和型製鉄プロセス、革新的セメント製造プロセス等)の実用化
 高効率設備によるガスへの燃料転換、
 コジェネレーションの利用等を推進
    鉄鋼:革新的製銑プロセス(フェロコークス)や環境調和型製鉄プロセス(水素還元製鉄、高炉ガスCO2分離回収)について研究開発を推進し、2030年までの実用化
    化学:2020年までに、熱併給発電装置(CHP)の高効率化技術の普及
    セメント:革新的セメント製造プロセスの基盤技術開発を推進し、早期の実用化
    紙・パルプ:2020年に向けて、高温高圧型黒液回収ボイラによる熱利用等、高効率古紙パルプ製造技術等の導入拡。
       
  2 住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化の推進(家庭・業務部門対策)
    【住宅】
2020年までにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準的な新築住宅とする。
既築住宅の省エネリフォームは現在の2倍程度まで増加。
2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現。
    【建築物】
2020年までに新築公共建築物等でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現。
2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現。
       
  3 次世代自動車等の環境性能に特に優れた自動車の普及(運輸部門対策)
    積極的な政策支援を前提に、乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を、2020年までに最大で50%、2030年までに最大で70%とすることを目指す
    先進環境対応車(ポスト・エコカー*)について、積極的な政策支援を前提として、2020年において乗用車の新車販売に占める割合を80%とすることを目指す。
 *「次世代自動車」+「将来において、その時点の技術水準に照らして環境性能に特に優れた従来車」
       
       2010/4/20 次世代自動車戦略 2010
       
  4 高効率給湯器の普及促進(家庭・業務部門対策)
    高効率給湯器の販売台数を今後3年で2倍(200万台程度)、5年で3倍とする(300万台程度)(現状90万台)。
5年後には、高効率給湯器を標準装備とする。
    2020年までに家庭用高効率給湯器を単身世帯を除くほぼ全世帯、2030年までに全世帯の8〜9割に普及。
       
  5 省エネ家電、省エネIT機器等の普及(家庭・業務部門対策)
    省エネIT機器について、2015年までに実用化し、2020年までに100%普及させる。(現状:0%)
       
  6 高効率照明(LED照明、有機EL照明)の普及促進(家庭・業務部門対策)
    高効率照明(LED照明、有機EL照明)を、2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%とする。
(現状:1%未満)
       
  7 モーダルシフトの促進(運輸部門対策)
    モーダルシフト化率(中長距離-300km以上-輸送における鉄道・内航海運分担率)を2020年に7割、2030年に8割を超える水準まで向上。(現状:55%)
       
  8 天然ガス利用の促進(主に産業部門対策)
    石油・石炭系のボイラー及び工業炉について天然ガスへの燃料転換を促進。
−2020年度までに燃料消費に占めるガス比率の5割以上の増加を目指す。
−2030年度までに燃料消費に占めるガス比率の倍増を目指す。
    天然ガスコジェネレーションの導入促進を図り、2020年度までに現状から5割以上の増加(計800万kW)、2030年度までに倍増(計1,100万kW)導入を目指す。
       
  9 環境配慮型建設機械の普及(産業部門対策)
    ハイブリッド建機等について、政策支援を前提として、2030年において全建機の販売に占める割合を4割とすることを目指す。(現状:0.4%)
       
  10 エネルギーの需要面の横断的対策
    都市や街区レベルでのエネルギー利用最適化
      地域冷暖房、工場・ビル等の未利用熱の利用、再生可能エネルギーの活用、交通手段の低炭素化など
       
    低炭素エネルギーや省エネルギーの経済価値化
      グリーン電力証書やグリーン熱証書など
       
次世代エネルギー・社会システムの構築
  1 次世代エネルギー・社会システムの構築
    スマートグリッド・スマートコミュニティへの移行
       
  2 スマートメーター及びこれと連携したエネルギーマネジメントシステムの推進
       
  3 水素エネルギー社会の実現に向けた取組
       
革新的なエネルギー技術の開発・普及拡大に向けた取組
       
エネルギー・環境分野における国際展開・国際協力の推進
  1 低炭素エネルギー技術・システム等の海外展開に向けた取組
  2 エネルギー国際協力の強化
       
エネルギー産業構造の改革に向けて
       
国民からの理解の促進
       

2010/4/24  Avecia の変遷

Merck & Co.は2009年12月、Avecia Groupから英国 Milford に本拠を置く Avecia Biologics を買収する契約を締結したと発表、本年2月1日に買収が完了した。
Avecia Biologics は微生物由来蛋白の生物製剤を専門に受託製造を行っている。現在手掛けている製品には、がん疾患や心臓疾患、脳卒中などを対象にした治療薬も含まれている。

Avecia GroupICISpecialty Chemicals 部門を起源とするが、元の親会社のICIと同様、事業を順次売却しており、今回の売却で残るのは、米マサチューセッツ州Milfordに本拠を置き、短鎖DNARNAを成分とする医薬品製造のため、逐次固相合成法によるオリゴヌクレオチド製剤のプロセス開発及び製造を行っているAvecia Oligo Medicinesのみとなった。 

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Avecia の起源はICISpecialty chemicals部門で、
 Life Science Molecules (LSM)
 Specialist Colors and Display
 Biocides
 Color additives
 Stahl leather chemicals groups
などから成っていた。

ICI1993年に Biochemicals 部門をスピンオフし、Zenecaを設立したが、Specialty chemicals部門についてもZeneca SpecialtiesとしてZeneca子会社とした。

Zeneca1999年にスウェーデンのAstra と合併し、AstraZencaとなった。

Zeneca Specialtiesのマネージメントは投資会社2社(CinvenInvestcorp)から資金援助を受け、13億ポンドで買収(MBO)を行い、同社はAveciaと改称した。

AstraZenecaは農薬部門も放出、これはNovartisの種子部門と統合してSyngentaとなった。

この後、Avecia は買収と売却を繰り返した。(途中で変遷はあったが、最終的にはLife Science Moleculesに絞った)

  買収 売却
1999 発光ポリマー(LEP)メーカーCovion Organic Semiconductorsを買収
Hoechst AGからスピンオフ)
 
DNAmolecules開発のBoston BioSystemsを買収
2000 医薬品試作、検査、研究を行うカナダのTorcan Chemicalを買収  
ICIからICI/三井化学のトナー樹脂製造JVImage Polymers (米、英)のICI 持分を買収
2001   Novacote (laminating adhesives and coatings)をイタリアの COIM Groupに売却
2002   Stahl leather chemicals (NeoResins を除く)をInvestcorp に売却
2003 Synthon Chiragenicsからchiral technologiesを取得 Mining chemicals部門をCytec Industries に売却
2004   Biocides部門をArchに売却
Color additives部門をLubrizolに売却
2005   Avecia Fine Chemicals KemFine (KemiraからMBOで独立) に売却
Avecia Pharmaceuticals (custom manufacturing)Nicholas Piramal India に売却、NPIL Pharmaceuticalsに改称
OLEDLEP事業をMerck KGaA に売却
NeoResins(coating resins) 事業をDSM に売却
*米国
Stahl Finish Co.が初めた事業で、その後合併で生まれたBeatrice 1985年にICIが買収したもの
2006   Image Polymers(米、英)持分を三井化学に売却
Avecia Inkjet を富士フィルムに売却
2010   Avecia Biologics Merck & Co.に売却

Image Polymers

三井化学(当時は三井東圧化学)は1988年に米国にICIとの50/50JVのトナー樹脂製造販売会社:Image Polymers を設立、その後、スコットランドに同じく50/50JVImage Polymers Europeを設立した。

その後2000年にAveciaICI 持株を譲り受けたが、三井化学は2006年にAveciaの持株を買収し、100%子会社とした。

三井化学は世界のコピー及びプリンタートナー用樹脂の中で最も多く使用されているスチレンアクリル系樹脂のリーディングカンパニー(世界シェア25%)で、100%子会社化により日米欧、三極でのグローバルな事業運営を行い、競争力強化及び新製品開発強化を進め、世界シェア30%超を目指すとした。

三井化学は2007年には積水化学のトナー用樹脂事業(樹脂に関する営業権および知的財産)を譲受けた。

Avecia Inkjet

富士フイルムは、インクジェットプリンタ向けインク染料の世界最大手であるAvecia Inkjetを1億5,000万ポンドで買収し、100%子会社 FUJIFILM Imaging Colorants とした。

買収により、Avecia の製品群、生産設備、販売ルートを有効活用し、また、Avecia の生産技術と合成化学技術、分散技術、素材技術を融合させ、「他の追従を許さない高い画像保存性など、優れた特徴を備えたインク染料の製品化を進める」とした。

同社は前年の2005年には産業用インクジェットプリンター用UVインクでトップシェアをもつ英国Sericol Groupを買収しているが、Avecia Inkjet 買収後に、産業用インクジェットプリンター用ヘッドのトップメーカーの米国 Dimatix, Inc.を買収している。Dimatixの持つ最先端のヘッド技術と、富士フイルムグループが有する高度なイン ク技術を融合させ、他の追随を許さない高品質画像出力や、様々な新素材への画像出力を実現し、産業用インクジェットビジネスの事業拡大を図る。

 


2010/4/26  アラムコとダウ、石油化学コンプレックス建設地を変更

サウジアラムコとダウは2007年5月、世界最大級の化学品・合成樹脂のコンプレックス(Ras Tanura総合計画)の建設・運営についての詳細覚書を締結したと発表した。

コンプレックスの立地はサウジの東海岸のAl Jubail南東のRas Tanuraで、同地にあるアラムコのRas Tanura製油所(55万バレル/日)とJu'aymah ス処理工場(いずれも世界最大)から原料ナフサ及 びエタンの供給を受け、エチレン、プロピレン、芳香族の基礎原料のほか、当初にはワールドクラスのLDPEHDPEEO/EG、PO/PG、クロルアルカリ、VCM、ポリウレタン、エポキシレジン、PC、アミン、グリコールエーテルなどを生産することとしていた。はエチレン能力は120万トンと噂されていた。

2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設

Saudi Aramco はこのたび、この計画をRas TanuraからJubail移すことを決めた。
Ras Tanuraの土地の造成費が高いこと、同地が過密であることが理由。

Jubailには電力、水などの用役が揃っているため、移転により40%ものコスト節減が可能となる。

Saudi Aramco が計画していたRas Tanura での製油所増設(80億ドル)は取り止める。

石化コンプレックスの原料は当初のナフサとエタンからエタンのみに変更される。
エタンは
2009年に建設契約を締結したAramcoとフランスのTotal とのJVSaudi Aramco Total Refining and Petrochemical Company(SATORP) から供給を受ける。

基本設計(front-end engineering and design)は本年末に完成し、その後建設契約を締結する。

詳細の発表はないが、5つの誘導品計画が取り消されたとの情報がある。

 


2010/4/27 LyondellBasell、民事再生法から離脱

New York の破産裁判所は423日、LyondellBasellの再建案を承認した。
同社は
430日に民事再生法(Chapter 11)から離脱する。

同社はBasellによるLyondell買収で多額の債務を負ったが、資金繰りに行き詰まり、まず米国子会社が2009年1月6日に、次いで4月24日には親会社も民事再生法(Chapter 11)を申請した。

2009/4/27  LyondellBasell、親会社も米国の民事再生法対象に追加

同社は債権者団体と再建案を交渉するとともに、インドのRelianceからの買収提案を受け、並行して交渉を進めた。

Leon Blackが経営する投資会社Apollo Management、Ares Management 及びBasellの創始者Len BlavatnikのAccess Industrieなどが債権を株式に代えるという再建案に同意、会社側は再建案の方が債権者にとり有利であるとみなしてRelianceによる145億ドルの買収提案を拒否した。

2010/3/11 LyondellBasell、Reliance の買収提案を拒否


この再建案を破産裁判所が承認したもの。

裁判所は合わせて、危険廃棄物の処理費用(55億ドル)に関するEPAとの争いの解決案も承認した。 この解決が出来なければ、同社は清算せざるを得ない状況にあった。

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新しくオランダに持株会社LyondellBasell Industries N.V.を設立する。
この会社の株式は
New York株式市場に第3四半期に上場される予定。

再建案によれば、同社は新たに32.5億ドルの有担保債を発行し、また5億ドルの借入、28億ドルの増資を行い、既存の借入金の返済に充てる。有担保優先債権者は約180億ドルの債権を株式に転換する。

その他の債権者は以下の扱いとなる。
 
Chapter 11移行のためのDIP financing の債権者は同額の新規債を受領
 無担保債権者は債権の一部を現金と
Class A 株式で受領
 その他債権者と旧株主は受領なし

同社がChapter 11 を申請した時点では240億ドルの負債があったが、Chapter 11 離脱時には負債は72億ドル(20億ドルの現金等を控除するとネットでは52億ドル)となる。
このほか、設備や売掛債権を担保に
24億ドルの借入予約を行った。このうち約10億ドルはChapter 11離脱時に実行する。

付記

LyondellBasell は2010108、同社の株式が1014 New York Stock Exchange で再上場されると発表した。

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危険廃棄物処理費用(分かっているだけで55億ドル)については、米国中の15の汚染地のクリーンアップのために250百万ドルを出す案が承認された。うち、ミシガン州のKalamazoo River80マイルのクリーンアップに103百万ドルを支払う。

これに対して、同じ地域で除去を迫られている Weyerhaeuser Georgia Pacific が、自社の除去費用が増える恐れがあるとして反対したが、判事はこれを却下した。

汚染地域の上院議員や下院議員は、完全クリーンアップが筋であるとして不満を表している。


2010/4/28 BASF、ドイツのCognisTOB

BASFがドイツのSpecialty chemical のメーカーのCognisTOBをかけるとの噂が流れている。対価は30億ユーロにもなるとされている。

Cognisについては、BASFのほか、潤滑油メーカーのLubrizolも買収に意欲を持ち、交渉を始めた。

特に CognisCare Chemicals (ヘア・ボディ・オーラルケア剤、スキンケア剤、ホームケア洗剤など)は石油・ガスを直接原料とする製品に比べ景気変動に余り左右されないため、各社の関心の的となっている。

BASFによれば、高級化粧品の需要が回復に向かっており、パーソナルケア化学品市場の回復に力を与えている。
BASFはヘアケア、日除け製品、増粘剤などを開発しており、ケア関連の化学品で34億ユーロの売り上げがある。

Lubrizol Additives部門とAdvanced Materials部門を持つが、後者ではEngineered polymersに加え、Consumer Specialtiesを扱っており、ローションやシャンプーなどのパーソナルケア製品の増粘剤の最大のメーカーでもある。
同社はパーソナルケア分野での拡大を目指している。
Lubrizolの市場価値は65億ドルで、アナリストによれば、30億ドル程度の買収をしても、投資適格格付けを維持できる。

Cognisのオーナーは売り急いではいない。上場も検討している。、
BASFLubrizolのほか、DuPontCroda InternationalSolvayDSM なども関心を示しているといわれている。

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Cognis はドイツのHenkel KGaA の化学部門であったが、1999年にHenkel は強力ブランドと先進技術に全面的に集中するため、化学部門の放出を決定、100%子会社のCognis を設立した。
200111月、投資会社3Permira FundsGS Capital PartnersSV Life Sciences Fundsが買収し、現在に到っている。

現在のHenkel の事業は次の3つ。
 
Laundry & Home CareCosmetics / ToiletriesAdhesive Technologies

Cognis2006年にグローバルの油脂化学事業(脂肪酸、グリセリン、油田用化学品、プラスチック添加剤)をマレーシアのGolden Hope Plantations との50/50JVCognis Oleochemicals (M) に移管した。

Golden Hope Plantations 2007年にKumpulan Guthrie及びSime Darby と合併し、Sime Darbyとなった。
ゴムのプランテーション、不動産、自動車、エネルギーなど多岐にわたる事業を行っている。

2008年11月に、CognisはCognis Oleochemicalsの持分をタイのPTT Chemical に売却、現在はCognis OleochemicalsPTTSime Darby 50/50JVEmery Oleochemicalsとなっている。

Cognisは3つの戦略的事業単位(SBU)を持つ。

(1)Care Chemicals

Hair / Body / Oral Care 
  ヘア・ボディ・オーラルケア剤、 シャンプーコンディショニング剤原料、ヘアカ ラー剤原料、口腔洗浄剤原料
Skin Care
  化粧水・乳液原料、メイク落とし原料、
UV ケア化粧品原料、リキッドファンデーション原料
Home Care
  台所用洗浄剤原料、柔軟材原料、柔軟仕上剤原料
Industrial & Institutional Cleaning
Silicates

(2)Nutrition & Health

Food & Beverages
  栄養補助食品素材
Dietary Supplements
  機能性食品素材 (機能性食品原料、栄養補助食品原料)
Pharmaceuticals & Healthcare
  医薬品原料 (一般用医薬品原料、医薬品添加物)
Food additives
  食品添加物 (色素原料・乳化剤等の食品添加物、品質改良剤)

(3)Functional Products

Coatings
Lubricants
AgroSolutions
Mining & Ion-Transfer Technology

最近の業績は以下の通り。(百万ユーロ)

  売上高   Adjusted EBITDA
2009 2008 増減   2009 2008 増減
Care Chemicals 1,457 1,684 -227   212 204 8
Nutrition & Health 325 346 -21   54 65 -11
Functional Products 786 948 -162   100 88 12
Others 16 23 -7   -2 -6 4
Total  2,584  3,001  -417   364 351 13
               
EBIT         195 192 3
金利(net         -130 -212 82
Tax         -40 -29 -11
中止事業損益         -  -14 14
Net Profit         25 -63 88

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Lubrizol Corporation1928年に米国オハイオ州クリーブランド市の郊外に設立された。

最初の製品Lubri-Graphは、自動車の重ね板バネのキシミ音を低減するために開発したもので大ヒット商品となった。
そのすぐ後に自動車のエンジン油も商品化し、これらの技術から添加剤の分野に特化した。
1998年はBP ケミカルからAdibis 潤滑油・燃料添加剤事業を買収している。

その後、パーソナルケア部門に進出した。
 
2003年にDow Chemical から、その子会社 Amerchol のパーソナルケア事業の一部を買収。

 2004年に英Avecia から添加剤事業を買収。

 同年に米BFGoodrich Performance Materials部門が独立したNoveon 18.4億ドルで買収した。

BFGoodrich 1896年に世界初の空気入り自動車用タイヤを開発した。
1940年には合成ゴムを使用したタイヤを米国市場に初めて投入、1947年には初のチューブレスタイヤを発売している。

同社は1986年に自動車タイヤ事業をフランスの Michelinに売却した。 Michelinは現在もBFGoodrich ラベルでタイヤを販売している。

BFGoodrich 200011月、Performance Materials事業を投資家グループに14億ドルで売却すると発表した。
同事業は
20012月にPMD Groupとして独立し、同年7月に Noveon Incと改称した。

BFGoodrichはこれにより航空・防衛産業企業への変身を完了した。

現在、Lubrizolは潤滑油・添加剤の Lubrizol Additives 部門と、Lubrizol Advanced Materials部門を持っている。

Lubrizol Advanced Materials部門は次の製品を扱う。

(1) Noveon Consumer Specialties
    personal carehome carepharmaceuticalpet food formulations

(2) TempRite Engineered Polymers
    Chlorinated polyvinyl chloride (CPVC) resins and compounds

(3) Estane Engineered Polymers
    熱可塑性ウレタン樹脂

 


2010/4/28 2010年第1四半期 国産ナフサ基準価格

財務省が4月 28日に発表した輸入通関速報によると、3月 のナフサ輸入通関価格は45,249円、1-3月平均は45,702円となり、第1四半期の国産ナフサ基準価格は47,700円となった。 なお、2月の通関金額が修正されている。

計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
2009/1Q  24,970  27,000
   2Q  31,294  33,300
3Q  39,185  41,200
4Q  40,531  42,500
2010/1 45,468    
2010/2 46,360    
2010/3 45,249    
2010/1Q 45,702 47,700

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)

 


2010/4/29 LG化学、ボルボに電気自動車のバッテリー供給

LG化学は4月26日、スウェーデンのボルボに電気自動車(EV)の基幹部品であるリチウムイオン電池を供給する契約を結んだことを明らかにした。
供給はバッテリーセルだけでなく、制御システム(BMS)などさまざまな部品で構成された全体バッテリーパック形態で行われる。

Volvoでは、2012年上市のプラグインハイブリッドに採用するとしている。

LG化学は電気車用バッテリー分野で世界1位で、これまで韓国の現代・起亜車と電気自動車メーカーのCT&T、米国のGMと自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車の5社と電気車用バッテリー供給契約を結んでいる。
ボルボはLG化学の6番目の顧客となる。

LG化学の金磐石副会長は以下のように述べている。

・ヨーロッパの名品自動車市場に進出し、改めて製品の競争力が認められることになった。
・世界3大自動車市場の米国・中国・ヨーロッパにすべてバッテリーを供給することになったという意味もある。
・世界的な自動車企業と実質的に納品契約を結び、大量生産体制を整えた会社はLG化学が唯一。
 年末までに追加で4社以上の顧客を確保し、供給先を10社以上に増やしたい。

同社は米フォードとも納入交渉を進めていると報道されている。

ーーー

LG化学は2007年12月、現代自動車が2009年下半期から量産するAVANTE HYBRIDにリチウムポリマー電池を単独供給すると発表した。忠清北道・清原郡の梧倉テクノパークでハイブリッドカー用リチウムポリマー電池の本格的な量産に入る。

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LG化学は2009年10月、韓国の電気自動車メーカーのCT&Tに2010年からリチウムイオンバッテリーを供給すると発表した。

CT&Tはゴルフ場などで使用される低速走行の近隣用電気自動車(NEV)を生産しているが、LG化学はCT&Tの既存の電気自動車や今後開発する新型車にリチウムイオン2次電池を供給する。

CT&Tは、NEVの世界的メーカーで、最高時速40マイル、航続距離80マイルの2人乗 りの低速EVe-ZONE」(日本名:TEYAN)を年間6万台生産し、中国やカナダ、アラブ首長国連邦、日本などに輸出している。
米国でも販売する予定。

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LG化学は20091月、「2010年に発売予定のGMの電気自動車 シボレー・ボルト(Chevy Volt) に搭載されるリチウムイオン・ポリマー・バッテリーを供給する唯一の企業として選ばれた」 と発表した。

2009/1/17 LG化学、GMに 電気自動車用バッテリー独占供給へ

同社はGMか ら2011年 にデビューするBuick の プラグインハイブリッドカー(ガソリンと電気を動力源とし、家庭用電源からの充電が可能なハイブリッド車)用のバッテリーパック供給の指名を受けた。

LG Chem の米国子会社Compact Power 20098月、ミシガン州Troy に車載用リチウムイオン 電池工場を新設する方針を明らかにした。
3億〜4億ドルを投じて電気自動車 25万 台分の工場を建設、2013年 稼動を目指す。
オバマ政権の
24億 ドルの補助金から151百 万ドルを受ける。

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LG化学は2010年1月5日、米部品メーカーEaton Corporationにハイブリッド商用車向けのリチウムイオン電池を供給する契約を結んだと発表した。今年11月 から4年間にわたり供給する。

Eaton は
LG化学のリチウムイオン電池をハイブリッド商用車の駆動系システムに搭載し、米トラックメーカーのNavistar、Peterbilt、Kenworthやイタリアのトラックや鉄道車両、ディーゼルエンジンのメーカーのIvecoなどに販売する。

Eaton は1911年設立で、産業用油圧システム、トラック・自動車用部品、自動車用エンジン制御機器、車両駆動系 システム、電気制御製品、航空宇宙燃料システムなどを生産する。

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LG化学は本年2月、中国の自動車大手、長安汽車(Changan Automobile)の研究開発担当子会社、長安新エネルギー自動車とハイブリッド車および電気自動車用LiBに関する共同開発の覚書を交わした。
環境対応車用バッテリーシステムを共同開発し、長安自動車が生産するハイブリッドカーと電気自動車向けに供給する

早ければ本年下半期に上市予定の長安汽車の新型HVに採用される予定で、今後既存のHVもこれに切り替える。

長安自動車は昨年180万台の自動車を販売し、210億元(約2750億円)の売上を計上した中国3位の自動車メーカーで、昨年6月にハイブリッドバンの「CV11」を発売、本年に乗用モデルの「CV8」を発売した。
これらはすべてニッケル水素バッテリーを使用しているが、性能向上のためリチウムイオンバッテリーに変更する方針。

 


2010/4/30 住友化学愛媛工場構内で火災事故 

4月29日午後5時35分頃、愛媛県新居浜市大江町の住友化学愛媛工場大江地区の構内にある「エスエヌ化成」第1工場から出火、鉄骨4階建て延べ約6千平方メートルのうち、少なくとも約2千平方メートルを焼いた。

新居浜市消防本部などが消火に当たり、午後8時55分ごろ鎮圧し、午後10時55分ごろ鎮火した。
出火当時、工場内には従業員14人がいたが、逃げ出して無事だった。

エスエヌ化成はABSを製造販売する日本A&Lの子会社で、ABS樹脂に着色する作業を24時間体制で行っており、4階の製造工場から3階のタンクにパイプなどを通じて原料を移す際に、何らかの原因で火が付いたとみられる。
新居浜市消防本部や新居浜署が、火災の原因などを詳しく調べる。

ABS樹脂は自動車の内装などに使われ、国内のほぼすべての自動車メーカーにエスエヌ化成の製品が納入されている。

ーーー

日本A&Lは1999年7月に住友化学67%、三井化学33%出資で、両社のABS及びSBRラテックス事業を統合して設立された。
ABS能力は10万トンで、住友化学(愛媛:菊本地区)が7万トン、三井化学(大阪)が3万トンとなっている。

このうち住友化学のABS事業は、以下の変遷をしている。

 1963年 同社とUS Rubber(その後 Uniroyal と改称)のJVとして住友ノーガタック設立、
      
ABS・ラテックス事業開始
        今回のエスエヌ化成はこの頭文字(
S N)から取ったもの。

 1980年 Uniroyal が撤退、住友化学100%

 1988年 Dow 35%出資、ポリカーボネート事業に進出

 1992年 ポリカーボネート稼動、Dow 50%

 1996年 住友ノーガタックを住友ダウに改称。
      
ABSとラテックス事業を分離、住友化学100%の住化ABSラテックスに。

 1999年 日本A&L設立

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付記

住友化学は4月30日、「当社愛媛地区において度重なる事故を起こしたことにつきまして深くお詫び申し上げます。原因の詳細を徹底調査し、安全を全てに優先させるという方針のもと、グループをあげて再発防止に全力を挙げてまいる所存です」と謝罪した。

同社では2009年4月に、愛媛工場菊本地区で、定期修理を完了し操業再開準備中の電解プラントより、塩素ガスが大気に漏出する事故が発生した。

さらに翌5月には、同じ愛媛工場菊本地区で、エポキシ樹脂の原料製造プラントが停電で緊急停止し、塩素系ガスが漏れていることが判明した。
定期修理時に業者が置き忘れた金属製の棒のためショートして停電が発生、塩素を無害化する設備に中和剤のカセイソーダを送り込むポンプが停止し、中和しきれなかった塩素系ガスが漏れた。      

付記

愛媛県と新居浜市は5月7日、住友化学愛媛工場とエスエヌ化成に、原因を究明して再発防止策を策定し、報告するよう 文書で指導した。

原因究明と再発防止策の実施を求めただけではなく、工場側による住民への報告が発生の約2時間後と遅れたことなどか ら、住友化学に住民への広報に万全の対応をするよう求めている。また、エスエヌ化成に対しては、消防計画や作業基準の見直し、従業員への教育の徹底を求めている。

今回の事故は粉じん爆発が原因である可能性が強まっており、 工場側に重大な過失はなかったとみて、市は指導にとどめた。

付記

住友化学は5月12日、事故の報告と今後の対応策を発表した。
   
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20100512_1.pdf

 


2010/4/30 ConocoPhillipsSaudi Aramcoとの製油所計画から撤退

ConocoPhillips421日、Saudi Aramcoに対し Yanbu での新製油所計画への参加を取り止めると伝えたと発表した。

Saudi Aramco ConocoPhillips 2008516日、これまで検討してきた新製油所計画の実施を決めたと発表した。
50/50JVYanbu Industrial City に日産40万バレルの重質油完全改質製油所を新設するもので、2013年のスタート予定であった。

2008年秋からの世界不況で、Saudi Aramcoは石油開発計画を次々に延期、本計画についても同年12月に予定していた製油所建設の入札を延期した。
Saudi Aramco ConocoPhillips も、この計画をやることには変わりはないとし、準備作業を進めた。

2008/12/10 サウジアラムコ、石油開発計画を延期

ConocoPhillipsは昨年、2年計画で100億ドルの資産を処分することを決めており、Saudi Aramcoとの関係や、再入札で投資額が大幅に下がったことなどから難しい決断だが、この計画がダウンストリーム部門を減らすという戦略に合致しないことから決めたとしている。

ーーー

これに対してSaudi Aramco ConocoPhillipsの代わりのパートナー候補にアプローチを始めた。
少なくとも
1社の中国企業が候補に含まれている。

どこも参加しない場合は
Saudi Aramco が単独でも実施するとみられている。

ーーー

ConocoPhillips200910月に2010年の投資計画を発表したが、その中で、資金問題の解決とバランスシート強化のため、2年間で100億ドルの資産を売却することを明らかにした。

売却はExploration & Production Refining & Marketingの全体にわたって行い、売却収入は借入金返済に充て、借入金比率を引き下げる。
Exploration & Productionが売却金額の6080%の計画で、売却により、2011年末には生産量で80120MBOED(原油換算日量百万バレル)、埋蔵量で400〜600MBOEDの減少となる。

この一環として、同社はロシアのLUKOILの持株20%のうちの半分の売却を検討していることを明らかにした。
同社は2004年9月にLUKOIL
7.6%を購入、その後20%まで増やした。

ConocoPhillipsは 4月12日、カナダのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada Ltd の持株 9.03%Sinopecに売却すると発表し た。

2010/4/16 Sinopec、 カナダのオイルサンドに投資

このほか、コロラドからオハイオまで1679マイルの天然ガスパイプラインRockies Express Pipelineや米国(アラスカを除く)と西カナダの石油・ガス資産の10%、米国の石油販売用資産が売却対象になっている。

付記

ConocoPhillipsはUAEで40%出資で Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC)と共同でShah Gas Field の開発を決めていたが、4月28日、これからの撤退を決めたと発表した。


2010/4/30  2009年度の住宅着工、77万5277戸で45年ぶりの80万戸割れ

国土交通省が
4月30日に発表した3月の新設住宅着工戸数は65,008戸で、16カ月連続の減少となった。

これにより、2009年度の着工戸数は775,277戸となった。1964年度の764,619戸以来、45年ぶりの80万戸割れとなった。

1987年度には1,728,534戸と記録したが、1998年度から120万戸程度で推移、2007-8年度に100万戸に下がり、昨年度は遂に1987年度の半分以下となった。



この影響を大きく受けているのがPVCで、国内出荷数量は最盛期の200万トンから順次減少し、2009暦年では遂に100万トンを割り、96万トンとなった。

なお、米国の住宅着工戸数はサブプライムローン破綻の影響を受けて更に低迷しており、ピークが2005年の2068千戸であったのが、2009年は554千戸にまで下がっている。



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