日本とアジアの石油化学の現状その他を、各社のホームページや新聞雑誌情報を基にまとめ
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出光興産 

  • 国内初、商業用ナフサ分解炉の燃料としてアンモニア燃焼を実施  2割超の燃料転換達成、化学産業のCO2排出量削減へ-

    出光興産は、徳山事業所(山口県周南市)の商業用ナフサ分解炉等において、アンモニアを燃料として使用するための実証を2月6日〜8日に実施しました。今回の実証では、既存の燃料の2割超をアンモニアに切り替えて操業し、アンモニア燃焼が可能であることを確認しました。商業用ナフサ分解炉での燃料アンモニアの燃焼は国内初であり、世界でも先進的な試みです。

    ※ナフサ分解炉 ナフサを高温で分解し、石油化学製品の基礎原料となるエチレンやプロピレンなどを製造する設備。

    当社は、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて燃料アンモニアなどの次世代のエネルギーの社会実装に取り組んでいます。2023年4月に「石油供給構造高度化事業費補助金(次世代燃料安定供給のためのトランジション促進事業のうち、化石燃料供給事業再構築支援事業)」の採択を受け、徳山事業所において、アンモニアの貯蔵タンクや配管などの中間供給設備およびナフサ分解炉等におけるアンモニア燃焼設備の設置工事を、IHIおよびIHIプラントのご協力を得て進めてきました。本年2月に本設備が完成し、同月、国内初となるアンモニア燃焼の実証を行いました。

    脱炭素社会の実現へ向け、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアは、エネルギーキャリアや発電・工業ボイラー用の新燃料として注目されています。しかし、アンモニアは化石燃料と比較して発熱量が低く、着火性も悪いことから燃焼性に劣ると言われています。また、燃焼時に発生する窒素酸化物の抑制にも取り組む必要があり、国内では試験用設備などでアンモニアの燃焼技術開発が行われてきました。

    一方、工場などの操業中の大規模化学プラント等でのアンモニア燃焼は、操業へのリスクがあることや設備整備に大きな投資が必要になることなどから、これまで行われたことはありませんでした。

    今回、操業中のプラントを利用したアンモニアの燃焼実証を、燃焼排気ガス中の窒素酸化物を低減させるための脱硝設備を装備していないナフサ分解炉で実施し、アンモニア専用バーナーの採用や燃焼制御等により、窒素酸化物が環境規制値以下であることを確認しました。また、化石燃料と遜色ない燃焼性を確認するとともに、操業への影響もないことが確認できました。

    実証で得られた結果は、国内の化学産業からのCO2排出量の多くを占めるナフサ分解炉への適用にも大きく貢献することが期待できます。今後も本設備を活用して、アンモニア燃料の実用化に向けたデータやノウハウを蓄積し、化学分野等の工業用加熱炉へのアンモニア燃料への転換ソリューションの提供を目指します。

    当社はクリーンアンモニアの製造・調達から供給までのサプライチェーン構築を目指し、さまざまなステークホルダーと協同して検討を進めています。本取り組みを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

     


  • 2024 年 3 月 27 日 出光興産/三井化学   

    「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討開始について

    出光興産及び三井化学は、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」について、以下の通り両社で検討を開始することに合意しました。

    1.背景

    出光・三井の両社は、2010 年に LLP 制度の活用による千葉ケミカル製造有限責任事業組合を設立し、千葉地区に両社が保有するエチレン装置の運営統合を行いました。これにより、原料選択、装置稼働の最適化や留分の高付加価値化、共同合理化投資等、単独では実現できないシナジーを徹底的に追求してまいりました。

    千葉ケミカル製造有限責任事業組合の概要

    名称 千葉ケミカル製造有限責任事業組合
    所在地 東京都千代田区丸の内 3-1-1
    設立 2010 年 4 月 1 日
    出資
     ・ 出資金:2億円
     ・ 出資比率:出光と三井が折半出資

    事業内容
    ・ 千葉地区におけるエチレン装置の運営の統合
    ・ エチレン、プロピレン、その他の留分の生産
    ・ 上記生産品目の、組合員(出光および三井)への供給

    エチレン生産能力 92 万d/年
    (出光装置 37 万d、三井装置 55 万d、定期修理実施年)

    一方で、中国を中心とした大型石化装置の新増設と国内エチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働を余儀なくされる状況が続いています。加えて、世界的にカーボンニュートラル社会の実現が推進される中、CO2 の排出量削減および資源循環を目指した次世代のコンビナート構築に向けた検討の加速化が強く求められています。

    このたび、出光・三井の両社は、これまでの連携を一歩進め、更なる既存事業の競争力強化を目的として、以下の前提のもと、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始することに合意しました。

    2.検討の前提
    (1)集約時期の目途 :2027 年度
    (2)集約の方法 :出光装置を停止し、三井装置に集約
    (3)集約後の事業形態 :LLP もしくは合弁会社等にて三井装置を共同運営

    3.今後について
    両社でフィジビリティスタディを行い、集約時期を含め協議・決定の予定です。

    4. 各社コメント:

    出光興産 代表取締役社長 社長執行役員(兼)CEO 木藤 俊一

    当社は、2050 年ビジョン「変革をカタチに」を掲げ、事業構造改革を推進しております。
    本件は、カーボンニュートラル実現に向けた中長期的な事業転換の象徴的な案件となります。エチレン装置集約による生産最適化に留めるのではなく、我々の目指す既存の事業ポートフォリオを低炭素化・資源循環に対応したサステナブルなかたちへ転換する取り組みを進めてまいります。
    具体的には、エチレン装置の原料であるナフサを化石由来から、SAF 事業の副産物として製造されるバイオナフサや、25 年度に稼働予定の使用済みプラスチックを原料としたケミカルリサイクル由来のナフサへ転換し、集約されたエチレン装置へ供給することを検討します。併せて、SAF の原料であるバイオエタノールから製造されるバイオエチレン、さらには、e-メタノールから製造される合成化学品等を加えた、新たなグリーンケミカル製品のサプライチェーン構築を目指してまいります。

    三井化学 代表取締役 社長執行役員 橋本 修

    当社は、長期経営計画「VISION 2030」において「未来が変わる。化学が変える」をありたい姿に掲げ、変化をリードし、サステナブルな未来に貢献することを目指しております。
    本件は、千葉地区エチレン装置の生産最適化による競争力強化に留まらず、さらなる地域連携・他社連携の拡大により、競争力強化とグリーン化を両輪とするコンビナートのトランスフォーメーションへの重要な一歩となります。
    当社ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業では、グリーン化による付加価値の創出とたゆまぬ資本効率の向上により、競争力あるサステナブルなグリーンケミカル事業を目指して、引き続き取り組んでまいります。

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    日本経済新聞 2023/11/28

    三井化学、エチレンプラントの再編も検討 京葉地区など

    三井化学は28日、低迷する石油化学事業の収益改善策を発表した。プラスチック(合成樹脂)などの原料となる基礎化学品エチレンについて、同業他社との再編や連携を検討する。派生製品は生産規模を縮小するなどして事業を再構築する。

    三井化学は日本国内で2つのエチレンプラントを運営している。橋本修社長は「将来の需要に見合った能力の最適化や再構築を図る必要がある」と説明した。千葉県・京葉地区にもつエチレンプラントで周辺の同業他社と組むほか、大阪府のプラントでは瀬戸内海にある他社との連携も検討する。

    エチレンなどを原料とする派生製品については、ポリオレフィンで他社との連携を探る。フェノールは国内事業の規模の縮小を検討する。

    ペットボトルの原料となるポリエチレンテレフタレート(PET)の国内生産停止はすでに公表している。ポリウレタンの原料であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やポリプロピレンなど他社と差異化できる高機能分野は増産する。

    三井化学は23年4〜9月期で石化製品事業のコア営業損益が71億円の赤字だった。中国の増産などで市況が悪化しているためだ。

    同社は26年3月期の連結業績でコア営業利益では2000億円を目標とする。生活・メディカル事業、自動車関連事業、半導体関連などの3分野を成長領域としており「積極投資やM&A(合併・買収)のほか、他社との連携も進める」(橋本社長)という。

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    2023 年 11 月 17 日 三井化学

    本日、一部報道機関において、当社の国内ポリオレフィン事業統合に関する報道がなされておりますが、これは当社が発表したものではございません。

    (下記報道を否定するもの)

    2023/11/17 化学工業日報

    三井化学−住友化学、ポリオレフィン事業統合へ 京葉地区で抜本改革

    三井化学と住友化学は、ポリオレフィンの国内事業統合に向け検討を開始した。