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2008/2/11 武田薬品、アムジェンとの提携を発表

武田薬品工業は2月4日、Amgen Inc.との間で、Amgen が保有する癌、炎症、疼痛などの疾患領域における臨床開発品目に関するライセンス契約を締結すると同時に、同社の日本の100%子会社であるアムジェンK.K.の株式譲渡契約を締結したと発表した。

Amgen は、アムジェンK.K.の全株式を武田薬品に2008年3月末までに譲渡する予定で、譲渡後は、アムジェンK.K.は武田薬品の100%子会社としてAmgenからライセンスを受けた品目の開発業務を担当する。

アムジェンK.K.は1992年設立で、資本金475億円、従業員は派遣・契約社員含み161名。

今回のライセンスは、抗癌剤の Motesanib diphosphate と、Panitumumabを含む 12品目の抗体医薬などのバイオ医薬品(うち1品目は、今後、最終的に契約対象とするかどうかを決定)の合計13の品目が契約対象となっている。

抗癌剤 Motesanib diphosphateは、米国で2006年9月、欧州で2006年11月に承認を取得し、日本でも非小細胞肺がんの適応で承認申請準備中で、他のがんでも開発を続けている。

Panitumumabは、がん細胞が増殖するために必要な信号を受け取る受容体(EGFR)を阻害して、細胞の増殖を停止させたり、細胞死を誘導する薬剤で、分子標的治療薬あるいは免疫抗体療法と呼ばれる。
FDAは2006
年9月、転移性大腸がん治療薬として承認した。

今回の契約内容は次の通り。

  Motesanib diphosphate Motesanib diphosphate 以外
武田の権利 日本での独占的開発・販売権
海外でのAmgen との共同開発・販売権
日本での独占的開発・販売権
契約一時金 100百万米ドル 200百万米ドル
武田の開発費負担 日本における開発費全額
海外における開発費の60%
日本における開発費全額
海外における開発費の一部(最大 340百万米ドル)
マイルストン支払い
(目標達成時)
最大 175百万米ドル
(1、2番目の効能取得にかかる開発の進捗に応じ)
最大 362百万米ドル
(開発の進捗に応じ)
ロイヤルティ支払い 日本での販売額に応じたロイヤリティ
(10%以上:double digit royalties
)
販売額に応じたロイヤルティ(10%以上)
海外販売から得られる利益 武田薬品とAmgen が等分  ー

Amgen 会長兼社長兼CEOの Kevin Sharer は、「今回の武田薬品との契約締結は、当社にとって今後10年間の成長を加速させるものである。当社の開発パイプラインが、日本ならびに世界中の患者にとって革新的な治療薬となりうると高く評価されたものと考えている」と述べている。

長谷川閑史武田薬品代表取締役社長は、「Amgen から導入した品目は、当社の重点領域である癌、骨・関節疾患領域などにおける研究開発パイプラインの強化に資するものである」と今回のライセンス契約を高く評価している。

ーーー

武田薬品はゲノム情報の活用などを通じて創薬ターゲットの探索力強化を図ってきた。

2003年8月にキリンビールのヒト抗体作製技術に関するライセンス契約を結んだのを皮切りに、数々の抗体作製技術の導入を進めてきた。

キリンビールは、独自に開発した巨大なヒト遺伝子を導入する技術を用いて、ヒト抗体産生マウスを完成させた。
1999年に米
国 Medarex, Inc. と ヒト抗体産生マウス事業について全世界で包括的な提携を結び、KMマウス(両社の頭文字をとった世界最高レベルのヒト抗体産生マウス)を開発し全世界で完全ヒト抗体技術を提供している。

武田薬品はキリンビールのヒト抗体産生マウス技術を用いて、武田薬品の選んだ抗原に対し完全ヒト抗体を作製し、全世界で治療薬および診断薬の開発、製造、販売を行うこととした。

2007年11月に同社は米国に Takeda America Holdings の100%子会社として、Takeda San Francisco, Inc. を設立した。

バイオ医薬産業の集積地であるサンフランシスコに設立した同社を武田グループの抗体医薬研究機能の中心と位置付け、同研究を加速することにより、抗体医薬の創製・開発・活性強化・製造などについて高い技術を備えた基盤の構築と早期上市を目指す。

長谷川社長は、「Takeda San Franciscoは当社の抗体医薬研究を加速させる重要なステップです。当社は、優秀な人材確保と積極的な研究投資を通じて、自社研究の推進および他社との共同研究・提携あるいは買収などあらゆる可能性を追求し、抗体医薬研究を加速してまいります。これと並行して、抗体医薬以外のバイオ医薬、核酸医薬や再生医薬などの新たな創薬技術を確立することにより、自社研究開発パイプラインのさらなる強化に取り組んでまいります」と、述べている。

今回のAmgen との提携はその基盤強化の一環である。

ーーー

Amgen は1980年にAMGen (Applied Molecular Genetics) として設立され、1983年にAmgen と改称した。

1983年と85年にAmgen は2つの製品を出した。

EPOGEN(R)(Epoetin Alfa):1983年開発、1987年特許
 遺伝子工学のテクノロジーによって作られた蛋白質で、腎臓に障害のある患者に用いられ、赤血球の生産を刺激・制限することで、患者の貧血の比率を低下させる

NEUPOGEN(R)(Filgrastim):1985年開発、1985年特許 
 
癌患者のための新薬で、骨髄を刺激し、感染症に対する免疫機能を有する白血球細胞の増殖を促進する。

1992年に売上高が10億ドルを突破、1996年に20億ドル、1999年に30億ドルを突破した。

2001年12月、Amgen は抗炎症剤に強い生物薬剤メーカーであるImmunex を約160億ドルで買収すると発表、2002年7月、買収が完了した。

 

なお、バイオテクノロジーでAmgen と争っていたGenentech (Herbert Boyerらが1976年に設立、ヒトインスリンとヒト成長ホルモンの大量生産に成功)は1990年にRoche Holdingの傘下に入っている。


2008/2/12 欧州カルテル制裁金への対応

2007年には欧州委員会は多数のカルテルを摘発し、多額の制裁金を科したが、日本の企業も多く含まれている。     

対象分野 主な対象企業 制裁金
(百万ユーロ)
送電設備 三菱電機、東芝、日立製作所、独・シーメンス   751
エレベーター 三菱電機、米・オーチス   992
ファスナー YKKグループ、独・プリム   329
業務用ビデオテープ ソニー、富士フィルム、日立マクセル    75
建築用板ガラス 旭硝子、日本板硝子、仏・サンゴバン   487
クロロプレンゴム ENI、旧DuPont Dow Elastomers、電気化学、東ソー    243
NBR  (2008/1) Bayer、日本ゼオン    34

 

これに対し、各社が順次、対応を発表している。

送電設備(ガス絶縁開閉装置)(単位:千ユーロ)

   
2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金 

  免責額 制裁金  
Siemens(ドイツ)     396,563
Siemens(オーストリア)      22,050
ABB(スイス)  215,156       0
三菱電機     118,575
東芝      90,900
Alstom(フランス)   11,475
Areva/Alstom(フランス)   53,550
日立製作所      51,750
Schneider(フランス)      8,100
富士電機システムズ      3,750
日本AEパワーシステムズ*      1,350
合計  215,156   750,713
* 富士電機システムズ、日立、明電舎のJV

三菱電機、東芝、日立製作所、富士電機ホールディングスは、それぞれ欧州第一審裁判所へ提訴した。

日本企業は欧州での販売実績はほとんどないが、上記の取り決めに従って欧州で応札せず、直接的に欧州での競争を制限したため制裁金が課せられた。

欧州の送電設備市場は地元勢が強く、機器の仕様も独特。製品投入には新た場開発投資が必要になる。
欧州市場参入を見送った経緯について「参入しても採算を取るのは難しい」との判断があったと説明する。

ーーー

エレベーター(単位:千ユーロ)

   2007/2/28 EU、エレベーターのカルテルで過去最高の罰金 

社名 減額 罰金
KONE Oyj  138,130  142,120
三菱電機      18    1,841
Otis  208,227  224,933
Schindler    5,277  143,780
ThyssenKrupp   37,980  479,670
合計    992,312

三菱電機の発表はない。(少額なため、受け入れたと思われる)

ーーー

ファスナー (4つのカルテルで摘発)(単位:千ユーロ)

  �@ �A �B �C  
Prym group(ドイツ) ○ ○ ○ ○   40,538千ユーロ
YKK group ○ ○ ○    150,250
Coats group(英)     ○ ○  122,405
他 4社 ○         15,451
合計          328,644

YKK は2007年12月7日、欧州第一審裁判所に提訴した。

欧州委が主にカルテルに関与していたとするのはYKKの独子会社のYKK Stocko Fasteners GmbH だが、1994年にYKKが資本参加し、1997年に全額出資の子会社とした。
カルテルは
YKKが資本参加する以前に始まっており、情報開示の不足があったとして、旧オーナーに損害賠償請求をしている。
同子会社は欧州だけで事業を展開しているが、欧州委は
YKKの全世界売上をもとに制裁金を科したことを不服としているもよう。

ーーー

ビデオテープ (単位:千ユーロ)

Sony  47,190  
Fujifilm  13,200 協力で40%減
Hitachi Maxell  14,400 協力で20%減
合計  74,790  

日立マクセルは2008年1月31日、制裁金 14,400千ユーロを支払うと発表した。
提訴による裁判費用などを考慮した。

付記 ソニーは2月15日、制裁金支払いを発表した。

ーーー

建築用板ガラス (単位:千ユーロ)

  2007/12/1 欧州委員会、板ガラスカルテルに制裁金
   

Asahi (Japan)   65 000
Guardian (USA)  148 000
Pilkington (UK) 日本板硝子  140 000
Saint-Gobain (France)  133 900
TOTAL  486 900

なお、EUは自動車用ガラスについても調査を行なっている。

日本板硝子は2008年1月31日、制裁金140,000千ユーロを支払うと発表した。
提訴による裁判費用などを考慮した。

日本板硝子は自動車分を含めた過料額を3.5億ポンド(約 465百万ユーロ)と見込み、ピルキントン社買収後の暖簾と合わせ、20年定額で償却することとし、2007年3月期決算に折り込んでいる。

旭硝子は2008年2月5日、課徴金の支払いに応じることとしたと発表した。
同社グループの主張が欧州委員会による課徴金の決定に概ね反映されたこと等を総合的に勘案した。
同社は自首減免制度に基づき、EUの調査に協力し、追加証拠を提出して、制裁金の減免を受けている。

なお同社は2008年1月15日、グループ経営の立場から監督上の社会的責任を痛感しているとし、代表取締役、取締役会議長、並びに関係執行役員は1月度から3ヶ月間、報酬の30〜10%を自主返上することにしたと発表した。

同社は2007年12月期の決算で、自動車ガラス分も含めた課徴金の引当として324億円の特別損失を計上した。

付記

EUは2011年10月、ブラウン管用板硝子のメーカーに制裁金を科した。

  Leniency Notice Settlement Notice Fine (EUR)
Samsung Corning Precision Materials

100%

10%

    0

Nippon Electric  Glass 日本電気硝子

50%

10%

 43 200 000

Schott AG  

10%

40 401 000

Asahi Glass  

10%

45 135 000

ーーー

クロロプレンゴム (単位:千ユーロ)

   2007/12/11 欧州委員会、クロロプレンゴムのカルテルで 243.2 百万ユーロの制裁金

  本来の制裁金 減額 実際の制裁金
Bayer    201,000 *1  100%        0
東ソー       9,600   50%     4,800
DuPont/Dow
(うちDow) 
   79,000
  (64,900)
  25%     59,250
    (48,675)
ENI     132,160 *2      132,160
電気化学     47,000       47,000
合計        243,210

電気化学は2008年1月15日、「当社およびデンカ ケミカルズ社は競争制限行為を意図したことはなく、かつ事実認識も異なるため、欧州第一審裁判所へ提訴することにした」と発表した。
但し、「発生する可能性がある最大損失額(4,700万ユーロ=約76億円)を特別損失として引当計上する」として、連結決算予想を修正した。

付記 電化は2012年2月3日、欧州一般裁判所で敗訴したと発表した。

一方、東ソーは2008年1月31日の役員会でこれを「応諾」することを決めた。
訴訟を提起した場合の裁判の長期化による時間的・費用的負担、課徴金の更なる減額の可能性などを総合的に判断した結果、裁判によらず早期解決を図ることが最善と判断した。

 

付記

NBR  2008/1/26 EU、NBRカルテルで日本ゼオンに制裁金

  減額
      %
減額
(Euro)
Fine
(Euro )
Bayer (Germany)   30  12 380 000  28 870 000
Zeon (Japan)   20   1 340 000   5 360 000
TOTAL      34 230 000

日本ゼオンは3月26日、提訴しないことを決めた。 
提訴した場合の裁判長期化による時間的・費用的負担が多大になることなどを総合的に考慮した。

ーーー

なお、従来は欧州第一審裁判所への提訴では、ほとんどのケースで制裁金が引き下げられていたが、2007年12月の家畜用のビタミンB4 カルテルではBASFに対する制裁金を引き上げる判決がなされた。
企業は今後、控訴戦略をよく考えるべきだとの意見が出ている。

  2007/12/14 欧州第一審裁判所がカルテルの制裁金を増額 


2008/2/13 米アルゴンヌ国立研究所、画期的なエチレン製法開発

米国エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)は2月5日、画期的なエチレン製法を開発したと発表した。

高温の水素透過膜でエタンから水素を取り除きエチレンをつくるという方法で、「これまでのように高コストで無駄の多い、公害物質を放出する製法とは異なり、クリーンでエネルギー効率のより製法だ」としている。

新しい膜は水素だけを通すため、エタンは空気中の酸素や窒素と接触せず、従来の熱分解法で発生するNO、CO2、CO等を発生しない。
また、絶えず熱の投入が必要な熱分解法と異なり、膜を通して出てきた水素が空気中の酸素と反応してエネルギーを発生させるため、反応に必要なエネルギーの投入が不要である。

更に、通常は C2H6(+heat)=C2H4+H2 の反応で、反応器内の組成が平衡に達すると(水素が平衡濃度に達すると)反応は進まないが、水素透過膜は生成した水素のみを透過させるので、反応式右辺の H2 が反応系から減少し(即ち平衡が破れ)、エタンのエチレン+水素への分解反応がどんどん進行する。発表文に以下の説明がある。

The membrane reactor thinks: “Hey, I haven't reached equilibrium yet, let me take this reaction forward.”

現在のところは実験でエチレンを生産しただけであるが、研究者は産業界と提携して商業的にこの膜を生産することを考えている。

この研究は6月にボストンで開催される 2008年 Clean Technology 会議で紹介される。

ーーー

アルゴンヌ国立研究所はシカゴ西方にあり、1946年に設立された米国で最初の国立研究所である。
元はシカゴ大学の冶金研究所で、1942年2月、ここで
Enrico Fermi などが世界で最初の核分裂連鎖反応を行なった。
戦後は核の平和利用に携わった。

現在の従業員は2,800人で、うち科学者とエンジニアは1,000人、そのうち博士号所有者は750人に達する。
年間予算は
530百万ドルで、200以上のプロジェクトを実施している。

研究は次の5つの分野に分かれている。

1) Basic science
 
  • Biosciences
  • Biodefense
  • Chemistry
  • High Energy Physics
  • Materials Science
  • Mathematics and Computer Science
  • Physics
2) Scientific facilities
3) Energy resources
4) Environmental management
5) National Security

ーーー

一方、Dow Chemical は1月24日、“Methane Challenge” の研究助成金 640万ドルをCardiff University と Northwestern University に与えると発表した。

Dow Chemical は2007年3月、メタンから直接エチレンやプロピレンなどを製造する研究の案を募集した。
商業的に採算の取れる技術を得る研究で、最初に合成ガスの生産が必要な、メタンからメタノールなどをつくる既存の間接法は対象とならない。

メタンは世界の多くの地域に存在するが、化学品や液体燃料にするのが難しく、Dow Chemical では広くアイディアを募集することとしたもの。

約100件の提案のなかから、2つの大学の案が選定された。


2008/2/14 Abu Dhabi、'Polymer Park' と 'Metal Park' 創設へ 

アラブ首長国連邦の Abu Dhabi 政府は、拡大しつつある同国の石油化学、鉄鋼、アルミニウムの川下分野の開発のため、 'Polymer Park' と 'Metal Park' を創設することを決めた。

2つの経済地区 'Polymer Park' と 'Metal Park' は、投資促進のために2004年に設立された独立政府機関のZonesCorp との協力の下に、Mussafah industrial estate に設置される。

ここに誘致される企業に対しては、税制その他の恩典を与えることも検討している。

先ず、石化の川下のプラスチック加工事業を広げるため、資金供与を行なう。
サウジアラビア政府が
1970年代央にファンドを使って石化の川下産業を興したことを参考にした。

2006年に基盤産業の促進のために政府が設立したAbu Dhabi Basic Industries Corporation (ADBIC) が、Investment Fund for Plastic sector として今年先ず 150百万ドルを供与し、中小企業などが国産のプラスチックを最終製品に加工する工場を設立するのに利用する。
プラスチック加工については台湾のプラスチック産業(輸出用が中心)をモデルにするとしている。

ADBICでは、同国の大企業や中小企業でのこれに対する反響は大きく、18ヶ月以内に最初の工場の杭打ち式が行なわれるだろうとしている。それぞれの投資は20〜25百万ドル程度と見ており、5年後には累計で10億ドル程度の投資を予想している。

これとは別に、ADBIC 自身が38.2億ドルを投じてパイプ、ケーブル、自動車部品などを製造するプラスチック加工工場の建設を検討している。合弁事業として来年にも建設を始めるとしているが、相手先は明らかにしていない。

Abu Dhabi の石油化学は、Abu Dhabi National Oil CompanyとBorealis のJVのAbu Dhabi Polymers(Borouge)がAr Ruwais にコンプレックスを持っている。
(デンマークの
Borealis は今はAbu Dhabi のIPCIが65%、オーストリアのOMVが35%出資するJVとなっている。)

稼動中の第1期はエチレン 60万トン、PE 60万トンで、現在、第2期(エチレン150万トン、PP 80万トン、PE 54万トン)を建設中。

2006/6/2  湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE) 
2006/12/4 アブダビ・ポリマーズ、第2エチレン建設着工 

ーーー

同国はまた、アルミや鉄鋼などの事業を拡大しているため、石化に続いてこの分野での主に輸出用の加工業へのInvestment Fund も検討している。(こちらはまだ概念段階で、暫く時間がかかる)

Metal Park についてADBIC は、アルミ精錬工場と製鋼工場の増設が動き出した時点で、製品がここの各社で消費されることを期待している。

同国のこれら産業の動向は以下の通り。

アルミ:
Abu Dhabi
政府の投資会社 Mubadala Development は Dubai Aluminium と組んで、60億ドルを投資して世界最大のアルミ精錬工場を建設する。首都 Abu Dhabi 近郊に建設するもので、能力は120万トン、2,600-megawatt の発電所とともに建設する。
(現在の最大プラントはRussian Aluminium のシベリアのBratsk 工場で、2004年に965千トンの生産を行なっている。)

付記
その後の情報で、
 第一期 700千トン 
2,000 MW
 第二期で合計1,400千トン 3,500 MW

一方、Dubai Aluminium のJebel Al 工場は2006年に861千トンを生産し、世界7位となったが、2010年までに100万トン以上に拡大する計画である。 (2008/5現在能力 890千トン)

鉄鋼業では、ADBIC がEmirates Iron & Steel Factory を買収して、これを Emirates Steel Industries と改称した。
2001年設立で、唯一の異形鉄筋鋼棒のメーカー。圧延工場の設計能力は60万トン。
ADBIC では5ヵ年計画で、能力を順次 500万トンにまで増やす計画を立てており、現在は10億ドルを投じて140万トンに増やす計画を実行中である。


2008/2/15 話題 サントリーの「青いバラ」

サントリーと100%子会社のAustralia Florigene が世界で初めて開発に成功した「青いバラ」(写真は同社発表から)が、2008年1月31日付で、カルタヘナ法に基づく第一種使用規定(切り花の用に供するための使用、栽培、保管、運搬及び廃棄等)の承認を得た。
同社では生産・販売体制を整え、2009年から発売する予定。

植物の色は含まれる色素の働きによるもので、色素には
 フラボノイド(
アントシアニン、フラボン、フラボノール、カルコン、オーロンなどの総称:白・黄・橙・赤・紫・青など)、
 ベタレイン(
ベタシアニン:赤から紫色、ベタキサンチン:黄色)、
 
カロチノイド(カロチンとキサントフィル:黄・橙)、
 クロロフィル(
葉緑素:緑)
の4種類がある。

青色に見せる働きをするものは、フラボノイドの一種のアントシアニンで、その中でも特に重要な青色の色素が「デルフィニジン」。

バラにはもともとこのデルフィニジンが含まれておらず、このことから "Blue rose" は英語で "impossible" を意味した。

ーーー

サントリーは1990年に花の品種改良などを手がける豪州のバイオベンチャーのCalgene Pacific Pty Ltd.と共同で青いバラの開発を始めた。

Calgene Pacific は1994年にオランダの Florigene B.V.の資産を買収し、社名をFlorigene に改称した。
サントリーは2003年12月、Florigene を買収し、100%子会社とした。

開発は次の2つのポイントを試行錯誤しながら行なわれた。
 ・青色遺伝子の取得
 ・バラに遺伝子を導入して遺伝子組換えバラを作製する方法の開発

1991年にペチュニアから青色遺伝子を取得し、特許出願した。

1995年にこれを組み込んで、世界で初めての青色カーネーションが誕生した(1997年より発売)が、バラでは失敗した。

1996年にパンジーの青色遺伝子を入れたバラで研究を開始、1998年〜1999年頃にはやや青みを帯びたバラを得ることに成功、デルフィニジンが100%近く蓄積する工夫を行い、2004年、ついに青いバラの誕生に至った。

ーーー

カルタヘナ法は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の別称で、2004年2月19日から施行されている。

(目的)
第一条 この法律は、国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保し、もって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

カルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety):
現代のバイオテクノロジーにより改変された生物(Living Modified Organism)が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に及ぼす可能性のある悪影響を防止するための措置を規定しており、生物の多様性に関する条約第19条3に基づく交渉において作成されたもの

この法律では、遺伝子組み換え生物等の使用等に先立ち、その使用形態に応じた対処の仕方(交雑防止措置など)を実施することを規定している。

遺伝子組み換え生物等の輸入・輸出、栽培、飼養、販売等にあたり、その開発者や輸入者などは手続きを行なったうえで主務大臣の承認を受ける義務が定められている。

「第一種使用」とは、一般ほ場での栽培や食品原料としての流通等の「環境中への拡散を防止しないで行う」使用のこと。

「第二種使用」は実験室内での研究等の「環境中への拡散を防止する意図をもって行う使用」で、拡散防止措置が必要とされる。

 


2008/2/15 三菱化学鹿島事業所の事故で行政処分

経済産業省原子力安全・保安院は2月15日、三菱化学に対して、鹿島事業所の高圧ガス保安法に基づく完成検査及び保安検査に係る認定を取り消す行政処分を行い、同社あて通知したと発表した。

三菱化学は事故の発生原因として
�@ 分解炉内のデコーキング作業が終了し、クエンチフィッティング元弁フランジ部に挿入していた仕切板を取り出し中に、AOV(空気駆動弁)が開き、クエンチオイル(急冷油)が流出
�A 鹿島事業所の「作業保安規則」に基づく「工事安全指示書」では、バルブの施錠確認を行うこととなっていたが、施錠の確認が行われなかった。また、「作業基準」に基づく「作業確認リスト」には、施錠の記載がなく、施錠が実施されなかった
としている。

   2008/1/9 三菱化学鹿島事業所 火災事故 その後 

高圧ガス保安法に基づき、完成検査及び保安検査を自ら実施することができる者(認定完成検査実施者及び認定保安検査実施者)として経済産業大臣の認定を受けている同社について、施錠が確実に実施されなかったことは、鹿島事業所の保安体制において認定基準への不適合があったものと認められることから、認定を取り消す行政処分を行ったもの。

この認定の取消しにより、三菱化学鹿島事業所は、補修等の変更工事を行う際には県知事が行う完成検査を受けることが必要となり、従来は4年に一度でよかった定期修理を毎年実施し、県知事が行う保安検査を受けることが必要となる。

また、同事業所は、今後2年間は、この認定を受けることができない。

再認定を受けるまでの間は鹿島事業所全体(蒸気等の用役が停まるため用役の供給を受ける日本ポリエチレン、日本ポリプロなどの同事業所内の関連会社を含め)が毎年、約1ヶ月の操業停止、定期修理の実施が必要となり、数十億円の定修費と減産損で大きな負担となる。

 

(参考)高圧ガス保安法に基づく完成検査及び保安検査に係る認定について

  完成検査 保安検査
原則 コンビナート等の高圧ガス製造事業者は、その製造設備について、補修等の変更工事を行う際には、都道府県知事の許可を得るとともに、完了時に都道府県知事が行う完成検査を受けなければならない。
(高圧ガス保安法第20条第3項本文)
高圧ガス製造事業者は、その製造設備について、都道府県知事が行う保安検査を年1回受けなければならない。
(同法第35条第1項本文)
認定 自ら変更工事に係る完成検査を行うことができる者として、経済産業大臣が認定を行った者(認定完成検査実施者)については、自ら完成検査を行い、その記録を都道府県知事に届け出れば、都道府県知事による完成検査を受けなくても良い。
(同法第20条第3項第2号)
自ら保安検査を行うことができる者として、経済産業大臣が認定を行った者(認定保安検査実施者)については、自ら保安検査を行い、その記録を都道府県知事に届け出れば、都道府県知事による保安検査を受けなくても良い。
(同法第35条第1項第2号)
1997年4月、要件を満足していると認められた設備については、最高5年の連続運転が可能となった。
取消 「高圧ガスによる災害が発生したとき」、「認定基準に該当していないと認められるとき」等は、経済産業大臣は、認定を取り消すことができる。(同法第39条の12第1項)
認定取消し後2年間は、再び認定を受けることができない。(同法第39条の6第1項第5号)

*2003年6月以降、認定保安検査実施者等の認定を受けた事業所において、法令に定められた検査が適正に行われていなかった事例が続けて報告された。経済産業省は認定保安検査実施者等の認定を受けていた全ての事業所に対し、保安検査の実施状況等を報告するよう指示、同年9月8日までに提出された各事業者からの報告について調査を行い、合計で6社、11事業所が認定を取り消された。

東ソー/四日市事業所、新日本石油精製/麻里布製油所・大阪製油所、三井化学/大阪工場、
日本ゼオン/徳山工場・水島工場、協和油化/四日市工場・千葉工場、
旭化成ケミカルズ/水島製造所B地区・同C地区・川崎製造所


2008/2/16 カナダの石油化学会社 Petromont、生産停止

カナダの石油化学会社 Petromont は2月12日、Quebec州Varennes とMontreal での生産を4月30日から無期限に停止すると発表した。

石化原料を競争力ある価格で入手するのが慢性的に難しくなったことやカナダドル高を理由に挙げている。
同社は、「これらの要素は収益性に大きな影響を与えており、北米の石油化学全般にこのような不利な状況があることを勘案すれば、操業を停止するしかない」としている。

Petromont は Dow Chemical Canada とQuebec 州政府の子会社 Ethylec Inc. の50/50の Limited Partnership で、1980年に設立された。
Montreal地区のVarennes 工場でエチレン297千トン、Montreal 工場でHDPE 278 千トンを生産する。
従業員は
325名、年間売上高は750百万ドル。

Steam Cracker ではいろいろの原料を使用可能で、原料により、エチレン以外にいろいろな製品(プロピレン、Mixed C4、水素、ペンテン、燃料油、アセチレン、その他)を生産できる。
HDPEは北米市場で販売している。

カナダドルは2007年3月には 0.85米ドルであったが、2007年11月には1.08米ドルのピークとなり、現在では丁度 1.00米ドルとなっている。
Petromont にとり、米国向けの製品売価が15% 下がることを意味する。 

工場は、原料状況が好転したり、工場の買い手が出てくる場合に備えて、動かせる状態で維持するとしている。

なお、親会社のダウは2007年12月4日に「合理化策」を発表したが、Petromont については長期的にみて採算悪化の見通しを理由に持分の消却を実施するとしている。

   2007/12/8  ダウ、合理化策を発表 

 

Montreal 地区では、2007年10月に Ineos Nova が PSプラント(55千トン)を年末に停止すると発表している。

ーーー

2006年2月15日にスタートした本ブログは3年目に入りました。

   2006/2/15 プラスチック100周年 


2008/2/18 出光興産、住友化学、三井化学の3社、プロピレン生産システムの研究設備建設着工

出光興産、住友化学、三井化学の3社は2月7日、「コンビナート副生分解C4留分の活用による高効率プロピレン生産システム」の主要研究設備の建設に着工した。

付記 3社は2010年1月25日、本研究設備の実証運転を同日から開始したと発表した。

3社の千葉地区の工場(出光興産の流動接触分解装置、3社のエチレン分解炉)は近接立地し、パイプライン網で結びついている。

このため、各工場から発生する副生C4留分とエチレンを原料として、クリーン燃料とプロピレンを高効率で生産するシステムを開発しようと、2006年4月より「石油コンビナート高度機能融合技術開発事業(RING�V事業)」の一環として共同で取り組んできた。

  RING�Vは 2006/5/24 RING 第三次事業計画 発表 

主要研究設備の設計が終了し、関係官庁の認可をしたため、建設に着手した。

高効率プロピレン生産システムの概要は以下の通り。


     各工場で副生する
C4留分を集積

     ・
イソブテンを反応により選択的に重合させ、クリーン燃料に転換

     ・ノルマルブテンを濃縮製造、これをエチレンと触媒反応させ、プロピレンに転換 

     (図は 2006年6月15日 三社発表文から)

   
研究設備の概要は以下の通り。
 * プロピレン生産能力 : 年産15万トン目標
 * 研究開発費 : 約100億円
 *負担比率 : 出光興産 50%、住友化学 25%、三井化学 25%
 * 研究設備の立地 : 三井化学 市原工場内
 * 研究設備の着工 : 2008年2月
 * 実証試験の開始予定 : 2009年度第3四半期

このシステムが完成すれば、3社の千葉地区でのプロピレンのエチレンに対する生産比率は一般的なエチレン分解炉の0.6に対し、アジアのコンビナートでもトップクラスの0.9以上となり、より付加価値の高いプロピレン系製品への転換が促進される。

ーーー

3社のうち、住友化学と三井化学は2000年11月17日、2社の全面的統合で基本合意し、先行してポリオレフィン事業を統合し、2002年4月1日に三井住友ポリオレフィンの営業を開始した。

しかし、統合比率に関して両社の見解の隔たりが埋まらず、結局2003年3月31日に統合の解消を発表、三井住友ポリオレフィンも同年10月1日に事業を解消した。

 

その後、三井化学と出光興産(及び出光石油化学)は2004年2月に「千葉地区における提携に向けた包括的検討」を開始し、両社のポリオレフィン事業を統合することに合意、2005年4月1日に合弁会社プライムポリマーの営業を開始した。

プライムポリマー 出資比率  三井化学 65%、出光興産 35% 

なお、住友化学と三井化学は、丸善石油化学の京葉エチレンに共同で参加しているほか、三井化学のメタロセン触媒による気相法LLDPE事業に住友化学が参加し、これをJVの日本エボリューとしている。
このほか、両社はPSのJV(
日本ポリスチレン)、ABSのJV(日本エイアンドエル)をつくっている。

京葉エチレン  生産能力 (当初)年産60万トン (現在)768千トン
          出資比率  丸善石化 55.0%、住友化学 22.5%、三井化学 22.5%
          引取比率  丸善石化 50%、住友化学 25%、三井化学 25%

日本エボリュー 生産能力 (当初)年産20万トン (現在)24万トン 
          出資比率  三井化学 75%、住友化学 25% 
          引取比率  プライムポリマー 15万トン+増設 4万トン、住友化学 5万トン

日本ポリスチレン
          出資比率  住友化学 50%、三井化学 50% 
          住友化学千葉工場内にPSプラント         

日本エイアンドエル
          出資比率  住友化学 67%、三井化学 33%
          住友化学千葉工場内にSBRラテックスプラント        


2008/2/19 富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す

富士フイルム、大正製薬、富山化学工業の3社は2月13日、富山化学の医療用医薬品事業の強化を中心とする戦略的資本・業務提携を行うことで基本合意したと発表した。

富士フイルムが富山化学の持つ新薬開発力を足掛かりに医薬事業に本格参入するもので、富山化学に約22%出資し提携関係にある大正製薬とも連携し、成長戦略の柱に育てる。

まず�@富山化学が実施する第三者割当増資を富士フイルムと大正製薬が引き受け、次に、
�A富士フイルムが富山化学の公開買付けを行う。これにより富士フイルムと大正製薬が合わせて富山化学の発行済株式総数の3分の2以上を取得し、さらに
�B富山化学による全部取得条項付株式の発行を通じた方法を経て一般株主の持株を買い上げた上で、富士フイルムから大正製薬に一部の株式譲渡を行い、
最終的に富士フイルムが66%、大正製薬が34%の富山化学の株式を保有する。

付記

2008/10/24 富士フイルムが所有する富山化学の株式の一部を大正製薬に譲渡

富山化学株式の最終的な保有比率は富士フイルム 66%、大正製薬 34%となった。

これにより、
�@ 「インフルエンザ治療薬」、「アルツハイマー病治療薬」などの有力なパイプラインを保有し、優れた創薬力を有する富山化学を、特定領域(感染症、抗炎症、中枢神経など)における世界基準の有力創薬企業として大きく飛躍させ、
�A 富山化学の企業力の向上と3社の研究開発・販売面でのシナジー拡大による新たな価値創造を通じて、富士フイルムと大正製薬がそれぞれの企業価値の最大化を実現する。
�B 富山化学が開発中のインフルエンザ治療薬「T-705」の早期開発と安定供給体制の構築に向けた取り組みを加速する。

 

付記


大正製薬ホールディングスから富山化学の全株式を取得し、2018年7月31日に富山化学を完全子会社化することで合意。

富山化学工業と放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富士フイルムRIファーマを2018年10月1日付で統合し、富士フイルム富山化学としてスタートさせることを決定した。

ーーー

富山化学は1930年に富山化学研究所として設立され、青化ソーダ、黄血塩等の製造、各種化学薬品の製造研究を行った。
1936年に富山化学工業が設立され、その事業を継承した。
1938年に医薬品製造を開始した。

同社は研究開発型企業として「新薬開発を通じて世界の医療の発展に貢献する」という経営目標を掲げ、世界基準の新薬候補化合物を安定的に創出する体制の構築を進めており、開発パイプラインに「インフルエンザ治療薬」「アルツハイマー病治療薬」「リウマチ治療薬」など有望な新薬候補を有している。

しかし新薬開発費用がかさみ、2007年3月期決算では88億円の損失を計上、2007年9月中間決算時点で、累積損失は163億円となっている。(資本金 224億円、資本剰余金 215億円)

 

富山化学と大正製薬は2002年8月に「資本提携及び医療用医薬品事業の研究開発・販売に関する戦略的提携についての基本合意書」を締結した。
 ・同年9月に大正製薬が富山化学の第三者割当増資を引受け、発行済株式の約22%を取得した。
 ・両社は同年10月、医療用医薬品分野の国内販売会社として大正富山医薬品(大正製薬 55%、富山化学 45%)を設立した。
 ・更に医療用医薬品事業の研究開発における協力体制を構築、
 ・海外の医療用医薬品事業でも提携することとした。

2007年10月には大正製薬・富山化学の両社が共同開発を行った合成抗菌剤「ジェニナック」を上市している。

ーーー

富士フイルムの事業領域は�@イメージングソリューション分野、�Aインフォメーションソリューション分野、�Bドキュメントソリューション分野の3つだが、�Aのインフォメーションソリューション分野のうちメディカル・ライフサイエンス事業を主要な事業領域の一つとしてグローバルに事業展開している。

デジタルX線画像診断システム「FCR」を中核に、超音波画像診断装置・電子内視鏡などとの組み合わせにより、医療画像診断における統合的ソリューションの拡販強化を図り、さらに医用画像情報ネットワークシステム「SYNAPSE」を中心としたネットワークサービス事業の拡大を図っている。

    2006/11/2 富士フイルム、超音波画像診断分野に参入 、メディカル・ライフサイエンス事業拡大
      

同社は2006年10月に第一製薬より治療用放射性医薬品メーカーの第一ラジオアイソトープ研究所(1968年に第一製薬とMallinckrodt とのJVで設立、1988年に第一製薬の100%子会社)を買収し、富士フイルムRI ファーマと改称した。

特定の臓器に集まる化合物などにラジオアイソトープ(RI) を結合させ、RIから出るガンマ線を画像化またはグラフなどにして病気の診断や組織の機能検査に用いる。

このほか、2006年に東大教授らの医薬品技術をもとに研究用試薬などを開発するベンチャーのペルセウスの第三者割当増資を引き受け、発行済み株式の22%を持つ筆頭株主になっている。

また同社は1971年に写真用原料メーカーの三協化学(1990年代に医薬品製品に進出)に40%出資したが、2006年にこれを100%子会社とし、富士フイルムファインケミカルズに改称した。

同社は情報記録用有機化合物、医療原薬などの受託製造と有機合成薬品(感光材料、情報電子材料、医薬品原薬・中間体、染料中間体)の製造販売を行なっている。

同社は2006年9月、フイルムで蓄積した技術を利用してヘルスケア分野【予防分野】への参入を発表、第一弾として、機能性スキンケア化粧品、機能性体内ケア食品「エフ キューブ アイ」を発売した。

これらには同社の下記の技術が使用されている。
�@ FTD技術コンセプト(カラーフイルム技術)
「機能的に配合した成分もしくは素材を(Formulation)、新鮮なまま安定した状態で狙った場所に(Targeting)、タイミング良く適量届け、効果を持続させる(Delivery)」
「油溶成分可溶化」、「ナノ分散・乳化」、「安定化(酸化/熱/水分に対して)」技術
�A 活性酸素の制御(写真フィルムの感度を上げたり、写真プリントの保存に使用)
ビタミンCを還元剤として活用した活性酸素の制御
�B コラーゲンの研究(写真フィルムの主原料)
ヒトと全く同じコラーゲンペプチドを遺伝子工学で創ることに成功、スキンケアや医薬品分野での応用研究に活用

今回、これらに加え富山化学の株式を取得して医療用医薬品事業に本格参入し、「予防〜診断〜治療」という全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーグループを目指す。
古森重隆社長は「10年後をめどに売上高1兆円の総合ヘルスケア企業を目指す」としている。

参考 2007年3月期の医薬専業各社の連結売上高は以下の通り。

     武田薬品 1兆 3052 億円
     第一三共    9295 億円
     アステラス   9206 億円
     エーザイ    6741 億円

富士フイルムにとって、今回の買収の狙いを以下の通りとしている。

・ 研究開発面では、富山化学のもつ高い技術力に富士フイルムの乳化分散技術によるナノ粒子化など、独自のFTD(Formulation Targeting Delivery)技術をはじめとする多彩な技術を組み合わせて、新たな価値創造による新薬パイプラインの強化および治験期間の短縮化を目指す。
・ 生産面では、富士フイルムファインケミカルズの有効活用などを通じて、外注品の内製化を始めとする生産体制の効率化、災害リスク分散体制の構築、原材料共同購入などを検討する。
・ 販売面では、富士フイルムグループの海外販売ネットワークやブランド力・知名度などを最大限に活用した、海外販売体制の構築などを進める。
・ また、富山化学の企業力強化に向け大正製薬と強固な協力体制を構築していくと共に、研究開発、販売分野を中心に、両社の企業価値の向上に繋がる協業の検討を進める。

付記 (2010/2/9)

富士フイルムは、2010年4月営業開始を目指して富士フイルムファーマを設立し、医薬品開発・販売に本格参入すると発表した。
ジェネリック医薬品の販売から開始する。

三菱商事が15%出資し、原薬および医薬品の調達、海外販路の開拓などを支援。
医薬品販売会社の東邦HD(
旧東邦薬品)が5%出資し、製品の販売・物流を担当する。

ーーー

大正製薬は2001年9月に、田辺製薬との間で事業統合をすることで合意した。

医療用医薬品事業とセルフ・メディケーション事業のグローバル・カンパニーを目指すもので、2002年4月を目処に持株会社を設立し、同年10 月を目処として大正製薬の研究開発・営業基盤を含む医療用医薬品事業を田辺製薬に統合する一方で、田辺製薬の一般用医薬品事業を大正製薬に統合することで、事業別会社に再編を図るとした。

株式移転比率は、大正製薬の株式1 株に対して割り当てる持株会社の株式の数と田辺製薬の株式1 株に対して割り当てる持株会社の株式の数との比率が1 対0.55 となるように割当交付するとした。

しかし、2001年12月、両社は本件の破談を発表した。

両社の意思の疎通が欠けており、田辺が「大衆薬は大正に全面的に任せするが、医療用薬の研究開発、販売は田辺主導」とするのに対し、大正は「大正が多額の研究開発費を出しながら全て任せる訳にはいかない」とした。
田辺が「対等」を主張するのに対し、売上高、資金力で勝る大正は「持ち株会社への株式移転比率は大正が田辺の約2倍で、資本の論理が働くのは当然。意思決定は事業会社が個別にでなく、共同持ち株会社で決める形を思い描いていた」
とした。

その後、上記の通り、大正製薬は富山化学との間で、2002年に資本提携と医療用医薬品事業の研究開発・販売に関する戦略的提携を行なった。

今回は富士フイルムに協力して富山化学への資本比率を引き上げ、今まで以上に両社の業務提携関係を強化するとともに、富士フイルムのもつ独自技術の導入による健康関連商品への応用などセルフメディケーション事業での協業を図るとしている。

 

なお、大正製薬は2月12日、ビオフェルミン製薬を買収すると発表した。TOBを実施し、最大で発行済み株式の62.0%を取得して子会社化する。乳酸菌技術を持つビオフェルミンを傘下に収め、自社の医薬品や健康食品の開発に役立てる。

本TOB成立後も引き続きビオフェルミン製薬の株式上場を維持する方針。

ビオフェルミン製薬の最大株主で38.28%を所有するT・ZONEキャピタルはTOBに同意しているが、10.01%を所有する二位株主の武田薬品は売却せず、現在も「ビオフェルミン」の販売を受託している。

現在の株主は
  大正製薬  54.79%
  武田薬品  10.01%


2008/2/20 韓国エネルギーコンソーシアム、イラク油田開発

韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムは2月14日、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。

コンソーシアムは石油公社 38%、SKエナジー 19%、デソン産業、三千里(サムチョンリ)、ボムア資源開発(各 9.5%)、GSホールディングス、マジュコ通商(各 4.75%)、ユーアイエナジー(5%)などが構成している。

クルド自治政府の州都である Irbil 近くの3鉱区とクルド北部地域のドフク鉱区を合わせて4ヵ所の鉱区が対象で、4つの鉱区の埋蔵量は、最低10億バレル以上、多ければ20億バレルに上るものと期待される。

油田探査とは別に、双龍建設、斗山建設、極東建設などで構成された建設コンソーシアムは、2兆ウォン規模の4車線高速道路(450km)を建設する一方、上下水道施設、石油化学プラントなど、10兆ウォン規模の社会基盤施設建設にも参加する予定。

 これに先立ち、コンソーシアムは2007年11月にクルド自治政府との間で5億バレル程度の原油埋蔵が予想されるBazian 陸上探査鉱区の生産物分配契約を締結している。

なおクルド自治政府の州都である Irbil にはイラク派遣の600人の韓国軍が駐在している。

ーーー

しかし、イラク政府はクルド地域内の韓国コンソーシアムによる油田開発を問題視している。

イラク国会ではイラクの石油・ガス田開発の権利を巡って行き詰っており、海外資本を規制する石油・ガス法が通らないままとなっている。
クルド地方政府はこれに苛立ち、海外石油資本と多数の契約を締結しているが、イラク政府は従来から外国企業がクルド地方政府と石油関連の合意を結ぶことは違法であると主張してきた。

昨年の韓国側とクルド地方政府との石油開発合意に抗議して、イラク政府は本年1月1日にSKエナジーに対する日量 9万バレルの輸出を一時停止、再開には1月31日までにクルド地方政府との合意を撤回するよう要求している。
イラク石油省は
2月初めに、オーストリアのOMVに対しても石油輸出の停止処分を行なっている。

これに対してクルド地方政府はこの契約は憲法の権利に基づくもので、イラクの基本法に反するものではないと主張する。
クルド地方政府は
SKエナジーに対する石油禁輸をバグダッドと交渉するとしている。


2008/2/20 速報 WTI原油価格 過去最高値更新

2月19日のニューヨーク市場でWTI 原油価格が一時100.10ドル/バレルで過去最高値を更新、終値も100.01ドルで過去最高となった。
前日18日は米国では大統領の日で休日で、先週末の終値は95.5ドルだった。
これまでの最高は本年1月3日の100.09ドル、終値は同1月2日の99.62ドル。

OPECが3月5日に総会を開くが、減産を決めるのではないかとの懸念が出たのが主な理由。イランのNozari石油相が17日に、「OPECは通常3月に減産する。需要の動向や備蓄量を調べる必要がある」と述べたと伝えられた。

このほか、ベネズエラの石油国営化を巡ってのエクソンモービルとの争いでベネズエラが同社への原油出荷を凍結したこと、米テキサス州で起こった製油所の事故などから供給懸念が強まった。

ベネズエラは石油の国有化を決め、各石油会社は国営石油会社 PDVSAと条件交渉を行なった。
Chevron、Total、BP、StatoilHydroはPDVSAの条件を呑み、Minority partner として操業を続けることとした。

しかし、ConocoPhillips とExxon Mobil はこれを拒否し、争ってきた。(ConocoPhillips は最近、合意に近づいたとしている)

付記

ConocoPhillips は2018年8月20日、2007年にチャベス政権が重油採掘プロジェクトを国有化した問題で、国営ベネズエラ石油(PDVSA)が約20億ドルを支払うことで和解に合意したと発表した。国際商業会議所(本部パリ)の仲裁機関が2018年4月、Conocoの紛争調停申し立てに基づきPDVSAの賠償支払い義務を認定していた。

Conocoはカリブ海オランダ領にあるPDVSA資産の差し押さえを停止する。ベネズエラ側は差し押さえにより生命線である石油の輸出に影響が出たため、和解に応じたとみられる。

Exxon Mobil は油田国有化で損害を被ったとして補償を求めて訴訟を行い、米欧の裁判所は同国が支払いに応じなかった場合に備え、PDVSAが海外に保有する資産を差し押さえる命令を下した。
米ニューヨーク連邦地裁は3億ドルの現金、英裁判所は120億ドルまでの資産の差し押さえを命じた。

今後、国際調停に入るが、不調に終わった場合、Exxon Mobil は差し押さえ資産を処分し、現金を回収できる。
但し、ベネズエラによると英国には資産はなく、問題になるのは米国の3億ドルの現金だけとしている。

付記

英裁判所は2008年3月18日、PDVSAの資産(120億ドルまで)の凍結命令を撤回した。

判事は、このような凍結命令は稀であり、重大な国際的不正の強い証拠があるときに出されるが、今回のケースはそのようなものではないとした。
PDVSAは英企業でないうえ、英国内にまとまった資産を保有していないというPDVSAの主張も認めた。

これに反発してベネズエラのChavez 大統領は2月10日、Exxon Mobil が差し押さえた場合、「経済戦争」で米国への原油供給をカットすると警告、12日にPDVSAはExxon Mobil への原油販売を止め、同社との関係を一時中断したと発表した。

ベネズエラは米国の原油輸入の約12%を占めており、カナダ、サウジアラビア、メキシコに次ぐ第4位となっている。

なお、東京市場でも原油、ナフサとも過去最高値に近づいている。


2008/2/21 Bayer の薬害問題

2月17日の米CBSテレビの報道番組 60 Minutes は“One Thousand Lives A Month” というタイトルで Bayer の失血予防薬 Trasylol (Aprotinin) の薬害問題について報じた。

   https://www.cbsnews.com/stories/2008/02/14/60minutes/main3831900.shtml (番組ビデオ付き)

Bayer HealthCare Pharmaceuticals のTrasylol (Aprotinin)は失血リスクや輸血リスクが高い患者の心臓バイパス手術時の失血予防薬として使われる。

Trasylol は出血をコントロールできるという研究から1993年にFDAが使用を承認した。

しかし、2006年1月に Dr. Dennis ManganoがNew England Journal of Medicine に次の発表を行なった。

血行再建術を受ける患者 4,374 例を対象に、3つの薬剤(Aprotinin 1,295 例、アミノカプロン酸 883 例、トラネキサム酸 822 例)の投与と薬剤非投与(1,374 例)について評価した。

アプロチニンの使用は、複雑な冠動脈手術を受けた患者あるいは初回手術を受けた患者において、透析を要する腎不全のリスクが 2倍になることと関連していた。
同様に、初回手術群にアプロチニンを使用すると、心筋梗塞または心不全のリスクが 55%増加し、脳卒中または脳症のリスクが 181%増加した。
アミノカプロン酸とトラネキサム酸はいずれも、腎、心、脳イベントのリスク増加とは関連していなかった。

結論
アプロチニンは重篤な標的臓器障害と関連することから、継続的使用は賢明ではないことが示される。
一方、アプロチニン($1,000)より安価なジェネリック薬であるアミノカプロン酸やトラネキサム酸($50)は、安全な代替薬である。

FDAは2006年2月に、この研究に基づき、本剤の使用を制限するよう、勧告を出したが、禁止はしなかった。

BayerはハーバードのDr. Alexander Walker に調査を依頼した。70,000人の患者の記録から、同じような結果が得られた。

2006年9月、Dr. ManganoはFDAに17カ国5,065名の患者の観察を提示し、本剤の禁止を要請した。
しかし、彼の研究はプラシーボ(偽薬)と対比するというきちんとした研究ではなく、病院の記録の分析であったため、あまり評判はよくはなかった。
Bayerはこの会議に出席したが、
Dr. Walker の研究結果については触れず、本剤を擁護した。
(以後の調査で、担当者がこの報告の研究方法や分析に問題があるとして質問し、会議日までに返事を受け取っていなかったとしている)
この結果、本剤は禁止されなかった。

2007年9月に開催されたFDA諮問委員会に先立って発表された資料において、FDAはTrasylol (Aprotinin)が透析が必要となる腎不全や死のリスクを上昇しうるという見解を表明、11月に使用が禁止された。

ーーー

番組ではDr. Mangano は、2006年1月から2007年11月までの間に 431,000人の患者が本剤の投薬を受けており、もし2006年1月の彼の報告時に本剤を禁止しておれば、22,000人(月 1,000人)の命 (番組タイトルの One Thousand Lives A Month) が救われたであろうと述べた。

FDA のDr. Hiatt は、もしBayerの調査結果を知っておれば、2006年9月の会議で禁止の提案をしていたであろうと述べている。

 


2008/2/22 河北省の滄州大化、韓国SKとTDI事業でJV設立

河北省の滄州大化(Cangzhou Dahua)は2月2日、韓国・SKグループの SK (China) Investment との間でTDIの合弁会社設立の覚書を締結した。

JV名は Cangzhou Dahua-SK で、滄州大化が過半数(60-70%)を持ち、残りをSKが出資する。昨年9月から交渉を行なっていた。

滄州大化は河北省の滄州市に年産 30千トンのTDIプラントを持ち、別途同市の臨港化工区で 50千トンのプラントを建設中だが、2007年4月に、これに隣接して50千トンプラントを増設することを決めていた。

滄州大化は建設中の50千トンのTDIプラント(本年末に完成予定)をJVに出し、JVがこれに隣接して、TDI 100千トン(当初案の50千トンを倍増)と原料のDNT 60千トン、苛性ソー ダ 160千トン、硝酸 100千トンプラントを建設する。

滄州大化は現在、臨港化工区で60千トンのDNTプラントも建設中だが、これをJVに出すかどうかは決まっていない。

付記

その後、SKとのJVについての報道は全くない。
2009年3月、(JVではなく)
滄州大化が臨港化工区で 50千トンプラントで生産を開始した。同社ではここでの50千トンの増設を計画しており、完成すれば能力は13万トンになる。

ーーー

滄州大化は2006年にChemChinaが60%を取得し、同社の子会社となった。
河北省に本拠を置き、上海で上場している。
尿素580千トン、アンモニア300千トンプラントを持ち、TDIでは現在、BASF、Gansu Yinguang TDI (甘肅銀光) に次ぎ、第3位のメーカー。

既存の30千トンのTDIプラントは 滄州市内にあり、JVには入れずに滄州大化が従来通り運営することとなる。
この工場は昨年5月に爆発を起し、5人死亡、80人が負傷した。工場は半年間閉鎖され、11月に生産を再開している。

ーーー

中国のTDIの需給は以下の通り。(千トン)

  生産 輸入 輸出 消費
2004    66   246   7.5   304.5
2005    70   238   7.5   300.5
2006   140   163   6   297

BASFの上海プラントは2006年に稼動し、2007年には通年操業しており、2007年の生産量は増えている。

各社のTDIの能力及び計画は以下の通り。(単位:千トン)

社名 現行能力 建設中 計画 完成
上海BASFポリウレタン(上海市)*1   160      
甘肅銀光TDI(甘肅省白銀市)    50      50 2010年
滄州大化(河北省滄州市)
 Cangzhou Dahua-SK (河北省滄州市臨港化工区)
 
   30
 
 
 
   50
 
 
 
  100
 
2008年末
2012年?
藍星グループ(山西省太原市)     30      
Yantai Juli (山東省莱陽市)     15      
Bayer Material Science(上海市)*2     300   2009年
遼寧North Jinhuaポリウレタン(遼寧省 葫蘆島市)      50   2008年末
合計    285   400   150  

*1 BASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設した。

*2 Bayerは上海ケミカルパークで1系列では世界最大の35万トンのMDI 設備を建設中で、2008年完成の予定だが、合わせて30万トンのTDIプラントを建設している。同プラントは当初16万トンの計画であったが30万トンに拡大された。2009年稼動予定で、Gas Phase Phosgenation法を始めて採用する。

これは既存プロセスと比べ、投資額が20%、エネルギーコストが40%少なくて済み、より安全で、溶剤使用量も少ない。
年産30千トンのパイロットプラントで実績がある。


2008/2/23 メキシコ政府、第二のPhoenix project 開始

2004年に前大統領のVicente Fox Quesada が同国の石油化学の拡大のため、野心的な "Phoenix project" を打ち出した。
国営石油会社 Pemex が外資と組んで、19億ドルを投資し、年産120万トンのエチレン、60万トンのプロピレンと各誘導品を生産するというものであった。

Pemex はパートナーとしてカナダの Nova Chemicals とメキシコの私企業2社 Idelpro と Grupo Idesa を選んだ。
しかし、この計画は実現しなかった。

Pemex
は財務省の指示に基づき、天然ガス等の原料の価格を米国の市場価格ベースにするよう主張、これに対しパートナーはこれが長期契約としては全く unfair であるとし、結局話がまとまらず、2005年初めにPhoenix project は廃案となった。

 

2月18日、Felipe Calderón 大統領は、新しく年産100万トンのエチレンコンプレックスを建設して同国の石油化学を復活させるための入札を発表した。誘導品7億ドルを含め、17億ドルのプロジェクトである。

今回の計画には Pemex 自体は参加しない。

通常は計画の参加者を先ず決め、それから原料価格等の交渉を行なうが、今回は
reverse engineering の手法を使用し、先ず、長期契約での原料のエタン、天然ガスの購入の入札を行なう。ベストオファをしたところが、工場建設の交渉を行なうこととなる。


2008/2/25 公取委、マリンホース国際カルテルで排除命令

公取委は2月22日、海上のタンカーから陸地の貯蔵施設に石油を移すときに使うマリンホースを巡り国際カルテルを結んでいたとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で英仏伊のメーカー4社とブリヂストンに排除措置命令を出した。
ブリヂストンには課徴金納付命令も出された。

国際カルテルで公取委が外国企業に同命令を出すのは初めて。

ーーー

米司法省は2007年5月2日、原油の海上輸送に使うマリンホースの販売で国際的な価格カルテルに関与した疑いがあるとして日欧企業の幹部8人を逮捕したと発表した。

逮捕されたのは、
 英
国に本拠を置くコンサルタント会社  PW Consulting (Oil & Marine) Ltd のオーナー
 英国の
Dunlop Oil & Marine Ltd の2名
 フランスの
Trelleborg Industrie S.A の2名
 イタリアの
Parker ITR slr の1名
 イタリアの
Manuli Rubber Industries SpA の1名
 日本のブリヂストンの1名
の合計6社の8名。

本件は横浜ゴムの米司法省への自主申告により調査が開始された。

公取委も2007年5月7日、ブリヂストンと横浜ゴムに立ち入り検査に入った(EUも)。

    2007/7/9 マリーンホース国際カルテル事件  

その後、逮捕された各社責任者が順次、米国で長期の禁固刑を受けている。(ブリヂストンはまだ決定していない)

    2007/12/18 マリーンホース国際カルテル事件のその後 

 

付記

ブリヂストンと横浜ゴムは2008年5月2日、欧州委員会からマリンホースの価格カルテル疑惑を指摘した文書を1日までに受け取ったとそれぞれ発表した。フランスのTrelleborg Industrie S.Aも受け取っている。
60日以内に反論できる。

ーーー

今回公取委は、以下の決定を下した。
横浜ゴムは自主申告をしたため、排除命令、課徴金納付命令を免除された。

  事業者名 本店の所在地 排除措置命令 課徴金額
1 ブリヂストン    ○  238万円
2 Dunlop Oil & Marine Ltd 英国  ○   −
3 Trelleborg Industrie S.A. フランス  ○   −
4 Parker ITR slr イタリア  ○   −
5 Manuli Rubber Industries SpA イタリア  ○   −
6 横浜ゴム    −   −
合  計  5社  238万円

 違反行為:

 : ・ 日・英・仏・伊の需要家にはそれぞれの国のメーカーが受注予定者となる。
日本とイタリアの場合は2社のうち、いずれかを受注予定者とする。
  ・ それ以外の国の需要家には、予め決めた各社の割合を勘案して、コーディネーターが選定する。
  ・ 受注価格は受注予定者が決め、他のメーカーはそうなるよう、協力する。

 排除命令:

: ・ 5社は違反行為を取り止めている旨を確認し、今後日本での受注では各社が自主的に受注活動を行なうことを取締役で決議する。
  ・ 5社はメンバー及び日本の需要家に上記を通知する。
  ・ 5社は今後、相互又は他の事業者と共同して、日本の需要家発注分について受注予定者を決定してはならない。

 課徴金納付命令

 ・ブリヂストンは、平成20年5月21日までに、238万円を支払わなければならない。


付記

本排除措置命令に対し、Manuli Rubber が審判請求を行なった。
公取委は2008年5月13日、審判手続を開始することとし,その旨を同社に通知した。

2008年6月17日、同社から審判請求の取下げがあり、排除措置命令は確定した。

 

欧州委員会は2007年1月、電力用ガス絶縁開閉装置で国際カルテルを結んでいたとして日欧10社に7億5千万ユーロの制裁金支払いを命じた。
日本企業は欧州で販売せず、欧州企業は日本で販売しないことも決めていたとし、日本企業は欧州での販売実績はほとんどないが、欧州で応札せず、直接的に欧州での競争を制限したため制裁金が課せられた。(日本メーカーはこれを不服として提訴している。)
欧州委員会のカルテル制裁金は当該事業者の全世界売上高の10%以下となっている。

  
2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金 
    

日本の場合は、日本でのカルテル行為について、日本の売上高を基準に課徴金が科せられる。
英・仏・伊のメーカーは協定に基づき日本では販売していないため、課徴金の対象となっていない。
横浜ゴムは自主申告により、課徴金を免ぜられた。

ーーー

ブリヂストンは2月22日、「このような命令が出されたことを厳粛に受け止めており、役員ならびに社員一同、高い倫理意識でコンプライアンスを重ねて徹底し、信頼の回復に努めたいと考えております。」とし、命令の内容については、これから精査し対応を検討すると発表した。

横浜ゴムは2月22日、自主申告したことを初めて認め、以下の発表を行なった。

「弊社は、かねてより独占禁止法の遵守に取り組み、談合やカルテルに関わる事のない様、社内ではコンプライアンス推進室を設けるなど、その排除に努めてまいりました。
 しかしながら、2006年秋、本件に関する社内調査の過程におきまして、当該商品の販売に関するカルテルへの関与が明らかとなりましたので、公正取引委員会に弊社の調査結果をご報告するとともに、課徴金減免制度の適用申請を行いましたので、本日に至るまで公表を差し控えておりました。

 弊社といたしましては、引き続き談合やカルテルへの関与等の独占禁止法違反となる行為の排除はもとより、コンプライアンス遵守の経営の徹底に全社一丸となって取り組んで参りますので、皆様の温かいご理解とご支援を賜ります様、合わせてお願い申し上げます。」

ーーー

ブリヂストンは2月12日、マリンホース事業で中南米や東南アジアなどの外国公務員に対する不適切な支払いが少なくとも1億5千万円あったと発表した。
販売を仲介する海外コンサルタントに支払った手数料の上乗せ分が複数国の公務員らに賄賂として渡った可能性があるというもので、不正競争防止法違反(外国公務員への賄賂)にあたる恐れがある。

不正競争防止法
第18条(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
 
 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。

同社はマリンホース事業から撤退することを明らかにした。

 


2008/2/26 中国のエチレンセンターの状況 (2007年) 

中国の2007年のエチレン生産量は初めて1,000万トンを超え、1,048万トンとなった。
2006年中に完成した茂名石化、蘭州化学(増設)、中海シェル(新設)が通年稼動したのが寄与した。

年末の生産能力は997万トン。
2007年中の大きな新増設はないが、地図記載の通り、大規模な新増設が行なわれており、能力は今後更に大きく増える。

各社の能力、生産量の推移は下記の通り。(社名の前の番号は地図の番号に対応)

              能力(千トン)       生産(千トン)
03/末 04/末 05/末 06/末 07/末 2003 2004 2005 2006 2007

�@

大慶石化

CNPC

黒龍江省

480

600

600

600

600

508

  456

556

517

537

�A

吉林化学

CNPC

吉林省

530

530

750

750

850

575

  580

511

752

870

�B

盤錦エチレン

Liaoning Huajin

遼寧省

160

160

160

160

160

156

  166

157

180

172

�C

遼陽石化化繊

CNPC  

遼寧省

120

120

120

120

200

145

  142

146

150

74

�D

撫順石化

CNPC

遼寧省

150

150

150

150

150

179

  175

168

180

177

�E

北京東方化工

Sinopec

北京市

150

150

150

150

150

165

  181

178

168

160

�F

燕山石化

Sinope

北京市

710

710

710

710

710

722

  801

812

820

749

�G

天津石化

Sinopec

天津市

200

200

200

200

200

230

  228

207

232

226

�H

斎魯石化

Sinopec

山東省

450

720

720

720

840

563

  456

825

839

847

�I

揚子石化

Sinopec

南京市

650

650

650

650

650

765

  813

776

755

801

�J

上海石化

Sinopec

上海市

850

850

850

850

850

948

  956

962

960

869

�K

廣州エチレン

Sinopec

広東省

200

200

200

200

200

170

  217

214

196

210

�L

茂名石化

Sinopec

広東省

380

380

380

1,020

1,020

390

  394

348

522

963

�M

中原石化

Sinopec

河南省

180

180

180

180

180

190

  209

192

214

211

�N

蘭州化学

CNPC

甘粛省

240

240

240

690

690

175

  239

246

240

680

�O

新疆独山子

CNPC

新彊省

220

220

220

220

220

236

  254

261

247

239

�P

BASF-YPC

BASF/Sinopec

江蘇省

ー

ー

600

600

600

ー

  ー

341

647

655

�Q

Secco

BP/Sinopec 

上海市

ー

ー

900

900

900

ー

  ー

642

978

1,000

�R

中海シェル

Shell/CNOOC

広東省

ー

ー

ー

800

800

ー

  ー

ー

646

900

合計

5,670

6,060

7,780

9,670

9,970

6,117

6,266

7,555

9,412

10,480

�A吉林、�H斎魯の能力は実能力
�R中海シェルの生産量は推定
合計生産量には自消用の小規模エチレンを含む。

 


2008/2/27 米控訴裁判所、ベトナム枯葉剤被害者の控訴 却下、

米国第二巡回控訴裁判所は2月22日、ベトナム戦争中の枯葉剤 Agent Orange が出生異常や癌を含む病気を起したとして、ベトナム人被害者300万人以上を代表して「Vietnam Agent Orange/Dioxin 被害者協会」が Dow Chemical、Monsanto のほか35社の農薬メーカーを相手取って行なった民事訴訟の控訴審で、下級審の却下を支持した。

ニューヨークの連邦地裁は2005年3月に、Agent Orange が戦争での毒物使用禁止に違反していることを原告が示せず、また原告の病気が化学品に結びついていることが立証できないとして却下した。

控訴審の事前ヒアリングは2007年6月18日に行なわれ、その後審議が行なわれていた。

    2007/6/23 ベトナムの枯葉剤被害者による訴訟
    

控訴審で裁判長は、「除草剤散布は議論を呼ぶが、Agent Orange は枯葉剤として使用されたのであり、人間をターゲットとした毒物として使われたのではなく、国際法に違反するものではない」と述べた。

控訴審は同時に、1984年の和解で退役軍人が補償を受けた後に健康被害が分かったとして訴えた退役軍人とその家族の訴えも却下した。化学会社は米軍の請負業者であり、法的責任を免れているとした。

ベトナムの原告側弁護士は控訴するとしている。

Dow Chemical は「当社はこれまで、戦時中の活動に関する問題は米国とベトナムの政府間で話をすべきだとの見解を支持してきた」と述べ、決定を歓迎した。Monsanto も同じ意見を述べた。

ベトナム政府スポークスマンは23日、この決定は不公正で間違っていると述べた。ベトナム国民は判決に非常に不満であるとし、米国政府がAgent Orange による被害に対処するためベトナムと協力しているときに、このような判決を下すのは残念だとした。

米議会は2007年に、大量のダイオキシンで汚染されたダナンの旧米空軍基地の土壌封じ込めを含め、調査とクリーンアップのために300万ドルの支出を認めた。

 

なお、1984年の和解で、Dow Chemical、Monsanto など7社は健康被害を受けた米軍人に対して180百万ドルの補償を行っている。

 


2008/2/28 Dow Chemical、ポリカーボネート等の事業を再評価

Dow Chemical は2月25日、多くの事業を新しく作った事業グループのDow Portfolio Optimization に移すと発表した。
これに移した事業はそれぞれの戦略的価値を評価し、会社にとっての長期的価値を最大にするにはどうすればよいかー他のダウ事業との統合か、JV化か、売却かーを決める。

対象となるのは、サラン(PDVC)製品と特殊フィルム、ポリカーボネート、コンパウンド、合成ゴム、特殊コポリマーなどで、今後、その他の製品も対象とする。

ーーー

サラン製品と特殊フィルム

ダウのポリ塩化ビニリデン(PVDC)は第二次大戦中、蚊帳や靴の中敷き、弾丸包装フィルム等に使われたが、戦後は余り用途がなかった。
たまたま、フィルムメーカーの2人の社員夫婦がピクニックに行くとき、レタスをフィルムに包んで持っていくと評判になったため、フィルムを紙管に巻きつけて箱詰めし、二人の妻の
Sarah とAnn の名前からSaran Wrap という商品名で1950年に発売した。
1952年からダウが生産を担当した。
日本では
1952年に旭化成とダウのJVの旭ダウが誕生、1960年からサランラップを販売した。現在は旭化成が販売。
(呉羽化学ー現クレハーも
1960年にクレラップを発売している。)

ポリカーボネート

ダウは米国に80千トン、ドイツに105千トンのプラントを持つ。
日本では住友化学との
50/50JVの住友ダウが愛媛に55千トンプラントを持つ。
また、韓国では
LGとのJVのLG-Dow が65千トンプラントを持ち、現在倍増中。

合成ゴム

ドイツ、オランダ、フランスでSBRとBRを製造している。

ーーー

ダウはグローバルに効率改善とコストダウンを進めているが2007年12月に工場閉鎖と人員削減策を発表した。

    2007/12/8  ダウ、合理化策を発表 

本年2月にはカナダのJVのPetromont の生産停止を発表した。

    2008/2/16 カナダの石油化学会社 Petromont、生産停止 

ダウはAsset light strategy に基づき、新規事業と既存事業のJV化を進めているが、仕上げとして昨年、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンと関連事業をクウェート国営石油の子会社 Petrochemical Industries Company (PIC) とのJVにすると発表している。

    2007/12/19 ダウとPIC のグローバル石化JV 詳報  

ポリカーボネートはこのJV構想に含まれているが、今回の発表で、このJVに入れるかどうかを再検討するものと思われる。


2008/2/29 サウジ Sipchem の石油化学計画

2007年2月に、三井物産がサウジのSaudi International Petrochemical Company(Sipchem)が計画している大石油化学事業に参加するという報道を伝えた。

    2007/2/9 三井物産 サウジ石化事業に参加 

Sipchemは2006年11月のオレフィン及び誘導品事業の発表で、アラムコとの間で天然ガス供給の文書にサインしたこと、三井物産、DuPont、Lucite と最終契約書の交渉中であることを明らかにしている。

その後、三井物産やDuPont との契約締結の発表はないが、最近、2つの報道がなされている。

一つはSipchemが
Ineos とJV設立で交渉していることを認めたという報道で、多岐にわたる計画のうち、クラッカーとポリオレフィンを対象としているとされる。IneosはANM(200千トン)について技術供与で合意している。

(この報道によれば、Sipchemは韓国のハンファと交渉していたが、ハンファ会長が昨年5月に、息子を殴った飲食店従業員に報復するため暴行した容疑で逮捕されたことから、サウジ政府からハンファを外すよう指示されたという。)

もう一つはSABICがこの計画に参加するという報道で、間もなく覚書が発表されるというものである。

誘導品の計画は多岐にわたっており(後述)、 Lucite International とはMMA(250 千トン)のJV交渉を行なっていると伝えられている。

ーーー

Sipchem はAl-Zamil Group が 11% 出資し、運営に当たっている。主な株主はサウジのほか、クエート、バーレン、UAEの企業が参加している。1999年12月に設立された。

   Al-Zamil Group については「サウジの民間ポリオレフィン計画」参照。
      

同社のJubail での石油化学計画は3段階に分かれており、問題の計画は第三段階のものである。

(第一段階) メタノール及びブタンジオール

 (1)メタノール 
    
JV名:International Methanol Company
    出資 :Sipchem 65%
        
Japan-Arabia Methanol Co. 35%
         (三井物産 55%、三菱商事 15%、ダイセル 15%、飯野海運 15%)
    能力 :
1,000千トン
    
生産開始:2004/11

    サウジでは3番目のメタノール製造会社で、三井物産が生産量の約80%を引取る。
       
2006/3/31 サウジ・メタノール計画 

 (2)ブタンジオール
    
JV名:International Diol Company
         当初はGulf Advanced Chemical Industries Ltd.(GACIC)と称した。
    出資 :Sipchem 53.9%
        下記各社 残り
         (
Saudi Public Pension Agency (PPA)、General Organisation for Social Insurance(GOSI)、
          
Huntsman Corp、Davy Process Technology、Sabih Tahir Darwish Al Masri、
          
A.S. Albabtain & Company)
    製品 :
Maleic Anhydride        Huntsman 技術
        
BDO        75千トン Davy 技術
        
Tetrahydrofuran (THF)
        Gamma-butyrolactone (GBL)        

なお、SABICはこのたび、OSOS Petrochemical (新設)との間で、上記製品とPBT を生産するJV設立の覚書を締結している。
   
2008/1/19  SABIC、新規JV設立で MOU 締結  

付記  2008年4月、SABICは本件から手を引くと発表した。両社の交渉が合意に達しなかった。

 

付記

Saudi International Petrochemical Co (Sipchem) は2018年7月1日、Jubail Industrial CityでPBTの商業生産を開始した。中東で最初。

Sipchemが95%所有するSipchem Chemical Companyが運営するもので、能力は63,000トン。

 

(第二段階) 酢酸、VAM、一酸化炭素 
    2006年下期に建設開始、2009年第1四半期スタートの予定

 (1)酢酸 
    
JV名:International Acetyl Company (IAC)
    出資 :Sipchem
87%
        
Ministry of Endowments 3%
        
Helm Arabia 10%
          
Helm AG (ドイツ)とフランス子会社Thales International Offsites のJV
    製品 :
酢酸    460千トン
         無水酢酸  50千トン

付記
Sipchem は2010年8月、
酢酸エチル計画(同社100%、能力10万トン)を明らかにした。
Rhodiaと提携、同社から技術と原料エタノールの供給を受け、販売も依頼する。
(製法:酢酸+エタノール)

 (2)Vinyl Acetate Monomer (VAM)  
    
JV名:International Vinyl Acetate Company (IVAC)
    出資 :Sipchem
87%
        
Ministry of Endowments 3%
        
Helm Arabia 10%
          
Helm AG (ドイツ)とフランス子会社Thales International Offsites のJV
    製品 :
VAM 330千トン
    原料 :メタノール(International Methanol
Company)
        
CO、水素(United Industrial Gases Company 下記)
    技術 :
DuPont (2004/8契約)

 (3)一酸化炭素(CO)  
    
JV名:United Industrial Gases Company (UIGC)
    出資 :Sipchem 7
2%
        
Ministry of Endowments 3%
        
National Power Company (NPC) 25%
    製品 :
CO 345千トン
    原料 :
Saudi Aramco が天然ガス供給契約

Celaneseは2007年11月、Sipchem、International Acetyls、International Vinyl Acetate の3社に対し、3社が建設中の酢酸と酢ビプラントへの同社の技術・ノウハウの使用禁止を求めてテキサス州で訴訟を行った。

これに対してShipchem はEastman Chemical と DuPont の技術を使用しており、訴えは根拠のないものと反論している。

   
2006/12/1 Celanese、サウジの酢酸メーカーを訴訟  

(第三段階)

 2006年11月、Sipchemはオレフィンと誘導品計画を発表した。

    
原料 :アラムコ(エタン35%、プロパン65%)
    
製品 :エチレン  1,000千トン
        プロピレン 
215千トン
        
HDPE 500千トン
        
EVA / LDPE 250千トン
        
PP
         ANM 200千トン(Ineos 技術)
        
MMA 250千トン(Lucite 技術)
        
Carbon fiber
         Ethylene vinyl alcohol
         Polyvinyl acetate、Polyvinyl alcohol、Polyvinyl butyral
         Polyacrylonitrile
         Sodium cyanide
         PE pipe and film
     生産開始:
2011年
     
投資額:US$ 7 billion

 付記  2008/6/23  サウジ Sipchem がエチレン、PE、PP計画取り止め


続く

* 総合目次、項目別目
   https://knak.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。