ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp


2023/5/1   主要企業の2023年3月期決算  信越化学

各セグメントともに2年続きの増収増益で、全社の営業損益が 前々年の2.54倍、前年の1.48倍の9,982億円と、1兆円にもう少しとなった。経常損益は1兆円を超えた。

特に塩ビが中心の生活環境基盤の営業損益が5,413億円となり、前々年比で5.43倍という脅威的な伸びである。

株主帰属損益も前年の1.42倍の7,082億円となった。年間配当は 前々年250円を前年に400円に増やしたが、本年は更に500円に増やした。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2021/3 14,969 3,922 4,051 2,937 110 140
2022/3 20,744 6,763 6,944 5,001 150 250
2023/3 28,088 9,982 10,202 7,082 225 275
前年比 7,344 3,219 3,258 2,081 75 25
2024/3

未定


 


 
   


営業損益

2021/3月期にセグメントを変更した。(2021/3実績は新旧セグメントで表示)
2021/3の旧セグメントでの塩ビ・化成品と、新セグメントでの生活環境基盤がほぼ同額であるため、ほぼ同じとみなせる。

2023/3では、塩ビが中心の生活環境基盤が大増益(前年比1.7倍、前々年比では5.4倍)となったほか、他のセグメントも増益となった。

  2011/3 2018/3 2019/3 2020/3 2021/3   2021/3 2022/3 2023/3 増減
塩ビ・化成品 197 932 1,065 922 970 生活環境基盤
(塩ビほか)
996 3,178 5,413 2,236
シリコーン 341 520 585 615 451 機能材料
(シリコーンほか)
707 948 1,306 358
機能性化学品 129 257 266 277 218
半導体シリコン 389 930 1,320 1,433 1,441 電子材料
(半導体シリコンほか)
2,061 2,448 3,014 566
電子・機能材料 361 616 670 685 702
その他 73 115 133 148 143 加工・商事 163 209 264 55
全社 3 -2 -3 -20 -3   -5 -19 -15 4
合計 1,492 3,368 4,037 4,060 3,922   3,922 6,763 9,982 3,219


生活環境基盤の売上高(億円)は下記の通りで、米国のShintechが増産で大増収となっている。

  2022/3 2023/3  
国内生産 1,280 1,392 1.09倍
海外生産 7,291 11,688 1.60倍
合計 8,571 13,080 1.53倍

Shintechでは2020年初めに初のエチレン設備が完成した。2021/3月期以降、これがフルに貢献している。

PVC増設第一期が2021年下半期に完成した。2022/3月期には一部、2023/3月期にはフルに貢献している。

更に2023年末には第二期が完成する。2024/3月期にはこれが一部貢献する。それ以降には全てがフルに貢献する

   Shintech 能力(万トン)     (赤字は発表文からの推定 )

立地 PVC VCM

NaOH

エチレン
Texas州 Freeport  145   −   −  
Louisiana州 Addis   58   −   −  
Plaquemine   60   160  106  
  2013/6 増設 32 30 20  
手直し   7 3  
2020年初め 完成       50
T 2021年下期 完成 14.9億ドル 29 40 27  
U 2023年末 完成 12.5億ドル 38 58 39  
今回増設後合計 362  295   195 50

Shintechの分析については下記に記載。

2022/5/2 主要企業の2022年3月期決算  信越化学、営業利益 6,763億円
 

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信越化学代表取締役会長の金川 千尋氏は、2023年1月1日に肺炎のため逝去した。満96歳で現役の会長として亡くなった。

金川会長は、1947年に旧制第六高等学校を卒業、1950年に東京大学法学部を卒業し極東物産(現・三井物産)に入社。

1962年に信越化学に入社し、海外事業本部(現・国際事業本部)にて欧州、中米、南米での海外事業を次々と開拓したのち、1973年にはシンテック社(本社:米国テキサス州)を自らの企画立案により米国企業との合弁で設立。

その3年後に合弁相手の持ち分を買取ることで同社を信越化学の100%子会社とし、1978年に取締役社長に就任した。

「塩ビは社会と環境に貢献する優れた樹脂で、需要は伸び続ける」という信念のもと、塩ビの生産工場の大型の新増設を自己資金により繰り返し実施し、フル生産フル販売を継続することで、同社を世界一の塩ビメーカーに育て上げた。

(同社発表文より)

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各社の決算は発表の都度、下記にまとめています。

http://www.knak.jp/kessan/

 


2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防

米議会は2021年12月に米政府の債務上限を2兆5千億ドル引き上げ、31.4 兆ドルにする法案を可決した。

2021/12/16   米国、債務上限問題 ようやく解決

しかし、2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。数カ月以内に財政危機を招く恐れがある。

2023/1/17   米国、再び債務上限問題 

米議会は上院は民主党が握り、下院は野党の共和党が握るという捻じれ体制である。  (
 
が多数党)

上院  議長は副大統領(民主党)、無所属は元民主党員

  共和党 民主党 民主系
無所属
無所属 合計
選挙前 50 48 2   100
選挙後 49 48 2 1 100

50

下院  議長は共和党

  共和党 民主党 欠員 合計
選挙前 212 220 3 435
選挙後 222 213 0 435

バージニア州の民主党 Donald McEachin が当選後の11月28日に死去し、欠員1 となったが、補欠選挙で民主党が勝利した。

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下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。

  共和党 民主党 合計
賛成 217   217
反対 4 211 215
棄権 1 2 3
合計 222 213 435

与野党間で債務上限引き上げ問題が懸案となる中で、下院共和党トップのKevin  McCarthy議長ら共和党議員5人が4月19日に独自の法案を発表した。

債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ るかわりに、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減するもの。

社会保障や軍事関係支出などを除く裁量的支出を2022会計年度の水準に戻すとともに、その伸び率を今後10年間、毎年1%に縮小する。

これによって、インフレ削減法で盛り込まれたクリーンエネルギー生産設備などに対する税額控除支援策などは廃止されることとなる。学生ローン支払い免除・停止措置を中止する。

2022/8/24 米「インフレ抑制法案」成立

支出削減措置の見返りとして、債務上限を現行の31兆4,000億ドルから最大1兆5,000億ドル引き上げるか、2024年3月末まで債務上限を凍結するという2つの基準を設定し、いずれかの基準に到達するまでは債務の発行を認める。

法案発表後も共和党内の調整が難航し、党内一部の歳出削減強硬派の意見が取り入れられ、より厳しい歳出削減策が盛り込まれた。

例えば、低所得の子ども世帯を対象とする支援の厳格化が前倒しとなっているほか、食糧支援プログラム(SNAP)で発生する未使用金を各州が貯蓄することを禁止する内容なども盛り込まれた。

党内調整は26日未明まで続けられたにもかかわらず、投票では共和党から4人が反対に回り、1人が棄権した。

 

法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。

大統領報道官は、「この法案が成立する可能性がないことを大統領は明確にしている」と指摘、「何百万人もの米国民から医療サービスを奪い、製造業雇用の国外流出につながる」とコメントした。

今夏にもデフォルト回避のための政府資金が底を突くと予想される。アナリストは、税収の伸び悩みで6月初めに早まる可能性もあるとしている。


2023/5/3     全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目

資産規模で全米14位のFirst Republic Bank が5月1日付で経営破綻となり、米連邦預金保険公社(FDIC)の公的管理下に置かれた。FDICはFirst Republic Bankの破綻と、JPMorgan Chaseによる買収を同時に発表した。

経営不安が広がったSilicon Valley Bankでは預金保護の対象とならない非付保預金が大量に流出し、経営破綻に追い込まれた。同行は長期財務証券に巨額の資金を投資していた。

米国では金融機関が加盟する連邦預金保険公社(FDIC)が1口座あたり25万ドルを上限に保護する仕組みがあるが、Silicon Valley Bankはスタートアップ業界を顧客としており、2022年末の預金残高約1750億ドルのうち89%に当たる約1560億ドル(約21兆円)は預金保護の対象外だった。

First Republic BankはSilicon Valley Bankと同様、非付保預金が全体に占める割合が高かった

Silicon Valley Bank破綻後に米金融当局は預金の全額保護を打ち出したが、顧客から預金保険制度の限界を見抜かれて預金の流出を止めきれなかった。 顧客は数日のうちに約1,000億ドルの預金を引き出した。

3月16日には11の大手金融機関から経営への異例の支援策として合わせて300億ドル預金を受け取った。

JPMorgan Chase、Bank of America、Citibank、Wells Fargoが各50億ドル、GoldmanとMorgan Stanleyが各25億ドル、その他5行が各10億ドルを預金した。

しかし、4月24日に発表した1Q決算で、3月末時点の預金残高が減少したことが明らかになると、再び、経営への懸念が高まった。

First Republic Bank の預金は2022/12/31時点では2,126億ドルであったが、4/13には1,039億ドルとなっており、破綻時には920億ドルになっている。

米国の銀行の資産残高  2022/12/31時点 億ドル

    資産残高  
1 JPMorgan Chase 32,019 First Republic Bankの資産、負債を買収
2 Bank of America 24,185  
3 Citibank 17,668  
4 Wells Fargo 17,175  
       
14 First Republic Bank 2,126 2023/5/1 破綻  JPMorgan Chaseが資産、負債買収 
16 Silicon Valley Bank 2,090 2023/3/10 破綻 First Citizens BancSharesが買収
  Signature Bank 1,104 2023/3/12 破綻 New York Community Bancorpが買収

 

JPMorgan ChaseはFDICが実施した緊急入札で落札、First Republicの下記の資産と負債を引き受け、対価として106億ドルをFDICに支払う。

資産  融資債権(約1730億ドルを約13%の割引で)、保有証券(約300億ドル)
負債  預金(約920億ドル)、米連邦住宅貸付銀行(FHLB)制度による借入れ(約280億ドル)

さらに、JPMorgan とFDICは、First Republicの一戸建て住宅向けローンと商業用ローンの損失と回収額を分け合う。

1994年に成立させた法律では、銀行が買収などにより米国内で10%以上、州内で30%以上の預金シェアを持つことを禁じている。すでに全米シェアが10%超のJPモルガンは通常であれば銀行の買収はできないが、「破綻した銀行の買収は例外」となる。

JPMorganはこの買収によって約26億ドルの一時利益と2023年〜24年で約20億ドルのリストラ費用を見込む。

FDICとJPMorganは今回の買収で、FRCから引き継ぐ住宅ローンや商業用ローンで損失が発生した場合、今後5〜7年はFDICが損失の8割を負担する契約を結んだ。
FDICはJPMorganに5年固定金利で500億ドルの融資も提供する。
 


2023/5/4     米FRB、3会合連続の0.25%利上げ

米連邦準備理事会(FRB)は5月2〜3日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ 5.00〜5.25%とした。

11  
2018/12 2.25%〜2.50% +0.25%
2019/7

2.00%〜2.25%

-0.25%
2019/9

   1.75%〜2.00%

-0.25%
2019/10

1.50%〜1.75%

-0.25%
2020/3

1.00%〜1.25%

-0.50%
2020/3

0.00%〜0.25%

-1.00%
2022/3 0.25%〜0.50% +0.25%
2022/5 0.75%〜1.00% +0.50%
2022/6 1.50%〜1.75% +0.75%
2022/7 2.25%〜2.50% +0.75%
2022/9 3.00%〜3.25% +0.75%
2022/11 3.75%〜4.00% +0.75%
2022/12 4.25%〜4.50% +0.50%
2023/2 4.50%〜4.75% +0.25%
2023/3 4.75%〜5.00% +0.25%
2023/5 5.00%〜5.25% +0.25%
 

0.25%の上げ幅は2月から3会合連続。一方、声明文では、前回3月会合で明記していた「幾分かの追加利上げが適切と予想する」との文言を削った。

急ピッチの利上げで記録的なインフレが鈍化する一方、米銀の破綻が相次ぎ景気悪化懸念が強まっているため、早ければ次回6月会合で利上げを停止する可能性を示唆した。

相次いだ銀行破綻について「米国の銀行システムは健全だ」としたうえで「信用収縮が経済活動や雇用、インフレに影響を与えるだろうがその程度は不確実だ」と指摘した。

2023/5/3     全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目

パウエル議長は「我々はもはや追加利上げが適切と予想しているとは言わない。会合ごとに入手する経済データによって判断する」と述べた。一方「金融引き締めが必要となれば、より多くのことをする用意がある」と述べ、利上げ継続の可能性にも含みを残した。年内の利下げの可能性は否定した。

「インフレ率は物価目標である2%を大きく上回り、ことし3月のPCE・個人消費支出の物価指数が4.2%(コアは+4.6%)上昇した。去年の中頃からいくらか落ち着きつつあるが引き続きインフレ圧力は高く、2%の物価目標までは道のりは遠い」と述べた。

Flexible CPIは急降下しているが、「粘着インフレ」(Sticky CPI)は高止まりしており、利上げでも下がる気配はない。

2023/1/5 米国のインフレの見通し

雇用については大きな変動はない。


2023/5/5 フロリダ州で反ESG法成立、民主党と共和党の対立が激化

Ron DeSantis フロリダ州知事は5月2日、ESG(環境・社会・企業統治)投資の活動を制限する「反ESG法」に署名した。同法は7月1日に発効する。

知事は2月13日に法案を提案した際に、「ESGは、我が国の存立基盤である経済と個人の自由にとって脅威であり、フロリダでは即座に亡きものする」と述べた。

フロリダ州の政府や関連の年金基金が実施する投資に対し、金銭的なリターンを最優先するように求め、気候変動対策や多様性の向上といった要素を投資の評価に組み込むことを事実上禁止した。ESGの価値観を掲げる銀行を公的資金の預金先から外す方針も示した。

ESG関連の地方債を発行することも禁じた。債券全体の評価を下げるようなESGスコアを出す格付け会社とは契約そのものも禁じるとした。

法律の概要は下記の通り。

・大手銀行、信託銀行、その他の金融機関が、国境警備、銃器の所持、エネルギー独立の促進を含む、宗教的、政治的、社会的な信条によって、顧客を差別することを禁止する。

・金融機関が、銀行業務や融資業務において、フロリダ州民がローンや信用枠、銀行口座を取得できないようにすることを目的とした、いわゆる「社会的信用スコア(Social Credit Scores)」を考慮することを禁止する。

・企業アクティビズムに従事する銀行が、適格公的預託機関(Qualified Public Depository)として政府資金を保有することを禁止する。

・州および地方レベルのすべての投資決定においてESGを使用することを禁止し、ファンドマネージャーが最高収益率を最大化する財務要因のみを考慮することを保証する。

・全ての州および地方自治体、およびそれが直接支援する団体が、調達および契約プロセスの一環としてESGに関する情報を考慮、優先、または要求することを禁止する。

・国や地方公共団体が債券を発行する際にESG要素を使用することを禁止する。これには、ESG格付けが、発行体の債券格付けに悪影響を及ぼすような格付け機関に対する契約を禁止することが含まれる。

・司法長官および金融規制庁長官に対し、これらの規定を法の及ぶ限り執行するよう指示する。

米の保守州では、ESG投資はリベラル・左派の影響を強く受けすぎているとみなす傾向がある。既にインディアナ州とカンザス州が州の退職金口座が ESG 関連ファンドに投資することを禁止している。

カンザス州は4月24日、公的資金の運用や政府契約の締結を決定する際に、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を考慮することを制限・禁止する法を成立させた。

同法は、州の公務員退職金制度において、加入者と受益者の経済的利益のみを考慮して資金運用すべきだとし、州がESGの基準を取り入れることや個人や企業に当該基準に従うよう働きかけることを制限している。

「反ESG」の旗頭であるDeSantis 知事の動きを受けて、ほかの保守州でも同様の動きが広がる可能性がある。

知事は3月16日に、「Ron DeSantis 知事、18州の同盟を率いてBiden大統領のESG金融詐欺と闘う」という声明を発表した。下記の各州知事と提携し、米国経済とグローバルな金融システムを不安定にするバイデン大統領のESG政策を押し戻すとしている。

Alabama, Alaska, Arkansas, Georgia, Idaho, Iowa, Mississippi, Missouri, Montana, Nebraska, New Hampshire, North Dakota, Oklahoma, South Dakota, Tennessee, Utah, West Virginia,  Wyoming の18州

 

共和党は、気候変動対策の一環で政権が進めるESG投資促進への反発を強めている。

今回、バイデン大統領はESG投資関連で就任後初の拒否権を発動した。

バイデン政権は昨年11月、退職年金基金の運用担当者が、投資先選定や議決権行使に際し、ESG投資の観点を反映させることを認める規則を決定し、今年1月末に発効した。

米議会下院は2月28日に、上院は3月1日に、この規則の無効を求める決議を、賛成多数で採択した。上院では民主党系が多数を占めるが、民主党から有力議員を含む2人が賛成に回り、50対46で可決した。
なお、上院での可決には通常60票以上の賛成が必要となるが、単純過半数で可決できるという議会審査法の仕組みが利用された。

バイデン大統領は3月20日、この決議について、大統領就任後初めてとなる拒否権を発動した。

バイデン大統領が今回拒否権を発動したことで、政権・民主党と共和党との対立構造が一層深まった。

Ron DeSantis 知事は18州と提携して、州レベルで対抗しようとしている。3月16日の声明では、下記の通り述べている。

今月初め、連邦議会はアメリカ人の退職金に政治を介入させないための法案を可決する行動に出たが、バイデン大統領は自身の進歩的なアジェンダを推進するため、この法案に拒否権を発動すると約束している。フロリダ州と18の州は、アメリカ経済の活力とアメリカ人の経済的自由を脅かすESGの動きから個人を守るために、州レベルの取り組みを主導することを約束する。例えば、「受託者の義務よりも政治を優先する」というESGモデルに従う会社からすべての州年金基金と州が管理する投資を取り除いていくことだ。


2023/5/8 Armが米国市場上場へ 

ソフトバンクグループ傘下の英半導体開発大手Arm Limitedが4月29日、米国証券取引委員会に普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)の新規公開計画に必要な届け出書類のドラフト版を提出した。

ソフトバンクグループは、新規株式公開の完了後もArmが引き続き連結子会社であることを想定していると発表した。

新規株式公開の規模及び価格帯はまだ決定されていないが、報道によると、80億〜100億ドルの資金調達を目指しているとされる。

英政府はロンドン証券取引所で上場するよう求めており、1月の時点ではロンドン証券取引所への上場についてスーナク英首相がソフトバンクと協議を再開したと報じられていた。

しかしArm は今回、米株式市場への単独上場が「最善の道だと判断した」としている。Armは英国内の本社は維持するとした上で「今後も英国政府とは協力していく」との見解を示した。

投資銀行業界はArmの企業価値は300億〜700億ドルとみていると報道されている。

ーーー

Armは、英国ケンブリッジに本社機能を置いた半導体メーカー。1990年に設立し、一時は英国で上場していた。

同社が設計開発した「ARM Architecture」をベースとしたCPUは、ほとんどの携帯電話メーカーに採用されている。「Nintendo Switch」や、無線LANを中心としたネットワーク機器にも採用、2023年1月にAppleの「Macbook」への搭載もスタートした。

Armは自社でCPUの製造を行わず、あくまで設計開発とライセンス提供のみを行っている。製造については最大手ファンドリー「台湾TSMC」とのパートナー関係を構築している。

 

ソフトバンクグループは20169月に日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(310億米ドル)Armを買収した
(このうち24.99%をソフトバンク・ビジョン・ファンドに移管した。)

ソフトバンクグループは2020年9月13日、傘下の Arm Limited の全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporation対して最大400億米ドルと評価した取引売却することについて最終的な契約の締結に至ったと発表した。取引は、英国、中国、EU及び米国を含む必要な規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件とし、完了までに18カ月かかる見込んだ。

Armの事業のうちIoTに関連するサービス事業のInternet-of-Things Services Group本取引の対象外で本取引の完了までにArmから分離され

2020/9/15 ソフトバンク、Arm LimitedをNVIDIA に売却

これを受け、Google、Microsoft、Qualcomm などが規制当局に苦情を申し立てた。

EUの欧州委員会は2020年10月27日、本買収について競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。ArmがNVIDIAの傘下に入ることで価格の上昇などを招く可能性があると懸念している。

米FTCは2020年12月2日、反トラスト法に基づき、買収差し止めを求める訴訟を起こした。NVIDIAの競合企業もArmの技術に依存しており、買収を認めれば、技術支配力を利用して競合他社を弱体化させるとした。
裁判は2022年8月9日に開廷の予定であった。

英政府も安全保障の見地から調査するよう英競争・市場庁(CMA)に指示するなど規制当局からの認可取得は難航していた。 

ソフトバンクグループ(SBG)とNVIDIA Corporationは2022年2月8日、NVIDIAがSBGからArm Limitedの株式を取得する契約を解消したと発表した。
取引完了のために誠意を持って取り組んできたが、これを阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至ったとしている。孫社長は、IT業界や「各国政府の強い動きで断念した」と説明した。背景には「シリコンバレーのほとんどが直接的、間接的にArmの製品を使っているからだ」との認識を示した。

当初の契約の条項に基づき、SBGはNVIDIAが前払いした12.5億米ドルを保持し、利益計上する。NVIDIAは20年間のArmライセンスを保持する。

2022/2/9 ソフトバンク、Arm Limited のNVIDIA への売却を断念、Armの株式上場に変更

SBGは同社の株式上場の準備に入った。「ナスダックを中心に米国での上場を考えている」としていた。

 


2023/5/9  米国の債務上限問題と米憲法修正第14条

2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。数カ月以内に財政危機を招く恐れがある。

下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。

法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。

米財務省は早ければ6月1日にも支払い不能になる恐れがあると警告しており、議会が債務上限を引き上げるための時間は限られつつある。

2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防

付記

バイデン大統領は5月9日、債務の上限引き上げを巡り、下院共和党のマッカーシー下院議長とホワイトハウスで会談したが、上限引き上げの合意には至らなかった。5月12日に再協議する。


一部の法律専門家は、議会が行動しなかった場合、大統領は連邦政府が支払いを継続できるよう憲法修正第14条を発動して危機を回避する選択肢があると指摘する。

バイデン米大統領は5月5日、米国債のデフォルトを回避するために合衆国憲法修正第14条を発動する可能性について、「まだそこには至っていない」と述べた。

この選択肢を排除していないことを初めて示唆したが、関係者によると、ホワイトハウスや他の政権当局者はこの選択肢を検討したものの、法廷闘争を乗り切る可能性の低い最後の策として却下する意見が大勢だったという。

イエレン財務長官は5月7日、議会が債務上限を引き上げることなく「大統領が債券を発行し続けることが可能かどうかを、われわれが検討する必要が生じる段階に進むべきではない」と発言、「こうしたことは憲法上の危機を招くだろう」と語った。

 

2011年には財務省の特別チームが、第4節前段の適用により債務上限に関係なく財務省証券を発行し続けることが可能かを協議していることが報道された。しかし当時のオバマ大統領は7月6日に「憲法に論点を移すことなど考えるべきでない」とこの議論を批判し、ホワイトハウスは7月27日に「憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」との公式見解を示した。カーニー大統領報道官は「容易な解決策などない。トリックはなく、憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」と言明し、修正第14条が問題の解決策にはならないとの考えを示した。

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憲法修正第14条は、南北戦争後に成立した3つのアメリカ合衆国憲法修正条項の1つであり、元奴隷の権利を確保することが意図されたものである。これには適正手続条項や平等保護の条項が含まれている。1866年6月13日に提案され、1868年7月9日に批准された。

修正第14条 

第1項 
合衆国内で生まれまたは合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国市民の特権または免除を制約する法律を制定し、または実施してはならない。いかなる州も、法の適正な過程によらずに、何人からもその生 命、自由または財産を奪ってはならない。いかなる州も、その管轄内にある者に対し法の平等な保護を否 定してはならない。 

第2項 
下院議員は、各々の州の人口に比例して各州の間に配分される。各々の州の人口は、納税義務のないインディアンを除き、すべての者を算入する。

但し、合衆国大統領および副大統領の選挙人の選出に際して、または、連邦下院議員、各州の執行部および司法部の官吏もしくは州の立法部の議員の選挙に 際して、年齢21 歳に達し、かつ、合衆国市民である州の男子住民が、反乱またはその他の犯罪に参加した こと以外の理由で、投票の権利を奪われ、またはかかる権利をなんらかの形で制約されている場合には、 その州の下院議員の基礎数は、かかる男子市民の数がその州の年齢21 歳以上の男子市民の総数に占める割合に比例して、減じられるものとする。

第3項 
連邦議会の議員、合衆国の公務員、州議会の議員、または州の執行部もしくは司法部の官職に ある者として、合衆国憲法を支持する旨の宣誓をしながら、その後合衆国に対する暴動または反乱に加わ り、または合衆国の敵に援助もしくは便宜を与えた者は、連邦議会の上院および下院の議員、大統領およ び副大統領の選挙人、文官、武官を問わず合衆国または各州の官職に就くことはできない。但し、連邦議 会は、各々の院の3 分の2 の投票によって、かかる資格障害を除去することができる。

第4項 
法律により授権された合衆国の公の債務の効力
は、暴動または反乱の鎮圧のための軍務に対する恩給および賜金の支払いのために負担された債務を含めて、これを争うことはできない。
(The validity of the public debt of the United States, authorized by law, including debts incurred for payment of pensions and bounties for services in suppressing insurrection or rebellion, shall not be questioned. )
   
但し、合衆国 およびいかなる州も、合衆国に対する暴動もしくは反乱を援助するために負担された債務もしくは義務につき、または奴隷の喪失もしくは解放を理由とする請求につき、これを引き受けまたは支払いを行ってはならない。かかる債務、義務または請求は、すべて違法かつ無効とされなければならない。

第5項 連邦議会は、適切な立法により、この修正条項の規定を実施する権限を有する。

 

問題は第4項で、公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めている。

第4条の主文の意味を「ChatGPT」に聞いたところ、下記の返答があった。

この文は、アメリカ合衆国憲法第14条の4項目であり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めています。この債務には、反乱や蜂起を鎮圧するためのサービスに対する年金や賞金の支払いなどが含まれます。この条項は、アメリカの財政的安定性と信用力を維持するために重要であり、政府が債務不履行に陥ることを防止するために制定されました。つまり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性は、法律によって認められており、その妥当性に疑問を投げかけることはできないということです。

政権が債券発行を継続できるかを巡って憲法学者やエコノミストの間で解釈が分かれている。裁判所がこの条項を扱った例はほとんどない。


2023/5/10 Ely Lillyが開発中のアルツハイマー病治療薬、進行を35%抑制  

米医薬品大手 Ely Lillyは5月3日、同社が開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ (Donanemab) 」の後期臨床試験で、ドナネマブを投与した患者は薬効のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて認知機能の低下が35%抑えられたとの結果を発表した。

ドナネマブは臨床試験での全ての目標を達成した。

付記

Ely Lillyのアルツハイマー病薬「ドナネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)は外部の専門家による諮問委員会を2024年6月10日に開き、承認推奨を全会一致で決めた。

FDAはこれを踏まえて、承認を最終判断する。

アルツハイマー病の初期段階と診断された1182人を対象にした臨床試験で、投与を受けた人の認知機能の低下は、プラセボを投与された人と比べて35―36%遅らせることができた。効果がみられた対象患者は脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していた。

他にタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆された。

これらの両方の患者を合わせたドナネマブの試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにIly Lillyが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なことを示した。

対象者の約24%で脳の腫れ、これと重複する31.4%で脳の出血がみられ、同様の薬にみられる副作用があった。

アルツハイマー病協会の最高科学責任者は「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価している。


Ely Lillyは 2021年6月末に、アルツハイマー病薬「Donanemab」が画期的治療薬の指定を受けたと発表した。

画期的医薬品指定制度は2012年のFDA安全・イノベーション法により規定された。同制度は、既存治療法を上回る劇的な改善を示す製品の開発の迅速化を目指すもので、具体的には、FDAは開発が順調に進むように上級幹部を早くから関与させ、指定製品の臨床試験を簡略化することを認める。

同社は2023年1月19日、「Donanemab」についてFDAが迅速承認(Fast track)を認めなかったと発表した。

迅速承認は、重篤もしくは生命を脅かすような疾患を対象として、臨床上の有用性が予測できるような代替的な評価項目に基づいて医薬品を承認する仕組みで、いわば仮免許であり、その後の検証的試験で臨床的有用性を示すことなどが必要となる。

しかし、審査ではFDAへの臨床試験データ提出で、同薬で少なくとも12か月治療した患者のデータ数が不十分とされた。 

2023/1/25   米イーライリリーのアルツハイマー薬、FDAが迅速承認を認めず


今回の治験で十分な人数分のデータが集まったとされる。

同社は米国では6月までに、日本でも年内に承認申請する。

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アルツハイマー型認知症の原因は未だ解明されていないが、進行に伴っていくつかの特有の病変が見られる。例えば、神経細胞の外側では「アミロイドβ」が蓄積して老人班を形成し、神経細胞の中では「タウタンパク」が蓄積してタンパク質が糸くず状に変化したようなもの(神経原繊維変化)が見られるようになる。

「Aβ(アミロイドβ)仮説」: 脳の神経細胞外にAβが蓄積タウ蛋白のリン酸化神経原線維変化細胞毒性が生じ、神経細胞が死滅認知症を発症

 抗Aβ抗体:Aβを除去

 抗タウ抗体:タウを除去したり、タウの凝集を阻害

 T-817MA:神経細胞保護効果や神経突起伸展促進効果のあるT-817MA投与で、リン酸化タウの減少を確認。

 

Ely Lilly 「ドナネマブ」  

Aβペプチドは脳内に沈着し、過剰になると互いに結合してタンパク質プラークを形成するが、ドナネマブはこのタンパク質プラークを標的とし、脳内で負担となる余分なタンパク質を除去する。
単に新しいプラークの沈着または既存のプラークの成長を防ぐのではなく、沈着したプラーク自体を標的にすることが、脳から既存のアミロイド負荷を取り除くために必要)

以前のプラーク結合抗体のいくつかは、脳に微小出血を引き起こしたために放棄されたが、これは微小出血を引き起こすことなくマウスのプラークを除去することが報告されている。

詳細は 2021/8/17   アルツハイマー病治療薬を巡る話題

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エーザイとBiogenは2013年1月7日、米国FDAアルツハイマー病の新薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体LECANEMAB開発コード:BAN2401、米国ブランド名:LEQEMBI™ 注射 100 mg/mL 溶液)について、アルツハイマー病の治療薬として、迅速承認したと発表した。

LECANEMAB(BAN2401)は、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的としたヒト化モノクローナル抗体で、ベータ・アミロイド(Aβ)を分解除去する。

エーザイは1月11日、「レカネマブ」について、欧州医薬品庁(EMA)に販売承認を申請したと発表した。1月16日に、厚生労働省所管の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認を申請したと発表した。

2023/1/9 エーザイのアルツハイマー治療薬、FDAから迅速承認を取得 

 


2023/5/11  主要企業の2023年3月期決算 塩野義製薬

当期は受取配当が急増し、受取ライセンス料とともに収益に貢献した。COVID-19 飲み薬ゾコーバが売上高と営業損益に大きく貢献した。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 コア営業 税引前 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2021/3 2,972 1,174 940 1,430 1,119 53 55
2022/3 3,351 1,103 1,106 1,263 1,142 55 60
2023/3 4,267 1,490 1,585 2,203 1,850 60 75
前年比 915 387 479 941 708 5 15
2024/3 4,500 1,500   1,925 1,550 75 75


売上高

 ・ 2023年3月期には、COVID-19関連売上高として1,047億円を含む。(前年度はゼロ)

新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」で、これが前年比増収の大半となる。営業損益への貢献も 極めて大きいと思われる。

2022/7/25  塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り → 承認

同社はワクチンも承認申請している。

2022/11/26    塩野義製薬、COVID-19ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請 

 ・ 塩野義の売上高には下記のロイヤリティを含み、これが営業損益に大きく貢献している。

  '17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 22/3 23/3 24/3予
ViiV HIV治療薬 733億円 1,035億円 1,244億円 1,281億円 1,234億円 * 1,740億円 1,685億円 1,850億円
AstraZeneca クレストール 330億円 226億円 220億円 223億円 166億円 12億円 13億円
その他 94億円 289億円 339億円 165億円 47億円 61億円 49億円 45億円
合計 1,157億円 1,550億円 1,830億円 1,669億円 1,446億円 1,813億円 1,747億円 1,895億円

 ・塩野義が参加するViiVと米国ギリアド・サイエンシズ の特許侵害訴訟が2021年度中に和解、22/3月期に一時金とロイヤリティ を受領した。(このため、当期は若干の減となった。)

  塩野義は同社のHIV薬(インテグレース阻害薬dolutegravir)でViiVに参加している。

    

ViiV、GSKおよび塩野義は、Gilead SicencesのBiktarvy(bictegravirを含む3剤配合の抗HIV薬)が、塩野義が創製しViiVに権利を移転したdolutegravirならびにその関連化合物を包含する特定の特許を侵害しているとして、2018年2月以降、訴訟を提起した。このたびの和解により、米国、英国、日本をはじめとする全9ヵ国での特許侵害訴訟は中止される。また、ViiV、GSK、塩野義製薬の3社は、Gileadとの間において、ViiVが保有するdolutegravirの関連特許に係るライセンス契約を締結した。 

このたびの和解ならびにライセンス契約の締結により、GileadはViiVに対して12.5億米ドルの一時金を2022年1〜3月期に支払う。加えてGileadは、今後の米国におけるBiktarvyの売上高(参考:2020年 60.9億米ドル)およびbictegravirを成分に含む将来の製品売上高のbictegravirに係る金額に対して、3%のロイヤリティーをViiVに支払う。

塩野義は一時金より230〜250百万米ドルを受領する。

・塩野義が受け取ったロイヤリティは、上図の22/3月期のViiV HIV治療薬に含まれる。

・ViiVが受け取った一時金・ロイヤリティは配当の形で塩野義にも配分される。IFRS方式 を採用する塩野義の決算では、受取配当は金融収益として税引前損益に含まれる。

 

税引前損益に含まれる受取配当金

  '17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 '22/3 '23/3
配当金 180億円 265億円 299億円 276億円 234億円 130億円 612億円

     22/3月期の配当は4QにおけるViiV社からの配当金受領の 翌期へのずれで減少
     23/3月期 
記訴訟に伴う一時金をViiVが受領したことによる配当金の増四半期に受領予定であったViiVからの配当金が四半期に期ずれしたことによ612億円の多額となった。


2023/5/12    中国の消費者物価指数

中国国家統計局が5月11日発表した2023年4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 +0.1% であった。 豚肉(価格変動が極端)など食品価格の伸びが和らいだほか、原油安を反映してガソリンなど交通燃料の値下がり幅が拡大した。

中国はエネルギーや食糧の自給率が比較的高いうえ、政府が近年これらの備蓄を強化しており、値上げ圧力を吸収しやすい面があるが、「自動車や家電など工業品の消費が弱く、輸出の伸びにも限界があり、在庫が増えた結果、価格競争が起きている」(丸紅中国)。「デフレの兆候が強くなってきた」との指摘も出てきた。

英国は3月にまだ10%を超えており、長期間デフレで悩んできた日本でも3%を超えている。欧米や日本と比較すると異常な低さである。

  10月 11月 12月 23/1月 2月 3月 4月
ユーロ圏 +10.6% +10.1% +9.2% +8.6% +8.5% +6.9% +7.0%
英国 +11.1% +10.7% +10.5% +10.1% +10.4% +10.1%  
中国 +2.1% +1.6% +1.8% +2.1% +1.0% +0.7% +0.1%
米国 +7.7% +7.1% +6.5% +6.4% +6.0% +5.0% +4.9%
同PCE +6.1% +5.7% +5.3% +5.4% +5.1% +4.2%  
同UIG
price-only
+5.35% +4.96% +4.53% +4.19% +3.90% +3.60% 3.37%
日本 +3.7% +3.8% +4.0% +4.3% +3.3% +3.2%  

2021年1月以降で3%を超えた月はなく、コアCPI(食品とエネルギーを除いた核心CPI)でみると、2020年以降でも最高は2020/1の1.5%である。2023/3は0.7%である。

  CPI 食品 うち豚肉 非食品 Core CPI PPI
21/1 -0.3 1.6 -3.9 -0.8 -0.3 0.3
2 -0.2 -0.2 -14.9 -0.2 -0.3 1.7
3 0.4 -0.7 -18.4 0.7 0.3 4.4
4 0.9 -0.7 -21.4 1.3 0.7 6.8
5 1.3 0.3 -23.8 1.6 0.9 9.0
6 1.1 -1.7 -36.5 1.7 0.9 8.8
7 1.0 -3.7 -43.5 2.1 1.3 9.0
8 0.8 -4.1 -44.9 1.9 1.2 9.5
9 0.7 -5.2 -46.9 2.0 1.2 10.7
10 1.5 -2.4 -44.0 2.4 1.3 13.5
11 2.3 1.6 -32.7 2.5 1.2 12.9
12 1.5 -1.2 -36.7 2.1 1.2 10.3
22/1 0.9 -3.8 -41.6 2.0 1.2 9.1
2 0.9 -3.9 -42.5 2.1 1.1 8.8
3 1.5 -1.5 -41.4 2.2 1.1 8.3
4 2.1 1.9 -33.3 2.2 0.9 8.0
5 2.1 2.3 -21.1 2.1 0.9 6.4
6 2.5 2.9 -6.0 2.5 1.0 6.1
7 2.7 6.3 20.2 1.9 0.8 4.2
8 2.5 6.1 22.4 1.7 0.8 2.3
9 2.8 8.8 36.0 1.5 0.6 0.9
10 2.1 7.0 51.8 1.1 0.6 -1.3
11 1.6 3.7 34.4 1.1 0.6 -1.3
12 1.8 4.8 22.2 1.1 0.7 -0.7
23/1 2.1 6.2 11.8 1.2 1.0 -0.8
2 1.0 2.6 3.9 0.6 0.6 -1.4
3 0.7 2.4 9.6 0.3 0.7 -2.5
4 0.1 0.4 4.0 0.1 0.7 -3.6

 

 

生産者物価指数(PPI) は変動幅が大きいが、消費者物価指数はほとんど影響を受けていない。

2022年通年のCPI伸び率は、政府目標は 3%前後であったが、実績は2.0%だった。

「新型コロナウイルス禍前のトレンドに比べて需要に大きなギャップが残っており、緩和するまで3−5年を要する可能性がある」との見方がある。

新型コロナウイルスの厳格な感染防止措置の解除後も、景気回復はまだら模様であることが鮮明になり、当局による追加刺激策の必要性を裏付ける内容となった。


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