日本とアジアの石油化学の現状その他を、各社のホームページや新聞雑誌情報を基にまとめ
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石油化学工業第一期計画     

(日化協 「日本の化学工業50年のあゆみ」より)

旧陸海軍燃料廠跡地の払い下げ問題
 
四日市の旧海軍第二燃料廠は三菱グループとシェルグループ,
 徳山の旧海軍第三燃料廠は出光興産,
 岩国の旧陸軍燃料廠は三井石油化学と日本鉱業への払い下げ
が確定した。
 
 個別計画に対する技術導入の認可
  第1期計画は
最終的には14社となった。

 唯一の例外
  
日本合成ゴム 国策会社として汎用合成ゴムを三菱油化の四日市コンビナート内で企業化

 

地区 会社名 製品名 (*自社技術)  能力   生産開始

川崎地区

旭ダウ

スチレンモノマー

18,000

 1959/10

ポリスチレン

10,200

 1957/2

昭和油化

ポリエチレン

10,000

 1959/12

日本石油化学

エチレン

25,000

 1959/7

イソプロピルアルコール

4,000

 1957/7

アセトン

4,500

 1957/7

イソプロピルエーテル

500

 1958/7

ブタジェン

6,000

 1957/7

古河化学

ポリエチレン

9,000

 1960/6

三菱石油

ベンゼン

4,440

 1957/12

トルエン

9,360

キシレン

7,800

日本触媒化学

エチレンオキサイド *

1,800

 1959/6

エチレングリコール *

3,840

 1959/6

日本ゼオン

SBR

2,400

 1959/8

NBR

2,400

ハイスチレンゴム

3,600

新居浜

住友化学

エチレン

12,000

 1958/3

ポリエチレン

11,000

 1958/4

松山

丸善石油

ベンゼン

3,000

 1959/1

トルエン

9,600

キシレン

9,600

和歌山(下津)

丸善石油

第2級ブタノール

2,400

 1957/4

メチルエチルケトン

2,400

 1957/11

岩国
(旧陸軍
  燃料廠)

三井石油化学

ベンゼン

7,000

 1958/2

トルエン

11,600

キシレン

11,600

芳香族溶剤

7,200

 1959/1

テレフタル酸

14,400

 1959/7

エチレン

20,000

 1958/2

エチレンオキサイド

12,000

 1960/3

エチレングリコール

9,600

 1959/6

ポりエチレン

12,000

 1958/3

フェノール

12,000

 1958/8

アセトン

7,000

 1958/8

四日市
(旧海軍
 第二燃料廠)

三菱油化

エチレン

22,000

 1959/5

エチレンオキサイド

2,700

 1960/4

エチレングリコール

3,000

 1960/4

スチレンモノマー

22,000

 1959/5

ポリエチレン

10,000

 1959/7

モンサント化成

ポリスチレン

7,200

 1957/1

三菱化成

2ーエチルヘキサノール *

6,000

 1960/3

日本合成ゴム
 (国策会社)

ブタジェン

33,500

 1960/4

SBR

45,000

 1960/4

*徳山の旧海軍第三燃料廠は出光興産に払い下げ

 


第2期計画  (日化協 「日本の化学工業50年のあゆみ」より)

 

第2期計画 後発5コンビナートの概要

エチレン企業 立地 エチレン 完成時期 誘導品                             
東燃石油化学
(東亜燃料 100%)
川崎   40,000t 1962/3 LDPE(日東ユニカー),EDC(セントラル化学)
アクリロニトリル(日東化学),オクタノール(自社),
合成ゴム(日本ゼオン),
日本オレフィン,昭和電工,三井化学、旭化成に
オレフィン供給
大協和石油化学
(協和醗酵/大協石油)
四日市   41,300t 1963/6 アセトアルデヒド,アセトン,MIBK,ブタノール,
オクタノール
丸善石油化学
千葉   44,000t 1964/3 PP(新日本窒素),アセトアルデヒド(同)、
EO(日曹油化)、SM(電気化学)
LDPE(宇部興産)
化成水島
(三菱化成)
水島   45,000t 1964/6 アセトアルデヒド,アクリロニトリル,アセトン
旭ダウ、関東電化にオレフィン供給
出光石油化学
(旧海軍第三燃料廠)
徳山   73,000 1964/9 アセトアルデヒド(徳山石油化学),
EDC(周南石油化学)、PO(同)
ブタジェン(日本ゼオン),BTX(自社)

 


第三期石油化学増強計画(住友化学社史より)

 わが国の石油化学センター第二期計画は1964年で終わった。センター数は9、エチレン生産能力は733千トン、アメリカに次ぐ世界第二位となり、石油化学工業はわが国の基幹産業の一つとなった。
 しかし欧米からの輸出攻勢と、これにIMF8条国への移行やガットにおける関税一括引下げなどの自由化の問題が加わったので、この厳しい国際環境に対応するには生産の規模を拡大し、その操業を高率に維持せねばならなかった。そのためには欧米各国におけるその後のすばらしい技術開発状況を比較検討し、そのなかの最新、最適の技術を導入することによって設備の大型化を図り、従来の設備に置き換える、いわゆるスクラップアンドビルド方式をとることが必要であった。
 また、大型化を図るこの機会に、ナフサ分解の各留分をできるかぎり活用して、付加価値の高い新製品への進出を図ることが求められた。
 通産省は1965年に始まる石油化学第三期増強計画を策定するにあたって、今後の増強は石油化学工業の体制を整備し、体質を強化して長期的な発展を図る構想に基づいて処理すべきであるとした。新増設計画は、7センターの多きに及び、新設は三井化学工業・東洋高圧工業・関西石油化学の3社による大阪石油化学計画と、昭和電工・八幡化学工業(現新日本製鉄化学工業)の2社による鶴崎計画の2センター、増設は三井石油化学工業の五井姉崎計画、日本石油化学の根岸計画、三菱油化の鹿島灘計画、東燃石油化学の有田計画と住友化学の静浦(のち千葉)計画の5センターであった。
 (*大阪石油化学、日本石油化学、三菱油化(鹿島)は30万トン計画として実施。)

 これらの計画については、通産省の提唱によって官民協調方式で処理することとし、1964年12月
石油化学協調懇談会が設けられ、その下部機構としてエチレンをはじめ高圧ポリエチレン、中低圧ポリエチレンとエチレンオキサイド・エチレングリコールなどの各分科会が設けられ、その後のエチレンセンターのあり方について協議に入った。1965年1月の第二回懇談会で、エチレンセンターの設置は、(1)エチレン能力は1系列年10万トン以上であることと、稼動後すみやかに適正操業(80%)を保持すること、(2)オレフィン留分を総合的に利用すること、(3)原料ナフサの相当部分を供給する製油所に接続したコンビナートであること、を基準とした。

 


1961/11 通産省 「アンモニア法か性ソーダの電解法への転換方針」 

   東洋曹達/徳山曹達  周南石油化学設立 (出光石化・徳山) 上記   EDC外販
   セントラル硝子     
セントラル化学設立(東燃石化・川崎) 上記   EDC外販
   三菱モンサント化成   EDCからの一貫生産(三菱油化・四日市)     EDC自消
                    
 

 

 わが国のPVCの増設に当たっては、原料の塩素、炭化水素源の転換問題とも関連して第1次から
 1972年に完成する第5次増設まで、通産省の指導と了承の下で実施された。

    * 群馬化学:1973/10 電気化学が合併

注 
第5次増設のうち、東洋曹達、旭硝子、セントラル化学のア法ソーダメーカーのPVC進出は、業界のポストカルテル対策の
設備廃棄(1972年)に際し、問題となった。

1971/3に操業開始した日産化学が72/1に正式に認められたことから、旭硝子が72/7に企業化の意向を表明、いったん保留となった。

 最終的に以下のとおりとなった。

旭硝子   1973/2   PVC生産開始 (1967/2 旭ペンケミカル VCM生産開始)
東洋曹達工業   1973/6   MITI PVC生産を了承
    1974/1   生産開始
セントラル化学   1973/6   MITI PVC生産を了承
    1974/4   生産開始  (1970/4 川崎でVCM生産開始)

  なお、徳山曹達と東洋曹達は鉄興社と提携し、これ以前にPVCに進出している。

徳山曹達   1967/9   サン・アロー化学(鉄興社/徳曹/ダイセルJV)、徳山でVCM、PVC生産開始
         
東洋曹達工業   1966/5   (南陽でVCM生産開始)
    1970/10   四日市鉄興社(鉄興社/東曹JV)、四日市で PVC生産開始
    1975/4   鉄興社を吸収合併

徳曹と東曹は周南石油化学で共同でEDCを生産していたが、VCMについては両社が異なる製法を主張し、別々に企業化することとした。


主要合成樹脂、合成ゴムの企業化状況    (千トン/年)

  会社名 工場 技術

1958

1959

1960

1961

1962

1963

1964

1965

LDPE

住友化学

大江

ICI

 11

  11

 14

 26

 50

50

 80

80

三菱油化

四日市

BASF

 −

  10

  10

  34

  50

50

 50

 80

日東ユニカー

川崎

UCC

 −

  −

  −

  −

  27

 27

39.5

 46

三井ポリケミカル

大竹

デュポン

 −

  −

  −

  −

24.5

24.5

 49

 49

旭ダウ

川崎

ダウ

  −

  −

  −

  −

 10

  25

宇部興産

千葉

ダート

  −

  −

  −

  −

 −

 −

  20

能力合計

  11

  21

  24

60

151.5

151.5

228.5

300

HDPE

三井石油化学

岩国

チーグラー

  12

  12

12

14.4

21.6

 24

48

 48

昭和油化

川崎

フィリップス

  −

  10

10

 10

  10

 22

36

 36

古河化学

川崎

スタンダードオイル

  −

  −

9.1

  9.1

9.1

8.7

18.7

20

能力合計

12

  22

31.1

33.5

40.7

64.7

102.7

 112

PS

三菱モンサント化成

四日市

モンサント

3.6

7.2

14.4

19.2

19.2

24

25

36

旭ダウ

川崎

ダウ

7.75

9.8

16.2

20

32.3

36.1

41

71

鋼管化学

川崎

コッパーズ

6

6

12

25

26

東洋ポリスチレンン

川崎

コスデン

12

12

デンカ石油化学

千葉

ペトロカーボン

12

12

能力合計

11.35

  17

30.6

45.2

57.5

72.1

115

157

PP

三井化学

大竹

モンテ

10

10

10

20

住友化学

大江

モンテ

10

10

20.5

三菱油化

四日市

モンテ

10

10

20

チッソ石油化学

五井

アビサン

13

13

13

能力合計

10

43

43

73.5

SBR

日本ゼオン

川崎

グッドリッチ

8.4

8.4

12

27.6

27.6

30

50

日本合成ゴム

四日市

グッドイヤー

45

50

66

80

111

141

能力合計

8.4

53.4

62.0

93.6

107.6

141.0

191.0

 


塩化ビニルモノマーセンター構想

 

1966/12 通産省 「塩化ビニルモノマーセンター構想」を発表

骨子

@  今後の塩化ビニルモノマー設備は石油化学方式を採用することとし,カーバイド・アセチレンを原料とする設備はできるだけ早く転換する。
A  立地は石油化学工業のエチレンセンター隣接地とし,規模は年産10万トン以上とする。
B  塩化ビニルモノマー計画は,塩化ビニル樹脂の裏づけがあるものとする。
C  塩素源の電解設備は塩素とか性ソーダのバランスがとれること


1969/3 通産省 「塩化ビニルモノマー設備増設計画の調整について」

@  塩化ビニルモノマーの増設計画の調整は地区グループ内調整を尊重すること
A  新増設設備は年産10万トン以上とすること
B  塩化ビニルモノマー専業企業と塩化ビニル樹脂企業との共同投資が望ましい
   


調整後の塩化ビニルモノマーセンター計画  単位:t/年

地区 会社名 生産能力 完成時期 供給先
鹿島 鹿島塩ビモノマー 220,000 1970年8月 信越化学、日信化学、鐘淵化学
千葉 千葉塩ビモノマー 160,000 1971年4月 住友化学、群馬化学、チッソ、電気化学
川崎 セントラル化学  60,000 1970年4月 東亜合成化学
泉北 三井泉北石油化学 120,000 1970年3月 三井東圧化学
水島 水島有機 200,000 1970年9月 日本カーバイド、三菱モンサント化成、
韓国化成
水島 山陽モノマー 120,000 1970年7月 日本ゼオン、チッソ、旭化成
南陽 東洋曹達 150,000 1968年7月 日信化学、信越化学、東亜合成化学、
徳山積水
徳山 サン・アロー化学 110,000 1970年4月 自消、輸出、その他
呉羽化学 150,000 1970年10月 自消