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2009/4/13 三菱化学、PSとPVC事業から撤退 

日本経済新聞(4月10日)は三菱化学が年内にもPSとPVC事業から撤退すると報じた。
PSについては事業統合会社のPSジャパンへの出資を引き揚げ、PVCについてはヴィテックを解散する方針としている。

内需縮小とアジア勢などの生産拡大で採算が悪化、国内で過当競争となっている事業を切り離し、太陽電池向けなどの新素材、医薬品など成長分野を中心に した構造に転換するもの。

これに関して三菱化学は発表はしていないが、時事通信も「三菱化学は、年内にも塩化ビニール樹脂と汎用プラスチックであるポリスチレンの2事業からの撤退を検討していることを明らかにした」と報じている。
需要家への影響が大きいため、もし事実でないなら、即刻否定の発表をするはず。

三菱化学は本年3月末でABS事業から撤退したほか、テレフタル酸事業の構造改革も発表している。

2008/11/28 三菱化学、ABS事業から撤退

2009/2/24  三菱化学、テレフタル酸事業の事業構造改革

ーーー

付記

三菱化学は5月7日、ヴイテックが全製造設備を2011年3月末までには停止することを決定したと発表した。

  カ性ソ−ダ VCM PVC
水島工場 180千トン 400千トン  
四日市工場     100千トン
川崎工場     120千トン

顧客やコンビナート内との調整次第では前倒しで実施する。

ただ、東亞合成の川崎工場内に位置する川崎の設備については、ヴイテックとしては停止するものの、その後については東亞合成が方向性を検討する。

付記

東亞合成とカネカは2010年5月25日、東亞合成が2011年3月にヴイテックから川崎工場のPVC設備を引取り、カネカから年間70〜100千トンの製造受託を行うと発表した。東亞合成自体は塩ビ樹脂事業から撤退する。

恐らく東亞合成としては従業員を他の事業に配置転換できないため、この形で雇用を継続するのが目的と思われる。
カネカとしては関東地区の需要家への供給のため、高砂の生産を落として、製造委託するものと思われる。

付記

四日市工場のペースト塩ビ 20千トンは2010年9月末で生産を停止(販売は2011年3月末で停止)

ーーー

PS事業:

三菱化学は四日市に188千トンのプラントを有していたが、1998年10月に旭化成との50/50JVのA&Mスチレンを設立し、両社のPS事業を統合した。

統合に当たり、両社は設備処理を行った。

  統合前 処理 統合後
旭化成  371  - 56  315
三菱化学  188  -103   85
合計  559  -159  400

旭化成、三菱化学と出光石油化学は2002年7月、A&Mスチレンと出光のPS事業を再編・統合、合弁会社を設立することで合意したと発表した。

2003年4月、PSジャパンが営業開始した。

  統合前 処理 統合後 出資比率
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%
旭化成・千葉   207     207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%
合計   400     400  
出光石化・市原   130  -85    45   27.5%
合計   530  -85   445   100.0%

2006/10/7  日本のPS業界の変遷

今回、三菱化学はPSジャパンの持株を旭化成と出光興産に売却する。

付記

3社は8月5日に新出資比率を発表した。(10月1日目標)

   旭化成ケミカルズ 45.0% →62.07%
   出光興産      27.5% →37.93%
   三菱化学      27.5% → 0

 

PS業界では4月2日に、住友化学と三井化学が共同出資会社の日本ポリスチレンのプラントを9月末を目途に停止し、その後解散すると発表したばかり。PS業界の状況については下記を参照。

2009/4/4 日本ポリスチレン 2009年9月末に操業停止、解散へ

四日市のプラントは除却すると思われる。現在、原料のスチレンモノマーは鹿島工場から輸送している。

付記 (2010/2/9)

PSジャパンは2011年3月末に四日市工場の操業を停止すると発表。

日本ポリスチレンと同様に、PSジャパンも2008年3月期決算までは黒字を続けている。
PS事業の将来性を考えてのものと思われる。

                                         単位:百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 前期繰越 利益処分 次期繰越
06/3  58,600  2,700  2,700  1,600  1,200   826  2,800
07/3  67,334  1,224  1,233   709  1,974   385  2,298
08/3  77,167  1,851  1,846   933  2,298    3,231

ーーー

PVC事業:

三菱化学は1996年に東亜合成と塩ビ事業で業務提携を行なった。

三菱化学は1996年末にS&Bにより水島で100千トンプラントを建設した。
 (その後、既存の老朽設備を停止)
   
東亜合成はセントラル硝子、東燃化学とのJVの川崎有機で年産80千トン設備を稼働させているほか、徳島工場に同20千トン設備を持っていたが、徳島の老朽化した20千トン設備を廃棄し、川崎に三菱化学の技術で100千トン設備を新設した。
 (その後、旧川崎有機のPVCプラントは停止した。)

その後の業績悪化を受け、両社は事業統合を決め、200041日、統合会社がスタートした。

会社名 ヴイテック
資本金 60億円 
 出資比率 三菱化学 60%、東亞合成 40%
事業 電解製品(水島)の製造、VCM(水島)及びPVCの製造・販売及び研究開発
  電解製品の販売は三菱化学100%のダイアケミカルに委託
能力 電解(水島) 135千トン(苛性ソーダ97%換算) 
VCM(水島) 300千トン 
  *セントラル化学はVCM(132千トン)生産を継続、ヴイテックに供給→その後停止
PVC 合計 390千トン(三菱化学水島 100、四日市 110、東亞合成川崎 100+80

2005年3月、ヴイテックは再編を行い、出資比率を三菱60%、東亜40%であったのを、三菱 85.1%、東亜 14.9%に変更した。
2003年末には累積損失が162億円にも達しており、水島工場の拡大等で事業の中心となる三菱化学が主導権を取り、東亞合成が実質的に撤退した。

2006/9/13 日本のPVC業界の変遷と現状−1 (前史)
2006/9/14 日本のPVC業界の変遷と現状−2 (事業統合時代以降)

2008年4月、ヴイテックは、5月末でPVCの輸出を停止するとともに、水島のPVCプラントを停止し、国内販売に集中した体制に移行すると発表した。国内需要減少を補うため、輸出を行なってきたが、輸出の採算改善が見られないため。
なお、川崎工場では7月の定期修理時に一部手直し増強を行なう。

工場別能力は以下の通りとなる。(単位:トン)

  2000/4/1
(設立時)
2006年末 2007年末  新体制
川崎(東亞合成内)   180,000 115,000 95,000 121,000
四日市(三菱化学内)   110,000 104,000 99,000 99,000
水島(三菱化学内)   100,000 115,000 110,000 0
 (390,000) (334,000) (304,000) (220,000)

2008/4/15 ヴイテック、PVC生産体制見直し

同社は設立以来、大幅赤字が続き、2004年度から3年間は若干の黒字となったが、2007年度に再び赤字に転落、2008年末の累積損失は資本金の60億円をはるかに上回る170億円の巨額に達している。
固定資産残高は51億円となっている。

今回、ヴィテックを解散し、水島の電解、VCM(現在の能力は391千トン)と四日市のPVCは除却すると思われる。
VCM停止は20万トン近いエチレンの使用減となるが、三菱化学と旭化成が水島のエチレン統合の交渉を行っており、三菱化学のエチレン(定修スキップ年 496千トン)を休止すると伝えられており、符合する。

川崎のPVCについては東亞合成との交渉がどうなっているのか分からないが、昨年秋に手直しをしており、場合によっては他社への売却の可能性があるかも分からない。

ーーー

PVC業界は2000年以降の「選択と集中」時代に撤退企業が相次いだ。

現在は実質5社体制となっている。

                単位:千トン/年
会社名 2007/12/末 備考
ヴィテック   304 → 220
カネカ   466  
信越化学   550  
新第一塩ビ   292  
大洋塩ビ+東ソー   586 東ソーのペースト 28
徳山積水   115 積水化学自消
合計  2,313 2,229

PVCの内需は一時200万トンを超えたこともあったが、その後毎年減少し、2008年は1,174千トンと産構法時代の水準にまで落ち込んでいる。
内需の落ち込みを輸出で補ってきたが、2008年はそれも減少した。

2008年の能力2,229千トンに対し、内需は50%に過ぎない。
内需、輸出ともに、今後大幅に増加する見込みはなく、輸出採算の悪化も予想されることから、大幅な設備削減が必要である。

 
  2007 2008
内需   1,279  1,174
輸出    839   551
合計   2,118  1,725
能力   2,313  

PVC業界の変遷は以下の通り。

 


2009/4/14 三菱レイヨンのルーサイト買収に中国が反対?

三菱レイヨンは2008年11月11日、世界最大手のMMAメーカー、Lucite International の発行済み株式の全てを取得し、連結子会社化するための株式売買契約を締結すると発表した。

2008/11/14 三菱レイヨン、Lucite を買収 

三菱レイヨンは3月6日、買収手続きの進捗について、以下の通り発表した。

当社は本件買収に関して、関係各国における独占禁止法当局認可以外の全ての準備作業を完了いたしました。また独占禁止法に関しましても、ほとんどの関係各国の認可を取得いたしました。 いまなお審査を継続している一部関係国の状況につきましては、認可取得に関わる進捗が判明次第、改めてお知らせいたします。

同社は3月中の買収手続き完了の場合は、2009年3月期から連結貸借対照表に載せるとしていた。

412日付のFinancial Times は関係筋の話として、中国商務部がこの合併に反対していると伝えた。

これに対し三菱レイヨンは、この報道が同社の認識している内容と異なると発表した。一部関係国では独禁法審査が継続中であることは認めている。

中国商務部は昨年、ベルギーのビール会社 InBev Budweiser で知られる世界3位のAnheuser Busch を買収する案件では、海外での合併案件であるが、厳しい条件をつけて承認した。

2008/12/1 中国の独禁法、初の海外での合併ケース

しかし、米コカ・コーラによる中国最大の果汁メーカー 中国匯源果汁集団買収については、本年3月、市場での競争を阻害するとして不承認とした。中国は否定しているが、保護主義の傾向との批判がある。

2009/3/24  中国、コカ・コーラの果汁大手買収を承認せず

中国ではLucite 上海にACH法モノマー 10万トンのプラントを稼動させている。

三菱レイヨンは広東省恵州市大亜湾経済技術開発区に100%子会社の恵州恵菱化成有限公司で2006年12月に直酸法モノマー 7万トンで生産を開始したが、2万トンの増強を決めている。
同社はまた、MMAの誘導品であるブチルメタクリレートを「蘇州三友利化工有限公司」にて、アクリル樹脂成形材料(4万トン)を「南通麗陽化学有限公司」にて、さらにアクリル樹脂板と塗料用アクリル樹脂を「三菱麗陽高分子材料(南通)有限公司」にてそれぞれ稼働させている。

両社の統合で世界一のMMAメーカーとなるが、中国商務部は国内市場への影響を懸念していると思われる。

コカ・コーラの場合と異なり、中国企業の買収ではないため、不承認とはならないが、在中国の2工場の1つの売却などの条件がつくかも分からない。

ーーー

三菱レイヨンでは買収の目的として4点を挙げている。

@MMA市場におけるリーディング企業の実現

MMAモノマー能力シェア
  2007/末 2010/末
三菱レイヨン   12%   14%
Lucite   23   22
(合計)  (35)  (36)

A米欧アジアでのバランスの取れた三極生産体制を確立

Lucite:欧州(旧 ICI)、米国(旧 DuPont)、上海、シンガポール(アルファ法)
三菱レイヨン:日本、タイ(サイアムセメント
JV)、中国恵州、韓国(湖南石化JV)、米国(計画)

東欧、ロシア、南米など成長の期待される新興市場への展開を加速

BMMA製造技術の拡幅(新エチレン法の獲得)

C買収シナジーの発現


2009/4/15  薬害肝炎救済法に基づく給付金の負担割合

厚生労働省は4月10日付の官報に告示260号を出し、薬害肝炎救済法に基づく給付金の負担割合を発表した。

ーーー

2008年1月8日、薬害肝炎救済法(特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法)が衆院本会議で全会一致で可決、1月11日、参院院本会議で全会一致で可決、成立した。

2008/1/16 薬害肝炎救済法 成立

薬害C型肝炎救済法の骨子は以下の通り。

府は甚大な被害が生じ、被害拡大を防止できなかった責任を認める
救済対象はフィブリノゲン製剤と第9因子製剤の投与(後天性の傷病に係る投与に限る)を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染した者及びその者の胎内または産道においてC型肝炎ウイルスに感染した者
  死亡の場合はその遺族
給付額
  慢性C型肝炎が進行して、肝硬変もしくは肝がんに罹患し、または死亡した[email protected]万円
慢性C型肝炎に罹患した[email protected]万円
それ以外 1200万円
投与の事実、因果関係の有無、症状は裁判所が認定
請求期限は5年以内、10年以内に症状が進行すれば追加給付金を支給
給付金支給のため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に基金を設置
費用の負担の方法及び割合について、製造業者等と協議し、あらかじめ基準を定める

原告・弁護団と政府は20081月15日、和解基本合意書を締結した。

田辺三菱製薬は9月29日に「基本合意書」を締結、日本製薬も12月14日に基本合意書を締結した。

2008/9/22 薬害肝炎訴訟、田辺三菱製薬が和解

ーーー

給付金の国と企業との負担割合については、舛添厚生労働相は2008年1月、これまでの薬害事例などを参考に「企業が2:国がという比率になる」と説明している。

これまでの訴訟での企業と国の負担割合は次のとおり。

サリドマイド訴訟
キノホルム(スモン)訴訟
薬害ヤコブ訴訟
 2:1(企業負担 66.7%)
薬害エイズ訴訟  3:2企業負担 60%

2008/1/24 資料 薬害エイズ事件

昨年1月に国が和解合意した後、国側は200億円の基金を拠出し、企業側負担分も肩代わりしていた。
本年3月末までに1,532人が提訴、905人が和解。2月末時点で約160億円が払われた。

今回、負担割合は3:2(企業負担 60%となった。
厚生労働省試算では田辺三菱製薬と日本製薬の2社が6割(約180億円)、国が4割(約120億円)を負担することとなる。
同省では「薬害エイズ事件と同じ血液製剤による薬害である点を考慮した」としている。

具体的には以下のとおり負担する。

1)2007年に大阪高裁が示した和解案で企業と国の責任が認定された期間分については、和解案通りの負担とする。

  対象企業 期間 企業負担 国負担
フィブリノゲン製剤 田辺三菱製薬 85/8/21-87/4/21 10分の10  −
87/4/22-88/6/23  3分の2  3分の1
第\因子製剤 田辺三菱製薬
日本製薬
84/1/1- 10分の10  −

2)上記以外の期間分

田辺三菱製薬  5,186,725千円
日本製薬   155,775千円
  残額

総額が確定できないのに、なぜ千円単位で決められるのか、不明。

3)合計額(厚生労働省試算)

田辺三菱製薬
及び 日本製薬
 約180億円  60%
 約120億円  40%

ーーー

田辺三菱製薬は20083月期決算において、HCV訴訟損失引当金として 112億円を計上していた。

同社は4月13日、給付金支給対象者見込数等を勘案して、同社負担に帰する費用の額を見積った結果、計上すべき引当金の額が200億円になったとし、2009年3月期連結損益計算書で 88億円を特別損失に計上すると発表した。上記の厚生労働省試算より増えている。

合わせて、同社は遺伝子組換え人血清アルブミン製剤の製造販売承認の取下げおよび自主回収にともなう製品の回収費用、廃棄損等をメドウェイ関連損失として、650 百万円を特別損失に計上すると発表した。

2009/3/26 田辺三菱製薬、試験データ改竄、承認取下げ、自主回収 

ーーー

日本製薬は武田薬品の連結子会社(87.5% 所有)。

1921年にはじめて画期的なアミノ酸の製剤化に成功(ポリタミン発売)、1951年には我が国で初めてエタノール分画法によるガンマグロブリンの製造に成功し、以後日本の栄養輸液製剤及び血漿分画製剤のパイオニアとして事業基盤を固めた。
武田薬品グループの中で、血漿分画製剤、栄養輸液製剤、殺菌消毒剤、ドリンク剤の製造販売事業に事業領域を特化したスペシャリティファーマ。
ポリタミンに始まる滋養強壮剤の日本における先駆的企業として、アリナミンV等ドリンク剤の製造を行っている。

 


2009/4/15 三菱化学、シノペックと事業戦略提携の基本合意

三菱化学とシノペックは4月14日、相互の技術、原料、市場における優位性を活かし両社の提携をより一層強化して事業を拡大加速することを目的とする戦略提携パートナー関係を確立するための基本合意に至ったと発表した。

今回の基本合意による提携は共同研究、プロジェクト提携、原料及び製品の供給、工事・物流サービス、技術交流、人材交流等の多分野で行うもので、また、CO2 削減やその有効利用、再生可能エネルギーとしての有機太陽電池などの地球環境関係のテーマにも、両社共同で積極的に取り組むとしている。

両社はこのような将来を見据えた幅広い分野での戦略提携パートナー関係を確立する新しいビジネスモデルを活用して、事業化の加速、高付加価値分野への事業拡大、およびアジアにおける化学産業の今後の発展に貢献することを期待するとしている。

三菱化学とシノペックは、自動車用PPコン パウンド事業では10年以上の合弁事業での協力関係の歴史があり、両社は新たな合弁事業としてビスフェノールA、ポリカーボネート事業の新社設立を現在取り進めている。 

自動車用PPコンパウンド事業

 会社名:北京聚菱燕塑料有限公司
 場所  :
北京市佛山市三水工業区
 設立  :1998/10
 出資者:三菱化学55%、シノペック燕山石油化工40%、豊田通商5%
 能力  :
北京市 12,000t/年(当初 3000t/年)+6,000t/年
      
広東省佛山市 10,000t/年

PC樹脂・BPA事業 

 会社名:

 場所  :北京市・房山地区 (シノペック燕山石化敷地内)
 出資者:
PCR Investments Japan Corporation 50%
        (
三菱化学:80%、三菱エンジニアリングプラスチックス:20%
      
シノペック 50%
 能力  :PC樹脂  6 万トン
      
BPA   15 万トン
 設立  :手続き中
 完成時期:2010年春

  2008/4/12 三菱化学、中国でビスフェノールAとPCの合弁会社設立申請

  なお、三井化学が既に上海でSinopecとのJVでBPAの工場を建設中。

ーーー

問題は上記2件以外で、どんな事業でどういう形で提携するかである。

小林社長は「バイオプラスチックや有機太陽電池の共同開発といった環境・エネルギー分野のほか、合成ゴム原料などだ。
今回の提携は石化事業から始め、ライフサイエンスなどはその後に検討する」としている。
「原料ナフサが安く手に入る中国にプラントを持つシノペックは三菱化学の技術をもとに、より製品に近い事業を強化できる。ウィンウィンの関係を築きたい」とする。

シノペックの王天普総裁は「当社は石化製品で汎用品の比率が大きかったが、付加価値の高い機能製品の比率を高めていきたい」とし、「中長期的には創薬やバイオ分野にも興味があり、検討を進めていきたい。三菱化学が持つ省エネ、環境技術にも関心がある」としている。なお、資本提携については「現時点では検討していない」とした。(日本経済新聞)

小林社長発言の「合成ゴム原料」は同社が開発したブテン類からブタジエンを製造する新技術のことと思われる。

同社はブタジエンを原料とする1,4-ブタンジオール製法技術を持っており、1,4-ブタンジオールとその誘導品(C4 ケミカル製品)事業を成長戦略のための集中事業の一つに位置付けている。
浙江省寧波市の大しゃ開発区で同社100%出資のMCC 高新聚合産品寧波有限公司が
PTMG 2.5 万トン/年プラントを建設中で、2009年3Qに完成する。

2008/12/16 三菱化学、ブタジエンの新規製造技術を開発    

付記

三井化学も4月15日にシノペックとの間で協力関係拡大の覚書を締結した。

両社は2006年4月に折半出資により、ビスフェノールA合弁会社「上海中石化三井化工有限公司」を設立し、本年1月に年産12万トンのプラントを稼動し、順調に推移している。

今回、両社が合意した主な内容は、以下の通り。
@フェノール・アセトン、ビスフェノールA及びその誘導品(例えばMIBK)等の協力関係について検討すること
A以下の事項に関し協力の可能性を検討すること
 a) 技術交流並びに共同研究開発
 b) その他のプロジェクト合弁
 c) エンジニアリングサービス

付記  2009/11/4  三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意

 


2009/4/16 韓国で10大業種別構造調整案

韓国の産業政策の中枢である知識経済部(知経部)は本年1月、「主要業種別構造調整の方向」(10大業種別構造調整案)という対外秘の報告書を作成、その一部がすでに具体的な政策として実施されていることが分かった。4月14日付けの韓国東亜日報が伝えた。

自動車、石油化学、造船、鉄鋼、セメント、一般機械、繊維、半導体、ディスプレイ、携帯電話の10大品目に対する構造調整の原則や展望が盛り込まれている。

政府は、産業的側面や財務的側面を総合し、特定産業の構造調整を実施する。知経部は全産業の構造調整の方向付けを決める役割を担う。また、金融委員会や金融機関は、個別企業の財務的側面を分析する役割を担う。

構造調整の大原則として、「市場での自律を尊重」や「早期の構造調整」を取り上げている。
市場での自律を尊重することにより、経営不振企業が淘汰されていく環境を作り出し、再生見込みのない経営不振、限界に達した企業は、速やかに淘汰を促していく方針。

早期の構造調整の詳細原則として、
 ・グローバル的な核心の力量の強化
 ・業界の自主努力
 ・適切な競争維持
という、3つの項目を決めた。

報告書によると、自動車については、中長期的にメーカーを5社から3社又は4社にし、育成していく方針。
「選択と集中」という支援策により、自動車生産台数基準で世界5位の韓国自動車産業のプレゼンスを4位へと跳躍させる。

現代自動車と傘下の起亜自動車を除き、GM大宇、ルノーサムスン、双竜自動車のうち1〜2社を育成対象から外し、自然な構造調整を促す考えと解釈されている。

石油化学については、蔚山、麗水、大山の3つの産業団地に分かれているが、「企業同士の独立志向」という形で誘導し、事業転換により団地別に特化させる。
ポリスチレンやテレフタル酸など収益性が悪化した品目を中心に事業交換、品目別統合をサポートし、規模の経済を確保するとともに品目別の専門化を促す。

例えば、ポリスチレンのメーカーは、蔚山に3社、麗水に2社あるが、これを各団地別に1社へ統合するという。

PSメーカー
立地 会社名 能力
千トン
蔚山 錦湖石油化学  227
東部韓農  100
BASF  240
麗水 LG化学  232
第一毛織  162
合計    961

また、PTAも構造調整の対象となっている。

PTAメーカー
立地 会社名 能力
千トン
蔚山 KP Chemical  1,080
泰光産業  1,000
SK Chemicals   520
暁星   410
Samsung Atofina  1,100
大山 Samsung Atofina   700
麗水 三南石油化学  1,700
合計    6,510

政府の10大業種別構造調整案に対しては、業界の専門家や各企業では概ね、構造調整の必要性や方向性には共感を示している。
しかし、政府主導の人為的な構造調整は副作用を招きかねないとし、長期的な政策課題で、ショックを最小限に食い止めながら推進したほうが望ましいという意見もある。

石油化学業界でも構造調整は不可欠だと指摘する専門家が多いが、構造調整の対象になりうる企業は、反発を強めている。

ーーー

韓国政府は通貨危機のさなかの1998年に「Big deal」と呼ばれる構造改革を行っている。

1998年2月に財閥の構造改革に関する5大課題が発表され、5大財閥(現代、三星、大宇、LG、SKのこと。このうち大宇は1999年8月に倒産・解体した)およびその取引先銀行はこの方針に沿って構造改革を進める方向で合意した。

基幹産業における過剰設備・重複投資を解消し、効率化を図る観点から、5大財閥における事業の再編成を行うもので、通称ビッグディールと呼ばれた。

半導体、石油化学、自動車、航空、鉄道車両、発電設備・船舶用エンジン、精油が対象となった。

石油化学については、大山にある三星総合化学と現代石油化学を統合し、外資を誘致する予定であった。
外資企業としては三井物産の可能性がたびたび報じられた。
しかし、出資額で調整がつかず、実現しなかった。

最終的に三星総合化学はTotal が参加し、Samsung Total となった。

現代石油化学はLG化学/湖南石化連合が買収、2005年1月に2系列を分け合い、LG Daesan PetrochemicalLotte Daesan Petrochemical とし、前者は20061月にLG化学が、後者は20091月に湖南石油化学が吸収合併した。

LG化学/湖南石化連合の買収に先立ち、現代石化のVCM、PVC事業はLG化学が買収している。

精油については、現代精油がハンファエナジーを買収、ハンファエナジーは仁川精油と改称した。

その後、仁川精油は現代グループから離脱、2004年に中国のSinochem が買収を決めたが、白紙に戻り、最終的にSKエナジーが買収した。

ーーー

日本では政府による産業構造調整への関与は1988年に終了した産構法が最後とされており、各社の自主的な決断によるしかない。


2009/4/17 UAEBorouge、石油化学第三期計画に着手

Abu Dhabi Polymers Company Limited Borouge)はこのたび、第三期計画(BorougeV)のFSを完了し、基礎設計エンジニアリング(Front-end engineering and designFEED) に入ることを決めた。

Borouge Abu Dhabi National Oil CompanyADNOC)が 60%Borealis 40% 出資するが、Borealis は実質的にADNOCの子会社。(Borealis ADNOC50%Abu Dhabi Investment Authority/National Bank of Abu DhabiのJVが50%出資するIPIC65%、オーストリアのOMV35%出資)

Borouge Abu Dhabi 市の 250 km西にあるRuwais BorougeTを運営、BorougeUを建設中で、後者は2010年に完成の予定。

 BorougeT    
  エチレン   600千トン  
  Borstar PE   600千トン  HDPE/LLDPE (当初 450千t)
  ブテン−1    27千トン  
     
 BorougeU    
  エチレン  1,400千トン  
  olefin conversion   752千トン  
  Borstar PE   540千トン  HDPE/LLDPE
  Borstar PP    800千トン  400千トンx2
     
    * Borstar Borealis技術によるポリオレフィンのブランド

2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)

BorougeVはADNOC の製油所・ガス処理工場の拡張で利用可能となる原料を使い、2013年第4四半期に生産を開始する。

エタンクラッカーと第二世代の
Borstar PP Borstar PEHDPE/LLDPE)、LDPEとブテン、及び用役・出荷設備からなる。
今回、
LDPEを加えることにより、wire and cable 市場の需要増に対応する。

個別の能力は明らかにされていないが、250万トンのポリオレフィンを生産、既存設備と合わせるとポリオレフィン能力は2013年末には450万トンとなり、中東とアジアの需要増に応える。

付記
 
エチレン 150万トン
 
第二世代Borstar PP(96万トン)とPE108万トン)
 LDPE
(35万トン
 
ブテン

生産能力の拡大に合わせ、販売面での増強も図っている。

同社は現在、上海と広州に大規模物流センター(上海は年60万トン、広州は年30万トン)を建設中で、上海では物流センターに隣接しコンパウンド工場(当初能力5万トンで、8万トンまで拡張可能)を建設している。

本年1月末には、東南アジア物流センター設立のため、Singapore CWT Logistics とサービス契約を締結した。2010年から10年間、アジアの需要家にローカルサービスを提供する。


2009/4/17  3月の米住宅着工件数、再び下落

米商務省は4月16日、3月の住宅着工件数を発表した。

前月は8ヶ月ぶりに前月比増となったが、3月は季節調整済みの年率換算で510千戸と再び下落し、1959年の統計開始以来、過去最低の1月に続いた。

 

米国 住宅着工件数推移(季節調整済み 年換算:千戸)

  2008 2009 前月比 前年同月比
1  1,064   488  -12.5%  -54.1%
2月  1,107   572  +17.2%  -48.3%
3月   988   510  -10.8%  -48.4%
4月  1,004      
5   982      
6  1,089      
7   949      
8   854      
9   824      
10   767      
11   655      
12   558      
年合計   905.5      

注) 数値は過去2ヶ月分を常時見直している。
   このため、本年1月及び2月は前回発表から変わっている。


2009/4/17  「家電下郷」で中国で家電の販売急増

中国商務部は15日、3月の家電の販売が前月比 70%以上の増加になったと発表した。「家電下郷」政策の効果が出た。
商務部によると、3月だけで 330百万ドル相当の149万セットの家電が販売された。

「家電下郷」は「家電を地方へ」という運動で、中国政府が2007年末に策定し、2008年1月に導入した農村市場の消費刺激策である。
特定の家電製品を購入する農村部の消費者に対し
一律13%の補助金を出すという内容で、当初は3つの省でのみ行われ、対象商品はテレビ、洗濯機、冷蔵庫、携帯電話の4種類だけであった。

2009年2月1日以降は不況対策として、これにオートバイ、パソコン、温水器、エアコンを追加し、対象地域を全国の農村(対象 9億人)に拡大した。

更に国務院が2月19日に発表した軽工業の景気刺激策の1つとして、電子レンジとIH 調理器が対象に加えられた。

付記

「家電下郷」に加え、 「汽車下郷」がある。

三輪自動車などを廃車とし、5万元(約70万円)以上の軽トラックや軽自動車に買い換える場合は5,000元を上限に、購入金額の10%を補助金として支給するという制度。
ただし政府からの補助金総額は50億元(当初は10億元)と上限が決まっており、補助金額が十分ではなく、新たな需要喚起には至らないとの見方が強い。

5月19日、温家宝首相は、国務院常務会議で、新たな消費刺激策として「自動車・家電の買い換え支援」を決定した。

北京、上海、天津、江蘇、浙江、山東、広東、福州、長沙で、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、コンピュータの5品目の買い換え補助を試験展開する。

自動車買い換えの財政補助として50億元(上記)
家電買い換え補助に中央財政より20億元が投じられる予定。


2009/4/18  サウジアラムコ、Ras Tanura 製油所増設を延期、ダウとの石化JVも?

サウジアラムコはサウジの東海岸のアルジュベイル南東のラスタヌラの製油所(55万バレル/日)を95万バレル/日に増設する計画であったが、この計画の延期を決めた。ロイターが伝えた。
サウジアラムコが入札企業に対して計画延期の正式レターを出したという。

サウジアラムコは業者に対して、延期の理由も、延期の期間も明らかにしていない。

この増設は80億ドルを投じるもので、需要増に対応するとともに、隣接して建設される予定のサウジアラムコとダウとの投資額200億ドル以上の単一では世界最大の石油化学計画に原料を供給するもの。

2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設 

情報筋によると、この石化計画も延期される。
基礎設計は当初2009年末に完成の予定であった。

ーーー

サウジアラムコは2008年11月6日に、ConocoPhillips とのJVでYanbu Industrial City に日量40万バレルの重質油完全改質製油所を新設する計画の延期を発表した。

同じく11月末には、フランスのTotal とのJVJubail に日量40バレルの製油所を建設する計画の入札を金融市場の不安定を理由に延期した。

2008/12/10 サウジアラムコ、石油開発計画を延期

ーーー

サウジアラムコのCEOのKhalid A. Al-Falih 3月23日にサウジの商工会議所でスピーチし、現下のグローバルな経済危機とエネルギー部門が直面する問題に拘わらず、同国は石油・ガス部門を拡大するという長期投資計画を維持すると述べていた。

そして、近いうちにPetro Rabigh の2次計画について住友化学と覚書を締結すると明言し、合わせてダウとのJVでのRas Tanura の石油化学計画についても述べていた。

ーーー

JVの相手のダウ側にとっては、Rohm & Haas 買収のための借入金返済と本計画への投資資金獲得の目途が立つまでは、この計画を前進させることは難しいのは確かである。

 


2009/4/20 InvistaDuPont 時代の安全・環境面の違反で当局と和解

Invista は4月13日、DuPont 時代の環境面の法令違反に関してEPA、司法省、その他関係当局との間で、連邦裁判所で和解したと発表した。

ーーー

Invista はDuPont の繊維部門であったが、2004年に Koch Industries が42億ドルで買収した。

Invistaは2008年3月、DuPont が工場を所有していた際に安全面、環境面で広範かつ重大な違反があったとして8億ドルの補償と懲罰的賠償を求め、マンハッタンの連邦地裁に訴訟をおこした。

これに対してDuPont側は、対象工場で誰一人として負傷しておらず、不当なリスクにさらされたこともないとし、買収後4年も経っての主張は契約上の文言を利用して増強資金を得ようとしているのではないかと非難、根拠のない批判に徹底的に争うとしていた。

2008/4/2 DuPontに8億ドル以上の損害賠償請求

ーーー

Invista は買収後に以前のDuPont の7州の12工場で680件以上の違反を見つけた。
同社は既に大部分を是正しており、残りの約50件については今回、対応策が決められた。

残っているものにはClean Air Act programs に関するものがあり、複雑な処理を要し多額の設備投資が必要となる。期限と基準が決められ、州と連邦の当局がチェックする。

過去及び今後の同社の投資は合計で5億ドルに達する。

同社では、今回の和解は同社がこれまでやってきた環境基準に従うための是正策を確認するものであり、新しいオーナーとして以前の持ち主の違反の是正を完了させるものであるとしている。

EPAの報道官は、680以上の違反の圧倒的な部分はDuPont 時代のものだとしている。違反は、大気、水、危険廃棄物、農薬、緊急時の計画と準備などの規則に関連している。

EPAの評価では、Invista による過去及び将来の対策により、有害な大気汚染が年間1万トンはカットされる。その結果、30人の死亡、2000日の病欠、9000件の呼吸器障害が防止されるとみている。

EPAは新しいオーナーに買収した設備の監査を奨励している。
EPAでは今回の和解はこの監査ポリシーでの過去最大のものとしている。

EPAはまた、同社に対して170万ドルの罰金(Economic benefit penalty)を課した。これは買収時点から是正策が取られるまでの間に、違反により得られた利益を取り上げるという趣旨のもの。

ーーー

同社は昨年3月にニューヨークの連邦裁判所に DuPont を訴えたが、DuPont がこの訴えを却下するよう求めたのに対し、裁判所は330日、DuPont のこの動議を却下した。裁判は懲罰的賠償要求を含め、今後も続く。

ーーー

DuPont はこれまで、違反は一切ないとしていたが、EPAや司法省がInvista の主張を認めたこととなり、裁判で苦しい立場になった。

今回の和解に関しては、DuPont は同社と関係のないこととしている。
DuPont はInvista EPA、司法省が法定で和解したこと、各州の環境当局がInvista を訴えていることは知っている。DuPont はこの和解の当事者でないし、これまでの訴訟で被告として名前が挙がったこともない」としている。

付記

米国EPAは4月20日、DuPont Lucite International Clean Air Act 違反で国に100万ドル、 West Virginia 州に100万ドルの罰金を払うとともに、問題となった硫酸工場を自発的に停止することになったと発表した。

West Virginia 州にある硫酸工場はLucite が所有、DuPont が操業している。
Lucite ICIからMMA事業を買収したが、ICIDuPont MMA事業を取得している)

両社は1996年にClean Air Actで求められている許可を得ずに、また必要な公害防止設備を備えずに、改造を行ったもの。


2009/4/21  住友化学とアラムコ、「ラービグ第2期計画」の共同FS実施

住友化学は4月19日、サウジ・アラムコとの間で「ラービグ第2期計画」について、両社が共同してFSを実施するための基本的な枠組みを定めた覚書を締結した。

FSは2010 年第3四半期に完了する予定で、事業性が確認できた場合には、ペトロ・ラービグ社が本計画実施の主体者となり、2014年第3四半期までの操業開始を目途に、建設に着手する。

付記

住友化学とサウジ・アラムコは6月23日、「ラービグ第2期計画」について、両社が共同して行うFSのプロジェクト・マネジメント・コントラクターとして、日揮を起用すると発表した。

「第2期計画」では、新たに確保する30百万立方フィート/日のエタンと、約3百万トン/年のナフサ(既存のトッパーから産出)を主原料に、エタンクラッカーの増設や芳香族プラントの新設を通して、さまざまな高付加価値な石油化学製品を生産する。

検討する主な石油化学製品は次の通り。

 EPR(エチレン・プロピレンゴム)
 TPO(熱可塑性エラストマー)
 MMA モノマー(メチルメタクリレート)、PMMA(メタクリル樹脂)
 LDPE/EVA(低密度ポリエチレン/エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)
 カプロラクタム、ナイロン6樹脂
 ポリオール
 キュメン、フェノール/アセトン
 アクリル酸、SAP(高吸水性樹脂)

付記
PetroRabigh ラバン社長は2009年11月に以下の通り述べた。(日本経済新聞)

第二期事業の生産品目は高機能樹脂を中心とする17品目。PTAやPET樹脂などの生産工場について第3の企業との合弁設立や、PetroRabighが原料を供給し、生産を委託するなどの選択肢を考えている。

ラービグ計画の全体像は以下の通り。

 

参考  2006/3/25  ペトロラービグ起工式

2009/4/10 Petro-Rabigh スタート・アップ 


2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限? 

中国のレアアース(希土類)の過度な開発問題について、全国人民代表大会(全人代)代表の周洪宇氏が全人代に提出した「レアアース生産・輸出の厳格な規制を求める建議」が、中国で幅広い注目を集めている。

同氏によると、中国のレアアース生産量は2005年に世界の96%を占め、輸出量で世界一となったが、乱開発されており、無秩序な開発で採掘現場での回収率も低効率の状態にある。

国家発展改革委員会の報告によると、中国は世界の需要量の2倍以上に相当する年間20万トン以上のレアアースを生産しており、価格も低水準にとどまっている。乱開発がこのまま続けば、20〜30年で中国のレアアースは枯渇するとする。

中国で生産されるレアアースの60%は輸出されている。中国は毎年50%以上のレアアースを日本と韓国に輸出している。

レアアースの埋蔵量が世界第二の米国は早くから国内最大のレアアースが埋蔵するMountain Pass鉱山を封鎖、モリブデンの生産も停止し、毎年中国から大量のレアアースを輸入している。

周氏はレアアースの生産・販売・輸出入を専門に管理する国家機関を立ち上げ、統一の関連政策や法規を制定し、厳格な管理を実施しなければならないと指摘する。
生産量、輸出量・輸出先を規制する政策を厳格に実施し、レアアース資源が戦争目的に利用されるのを防ぐ必要がある。
特に核兵器やミサイル、軍 用機、原子力潜水艦など軍事装備を有する国へのレアアースの輸出を制限するとしている。

周氏はまた、「レアアース業界を規範化し、中国での個人採掘に対する有力な対策を立て、閉鎖すべきところは閉鎖し、合併すべきところは合併し、無断での輸出行為を打撃しなければならない。3年以内に、レアアースの輸出量を現在の10万トン前後から2、3万トン前後に減らし、レアアース金属の高利潤と持続可能な発展維持に向け、中国は長期的なレアアースの価格決定権を確保しなければならない」と強調している。

ーーー

レアアース(希土類元素)はレアメタルの一つで、原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイドと、21番のスカンジウム、39番のイットリウム(Y)を加えた計17種類の元素のこと。

レアメタルは「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属」のうち、工業需要が現に存在する(今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要であるもの(鉱業審議会の定義)で、現在、31種類。

レア・アースの用途例

磁石−高効率高性能モーター用 ネオジム、サマリウム、プロセオジム、ジスプロシウム、テルビウム
研磨剤 セリウム
光学ガラス ランタン
ニッケル水素電池 ミッシュメタル、ランタン
蛍光体 イットリウム、ユウロピウム、テルビウム、ランタン、セリウム

ーーー

中国のレアアースの埋蔵量は世界の31%だが、周氏の言うとおり、世界の供給の97%を占めるという特異な状態となっている。

    埋蔵量
中国  27千トン  31%
CIS  19千トン  22%
米国  13千トン  15%
豪州   5千トン   6%
インド    1千トン   1%
 23千トン  25%
 88千トン  
 
  2007年
供給量(酸化物量)  
中国  120.0千トン  97%
インド    2.7   2%
その他    1.3   1%
合計  124.0  
 
  2007年
日本の輸入量
(酸化物量)
中国  34,312t  91%
その他   3,340t   9%
合計  37,652t
 
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
  「レアアース、インジウム、ガリウム、リチウムの需給状況等」から             
   
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/koenkai/090304/briefing_090304_3.pdf
 

ーーー

レアアースの国内需要の9割を依存する中国に輸出規制強化の動きがあることから、日本のメーカーは対応策を検討し始めている。

昭和電工は2008年10月、ベトナムのハーナム省に、90%出資の子会社「昭和電工レアアースベトナム」を設立した。
2010年4月から高性能ネオジム系磁石合金の原料であるジジムメタル(ネオジムとプラセオジムを主成分とする合金)ならびにジスプロシウムメタル、あわせて年800トンの生産を開始する。

ベトナム国内外のレアアース混合原料やレアアース酸化物など複数種類の原料に対応可能な分離精製工程と、ジジムメタルやジスプロシウムメ タル生産のための電解工程から構成される工場を建設し稼動させることにより、高性能ネオジム系磁石合金用主原料の安定調達を図る。

すでに秩父事業所、中国モンゴル自治区、江西省の3拠点で年 間8,000トンのレアアース磁石用合金設備を有しており、今般の新会社を、原料供給の拠点として新たに加える。

   ーーー

トヨタ自動車グループはハイブリッド車などに不可欠なレアアース(希土類)の自力調達に乗り出す。

豊田通商は2008年12月、レアアースの専門商社である和光物産の全株式を取得し、豊通レアアースに改称した。
また、金属資源部を新たに設置し、レアアースを含む希少金属の安定供給に本格的に取り組む。

和光物産の持つインド産レアアースの商権及び販売チャンネルを譲り受け、非自動車分野への販売を含めた取引先への安定した供給体制を整える。2010年後半より年間4千トンを輸入する。

また、ベ トナムにおいても、採掘権を持つベトナム国営鉱物公社とレアアース鉱山開発に関するJVを設立し(日本側49%)、2011年より年間5千トンを生産する。

ーーー

他の鉱石でも中国に依存するものが多い。

2007年の主要資源(鉱石)の産出国は以下の通り。

  1位 2位 3位
レアアース 中国  97% インド  2% ブラジル 0.6%
バナジウム 南ア  39% 中国  32% ロシア  27%
タングステン 中国  86% ロシア  5% カナダ   3%
白金 南ア  80% ロシア 12% カナダ   4%
インジウム 中国  49% 韓国  17% 日本   10%
モリブデン 米国  32% 中国  25% チリ    22%
マンガン 南ア  20% 豪州  19% 中国   14%
       (Mineral commodity Summeries 2008)

 

付記

中国 国土資源部は57資源保護のため、2009年のタングステン、アンチモニー、レアアースの生産量を下記の通りに制限すると発表した。

タングステン鉱  68,555トン
アンチモニー鉱 90,180トン
レアアース鉱   82,320トン

国土資源部ではまた、これら3の資源に関しては2010630までは、新しい掘削ライセンスの申請を受け付けない。

 

付記

米国とEUは6月23日、中国がコークスなどの原材料の輸出を制限していることについてWTOに提訴した。

問題となっているのは、ボーキサイト、コークス、ホタル石、マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリコンカーバイド(炭化珪素)、シリコンメタル、黄燐、亜鉛など。

米国側は、「中国は原材料輸出の制限を通じて、これらの原材料を使用する中国国内製造業、メーカーに不公平な優位性をもたらした。」と強調している。
EU貿易専門員は、「中国の原材料制限は市場競争をかき乱し、国際価格の高騰を招き、ヨーロッパ企業に負担を強いる。」と発言した。

これに対し、中国商務部は、「中国による原材料輸出政策の主要目的は環境と自然資源の保護であり、関連政策はWTOの規則にもかなっている」とした上で、協議の要請を適切に処理していくという立場を示した。

付記 (2010/7)

チャイナ・デーリーによると、中国政府はレアアースメタルの月次価格発表を検討している。生産者間の激しい競争を抑制するのが狙いという。早ければ7月中にも、江西省、福建省、広東省、湖南省および広西チワン族自治区で統一価格制を導入する方針。

対象地域では統一の輸送・販売システムを確立し、長期的には3-5社に生産を集約する計画という。

中国はレアアースの生産を既に制限しており、探査権の新規交付も2011年6月末まで凍結している。


2009/4/22 三井化学、損益予想を大幅引き下げ 

三井化学は4月21日、平成21年3月期の通期の業績予想について、1月30日公表の内容を再修正した。
今回は一般的な経済環境悪化に加え、将来の損益を悲観的にみた繰延税金資産の取崩しの影響が大きい。

連結決算(単位:百万円)
  売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
前回予想(A)
(1月30日発表)
 1,450,000  -25,000  -30,000  -13,000
今回予想(B)  1,500,000  -46,000  -51,000  -95,000
増減額(B−A)    50,000  -21,000  -21,000  -82,000
         
前期実績  1,786,680   77,176   66,146   24,831

営業損益と経常損益の修正は事業環境及び世界的な経済環境の更なる悪化による。

セグメント別営業利益 (単位:億円)
  前回予想 今回予想 差異
機能材    -60   -160   -100
先端化学     80    70    -10
基礎化学   -210   -320   -110
その他     -     -    -
全社    -60    -50     10
合計   -250   -460   -210

当期純利益は、これに加え、繰延税金資産の取崩しにより多額の税金費用が発生したことなどにより、950億円の赤字と、前回予想比で820億円の大幅減益となった。

同社は税効果会計に係わる会計基準に従って繰延税金資産を計上しているが、当期の業績及び厳しい経営環境を考慮し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、当期末において繰延税金資産を取崩すこととした。
これにより、連結において
447億円(単独では391億円)を法人税等調整額に計上する。(当期純損益の減少となる)

「繰延税金資産」とは、企業会計上の費用が税務上の「将来減算一時差異」(当期には税務上の損金と認められないが、将来時点では損金と認められる費用)として課税される場合に、「税金の仮払いで、将来の会計期間に払い戻される」と考え、これを繰延処理することにより生じる資産のこと。その分だけ当期純損益が増加する。

三井化学の主要な繰延税金資産は、退職給付引当金と投資有価証券評価損についての一時差異等である。
投資有価証券評価損は当該有価証券の売却や投資先会社の清算などの時に税務上も損金として扱われる。

繰延税金資産の計上にあたっては、損金と認められる将来時点で、十分な利益が確保される(払い戻されるべき税金がある)ことが条件である。
今回、同社は当期の業績及び厳しい経営環境を考慮し、それが確実とは言えないと判断したことになる。
石油化学品などの収益回復に時間がかかると判断した。

(実際には、その時点で当該費用を引いても黒字であればその分の税金が減るし、仮に赤字でも赤字の繰越が出来るため、将来的に税金が減る可能性はあるが、保守的に考え、過去に払った「前払税金」ではあるが、当期の損益に反映させる。)

同社は大幅な業績修正に対応し、既に実施中の緊急対策(既発表済)に加え、更なる緊急対策を実施する。

重点事業における事業構造改革、収益構造改善に向けた全社施策で、詳細は5月12日に発表する。

ーーー

三菱ケミカルも4月20日、前回(2月4日)発表の損益予想を再修正した。

連結決算(単位:億円)
  売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
前回予想(A)
(2月4日発表)
 29,700    220    60   -580
今回予想(B)  29,090    80    -20   -680
増減額(B−A)   -610   -140   -80   -100
         
前期実績  29,298  1,250  1,289   1,641

営業利益は、経営環境の更なる悪化による大幅な販売数量の減少及び棚卸資産の低価法による評価損の拡大等による業績悪化を織り込んだ。

当期純利益は、減損損失の計上(約70億円)、投資有価証券評価損の悪化(約50億円)、田辺三菱製薬おけるHCV引当金の繰入額計上(88億円)といった特別損失の拡大を織り込んだ。

 

付記 

住友化学も4月28日、前回(2月3日)発表の損益予想を再修正した。

連結決算(単位:億円)
  売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
前回予想(A)
(2月3日発表)
 18,200    300     0   -150
今回予想(B)  17,900    20   -330   -590
増減額(B−A)   -300   -280   -330   -440

営業利益と経常利益は、経営環境の更なる悪化による。

当期純利益はこれに加え、下記の2点を折り込んだ。
1)環境の著しい悪化等により、一部の事業用資産について減損損失208億円を特別損失に計上
   減損対象は、カプロラクタムや耐熱性セパレーター

2)繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、その一部を取崩し、196億円を法人税等調整額に計上


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