ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は
 http://blog.knak.jp/


2010/9/13 三菱化学、リチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強 

三菱化学は9月8日、坂出事業所におけるリチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強を発表した。

現在、坂出事業所に年産3,000トンの負極材製造設備を保有、2010年12月に2,000トンの増強を行うが、一層の需要拡大に対応するため、製造能力をさらに2,000トン増強し、年産7,000トンとする。

増強工事の完了は2011年5月、投資金額は約10億円の予定。

三菱化学はリチウムイオン二次電池の主要4材料(電解液・負極材・正極材・セパレータ)すべてを取扱う世界唯一の企業。

各事業部に分散していた電解液、負極、正極、セパレータの事業と研究開発を一括運営する社長直轄プロジェクトを立ち上げ、1999年に電池機材部を新設し、2003年には電池機材事業部に昇格させて、プロジェクトを推進している。

ーーー

付記

三菱化学は9月30日、リチウムイオン電池用負極材を中国にて製造開始するため、本年10月に現地製造販売新社を設立すると発表した。

会社名:青島雅能都化成有限公司(仮称) (Qingdao Anode Kasei Co., Ltd.)
所在地:青島市(球形化黒鉛製造合弁の青島菱達化成有限公司に隣接)
出資  :三菱化学 100%
能力  :4,000トン/年
営業運転開始:2012年3月(予定)

三菱化学は1018日、リチウムイオン電池用電解液の需要増大に対応するため、四日市事業所の製造能力を増強すると発表した。
2012年2月の運転開始をめどに現有年産8,500トン設備を5,000トン増強し、同13,500トンとする。

付記

三菱化学は10月25日、英国および米国でリチウムイオン電池用電解液の製造販売会社の年内設立を発表した。
いずれも、三菱レイヨンの完全子会社
Lucite Internationalの工場敷地内に建設する。

  英国 米国
社名 未定 未定
立地 ストックトンオンティーズ市ビリンガム テネシー州メンフィス市
能力 10,000トン/年 10,000トン/年
営業運転開始 2011年秋(予定) 2012年夏 (予定)

ーーー

リチウムイオン二次電池の仕組みは以下の通り。

リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種で、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。

現在では、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイト(黒鉛)などの炭素材を用いるものが主流となっている。
三菱化学の正極は三元系
(ニッケル/コバルト/マンガン)を使用、
通常は1/3ずつ(
LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)だが、高価なコバルトの比率を10%に落とすのに成功した。

電解液には非水溶液系電解質を使用する。
炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒 +ヘキサフルオロリン酸リチウム (LiPF6) といったリチウム塩を使う。

付記

三菱化学は2012年6月8日、鹿島でのエチレンカーボネート(炭酸エチレン)の増強を発表した。
2013年9月完成(予定)で現行の年3,000トンを8,000トンに増強する。

付記

三菱ケミカルホールディングスは2014年8月1日、三菱化学が9月にリチウムイオン電池部材の正極材事業から撤退すると発表した。
電気自動車(EV)用電池向けへの販売が苦戦していた。将来の売り上げ見通しが立たないため、水島事業所(岡山県倉敷市)にある正極材の生産設備を減損処理し、特別損失約10億円を計上した。

 

三菱化学の状況は以下の通り。

  工場 現行能力 増設計画 目標 シェア
2009→2015
 
正極材
 三元系
水島 600t 2010/10 
 
+1,600t
15,000t 5%未満→10% コバルト10%に低減
(通常 1:1:1)
付記 撤退(上記)
負極材
 グラファイト
坂出 3,000t 2010/12 
  
+2,000t
2011/5 
  
+2,000t
 35,000t 20%→35%  
付記 中国
青島雅能都化成
  2012/3
  +4,000t
2012/秋
  +4,000t 
電解液
(機能分担型電解液)
四日市 8.500t 2012/2
  +5,000t
50,000t 25%→40%  
付記 英国   2011/
  
10,000
     
付記 米国   2012/
  
10,000t
     
付記 中国   2012/末
  
10,000t  
     
セパレータ
(ポリオレフィン)
三菱樹脂
 長浜
1,200
m2
2012/夏
1,500
m2  
7,200万
m2
5%未満→10%  
             
球形化黒鉛
(負極材原料)
青島菱達化成
(山東省青島市)
  2,000t     三菱化学 49%
青島泰達天潤炭材料 37%
明和産業 14%
N-メチルピロリドン
(電解液原料)
水島 15,000t 検討中      

付記

付記 シェア (2010/12/14 日本経済新聞)

正極材 日亜化学  25%
Umicore(ベルギー)  20%
田中化学研究所  15%
負極材 日立化成  40%
JFEケミカル  10%
三菱化学  10%
電解液 宇部興産  25%
三菱化学  20%
第一毛織(韓国)  10%
LG Chem   10%
10%セパレーター 旭化成  45%
東燃機能膜  20%
Celgard(米)  15%

 

2010/9/14 韓国国民年金、米コロニアルパイプライン買収へ

韓国の国民年金(National Pension Services)が米国の送油管会社 Colonial Pipelineの権益23.44%をChevronから買収する交渉を行っている。

Chevronは本年3月に売却の意図を明らかにしているが、8月23日には年内に決着するだろうと述べている。
Colonial Pipelineは世界的な金融危機の影響で経営が悪化している。

同社は交渉相手を明らかにしていないが、韓国紙は韓国国民年金が売却の交渉先であると報じた。
売却額は846百万ドルと伝えられている。

付記 韓国国民年金による買収は実現せず。

Chevron201010月、Kohlberg Kravis Robertsに売却した。
KKRはこのため、Keats Pipeline Investors LPを設立した。

現在の株主は以下の通り。
  
ConocoPhillips Pipe Line  16.55%
  IFM (US) Colonial Pipeline 15.80%
  Koch Capital Investments 28.09%
  Shell Pipeline Company   16.12%
  Keats Pipeline Investors  23.44%

パイプラインはヒューストンからニューヨークまでを結ぶもので、全長5519マイルに達する。
1平均1ガロン(398百万KL)のガソリン、ケロシン、燃料油、ディーゼル油などを12州(+ワシントンDC)に送る。

買収に成功した場合、韓国は米国の中核を担う社会的間接資本の大規模な権益を得る。

韓国の関係者は「大量ののガソリンを送油するパイプラインを買収すれば、安定的な配当と資産価値上昇が期待できる」と語った。

韓国国民年金は総資産が300兆ウォン(約21兆円)と世界4大年金基金に属する。(資産規模の順で、日本、ノルウェー、オランダ、韓国)

韓国では、1988年に国民年金制度が制定され、1999年に国民皆年金になった。制定後20年弱で、加入期間が足りないため、年金支給が少なく、資産が増えている。

このため、資産の運用の多様化のため、海外資産への投資を急速に増やしている。
これまでの投資先は次の通り。(1韓国ウォン = 0.07円)

投資対象 時期 投資規模  
KDX豊洲グランスクエア
(東京・豊洲のオフィスビル)
2009/7 960億ウォン
総額 4600億ウォン
公団が49%、カーライルが51%で買収
(公団は現金で投資、
残りはカーライルの投資金と融資など)
ロンドンHSBCタワー 2009/11  15000億ウォン 銀行大手HSBCの45階建本店ビル
(HSBCは長期リースで使用継続)
HSBCは2007年にスペイン不動産会社に売却、
安値で買い戻している。
ロンドン オフィスビル2棟 2009/11 3500億ウォン  
Aurora Place
(シドニーのオフィスビル)
2010/1 7500億ウォン 44階建て、延べ床面積は4万9000平方メートル
ロンドンGatwick Airportの
運営会社株式 12%
2010/2 1800億ウォン 2009/10にクレディスイスとGEキャピタルのJVが
スペインの大手建設業フェロビアルから買収。
ソニーセンター
(独ベルリンの大型総合
文化センター)
2010/5 8500億ウォン ソニーが欧州地域の本社ビルとして建設、
2008年にモーガンスタンレーなど3社に売却。
パリ近郊 O'Parinor shopping centre51% 交渉中 3500億ウォン イル・ド・フランス地域圏にある2階建ての
大型ショッピングモール
合計   40760億ウォン
(2,853億円)
 

 


2010/9/15  三井物産、神華集団と包括的業務提携

三井物産は910神華集団との包括的業務提携に合意した。

神華集団は、年産3億3,000万トンと世界最大の石炭生産グループであり、加えて発電・鉄道・港湾・石炭化学など 26の事業会社を傘下に保有している。

2009年
石炭生産:330百万トン/年
発電容量:26,800MW
総発電量:1,188億kWh/年
鉄道資産:1,370km(包頭〜天津等)
港湾資産:河北省滄州市Huanghua
港、天津港専用石炭ターミナル

石炭化学については:
  2009/11/10 
ダウと神華集団、陜西省で大規模石炭化学JVの起工式 
  2010/7/23 
神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート

今回の業務提携の骨子は、

(1)日本向け及び中国向け石炭物流の拡大 10年以上にわたり神華集団の発電用石炭の日本向け販売を促進してきた。
(2)海外炭鉱の共同開発 モンゴルなどの海外の優良炭鉱の共同開発
(3)石炭化学事業 の共同検討 石炭を原料とする化学品素原料及び製品の製造・ 販売
(4)環境・エネルギー有効利用事業の推進 低炭素社会の実現に向けた環境プロジェクトなど

第一弾としてモンゴル南部の世界最大規模のTavan Tolgoi 炭鉱開発に共同で応札するほか、石炭火力発電所向けに日本のクリーンコール技術や石炭液化技術、環境技術などを導入する。

Tavan Tolgoi 炭鉱は、埋蔵量が65億トンと世界最大の未開拓の炭鉱。このうち約20億トンは製鋼原料となる原料炭で、地表から浅いところに石炭層があり採掘コストが安いのも特長。

モンゴル政府は炭鉱の資源を監督する国営企業を設立するが、この企業の株式30%を国内外で売却し、15億ドルの初期開発費用に充当する予定。
10月からの国会審議を経て権益や長期契約など条件を詰め、年内にも入札を行う。

付記

その後、モンゴル政府はタバントルゴイ石炭地を2ゾーンに分けた。1ゾーンは国際会社が、2ゾーンはモンゴル国営エルデネスタバントルゴイ会社が掘削する。国営エルデネスタバントルゴイ会社の株式のうち50%を政府、残りの50%を投資家やモンゴル国民が保有する。

2011年7月、国際会社の入札結果として、
 中国神華エナジー(三井物産が加わるとの情報もあり)40%、
 米国のPeabody Energy24%、
 残りの36%は
国営ロシア鉄道韓国の国策資源開発のKorea Resources の連合(伊藤忠、住友商事、丸紅、双日の4商社が加わるとの情報もあり)
と発表された。

しかし、直後にこれは仮であるとされた。

モンゴル政府は2012年5月、外国企業がモンゴルの主要戦略資産の49%以上を取得する場合、国会の承認を必要とするとの法律を通した。

モンゴル工業相は、「2012年の末までに共同開発の新たな枠組みをまとめたい」としている。

 

神華エナジーが有力候補2社のうちの1社となっている。
神華エナジーはモンゴル国境まで鉄道をつなぎ、Oyu Tolgoi Tavan Tolgoi の石炭と銅を中国に運ぶ計画のコンソーシアムの中心となっている。
炭鉱開発には鉄道が必須となる。

近くのOyu Tolgoi は銅・金鉱山で、カナダのIvanhoe Minesが権益を持っているが、これに出資するRio Tintoがモンゴル政府との間で投資契約を締結した。

Ivanhoe はまた、Ovoot Tolgoi 炭鉱の開発も行っている。

2009/11/28 Rio Tinto、モンゴルの鉱山開発で中国アルミと提携か?

伊藤忠を中心に丸紅、住友商事、双日の4社連合も応札する計画で、官民一体で発電所や水事業、輸送インフラ整備など総合開発を提案している。

モンゴルの鉱物資源・エネルギー相がモンゴルへの積極的な投資を呼びかけるために7-8月に来日、伊藤忠、丸紅、双日、三井物産、三菱商事の資源担当者と会い、開発や投資について意見を交換した。

8月3日、モンゴル鉱物資源・エネルギー省と国際協力銀行は情報交換の促進による協力関係の強化を目的とする覚書を締結した。
モンゴルのエネルギー鉱物資源開発政策や、エネルギー鉱物資源開発、重工業及び電力分野における事業、同国におけるJBICのファイナンス可能性等に関する情報交換の促進により、両者間の協力体制を強化することを目的とするもの。

8月2日には、モンゴル鉱物資源・エネルギー省と石油天然ガス・金属鉱物資源機構、産業技術総合研究所は、モンゴルの地質調査と鉱物の探査で協力することで合意、互恵的協力関係の強化を図る包括的な内容の覚書を締結した。
今後、モンゴル国内のレアアースをはじめとするレアメタル資源のポテンシャルを評価するために、共同で調査を実施する。

 

 


2010/9/16  Apollo Management傘下のMomentive Performance Materials Hexionが合併

Momentive Performance Materials Hexion913日、両社が合併することを決めたと発表した。
101日合併の予定で、新社名はMomentive Performance Materials となる。

両社とも投資会社のApollo Managementの子会社。

Momentive Performance Materials2006年にApollo Management38億ドルでシリコーン事業のGE Advanced Materialsを買収し、設立した。GEが10%出資した。

GEは東芝とのJVGE Toshiba SiliconesBayerとのJVGE Bayer Silicones の両社の持分を買い取ってGE 100%とした上で売却した。

2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却

Hexion2005年にApollo Management100%子会社であったBorden Chemical(接着剤等)、Resolution Performance Products(エポキシ、バーサチック酸等)、Resolution Specialty Materials(塗料、接着剤等)と、Bordenが買収したBakelite AG(フェノール、エポキシ樹脂)を統合して設立した。

Borden Chemicalは1929年にBorden Company がミルクベースのレジンのメーカーのCasein Company of Americaを買収したのが始まり。
1930
年代に合成樹脂、接着剤の製造を始めた。

1995年に投資会社のKohlberg, Kravis, Roberts が買収したが、2004年にApollo Managementが12億ドルでこれを買収した。

なお、塩ビ事業を行っていたBorden Chemicals and Plastics Bordenから分離独立したもの。
2001年に民事再生法を申請、3工場をそれぞれ、信越化学、
Formosa PlasticsWestlakeに売却した。

ーーー

Resolution Performance Products 当初はShell Chemicals1部門であったが、Apollo Managementが買収した。

Resolution Specialty MaterialsApollo ManagementEastman Chemicalの1部門を買収した。

ーーー

Bakelite AGは世界初のプラスチックであるフェノール樹脂ベークライトを発明したベルギー系アメリカ人のベークランド博士が1910年に、ベークライト製造のためドイツに Rutgers AG と合弁で設立した。
その後、
Rutgers AG の子会社となったが、2004年にBorden Chemicalが買収した。

2006/2/15 プラスチック100周年

Hexion2007年にHuntsman106億ドルで買収したが、2008年にキャンセルして訴訟となり、最終的に200812月にHuntsmanに解決金10億ドルを支払って契約を破棄している。

2007/7/14 Hexion、Huntsmanを106億ドルで買収
2008/9/2 Hexion によるHuntsmanの買収問題、新展開
2008/12/15 Huntsman、Hexionとの合併契約を破棄

合併により、新会社は117工場、従業員1万人以上、売上高75億ドルEBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)が12.4億ドルの、世界最大級のスペシャルティケミカルメーカーとなる。

新会社の扱い製品は以下の通り。

Fluids, Silanes, Elastomers, Engineered Materials, Urethane Additives, Sealants,
Quarz, Epoxy, Versatics, Phenolics, Amino Resins, Vinyl & Acrylic Lattices,
Formaldehyde, Acrylic Monomers, Polyester Resins, UPR

 


2010/9/17  DSM、熱可塑性エラストマー部門を売却、EPDMの売却交渉も

DSM915日、DSM Elastomers部門の熱可塑性エラストマー事業(商標Sarlink)を米国のコンパウンド会社のTeknor Apex に売却すると発表した。

売却条件は明らかにしていない。
Teknor Apex は引き続き、Sarlinkの商標を使用する。

DSMLife SciencesMaterials Sciences (及び中国を中心とするEmerging Business Area)を今後のCore businessにしている。

DSM Elastomers部門は、世界シェアの約16%を占めるEPDM(商標名 Keltan)とEPDMベースの熱可塑性エラストマー(商標Sarlink)から構成されるが、いずれもこれから外れている。

DSMEPDMSittard-Geleen(オランダ)とTriunfo(ブラジル)で、SarlinkGenk(ベルギー)と Leominster(米国Massachusetts州)で生産している。

DSM1989年に出光とのJVの出光DSMを設立し、千葉でEPDM 年産4万トンの生産をしていたが、2003年にオランダに8万トンのプラントを建設、2004年9月末に千葉での生産を停止し、JVを解散した。
(1999年からはDSMが販売を担当し、合弁会社はDSMの製造委託会社となっていた。)

DSMはまた2004年に、老朽化した米国ルイジアナ州Addisの工場を停止している。

DSMCore Business

同社の業績は以下の通り。(百万ユーロ)

    2009 2008
Sales EBIT Net
Profit
Sales EBIT Net
Profit
Core business Nutrition  2,824   521      2,710 447  
Pharma 721 32   863 89  
Performance
 Materials
1,823 68   2,297 175  
Polymer
 Intermediates
849 6   1,201 19  
Others 381 -189   436  -135  
subtotal 6,598 438   7,507 595  
Base Chemicals
 and Materials
  1,134 -68   1,572 174  
Total   7,732 370   337 9,079 769   577

* Base Chemicals and MaterialsにはAgroMelamineElastomersがあるが、2009年はいずれも赤字。

ーーー

同社は
Core business以外の事業の売却を進めている。

本年3月にBase Chemicals and Materialsに属するDSM Agro DSM MelamineをエジプトのOrascom Construction Industries(OCI)に売却する契約を締結、61日に売却を完了した。

DSM Agro はアンモニア、窒素肥料のメーカーで年間160万トンの肥料を製造販売している。

DSM Melamineは世界最大のメラミンのメーカーで、オランダに工場を持つとともに、中国にShanxi Fengxi Fertilizer IndustryとのJVShanxi Fenghe Melamine(出資比率49%)、インドネシアにP.T. Pupuk Kalimantan TimurP.T. Barito Pacific LumberとのJVDSM Kaltim Melamine(現在名はOCI Kaltim Melamine、出資比率60%)を持つ。

OCIはエジプト最大の企業の一つで、建設会社のOCI Construction Group と肥料会社のOCI Fertilizer Group から構成される。
OCI Fertilizer Groupはエジプトとアルジェリアに窒素肥料の工場を持ち、米国、中南米、欧州、アフリカに販売網を持つ。

DSMは本年2月、三菱化学との間で、事業の交換(ポリカーボネート事業の売却及びナイロン事業の買収)で合意している。(2010年5月31日に交換完了)

2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意

DSMでは、EPDMBase Chemicals and Materialsの残る製品について売却交渉を続けている。

ーーー

Teknor Apex は米国のコンパウンド会社で、1949年に事業を開始した。

同社は
200110月にシンガポールの塩ビコンパウンド会社Singapore Polymer を買収した。
200412月には英国と米国でエンジニアリング樹脂コンパウンドを販売する英国のChem Polymer を買収した。
20075月には中国の蘇州にTeknor Apex (Suzhou) Advanced Polymer Compoundsを設立、コンパウンドの生産を始めた。
これにより、
Teknor Apex は米・欧・アジア3極で汎用樹脂からエンジニアリング樹脂までのコンパウンドを供給している。

2007/5/12 米コンパウンド会社 Teknor Apex、中国進出 

 


2010/9/18 豊田通商と近畿大学、クロマグロ完全養殖事業で技術協力提携

豊田通商と近畿大学は9月10日、クロマグロ完全養殖事業での技術協力提携を締結したと発表した。

同時に、豊田通商は、長崎県五島市に、世界初の完全養殖種苗の中間育成会社「ツナドリーム五島」を設立した。

協業の内容は:
 1.近畿大学からツナドリーム五島への完全養殖クロマグロ人工孵化種苗の提供
 2.ツナドリーム五島でのクロマグロ種苗の中間育成に関する諸技術の指導

ツナドリーム五島は、長崎県五島 福江島で、中間育成用の海上イケスを設置し、近畿大学から完全養殖クロマグロの人工孵化種苗及びクロマグロ種苗育成ノウハウの提供を受け、天然ヨコワの漁獲サイズにまで育成する。

  従来型養殖

捕獲天然ヨコワ→(養殖)→出荷サイズ

 ・乱獲による天然資源減少の恐れ
 ・ヨコワ漁獲量が不安定→経営不安定

  今回の完全養殖  

近畿大学: 育成親魚→(産卵)→卵→(孵化・陸上育成)→稚魚(約6cm)
ツナドリーム五島: 稚魚→(沖出し・中間育成)→ヨコワ(約25〜30cm/500〜700g)
養殖業者: 養殖ヨコワ→(養殖)→出荷サイズ 

近畿大学は、1948年に和歌山県白浜町に水産研究所を開設、1970年からクロマグロの養殖に取り組んでいる。
1979年には天然稚魚から飼育した親魚が世界で初めて産卵し人工孵化・飼育に成功、2002年には人工飼育した親魚が産卵する世界初の完全養殖技術を達成した。

これまで、養殖したクロマグロの卵から人工ふ化させ、成魚まで育てることには成功していたが、卵を産むには至っていなかった。

2007年、国内の養殖業者へ人工孵化稚魚(ヨコワ)を約1,500尾出荷し、2009年にはその生産尾数を約40,000尾に拡大したが、さらに生産尾数を拡大していくには、学外のパートナーとの協力が不可欠と判断した。

豊田通商は、コア分野である自動車分野に加え、非自動車分野を強化することにより、バランスの取れた収益構造を目指している。
食料分野では、2008年には農業生産法人を立ち上げ国内農業生産事業へ参入したが、今回、クロマグロの完全養殖事業への参入を決断した。

ーーー

日本が大量に漁獲している太平洋のクロマグロは、産卵能力のある大きな魚が減るなど資源状況が悪化しているとの分析結果を三重大の勝川俊雄准教授らがまとめた。
大型の魚の乱獲が進んだ結果、3歳以下で成熟前の小さな魚や産卵前の魚が漁獲の対象になるという、悪循環が進んでいるとみられる。

日本は太平洋クロマグロの70%超を漁獲しており、うち約55%は巻き網。近年は、若い魚を漁獲していけすで育てる蓄養向けも増加傾向にある。

漁獲数でみると、0歳の魚が占める割合は、60年代は約60%だったが2000年以降は70%超に上昇、最近は0歳と1歳の魚を合わせると90%を超えていた。

ーーー

水産庁は本年5月、日本の漁獲量が7割を占める太平洋産クロマグロの資源管理指針を発表した。
ヨコワやメジマグロと呼ばれる稚魚を含め、 未成魚の漁獲制限を強化し、産卵する親魚の資源量を安定させることが主な内容で、具体的な資源回復計画を2010年度中に策定、11年度からの実施を目指す。

中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の「北小委員会」が9月7日から福岡市で開かれ、日本近海を含む太平洋クロマグロの2011〜12年の漁獲規制案をまとめて10日に閉幕した。

引き縄など沿岸の零細漁業を除き、3歳以下の若齢魚の規制を強化し、日本は漁獲量を2002〜04年水準より3割減となる。
韓国は2割程度減らすことになるが、「国内での協議が必要」などとし て勧告案を留保した。
WCPFCは12月の年次会合で採択を目指すが、韓国の動向が焦点となる。

参考 2010/3/20 ワシントン条約締約国会議、大西洋クロマグロ禁輸案を否決

 


2010/9/18  最近の人民元の動き

中国人民銀行は6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

7月2日には6.7711人民元/$と、6月18日比で0.83%の元高となったが、その後は横這い状態が続いた。

中国人民銀行は8月12日に基準値を実勢値に関係なく急に6.8015人民元に引き下げ、その後安値が続いた。

8月9日に6月18日比で0.87%の元高になっていたのが、9月1日終値では0.22%にまで戻った。
人民元高で輸出に影響が出るのを恐れて、中国政府が介入したと見られている。

その流れは9月8日にサマーズ国家経済会議委員長が人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談した後、急に変わった。

更に、ガイトナー長官が9月13日の米ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで人民元の上昇幅に対し「とても小さい」としつつ「中国も認識していると思う」と指摘。中国側の対応にも期待感を示した。
16日に議会での証言が予定されている。

中国人民銀行は9日以降、基準値を引き上げ、17日には6.7172元と、6日連続で最高値を更新した。

17日の終値は6.7235元となり、5日連続で最高値を更新、中国人民銀行が市場レートと公定レートを一本化した93年末以降での最高値を付け、6月18日比で1.50%の元高となった。

但し、これは米国が期待するものとは言えない極めて緩やかなものである。
米議会は対ドルで25〜40%の過小評価と主張している。

Big Mac指数では現在のレートは48%の元安となっている。

2010/8/6 人民元の現況

9月13日再開した米議会で、超党派の議員93人が人民元の過小評価分を補助金とみなして、相殺関税などをかける法案を採決するよう議会指導部に書簡で要請した。

ガイトナー財務長官は16日、上院銀行委員会で証言、人民元について「著しい過小評価で、6月19日の弾力化声明後の上昇は遅すぎ、幅も限られている」とし、中国当局に上昇の加速を促した。

なお、アルミや光沢紙のメーカーが、過小評価された人民元が中国のメーカーにとって補助金の役割を果たしており、米国の競合相手より安い価格での販売が可能になっていると主張していたが、米商務省は8月31日に、不正な輸出補助金に当たるかどうかについて、調査しない方針を仮決定した。

中国の為替政策が「調査中の企業や業界に特定されたものではない」というのが理由。

商務省は、中国政府による実際の金銭的な補助金については主張を認め、中国企業に対し最大137.65%の相殺関税を課すことを仮決定した。今年11月までに本決定する。

付記

9月21日の上海外国為替市場の人民元相場は、銀行間取引で対ドルが9営業日続伸し、6.7079元/$で終了した。一時は6.6987元まで上昇、心理的に重要な6.7000元の節目を突破した。(基準値も6.6997元)

中国市場は9月22日から26日まで休場となる。

オバマ大統領は9月23日、ニューヨークで中国の温家宝首相と会談し、「人民元の為替水準を巡る争いを解決するため、中国は今以上に行動する必要がある」と述べ、迅速で大幅 な人民元相場の切り上げを求めた。
しかし、温首相は「為替制度の改革を着実に進める」と従来の見解を繰り返した。

米下院歳入委員会は9月24日、中国に対する人民元の切り上げ圧力を高める対中制裁法案を可決した。

9月29日に下院本会議で採決する見通し。

制裁法案は、為替市場への介入により自国通貨の価値を過小評価させている国に対して、米国政府が相殺関税などの対抗措置をとれるようにする。

なお上院は下院とは別の対中制裁法案を審議している。


2010/9/20 PetroChina、広西チワン族自治区で製油所をスタート、Sinopec も近くで製油所を建設中

20061230日に広西チワン族自治区欽洲市でPetroChinaが70%、Sinopecが30%出資のJVPetroChina広西石油化学」の10百万トンの製油所の鍬入れ式が行われた。

PetroChinaが欽州市に1千万トンの製油所を、Sinopecが近くの同自治区北海市に800万トンの製油所を、それぞれ計画したため、NDRCが重複投資を恐れ、共同投資を勧めたもの。

2007/1/17 PetroChina Sinopec の初の合弁製油所が着工

原料の原油はPetroChina出資しているスーダンの原油を輸入する計画のため、PetroChinaが70%出資となった。
しかし、当時から
Sinopecが独自に製油所を建設するだろうとの観測が行われていた。

実際にSinopecJVから離脱、両社が別々に製油所を建設することとなった。

ーーー

PetroChinaは9月9日、欽州市の欽州港工業区で新しい製油所をスタートさせた。

153億人民元を投じたもので、製油所能力は年産1千万トン。PetroChina広西石油化学が運営する。

原油は主に、PetroChinaが権益を有するスーダンからの輸入品を使用する。
製品はガソリン、ディーゼル、LPGなどのほか、PPとBTXを含み、中国東南部の市場に供給される。

同社は製油所の完成前に化学品のプラントを完成させた。
能力はPPが20万トン、ベンゼン10万トン、トルエン10万トン、キシレン50万トンとなっている。

ーーー

Sinopec200812月に北海市の鐵山港でPPプラントと製油所移転の建設開始の式典を行なった。

Sinopecは北海市の市内に年産60万トンの小規模製油所を持っている。
しかし、
現在の製油所が小規模であり、かつ環境問題もあるため、市内から40km離れた新立地に200万トンの接触分解設備、300万m3の原油貯蔵設備などとともに、PP 20万トンプラントを新設するというものであった。   

その後、SinopecPetroChinaとのJV計画から撤退、新立地の製油所能力を800万トンに引上げた。

これは現在建設中。2012年にスタートする予定で、この時点で北海市の市内にある既存の製油所は廃棄される。

なお、Jettyと30万トンの原油ターミナルが沖合い50kmの Weizhou Island に作られ、鉄山港の300万m3のタンクと海底パイプラインで結ばれる。

更に、北海ー南寧間の製品のパイプライン、鉄山港と広東省湛江市と結ぶ原油のパイプラインを建設する。


2010/9/20 メキシコ湾原油流出事故ーBottom Kill 作業完了 

BPは9月3日、問題の井戸の古い噴出防止装置(BOP)を外して、新しいBOPを据え付けた。

井戸には約1,000バレルの原油が閉じ込められていると見られ、下部をセメントで封鎖すると、圧力で上部のセメントのプラグが壊れ、原油が流出する可能性があったが、これで井戸からの原油流出の危険はなくなった。

2010/9/6 メキシコ湾原油流出事故の状況

掘削船Development Driller III (DD3)からのリリーフ井戸(#1)の掘削は9月15日に再開され、最後の45フィートを掘削、16日午後、海面下17,977フィートの地点で本体井戸と接続した。

検査の結果、異常がないため、17日午後にannulus(岩石と井戸のケーシングの間の環帯)にセメントが注入された。

9月19日、BPはannulusとケーシングがセメントで密封され、井戸の封鎖が完了したことを確認した。

セメント作業が終わると、リリーフ井戸(#1)は封鎖され、廃棄される。

掘削船Development Driller U (DD2)はリリーフ井戸(#2)から本体井戸の追加データを収集、爆発事故の時点で井戸にあったドリルパイプの所在を確認する。
この後、
リリーフ井戸(#2)も封鎖・廃棄作業に入る。

BPのCEOTony Haywardは、「メキシコ湾への脅威はなくなった。しかし、まだするべきことがある。メキシコ湾、湾岸、地域の住民へのダメージを回復するというBPの約束は変わっていない」と述べた。

9月17日までの総コスト(流出対応、井戸関連費用、各州への支払い、損害賠償等)は約95億ドルに達した。

ーーー

BPは9月8日、メキシコ湾原油流出事故の原因の報告を発表した。

2010/9/9 BP、メキシコ湾原油流出事故の原因調査報告を発表

しかし、これは最終のものではない。

米司法省は並行して刑事面と民事面の調査を行っている。
沿岸警備隊とBureau of Ocean Energy Management (内務省の鉱物資源管理局を再編したもの)は共同で事故の原因を調査している。
下院のエネルギーおよび商業対策委員会は爆発について独自の調査を行っている。
産業界の事故を扱う
Chemical Safety Boardも正式に調査を開始した。

調査の結果、BPに重大な過失があったかどうかで、各社の負担が大きく異なる。
1)米国油濁法  
2) Clean Water Act
3)
共同権益者との関係

2010/8/2  BP、油井完全封鎖へ 

付記

ChevronConocoPhillipsExxonMobilShell4社は721日、将来のメキシコ湾の海底油田の原油流出事故に対応するため、漏れた原油の回収と油井封じ込めを迅速に行うための非営利会社 Marine Well Containment Companyを均等出資で設立すると発表した。

BPは9月19日、Marine Well Containment Companyに参加する意向を表明した。
海底井戸を封じ込める機器をメキシコ湾で操業する全ての石油・ガス会社に利用させる。

2010/7/24  原油流出事故のその後 ー上院小委員会公聴会と原油流出事故対応会社設立 


2010/9/21  中国のBYD、チベットのリチウム会社に出資

中国のリチウム電池、自動車メーカーで、Warren Buffettが10%出資する比亜迪(BYD)は、Tibet Mineral Development Co.から同社の子会社のTibet Xigaze Zhabuye Lithium High-Tech Co. 18%を約30百万ドルで買収する。
Oriental Morning Post 917日に報道した。

BYDはこれにより、リチウム電池の事業を強化する。

Xigazeはチベットの日喀則(シガツェ)市
ZhabuyeXigazeZhongba郡にある扎布耶(ザブイェ)塩湖

Xigaze Zhabuyeはリチウム、ボロン、ポタジウム、金を採掘する鉱山会社で、中国最大、世界3位のZhabuyeリチウム鉱山の20年間の独占採掘権を持っている。

Zhabuye塩湖の炭酸リチウム埋蔵量は240万トンと見られている。

第一期として年産5,000トンを目標に2004年9月に操業を開始したが、資金不足のため、操業を停止している。

Tibet Mineral は、今回の取引はXigaze Zhabuyeに戦略的投資家を引き込むためのものとしている。

Tibet Mineral はほかに、Tibet Jinhao InvestmentにもXigaze Zhabuye4%を売却する。
2社への売却後のTibet Mineral の持株比率は50.72%となる。

Xigaze Zhabuyeでは拡張工事を決めており、先ず、炭酸リチウムを年産8,000トンに引き上げ、拡張工事終了後には、炭酸リチウム 2万トン、酸化リチウム 5,000トン、金属リチウム 500トン、高純度リチウム 200トン、リチウム材 30トン、リチウム化合物 490トンとなるという。

ーーー

比亜迪(BYD)は王伝福が1995年にリチウムイオン電池製造販売のために設立した会社である。
社名は
Build Your Dream から付けた。
現在、リチウムイオン電池の製造で世界第3位で、携帯電話用では世界第1位のメーカーである。

同社は2003年、倒産した中小自動車メーカーの西安秦川汽車有限責任公司を2.7億元(約40億円)で買収し、自動車産業に参入した。

BYD自動車部門は小型車を中心に順調に業績を伸ばし、強みである電池との究極のシナジーをめざして電気自動車の開発に乗り出した。2008年12月、世界初のプラグインハイブリッドカー BYD F3DM を発売した。

2008年9月、米国の著名投資家であるWarren Buffettが2億3000万ドルを投じてBYDの約10%の株式を取得した。

Buffett氏は、「新エネルギーは大変重要な分野だ。すでに風力発電には参入しているが、今後はBYDとともにエコカー分野に積極的に打って出たい」としている。

フォルクスワーゲンは2009年5月、BYDとリチウムイオンバッテリーを使用したEVやハイブリッド車の開発で提携すると発表した。

BYDは2010年1月、電気自動車「e6」を年内に米国市場に投入すると発表した。5人乗り、最高時速140kmで、1回の充電で最大330km走れるという。

BYDは2010年3月、金型メーカーのオギハラから、館林工場(車体鋼板金型を製作)を買収した。


2010/9/22 カスピ海の天然ガス、黒海経由で輸出へ

ルーマニア、アゼルバイジャン、グルジアの3国は本年4月、覚書を締結、均等出資でAzerbaijan-Georgia-Romania Interconnector (AGRI)を設立し、カスピ海の天然ガスをLNGにして黒海経由でEUに送る計画のFSを行うことで合意した。

その後、ハンガリーがこれに参加することとなり、913-14日に4カ国の首脳が集まり、AGRI LNG Companyの設立を決めた。ハンガリー参加後は出資比率は25%ずつとなる。今後、トルクメニスタンなどの参加の可能性もある。

AGRI LNG Companyはルーマニア企業として設立される。
当面の出資は、
ルーマニアの国営 Romgaz、グルジア国営の Georgian Oil and Gas Corporation (GOGC)、アゼルバイジャン国営のState Oil Company of Azerbaijan Republic (SOCAR)

今後6ヵ月で事業化調査を進める。ガス供給量は年80億m3の計画で、建設には4年掛かり、建設総額は予備的に45億〜120億ユーロと見込まれている。

計画内容は以下の通り。

1) アゼルバイジャンのカスピ海沿岸のシャーデニス鉱区などの天然ガスを既存のパイプラインでグルジアを経由、黒海東岸のKuleviのアゼルバイジャン所有の石油ターミナルに送付。(既存のガスパイプラインを補強、Kuleviまで短距離を延長)

Kuleviはアゼルバイジャン所有の石油輸出基地で、扱い能力は年20百万トン、鉄道やタンク、2つの桟橋を持つ。

   
2) Kuleviで天然ガスを液化。

液化能力は25m3でスタート、第二段階で80m3に上げる。
最終的には
200m3を目指す。

   
3) LNGをタンカーでルーマニアのConstanta港に輸送。(小さなLNGタンカーでシャトル輸送)
   
4) Constanta港でLNGを再びガス化し、ルーマニアのパイプライン網に乗せ、一部はルーマニアで消費する。
   
5) ルーマニアのArad とハンガリーのSzegedの短距離をパイプラインで接続してハンガリーのパイプランに乗せ、同国やオーストリアで消費、更にはEU諸国に輸出する。

アゼルバイジヤンなどガスピ海周辺のガス産出国はロシアが中心だった供給先を欧州に広げ、価格交渉力を高める。

アゼルバイジャンやトルクメニスタンなどカスピ海諸国はすでに欧州向けのNabucco Pipelineによるガス供給計画を検討している。これに並行してLNG輸出を進め、輸送手段を多様化する。

ーーー

Nabucco計画カスピ海地域の天然ガスをトルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー経由でオーストリアまで輸送する延長3300kmのガスパイプラインプロジェクトで、ロシアの天然ガス依存度を減らしたいEUが主導している。

2005年にオーストリアのOMV、ハンガリーのMOL、ルーマニアのTransgaz、ブルガリアのBulgargazとトルコのBotasが各16.67%出資のJVNabucco Gaspipeline International を設立した。

2011年建設開始、2014年操業開始の予定で、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアに年間310億m3の天然ガスを送付する。建設費は当初は50億ユーロの予定であったが、79億ユーロに上昇している。

本年6月、トルコとアゼルバイジャンがアゼルバイジャン産天然ガスの供給をトルコが受けることで覚書に署名した。
アゼルバイジャンのカスピ海沖で
のシャーデニス天然ガス田の第2期開発で生産するガスを、トルコが欧州など他国へ再輸出する権利を持つことを明記した。

シャーデニスの第2期開発は2016年に年間160億立方メートル規模のガス産出が見込まれ、ロシアは全量を買い取ると手を挙げていた。
アゼルバイジャンはロシアの影響力拡大を警戒、欧米の後押しもあってトルコへのガス供給を決めた。

付記 2011/7

ナブッコ・ガスパイプラインの建設・運営会社はこのほど、着工時期を2011年末から 13年に延期し、14年末に予定していた稼働時期も17年に先延ばしした。「カスピ海地域と中東からの供給時期の変更」を理由に挙げた。

ーーー

これに対し、ロシアは天然ガスをウクライナやベラルーシを通るパイプラインでEU各国に供給しているが、両国とは紛争を起こしている。

2007/1/10 ロシア・ベラルーシ 石油抗争

このため、ロシアは2つの欧州向けの天然ガスパイプラインを計画している。

一つはノルド・ストリームで、サンクトペテルブルク北方のビポルクから独北東部グライフスバルトまで、バルト海海底約1200キロを結び、年間最大550億立方メートルの天然ガスを供給する。

2005年9月、ガスプロムとドイツの電力会社E.On、及びBASFの関連会社の3社が契約文書に調印した。
Gazprom 51%
Eon 24.5%BASF子会社Wintershall 24.5%の出資で、現在建設中。

もう一つがSouth Streamで、ロシアと中央アジアの天然ガスを黒海海底パイプライン(900km)でブルガリアまで運び、複数経路でイタリア、オーストリアに輸送するもの。

2008年にGazpromとENIが均等出資でSouth Stream AGを設立した。
2015年の稼動を目指し、当初は年間310億m3、最終630億m3の輸送を計画している。
ブルガリア、ハンガリー、セルビア、ギリシャと政府間協定締結済み。

付記

イタリアとロシアの首相は2010年10月、BASFの子会社WintershallがSouth Stream gas pipeline projectに参加するのを認めた。
Wintershallはノルド・ストリームに参加している。

付記 2011/7

サウスストリームでは2011年5月中旬、投資計画決定が12年末に延期された。通過国の許可取得やルート選定で調整が遅れている。稼働時期は15年末から変更せず、ナブッコに先行したい考え。

ーーー

このほか、トルコとギリシャ、イタリアを結ぶITGI Interconnector Turkey-Greece- Italy)も検討されている。
アゼルバイジャン等の天然ガスをアドリア海横断のパイプラインでイタリアまで輸送するもの。

トルコーギリシャ間はトルコのBotasとギリシャのDEPAが、ギリシャーイタリア間はイタリアのEdisonとギリシャのDEPAが契約を締結している。 

ーーー

上記のうち、ノルドストリームはシベリアの天然ガスであるが、他は全て、中央アジアの天然ガスを狙ったもので、量的にも全てが実現することはなく、計画実現に向けた競争は一段と激 しさを増す。

また、天然ガス価格は低迷しており、供給過剰感も強く、事業採算に合うかどうかという問題もある。


2010/9/23 Evonik、カーボンブラック事業を売却へ

Evonik920日、カーボンブラック事業を売却することを決めたと発表した。
この事業を長期的に発展させるためとしている。

同社のカーボンブラック事業は、Cabotに次ぐ世界第二で、2009年の売上高は約10億ユーロ、従業員は12カ国に1,700人。

Evonik の化学部門Evonik Dugussa GmbH2009年末に新しい戦略を採用、主要成長分野に更に明確に焦点を当て、事業を整備すると発表した。
3つのグローバルなメガトレンド、resource efficiencyhealth & nutritionglobalization of technologiesに合わせることにより、世界のスペシャルティケミカル会社のトップ企業の一つとなることを目指す。
このため、平均以上の成長の可能性のある分野に投資を絞ることとした。

カーボンブラック事業はEvonikのコア事業から外れた。
同社では本年初めから、この事業の発展のためのオプションを検討してきたが、このたび、投資銀行に売却を依頼した。

ーーー

Evonik industries AGDegussaを中心とする会社で、ドイツのエネルギー会社RAG Stiftung 74.99%CVC Capital Partners 25.01%を出資する。

2003年にRAGDegussa 50.1%E.Onから買収し、最大株主となり、その後、Degussa株の買い増しを行い、2006年に全株式を取得した。

2007年にRAG はグループを再編し、Degussa (化学子会社) Steag (エネルギー子会社)、RAG Immobilien (不動産子会社)を統合し、新会社をEvonik Industries に改称した。

20086CVC Capital Partners が24億ユーロでEvonik25.01%を取得した。

2007/9/18 Degussa親会社のRAG、グループ再編・改称

現在、Evonik industries AGの下に、100%子会社を3社持つ。

  1)Evonik Dugussa GmbHスペシャリティケミカル

主要製品

Inorganic Materials ゴム強化材
 
カーボンブラック
 湿式シリカ
 ゴム用有機シラン
Advanced & Functional Silanes
 クロロシラン
Technology & Performance Solutions Polymer, Ink & Coating Solusions
 湿式シリカ 
 つや消し剤、その他
Consumer Specialties Care Specialty(Personal Care, Skin Care)
Household Care
Silicone Specialty (PU Foam Additives)
Super-absorber
Dow事業買収
Health & Nutrition 飼料用総合アミノ酸(DL- メチオニン、 硫酸L- リジン、L- トレオニン、L- トリプトファン)  
受託合成ビジネスライン
エボニック レキシム(医薬品・食品グレードアミノ酸、アミノ酸誘導体、ジペプチド)
触媒ビジネスライン
金抽出、化学品・医薬品中間体、金属表面処理の製品、技術、サービス
Coatings & Additives エポキシ樹脂用硬化剤、脂肪族イソシアネート、粉体コーティング用硬化剤、特殊溶剤
コーティング添加剤
接着用原材料樹脂&着色剤
ハイパフォーマンスオイル粘度指数向上剤、流動点降下剤
ファーマポリマー
Performance Polymers Acrylic Monomers=Roehm買収
Acrylic Polymers=
Roehm買収
High Performance Polymers
Industrial Chemicals ブタジエン、アルキルクロライド類、酸無水物、過酢酸、トリアセトンアミン
1- ブテン、DINP、アルコキシド類、塩化シアヌール、イソノナノール、過酸化水素など

  2)Evonik Steag GmbH:石炭火力発電と再生可能エネルギー

ドイツ国内で9ヶ所の石炭火力発電所と2ヶ所の石油精製発電所を運営
コロンビア、トルコ、フィリピン国内に石炭火力発電所を所有
ドイツにおける坑内ガス、バイオマス、地熱エネルギーのマーケットリーダーの一つ

  3)Evonik Immobilien GmbH:不動産事業

ドイツにおける民間住宅のリーディングカンパニーの一つ
ノルトライン・ヴェストファーレン州を中心に住宅を約
60,000軒所有
75,000以上の住宅を所有するTHS GmbHの株式の50%を保有

最近の業績は以下の通り。(百万ユーロ)

  Chemicals Energy Real Estate 全社 合計
2009 2008 2009 2008 2009  2008 2009 2008 2009 2008
Sales  9,978  11,762  2,558  3,399  378   375   162   337  13,076  15,873
EBITDA 1,602 1,626 418 517 183 217 -178 -195 2,025 2,165
Operating Income 698 575 310 478 133 162 -246 -323 895 892
Net Income                 240 281

2009年のChemicalsの部門別業績は以下の通り。

  Sales EBITDA
Inorganic Materials   1,803 222
Consumer Specialties 1,502 192
Health & Nutrition 1,602 602
Coatings & Additives 1,333 255
Performance Polymers 1,116 61
Industrial Chemicals 1,956 242
Others 664 28
Chemicals 合計 9,978 1,602

 


2010/9/24 タイ マプタプットで抗議集会開催か

化学プラントが集中するタイ東部RayongMap Ta Phut工業団地で地元住民と環境保護団体が、昨年来凍結されていた事業のほとんどの再開が認められたのに抗議するため、9月30日に抗議集会を開く見通しとなった。

工業団地の封鎖を図る可能性があり、同工業団地を管轄するタイ工業団地公社は警戒態勢を最高レベルに引き上げた。

ーーー

タイ中央行政裁判所は2009年9月、同国東部のRayongMap Ta Phut地区で計画されている石油化学などの76事業について、違憲の訴えの最終判決を下すまで一時凍結するようタイ政府に命じた。

2007年の憲法改正で、従来の環境影響アセスメント(EIA)に加え、健康影響アセスメント(HIA)と公聴会が必要とされるようになったが、政府がHIAを見る独立機関を設置していないため、HIAは実施しておらず、同地区の住民と環境保護団体がPTTなどの事業が憲法の要件を満たしていないとして行政裁に建設中止を求めていた。

急激な重工業化にともない同地区と近隣一帯で、住民たちは十数年前から大気や水汚染による環境・健康被害を訴えてきた。1990年代末には悪臭騒ぎで学校が避難・休校となり(数年後に移転)、「マプタプット公害問題」が全国でも知られるようになった。

タイ政府は10月2日、凍結命令の取り消しを最高行政裁に求めたが、タイの最高行政裁判所は12月2日、76計画のうち11計画(後に更に1計画)のみ、環境上の問題がないとして建設を認めたが、残り64計画については政府指名の委員会による調査の間、凍結されることとなった。

三菱レイヨンは12月16日、この影響で、建設中のタイMMAMMAモノマー増設工事(第二系列 9万トン)を一時凍結したと発表した。

2009/12/4 タイ最高行政裁判所、マプタプットの石化計画などの凍結を継続

ーーー

政府は2010年8月31日に開いた閣議で、国家環境委員会(委員長・アピシット首相)がまとめた天然資源環境省通達を承認した。

現行憲法が定めるHIAおよびEIA、地域住民への公聴会、独立機関による審査を必要とするプロジェクトの要件を明確に定めた法令が初めて規定されることになった。
その中で、
「環境に影響を与えかねない事業」のリストを作成し、次の11事業を審査の対象とすることとした。

(1)海の埋め立て(48ヘクタール以上)
(2)鉱山
(3)工業団地、工業用地開発
(4)石油化学の上流・中流事業
(5)精錬、鍛造
(6)放射性物質の製造、廃棄
(7)廃棄物処理
(8)空港(滑走路3000メートル以上)
(9)港湾
(10)ダム、貯水池(貯水量1億立方メートル以上、もしくは面積15平方キロ以上)
(11)発電所

リスト内に各業種で環境アセスメントが必要となる事業の内容、規模などが規定されている。

中央行政裁は9月2日、一連の施策により「違憲」状態は解消されたとして、「11事業以外は再開可能」との判断を示した。

Map Ta Phut 地区で凍結されていた64件のうち、日系企業8件を含む62件が再開を認められる。

新日本製鉄や住友商事ら日本側71.5%、タイ側28.5%出資のブリキメーカー、Siam Tinplateは9月16日、操業再開許可を受け取った。
政府は9月17日までに61の事業に続行を許可する文書を送付した。

実際には中央行政裁はこれまでに64件のうちの15件の再開を承認しており、49件が残っていた。
(中央行政裁は本年5月に、旭化成/PTT/丸紅のPTT Asahi Chemical
のアクリロニトリルとACH法MMA計画及びPTT Chemical子会社Thai Ethanolamines の計画の再開を承認している。)

付記
宇部興産は建設を進めていたナイロン6樹脂の増設新設備(5万t/年)を本年10月より段階的に商業生産を開始すると発表した。
この設備は、行政訴訟に伴い一時停止対象となっていたが、タイ中央行政裁判所が事業再開を認めたことを受け、当初計画より1年遅れての操業開始となった。

環境に悪影響があるとして凍結が継続されるのは次の2件。
 ・
PTT Chemical の子会社TOC Glycol.EOEG 計画
 ・
Siam Cement GroupThai Plastic & Chemical VCM計画

PTT Chemical 自身のHDPE(50,000)、子会社Bangkok Polyethylene HDPE(250,000t)JVのエタノールアミン(50,000t)などは操業が認められた。
(石化事業で上記
2件のみが凍結された理由は不明)

今後、上記の2件は新たに設けられた環境面の審査に進む。

ーーー

NGOと地域住民は政府が規定した「有害産業活動11業種」に反発し、リストの見直しを要求、対応によっては工業団地への妨害活動に踏み切ると発表した。

規制業種リストは政府の作業部会が住民らと話し合って決めた段階では18業種が対象だったが、このうち7業種を政府が勝手にリストから外し、住民側が不満を強めている。

マプタプット問題の解決に取り組むアナン元首相も、「解決委員会では18業種を提案していた。どのような理由で11業種にしぼられたのか詳しい説明を求めたい」とし、「プロジェクト再開で公害問題が悪化した場合、政府は被害の全責任を負うべき」と訴えている。

大手環境団体も、「NGOや有識者の意見を聞くこともなく、公聴会も実施されずに規定されたリストには納得がいかない。住民との摩擦が悪化するばかり」とし、アピシット首相にリストの早急な見直しと差し替えを求めた。

 


2010/9/25 サウジAl Jubail Industrial City 

Foster Wheelerは98、サウジのGulf Farabi Petrochemicalから Al-JubailでのLinear Alkyl Benzene 増設のproject management consultancy (PMC) 契約を締結したと発表した。

Gulf Farabiはサウジの8人の個人投資家がつくった会社で、Al Jubailにn-paraffins 120千トン、Linear alkyl benzene (LAB)70千トンを生産、n-paraffinsのうち55千トンをLABに使用、残りを輸出している。
今回、
LAB100千トン増設する。

Al-Jubail Industrial Cityはサウジのペルシャ湾岸にある。

Gulf Farabiのホームページに同社の立地の地図が掲載されている。Al-Jubail Industrial Cityの東南端(敷地図では右下端)にある。

Al-Jubail Industrial City で稼動中の企業の概要は以下の通り。
青数字は
SABIC関連、赤数字はその他。

  社名 株主 製品
@ AL-Jubail Fertilizer Company
(ALBAYRONI)
SABIC 50%
Taiwan Fertilizer Company 50%
Ammonia, Urea,
2-Ethyl Hexanol,
DOP1385
A National Chemical Fertilizer Company
(IBN AL-BAYTAR)
SABIC 50%
SAFCO 50%
Ammonia, Urea,
Compound Fertilizer
B Saudi Arabian Fertilizer Company
(SAFCO)
SABIC 41% Ammonia, Urea, Sulphuric Acid,
Melamine
C National Methanol Company
(IBN SINA)
SABIC 50%
Hoechst-Celanese Duke and Energy 50%
Chemical Grade Methanol,
MTBE
D Saudi-European Petrochemical Company
(IBN ZAHR)
SABIC 80% MTBE, Polypropylene
E SABIC Technology Center-Jubail
(STC-J)
SABIC 100% direct technical support to all SABIC affiliates
F Jubail United Petrochemical Company
(UNITED)
SABIC 100% Ethylene, Polyethylene,
Ethylene Glycol,
Linear Alpha Olefins (LAO)
G Saudi Methanol Company
(AR-RAZI )
SABIC 50%
日本・サウジアラビアメタノール 50%
(
三菱ガス化学主導).
Chemical Grade Methanol
H National Industrial Gases Company
(GAS)
SABIC 70% Oxygen, Nitrogen,
Argon, Krypton-Xenon
I Eastern Petrochemical Company
(SHARQ)
SABIC 50%
サウディ石油化学(SPDC)
LLDPE, Ethylene Glycol
2

EthyleneMEGLLDPEHDPE
J Saudi Petrochemical Company
(SADAF )
SABIC 50%
Pecten (Shell) 50%
Ethylene, Crude Industrial Ethanol,
Styrene, Caustic Soda, EDC, MTBE
K Saudi Iron & Steel Company
(HADEED)
SABIC 100% Steel Rebar, Wire Rod,
Steel Sections, Flat Steel
L Al-Jubail Petrochemical Company
(KEMYA)
SABIC 50%
Exxon Mobile 50%
LLDPE, Ethylene Glycol
M Arabian Petrochemical Company
(PETROKEMYA)
SABIC 100% Ethylene, Polystyrene,
Butene-1,
Propylene, Natural Gasoline
Butadiene, Benzene
National Plastic Company
(IBN HAYYAN )
SABIC 86.5% VCM, PVC, PVC Paste
 ー Ibn Hayyan Plastic Products Company
(TAYF )
SABIC 57.17% Plastic boards, wall covering,
artificial leather, Dioctyl Phthalate,
book binding products
       
@ Saudi Arabian Lubricating Oil Company (Petrolube) Advance Petroleum Services 100%
(←Saudi Aramco 71%
   Mobil Investments 29%)
lubricant
A National Petrochemical Industrialisation Co.
(Tasnee Petrochemicals)
National Industrialisation Company 51% 2006/5/13 
サウジの民間ポリオレフィン計画
B Sipchem Al-Zamil Group 11% 2010/8/12 
サウジのSipchem、酢酸エチルを事業化
C Saudi Chevron Phillips Petrochemical Chevron Phillips Chemical 50%
Saudi Industrial Investment Group 50%
        
Benzene, Cyclohexane
  Jubail Chevron Phillips Company Chevron Phillips Chemical 50%
Saudi Industrial Investment Group 50%
benzene, ethylbenzene
SM, Propylene
Gasoline
  Saudi Polymers Company Chevron Phillips Chemical 35%
National Petrochemical Company 65%
(建設中)
ethylene, propylene, 1-hexene
PE,
PP, PS 
D Arabian Amines Company
(AMINE)                    
Huntsman 50%
Al Zamil 50%
Amine
E Saudi Aramco Shell Refinery Co.
(SASREF)
Aramco 50%
Shell 50%
Chemical Feed Naphtha,
Dual Purpose Kerosene,
Ultra Low Sulfur Diesel
,
Fuel Oil, LPG
F Gulf Farabi Petrochemical private-sector n-paraffins
linear alkyl benzene (LAB)

 

 


2010/9/27 欧州委、テロ対策で化学物質規制へ

欧州委員会は9月20日、自家製爆弾に使用されないよう、化学品の販売を規制する案を発表した。
現在はEU加盟国で規制が異なるが、共通の厳しい規制を設けるもの。

最近のテロリストの攻撃では、普通の人が購入できる化学品で作られており、染毛剤やトイレの洗剤に使われる過酸化水素は2005年のロンドンの地下鉄同時テロで使用され、52人が死亡した。

規制対象品は一定の濃度を超えた場合に販売を禁止される。
消費者は代替製品の使用が可能であり、またライセンスを得れば購入は可能となる。
一部の製品については、販売は可能であるが、疑わしい取引については報告が必要となる。

この案は欧州議会と加盟国政府の承認を得て、18ヶ月以内に施行される。但し、化学品の購入は施行後36ヶ月は認められる。

禁止製品(記載濃度以上のもの)

過酸化水素 (Hydrogen peroxide) 12% w/w
ニトロメタン (Nitromethane) 30 % w/w
硝酸 (Nitric acid)  3 % w/w
塩素酸カリウム (Potassium chlorate) 40 % w/w
過塩素酸カリウム (Potassium perchlorate) 40 % w/w
塩素酸ナトリウム (Sodium chlorate) 40 % w/w
過塩素酸ナトリウム (Sodium perchlorate) 40 % w/w
硝酸アンモニウム (Ammonium nitrate) 16% by weight
(硝安中の窒素の量)

要報告製品

ヘキサミン (Hexamine)
硫酸 (Sulphuric acid)
アセトン (Acetone)
硝酸カリウム (Potassium nitrate)
硝酸ナトリウム (Sodium nitrate)
硝酸カルシウム (Calcium nitrate)
アンモニウム-硝酸カルシウム (Ammonium calcium nitrate)

 

規制提案
http://ec.europa.eu/commission_2010-2014/malmstrom/archive/COMM_NATIVE_COM_2010_0473_F_EN_PROPOSITION_DE_REGLEMENT.pdf


2010/9/28 Petrobras、700億ドルの史上最大の増資

ブラジルのPetrobrasは9月23日、ブラジル政府や投資家を対象に史上最大規模の株式発行を実施し、計1,204億レアル(700億ドル≒約5兆9000億円)の増資を行った。

優先株18億7000万株を@26.3レアルで、普通株24億株を@29.65レアルで、それぞれ発行した。(1$=1.72レアル)
当初の計画増資額は670億ドルであったが、これを上回った。

これまでの最高は1987年のNTTの368億ドル、次が本年初めのAgricultural Bank of China221億ドルとされている。

今回の増資は、米州で発見された油田としては埋蔵量が過去30年で最大のTupi など沖合油田の開発資金の調達や、投資適格級格付けの維持が狙い。

Petrobrasは2010-2014年の期間に2,240億ドルを投じて開発し、2014年までに産出量を倍増の日量390万バレルとし、ブラジルを世界5位の産出国、トップ10の石油輸出国にする計画をたてている。

2009-2013年の5年間で1,740億ドルの計画。
2009/1/31 
Petrobras、新油田開発で大規模投資計画を発表

実際には既存株主から570億ドル、機関投資家から300億ドルの合計870億ドルの応募があったとされる。中東やアジアの政府系ファンド、米国の投資信託からの応募も含まれる。

このため同社では30日以内に追加の18800万株の発行を行う予定。

付記  
同社は、増資により財務体質が大きく改善したため、借入などで今後5年間で600億ドルの調達を行う方針を示した。

同社は9月1日、ブラジル政府との間で、国が保有するブラジル南岸の深海鉱区の原油50億バレル相当の所有権を同社に移転することで合意した。政府は見返りに748億レアル分の新株を取得する。

水面下50007000メートル程度の深海油田でPre-Salt層(海底岩塩下層)にある。
この取引で、埋蔵原油は1バレル8.51ドルの評価となり、アナリストの予想(7.50ドル)より高い。

ブラジル政府はPetrobras株の32%を保有し、議決権の55.6%を握っていたが、これにより政府の出資比率は大きく上昇する。
政府の支配力が強まると見られ、1999年代の民営化を元に戻る動きと見る向きがある。


2010/9/29 三井物産、インド医薬品中間体・原薬製造受託企業に資本参加

三井物産は9月22日、医薬品中間体・ 原薬製造受託事業(Contract Manufacturing Organization:CMO事業)を手掛けるインドのArch Pharmalabsの第三者割当増資の引受けについて契約を締結したと発表した。
10月中を目処に、
Arch Pharmalabs株式の約5%を約12億円で取得する。

1999年設立のArch Pharmalabsは、ムンバイに本社を置く有力な医薬品中間体・原薬製造受託メーカーで、インド国内に11の製造拠点と開発拠点を保有し、欧米の大手製薬企業をはじめ、中東・東南アジア等の製薬企業に高血圧、高脂血症、抗生物質、 抗がん剤等向けの中間体・原薬を供給している。

売上高は約220億円で、従業員は2,164人(2010/5/31現在)。

三井物産出資後の株主は以下の通り。

  創業者グループ   34.27%
  ファンド*   43.28%
  三井物産   5.25%
    17.20%

   *次のファンドが出資している。
     
ICICI Ventures:インドNo.2のICICI Bankのファンド
     
Swisstec Ventures: スイス連邦経済省経済事務局(SECO)のファンド
     
Infrastructure Leasing & Financial Services(IL&FS):インドの開発会社

世界の医薬品業界は、新薬開発費の増大や、いわゆる2010年問題と称される主力製品の一斉特許切れによる売上減少などの課題を抱えている。
欧米製薬企業では、既に開発及び製造コスト軽減のためにアジア、とりわけ価格競争力と高い技術力を備えたインドの製造受託メーカーの積極的な活用が進んでおり、今後は日本の製薬企業でもインドの製造受託メーカーを活用する動きが拡大すると予想されている。

三井物産では、本事業を通じて、CMO事業で「世界の工場」となりつつあるインドの競争力ある高品質な医薬品中間体・原薬を日本の製薬企業に提供し、国内製薬 業界の競争力強化に貢献するとともに、今後、医薬品の需要の拡大が見込まれるアジア市場への安定的な医薬品中間体・原薬の供給にも寄与することを目指す。

ーーー

三井物産は、欧米及び日本の製薬企業との40年以上にわたる取引関係を通じ、医薬原料・中間体・原薬の供給から、製薬企業に対する製造委託の提案や製造管理・物流支援まで、製薬企業の医薬製造支援を幅広く行っている。

同社は2008年にコンシューマーサービス事業本部にメディカル・ヘルスケア事業部を新設し、これまで複数の部署で取り組んできた医療・健康関連のビジネスを集約した。

次の2つを事業の柱とする。

 「医薬バリューチェーン」

研究開発を含む製薬から流通・販売にいたるバリューチェーン全体を視野に、医薬品業界に対するソリューションプロバイダーとなることを目指す。

 「ヘルスケアサービスネットワーク」

医療、予防、介護の事業者間の相互連携を図り、国内では地域ごとに医療・予防・介護の各事業者間で連携を図る地域包括的なケアネットワークを構築、海外ではアジアを中心とするグローバルヘルスケアネットワークの構築をミッションとする。

ーーー

三井物産は2010年1月、アジアで幅広く医薬品の治験支援事業を手掛けるシンガポールのGleneagles CRC の第三者割当増資を引き受け、50%弱 の株式を約4億円で取得した。

Gleneagles アジア最大の病院グループを形成するParkway GroupParkway Group Healthcare 100%子会社で、シンガポール、中国、フィリピン、タイ、オーストラリア、インドネシア、韓国で治験支援事業(治験モニタリング、データ管理、データ統計解析等)を行っている。
欧米製薬企業より、主に癌、循環器、消化器関連薬の治験支援事業を上記のアジア7カ国で受託している。

三井物産にとって、総合商社として初めてアジアでの治験支援事業への本格参入となる。

ーーー

三井物産は2009年6月、リクルートが保有する保健同人社の全株式を取得し、出資比率を33.5%から83.6% とし、子会社化した。

保健同人社は1946年に結核啓発を目的に雑誌「保健同人」を創刊してから60年以上にわたり、成人病・生活習慣病の 予防と啓発、人間ドックの開発、電話健康相談、メンタルヘルス、インターネットや携帯電話による健康情報の発信等、科学的根拠に基づく、最新の医療・健康情報とサービスを提供している。

 


2010/9/30  PetroChinaとロシアのRosneftが天津で製油所建設

PetroChinaとロシアのRosneft(ロスネフチ)は9月21日、天津の南港工業区で両社のJVの製油所の起工式を行った。

300億人民元を投じて年産1300万トンの製油所を建設するもので、両社のJVの中露東方石化(天津)〔
Chinese-Russian Eastern Petrochemical (Tianjin)〕が運営を担当する。JVは2007年10月にPetroChinaが51%、Rosneftが49%の出資で設立された。

1300万トンの常圧・減圧蒸留装置、270万トンの連続改質装置、400万トンの残油改質装置、芳香族とプロピレン製造装置(能力非開示)などの装置を含んでいる。

業界筋の情報では、製油所の完成は2015年を予定しており、ガソリン、ディーゼル油、航空機燃料、液化ガスなどの製品は主に中国市場に向けられる。

ロシア側が原油の約70%を市場価格でJVに供給し、残りの30%はアジアで手配する。

なお、天津には他に、Sinopec天津石化が年産550万トンの製油所を、Sinopec-SABIC石化が1000万トンの製油所を持っている。中露東方石化が完成すると、天津の製油所能力は2850万トンに達する。

起工式には天津で開催された第6回Russian-Chinese energy talksに出席した王岐山副首相とロシアのセチン副首相が出席した。

PetroChinaの総経理は、中露合弁の製油事業は中国の原油構造の高度化、中露エネルギー関係の促進、天津の経済発展の推進など重要な意義を備えていると述べた。

セチン副首相は、この事業のスタートはマイルストーン的意義があるとし、両国の石油川下部門の協力が始まり、両国友誼の象徴になるだろうと述べた。

中国とロシアのエネルギー協力の成果としては、他に、8月29日にはロシアと中国を結ぶ石油パイプラインのロシア側の敷設完了のセレモニーが行われ(下記)、9月9日には、ロシアから中国向けの石炭輸出拡大契約が調印された。

ーーー

中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。中国開発銀行が
Rosneftに150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneft に100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneftは2011年から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneft は石油パイプラインを中国に延長することとなった。

2010年8月29日、ロシアと中国を結ぶ石油パイプラインのロシア側の敷設が完了、プーチン首相出席の下、稼働セレモニーが行われ、技術テストが始まった。
胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、ロシア・スコボロジノから中国・大慶までの約千キロの石油パイプラインの完工式に出席した。そこから既存のパイプラインで大連、北京につながる。
年内にもロシアから中国への原油供給が開始される。

当初、ロシア側はこの原油が天津のJVで使われることを希望していたが、
PetroChinaでは遼寧省の製油所拡大など、中国北東部の製油所で全量を使用することを決めたため、本年7月時点では、天津のJVの原油ソースが決まっていなかった。

2009/7/22  CNPC、ロシアからの原油用に遼陽市の製油所を拡大

業界筋の情報では、これとは別に、ロシア側が年間910万トン(所要量の7割)をJVに供給することとなり、建設開始が決まった模様。

なお、胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、石油、ガス、石炭、原子力をめぐり両国間の関係を深めるための合意文書に署名した。

石炭での協力、原子力の平和利用に関する戦略的協力、中国北方工業公司と世界最大のアルミメーカー
Rusalとの間の投資の覚書(2009年にRusalからのアルミ供給契約を締結している)、江蘇省の田湾原子力発電所のNo.3とNo.4をめぐる技術協力、ロシアから中国向けの天然ガスの供給拡大、中国工商銀行とVTB Bankの金融協力などが含まれる。

GazpromPetroChinaに対し、2015年から30年間、年300億m3の天然ガスを輸出する。

共同記者会見で、中ロの協力は「新たな出発点にある」と表明、さらなる関係強化を呼び掛けた。

ーーー
Rosneftはロシアの石油会社で、ロシア政府が75.16%を所有、残りは公開されているが、国有財産管理庁に管理されており、実質的にロシアの国営企業である。
サハリン、シベリア、
Timan-Pechora行政区、そしてチェチェンを含む南ロシアで石油と天然ガスを生産している。
2009年に1億800万トンの原油を産出している。

Rosneftは又、Sinopec とも提携している。

両社は2006 11 月に戦略的枠組み協定に調印し、TNK-BP Tyumen OilBPの合弁)からUdmurtneft(沿ヴォルガ地域)油田を買収、共同経営を開始した。

Sinopec Rosneft からサハリン3の一部 Veninsky oil project 25.1%の権益を取得している。(残り74.9%はRosneft
なお、
Sinopecが最近、開発がうまくいかないとして技術者を引上げたとの情報がある。

サハリンの各鉱区の最新状況は下記を参照
  2006/6/6 
「新・国家エネルギー戦略」発表


 次へ

 最新情報は http://knak.cocolog-nifty.com/blog/