ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用

Tetra Pak11月25日、ブラジルのBraskemのグリーンプラスチック(HDPE)を容器の製造に試用する契約を締結した。

Braskemはさとうきびからのエタノールを原料とする年産20万トンのポリエチレン(HDPE & LDPE)プラントを建設中で2010年末に生産開始の予定であるが、Tetra Pak2011年初めから年間5,000トンを購入する。
これは同社のHDPE使用量の5%に当たり、プラスチック合計の1%弱となる。

Tetra Pak食品用の紙容器の開発・製造を主たる業務とするスウェーデンを本拠とする国際企業で、世界150カ国以上を市場として活動を展開している。同社の容器入り製品販売個数は2008年で 約1,413億個に達する。
液体食品の容器に耐水性、酸素バリア性、耐衝撃性などをつけるため、紙にポリエチレンやアルミ箔をラミネートしている。

同社ではこれはグリーンポリエチレン使用の小さな第一歩だが、容器に再生可能材料を使用するというコミットメント示すものだとしている。

ーーー

Braskemは2007年6月21日、サトウキビから作ったエタノールを原料にHDPEを製造するのに成功したと発表した。
同社の
Technology and Innovation Centerで開発した競争力ある技術を使用した。

世界で初めて100%バイオマス由来であることが、米国材料試験協会が定める測定法ASTM D6866に基づき、放射性炭素測定研究所 Beta Analyticにより認証された。

同社は200812月に、取締役会がグリーンポリエチレン計画を承認したと発表した。

約250億円を投じて、Rio Grande do Sul 州Triunfo市Southern Petrochemical Complex でさとうきびエタノールから年産20万トンのエチレンとポリエチレン(HDPE+LDPE)を生産する。

同社ではグリーンポリエチレンの需要を国際市場で60万トン程度とみており、既存の製品の価格に15〜30%のプレミアムを付ける考え。

ーーー

豊田通商は2008年9月、Braskem 2011年までに世界で初めて商業生産を開始する植物由来ポリエチレンに関し、日本を含むアジア地 区の販売パートナーとしての業務提携を行うことに合意した。

同社は2007年にBraskem グリーンプラスチック開発プロジェクトに参加した。

付記

日本ポリエチレン(JPE)は2010年12月7日、この販売に関して豊田通商と提携すると発表した。

植物由来PEの各種の用途及び成形において必要とされる成形支援等、各種のテクニカルサービスへの協力を行うと同時に、JPEとしてこれをベースとした製品の開発・販売を実施する。

ーーー

Braskemは本年7月、ブラジルのプラスチックフィルムメーカーのAcinplasとの間で、グリーンポリエチレン供給の契約を締結した。
ブラジルや欧州のスーパーマーケットで売られる野菜や果物用の有孔フィルムに使用する。

 

参考  2007/7/27 Dow、ブラジルでサトウキビからLDPE製造

 


2009/12/2 IPCCデータの捏造疑惑

11月20日に英国の East Anglia大学Climate Research Unit のサーバーへのハッカーの攻撃で、多数のemailデータが持ち出され、公開された。

一覧表は http://www.eastangliaemails.com/index.php 
Wall Street Journal による抜粋:
 http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704779704574553652849094482.html

Climate Research UnitProfessor Phil Jonesと米国や英国の研究者の間のemailなどで、科学的データの議論や、公表するかどうか、懐疑派に対してどのように反論するかの議論などが含まれている。

懐疑派の生データ要請を拒否してきたが、論文審査(peer-review)では生データが必要となる。懐疑派が'Climate Research' 誌を買収したため、これに論文を出すのを止めようとするメールもあった。

"I think we have to stop considering 'Climate Research' as a legitimate peer-reviewed journal."
"Perhaps we should encourage our colleagues in the climate research community to no longer submit to, or cite papers in, this journal." (from Mr. Mann to several recipients in March 2003)

「科学とIPCCのニーズは必ずしも同じではないが、これまで合わせるよう努力してきた」とのメールもある。

多くの新聞が取り上げ、例を詳細に説明している。Cimate-gate と呼ばれている。
 
Wall Street Journal  http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704888404574547730924988354.html
 New York Times    http://www.nytimes.com/2009/11/21/science/earth/21climate.html?_r=1

Fox Newsのアンカー、グ レン・ベックにより報道されたClimateGate がYouTubeに出ている。
  
http://www.youtube.com/watch?v=OIVAhIjRYHE

メールの中に、Michael Mannが科学雑誌“Nature”に発表した有名なHockey Stick曲線についてのPhil Jonesのメールがある。

直線から急激に曲がっている形がホッケーのスティックに似ていることから、Hockey stick曲線と呼ばれる。

Michael Mannは「この急カーブは19世紀以降の地球温暖化を物語っており、このままでは地球は悲劇的な事態に陥る。ただちに化石燃料の使用を減らして二酸化炭素の排出を抑えるべきである」と主張、このグラフはIPCCの報告書で何回も引用され、Mann自身が2001年からIPCC報告書の執筆者に選ばれるようになった。

しかしこの曲線の正しさについては、McIntyre & McKitrick
による批判、ドイツのハンブルク大学のvon Storch教授の批判など、論争となった。

問題のメールは以下の通りで、気温の下降を隠すために、Mannが1981年以降20年間、同Climate Research Unit Keith Briffa1961年以降、実際の気温にプラスした“Trick” について述べている。

From: Phil Jones
To: ray bradley,[email protected], [email protected]
Subject: Diagram for WMO Statement
Date: Tue, 16 Nov 1999 13:31:15 +0000
Cc: [email protected],[email protected]

Dear Ray, Mike and Malcolm,
Once Tim's got a diagram here we'll send that either later today or first thing tomorrow. I've just completed
Mike's Nature trick of adding in the real temps to each series for the last 20 years (ie from 1981 onwards) and from 1961 for Keith's to hide the decline. Mike's series got the annual land and marine values while the other two got April-Sept for NH land N of 20N. The latter two are real for 1999, while the estimate for 1999 for NH combined is +0.44C wrt 61-90. The Global estimate for 1999 with data through Oct is +0.35C cf. 0.57 for 1998. Thanks for the comments, Ray.

Cheers
Phil

East Anglia大学ではデータが盗まれたことを認め、警察に調査を依頼したとしたが、公表されたものが本物かどうか不明としている。しかし、New York Times によると、コンタクトした何人かの科学者はメールの受信、発信を認めている。

Phil Jonesは上の記録が本物だと認めたが、「下降を隠す」というのをどういう意味で言ったのかは覚えがないとしている。

New York Times は、これらの書類は、疑いもなく、特定の問題についての調査の質や特定の科学者の行動について疑問を投げかけるものになろうとしている。.

懐疑派のMike Shedlockは、Beware The Ice Age Cometh: Hackers Prove Global Warming Is A Scam のタイトルで本件について詳細に述べている。

東京大学の大プロジェクトIR3Sの叢書「地球温暖化懐疑論批判」が、データに基づき懐疑論を打破しているが、データそのものに疑惑が出てくると、ますます懐疑派が勢いづくこととなろう。

ーーー

更にこの後、University of East Anglia は彼らの地球温暖化説の基礎となる生の気温データを廃棄していたことを明らかにした。
新しいビルへの移転時に場所がないので捨てたという。

懐疑派はこれまで生データがどのように加工されたのか疑問視していたが、過去150年にわたる長期的な気温上昇の計算根拠をチェックできないことを意味する。

 

付記

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の議長Rajendra Pachauri 氏は124日のBBCラジオのインタビューで、いわゆるClimateGateについて、詳しく調査すると述べた。

「全体を調査し、我々の立場を明らかにする。隠したりしない」としている。


2009/12/3 事業仕分け:漢方薬等の保険適用外し

行政刷新会議の事業仕分け初日の11月11日の午後、第2Working Groupで、漢方薬等の市販品類似薬を保険対象外とする方向性が出された。

これは、事業番号2-5「後発医薬品のある先発品などの薬価の見直し」で取り上げられた。

このうち、市販品類似薬については、事前に配布された財務省側の論点シートでは以下の通りとなっている。

C市販品類似薬の薬価は保険外とする

 
湿布薬・うがい薬・漢方薬などは薬局で市販されており、医師が処方する必要性が乏しい
            ↓
 国民の税金・保険料で持ち合う公的医療保険の対象として、湿布薬・うがい薬・漢方薬などは薬局で市販されているものまで含めるべきか、見直すべきではないか。

評価者のコメント:

●薬価、医療材料の価格を下げることは、国民にとっても、保険制度にとっても必要なことである。
●医療業界は全体的に閉鎖的。健全な市場形成に向け取り組むべき。
●先発薬の価格引き下げによって、1兆円の利益を上げている製薬会社の研究開発意欲が削がれるのか。
●処方された薬を全て保険適用にすべきではなく、数量の制限、金額の制限を導入すべき。
●薬剤の先発品を後発品価格まで下げることが望ましい。
●国民目線が欠如している。安全な薬を安価で提供すべき。医師・薬剤師が本人に説明し選ばせることも必要。国からももっと情報提供が必要。
●市販品類似薬は保険対象外とすべき。単価比較をすれば、市販品の方が安くなるデータもある。材料の内外価格差も同様。
●市販品を拡大して、保険適用外にするのは賛成だが、薬局だけでなく、スーパー、コンビニ、ネットで買える製品のスコープを広げて欲しい。
●ドラッグラグを広げないよう、新薬の認可手続きを迅速化すべき。

評価結果: 見直し
 廃止 0名
 自治体/民間 0名
 見直しを行わない 0名
 見直し 15名
   ア 先発品を後発品薬価を目指して見直し 13名
   イ 医療材料の内外価格差解消 12名
   ウ 調整幅2%の縮小 9名
   
エ 市販品類似薬は保険外 11名
   オ その他 3名


とりまとめコメント:
アの先発品薬価を後発品薬価を目指して見直すことについては当WGの結論としたい。但し、保険適用範囲をジェネリック価格に絞るべきという意見と、一般名処方を原則として後発品シェア拡大の為の情報提供を進めるべきという意見の双方が出ている。いずれにしても、トータルの薬価を大幅に削るという方向性で全体のコンセンサスは取れた。
イの医療材料の内外価格差解消についても当WGの結論とする。
ウの調整幅2%の縮小については、半数強の方の意見があったが、十分に議論ができなかったこともあり、有力な意見が示されたという取り扱いとさせていただきたい。
エの市販品類似薬を保険外とする方向性については当WGの結論とするが、どの範囲を保険適用外にするかについては、今後も十分な議論が必要である。

ーーー

保険適用外となった場合、「混合診療の禁止」の原則により、医療機関で処方することは実質的に不可能になる。
(仮に 医者に漢方薬を処方してもらおうとすれば、薬代だけでなく治療費まで含めて全額自己負担になってしまう。)

日本東洋医学会、日本臨床漢方医会、NPO健康医療開発機構、医療志民の会の4団体は12月1日、保険適用継続を求める約27万人分の署名を、厚生労働省に提出した。

「現在、医師の7割以上が漢方薬を使用して、国民の健康に寄与してきた。また、全国の医学部・医科大学でも医学教育の中に漢方教育が取り入れられ、日本東洋医学会で専門医教育も行われ、専門家育成も進んでいる」とし、「国民の健康を守るためになくてはならない漢方薬・煎じ薬が健康保険で使えなくなることに、断固反対をする」としている。

長妻昭厚労相は会見で「患者の負担も増える話で、(保険から)ただちに外すのは疑問がある。要望などを見て判断したい」と述べた。

漢方薬も薬であり、特に処方されるクラスの薬剤になると副作用や他の薬剤との飲み合わせによる効果が出てくる可能性が十分にあるため、医師の処方がないと危険との指摘もある。
例えば、風邪にも用いられる一般的な漢方薬の小柴胡湯はインターフェロンとの併用で間質性肺炎の副作用を起こす可能性があることが知られている。

ツムラの芳井社長は11月12日の中間決算説明会で、「漢方医学の現状を知らない人たちの議論。なぜこういうことになるのか分からない」と強く反発した。「保険削除されたらツムラは間違いなく倒産する」と危機感を露わにし、「漢方薬と日本の伝統医学が消えてなくなることにもなる」と強調した。

また、民主党のマ ニフェストで、漢方医学を取り上げている矛盾を指摘し、「明らかにマニフェストと違う方針であり、漢方医学を知らない人だけの議論で保険適用外の話が進められるはずがない」と一蹴した。

民主党マニフェスト 医療政策(詳細版)

●統合医療の確立ならびに推進
漢方・健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧・鍼灸・柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療としての科学的根拠を確立します。アジアの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討します。

ーーー

民主党マニフェスト 医療政策(詳細版)の項目は以下の通り、非常に多岐にわたっている。

社会保障制度の安定
●国の責任で社会保障制度を維持発展
●医療は提供する側と受ける側の協働作業

予防医療の推進
●予防医学の推進

医療の安心・納得・安全
●医療の安心・納得・安全
●医療事故の原因究明および再発防止
●無過失補償制度の創設

国民皆保険制度の維持発展
●後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化
●包括払い制度の推進
●新しい医療技術、医薬品の保険適用の迅速化
●後発医薬品(ジェネリック薬品)

医療提供体制の整備
●医師養成数を1.5倍に増加
●現役医師の有効活用策で医療従事者不足を軽減
●臨床研修の充実
●勤務医の就業環境の改善
●医療従事者の職能拡大と定員増
●救急搬送・救急医療の連携強化
●国立高度専門医療センター・国立病院の機能の明確化

診療報酬
●地域医療を守る医療機関を維持
●レセプトオンライン請求の原則化

各診療科・疾患対策
●がん対策
●安心して産み育てることのできる医療
●歯科医療改革
●新型インフルエンザ対策
●アスベスト健康対策
●カネミ油症被害者対策
●肝炎総合対策
●難治性疾患対策
●心身医学
●統合医療の確立ならびに推進
●長期療養病床計画

http://www.dpj.or.jp/policy/koseirodou/index2009_medic.html

付記

最終的に集まった92万通以上の署名を背景に、民主党など与党3党が12月17日、政府へ提出した予算要望で漢方薬の保険適用継続を求めた。


2009/12/3 「ナフサ免税」継続 

峰崎副財務相と増子副経済産業相が12月3日、財務省内で会談し、2010年度税制改正の焦点となっているナフサに対する租税特別措置について、課税化を見送り、免税措置を継続することで一致した。

ーーー

石油化学工業協会は11月19日、政府税制調査会で租税特別措置の見直し等の一環として、ナフサ等石油化学原料の免税に手を加えようとする動きがあることに対し、重大な懸念を表明、非課税の原則が貫かれるよう強く要求するとする緊急決議を行った。

2009/11/20 石化協が緊急決議 「ナフサ等原料非課税の原則を守れ」

政府税制調査会(会長・藤井財務相)は11月20日、租税特別措置の存廃をめぐって本格的な議論をスタートさせた。

会合では、増子経産副大臣が、ナフサの免税措置について「製造業の基盤で、雇用確保にもつながっている。課税すれば国際競争力が著しく低下する」と主張。特例ではなく「本則化すべきだ」と、恒久化を要求した。
これに対し、査定側の古本財務政務官は免税措置の導入時と比べて円高が進み、原油の輸入価格が低下していることなどを挙げ、「ナフサをまったく議論もしない『聖域』でいいのか」などと反論した。

日本経団連の御手洗会長は11月24日の記者会見で、各種の租税特別措置の見直しに関し、「立法時の趣旨と違ったものや機能していないものはやめればいい」 と理解を示す一方、技術革新を促す研究開発優遇税制や石油化学製品の基礎原料であるナフサへの免税措置については、「本則化し、恒久化すべきだ」との考えを示した。

11月30日の税調の会合では「保留」とされたが、財務省の古本政務官 が「期限の定めがあるものから」と発言。事実上、揮発油税分の議論を先送りする意向を示した。

ナフサ等の課税には来年3月末に期限切れとなる石油石炭税と、期限を定めず免税となっている揮発油税があるが、後者の議論を先送りにするというもの。

  石油石炭税 揮発油税
税率 原油・石油製品 2,040 円/KL
[本則の税率]
   24,300 円/KL (国税)
  +4,400 円/KL (地方税)
     
[暫定税率]
  24,300 円/KL (国税)
  + 800 円/KL (地方税)
     
53,800 円/KL  
     
免税の
定め方
租税特別措置法で2年毎に延長
(来年3月末で期限切れ)
租税特別措置法で期限を定めず
に免税
免税
相当額
  約1,000億円   約3兆円

今回、石油石炭税についても免税としたもの。

ただ、政府税調内にはナフサ免税を問題視する意見が根強く、来年以降もエネルギー課税全体の議論の中で引き続き見直しを検討する。


2009/12/4 タイ最高行政裁判所、マプタプットの石化計画などの凍結を継続

タイ中央行政裁判所は9月29日、同国東部のRayongMap Ta Phut地区で計画されている石油化学などの76事業について、違憲の訴えの最終判決を下すまで一時凍結するようタイ政府に命じた。

付記

三菱レイヨンは12月16日、この影響で、建設中のMMAモノマー増設工事(第二系列)を一時凍結したと発表した。

タイMMA社(三菱レイヨン50.01%、SCGケミカルズ:サイアムグループ 46%、その他3.99%)がC4法で9万トン設備を建設中で、当初は2010年2Qに生産開始の予定であった。

裁判が長引けば外国直接投資や雇用、経済全体への悪影響が避けられないと見られ、タイ政府は10月2日、凍結命令の取り消しを最高行政裁に求めた。

  2009/10/7 タイの行政裁判所、ラヨンの76事業に凍結命令

これに対して、タイの最高行政裁判所は12月2日、76計画のうち11計画のみ(後に更に1計画)、環境上の問題がないとして建設を認めた。
しかし、残り64計画(合計80億米ドルに達する)については政府指名の委員会による調査の間、凍結されることとなった。
(政府は最近、問題解決のため元首相を委員長とする委員会をつくった)

タイの外資1万社が加盟する外国商工会議所の会長は、「裁判所の判断は尊重するが、タイへの投資家の信頼を損なうことは確かだ」と述べた。「これらの計画の資金繰りがおかしくなる。政府が早期に解決して欲しい」としている。

2007年発効のタイの現行憲法は地域の環境・健康に被害を与える恐れがある事業活動について、
▽環境・健康アセスメントの実施
▽公聴会の開催
▽ 環境・健康アセスメントを行う独立機関の設置――を義務付けている。

同地区の住民と環境保護団体がPTTなどの事業が憲法の要件を満たしていないとして行政裁に建設中止を求めていた。

2007年の憲法改正で、従来の環境影響アセスメント(EIA)に加え、健康影響アセスメント(HIA)と公聴会が必要とされるようになった。
しかし、政府が
HIAを見る独立機関を設置していないため、HIAは実施していない。

この地域の環境整備を13年にわたり政府に求めていた環境グループは、この間工場からの公害で2000人が癌で死んでいるとしている。(但し医者は因果関係を認めていない)

事業継続を認められた事業には以下のものがある。

Aditya Birla Chemicals (インド)
PTT Aromatics and Refining
Star Petroleum Refining Chevron/PTT JV
Indorama Petrochem(タイ)

Siam Cementの20のプロジェクトのうち、18プロジェクトが凍結となった。PTT24計画のほとんどが凍結となった。

凍結となったものには、PTTの780百万ドルのガス分離プラント、PTT Chemical のPE増設、Siam Cement のオレフィン増設などが含まれる。

ーーー

付記

その後、タイ政府は環境・健康影響評価や周辺住民への公聴会、独立機関による承認など手続きを決めた。
「環境に影響を与えかねない事業」のリストも作成し、11事業を審査の対象とすることを閣議決定した。

8月31日に公布されたタイ天然資源・環境省通達で環境アセスメントが必要と規定された11業種は
(1)海の埋め立て(48ヘクタール以上)
(2)鉱山
(3)工業団地、工業用地開発
(4)石油化学の上流・中流事業
(5)精錬、鍛造
(6)放射性物質の製造、廃棄
(7)廃棄物処理
(8)空港(滑走路3000メートル以上)
(9)港湾
(10)ダム、貯水池(貯水量1億立方メートル以上、もしくは面積15平方キロ以上)
(11)発電所
で、リスト内に各業種で環境アセスメントが必要となる事業の内容、規模などが規定されている。

中央行政裁は2010年9月2日、一連の施策により「違憲」状態は解消されたとして、「11事業以外は再開可能」との判断を示した。

Map Ta Phut 地区で凍結されていた64件のうち、日系企業8件を含む62件が再開を認められる。

新日本製鉄や住友商事ら日本側71.5%、タイ側28.5%出資のブリキメーカー、Siam Tinplateは9月16日、操業再開許可を受け取った。

環境に悪影響があるとして凍結が継続されるのは次の2件。
PTT Chemical Plcの子会社TOC Glycol Co.ethylene oxideethylene glycol 計画
Siam Cement GroupのThai Plastic & Chemical Plc VCM計画

PTTCH自身のHDPE(50,000t)、子会社Bangkok Polyethylene のHDPE(250,000t)、JVのエタノールアミン(50,000t)は操業が認められた。

今後、2件は新たに設けられた環境面の審査に進む。

PTT Chemical Siam Cement は、凍結された2事業は政府の環境に影響を与えかねない事業」には属しておらず、年内には再開できるだろうとしている。

マプタプット工業団地で9月6日、政府が規定した「有害産業活動11業種」に反発するNGOと地域住民がリストの見直しを要求、対応によっては工業団地への妨害活動に踏み切ると発表した。

アナン元首相は、「プロジェクト再開で公害問題が悪化した場合、政府は被害の全責任を負うべき」と訴えている。

大手環境団体でも、「NGOや有識者の意見を聞くこともなく、公聴会も実施されずに規定されたリストには納得がいかない。住民との摩擦が悪化するばかり」とし、アピシット首相にリストの早急な見直しと差し替えを求める意向だ。

政府がこれらの要求を無視した場合、NGOや地域住民側では9月30日に抗議活動を実施するとしている。


2009/12/5 事業仕分け:科学技術予算カット批判への反論

11月13日と17日の事業仕分け第3WGで科学技術予算が取り上げられた。結論は以下の通り。

項目名 WG結論                 
3 - 17 (独)理化学研究所@ 次世代スーパーコンピューティング技術の推進 来年度の予算計上の見送りに
限りなく近い縮減
3−18 (独)理化学研究所A 大型放射光施設(SPring-8) 1/3から1/2程度予算縮減
植物科学研究事業 1/3程度予算縮減
バイオリソース事業
3−19 (独)海洋研究開発機構 深海地球ドリリング計画推進 予算要求の1割から2割縮減
地球内部ダイナミクス研究 少なくとも来年度の予算の計上は
見送り
又は予算要求の半額縮減
3−20 競争的資金(先端研究) [予算] 科学技術振興調整費(外5) 予算は整理して縮減
競争的資金(先端研究) [制度] 一元化も含めシンプル化
3−21 競争的資金
(若手研究者育成)
@科学技術振興調整費 予算要求の縮減
A科学研究費補助金
B特別研究員事業
3−22 競争的資金
(外国人研究者招へい)
世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム 予算要求の縮減
学術国際交流事業
3−23 地域科学技術振興・
産官学連携
@知的クラスター創成事業、都市エリア産学官連携促進等 廃止
A産学官連携戦略展開
B地域イノベーション創出総合支援
3 - 24 (独)科学技術振興機構 理科支援員等配置事業 廃止
日本科学未来館予算 縮減

 

3-33 (独)宇宙航空研究開発機構@ GXロケット 来年度予算計上は見送り
3-34 (独)宇宙航空研究開発機構A 宇宙ステーション補給機(HTV) 予算要求の縮減(1割)
衛星打ち上げ
(24年度以降打ち上げ分)
予算要求の縮減(1割)
3-35 その他分野特定型 原子力システム研究開発事業 予算要求の縮減(2割)
先端計測分析技術・機器開発事業 予算要求の縮減(1割〜2割)
3-38 ライフサイエンス分野 革新的タンパク質 細胞解析研究
イニシアティブ(ターゲットタンパク研究プログラム)
予算要求の縮減(2割〜半減)
革新的医療品・医療機器の創出に向けた研究 
分子イメージング研究戦略推進プログラム
(第U期)
予算要求の縮減(2割〜1/3程度)
感染症研究国際ネットワーク推進プログラム
(第U期)
廃止又は
予算要求の縮減(2割〜半減)
3-39 科学技術振興調整費 女性研究者支援システム改革 予算要求の縮減(1/3程度)
3-40 研究環境国際化の手法開発   廃止
3-41 情報システム借料、開発・改修
経費
  予算要求の縮減(2割〜3割)
3-36 (独)日本原子力研究開発機構
 @
高速増殖炉サイクル研究開発
(もんじゅ及び関連研究開発)
事業の見直し*
材料試験炉研究開発(JMTR)
3-37 (独)日本原子力研究開発機構
 A
高レベル廃棄物処分技術開発
(深地層部分)
結論持ち越し
国際熱核融合実験炉研究開発
(ITER サテライト・トカマク計画)

* 3-36
   
経済産業省と文部科学省の責任、役割分担が不明確であり、その整理をしなければ結論を出すのは困難。
   ただし、その前提の上であるが、もんじゅ本体の再開は残し、それ以外は凍結という大方の方向も示された。

 

これに対し、11月25日にノーベル賞受賞者(江崎利根川 野依 小林各氏)・フィールズ賞受賞者(森 重文氏) が「事業仕分けに対する緊急声明」を出した。

資源のない我が国が未来を持つためには、「科学技術創造立国」と「知的存在感ある国」こそが目指すべき目標でなければならない。この目標を実現す るために、苦しい財政事情の中でも、学術と科学技術に対して、科学研究費補助金を始め、それなりの配慮がなされてきた。このことを私たちは、研究者に対する国民の信頼と負託として受け止め、それに応えるべく日夜研究に打ち込んでいる。
学術と科学技術は、知的創造活動であり、その創造の源泉は人にある。優秀な人材を絶え間なく研究の世界に吸引し、育てながら、着実に「知」を蓄積し続けることが、「科学技術創造立国」にとって不可欠なのである。この積み上げの継続が一旦中断されると、人材が枯渇し、次なる発展を担うべき者がいないという 《取り返しのつかない》事態に陥る。
現在進行中の科学技術および学術に関する予算要求点検作業は、当該諸事業の評価において大いに問題があるばかりではなく、若者を我が国の学術・科学技術の世界から遠ざけ、あるいは海外流出を惹き起こすという深刻な結果をもたらすものであり、「科学技術創造立国」とは逆の方向を向いたものである。
学術と科学技術に対する予算の編成にあたっては、このような点検の結論をそのまま反映させるのではなく、学術と科学技術の専門家の意見を取り入れ、大学や研究機関運営の基盤的経費や研究開発費等に関する配慮を行い、将来に禍根を残すことのないよう、強く望むものである。

ノーベル化学賞受賞者で、理化学研究所の野依理事長は11月25日、自民党文部科学部会に出席し、理化学研究所が主体で研究開発している次世代スーパーコンピューターの開発予算が事実上凍結されたことについて、「不用意に事業の廃止、凍結を主張する方には将来、歴史の法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」と痛烈に批判した。
「科学技術振興や教育はコストではなく投資だ。コストと投資を一緒くたに仕分けするのはあまりに見識を欠く。次世代スパコンはいったん凍結すると、瞬く間に各国に追い抜かれ、その影響は計り知れない」と強調した。

一方、事業仕分け人に加わったJT生命誌研究館館長の中村桂子さん(元 三菱化成生命科学究所部長)は12月4日の毎日新聞で以下の通り反論した。

私は日本の予算作りのシステムを変えるきっかけにしたいと思って、悩んだ末に仕分け人を引き受けました。
仕分け人の皆さんはよく勉強し、それぞれの専門や経験に基づいて発言していました。

継続中の事業を切ると問題が起きることは分かるので、複雑な思いはありました。しかし、ここで考え直すことが必要だと考えたのです。
科学技術基本法施行(95年)以後、科学も学術も「科学技術」という言葉で一くくりにした結果、短期的な成果を求めて限られた分野に莫大な予算が集中し、科学者は「役に立つ」という言い方で研究費を獲得するようになりました。真の継続性なしに、あたかも役に立つことができたかのように言い、必要なところにお金が回らず、無駄も増えました。この風潮を懸念している科学者は多いのです。大型プロジェクトに無駄がないとは決して言えません。

(ノーベル賞受賞者をはじめとする批判について)
科学技術の重要性を否定した仕分け人はいません。大事なのだから、もっと有効に限られたお金を使おうという努力です。そうそうたる学者や学長が、頭ごなしに「科学技術の大事さがわかっていない」とおっしゃる姿には違和感を覚えました。お金でなく、研究の魅力を語り、それへの共感を基本に、この国の学問を育てようと提案してほしかったです。

(閣僚が「科学技術については政治判断する」と発言した)
今回の判定がすべて正しいとは思いません。意見が分かれた場合、無理やり一つの結論にまとめたり、長期的に見て疑問に思う点もありました。全体を見て、再検討する機会が必要でしょう。
しかし、透明性をもって専門家の意見を聞くことなく、政治判断だけで結論を変えたのでは、システムを変えたいと思って参加したのに、何のためだったのか分からなくなります。

世界の情勢をきちんととらえ、無私の気持ちで研究のあり方を考える専門家の議論を踏まえて、必要なところに必要な予算がいくシステムをつくることが不可欠です。

ーーー

スーパーコンピューターについての仕分け人のコメントは以下の通り。

10ぺタスパコンを開発することが自己目的化している。巨額の税金を投入して世界最高水準のスパコンを創る以上、大事なのはスパコンを生かして、どのような政策効果を出していくのかを、明確にできなければ、国費投入は無理である。
必要最低限の予算へ見直しをする。来年度はこの開発計画を一度凍結し、計画の根本見直しをする。
一旦総合科学技術会議なりに戻して、何を実現するために何が必要かを見直すべき。ハードの戦いではなく、ソフトの戦いをするべき。
総合科学技術会議への差し戻し、再検討。科学技術の必要性、重要性は理解できるが、国民の理解には至っていない。世界一の頂のみを目指す時代ではない。
開発体制そのものの見直しが必要。システム部分等をカット。
ベクトル、スカラーの選択も、十分な総括ができていない。この段階で十分な説得力のない「世界一」という目的だけで、多額の投資をすべきではない。世界一番乗りと財政状況とのバランスを考えれば、これまでの経緯を踏まえ、基礎研究部分のみを残す。
技術は蓄積されているので、ここで計画を見直し、当初の目的に沿うようにする。抜本的変更が必要。
これまでの開発費の有効利用を考えての見直し。当初目的を満足しているのか、なぜNECが撤退したのか等の理由等を調査。立ち止まって見直しをする。世界一を目指す必要はない。
スパコンの国家戦略を再構築すべきである。従来の検討者以外の新しい研究者を入れて、新しい議論を公開しながら行うべき。現状はスパコンの巨艦巨砲主義に陥っていないか。競争のルールが変わってきている可能性はないか。世界の中での位置づけを検討すべき。おそらく日本の先端技術についての国の形を変えるかどうかを検討することになるだろう。
戦略の見直しをじっくりやってはどうか。
トヨタもF1から撤退した。苦渋かつ前向きの判断を。研究者が夢を追うだけではなく、一般人が「なるほど、巨額の税金投入の意義がある」と得心できる説明ができなければOKできない。日米共同なども模索すべき。

東京大情報基盤センターの金田教授は毎日新聞で次のように述べている。

科学は世界一を目指すものだ。それは全く否定しない。ただしスパコンは他の研究に使われる道具だ。道具が必ず「世界一」である必要があるのか。それを使い生まれた成果が世界一であることこそ重要だろう。

スパコンはマシンの速度と動かすプログラムの質がかみ合って性能を発揮する。低速のマシンでもいいプログラムを動かせば上位をしのげる。現計画は無意味な「コンテスト」の勝利が目的のよう だ。しかも近く米国で20ペタマシンが登場し、その勝利すらおぼつかない。

10ペタマシン(1秒間の演算回数が10x1000兆)は、部品数から故障率が 1ペタの10倍以上に達し、プログラムを書くのも非常に難しい。計算機への意識が低い日本は、質の高いプログラムを書ける研究者が極端に少ない。現実には 「使えない」マシンになるだろう。

10ペタ1台の価格で安定して十分高速な1ペタが10台以上作れる。それを意欲ある大学院生らにどんどん使わせる。それが日本の科学を底上げする政策だし、プログラムが書ける研究者の育成にもつながる。

私は事業仕分けで計画の見直しを主張した。それは開発停止、凍結という意味ではない。10ペタへのこだわりを捨て、内容を変更すべきという考えだ。当然スパコン開発は継続せねばならない。日本にまだない1ペタ級のベクトル型、スカラー型のマシン複数をすぐに導入し、広く使ってもらう。そのうえで 次々世代の革新的スパコン開発に挑戦すべきだと考えている。

昨年、自民党のなかで事業仕分けを行った河野太郎議員はブログ「ごまめの歯ぎしり」(河野太郎の国会日記 2009/11/27)で以下の通り述べている。

ノーベル賞受賞者が総理に陳情に行かれたが、やや、論点がずれている。

科学技術を大事だと思わない仕分け人はいなかっただろう。
しかし、科学技術が大切だから、何でもかんでも予算をつけろというわけにはいかない。科学技術が大切だからこそ、予算を有効に使うべきだ。

たとえばスパコン。スパコンのシミュレーション能力が、様々な分野での国際競争力に直結しているのは事実だ。
だからスパコンの開発が大切だというのは理解できる。

では、世界で一番速いスパコンと二番目に速いスパコンでどの程度の差があるのか。競争力にどれだけの開きが出るのか。開発費用がどのくらい違うのか。文科省は全く説明ができない。

どれだけのスペックのものを作れば、その後、どれくらいの期間、どうなるのかという説明もない。開発しようとしているスペックの妥当性について、説明は何もない。諸外国のプロジェクトと比べてコストがどうなのかという説明もできない。

文科省の計画では、次世代のスパコンは、ベクトル型とスカラー型の複合システムとして開発するという方針の下、ベクトル型のNEC・日立とスカラー型の富士通の三者が開発に取り組んできた。しかし、途中でNECと日立が離脱し、富士通のみが開発を担当することになった。

ベクトル型とスカラー型の複合システムが良いといった最初の計画は、何だったのか。スカラー型でよいならば、なぜ最初からそうしなかったのか。こうした指摘にも文科省は答えていない。

莫大な予算をかけてスパコンを開発するというならば、ある程度、世の中の質問に文科省は答えなければならないはずだ。

質問に答える反射能力が問われているようだと言った科学者がいたが、とんでもない。スパコンのこうした疑問は去年から出されている話だ。

科学技術は大切だという大項目で話をしているノーベル賞受賞者と一つ一つの事業を見て、その事業にかけられているコストが適正かどうか、コストの理由が明確になっているかどうかを検証している仕分け人と、論点が違っている。

スパコンにしても、GXロケットにしても安易に予算を戻してはいけない。

事業仕分けの有効性がこれだけ知れ渡ったのだから、国会の予算委員会で、一つ一つの事業を取り上げて、それぞれの事業の予算の議論をするべきだ。

予算委員会でスキャンダルの話をしたり、つまらない演説を延々とされたりするよりも、省庁別の分科会にして、事業仕分けをやっていくべきだと思う。

 

付記

文部科学省は12月11日、「次世代スーパーコンピューター」の開発計画を変更する方針を決めた。

事業仕分けでは「世界一を目指す意義が不明確」などと批判され、専門家からも「より使い勝手の良いものを」という意見が出された。
世界一を目指す立場には固執せず、各地の大学が遠隔地からも研究に参画できるよう、ネットワーク機能の強化をめざす方向で検討する。

目標に掲げていた1秒間に1京(1兆の1万倍)回という演算性能は維持するが、計画変更により、目指していた2012年の完成が遅れ、世界一を獲得できない可能性も出てくるが、研究体制の充実を優先する。

政府は12月16日、2010年度予算案の大臣折衝を行い、次世代スーパーコンピューター開発について、他の文科省予算の50億円削減を条件に、概算要求より約40億円削減した227億円の計上を認めた。
スパコン事業も計画を変更し、総事業費を従来の1230億円から110億円を削減することにした。

ーーー

宇宙航空研究開発機構やIHIなどが官民共同で開発に取り組んできた国産中型ロケット「GX」については計画中止が決まった。

実現にはさらに1000億円近くの 開発費が必要で、国内外の衛星打ち上げ需要も見通せないため、政府の宇宙開発戦略本部が12月16日に会合を開き、「政府としては、GXロケットの本格開発には着手せず、取りやめる」との見解を発表した。

中型衛星の打上げは現状と同様に、H-IIAロケットによって対応が可能という。
LNGエンジンはバックアップ機能を含め、ロケットの選択の幅の拡大に役立つものとして、開発が続けられる。

付記

IHIは2010年1月、GXの設計・開発を目的に設立したギャラクシー・エキスプレス(同社が4割強出資)を清算する方針を固めた。民間だけでは事業として成り立たないと判断した。


2009/12/7 韓国のLPGカルテルで過去最高の課徴金

韓国の公正取引委員会は12月2日、液化石油ガス(LPG)供給会社6社が2003年から08年にかけての6年間にわたり、価格談合を繰り返していたとして、過去最高となる6,689億ウォン(約506億円)の課徴金を課すことを決定した。
このうち、自己申告した2社に合計2,596億ウォンが免除される。

対象となったのは、LPG輸入会社のE1 CorpとSKガス、販売会社のSKエナジー、GSカルテックス、現代オイルバンク、S-OILの合計6社。

6社は毎月のLPG供給価格決定に際し、事前に情報交換を行い、価格を同一水準に設定していた。
E1とSKガスの価格決定担当者が会合を持ち、双方の価格を確認したり、価格変動幅を協議したりし、残る4社は輸入2社から価格を通知されていた。LPG充てん所に低価格を提示し取引先を拡大する行為を行わないことでも合意していた。

公取委は昨年これらの会社がほぼ同時期に価格引き上げの動きを見せたことから調査に着手し、6社の役員が定期的な会合などを通じて価格引き上げ幅と時期を事前に調整していたことをつかんだ。
これらの会社が6年ほど前から価格などを談合して得ていた不当な利得は数兆ウォンに達するといわれる。

企業別の課徴金は以下の通り。

  免除額 課徴金  
E1 Corp    1,894億ウォン  
GSカルテックス     558億ウォン  
S-OIL     385億ウォン  
現代オイルバンク     263億ウォン  
SKエナジー  1,602億ウォン     0  最初に自己申告
SKガス   994億ウォン   994億ウォン 2番目に自己申告
合計  2,596億ウォン  4,094億ウォン  

これまでで最大の課徴金は2009年7月に携帯電話用半導体チップメーカーのクアルコムが自社モデムチップを使わない携帯電話メーカーに対して高いロイヤルティを課したこと、及びリベート提供などの不公正取引の容疑で課された2,600億ウォン。

公取委の鄭委員長は就任後初の記者会見を9月に開き、「大企業は韓国の経済発展の牽引車の役割を果たしてきた」と功労を認めた上で、「しかし、不当行為に対しては公取委の力量を集中して厳しく監視する」と述べた。

委員長は、「最大の課徴金の場合は、企業の利益ではなく、関連売上高を基準に10%を科す」とし、「一度の課徴金を科されると、企業の存立が危うくなることもある」と述べた。

政府は1997年に石油産業事業化の宣言して価格告示制を廃止し、事業者が自由に価格を決定するようにした。さらに2001年にはLPG業界の価格も自律的に決めるようにした。公取委ではLPGメーカーらは政府の政策を悪用したと判断した。

付記

LPG輸入会社のE1は20105月24日、ソウル高裁に処分取り消しを求める行政訴訟を起こしたことを明らかにした。
「課徴金の金額が多いからではなく、他社との談合の事実もないのに、談合だと判断されたため、課徴金の支払い命令自体が不当だという趣旨で提訴した」と説明した。

GSカルテックス、Sオイル、現代オイルバンクも不服申し立て期限の5月27日までに、高裁に行政訴訟を起こすか、公取委に異議申し立てを行う 構え。


2009/12/7 Climategate事件のその後

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は12月4日、地球温暖化データを科学者が故意に操作したともとれるClimategate事件について声明を発表した。データは多くの科学者が検証し各国政府も承認したものだとして、報告書の内容が覆ることはないとしている。

2つの声明が出された。
第一はIPCC議長の
R.K. Pachauriによるもので、第二はIPCCWorking Group Iの共同議長のProf. Thomas StockerProf. Qin Dahe によるもの。

Statement of news reports regarding hacking of the East Anglia University email communications

It is unfortunate that an illegal act of accessing private email communications between scientists who have been involved as authors in IPCC assessments in the past has led to several questions and concerns. It is important for me to clarify that the IPCC as a body follows impartial, open and objective assessment of every aspect of climate change carried out with complete transparency. IPCC relies mainly on peer reviewed literature in carrying out its assessment and follows a process that renders it unlikely that any peer reviewed piece of literature, however contrary to the views of any individual author, would be left out. The entire report writing process of the IPCC is subjected to extensive and repeated review by experts as well as governments.
Consequently, there is at every stage full opportunity for experts in the field to draw attention to any piece of literature and its basic findings that would ensure inclusion of a wide range of views. There is, therefore,
no possibility of exclusion of any contrarian views, if they have been published in established journals or other publications which are peer reviewed.
I would also like to highlight the fact that the summary for policymakers of all the reports of the IPCC are
accepted and approved by all the governments of the world. Even at the stage of approval of the summary for policymakers of any report, which is carried out word by word, omissions if any would be highlighted by government representatives in the course of the approval.
In summary, no individual or small group of scientists is in a position to exclude a peer-reviewed paper from an IPCC assessment. Likewise, individuals and small groups have no ability to emphasize a result that is not consistent with a range of studies, investigations, and approaches. Every layer in the process (including large author teams, extensive review, independent monitoring of review compliance, and plenary approval by governments) plays a major role in keeping IPCC assessments comprehensive, unbiased, open to the identification of new literature, and policy relevant but not policy prescriptive.
The unfortunate incident that has taken place through illegal hacking of the private communications of individual scientists only
highlights the importance of IPCC procedures and practices and the thoroughness by which the Panel carries out its assessment. This thoroughness and the duration of the process followed in every assessment ensure the elimination of any possibility of omissions or distortions, intentional or accidental.

R.K. Pachauri
Chairman Intergovernmental Panel on Climate Change

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Statement by Working Group I of the Intergovernmental Panel on Climate Change on stolen emails from the Climatic Research Unit at the University of East Anglia, United Kingdom

Working Group I of the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) firmly stands behind the conclusions of the IPCC Fourth Assessment Report, the community of researchers and its individuals providing the scientific basis, and the procedures of IPCC Assessments.
Comments on blogs and in the media about the contents of a large number of private emails stolen from the Climatic Research Unit at the University of East Anglia, United Kingdom, have questioned both the validity of the key findings of the IPCC
s Fourth Assessment Report (AR4) and the integrity of its authors. IPCC WGI condemns the illegal act which led to private emails being posted on the Internet and firmly stands by the findings of the AR4 and by the community of researchers worldwide whose professional standards and careful scientific work over many years have provided the basis for these conclusions.
The key finding of IPCC AR4, "
The warming in the climate system is unequivocal [...] ", is based on measurements made by many independent institutions worldwide that demonstrate significant changes on land, in the atmosphere, the ocean and in the ice-covered areas of the Earth. Through further, independent scientific work involving statistical methods and a range of different climate models, these changes have been detected as significant deviations from natural climate variability and have been attributed to the increase of greenhouse gases.
The body of evidence is the result of the careful and painstaking work of hundreds of scientists worldwide. The internal consistency from multiple lines of evidence strongly supports the work of the scientific community, including those individuals singled out in these email exchanges, many of whom have dedicated their time and effort to develop these findings in teams of Lead Authors within the production of the series of IPCC Assessment Reports during the past 20 years.
The IPCC assessment process is designed to ensure consideration of all relevant scientific information from established journals with robust peer review processes, or from other sources which have undergone robust and independent peer review. The entire report writing process of the IPCC is subjected to extensive and repeated review by experts as well as by governments. Consequently, there is full opportunity for experts in the field to draw attention to any piece of published literature and its basic findings that would ensure inclusion of a wide range of views.

Prof. Thomas Stocker  Co-Chair, Working Group I
Prof. Qin Dahe
 Co-Chair, Working Group I

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欧米のメディアはClimategateについて大きく取り上げており、12月7日からコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議 (COP15)に影響するのでは、といった声も上がっている。こうしたことから、IPCCは公式に見解を明らかにしたとみられる。

これを受けて日本でもようやく報道されるようになった。(朝日新聞は当初に報道)


2009/12/8 シノペック、エクソンからLNGを長期購入

パプアニューギニアLNG(PNG LNG)計画の運営を担当するExxon Mobil 123日、シノペックに年間200万トンのLNGを供給する契約を締結した。
山東省のシノペックの
LNGターミナルに20年間供給する。

シノペックの同ターミナルは現在建設中の第一期が年300万トンで、第二期では500600万トンに拡大する。

中国は原油輸入依存と石炭燃焼の公害問題を懸念し、LNGの比率を高めようとしている。

PetroChina は豪州のGorgon ガス田LNGをExxonMobilからは20年間にわたり年間225万トン、Shellからは同じく20年間にわたり年間200万トンを購入する契約を締結している。

なお、東京電力は12月5日、豪州Gorgonガス田の隣のWheatstone LNG プロジェクトの11.25%をChevronから取得したと発表した。
Chevronが中心となって開発中で、同国北西部沖合の海底ガス田で天然ガスを産出、同国内で精製・液化する。2016年度以降操業を開始、年間最大860万トンを生産する計画。

Chevron  63.75%  
東京電力  11.25%  
Apache  26.25%  米国独立系
Kufpec   8.75%  Kuwait Foreign Petroleum Exploration Co.

東電がこのプロジェクトで調達を見込む年間LNG量は、権益による確保分(100万トン)と購入分(310万トン)を合わせ、東電が火力発電で年間に消費するLNGの約2割に相当する最大410万トン。 

東京電力は12月7日、Papua New Guinea LNGから、2013年後半から20年間、年180万トンを輸入すると発表した。

ーーー

PNG LNG 計画は、パプアニューギニア中央部のサザンハイランズ州および ウエスタン州に位置するガス田(Juha、Hides、Angore) および油・ガス田(Moran、Kutubu、Gobe)から生産される天然ガス(随伴ガスを含む)を、全長750km超のパイプラインで首都ポートモレスビー近郊まで輸送し、今後建設予定のLNGプラントで液化する同国における初のLNGプロジェクトであり、LNGの生産数量は年間630万トンを見込んでいる。

12月8日、事業化に向けた最終投資決定について、プロジェクト参加企業間で合意した。

千代田化工は12月9日、日揮と共同で LNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を受注したと発表した。

LNG液化施設能力 年産630万トン(315万トン x 2系列)
生産開始時期予定 2013年10月〜12月
パイプライン 陸上300km+海上450km
LNG関連施設建設費見込み 100億ドル超

Papua New Guinea LNG Global Company LDCの参加者は以下の通り。
(2009年12月8日 最終決定)  

  権益比率 当初案  
ExxonMobil  33.2%  41.50% オペレーター
Oil Search  29.0%  34.04% パプアニューギニア法人
Santos  13.5%  17.69% 豪州大手石油会社
Nippon Papua New Guinea LNG
(日本パプアニューギニア石油の
 
100%子会社Merlin Petroleum
 の子会社)
  4.7%   5.34% 2008/12月 豪州のガス・電力供給会社
AGL Energy保有の権益(3.6%)を取得
IPBC  16.6%   − パプアニューギニア政府機関
Mineral Resources Development   2.8%   1.18% パプアニューギニア政府系企業
Petromin
(元の出資者のEda Oilが移管された)
  0.2%   0.24% パプアニューギニア政府系企業

日本パプアニューギニア石油は1990年6月設立で、事業目的はパプアニューギニアにおける石油、天然ガスおよびその他鉱物資源の探鉱・開発・採取ならびに鉱業権の取得・売買および貸借となっている。

政府が62.03%、新日本石油開発が36.41%、三菱商事が1.56%を出資する。

新日本石油グループは、オセアニア地域を石油・天然ガス開発のコア・エリアの一つと位置づけており、パプアニューギニアにお いては、1990年より原油の探鉱・開発に従事し、同国初の原油生産事業に参画してきた。
本LNG計画についてもその検討の開始段階からプロジェクトパートナーとして取り組んできた。

 


2009/12/9 中国の自動車用コンパウンドメーカー、NASDAQ上場

中国最大の自動車用コンパウンドメーカーのChina XD Plastics Company は1127、NASDAQに上場した。
これまで
1年弱、店頭株式として取引されていた。

付記
China XD Plasticsは2011年11月1日、Morgan Stanley Private Equity Asia が優先株を1億ドル購入したと発表した。
全額転換すれば持株比率23.8%となり、会長に次ぐ第二位の株主となる。

黒竜江省ハルビンに本拠を置く China XD Plastics 100%子会社のHarbin Xinda Macromolecule Material で主として自動車用のコンパウンドの開発・製造・販売を行っている。

同社は1985年にHarbin Xinda Nylon factoryとして設立された。
25年の歴史を持ち、19系列で年産7万トンの能力を持つ。製品の約90%が自動車用となっている。

付記
同社の2010年の能力は10万トンになった。

同社は2010年10月、2011年に能力を135千トンに増やすと発表した。

製品は6つのグループから成る。
 Modified PP、Modified ABS、Modified Nylon、Alloy Plastics、
 Environment Friendly plastics、Engineering Plastics

同社の特殊プラスチックは中国で製造される30以上のモデルの自動車(Audi紅旗、VolkswagenMazdaなど)の内装(インストルメントボード、グローブボックスなど)、外装(バンパー、ドアミラーなど)や機能部品(エンジンカバー、エアコンシェルなど)に使用されている。

中国の自動車生産は、2006年が730万台、07年850万台、08年940万台と順調に増加、本年予想は1200万台となっている。

これに応じて、自動車用プラスチック需要は2006年が730千トン、07年955千トン、08年1,060千トン、09年予想は1,414千トンとなっている。2009年予想の140万トンのうち、輸入品が65%、国産品が35%となっている。(同社情報)

同社は現在、黒龍江省、吉林省、遼寧省の中国北東部に的をしぼっているが、2010年第1四半期に能力を10万トンとし、2013年までには能力20万トンとして河北省、山東省を含む市場で、2015年までに能力30万トンとして更に江蘇省、浙江省を含む市場で、大きな地位を占める構想を持っている。
現在のシェア10%を2013年までに25〜40%にしたいとしている。

また、米国で同業を買収し、会社の認知度を高めたいともしている。


2009/12/10 住友化学、農業に進出

住友化学は12月7日、100%子会社の大分ゼネラルサービス、日本エコアグロとともに、農業法人を大分県豊後大野市に設立すると発表した。高品質のトマトを栽培する。
3品種程度を栽培、パートを含め従業員十数人で、ビニールハウスで年間100〜150トンを生産する計画。

同社は本年5月に長野県中野市でもイチゴを栽培する農業法人を設立している。

いずれも耕作放棄地を賃借し、住友化学グループの農薬、肥料、潅水チューブ、農業用ポリオレフィンなどの農業関連製品を用いる。
生産された作物は日本エコアグロを通じて販売する。

社名 株式会社住化ファーム長野 株式会社住化ファームおおいた(仮称)
所在地 長野県中野市 大分県豊後大野市
資本金 96百万円 300 百万円
出資比率 住友化学 30%
日本エコアグロ(住化100%) 70%
住友化学 37%
大分ゼネラルサービス(住化100%) 53%
日本エコアグロ(住化100%) 10%
栽培面積 1ha(耕作放棄地を所有者から賃借) 借地 1.76ha(うち耕作放棄地活用1.06ha)
施設面積 1ha
栽培作物 イチゴ 高品質のトマト
栽培システム 隔離土耕 隔離土耕等
販売 日本エコアグロ 日本エコアグロ
その他 住化グループの農薬、肥料、潅水チューブ、農業用ポリオレフィンなどの農業関連製品使用

住友化学は、グループ企業も含め、農業関連製品を幅広く取り扱っており、最近は独自に開発した「農業経営支援システム」の提供をはじめ、ニーズが高まりつつあるIPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫管理)やICMIntegrated Crop Management:総合的作物管理)の観点もふまえ、安全安心で効率的な農業生産を総合的に支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」ビジネスを展開している。

「農業経営支援システム」は住友化学が独自に開発したシステムで、農業生産者はパソコンで、栽培履歴や生産コストの管理を行うことができるほか、農薬散布や施肥に関して適した剤や時期の情報を取得が可能。

同社ホームページの「i農力」サイトは,農薬、肥料、気象など農業に関する様々な情報やそれに関するサービスを会員に無料で提供している。

同社では、自ら農業法人を設立・運営することで得られる栽培技術や農業経営のノウハウも生かしながら、地域農業の活性化に貢献していく考え。

全国10カ所に農業事業子会社を設立して直営農場を経営するほか、20〜30カ所の農場に生産を委託する。
作物は百貨店など大手小売りに直接販売する。2015年度に50億円 の売上高を目指す。

全国規模で農地を確保して異業種参入するのは大手製造業で初めてとなる。
九州ではJR九州が同じ大分県内で来年4月からニラを生産するほか、西部ガスも北九州市で取り組んでいるリーフ レタスの生産能力を倍増させる。

「住化ファームおおいた」の設立に当たっては、大分県と豊後大野市の協力を得て農場候補地の選定を行い、同市内の耕作放棄地等を活用する。
地権者と締結する土地の賃借契約については、改正農地法施行後に締結を予定しており、改正農地法の第一号案件になる見込み。

改正農地法は2009年6月17日参議院本会議で可決成立、2009年12月末までに施行される。
改正法は、「農地耕作者主義」をやめ、食糧の自給率向上や環境保全などに重大な障害を持ち込むおそれを回避できる「効果的および効率的な農地の利用」を目指している。

食料の安定供給を図るための重要な生産基盤である農地について、転用規制の見直し等によりその確保を図るとともに、農地の貸借についての規制の見直し、農地の利用集積を図る事業の創設等によりその有効利用を促進する。

付記
改正農地法は12月15日施行された。

日本エコアグロは住友化学の100%子会社で、事業内容は以下の通り。

 ・栽培農家・産地に対する土壌診断、肥料や資材の提案・販売
 ・当社独自のIPM防除プログラムの提案・販売
 ・各種栽培技術による栽培支援
 ・農産物の企画の提案、流通と販売

 

付記

三菱化学は2010年1月12日、野菜工場のシステムを40フィートコンテナにパッケージ化した「コンテナ野菜工場」を開発し、本格的に発売開始すると発表した。

断熱仕様のコンテナに、内部を適温に保つ空調設備、水を循環濾過して再利用する水処理設備、光合成の光源となる照明設備など、野菜の栽培に必要な各種設備を完備したもので、1日当たり50株程度の葉物野菜(レタスや小松菜など)を収穫することができる。
太陽電池とリチウムイオン二次電池のシステムも備え付けられるため、商用電源とのハイブリッド稼動による省エネルギーも可能となっており、将来的には太陽光発電のみによる稼動も視野に入れている。

コンテナ野菜工場の第一号機は、中東カタール国への販売が決まっている。

 


2009/12/11 米EPA、温室効果ガスを「有害」認定

米環境保護局(EPA)のLisa P. Jackson長官は12月7日、二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガス(GHG)が人の健康に有害な物質だとする認定結果を発表した。同時に、自動車から排気されるGHGが有害と認定した。

GHGは温暖化の主因となって弱者の健康を損なう熱波を引き起こし、地上レベルのオゾン公害を増加し、健康と福祉の脅威となるとしている。

対象となるGHGは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類。

長官は「気候変動に関する膨大な科学的証拠によって、温室効果ガスの脅威が現実のものであることが証明された。これに伴い、温室効果物質の削減に向けた取り組みに対する権限がEPAに付与された」と述べた。

今回の認定により、EPAは温室効果ガスを大気浄化法(連邦法)で大気汚染物質として規制、削減することが可能となる。

米国では下院が2020年までにGHGを2005年比17%とするエネルギー・気候変動法案(2009年米国クリーンエネルギー・安全保障法案)を可決しているが、上院審議は難航している。
法案が成立しない場合でも、政府が独自に温室効果ガスの排出規制を導入することができることになった。

本法案では温室効果ガス(GHG)の排出削減目標が2005年比で2012年3%減、2020年17%減、2030年42%減、2050年83%減と設定された。
削減手段としてキャップ&トレード方式が採用され、争点となっていた排出枠の無償配分については総排出枠の最大85%が様々な部門に異なる期間配分される。
無償配分以外は四半期ごとに開催されるオークションで取引される。
電力部門に対しては2012年−2013年に総排出枠の43.75%が無償配布され、以後徐々に減少、2016年−2025年に35%(うち電力会社30%、石炭発電事業者5%)、2030年には全量オークションとなる。
連邦再生可能エネルギー利用基準(RPS)の目標値については、2020 年に総発電量の20%と設定された。
このうち5%はエネルギー効率化分が認められる。
原子力発電や二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術を備えた石炭火力発電は再生可能エネルギーの定義から除外された。

ーーー

米連邦最高裁は2007年4月、EPAに自動車からの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出規制を強く促す判決を下した。判事9人のうち5人が規制に賛成、4人が反対した。

Clean Air Actは「大気汚染物質」の新車からの排出をEPAが規制するよう定めている。

原告側は「地球温暖化をもたらすCO2は同法の規制対象」と主張。
これに対して、EPAは
▽CO2は大気汚染物質ではない
▽同法は地球温暖化に対処する強制的な規制権眼を同庁に与えていない
▽温室効果ガスと地球の気温上昇の因果関係は確立されておらず、規制は妥当ではないーーなどと反論していた。

最高裁の多数意見を代表したJohn Paul Stevens 判事は判決で、CO2を含む温室効果ガスは同法が規定する大気汚染物質に該当し、EPAは規制権限を持つとの判断を示した。

2007/4/5 米連邦最高裁、温室効果ガス規制で政府に促す判決

EPAはこの判決に基づき、規制の準備を続けてきた。

オバマ米大統領は本年126日、温室効果ガスの排出量削減と自動車の燃費向上に関する政策の見直しを、EPAと運輸省など関係省庁に指示した。

2009/1/28  オバマ大統領、温室効果ガス規制へ

EPAと運輸省道路交通安全局は本年9月15日、米国で販売される新車のGHG排出削減と燃費向上のための画期的なNational Programを提案した。

2012〜2016年モデルの乗用車、軽トラックに適用されるもので、マイル当たりのCO2排出を平均250gとしている。これを燃費改善だけで行うとすれば、35.5マイル/ガロンとなる。

この決定は、デンマークのコペンハーゲンで開催中の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、米国としての温室効果ガス排出削減の短期目標を公約したいオバマ米大統領を後押しする形となった。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ委員長は「関連法案が議会で保留となっている状況で、米政府は何をすべきかを理解している。米議会に対する強力な信号になるだろう」と強調した。

 


2009/12/11 11月の中国の輸入 前年同月比プラスに

中国税関総署は12月11日、11月の輸入が前年同月比26.7%増の945億6000万ドル(約8兆5000億円)となり、昨年10月以来、1年ぶりにプラスに転 じたと発表した。
景気回復で国内生産が急拡大し、部品や原材料の輸入が大幅に増えた。

11月の輸出は1.2%減の1136億5300万ドルだった。


2009/12/12 公取委の審判制度廃止

政府は129日、公正取引委員会の審判制度を廃止し、東京地方裁判所に機能を移管すると発表した。

また、処分の事前手続きに、事件にかかわっていない処分企業の社員が「手続き管理官(仮称)」として同席できるようにする。
すべての証拠を原則、開示対象にして透明性を高める。

公取委は「独禁法違反の判断には経済と法律の専門的な知見が必要」として廃止に反対したため、東京地裁は専門性の高い裁判官を養成する。
(審判官7名のうち、2名は裁判官が公取委に出向している。)

来年の通常国会に独占禁止法の改正案を提出する。

付記 改正法案は2010年3月の国会に提出されたが、1年半にわたり継続審議となっており、経団連は2011年10月召集の次期臨時国会での改正法案成立を改めて求めた。

内閣府の田村謙治政務官は記者会見で「行政処分をする当事者がその処分の適否を判断する仕組みは、処分を受ける側の事業者からみると、やはり不信感をぬぐえない」と述べ、審判制度廃止の背景を説明した。

ーーー

公取委の命令に対して不服がある企業は命令の取り消しや変更を公取委に求める審判手続きを求めることができる。
現行制度では命令を出した公取委が審判手続きも担当するため、経済界から「検察官と裁判官を兼ねている」との批判が出ていた。

改正独禁法は2006年1月4日に施行されたが、附則第13条で、「政府は、この法律の施行後2年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化 等を勘案し、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされた。

独占禁止法基本問題検討室(内閣府大臣官房)は2006年7月、「独占禁止法における違反抑止制度の在り方等に関する論点整理」を発表した。

2006/7/25  独占禁止法に関する論点整理

これに対して経団連では、2006年8月、コメントを発表した。
この中で「望ましい法改正の姿」として、第一に公取委の審判の廃止を挙げた。

公取委が自ら審査を行い、排除措置命令・課徴金納付命令を出し、その当否を自らの審判において判断することは、公正な審理が本当に確保されるのか、不信感は 払拭できないとし、現在の審判は廃止し、公取委の行政処分に対する不服申立ては行政訴訟の一般原則に立ち返って、地方裁判所に対する取消訴訟の提起という 仕組みに改めるべきであるとしている。

2006/8/2  「独占禁止法基本問題」に関する経団連のコメント

2009年6月3日に独禁法改正案が成立し、改正法の施行期日は2010年1月1日に決まった。

審判制度については、公取委は当初、審判制度の見直し案として、
・談合・カルテルは裁判所で争い、
・不当廉売などの違反行為は企業の主張を聞いたうえで処分を決める「事前審判」
を併せた制度を提案した。

これに対して、経済界は審判制度の全廃を主張、自民党の独禁法調査会でも「公取委の組織防衛」との批判が上がり、与党内でも調整が付かず、先送りすることとなった。

その結果、附則第20条で、
「政府は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成21年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とした。

しかし、衆参両院の付帯決議では、「検討の結果として、現行の審判制度を現状のまま存続することや、平成17年改正以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと」と審判制度を廃止する方向性を明示した。

 


2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

イラクの石油の第二次入札が12月11−12日の2日間行われた。

日本の石油資源開(Japex)12日、マレーシアのPetronasと組んで、イラク南部のGharaf油田を落札した。
油田は自衛隊が駐留していたSamawahの近くで、比較的安全と言われている。

付記 2010年1月18日、正式契約を行った。

契約期間:20年間(5年間の延長あり)
生産計画(予定):
  2012 年 5万バレル/日
  2016 年 23万バレル/日(生産目標)を達成 
  契約期間中の累計生産量 約12億バレル

付記

石油資源開発は20102月19日、マレーシア国営石油会社と共同でイラク南部のガラフ油田の原油生産を2012年から開始すると発表した。

20年間での累計生産量は約12億バレルの計画。日本へも輸出する方針。事業費は20年間で50億〜60億ドルの見込みで、資金は生産した原油を販売した代金でまかなう。

付記

石油資源開発は
20139月2日、ガラフ油田が8月31日から日量3.5万バレル規模で生産開始したと発表した。
2017年に日量23万バレルまで増産する計画。

 

付記

イラク首相は2010220日、これ以上は外資を入れないと言明した。

 

イラク石油省が設立する会社(Iraq State Entity)が25%の比率で参加し、残りの75%をコンソーシアム2社が出資する。
Petronasがオペレーターを務める。

油田名 位 置 参加 参加比率  
ガラフ油田 イラク南部
ナシリアの
北85km
石油資源開 30% (40%)  
Petronas 45% (60%) オペレーター
Iraq State Entity 25%  

PetronasJapex が共同で約70億ドルを投入し、7年以内に生産を開始する。
原油1バレルごとに $1.49 の報酬を受け取る条件で、20年間、日量230,000 bbl を生産する。
イラクでは油田の権益自体は取得できないが、開発・生産のコストを原油で受け取ることができる。

同油田は、1984年に発見された未開発油田で、石油資源開発は、2005年3月に調印したイラク石油省との技術協力覚書のもと、同油田の評価スタディを同省と共同で行い、知見を有している。

両社は入札で
3つのチームに打ち勝った。
 ・
トルコ国営石油(TPAO)/インド ONGC
 ・
カザフスタンのKazMunaiGas/韓国のKoGas/イタリア Edison
 
・インドネシア Pertamina

石油資源開発は1955年に石油資源開発株式会社法に基づく特殊会社として設立され、国内で油・ガス田を発見するとともに、海外にも進出した。

1967年の石油開発公団の設立で、同公団の事業本部に編入されたが、1970年に公団から分離、商法に基づく民間会社になり、2003年に東京証券取引所に上場している。

国内では北海道、秋田、山形、新潟で探鉱開発に取り組み、海外では、東南アジア、カナダ、北アフリカ、中東、ロシア・サハリンを中心に探鉱開発事業を行っている。

2009年3月期の原油及び天然ガスの平均生産量合計は、原油換算で42,209バレル/日。
今回の油田の大きさが分かる。

ーーー

日本勢としては、一次で新日本石油、国際石油開発帝石、石油資源開発、三菱商事、二次で石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が入札資格を得ているが、これが初めての落札となる。

なお、第一次開放とは別枠でNasiriyah油田(Samawahの南東)の交渉が行われている。

日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)とEniが争ってきたが、Eniが第一次開放分で調印したZubair開発に注力するため、日本側に権利が与えられるのは確実とみられていた。

しかし、今のところ決着を見ていない。
(一時は日本の交渉チームがバグダッド空港に着きながら、石油省に行かず、交渉ができないという事態もあった。)

2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展

二次入札の結果は以下の通り。
(第一次開放[email protected]/11/12 
イラク、第一次油田開放で進展

  埋蔵量
 
bn bbl
生産能力
 ‘
000 b/d
落札 条件
Majnoon(マジヌーン)   8.20  600-800 Shell 60%
Petronas 40%
$1.39/bbl1.8 million bbl
West Qurna 2(西クルナ)   13.50    600 Lukoil 75%
Statoil ASA 25%
$1.15/bbl1.8 million bbl
Halfaya(ハルファーヤ)   4.60  250-600 CNPC 50%
Petronas 25%
Total 25%
$1.40/bbl535,000 bbl
East Baghdad(東バグダッド)   0.80   80-350 なし  
Gharaf(ガラフ)   1.00  100-140 Petronas 60%
石油資源開発 (Japex) 40%
$1.49/bbl230,000 bbl
Middle Furat Kifl(キフル)   0.21    28 なし  
West Kifl(西キフル)   *0.18    25 なし  
Marjan(マルジャン)   *0.15    20 なし  
Badrah(バドラ)   0.50    70 Gazprom 40%
Turkish Petroleum (TPAO)
  10%
Korea Gas Corp.
30%
Petronas
20%
$5.50/bbl170,000 bbl
Qayara(カイヤラ)   0.80    80 Angola's Sonangol $5.00/bbl120,000bbl
Najmah(ナジマ)   0.85    85 Angola's Sonangol $6.00/bbl110,000 bbl.
Eastern Fields Qarmar(カマール)   0.15    20 なし  
Gilabat(ギラバット)   0.20    30 なし  
Nauduman(ナウドマン)   0.05   >10 なし  
                          * 未確認

12月11日にはMajnoon油田とHalfaya油田が決まった。

MajnoonShell/Petronas
報酬 $1.39はイラク側の案より低いが、採掘量は180万バレルでイラク側希望量の2倍以上となった。
Saddam Hussein時代から交渉を続けてきたTotalCNPCと組んだが敗退した。見返りにHalfayaに加わった。

Halfaya
CNPC/PetronasTotal が加わった。
 
CNPC 37.5%、Petronas 18.75%、Total 18.75%、イラン国有South Oil Company 25%)
Statoil も応札したが敗退。

East Baghdadは治安が悪いこと、重質油であること、地質が複雑で採掘が困難なことから、応札なし。
また、
Eastern Fields QarmarGilabatNaudumanも応札がなかった。

Qayaraはアンゴラの国営石油 Sonangolが入札したが、報酬が$12.50でイラク要請($5)と比べ高過ぎ、決まらなかった。
しかし、
Sonangolは12日にイラク側の条件に同意し、決定した。

Sonangolはこれに20億ドルを投じるとしている。

翌12日に残りの入札が行われた。

West Qurna Phase 2 Lukoil NorwayStatoil ASAに決まった。

Lukoil は1997年にSaddamとの間でこの油田開発で37億ドルの契約にサインしたが、Saddamは2002年にこれをキャンセルした。
モスクワはSaddam失脚後にこれの復活を求め、イラクの129億ドルの債務を帳消しにしている。

    Statoil Halfa油田の入札で敗退している。

Gazpromをリーダーとし、トルコのTPAO、韓国のKogas、マレーシアのPetronasが参加するコンソーシアムがBadrah油田を落札した。

Middle Furat油田群(KiflWest KiflMarjanは入札がなかった。
イラク側はこれらを自ら開発するとしている。.

アンゴラのSonangol は前日のQayaraに次ぎ、Najmah油田を落札した。

Sonangol は当初、報酬 $8.50を提案したが、交渉の結果、イラク側提案の $6 で決着した。

ーーー

イラクのクルド自治区のTaq Taq 油田で石油を生産しているAddax Petroleum を買収したSinopec は入札に参加できなかった。
イラク石油省は中央政府の承認なしにクルド政府と石油契約を締結した企業とは取引しないとしている。

韓国石油公社とSKエナジーも、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結したため、入札資格を与えられていない。

2009/6/26  Sinopec、Addax Petroleum を買収

2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

 


2009/12/15 住友化学、飼料添加物メチオニンを増強、中国で生産

住友化学は本年6月、飼料添加物メチオニンの需要増に対応し、愛媛工場に1系列 4万トンを増強し、14万トンにすると発表した。
2011年第1四半期に完成の予定。

更に12月10日、中国大連にメチオニン(2万トン/年)と農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(4千トン/年)を製造販売する合弁会社を設立したと発表した。

2011年第4四半期の完成後には、同社のメチオニン能力は日中合計で16万トンとなる。

設立したJVは大連住化金港化工有限公司で、遼寧省大連経済技術開発区に工場を建設する。
住友化学が80%、大連金港集団が20%を出資する。

住友化学は2003年に同地に農薬中間体製造販売のJV 大連住化凱飛化学を設立しているが、大連金港集団はこれに40%出資する大連凱飛化学の株主の1社である。

東洋エンジニアリングは12月14日、飼料添加物メチオニン製造設備建設プロジェクトを受注したと発表した。

ーーー

メチオニンは、動物の体内で合成することができない必須アミノ酸の一種で、鶏などの家禽用飼料に広く添加されている。
鶏の飼料はトウモロコシや大豆かすを主原料とするが、鶏肉や鶏卵の品質や生産性を向上させることを目的にメチオニンが使用されている。

世界的な人口の増加、発展途上国や新興国の経済成長による食肉文化の広がり、健康を意識した鶏肉志向の高まり、家畜排泄物の管理や規制といった環境問題への対応(メチオニン添加で鶏の排泄物中の窒素含有量が低減)、中長期的な飼料用穀物の不足や高騰に対する懸念など、さまざまな理由から、メチオニンの需要はここ数年拡大を続けている。

現在全世界で約70万トンといわれる市場は、今後も年率5%程度で増加していくものと見込まれている。

住友化学は世界50カ国以上に輸出しており、特にアジアでは圧倒的なシェアを持っている。
同社
は、特に伸長が著しい中国の需要に応じるため、長期的には大規模生産設備への増強も視野に入れ、まずは2万トンの設備を、中国に新設することとした。

なお、中国の藍星集団と同社のフランスの子会社Adisseo Groupは本年8月、メチオニン工場を南京市に建設する契約を締結した。能力は年産7万トンで、2012年下半期に稼動の予定。

2009/8/27 藍星集団、南京でメチオニン工場建設

ーーー

メチオニンのメーカーは、中国の小規模メーカーを除くと、住友化学と、Evonik(旧称 Degussa)、Novus International、Adisseoの4社である。

Evonikは50年以上の生産の歴史を持ち、ドイツのWesseling、ベルギーのAntwerp (2006年に12万トンを建設)、米国のMobile にプラントを持っている。能力は35万トンで、手直しで2013年までに43万トンにするとしている。

Novus International は1991年に三井物産(65%)と日本曹達(35%)がMonsantoからメチオニン系飼料添加物製品(MHAとALIMET)の事業を買収して設立した。メチオニンの能力は明らかにされていない。

Monsanto は1950年代初めに研究を開始し、MHAの生産を始めた。1979年にALIMETを発売した。

Novusはその後、Monsantoから分離したSolutiaから飼料保存剤事業を買収、現在では多種類のanimal nutrition and health を世界90カ国以上に販売している。

日本曹達は1967年から二本木工場でDL-メチオニンを製造していたが、2006年に事業構造改善策の一環としてメチオニン生産を停止した。
日本化薬は日本曹達にOEM生産を委託して販売していたが、同時に撤退した。

Adisseo は2002年にCVC Capital Partners Aventis (現在はSanofi Aventis)の動物栄養製品部門を買収して設立した会社で、メチオニン、ビタミン、飼料用酵素を製造販売している。
2006年1月に中国の藍星集団がCVCから買収した。

メチオニンの能力は20万トンだが、フランスとスペインの工場でメチオニンを合25千トン増強することを明らかにしている。

上記の通り、藍星集団とAdisseo Groupは南京でメチオニンを生産する。


2009/12/16 SABICの戦略 ー 買収、JV、スペシャルティ化

化学関係の通信社ICISは、SABICMohamed Al-Mady CEOとのインタビュー記事を掲載した。
インタビューは
1210日に Gulf Petrochemicals and Chemicals Association の第4回フォーラムの場で行われた。

CEOは、SABICは技術と市場にアクセスするため、最終的には買収を狙うとした。
但し、今のところ具体的な計画はない。

CEOの発言は以下の通り。

常にCompetitive でないといけないが、そのためには原料(material inputs)、市場(market access)、技術(innovation)が必要である。

「原料」については、天然ガスの不足の懸念はあるが、事態は改善すると楽観している。
しかし、「市場」は、買収によってのみ可能である。
「技術」も同様で、自社でやると時間がかかり過ぎる。
買収を通じて、人材も確保できる。

我々の戦略に合致し、価格が適正であれば、買収を狙う。
(但し、今のところは、サウジと海外で行っているプロジェクトで手一杯である。)

この考え方は、これまで行ったDSMHuntsmanの事業の買収(現 SABIC Europe)、GE Plastics の買収(現 SABIC Innovative Plastics )の理由である。

GE Plastics 買収でSABICは エンプラを主とするSpeciality chemicals部門に参入した。これを強化したい。

サウジが進めるSpeciality chemicalsへの多角化をよく表すのがSaudi Kayan projectである。
大部分が
2010年末から2011年にスタートする。
この製品の多くはサウジで初めてのものだ。

Joint ventures も技術と市場にアクセスするためのもう一つのルートである。
日本企業との合弁の
SHARQExxonMobilとのJVYanpet などが良い例である。

SABICはまた、SINOPECとの天津石化JVで中国市場に進出した。
石化コンプレックスは
12月末に稼動する。

最近発表した米国の Albemarle 触媒トリエチルアルミの製造JVも別の多角化の例である。
触媒は天津であれ、どこであれ、使用できる。

    市場 技術 Specialty化
買収 SABIC Europe
DSM事業、Huntsman事業)

(欧州)
 
SABIC Innovative Plastics
GE Plastics

(全世界)
JV SHARQYanpet、その他    
Saudi Kayan project    
(多角化)
天津JV
(中国)
   
触媒JV  

中国は需要の伸びが高く、SABICにとって完全な投資先である。

但し、インドは問題である。インドの政策は透明でなく、我々は投資を求められていない。
需要の伸びが高く、国内企業だけではやっていけないが、保護主義を採っている。

インドは最近、サウジ、オマーン、シンガポールからのPPにダンピング課税を行った。
中国もブタンジオールと
メタノールについてダンピング調査しているが、これについては話し合いが続いている。


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