ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2007/8/1 ICIAkzo の再提案を拒否

ICI730日、Akzo Nobel から1650ペンスで買収したいとの再提案を受け、取締役会でICIの戦略的価値からみて安すぎるとしてこれを満場一致で拒否、Akzoに対してこれを伝えるとともに、値上げをするかどうかの問い合わせをしたと発表した。交渉は継続する。

この株価で総額78億ポンドになるが、周辺では81億ポンドでICIは売るのではないかとか、84億ポンドは必要だとの声が出ていた。

ーーー

報道によると、Akzo は6月4日に1600ペンス、総額 72億英ポンド(約1兆7500億円)での買収提案をしたが、ICIは安すぎるとして断ったとされる。

  2007/6/19 ICI、Akzo Nobel による買収提案を拒否 

その後、事態が長引くのを恐れたICIは、この問題を英国公開買付パネル(The Panel on Takeovers and Mergers)に持ち込み、パネルは7月6日、Akzo Nobel に対して、8月9日午後5時までに態度を明らかにするよう命令している。

  2007/7/23 Akzo-ICI 問題のその後 

ーーー

Akzoも同日、同様の発表を行った。

同社は1株650ペンスの株価は、Akzoが医療用医薬品事業のOrganon Biosciences を144億ドルで Schering-Plough に売却(これによりICIの買収が可能となった)すると発表した日の前日、3月9日の終値 464.25ペンスと比較し、40%のプレミアムがついたもので、株主にとり有利なものと主張している。

Akzoは値上げ提案をした背景として、ICIの買収が成功した場合、ICIの接着剤とエレクトロニック材料事業を Henkel KGaA に売却する契約ができていることを明らかにした。Akzo ICIcoatings 事業に魅力を感じており、これにより、AkzoHenkel はともに、それぞれの戦略に合致した最もシナジーの高い事業に特化できるとしている。

同社は今後、更に値上げをするかどうかの検討を行うが、実際にICIに提案できるかどうかは不明であるとしている。

 


2007/8/2 薬害C型肝炎で名古屋地裁判決

出産時などの止血のために投与された血液製剤でC型肝炎ウイルス(HCV)に感染したとして、患者が国と製薬会社3社を相手取り、総額約6億円の損害賠償を求めた薬害C型肝炎訴訟の判決が7月31日、名古屋地裁であった。
松並重雄裁判長は「感染の危険性などを明確に表示する義務を怠った」として、国と会社に対し、原告9人のうち8人に総額1億3200万円の賠償を命じた。
全国の同様訴訟で初めて、国と製薬会社に責任が生じる時期を
製剤が承認された時点76年とし、投与時期で救済に差を設けなかった。

全国5地裁と3高裁で計172人が係争中の同様訴訟では、大阪地裁、福岡地裁、東京地裁がそれぞれ期間を区切って、国と企業の責任を認めている。 

   2006/6/28 薬害C型肝炎訴訟   

   2006/9/2  C型肝炎訴訟 福岡地裁判決

4地裁の判決の対比は以下の通り。

4地裁が認定した国と企業の責任(図は毎日新聞記載分を補正)
       
フィブリノゲン
  三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)と子会社のベネシス
       
  76/4   フィブリノゲンーミドリ製造承認(名古屋地裁:添付文書に注意内容の明確な記載なし→国と企業に責任)
       
  80/11   米国で同製剤の承認取り消し公示(福岡地裁:国と企業に責任)                   
       
  85/8   不活化処理方法の変更(紫外線照射及びBPL併用処理→紫外線照射等) 
 大阪地裁&東京地裁:
    C型肝炎感染の危険性を一層高めた(企業に責任)
    国は変更を知らなかった可能性(国に責任なし)
                                   
  87/4   フィブリノゲンHTーミドリ(加熱)製造承認 
 (名古屋地裁:添付文書に注意内容の明確な記載なし→非加熱・過熱ともに国と企業に責任)
非加熱製剤の適応除外せず。青森県での肝炎集団発生事例の報告等
  大阪地裁&東京地裁:国に責任
       
  88/6   ミドリ十字、緊急安全性情報を配布し返品要請(以後、販売数量激減)
  東京地裁のみ:国・企業の責任終了
       
血液凝固第9因子複合体製剤(クリスマシンなど)
  三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)と子会社のベネシス、日本製薬  
       
  76/12   第9因子製剤製造承認(名古屋地裁:添付文書に注意内容の明確な記載なし→責任)
                            
  84/1   製薬会社がC型肝炎への感染リスクが高いことを把握
  (東京地裁:企業に責任)

     参考 大阪地裁
          後天性血液凝固第9因子欠乏症の適応除外をせず、これを製造承認し、
          その後の規制権限を行使しなかった厚生大臣の行為に違法はない。
          旧ミドリ十字の安全性確保に関する過失はない。    

付記1

 2007/9/7 仙台地裁判決

   企業側の責任期[email protected]/2(過熱製剤販売)〜1988/2(注意喚起の「謹告文書」配布完了)
   国側  「血液製剤は有用性があり、製薬会社に副作用の危険性を警告させる義務なし」

付記2  

 2007年10月23日

血液製剤でC型肝炎に感染した患者の資料が厚生労働省の倉庫から見つかった問題で、同省は23日、薬害C型肝炎訴訟で「証拠不十分」として血液製剤の投与事実を認めてこなかった大阪訴訟原告の40代女性について、裁判でも一転して投与事実を認める方針を明らかにした。
この女性は、86年に血液製剤フィブリノゲンを投与されてC型肝炎に感染し、今は肝硬変に進行している。国は医師の記憶に基づく投薬証明書を「信用できない」としてきたが、実際は厚労省と製薬会社の双方に投与を証明する資料があった。  

 2007年10月

薬害肝炎 全国5地裁訴訟、厚労相が和解へ意欲

C型肝炎のインターフェロン治療者、公費助成で10万人に倍増…厚労相表明

 


2007/8/3 Dow Solvay、タイにHPPO用の過酸化水素製造のJV設立

Dow Solvay730日、タイにHPPO用の過酸化水素(H2O2)プラントを建設するJVの設立で合意したと発表した。

能力は330千トン(100%ベース)と世界最大で、2010年稼動の予定。 Solvay の技術を使用するもので、Dow BASF Thailand がタイのMap Ta Phut で計画しているワールドスケール(390千トン)の過酸化水素POHPPO)用原料として供給する。

付記

2008年6月10日、ダウとサイアムセメントの合弁会社のSCG−Dow がタイで過酸化水素法PO工場の建設に着手したと発表した。生産能力は年産39万トンと世界規模。同時にプロピレングリコールも生産する。稼動開始は2011年の予定。

付記

Solvayは2011年10月5日、ダウとのJVのMTP HPJV (Thailand)が世界最大の過酸化水素プラントを稼働させたと発表した。
二番目のワールドクラスの工場で、第一番は2008年末稼働のアントワープの23万トンプラントで、Dow and BASF HPPOプラント向け。

Dow BASF はベルギーのAntwerp で、過酸化水素法でPOプラントを建設中。能力は300千トンで、2008年初めにスタートの予定。
BASF が過酸化水素製造のため、 Solvayと提携している。

  POの製法およびHPPOについては 
2006/3/24 ダウとBASF、POを新製法で生産 

タイのHPPO 用の原料プロピレンについては、 Dow Siam Cement Group が建設を発表したRayong の新しいナフサクラッカーから供給する。
11億ドルを投じてを建設するもので、能力はエチレン90万トン、プロピレン80万トン。OCT(Olefins Conversion Technology) で大量のプロピレンを製造する。
Siam 67%Dow 33%出資し、2010年稼動を目指している。

  タイのクラッカーについ[email protected]/10/24 ダウ、アジア進出を促進 
  OCTについ[email protected]/9/15 新日本石油化学、OCTプロピレン設備完成  


2007/8/4 Fortune Global 500

Forutne 誌は711日、例年の通り、2007年のGlobal 500 を発表した。昨年2位のWal-Mart Storesが昨年1位のExxon Mobil を抜いてトップに復帰した。トップ10には石油関係企業が6社入っている。2007年のトップ10と50位までのアジア企業は以下の通り。
 売上高、利益は前年のもの (
単位:$ millions

Rank 前年 Company Revenues Profits
1 2 Wal-Mart Stores  351,139.0  11,284.0
2 1 Exxon Mobil  347,254.0  39,500.0
3 3 Royal Dutch Shell  318,845.0  25,442.0
4 4 BP  274,316.0  22,000.0
5 5 General Motors  207,349.0   -1,978.0
6 8 Toyota Motor  204,746.4  14,055.8
7 6 Chevron  200,567.0  17,138.0
8 7 DaimlerChrysler  190,191.4   4,048.8
9 10 ConocoPhillips  172,451.0  15,550.0
10 12 Total  168,356.7  14,764.7
17 23 Sinopec  131,636.0   3,703.1
24 39 China National Petroleum  110,520.2  13,265.3
37 31 Honda Motor   94,790.5   5,064.1
40 24 NTT   91,998.3   4,077.4
45 41 Nissan Motor   89,502.1   3,939.6
46 46 Samsung Electronics   89,476.2   8,301.9
48 38 Hitachi   87,615.4   -280.4

 

化学関係 

Rank Company    全順位 前年 Revenues Profits 
 1 BASF   81   94  66,006.8  4,034.0
 2 Dow Chemical  123  114  49,124.0  3,724.0
 3 Bayer  158  163  39,899.2  2,111.6
 4 DuPont  225  205  28,982.0  3,148.0
 5 SABIC  301  307  23,019.0  5,411.3
 6 Mitsubishi Chemical  317  299  22,424.0   857.8
 7 Lyondell Chemical  320  349  22,228.0   186.0
 8 Hanwha  374  381  19,085.5   286.5
 9 Akzo Nobel  424  418  17,235.1  1,446.6
10 Linde Group  485  ー  15,606.6  2,306.0
11 Sumitomo Chemical  489  499  15,304.0   802.5

医薬品関連

Rank Company 全順位 前年 Revenues Profits
 1 Johnson & Johnson  112  104  53,324.0  11,053.0
 2 Pfizer  115  101  52,415.0  19,337.0
 3 GlaxoSmithKline  147  143  42,730.6   9,915.0
 4 Novartis  168  177  37,020.0   7,175.0
 5 Sanofi-Aventis  169  159  36,998.4   5,026.1
 6 Roche Group  188  204  34,702.8   6,285.4
 7 AstraZeneca  252  253  26,475.0   6,043.0
 8 Merck  308  289  22,636.0   4,433.8
 9 Abbott Laboratories  312  283  22,476.3   1,716.8
10 Wyeth  346  343  20,350.7   4,196.7
11 Bristol-Myers Squibb  406  321  17,914.0   1,585.0
12 Eli Lilly  481  464  15,691.0   2,662.7

 


2007/8/6 BASF、スチレン事業一部の売却交渉進展

BASFJurgen Hambrecht CEOは81日の2007年第2四半期の業績発表の席上、 スチレン事業の一部の売却に関して、買い手候補のある1社と極めて建設的な交渉を行っていることを明らかにした。

なお、同社の第2四半期の業績は好調で、スチレン事業が含まれるプラスチック部門は数量の伸びと価格上昇で売上高は10%増加し、利益はスチレン事業の利益が著しく向上した結果、前年同期比15%増大している。

付記 2008/7/9

BASFは2008年2月に、交渉が進んでおり上半期中に決定するだろうとしていたが、結局妥結しなかった。
金融情勢の悪化で、買い手が自己資本を増やす必要が出たこと、金利の上昇などが理由で、BASFでは無理に安売りする必要なしとしている。

ーーー

同社は本年717日、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。

効率的な最適化対策と、戦略の微調整により、BASF のスチレン事業の業績は大幅に向上しているが、収益性を適切な水準とするためには、さらなる見直しが求められているとし、他のオプションとともに事業売却も検討するとしている。

既にある社から SMPSSBCABS のビジネスで初期オファーを得ているという。

付記

ドイツの新聞は、この交渉相手がBasell (元のShellとの50/50JV)であると伝えた。
しかし、事業価値の評価の違いや、BASF内部での意見の違いで話は進んでいない模様である。

検討の対象となっているのは、SMPS、スチレンブタジエン共重合体(SBC)、ABSの各事業と、Antwerp (Belgium)Altamira (Mexico) 、 São José dos Campos (Brazil) 蔚山(韓国)、Dahej (India) のプラントが含まれる。
蔚山には
SM 300千トン、ABS 250千トン、PS 320千トン、EPS 65千トンのプラントがある。

売却対象事業は2006 年に約32億ユーロの売上高を計上しており、従業員数は約1,000 人。

BASF のスチレン事業本部プレジデントは、今後も継続する事業は、建設、自動車、包装、スポーツ・レジャー分野を対象とした発泡体とスペシャリティに特化するとしている。(ドイツのLudwigshafen には620千トンのPSプラントを持っている。)

BASFのスチレン事業の2006年の売上高合計は 4,994 百万ユーロで、主な能力は以下の通り。
 SM   2,600千トン
 PS   1,500千トン
 EPS    780千トン
 ABS、同コポリマー及びSAN 760千トン

SMは世界1位、PSは2位、EPSは1位、ABS/SANは3位となっている。(同社ホームページ)

売却対象は売上高ベースで 64% に相当する。

ーーー

PS業界は世界的に過剰設備により採算が苦しくなっている。

Nova Chemicals はバージニア州のチェサピーク工場を閉鎖すると発表したが、同社CEOは「米国のスチレン業界は設備を廃棄し、統合を検討し、赤字垂れ流しを止めるために動き出す必要がある」と述べたと伝えられた。
   2006/7/27 
欧米でもPS事業は苦境 

同社は本年3月、北米のSM、PS事業をINEOSとの50/50JVのNOVA Innoveneに移管することで合意した。
   
2007/3/26 NOVA Chemicals、北米のSM、PS事業をINEOSとのJVに移管 


PSでBASFと首位を争うDowも本年4月、Chevron Phillips Chemical との間で北南米のSM/PSの50/50JV設立のMOU(拘束力なし)を締結したと発表した。
  2007/4/11
Dow、Chevron PhillipsSM/PSのJV設立 

Dowも昨年、PS業界の長期的な市場状況も考え、カナダのSarnia 工場のPSを閉鎖している。
  2006/9/7 「ダウ、3工場の7プラント閉鎖 

ーーー

日本ではPS業界は再編によりメーカー数が激減した。
   2006/10/7
日本のPS業界の変遷 

メーカー数の減少に合わせ、能力も縮小し、日本の合成樹脂業界では唯一、内需見合いの能力にしている。
(これが理由となって、
2004年6月に発表されたPSジャパンと大日本インキ化学のポリスチレン事業を再編・統合が公取委の反対で潰れた。)

しかし、今回の値上げで需要家の食品容器メーカーが薄肉化やPET樹脂への代替を進めており、さらなる需要減への懸念が広がっている。
(電気・工業用の需要は需要家の海外移転で以前より半減している)

 

ーーー

参考 BASFの売上高、利益構成 (2006年 単位:百万ユーロ、%)

部門 内訳 売上高 シェア 営業損益 シェア
Chemicals Inorganics   1,134   2.2   1,380   20.4
Catalysts   2,411   4.6
Petrochemicals   5,754   10.9
Intermediates   2,273   4.3
合計  11,572   22.0
Plastics Styrenics   4,994   9.5   1,192   17.7
Performance Polymers   2,932   5.6
Polyurethanes   4,849   9.2
合計  12,775   24.3
Performance Products Construction Chemicals   1,120   2.1    669   9.9
Coatings   2,337   4.4
Functional Polymers   3,387   6.4
Performance Chemicals   3,289   6.3
合計  10,133   19.3
Agricultural Products
& Nutrition
Agricultural Products   3,079   5.9    381   5.6
Fine Chemicals   1,855   3.5
合計   4,934   9.4
Oil & Gas  10,687   20.3   3,250   48.1
Others   2,509   4.7    -122   -1.7
総合計  52,610  100.0   6,750  100.0

2007/8/6 速報 AkzoのICI買収が決定か

8月6日(現地時間)のWall Street Journal は、Akzo Nobel がICI を80億ポンド(160億ドル)で買収することで仮合意に達したと報じた。

既報(2007/8/1 ICIAkzo の再提案を拒否)の通り、ICI はAkzoによる78億ポンドでの2回目の買収提案を安すぎるとして拒否し、更に値上げをするかどうかの問い合わせをしていた。

AkzoはICIの買収が成功した場合、ICIの接着剤とエレクトロニック材料事業 (ICIの価値の1/3に相当) を Henkel KGaA に売却する契約ができている。

現在、AkzoとHenkel はICI のdue-diligence 調査を実施中で、これに数日要するが、Wall Street Journal は結果が満足できるものであれば、英国公開買付パネルが決めた最終日の8月9日までには正式発表があるだろうとしている。

付記
Akzoのdue-diligenceに時間がかかるため、ICIがパネルに締切日の延長を申し出た。
その結果、パネルは締切を8月13日午前10時(GMT)に延長した。

同紙は、2社が共同で買収し、その後に分割するという今回の方式が今後流行るのではないかと見ている。

また、1926年創立の老舗の売却は、外国企業による英国の大企業の買収の最新のものであり、これは英国が製造業からもっとサービス志向の経済に移行していることの結果であり、また英国の解放政策の結果でもあるとしている。


付記
Akzoもこの報道のあと、同社がICI に対して670ペンスでの再々提案をしたことを確認した。総額で約 80億ポンドに相当する。
また、同社はICIの接着剤とエレクトロニック材料事業の
Henkel KGaA への売却額が27億ポンドであることを明らかにした。

ただし、due-diligence 調査の結果次第であるとしている。

Henkel もICIの接着剤とエレクトロニック材料事業 (ICI が1993年にUnileverから買収したNational Starch )を27億ポンドで買収する契約を明らかにしている。

Henkel は3つの分野(Laundry & Home CareCosmetics / ToiletriesAdhesives Technologies )でグローバルに活動している。

 


2007/8/7 BasellShell France から製油所買収へ

Basell 82日、Shell France からマルセイユ近郊の Berre l'Etang の製油所とインフラ設備、事業を買収する提案を行ったと発表した。
Shell も買収提案に応じること、買収額7億ドルで合意したことを発表した。今後手続きを進め、2008年初めに買収が完了する予定。
同製油所ではナフサ、
LPG、各種燃料、アスファルト、灯油などを生産している。

付記 2008年4月1日、買収完了を発表

Basell Berre l'Etang にナフサクラッカー(エチレン 470千トン)とブタジェン抽出設備、ワールドスケールのPPPEを有し、近郊の Fos sur Mer にもPEプラントを有しており、現在Shell の製油所の最大の需要家である。

ナフサクラッカーは元々はBasell とShell (元の親会社)との50/50 JVSociete du Craqueur de lAubette あったが、Basell Shell 持分買収の交渉を行い、200512月にBasell 100% とした。同時にBasell は同地のShell のブタジェン事業も買収した。

今回の買収で更に上流を確保することとなる。

付記

2008年2月、BasellはEuropean Commission から買収の承認を得た。

2008年4月1日、買収を完了。

ーーー

オレフィン源であったBASFShell から独立したBasell は川上志向を取っており、欧州のPE事業の場合には85%以上のエチレンを自社で確保する希望を持っている。

Basell の欧州のエチレン能力は以下の通り。

フランス Berre   470千トン SHELLとの50/50JV → Basell 100%
ドイツ  Wesseling  1,043千トン 増強(280千トン)計画
ドイツ  Munchsmunster   342千トン Ruhr Oel から買収 Basell 100%

  2006/12/25 Basell、ドイツのナフサクラッカー買収

Basell の欧州の能力はJVを含め、PPは290万トン、PEは260万トン
プラントは以下の各地にある。
  
FranceBerre L’etang, Fos sur Mer, Notre Dame de Gravenchon
   Germany
Frankfurt, Knapsack, Münchsmünster, Wesseling
   Italy
Ferrara, Terni
   The Netherlands
Pernis
   Poland
Plock
   Spain
Tarragona
   United Kingdom
Carrington

ーーー

なお、Basell は7月17日に Lyondell の全株式を127億ドル(借入金込み 190億ドル)で買収することで合意したと発表した。
2004年12月にLyondell とMilleniumが、両社の合弁会社Equistarとともに合併したもので、合併時の各社の能力は以下の通り。(千トン/年)
その後、酸化チタンは
サウジのNational Titanium Dioxide Company Ltd. 通称 Cristal に売却した。

Lyondell Equistar Millenium
PO  2.050 Ethylene  5,270 TiO2 (売却)
 
Chloride
 Sulfate

  515
  155
SM  2,270 Propylene  2,270 VAM   385
MTBE 58,500
 bbl/
Butadiene   545 Acetic Acid   545
PG & PGE   570 EG   455    
TDI   260 EO   500    
Butanediol   180 HDPE  1,450    
    LDPE   640    
    LLDPE   500    

  2007/7/18 Basell が Lyondell を買収 

Basell Polyolefins North America は米国・カナダで最大のPPメーカーで、メキシコでもAlpekとのJVを持っている。

Bayport (Texas 53万トン+22万トン)Lake Charles Louisiana 45万トン)、SarniaOntario 10万トン、2008年休止予定)、VarennesQuebec 18万トン)、TampicoMexico:JV Indelpro 24万トン+35万トンにプラントを持つほかLindenN.J)のConocoPhillips のPP(35万トン)の独占販売権をもっている。

付記
2007年10月、Basell はSarnia
Ontario 10万トンに続き、VarennesQuebec 18万トン)を2008年4月に停止すると発表した。
単独、小規模プラントでは最早競争力を持たないとしている。

付記
LyondellBasell は2008年2月13日、
Varennesで生産継続としていたHigh Melt Strength (HMS) PP も2008年8月に生産停止すると発表した。
同社は他所ではHMS PP を生産していないため、事業撤退となる。

Lyondell 買収でこれにPEが加わることとなる。
(プロピレンは主にPO用に使用されており、
当面はPPの原料遡及とはならないと思われる)


2007/8/8 米国の住宅市場調整長引く

米国の1-6月の住宅着工件数(季節調節済み)平均は1,461千戸(年換算)となった。
2006年1月に過去最高の2,265千戸を記録した以降、急落し、2000年の平均を下回り、回復の兆しが見えない。

   参考 2007/4/21 ニュースのその後 米国住宅着工件数、低迷続く 

5月の主要20都市の住宅価格は昨年7月をピークに10ヶ月連続で下落している。
住宅販売も低迷し、6月の新築住宅は前年同月比22%減、中古住宅は11%減となった。
在庫比率も拡大し、在庫期間は新築で7ヶ月、中古は8.8ヶ月(過去最悪)となっている。

この数年の米国の住宅好調はバブルであったといえる。

過去12ヶ月以内の支払い遅延や、24ヶ月以内の住居の差し押さえ、収入に対しての過度の債務など、何らかの問題を抱えたクレジットの信用が低い借り手に対してサブプライムローンで住宅を販売した。
借り手は住宅価格の上昇により担保価値が増えると低金利ローンに切り替えができるし、貸し手は返済が滞ると担保を取り上げ売却すると利益が出た。

他方、富裕層は住宅の値上がり益の確保のため、居住目的ではなく転売目的で住宅を購入してきた。

すべてが住宅価格の値上がりを前提にしていた。

バブルの例に漏れず、一旦バブルがはじけると、全て逆転した。

米Moodysは7月10日、ローンの延滞率が予想を上回ったため、サブプライムローンを組み込んだ住宅ローン担保証券(RMBS:Residential Mortgage-Backed Securities)399件の格付けを引き下げると発表した。

米大手証券ベアー・スターンズの傘下のヘッジファンド2社が経営難に陥った。出資金の十数倍の資金を借入れRMBSなどに投資をしていた。

米連邦準備理事会(FRB)は7月17日、サブプライムローンの監督を強化するため、連邦と州の規制当局が試験的に連携すると発表した。

野村ホールディングスはサブプライムローン市場の悪化で、1―6月で累計約720億円の損失を出したと発表した。今後、RMBS事業からの撤退を検討する。
仏保険最大手のアクサもサブプライムローンに絡んだ投資で損失を出した。ドイツ産業銀行も同関連投資240億ドルのうち、20%程度が損失となる見通しで、金融機関が救済に乗り出している。

サブプライムの焦げ付き増加によりローン審査が厳格になり、需要低迷を通じて住宅価格の下落が強まりかねないとみられている。

ーーー

当初は景気全版への影響はないとされていたが、その懸念が出てきた。
ホーム・デポやシアーズなど小売り大手が、住宅需要の冷え込みでリフォームや家電製品の販売不振を理由に、相次いで業績を下方修正した。

DuPontの第2四半期が予想より悪かったとして株価が下落した。米国の住宅と自動車市場の悪化(および好調が期待された農薬の不振)が原因。最終損益は海外市場の好調によりなんとか前年比フラットとなった。
Coatings and colour事業では住宅と自動車用のペイントに使用される二酸化チタン需要の減少が響いた。
住宅用防水シートTyvek (PEの連続性極細繊維に高熱を加えて結合させたシート)や
ユニット・キッチンの天板等に使われる人工大理石Corean も住宅不振の影響を大きく受けている。
Holliday CEO は北米の住宅需要は来年のどこかの時期まで回復を見込めないと述べている。

住宅不振の影響を最も受けているのは塩ビ業界である。
本年上期の窓枠やサイディング(壁板)の出荷は前年比20%減となっている。
(逆にトルコ、西欧、中東、北アフリカの塩ビ需要が好調で、輸出は25%増となっている。)

信越化学の第1四半期の連結営業損益は電子材料の増益で前年を大幅に上回ったが、塩ビを含む有機・無機化学品は減益となった。
同社によると、PVCは、
北米住宅需要の低迷の影響を受け同業他社が大幅な減益や赤字を計上する中で、シンテックは高水準の操業を継続し、営業利益で前年同期を3割ほど下回る減益に留めたとしている。(欧州は好調を維持している。)

信越化学の金川千尋社長は昨年11月の日本経済新聞で、「米国の需給が回復しなければ、米子会社は輸出で補う。中南米、インド、中東に加え、11月からトルコにも出荷を始めた。2007年末には米国で増産設備を稼働させる。売り切るには相当な努力が必要だが、米子会社は最高益となる今期並みの業績を来期も確保したい」としていた。

Shintechの新工場(米国の第3工場)はルイジアナ州イバビル郡プラクミンの南の元アッシュランドケミカルの工場敷地に建設しているもので、総額10億ドルをかけて塩素 45万トン、VCM 75万トン、PVC 60万トンの一貫生産を行うもの。
第一段階として、塩素 30万トン、VCM 50万トン、PVC 30万トンを
当初は2006年末に完成させる予定であったが、1年遅らせている。

2006/5/16 世界一の塩ビ会社 信越化学 
2007/6/1 シンテック、テキサス州にVCM工場の建設許可を申請 

中東やインドには中国の需要の減少を受け、アジア勢が輸出を増やしている。(最近はコンテナーを取りにくい状況にまでなっている)
SolVin
はベルギーの能力増強を決めた。

住宅の回復の兆しが見えないなかで、新プラントの生産スタートは厳しいものとなろう。


2007/8/9  ベネズエラで塩ビ製住宅 大量建設

ベネズエラの Chavez 大統領は国営石油会社 Pequiven Carabobo Guacara "Petro Casa"(直訳で「石油の家」)工場の開所式に出席し、その意義についてスピーチした。

年間3万トンの塩ビのキットをつくる工場で、これにより年間18千戸の住宅を建設する。基礎からユーティリティ設置まで含めて8日以内で組み立てる。家の中の温度は周辺より4℃は低く、快適であるとしている。

大統領は、同様の工場をベネズエラの他の地域にもいくつかつくり、少なくとも年間100千戸を建設したいと述べた。
強く、100年ももつ立派な家で、通常より建設費は50%は安いとし、これによりスラムを失くしたいとした。
また、一般住宅以外にも、ビルや学校などのインフラにも塩ビを使用したいとしている。

塩ビはOrinocoデルタのOil Belt などに豊富なメタンガスからつくるが、住宅建設に使用するセメントもPequiven が肥料製造の副産品から製造する。同社では"Petrocemento" (石油セメント)と呼んでおり、一般のセメントの15%程度の価格で販売している。

 

モデルハウスではなく、実際の住宅を大量にall PVCで建設するのは初めて。

独裁政権が政府の方針として政府の手で実施するもので、機能面で優れている上に、安価であるため、成功の可能性は高く、他の国にも波及する可能性がある。

ーーー

これとは関係ないが、Solvinの2003年9月の発表にタイの塩ビ製住宅のニュースがある。

柱と床のスチール、コンクリートを除き、2階建ての住宅が塩ビと塩ビコンパウンドで建設された。ドアや窓枠は硬質塩ビが、床から壁、天井から家具に至るまで、木材の代わりに木質塩ビコンパウンドが使用されている。

塩ビ住宅は、概観は周囲と同じ木材住宅風でありながら、塩ビの特徴の耐久性、シロアリや水に強い、軽量、建設が容易などの利点を持つ。好きな色が可能で、塗装が不要である。耐熱性がコンクリートの壁に比べ30%は高い等の利点をうたっている。

ーーー

日本でも塩ビ窓枠がかなり普及してきた。

25年ほど前に塩ビメーカーにより技術導入されてから製品開発が進められてきたが、途中からはサッシメーカーも参入して、北海道、東北などの寒冷地を中心に普及が進んでいる。特に北海道では、新築住宅のほぼ全てに塩ビ窓枠が使われている。
優れた断熱効果で
関東以南でも採用が増えている。霞ヶ関の環境省(合同庁舎5号館)のオフィスにも、樹脂サッシの内窓が施工されている。

サイディングについては建築基準法が問題となる。
建築基準法では防火地区
建築物の密集地域)、準防火地区(都市と郊外の住宅との中間の地域)では外壁に耐火構造、準耐火、防火壁が要求され、サイディング材は使用できない。(準防火地区の1,2階建ては防火構造の認定を受けたものは使用可能)

ただし、それ以外の地域(全戸数の約70%)では、認可を受けたサイディング材は使用が可能であり、徐々に採用されている。

サイディングについては 樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/ 参照。


2007/8/10  AkzoのICI買収最終決定は8月13日

Akzoのdue-diligenceに時間がかかるため、ICIが英国公開買付パネルに締切日の延長を申し出た。
その結果、パネルは締切を8月13日午前10時(GMT)に延長した。


2007/8/10 Eastman、メキシコ湾岸で石油コークスのガス化計画 2件に参加

Eastman7月27日、メキシコ湾岸の2つの大きな石油コークスガス化計画で中心の役割を果たす意向を発表した。

Eastman の石油コークス(および石炭)のガス化計画は以下の通り。(同社ホームページより)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

両計画では化学品製造のために天然ガスではなく石油コークスを原料とし、Syngas からアンモニア、メタノールを生産、副産品としてCO2、硫黄を生産する。

Eastman は両計画に出資し、工場運営を担当する。

1)Louisiana Project

Eastman Faustina Hydrogen Products LLC の計画に25%出資する予定で、工場運営とメンテナンスを受託し、製品のメタノールを長期契約で購買する。

Faustina Hydrogen Products LLCU. S. TransCarbon LLCD.E. Shaw group Goldman, Sachs が石炭と石油コークスガス化のために設立)の子会社で、LouisianaSt. James Parish Mosaic Fertilizer, LLC に隣接してガス化工場を建設する。建設予算は16億ドル。

製造能力はアンモニアが日産 4,000トン、メタノール 600トン、硫黄 450トン、CO2 16,000トンで、本年末か来年早々に建設に着工し、2010年に稼動を予定している。

アンモニアの大半は隣接するMosaic Fertilizer, LLC が既に長期購買契約を締結しており、残りを肥料メーカー大手のAgrium, Inc.が購入する。Mosaic Fertilizerは硫黄も肥料原料として購入する。

メタノールは大手化学会社数社に販売する。

CO2は全量をDenbury Resources Inc. が購入し、古い油田の活性化を図るため、メキシコ湾岸やルイジアナの石油回収に使用する。

付記

Eastman 20086月、下記 Texas Project Green Rock の持分50%を買収し、100%事業とした。
同社は同時に、上記
Louisiana Project St. James Parish, La. のガス化計画の25%持分を Green Rock に譲渡し、同事業から撤退した。

2)Texas Project

Eastman Texas Beaumont を拠点とする意向で、地方政府の予備認可を受けている。
Beaumont にあるTerra Industries のメタノール、アンモニア製造設備を含む資産購入のオプションを持っており、この計画と結びつける考えで、2011年稼動を目指している。

Eastman はこれに50%を出資し、運営に当たる考えで、間もなく他の投資家を発表するが、参加予定社には以下の会社が含まれている。
Air Products and Chemicals, Inc.
  水素の長期購入のLOI を締結済みで、合わせてガス化に必要な酸素分離設備(7,000t/d)を建設、運営する。
Fluor Corporation
  設計業務
GE Energy
  ガス化技術供与

付記

Eastman Chemical 200710D. E. Shaw group Goldman, Sachs JVGreen Rock Energy と提携した。
共同で石油コークスのガス化事業(
16億ドル)を行なう。

 

 参考 2006/11/22 Eastman Chemical、石炭ベースの化学品志向へ 

 

付記

Eastman Chemical は2009年12月、Beaumont 計画を中止することを決めた。

理由として、投資額が大きすぎること、将来にわたり石油コークスと天然ガス・石油の価格の差が縮まること、米国経済の先行き不安、環境面での公共政策の動きなどを列挙している。

同社では、本計画は有利でないのでやめるが、引き続きグローバルにガス化計画は推進していくとしている。


2007/8/10 AkzoのICI買収最終決定は8月13日

Akzoのdue-diligenceに時間がかかるため、ICIがパネルに締切日の延長を申し出た。
その結果、パネルは締切を8月13日午前10時(GMT)に延長した。


2007/8/11 2007年第1四半期(4-6月)連結営業損益

3月決算企業各社の2007年第1四半期(4-6月)決算の発表が出揃った。

各年の4-6月の各社の営業損益対比は以下の通り(億円)

3年間のナフサ価格は以下の通り。

  2005/4-6 2006/4-6 2007/4-6 06/07差異
国産ナフサ価格
    (円
/Kl
 36,900  48,800  57,800   +9,000

ナフサ価格高騰のなかで、国内価格および輸出価格の値上げが行われ、増益の会社が多い。

そのなかで、住友化学は情報電子化学部門が売価の下落に加え、生産能力増強に伴う固定費の増加により赤字となったのが響き、減益となっている。

信越化学は電子材料の増益で前年を大幅に上回ったが、塩ビを含む有機・無機化学品は減益となった。
同社によると、PVCは、北米住宅需要の低迷の影響を受け
同業他社が大幅な減益や赤字を計上する中で、シンテックは高水準の操業を継続し、営業利益で前年同期を3割ほど下回る減益に留めた。欧州は好調を維持している。
  2007/8/8
米国の住宅市場調整長引く 参照  

東ソーのVCM・PVCを含む基礎原料は前年(30億円の赤字)に対しては大幅増益とはなったが、実績はトントンに近い。

 

好調な各社も、ナフサ価格の上昇局面では収益は厳しくなるとして慎重で、2008年3月期の業績予想は据え置いている。

ーーー

主要各社の部門別営業損益対比は以下の通り。

信越化学  (百万円)

  前年 本年 差異 備考
有機・無機化学品  25,217  24,409  - 808 Shintech 米国住宅不振で3割減益
電子材料  24,457  38,773  14,316  
機能材料その他   7,468   6,330  -1,138  
全社    162    20  - 142  
合計  57,305  69,533  12,228  

 

三菱ケミカル  (百万円)

  前年 本年 差異 備考
石化   1,558   8,051   6,493 在庫受払差益の増加あり *
機能化学   9,319   9,548    229  
機能材料   4,626   4,555    -71  
ヘルスケア  12,950  11,472  -1,478 研究開発費等の販売管理費の増加
その他   2,005   2,216    211  
コーポレート  -1,068  -2,469  -1,401  
合計  29,390  33,373   3,983  

* 棚卸資産評価方法が総平均法のため、ナフサ価格上昇分が一部、先に繰り越され、増益となる。
  (価格下落の局面で、その分が反映され、減益要因となる。)

 

旭化成 (億円)

  前年 本年 差異 備考
ケミカルズ   64  172  108 うち売価差 171
ホームズ  - 37  -28    9 うち売価差 47
ファーマ   47   46   -1  
せんい    5   17   11  
エレクトロニクス   64   58   -7 うち売価差 -15
建材   10   11   0  
サービス・エンジニアリング等   15   4  -11  
全社   -16  -20   -4  
合計  153  259  106  

 

住友化学 (百万円)

  前年 本年 差異 備考
基礎化学品   2,718   4,291   1,573  
石油化学   3,629   2,317  -1,312 原料価格高騰の影響(LIFO法)
精密化学   3,214   3,354    140  
情報電子化学   3,734  -4,069  -7,803 売価の下落に加え、生産能力増強に伴う固定費の増加等
農業化学   4,616   5,405    789  
医薬品  15,283  13,940  -1,343 主力品目以外の販売減少や工業所有権収入の減少等
その他    728    419   -309  
全社     60    - 23    -83  
合計  33,982  25,634  -8,348  

  

三井化学  (百万円)

  前年 本年 差異 備考
機能材料   3,247   8,095  4,848 ウレタン市況の回復ほか
先端化学品
(精密化学品、農業化学品)
  3,227   3,241    14  
基礎化学品
(基礎原料、合繊原料、工業薬品、
 合成樹脂)
 10,002  14,114  4,112 売価差 3,160 原料価格差 -2,690
          LIFO法)
その他    731    707  - 24  
全社   -459  -1,077   -618  
合計  16,748  25,080  8,332  

 

東ソー  (百万円)

  前年 本年 差異 備考
石油化学   1,076   3,300  2,224 昨年度にクラッカーの定期修繕
基礎原料  -3,067    162  3,229 VCMPVC 海外市況上昇
機能商品   6,226   9,907  3,681  
サービス    493    519    26  
合 計   4,728  13,890  9,162  

   ーーー

なお、医薬会社の業績は以下の通り。


2007/8/11 PPカルテル審決

公正取引委員会は8月10日、住友化学、サンアロマー、出光興産、トクヤマに対するポリプロピレン販売価格カルテルの審決(8月8日付け)を発表した。http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.august/0708101.html

ポリプロピレンの販売分野における競争を実質的に制限していたとし、以下を命じた。

住友化学とサンアロマーは
 ・販売価格引き上げの合意の消滅の確認
 ・合意の消滅と今後は価格を自主的に決めることを取引先に周知徹底
 ・今後、他と共同してPP価格を決めず、自主的に決める。

出光興産とトクヤマ:
 違法行為があったが、現在は消滅
 出光はプライムポリマーに35%出資で、実質的に事業をやってはいないため、
 またトクヤマは現在PP事業をやっていないため、
 格別の措置は命じない

公取委は2000/3/6の部長会で「10円/kg目処の引き上げで合意」したと認識し、上記の判断を下した。
これに対して、企業側は「
合意なし」と主張している。

2000/3/6の部長会に関して、企業側と公取の主張は以下の通り。

企業側
(応諾した)グランドポリマーが「上申書」で、3/6の部長会でPPの値上げにつき7社が合意したことはない旨主張している。
PP市場における大手2社たる日本ポリケムとグランドポリマーが消極的意見を述べ、この意見を他社の出席者が認容している。
合意があったとの供述の間には,いろいろ矛盾があり、各供述には信用性がない。
部長会メンバーの大部分は値上げ決定権限を有していない。そこでの発言は個人としての発言にすぎない。
   
公取
7社の出席者全員が一致した旨の複数の供述調書は、事情聴取の内容を録取した上で供述人にその内容を読み聞かせ及び閲読等させた上で,同人が、誤りがない旨申し立て署名押印したものであり、その作成過程からみても任意性に欠けるところはなく、さらに各供述内容は整合している。

今回の審決で、公取委は次の通り説明している。

独占禁止法第3条において禁止されている「不当な取引制限」は「共同して対価を引き上げる等」となっているが、
「共同して」のためには「
意思の連絡」が必要である。

「意思の連絡」は、一方の対価引上げを他方が単に認識認容するのみでは足りず、対価の引上げを実施することを
認識ないし予測しこれと歩調をそろえる意思があることを意味する。
しかし、事業者間相互で拘束し合うことを明示して合意することまでは必要でなく、
相互に対価の引上げ行為を認識して暗黙のうちに認容することで足りる。

その判断に当たっては対価引上げがなされるに至った前後の諸事情を勘案して事業者の認識及び意思がどのようなものであったかを検討し事業者相互間に共同の認識認容があるかどうかを判断すべきである
(東芝ケミカル株式会社審決取消請求事件平成7年9月25日東京高等裁判所判決同旨)。

本件は改正前の独禁法に基づくため、今後の進め方は次の通りとなる。

   応諾する場合
     追って課徴金納付命令
       応諾すれば課徴金納付で完了
       審判請求すれば、審判で新しい課徴金納付命令
   
   応諾しない場合
     東京高裁へ控訴

企業側は「合意はなかった」と主張しており、東京高裁への控訴もありうる。
その場合、最終決定までまだまだ時間がかかる。

以前にも述べたが、こんなに時間がかかるのは問題である。

付記 その後、4社全てが東京高裁に控訴した。

本件の経緯は以下の通り。

  2006/7/13 ポリプロ価格カルテル事件の現状 

  2007/7/10 ポリプロカルテルのその後 

2000 1 21 部長会で値上げの必要性について意見交換
    2 7 現状のPPの販売価格で採算が取れるナフサ価格の水準 17,000〜18,000円/kl で共通認識
(各社:共通認識はない)
    2 21 PPの値上げについて意見の一致をみず
    3 6 4月以降のナフサ価格の見通し 22,000から23,000円/klで一致
10円/kg目処の
引き上げで合意
(各社は「合意なし」と主張)
    3 17 各社の値上げの打出しの内容、対外発表時期等を確認
(各社:値上げ手続き後であり、事前合意がなくとも進捗状況の話はする)
    3 27 各社の責任分担ユーザーを取り決め
(各社:送別会の集まり。酒席で,各社が値上げ交渉に入っている中での難物ユーザーの名を挙げることは、カルテル合意
     の存在を前提としなくても行われ得る)
   4   (4/15〜5/1)各社の値上げ実施予定日 →課徴金計算始期
   5 30 公正取引委員会が立入検査   →前日が課徴金計算終期(2007/6/19 審決:日本ポリプロ、チッソ)
  9   チッソ、日本ポリケム、グランドポリマー 
 本件合意から離脱する旨等を他の各社に文書で通知→
課徴金計算終期(2003/3/31納付命令:三井化学
2001 5 30 公取委勧告
 

 拒否:住友化学、サンアロマー、出光石油化学(→出光興産)、トクヤマ
      
2001/6/27 審判開始決定
          9/12 第1回審判
      2006/8/4  第28回審判(審判手続終結)


 応諾:日本ポリケム
(→日本ポリプロ)、グランドポリマー(→三井化学)、チッソ

 ○日本ポリケム:
   勧告を厳粛に受け止めている

 ○グランドポリマー:
   ・
合意が成立など認識と異なる部分もあり、応諾するか否か苦慮
   ・まぎらわしい行為があったことも事実
   ・早く結論を出して欲しいという社員の気持にも配慮し、応諾
   ・認識と異なる点については上申書提出

 ○チッソ:
   早く事業に専念したいため
応諾

2003 3 31 応諾3社に課徴金納付命令
日本ポリケム  8億4517万円 →審判
三井化学
(グランドポリマー)
 7億6008万円 →応諾
チッソ  4億3513万円 →審判
2007 6 19 日本ポリプロ、チッソ審決
日本ポリプロ
(日本ポリケム)
 2億2087万円
チッソ  1億1662万円

課徴金計算終期の見直しで当初の命令より大幅減額

2007 8 8 勧告拒否4社に審決

  結論 独禁法違反あり(各社は否定しているが)

住友化学、サンアロマー 価格引き上げ合意の消滅の確認とその周知徹底等
出光興産、トクヤマ 格別の措置なし(PPの製造販売業を実質的に営んでいない)

付記

独禁法
第54条  公正取引委員会は、排除措置命令に係る審判請求があつた場合において必要と認めるときは、
当該排除措置命令の全部又は一部の執行を停止することができる。
   2    前項の規定により執行を停止した場合において、当該執行の停止により市場における
競争の確保が困難となるおそれがあるときその他必要があると認めるときは、

公正取引委員会は、当該執行の停止を取り消すものとする。

今回、公取委が住友化学とサンアロマーに「価格引き上げ合意の消滅の確認とその周知徹底等」を命じたのは上記の「特に必要があると認めるとき」に該当すると認めたためとしている。

その理由として以下の通り述べている。

平然と情報交換した
PP製造販売業者の数は7社から4社に減少したことにより、情報交換をすることがさらに容易になった
PPの値上げについて共通の認識を形成しやすいといえる
(ナフサ価格とPPの価格との連動性)
ポリオレフィン業界においては価格の引上げを行う不当な取引制限が繰り返し行われてきた
とりわけ
住友化学は過去にPPの価格カルテルにつき1回、PEの価格カルテルにつき3回行政処分を受けたこと
   
以上から、今後、本件違反行為と同様の違反行為が再び行われるおそれがあると認めることができる
   
なお、「特に必要があると認めるとき」に該当するか否かの判断については、公正取引委員会の専門的な裁量に委ねられている。
(最高裁判所平成16年(行ヒ)第208号、平成19年4月19日判決)

Plattsは Japan's FTC fears Sumitomo Chem may engage in price fixing again というタイトルで本件を伝えている。    

ーーー

付記

公取委は6月20日付けで、残り4社に対し課徴金納付命令を出した。
4社は東京高裁に控訴しており、まだ判決は下りていない。

課徴金は以下の通り。

出光興産  1億4215万円
住友化学  1億1716万円
サンアロマー     5097万円
トクヤマ     4781万円
合 計  3億5809万円

三井化学は当初の課徴金をそのまま支払ったが、日本ポリプロとチッソは審判で大幅な減額を得た。
今回の命令は後者のレベルと思われる。


続く

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