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2009/6/1 三菱化学の石油化学事業再構築

三菱化学の再構築が急ピッチで進んでいる。

三菱化学はABS樹脂、ポリエステル繊維原料の国内生産、PVC(& PS)からの撤退を決めるなど、昨年末から事業の選択と集中を加速している。また、水島での旭化成とのエチレン統合の検討も行っている。

2008/11/28 三菱化学、ABS事業から撤退

2009/2/24  三菱化学、テレフタル酸事業の事業構造改革

2009/4/13 三菱化学、PSとPVC事業から撤退 

2009/5/19  三菱化学と旭化成、水島でエチレン統合 

付記

同社は2002年に同社と日本化成の肥料事業を統合して三菱化学アグリとしたが、2009年にチッソと旭化成の肥料JVのチッソ旭肥料との統合で合意した。
新会社は
「ジェイカムアグリ」で、チッソ 42.25%、旭化成ケミカルズ 22.75%、三菱化学グループが35.00%。

このほか、2008年12月の「2008-10年度の中期経営計画の見直し」で、
「アルファオレフィンとエトキシレートは2009年に停止」としている。
アルファオレフィン(高級アルコールを含む)は2009年5月、エトキシレートは2009年3月に停止した。
このグループのEOは顧客誘致による事業基盤強化を行っている。
   2008/7/31 
三菱化学鹿島のEOセンター

三菱化学は5月29日、カプロラクタム事業及びスチレンモノマー事業からの撤退を決定したと発表した。

同時に、DSMとの間で、DSMが欧州を中心に展開するポリカーボネート(PC)事業と、三菱化学のナイロン事業を交換する検討を開始した。

付記 2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意

ーーー

カプロラクタムとナイロン

同社のナイロンチェーンの再構築案は以下の通り。

工場 製品 能力  
水島 シクロヘキサン
  ↓
110千トン 2010年3月停止
黒崎 シクロヘキサノン
  ↓     
120千トン 2010年3月停止
カプロラクタム 
  ↓
60千トン 2010年3月停止
ナイロン
  ↓
30千トン DSMへの譲渡交渉開始
(コンパウンド化及び販売)
   三菱エンジニアリングプラスチック
     (三菱化学 50%/三菱ガス化学 50%)

  参考 カプロラクタムの国内シェア(日経推計)
      宇部興産 35.2%
      住友化学 34.3%
      東レ    19.1%
      三菱化学 11.4%
     (国内生産能[email protected]千トン)

三菱化学は2005年3月末にカプロラクタムの外販事業国内販売・輸出から撤退し、1系列50千トンを同年9月末で製造停止した。なおシクロヘキサノンについては、カプロラクタム1系列停止後も生産量を維持し、国内及び中国を含むアジアマーケットへ拡販を目指した。

三菱ケミカルホールディングスは2009年3月決算で減損損失を計上しているが、その中に、
ヴイテックのPVC設備(水島、川崎:45億円)のほか、黒崎のカプロラクタムやナイロン設備(27億円)などが含まれている。

参考
三菱化学はカプロラクタムを原料とするナイロン6を生産しているが、三菱エンジニアリングプラスチックのパートナーの三菱ガス化学ではメタキシレンジアミン(MXDA)を原料とするMXナイロンを新潟及び米国
ヴァージニア州で生産している。

付記

三菱化学は黒崎事業所のシクロヘキサノン12万トン設備も停止するが、このうち5万トンを外販している。
シクロヘキサノンの国内市場は約6万トンで、8割シェアを持つ三菱化学が生産停止することから、市場では安定供給の確保に不安が高まっていた。
このため、住友化学は、特に2万トン強の需要があり安定している特殊溶剤のユーザー向けに販売することを決めた。

ーーー

スチレンモノマー

鹿島のSMを2011年3月に停止する。

日本経済新聞(4月10日)は三菱化学が年内にもPSとPVC事業から撤退すると報じた。
PSについては事業統合会社のPSジャパンへの出資を引き揚げ、PVCについてはヴィテックを解散する方針としている。

三菱化学は既にPVCの撤退を発表している。

PSについては、報道ではPSジャパンの持ち株を旭化成、出光興産に売却し、同事業から撤退するとしており、売却額は今後詰めるとなっている。

2009/4/13 三菱化学、PSとPVC事業から撤退 

PS撤退はまだ発表していないが、今回のSM 撤退から間違いない。条件の交渉中ということであろう。ABSは既に撤退を発表している。

三菱化学のSM、PS、ABSの能力は以下の通り。

SM事業   PS事業
     千トン          千トン 出資比率
三菱化学 四日市     0   PSジャパン (三菱化学) 四日市    85   27.5%
鹿島   371 鹿島    −
旭化成 水島   678 (旭化成) 水島   108   45.0%
千葉    − 千葉   207
出光興産 千葉   210 (出光興産) 千葉    45   27.5%
徳山   340 徳山    ー
  合計   445   100.0%
ABS事業
会社名   工場  千トン 出資比率
テクノポリマー (三菱化学) 四日市    90   40%
JSR 四日市   200   60%
合計     290   100%

ポスト産構法時代には当時の三菱油化がスチレンモノマーの手直し増設で鹿島で205千トン、四日市で271千トンの能力をもち、輸出価格の高騰で莫大な利益を上げた。2年間で500億円といわれた。
この利益をもとに時価発行増資を行い、得た資金で鹿島のエチレンの増設を行った。

しかし、その後SM価格は暴落。三菱油化はこの拡張戦略が裏目に出て、その後損益が悪化、三菱化成との合併となった。

三菱化学は1999年秋に四日市のベンゼン2系列年22万トン、EB 29万トン、SM2系列 27万トン(うち1系列 9万トンは休止中)をスクラップした。2001年1月に四日市のエチレンを休止)

ーーー

DSM との交渉

三菱化学 DSM は、DSM Engineering Plastics欧州を中心に展開しているポリカーボネート(Xantar)事業と三菱化学が日本及びアジアを中心に展開しているナイロン事業について、事業の交換の検討に入ることにつき基本合意書を締結し、具体的検討に入った。

DSM は、ナイロン事業を主力事業の1つと位置づけている。

DSM Engineering Plastics の主力製品
 Stanyl ® the highest performance polyamide
 Akulon®  a range of PA6 and 66 resins
 Arnitel ®  Copolyester Elastomer
 Arnite®  PBT and PET resins

昨年9月には、江蘇省江陰市にナイロン6 レジンの工場をスタートさせている。
(2006年に同地にコンパウンド工場を建設)
原料のカプロラクタムについてはDSM南京ケミカルに14万トン/年のプラントを持っている。

付記 DSM南京ケミカルはその後増強し、20万トン。2012年に20万トン増設(2013年2Q完成予定)

日本ではDSMジャパンが扱っており、これに統合する。

三菱化学は、ポリカーボネート事業を集中事業の一つとして位置づけて、グローバル展開している。DSM から事業を譲り受けることにより、DSM の付加価値の高いコンパウンド品を中心としたポリカーボネート事業を欧州及びアジアで展開することができ、更なる拡大を期待することができる。

譲渡対象の事業規模は、それぞれ2008年度で約120億円。

本事業交換を実施した場合、DSMはベルギーのGenkでPCコンパウンド製造を受託、三菱化学はMEPの子会社MEPCOM九州の黒崎でナイロンコンパウンドを受託する。販売・技術サービスにおいても、継続的な相互協力関係を構築する予定。

付記 

2010年2月26日、下記内容で合意した。2010年5月末に実行する予定。

@ DSM Engineering Plasticsが欧州を中心に展開しているPC事業を欧州三菱化学へ譲渡する。
欧州三菱化学は、MEPヨーロッパ(三菱エンジニアリングプラスチック:三菱ガス化/三菱化学)を総代理店としてPC樹脂を販売する。
欧州三菱化学からDSMエンプラへPC樹脂コンパウンド品の欧州における生産を委託する。
   
A 三菱化学及び三菱エンプラは日本及びアジアを中心に展開しているナイロン事業をDSMエンプラへ譲渡する。
台湾でナイロン樹脂の製造・販売を行っている太洋尼龍(三菱化学100%)の株式についても、全株式を譲渡する。
DSMジャパンエンジニアリングプラチックスが三菱化学にナイロン樹脂及びそのコンパウンド製品の日本における生産を委託する。

ーーー

三菱化学と三菱ガス化学は1994年に折半出資で三菱エンジニアリングプラスチック(MEP)を設立し、PCを含むエンプラの販売をMEPに委ね、一体化した。
しかし、PCについては両社ともに主力分野と考えており、独自に海外進出を図っているように見える。

中国では三菱化学がシノペックと組んで燕山石化内にビスフェノールAを含む工場建設を行っているのに対し、三菱ガス化学はこのたび、上海化学工業区内に、PC原体(8万トン)、造粒(6万トン)、コンパウンド(2.8万トン)を建設、合わせてテクニカルセンターをつくることを発表した。  

今回のDSMとの交渉が成功すれば、PCに関して三菱ガス化学との関係はどうなるのだろうか。    

同グループのPC事業
立地 社名 能力
 (  )は未稼働
          出資
三菱化学 三菱ガス
      化学
MEP その他
黒崎 三菱化学 20(+60)千トン 100%      
鹿島 三菱ガス化学 100千トン   100%    
韓国 三養化成 85千トン 25%   25% 三養社 50%
タイ Thai Polycarbonate 140千トン 5% 5% 60% TOA 30%
中国 北京計画 * (60千トン) 50 x 80%   50 x 20% SINOPEC 50%
中国 菱優工程塑料(上海) (80千トン)   80% 20%  
  *シノペックとの事業戦略提携の基本合意
    2009/4/15
三菱化学、シノペックと事業戦略提携の基本合意

・タイのみMEP中心
・いずれの計画にもMEPは入っている。
 (三養化成は1989年に三菱化成50%で設立、2001年4月にMEPが株を譲り受けて参加)
・販売もMEPが担当

注 三菱化学の黒崎では2系列計40千トンのうち、古い1系列20千トンを停止し、60千トンの新設を行った。
設備は2008年3月に建設が完了したが、事業採算の悪化から7月からの稼動を当面の間延期すると発表している。(その後、稼動の発表はない)

なお、三菱化学は本年5月、植物由来のポリカーボネートの開発及び量産化に向け、黒崎にパイロットプラントを建設することを決定したと発表した。能力300トン/年で20104完成予定。

 


2009/6/1 薬事法施行規則などの一部を改正する省令の一部を改正する省令

厚生労働省は2009年5月29日、「薬事法施行規則などの一部を改正する省令の一部を改正する省令」を公布・施行した。

「薬事法施行規則などの一部を改正する省令」は2009年6月1日から施行された。

一般医薬品を第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の三つに分け、そのうち、第二類医薬品と第三類医薬品については薬剤師でなくとも、実務経験1年以上で、都道府県が実施する試験に合格した「登録販売者」であれば販売することができるようになった。
6月1日からコンビニエンスストアやスーパーなどで新資格「登録販売者」による一般用医薬品(大衆薬)の販売が始まった。

しかし、薬剤師や販売者が説明や情報提供を尽くすため、薬局や店舗での「対面販売」を原則とし、インターネット販売を含む通信販売の対象を、ビタミン剤や整腸薬などの第三類に限定した。

へき地に住む人や高齢者などが購入しにくくなるなど消費者の利便性低下を指摘する意見もあり、楽天やヤフー、業界団体の日本オンラインドラッグ協会などは本年2月、「通販での購入をやめざるを得ない多くの消費者の健康を害する可能性がある」としたうえで、省令の再改正を求める共同声明を出した。

このため、舛添厚生労働相は厚労相直属の検討会を設置して引き続き議論することを決めたが、検討会では結論は出なかった。

2009/2/9  大衆薬ネット販売規制

このため、厚生労働省は5月29日、「薬事法施行規則などの一部を改正する省令の一部を改正する省令」を公布・施行した。

「薬事法施行規則などの一部を改正する省令」の施行後2年間の経過措置を定めるもので、下記の者に対して、伝統薬などの薬局製
造販売医薬品 (*)と第2類医薬品の通信販売を、2011年5月31日まで2年間可能にする内容となっている。
*
 知事の許可を受け、薬局が製造販売できる医薬品のことで、「薬局製剤指針」に適合するものに限定

薬局及び店舗販売業の店舗が存在しない離島に居住する者
  (離島でなくても近くに薬局がない場合や、身体が不自由で買いにいけない人は認められない)
省令施行前に当該既存薬局開設者から購入し、又は譲り受けた医薬品をこの省令の施行の際現に継続して使用していると認められる者
  (どうやって継続使用をチェックするのか)

読売新聞は社説(5月31日)で、「無資格者や悪質な業者を排除する仕組みを作れば、インターネットなどの利便性を生かしつつ、安全に大衆薬を販売できるのではないか。秩序ある規制緩和を進めるべきだ。」とする。

医薬品ネット販売規制自体を定める省令に関しては、ケンコーコムとウェルネットは5月25日、国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴した。


2009/6/2 第一三共、決算を訂正、最終赤字 1200億円減

第一三共は5月28日、平成21年3月期 決算(5月12日に発表)の訂正を発表した。

当初の発表では子会社化したRanbaxy Laboratories の株価暴落を反映し、連結損益で3358億円の赤字を計上した。

ランバクシーの株価は低迷を続け、本会計年度末における同社の株価が第一三共の取得価格に比べ50%以上下落したため、(個別決算で4024億円の)株式評価損を計上、連結決算では特別損失に「のれん償却」 3544億円を計上した。

2009/5/15  注目会社 2009年3月決算−7  第一三共

訂正内容は以下の通りで、ランバクシーの評価損を損金算入した結果、法人税等が減少し、2155億円の赤字となり、1203億円の改善となった。

連結損益計算書(百万円)
  訂正前 訂正後 差額 備考
 販売費及び一般管理費   539,426   538,879    -547 下記により事業税減少
営業利益   88,323   88,870     547  
経常損益   54,621   55,168     547  
特別利益    3,799    3,799     ー  
特別損失   367,230   367,230     ー  
税金前当期純損益  -308,810  -308,262     547  
法人税等   40,581   -79,172  -119,753 株式評価損 402,420百万円を損金算入
当期純損益  -335,800  -215,499   120,301  

個別財務諸表において特別損失に計上した「関係会社株式評価損」402,693百万円のうち402,420百万円は、当初、税金計算上の損金とすることは困難であると判断し、損金不算入として処理した。

国税庁は4月3日、「上場有価証券の評価損に関するQ&A」を公表し、企業が所有する上場有価証券の時価が帳簿価額に比べて50%以上下落 し、会計上減損処理が行われた場合において、税務上その評価損を損金算入するに当たっての取扱いの明確化を図ることとした。(後記)

政府が「経済危機対策」の一環として法人税の負担を軽くするために有価証券の評価損を損金に算入しやすくする方針を表明したのを受けたもの。

第一三共では、海外株が対象で評価損の額も大きいため、税務当局に問い合わせたところ、先週に「損金算入は妥当」との見解を得たとされている。

ーーー

「上場有価証券の評価損に関するQ&A
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/090400/pdf/01.pdf

◆ 株価が50%相当額を下回る場合における株価の回復可能性の判断基準 ◆

[Q1] 当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており、当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。
税務上、上場株式の評価損の損金算入が認められるには、一般的に
株価が過去2年間にわたり50%程度以上下落した状況になくてはならないというようなことを聞きますが、当社が所有する上場株式はこのような状況に該当しないことから、損金算入することは認められないのでしょうか。

[A]上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合における評価損の損金算入に当たっては、株価の回復可能性についての検証を行う必要がありますが、回復可能性がないことについて法人が用いた合理的な判断基準が示される限りにおいては、その基準が尊重されることとなります。
したがって、必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないというものではありません。

[解説]
法人の所有する上場有価証券等について、その価額が著しく低下し、帳簿価額を下回ることとなった場合で、法人が評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、帳簿価額とその価額との差額までの金額を限度として評価損の損金算入が認められます。
   
この場合の「価額が著しく低下したこと」については、
@上場有価証券等の事業年度末の価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることになり、かつ、
A近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとされています。
   
このように、評価損の損金算入が認められるためには、株価の回復可能性に関する検証を行う必要がありますが、どのような状況であれば、「近い将来回復が見込まれない」と言えるかが問題となります。
株価の回復可能性の判断のための画一的な基準を設けることは困難ですが、法人の側から、過去の市場価格の推移や市場環境の動向、発行法人の業況等を総合的に勘案した
合理的な判断基準が示される限りにおいては、税務上その基準は尊重されることとなります。
有価証券の評価損の損金算入時期としては、これらの
合理的な判断がなされる事業年度で損金算入が認められることとなりますので、必ずしも、株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状況でなければ損金算入が認められないということではありません。
   
なお、法人が独自にこの株価の回復可能性に係る合理的な判断を行うことは困難な場合もあると考えられます。このため、発行法人に係る将来動向や株価の見通しについて、専門性を有する客観的な第三者の見解があれば、これを合理的な判断の根拠のひとつとすることも考えられます。
具体的には、専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し、株式発行法人に関する企業情報などを用いて、当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されるのであれば、これらに基づく判断は合理的な判断であると認められるものと考えられます。

◆ 監査法人のチェックを受けて継続的に使用される形式的な判断基準 ◆

[A]監査法人による監査を受ける法人において、上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し、税効果会計等の観点から自社の監査を担当する監査法人から、その合理性についてチェックを受けて、これを継続的に使用するのであれば、税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものと認められます。

[解説]--- 株主や債権者などの利害関係者の保護のために財務情報の信頼性を確保する責務を有する独立の監査法人のチェックを受けたものであれば、客観性が確保されていると考えられます。さらに、この基準が継続的に使用されるのであれば、そのような基準に基づく判断は恣意性が排除されていると考えられることから、税務上の損金算入の判断としても合理的なものと認められます。

◆ 株価の回復可能性の判断の時期 ◆
[Q3] ところで、翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があった場合には、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要がありますか。

[A] 翌事業年度以降に株価の上昇などの状況の変化があったとしても、そのような事後的な事情は、当事業年度末の株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。

◆ 株価の回復可能性の判断基準に該当した場合の評価損否認金の取扱い ◆
[Q4] 過去の事業年度における評価損否認金のある上場株式について、その後の事業年度において、損金算入できる合理的な判断基準に該当することとなった場合には、損金算入の処理や損金算入される金額についてどのように取り扱えばよいのでしょうか。

[A] 過去の事業年度において有税で減損処理した金額(評価損否認金)のある上場株式について、その後の事業年度で、税務上評価損を計上できる状況になった場合には、評価損否認金の額も含めて、その事業年度の損金の額に算入することが認められます。なお、この場合の具体的な取扱いは、次のとおりとなります。
@ 評価損否認金の額については、その事業年度において申告調整により損金の額に算入した金額を、評価損として損金経理したものとして取り扱うこととされています。
A 評価損として損金算入の対象となる金額は、その事業年度末における帳簿価額と株価との差額となります。
(注)税務上、評価損として損金算入される金額は、あくまでも損金経理した金額に限られますので、会計上減損処理していないものは含まれません。


2009/6/3 米中 貿易戦争勃発? 

中国商務部は6月1日、米国とロシア原産の輸入電磁鋼板に対してダンピング調査を開始した。

商務部は合わせて、米国の電磁鋼板に対して相殺関税制度(輸出国の補助金を受けた輸入貨物に対し、国内産業保護のために補助金額の範囲内で割増関税を課す制度)による調査を開始した。

429日に武漢鋼鉄公司 と宝山鋼鉄が国内メーカーを代表して調査を要請した。

これは米国による中国製油井パイプ製品に対する反ダンピング、反補助金及び相殺措置に関する合同調査に対する報復である。ロシアのメーカーの米国子会社も合同調査の申請に加わっている。

付記

中国商務部は2009年12月10日、本件に関し、米・露のダンピング、米の補助金を仮認定した。

保証金率は以下の通り。

米  1.AK Steel Corporation 10.7%
    2.ATI Allegheny Ludlum 19.9%
    3.其の他         25%

ロシア  
   1.OJSC “Novolipetsk” Steel (NLMK) 4.6%
   2.VIZ-Stal LTD  4.6%
   3.其の他     25%

付記  2010年4月10日 クロの最終決定
     
2009/11/9 米中 貿易戦争、更に激化

ーーー

米国の鉄管メーカーと組合(United Steelworkers Union)は4月8日、中国の輸出した油井パイプ製品に対して、反ダンピングと反補助金及び相殺措置に関する合同調査を行うよう米国商務省とITCに申請した。

申請したメーカーは次の各社:
US Steel 、
Evraz Rocky Mountain SteelMaverick TubeTMK-IPSCOV&M Star LP HoustonV&M Tubular Corp. of AmericaWheatland Tube.

このうち、Evraz Rocky Mountain Steel はロシアのEvraz 2006年に買収したOregon Steel Mills の一部。
TMK-IPSCO はロシアのTMKEvraz と組んで、スウェーデンのSSAPから買収した鋼管製造会社。

訴えによると、中国は余剰能力の処分のため価格を大幅に下げたとされる。中国政府が人民元の低評価を含め、幅広い補助金を与えていると非難している。
2008年下半期の中国製品の輸入は上半期の3倍近くになっており、ほとんどの国内メーカーは赤字で、操業度は15%程度、在庫は18〜24か月分もあるとしている。

カナダは既に昨年、反ダンピング及び相殺関税として2〜91%を課している。EUも本年4月に同様に15〜51%のダンピング課税を行っている。

これに対して、中国商務省の姚堅報道官は4月15日、「アメリカ当局は、この申請の立件を慎重に対処してほしい」と述べた。
「今回の
金融危機は、アメリカから広がったものだ。アメリカは、経済の大国の責任を持ち、G20サミットで打ち出した誓約(保護貿易的な措置を講じてならない。大国特に先進国は最も重要な責任を負うべきである)を守るべきだ。中国側は、この調査に関心を寄せ、事件の進展に対して適切な対策を採る」と述べた。

同報道官は「アメリカ市場に輸出した中国鉄鋼製品は32億ドルに達したが、今年第1四半期の輸出は55パーセントも減少した。アメリカの鉄パイプ業界の申請は時宜に適さないものだ」と述べている。

しかし、米ITCは522日、6:0で中国からの輸入により国内産業が被害を受けていることを認めた。

この結果、商務省は相殺関税、ダンピング関税の調査を開始する。

米国の調査手続きは、ITCが損害について、商務省が調査開始手続・ダンピング・補助金について担当している。

付記 2010年4月、米商務省がクロの決定、中国も対応してクロの決定 
  2009/11/9 
米中 貿易戦争、更に激化

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これに対抗して、中国商務部は2009/11/6 公告83号&84号を出し、米国製の排気量2000cc以上のSaloon cars とCross-country carsについてダンピング調査、相殺関税制度による反補助金調査を行うと発表した。

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米国際貿易委員会(ITC)は11月6日、中国製の光沢紙とリン酸塩の輸入により米国内のメーカーが損害を受けていると認定した。
商務省は相殺関税、ダンピング関税の調査を開始する。

ーー

付記

米ITCは6月18日、中国製の自動車用タイヤが安値で大量に輸入され米市場に被害を与えたとして、緊急輸入制限 (セーフガード)発動へ「クロ」の認定を下した。7月9日までにオバマ大統領に具体的な措置を勧告し、大統領が発動の是非を最終判断する。

中国製タイヤの輸入急増に伴い米国内の多くのタイヤ工場が閉鎖に追い込まれたとして、全米鉄鋼労組がセーフガード発動を申し立てていた。


2009/6/4 バイオガソリン販売開始

新日本石油は6月1日、関東1都6県のガソリンスタンド(計861カ所)で、バイオエタノールを混ぜたバイオガソリンの販売を開始した。

コスモ石油も513日から埼玉、千葉、東京、神奈川の9カ所のセルフスタンドで販売を開始している。

石油業界では2010年度でのバイオガソリン本格導入を計画し、2007年度から2年間にわたりバイオガソリン販売の実証事業を行ってきた。(実証事業は2009年3月末をもって終了)
実証事業ではETBE 7%(エタノール3%)含有のバイオガソリンであったが、今回は
ETBE 1%エタノール 0.4%)になっている。

2009/3/5  日本のバイオガソリンの動き−2 

新日本石油では以下の通り説明している。

バイオガソリンは、JIS及び品質確保法の規格に合致したレギュラーガソリン(JIS2号ガソリン)ですので、従来のレギュラーガソリンとまったく同じ使い方が可能です。
車検証や取扱説明書に「レギュラーガソリンを使用する」と書かれていれば、バイオガソリンを給油することができます。
   
バイオガソリンは、レギュラーガソリンの規格に当てはまるため、使用方法や取り扱いについては従来と変わりません。よって従来のレギュラーガソリンと混ぜたとしても、性能面、安全面において問題ありません。
   
現在価格はレギュラーガソリンと同価格に設定されており、 レギュラーガソリンと同じ価格でお求めになれます。
   
バイオガソリンは、従来のレギュラーガソリンと比較しても燃費は殆ど変わらないと考えられます。

付記

新日本石油は既存の根岸製油所を加え、2010年度中に大分、大阪、水島製油所でバイオガソリンを生産する。ガソリン生産量の半分以上がバイオガソリンとなる。

同社は以下のように宣伝している。

バイオガソリンは、従来のレギュラーガソリンにバイオETBEを配合したものです。
石油業界はバイオガソリンの普及により、二酸化炭素の削減及び地球温暖化防止に取り組んでいます。

しかし、「バイオガソリン」はガソリンにETBEを1%強混ぜたもので、ETBEはバイオエタノールを43%含むため、バイオエタノール分は0.4%強に過ぎない。これで二酸化炭素の削減及び地球温暖化防止になるのであろうか。

ーーー

別途、日本エタノール販売とペトロブラスの50/50JVの日伯エタノール(Brazil-Japan Ethanol)は3月初めから東京でエタノール3%混合ガソリン(E3)の試験販売を開始した。環境省や経産省の支援を受けている。

既報の通り、石油連盟は、(1) 大気環境に悪影響を及ぼさないこと、(2) 車の安全性や実用性能を損なわないことに鑑み、バイオエタノールをそのままガソリンに混入するのではなく、バイオエタノールからETBEを製造し、これをガソリンに混合することとした。

しかし、本当の理由は、E3(更にE10やE20、E100)が普及した場合、将来的にガソリンの消費量が減って、石油元売り各社の経営が苦 しくなるからだという見方もある。

ーーー

新日本石油の西尾進路社長が毎日新聞のインタビュー(2009/6/1 「環境戦略を語る」)でバイオ燃料について大胆な発言をしている。

日本では大量生産できないのでブラジルから船でCO2をまき散らしながら持ってくる。サトウキビをトラクターで刈り、工場にトラックで運び、工場でもCO2を排出する。温暖化問題上とんでもない話だ。

世界で10億人が飢餓に苦しむ中、食糧をエネルギーに変えていいのかという問題もある。

こうした状況を 踏まえ、食糧と競合しないセルロース系のバイオエタノールの研究を、トヨタ自動車や三菱重工など5社とともに進めている。

新日本石油、三菱重工業、トヨタ自動車、鹿島建設、サッポロエンジニアリング、東レの6社は本年2月9日、セルロース系バイオエタノールの一貫製造技術に関する研究開発を開始するため、「バイオエタノール革新技術研究組合」を設立すると発表した。

原油と競合できる価格(40円/L)で、20万kL/年規模を生産できる製造プロセスの技術を 2015年までに確立することを最終目標とし、東京大学との共同研究や、農林水産関係研究機関、秋田県農林水産技術センター総合食品研究所、北海道大学等 との連携により、画期的な革新技術の確立を目指す。

2009/2/12 シノペック、農業廃棄物からエタノール生産 後半部分

 


2009/6/5   独禁法改正案成立

独禁法改正案が6月3日の参院本会議で自民、民主、公明各党などの賛成多数で可決成立した。早ければ来年1月にも施行する見通し。

付記

独占禁止法改正法は6月3日に成立、同月10日に公布された。
この関係政令等については10月23日に閣議決定された。
改正法の施行期日は2010年1月1日に決まった。

また、10月28日に「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」が公表された。

審判制度については、「09年度中に見直す」との付則を設け、先送りすることとなったが、衆参両院の付帯決議で審判制度を廃止する方向性を明示した。

2009/3/2 独禁法改正案 閣議決定

日本共産党、社民党は反対した。

しんぶん赤旗(6月4日)は次の理由を挙げている。

改定法には、審判制度の廃止を含む「審判手続きの全面見直し」が盛り込まれました。独禁法違反事件の行政処分に不服のある場合に使われる審判制度は、公正取引委員会の独立性、中立性を担保しています。その見直しは、独禁法の根幹にかかわる改悪です。

また、改定法は、カルテルや談合によって不当に利益を得た企業に課せられる課徴金減免制度を拡充しました。カルテルなどを自主申告した企業に対す る課徴金減免を最大3社から5社まで拡大するというものです。これはカルテル参加企業のすべてが課徴金減免の“恩恵”にあずかりかねないものです。

これらの改悪は、日本経団連・財界が強く求めてきました。日本共産党は、財界の要求によって独禁法の根幹にかかわる改悪をすべきではないと反対しました。

ーーー

独禁法改正案の主なポイント(6月10日公布のため、事前情報)

〔課徴金制度〕  
   課徴金の適用範囲の拡大
 (追加)
 
排除型私的独占  他の事業者の事業活動を排除することによる私的独占

公取委は2月27日、日本音楽著作権協会(JASRAC)に対し、他業者を排除しているとして排除措置命令を出した。
現行では課徴金制度がなく、これが最も重い処分。命令違反は50万円以下の過料。

不当廉売差別対価、共同の取引拒絶、再販売価格の拘束

(それぞれ同一の違反行為を繰り返した場合)
 正当な理由がないのに、競争者と共同して、ある事業者に対し供給を拒絶し、・・・
 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって、・・・
 費用を著しく下回る対価で継続して供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせる・・・
 購入する相手方に対し、当該商品の販売価格を定めてこれを維持させること、・・・
優越的地位の濫用  自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、継続して取引する相手方に対し当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させる等の行為
・押し付け販売、経済上の利益を提供させる行為(協賛金・従業員派遣)、受領拒否、不当返品等
これらに対する課徴金(違反行為に係る売上額に対する率)は以下の通り。
    製造業等 小売業  卸売業 
現行 不当な取引制限
 (中小企業)
 10%
 (4%)
 3%
(1.2%)
 2%
(1%)
支配型私的独占  10%  3%  2%
追加 (ア)排除型私的独占   6%  2%  1%
(イ) 不当廉売等
  (繰り返し)
  3%  2%  1%
(ウ)優越的地位の濫用       1%
  主導的事業者に対する課徴金 談合・カルテルの主導的役割を果たした事業者に対する課徴金の割増算定率

   対象:カルテル・入札談合等
   
課徴金:5割増(大企業・製造業等の場合10%⇒15%)

   「主導的役割を果たした事業者」:

単独で又は共同して、当該違反行為をすることを企て、かつ、他の事業者に対し当該違反行為をすること若しくはやめないことを要求し、依頼し、又は唆し、当該違反行為をさせ、又はやめさせなかった者

(課徴金減免の対象外は:
違反行為をすることを強要し、又は当該違反行為をやめることを妨害していた場合)

  課徴金減免制度の拡充
 
課徴金減免制度の拡充

・1事件の減免を3社から5グループに増やす

   現行は最大3社、改正後は最大5社(但し、調査開始後の対象は最大3社) 
     例)調査開始前2社+開始後3社(計5社)
       調査開始前1社+開始後3社(計4社)  

   減額率[email protected]%、A50%、B〜D30% (但し、調査開始後は全て 30%)

・子会社を含めグループ会社を1社と数える

一定の要件を満たす場合に、同一企業グループ内の複数の事業者による共同申請を認め、すべての共同申請者に同一の順位を割り当てる。(1社として扱う)   

事業譲渡等が行われた場合 事業を承継した一定の企業に対しても課徴金納付命令
除斥期間の延長 課徴金納付命令等に係る除斥期間(時効)の延長(3年⇒5年

(参考)

法令等 国税通則法
(過少申告、無申告、不納付)
米国・反トラスト法
(カルテル等)
EU・競争法
(カルテル等)
除斥期間 加算税:5年
重加算税:7年
刑事罰:5年 制裁金:5年
(最長10年)
〔企業合併〕  
  株式取得の事前届出制の導入 企業結合規制の見直し
(1)株式取得の事前届出制の導入等
 ・他の企業結合と同様に事前届出制とする
 ・簡素化
   現行:単体ベースで10%、25%超及び50%超の3段階
   改正:企業グループベースで20%超及び50%超の2段階に簡素化

(2)届出基準の見直し等
 ・株式取得、合併等の届出基準を見直し

  現行 改正
買収会社 会社並びにその直接の国内の親会社及び
子会社の総資産の合計額100億円超等
企業グループの国内売上高の
合計額
200億円超
被買収会社 単体総資産100億円超(国内会社の場合) 会社及びその子会社の国内売
上高の合計額
50億円超*
                       * 2008年改正[email protected]億円超

基準以下の届け出は不要で、届け出件数は07年度の1284件から、「半数以下に減る見通し」(公取委)で、審査期間の短縮化も見込まれる。

 ・外国会社についても国内会社と同様の届出基準を適用
 ・いわゆる叔父甥会社間の合併等同一企業結合集団内の企業再編について、届出を免除

〔個人への罰則〕  
  強化 不当な取引制限等の罪に対する懲役刑の引上げ(3年から5年に引き上げ

他の経済関係法令等での自然人に対する懲役刑等の上限

  金融商品取引法 特許法 不正競争防止法 米・反トラスト法
(カルテル等)
加・競争法
(カルテル等)
インサイダー
取引等
風説の
流布等
みなし
侵害
侵害 不正競争 営業秘密の
 詐取等
懲役等  5年  10年  5年  10年  5年  10年  10年  5年

  


2009/6/6  中国アルミのRio Tinto への出資 取り止め 

Rio Tinto は6月5日、中国アルミの出資取り止めを発表した。

中国勢の豪州進出が相次ぎ、これに不安を感じる反対派と中国との関係強化を図る賛成派が互いを攻撃し、政治問題化した。

資金市場の変動や、Rio Tinto の株主や利害関係者の意見などを背景に、Rio Tinto Chinalco は契約の変更の交渉を行った。

かなりの進展を見たが、最終的に契約変更に至らず、この結果、Rio Tinto 取締役会は株主に対する本契約の推奨を取り消し、契約を解消することとした。

Rio Tinto Chinalco に対し、違約金として195百万米ドルを支払う。

Rio Tinto は、中国の重要性の認識は変わらず、今後もChinalco との友好関係を維持、強化するとしている。

ーーー

Rio Tinto 本年2月12日、中国国有アルミ大手、中国アルミ業公司(Chinalco)から現金で195億ドルの出資を受けると発表した。

1)Chinalco はRio が世界各地に持つアルミ、銅、鉄などの利権をJVへの出資の形で取得する。対価は合計123億ドル。
2)Chinalco
は Rio の両本社の転換社債を72億ドルで取得する。
  全て転換されれば、Rio Tinto 全体への出資比率は現在の9%
から18.0%に増える。

2009/4/1 中国アルミのその後 

Rio これにより、2007年のアルキャン買収に伴い抱えた389億ドルの負債を軽減する。
同社は今年
10月に89億ドルの返済期限を迎えるほか、来年10月には100億ドルが返済の期限を迎える予定となっている。

本案については次期会長が反対し、これを決定した取締役会の前に退任している。

中国の豪州進出が目立つなか、国内で賛否両論が起こり、政治問題化してきた。

中国通を自負する首相の姿勢に批判が出る中、反中感情をあおり立てる黄禍論(「赤禍ヒステリア」)であるとの反論も出ていた。

豪州当局による提携承認の手続きもずれ込んでいた。
(独禁法当局
325日に「本件に反対しない」と発表したが、もう一つの認可機関のForeign Investment Review Board は「重要案件」としてレビューを3ヶ月延長している)

ーーー

6月5日、Rio Tinto は中国アルミの出資取り止めと、これに伴う資金不足対策として2つの対策を発表した。

一つはRio Tinto BHP Billiton の西豪州の鉄鉱石事業の50/50 JV化で、シェア調整のためBHP Billiton から58億ドルを受け取る。

もう一つは株主割当増資で、英国法人が118億ドル、豪州法人が34億ドル、合計152億ドルとなる。

ーーー

鉄鉱石事業のJV

Rio Tinto BHP Billiton 4日、両社の西豪州の鉄鉱石資産を包含する製造JVの設立の契約に調印した。

両社50/50出資のJVは、両社の現在及び将来の西豪州の鉄鉱石資産及び負債を引継ぐ。
BHP Billiton の資産の比率は45%であるため、50/50JVにするために、BHP Billiton Rio Tinto 58億米ドルを支払う。

付記

当初は製品の15%までをJVが直接販売する構想であったが、10月に取り止めた。
2009125日に正式契約を締結した。

EU2010125日、正式に調査を開始した。

ーーー

JV化は次のメリットがあり、シナジー効果は100億米ドルを超えるとみられている。
・隣接する鉱山の統合
・鉄道輸送費削減、港の効率化
・ブレンドすることによるメリット
・開発計画の統合、大規模化、資金の効率利用
・経営、購買、管理費の節約

JVは製造JVで、鉱石をコストで両社に等量を引き渡し、両社はそれぞれ独自に販売する。
技術と
R&D活動もJVにプールされる。

但し、HIsmelt (銑鉄プラント)や二次処理設備、西豪州以外での現在及び将来の事業展開はJVから除外される。

Rio Tinto の会長は、JVはワールドクラスの資産、インフラを持つ圧倒的な鉄鉱石事業となるとしている。

必要な承認を得て発足するが、どちらかが取り止めた場合は、違約金275.5 百万米ドルを支払う。

2007BHP Billiton Rio Tinto に対して買収の提案を行い、2008年11月にBHP Billiton が買収を諦めたが、買収の主な目的は西豪州の鉄鉱石であったと言われる。
最終的に
BHP Billiton の構想が一部実現したこととなる。

2008/11/27 BHP BillitonRio Tinto 買収を断念 

注 下の鉄鉱石能力グラフで、BHPB-PilbaraRio-HamersleyRio-Robe はいずれも西豪州のPilbara 地区にある鉱山。
統合でCVRD(ブラジルのリオドセ)を追い抜く。

ーーー

株主割当増資

取締役会は慎重に検討した結果、株主割当増資が戦略の柔軟性を維持し、長期的に株主価値を向上させるベストな案と判断した。

英国法人が118億ドル、豪州法人が34億ドル、合計152億ドルとなる。

これにより、Alcan 買収に伴う借入金のうち、本年に期日が来る分の支払いが可能となり、来年に期日が来る分のかなりの部分の繰上げ返済が可能となる。
また、低下していた格付けを
single A に戻すことが出来る。
更に、前向き投資も可能となる。

ーーー

Chinalco は5日、社長のコメントを発表した。

Rio Tinto の決定は極めて残念だ。
ここ数週間、Chinalco は契約改定に向け努力してきた。
この結果に失望している。
今も、この契約がRio Tinto の株主価値を高め、両国の長期的な戦略的パートナーシップの強い基盤となると信じている。

Chinalco はRio Tinto の最大株主(9%) として、同社の今後の展開を見守る。
Rio Tinto とBHP Billiton のJVの今後の展開も見守る。

Chinalco社長は、中央アジア(たとえばモンゴル)の鉄鉱石など、代替案を検討するとしている。「需要があり、手元に金があるのに、鉄鉱石資源がないと心配する必要はない」と述べた。

また、同社は、多種類のメタルを持つ国際的な鉱山会社になるという戦略目標を変えないとしている。

 


2009/6/8 ベネズエラ、石油化学事業の国有化へ

ベネズエラは2007年以降、通信、電力、セメント、石油など幅広い業種の企業の国有化を進めている。

2008/2/20 速報 WTI原油価格 後半 ベネズエラの石油国営化を巡ってのエクソンモービルとの争い

チャベス大統領は521日のテレビ演説で、鉄鋼関連会社を国有化すると発表した。
鉄鋼関連
4社(Matesi TavsaOrinoco IronCOMSIGUA)とセラミック関連のCeramicas Caraboboの5社。

COMSIGUA(Complejo Siderurgico de Guayana, C. A. ) は神戸製鋼が36.7%、商社連合が30.3%を出資するHBIHot Briquetted Ironのメーカー
1989年9月設立で、能力は年産100万トン。

還元鉄は、空気中で再酸化し発熱するため、輸送が困難であるが、HBIは還元鉄に物理的圧力を加えることにより、たどん状にしたもので、これにより還元鉄の密度が高まり、再酸化の問題が解消し、輸送が容易になる。
電炉・転炉における製鋼原料として使用される。

522日には同国2位のバンコ・デ・ベネズエラをスペインのサンタンデール銀行から105000万ドルで買収することで合意した。

63日には14プラントにある70の天然ガス圧縮設備の国有化を発表した。

ーーー

今回、ベネズエラは石油化学事業の国有化について先週、国会で討議を始めた。決まるのは決定的とみられている。

石油化学が同国にとって重要な産業であり、海外出資者を国とのJVのマイナリティの株主にするという法案。

現在、多くの企業が国営化学会社Pequiven とのJVでベネズエラで活動している。

日本からは三菱ガス化学のメタノールのほか、三井物産がPP、PEのJVに参加している。

資者 出資先 出資比率 Pequiven 事業  
Law Debenture Corp
(投資会社)
Clorovinilo del Zulia  51.71% 48.29% VCM
PVC
クロルアルカリ
 
三菱ガス化学/
 三菱商事
Metanol de Oriente,
 METOR S.A.
23.75%
 /
23.75%
37.50% メタノール 第1期:年産 750千トン
第2期:年産
850千トン 
     2006/12/27 三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設
三井物産 Polipropileno de
 Venezuela Propilven
15% 49.4% PP 110千トン
Poliolefinas Internacionales,
 C.A. Polinter,
1.6%   HDPE 120千トン 三井化学技術
LLDPE/HDPE 215千トン NOVA技術
LDPE 300千トン Basell技術
FMC Corp Tripoliven 33.3%   phosphorus-based chemicals  
Braskem SA
(計画段階)
Prolipropileno del Sur, S.A. 50% 50% PP 450千トン
Polietilenos de America, S.A. エチレン 1,300千トン
HDPE、LDPE、LLDPE 3系列計1,100千トン
      2007/12/20 Braskem Venezuela 国営Pequiven、石化JV設立
Koch Industries Inc. Profalca 35%   propylene  
Koch Industries Inc. Fertinitro 35%   fertilizer  
Snamprogetti SpA
(Eni SpA)
20%
Andersol SA
(Colombia)
Intequim     paint  
Phoenix
(Columbia)
Estizulia     PS 47千トン 

問題は接収で正当な代金が支払われるかどうかである。

これまでのセメント、石油、鉄鋼、銀行の接収で、ベネズエラは130億ドルの負債があるとされている。
原油価格の下落で、ベネズエラは石油掘削業者へ支払いを一部止めている。

Braskemは5日、JV計画を進めると述べた。
この計画は2007年
12月カラカスでの両国大統領の会談の席で発表されたものであり、例外扱いとなる可能性はある。

 


2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始 

イラクの北部三州で構成するクルド人自治区からの原油輸出が6月に始まった。

原油の主権をめぐり対立してきた中央政府とクルド自治政府の間で妥協が成立したもので、6月1日、自治区首府アルビルでの開始式典にはタラバニ大統領と自治政府のバルザニ議長が出席し、和解を演出した。

Tawke油田とTaq Taq 油田からの日量10万バレル程度の原油を中央政府が管理する既存パイプラインを使ってトルコの地中海岸の積み出し港ジェイハンに運び、そこから輸出する。

Tawke油田はノルウェーのDNOが2004年6月に西側石油会社として初めてクルド政府と生産物分与契約を締結し、3年後に油田は生産を開始した。しかし、中央政府とクルド政府の争いで輸出許可が出ず、安値の国内販売を強いられていた。
本年初めにトルコの
Genel Enerji と提携した。

Taq Taq 油田はスイス/カナダのAddax Petroleum とトルコのGenel Enerji が組んで20057月に生産物分与契約を結んだ。200611月に生産を開始したが、同様の問題を抱えている。

中央政府はクルド政府が外国企業と結んだ契約は違法として認めていない。

付記

上記Addax Petroleumはシノペックが買収した。
イラク石油省高官は
826日、12月に予定している油田開発の選定入札からシノペックを除外する可能性を示唆した。

しかし、中央政府が原油収入増を望んだため例外的に妥協が成立したとされる。
イラクは現在、日量241万バレルの生産を行い、190万バレルを輸出しているが、生産は2003年のイラク戦争開戦前の250万バレルを下回っている。
原油収入はイラクの歳入の9割を占めるが、昨年の大幅な値下がりで政府は苦境に陥っている。

Taq Taq から4万バレル、 Tawke から6万バレルが送油された。1年以内に日量25万バレルまで増やす計画。

原油の販売はイラク石油省傘下の国営石油会社(SOMO)が担当し、中央政府が収入の71%、クルド政府が17%を受け取り、残りを外国石油会社が受け取る。

しかし、今回の措置で中央政府とクルド政府の対立が解消したとは言えない。

イラクの石油相はパイプラインを経由しての輸出を認めるが、クルド政府の外国石油会社との契約は違法であると主張している。

ーーー

クルド自治区ではUAEのDana Gas がオーストリアのOMV、ハンガリーのMOLと組んで、天然ガスをNabucco Pipeline を経由してトルコから欧州に輸出することを計画している。

Dana Gas と親会社のCrescent 50/50出資の Pearl Petroleum がクルド自治区で操業しているが、OMV350百万ドルを支払って10%の権利を取得する。
MOLCrescent Dana に同社の株の3%を与え、見返りにPearl Petroleum 10%を取得する。
ここでは
2014年までに30m3/日以上の生産が出来るとされている。

Nabucco Pipeline はトルコからブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアに繋がる3,300kmのパイプラインで、2011完成の予定。OMVが中心となり、建設費50米ドルは5カ国のガス会社がシェアする。

ロシア依存を減らすため、ここからのガスの需要は多いが、肝心のガスが不足している。

しかし、クルド政府がこの計画を承認した直後、中央政府はこれを違法契約として拒否した。

ーーー

イラク政府は本年、37年ぶりに油田権益を外資企業に開放することを決めたが、石油相は4月2日、クルド政府との間で自治区内の油田4つの鉱区の開発の覚書を締結した韓国石油公社やSKエナジーなどの韓国企業を今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加させないことを明らかにしている。

2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

 


2009/6/10 レアメタルの国家備蓄拡充

政府はレアメタルの国家備蓄拡充に乗り出した。

従来の 7品目に加えて、インジウム、ガリウムの備蓄を開始した。
経済産業省は現在、レアアース(希土類)など5品目についても備蓄対象にする方向で検討している。

参考 2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限? 

現在の国家備蓄制度は以下の通り。

  国家備蓄 民間備蓄
実施主体 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 民間企業
(国際鉱物資源開発協力協会がとりまとめ)
対象鉱種 ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム
目的 円滑な産業活動の維持及び国家経済安全保障の確立 企業の使用実態に即応した自主的な備蓄制度
保管場所 茨城県の備蓄倉庫で一元集中管理 民間企業が個別保管管理
目標 国内基準消費量の42日分
(備蓄目標量の7割)
国内基準消費量の18日分
(備蓄目標量の3割)
                     合計 国内基準消費量の60日分
実施状況
(09/3末)
財政難から保有費用を極力抑えるとともに、
リスクに対応
鉱種 日数
ニッケル  21.8
フェロクロム  29.2
タングステン  20.1
コバルト  22.2
モリブデン  17.1
フェロマンガン  26.2
フェロバナジウム  18.9
平均  22.2
 
現在の動き 新たな備蓄品目:インジウム、ガリウム

需要動向の注意対象品目:ニオブ、タンタル、ストロンチウム、プラチナ、レアアース

 
制度の変遷は以下の通り。

@ 1982年4月の産業構造審議会の報告を受け、国家備蓄の実現に向けた検討が本格化。
1983年4月の「金属鉱業事業団法」改正により、金属鉱業事業団(現
石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の業務に「金属鉱産物の備蓄」が追加され、同年度より備蓄制度が創設された。
   
    備蓄目標:消費量の60日分(国家備蓄:25日分、共同備蓄:25日分、民間備蓄:10日分)
   
A 1986年の鉱業政策懇談会の報告(制度の簡素化、効率化)を受け、1987年度より変更 
   
    備蓄目標:消費量の60日分(国家備蓄:42日分、民間備蓄:18日分)
   
B 1997年12月の「特殊法人等の整理合理化について」の閣議決定により、新規の備蓄積み増し停止
   
C 2000年12月、鉱業審議会レアメタル対策分科会は、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデンの4鉱種について当面の備蓄水準の削減が可能と評価し、2001年度以降、最低合計30日分以上の備蓄物資を確保。
   
   ・ニッケル:対日輸出国集中度が低下、リサイクルが進展する等、供給の安定度は相当高い。
 ・クロム:我が国企業の南アフリカ進出、南アフリカ情勢の安定化等から供給の安定度は上昇。
 ・マンガン:南アフリカ情勢の安定化、生産国の分散化が進展するなど、供給の安定性は大幅に上昇。
 ・モリブデン:アメリカ・中国・チリ等安定した生産国が多いことから備蓄水準の削減が可能。
   
D レアメタル備蓄の放出
   当初は「緊急時放出制度」(供給障害が発生 or 発生のおそれがある場合)のみ。
   1991年度に「高騰時売却制度」(価格高騰時に一部売却)を追加。
   2000年度に4鉱種(ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン)について30日分まで売却することを可能に。「平常時売却」
最近数年間で下記の売却が行われた。
 ニッケル地金    863t
 フェロニッケル   6,443t
 モリブデン    415t
 フェロマンガン  19,650t
 フェロバナジウム    160t
 タングステン    117t

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上記の通り、原則は国家備蓄は42日分だが、新規備蓄積み増し停止、高騰時売却制度、平常時売却制度により、現状は22.2日分に留まっている。

また、レアメタルの用途が増えているが、新規用途は勘定に入らず、備蓄は十分ではないという。

コバルトは需要の7割を占める二次電池向けが制度スタート時に想定されておらず、備蓄量算定基準に含まれない。

「31種類に固定化しているレアメタルの分類見直しも含めて備蓄対象を増やし、安値で迅速に買い付けに動ける環境が必要」との声もある。(日経記事)

資料  http://www.jogmec.go.jp/mric_web/organization/japan/g3/index.html

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経産省は6月3日、レアメタルを国内に安定供給するための総合戦略「レアメタル確保戦略」の原案をまとめた。

@海外資源確保、Aリサイクル、B代替材料開発、C備蓄の4つの柱を挙げた。

@については鉱山周辺のインフラ整備へのODAの活用を盛り込んでいる。
Aについては携帯電話やデジカメなどをリサイクルする仕組みの構築が重要と指摘している。

Aに関して 参考 2008/1/15 資源大国 日本

Bについては産学官の連携強化や研究開発拠点の整備などを挙げ、
Cについては「需給動向を踏まえ、積み増し、放出を機動的に取り組むべきだ」としている。


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