ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2010/1/18  改正臓器移植法 一部施行

改正臓器移植法が2010年1月17日から一部施行され、臓器提供者(ドナー)から親族に臓器を優先提供できるようになった。

臓器移植法改正案は20097月13日午後の参議院本会議で賛成多数で可決、成立、7月17日に公布された。

2009/7/13 臓器移植法改正案 成立

この法律の附則で施行期日は公布の日から起算して一年を経過した日(本年7月17日)とされたが、下記の「親族への優先提供の意思表示」については「公布の日から起算して六月を経過した日から施行する」とされた。

第六条の二 移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる。

厚生労働省は2009年12月18日、「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」の改正法公布後4回目となる会合を開き、改正法を運用するためのガイドライン(指針)が了承された。

レシピエント(移植希望者)登録している親族がおり、かつ、親族優先提供の意思を示している人が自殺した場合、臓器の親族への優先提供を見合わせることとした。

自殺した人からの臓器の親族優先提供をめぐっては、日本循環器学会が昨年10月に「自殺などを誘発するおそれがある」として、心臓を親族優先提供規定から除外するよう求める要望書を提出していた。

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付記

日本アイバンク協会は5月22日、関東地方で死亡した50代の男性の角膜が妻に提供されることになったと発表した。男性の眼球は21日に摘出手術が終了しており、妻への移植手術が行われる予定。

男性は胃がんのため21日に死亡。生前の今年4月、50代の妻(角膜ヘルペスのため片眼の視力がほとんどない)に角膜を提供する意思をアイバンク登録票で示し、男性の主治医に対してもその意思を伝えていた。

男性のもう片方の角膜は移植を必要とする他の第三者に移植される予定。

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付記

臓器の売買を禁止し、移植を受けるための渡航を自粛するよう促す決議案が5月21日、世界保健機関 (WHO)の総会で採択された。法的拘束力はないが、2009年7月に改正臓器移植法が成立した日本を含め加盟国の医療政策に影響を与えそうだ。

加盟国に対し、臓器などの売買や渡航移植によって経済的利益を得ることに反対するよう要請している。移植される臓器などに、世界共通の通し番号をつけることで不適切な移植に歯止めをかける仕組みづくりも求めた。

また、同時に総会で承認されたWHOの「人の細胞、組織、臓器の移植に関する指針」は11項目。生きている人から臓器を摘出する生体移植について規制を求めるとともに、未成年は原則として臓器摘出の対象から除外すると定めた。臓器売買の禁止を明記し、売買を促すような広告も禁じるべきだとしている。

改正ガイドラインの概要は以下の通り。

(1)親族の範囲は、配偶者と親子
   事実婚は対象外
   養子も民法上の特別養子(法律上、実の親との親子関係が切られる)以外は対象外
   兄弟姉妹は対象外

   改正前は機会平等の考えから親族優先はなし。
   改正後も範囲を限定した。

(2)親族のみへという限定提供は無効

(3)個人名での指定は、個人でなく、親族への提供として扱う
(4)親族間での優先順位付けは、順位通りでなく、親族への提供として扱う
    医学的優先順位によるものとする

(5)優先提供の意思表示ができる年齢は15歳以上
(6)優先提供が受けられる年齢は特に制限なし

(7)意思表示は書面で行う。
    日本臓器移植ネットワークの臓器提供意思登録システム
    意思表示カード
    意思表示シールを張った保険証など

(8)自殺したドナーからの優先提供は認めない
    提供のための自殺を防止するため
    臓器提供そのものは可能だが、親族優先にはならない

    


2010/1/19 米司法省、独禁法違反でモンサントを調査

米司法省は115日、農薬メーカー Monsantoを独禁法違反で正式に調査を開始した。
同社のドル箱の
Roundup Ready大豆を巡るビジネス慣行について情報を求めた。

Monsanto では、主として、第一世代のRoundup Ready大豆の特許が2014年に切れた後も、農家や種子会社はこれを使用できるとした同社の発表の確認を求められていると述べた。

同社では、これまでと同様に調査に積極的に協力するとしている。

Roundup ReadyMonsantoが開発したRoundup除草剤耐性の農作物の総称。
開発された農作物にはダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイなどがある。

Roundup除草剤は1970年にMonsantoが開発した除草剤グリホサート(glyphosate) の商品名で、世界中で使用されている。

Roundup ReadyRoundup除草剤を散布しても枯れず、雑草だけが除かれる。
米国の大豆の90%がこれを使っている。

このRoundup Ready大豆の特許が2014年に切れる。Monsantoでは特許が有効な第二世代のRoundup Ready種子に切り替えさせようとしている。

これに対して需要家の間で不満が広がったため、200912月、Monsantoは特許切れ後も農家が種子を使用するのを妨げないと発表した。2015年からは農家は前年収穫したものを種子として使えるし、種子会社はロイヤリティ無しで生産できるとしている。

大豆種子の価格は1996年以来、4倍に上がっており、農家やライセンスを受けた種子会社の間で不満が出ている。

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農務省と司法省は20098月、種子を含む農業事業における事業慣行を調査すると発表した。司法省はMonsantoに加え、DuPont とスイスのSyngenta にもコンタクトしている。

Monsantoではホームページで同社の立場を説明している。Innovation and the Competitive Seed Market

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Monsantoの業界での力が強いため、これまでも独禁法上で問題となっている。

同社は1998年にDelta And Pine Land Company18億ドルで買収することで合意した。

Delta And Pine Land は米国第1位の棉種子会社であり、司法省による独禁法の審査が大幅に遅れ、199912月に買収を断念した。

Monsanto20068月、Delta And Pine Land を現金15億ドルで買収することで再度合意した。

20075月、同社は司法省との間で、Delta And Pine Land買収について合意、米国の棉種子事業を含む設備の売却を条件に買収が認められた。
同社は
Stoneville® 種子事業と設備をBayer CropScience に、NexGen™ 種子事業と設備をAmericot に売却した。

なお、Delta And Pine Land はターミネーター技術(種子を死滅させる毒性タンパクを作る遺伝子を組み込み、2回目の発芽の際には種子が死滅する技術)を保有している。

最初の買収の際、ターミネータ技術に関する大きな反対が起こったため、当時のCEO Robert B. Shapiroは、同社は不妊種子技術の商業化は行わないと公に約束した。

Open Letter From Monsanto CEO Robert B. Shapiro dated October 4, 1999

I am writing to let you know that we are making a public commitment not to commercialize sterile seed technologies, such as the one dubbed "Terminator."

--- we think it is important to respond to those concerns at this time by making clear our commitment not to commercialize gene protection systems that render seed sterile.

しかし二度目の買収に際して、Monsantoの報道官は「種子を不妊とする技術を使用するつもりはなく、”食料作物に対しては不妊種子技術を商業化しない”という2005年の公約に立っている」と公約を修正、非食料作物には使用することを示唆した。

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Monsanto20095月、DuPont子会社のPioneer Hi-Bred International 2002年のライセンス契約に違反して、Roundup Ready 大豆とDuPont GAT農薬耐性大豆をセットにしているとして訴えた。 

PioneerRoundup Ready販売の権利を持つが、DuPont GATに置き換えるとしていた。
しかし、
GATだけでは問題があることを認めており、Roundup Readyとセットにして販売した。

これに対してDuPont は翌6月、両種子技術をセットにする(stacking)はライセンス契約の範囲内であると主張、更に、Monsanto特許は無効であり、Monsantoは特許を不当に使って、コーンと大豆の市場を支配しているとして訴訟を起こした。

「Monsantoの訴訟は競合製品の使用を制限する戦術の一つである。農家は多くの技術の中から最適のものを使うことを望んでおり、その権利がある。
両種子のセットは生産性や多種の雑草防止などの点で市場の他の製品よりも優れている。
Monsantoが課している非競合制限なしで、最もよい組み合わせを行うのが生産者にも消費者にも役に立つ。」

Monsanto 200910月、ライバルのDuPont が行った独禁法上の問題指摘に基づき司法省から質問を受けていることを明らかにした。

米地裁は1月16日、Monsantoによる訴えに対し判事は、両社の契約には両種子をstackingするのを禁止するという書かれていない(黙示の)条項があると認めた。この決定は紙一重のもの("narrow")であるとし、DuPont による反訴の独禁法問題や特許無効問題には影響がなく、これらは引き続き審理を行うとした。

DuPontでは、裁判は始まったばかりで、更に証拠を集め、農家に対して最も生産性の高い、最新の種子を供給する権利があることを示していくとしている。

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独禁法とは関係ないが、Roundup Readyのアルファルファ種子について、米最高裁は115日、下級審の販売禁止命令を再検討することを明らかにした。

2007年5月、サンフランシスコ連邦地裁が米国全土でRoundup Readyアルファルファの栽培を禁止した。

米国農務省(USDA)が
これが有機アルファルファや通常のアルファルファを汚染する可能性に関する適切な研究をしなかったと指摘し、商業栽培許可前には、他花受粉の可能性などを含む完全な環境影響研究を行うことを命じた。

20089月、米国第9巡回区控訴裁判所は完全な環境影響評価書が出るまでの禁止を確認した。GMアルファルファの栽培が、有機及び通常品種に対する取り返すことができないかもしれない損害、環境に対する損害、そして農業者に対する経済的損害をもたらす可能性があると裁定した。

最高裁はMonsantoの上告を受けて審議を決めた。

 


2010/1/20 韓国大手企業、投資と雇用を拡大

全国経済人連合会(全経連)は1月15日、ソウルの大韓商工会議所に李明博大統領を招き、「投資や雇用拡大に向けた30大グループによる懇談会」を開いた。

李大統領は先ず、「韓国企業の成績が良かったのは、企業が競争力を持って挑戦的に海外市場を開拓したことに起因する」としてねぎらった。

これに対し、30大グループは本年、投資と雇用規模を昨年より大幅に増やすことを明らかにした。
合計で過去最高の87兆ウォン(7兆円)を投資し、7万9千人を採用する計画で、投資は昨年より16.3%、採用は8.7%増えることになる。   *
1 兆ウオン≒ 800億円

李大統領は「今年最も重要な政府目標は雇用創出だ。大企業が果敢な投資と雇用に向けた意思を表明したことに感謝する。国家雇用戦略会議を毎月開く予定だ。企業にも支援となる戦略会議になるだろう」と述べた。

主な会社の計画は以下の通り。

三星グループ 投資26兆5千億ウオン、新規雇用 19千人
うち、三星電子がグループ全体投資の70%弱
 (半導体に5兆5千億ウォン以上、LCDに3兆ウォン以上を投資)

「景気状況によっては投資と雇用はさらに増やす」
現代・起亜車
グループ
投資10兆5千億ウォン(前年比12%増)、採用5千人+大学生インターン1千人
うち、エコカー開発などの研究開発に4兆6千億ウォン

「環境にやさしいグリーン成長事業に寄与するよう最善の努力を尽くす。
積極的な人材採用と投資のために力を尽くす」
LGグループ 投資15兆ウオン、採用1万人

「未来を準備するためにLGは環境にやさしい自動車関連核心技術に積極的に投資している。
この事業は現在、世界的に初期段階なので、うまくいけば韓国企業が世界市場をリードすることができるだろう」
SKグループ 投資7兆ウオン(前年比10%程度増)、採用2千人

「企業投資としてのみ雇用するのではなく、社会的企業を増やしながら雇用の創出に力を尽くすようにする」
ボスコ 投資9兆3千億ウオン、採用2500人
ロッテ 投資35千億ウオン(前年比50%増)+M&Aなど1兆ウオン、
新規採用
7500人+インターン1000

第2ロッテワールド、石油化学設備増設など
斗山 投資15千億ウオン(前年比25%増)
STX 投資1兆2千億ウオン、新規採用2千人

 

別途、韓国石油化学協会は新年の会合で、国際競争力強化のため、石化企業が今後3年間で14.4兆ウオン(11500億円)を投資することを明らかにした。

2010年には4.7兆ウオンを、来年は5.9兆ウオンを投資する。
また、本年の貿易収支を前年の
19.7兆ウオンから29.7兆ウオンに増やすとしている。

麗川NCCはエチレン増強のため2.7兆ウオンを投資する。

麗川NCCはハンファと大林産業がエチレンを統合したもので、能力は3系列合計186万トン。
エチレン増強計画は明らかにされていない。
(韓国はエチレン換算能力
6,674千トンに対し、内需は3,719千トンしかなく、韓国での増強は考え難い)

LG化学はリチウムイオン電池に1兆ウオンを投資する。
同社は昨年、中国海洋石油との合弁で広東省で
ABSを生産することを発表した。

2009/7/25 LG Chem、中国海洋石油との合弁で広東省でABSを生産

SK Energyは海外事業の拡大計画の一環として、石油化学部門の本社の上海移転を開始した。

同社はシノペックの武漢エチレン計画への参加を決めている。

2008/6/2  韓国SK Energy、シノペックの武漢エチレン計画に出資


2010/1/21 IPCCデータの信憑性

昨年11月に英国の East Anglia大学Climate Research Unit のサーバーへのハッカーの攻撃で、多数のemailデータが持ち出され、公開された。
それにより、IPCCのデータが捏造されているのではとの疑惑で生じ、
ClimateGateと呼ばれた。

2009/12/2 IPCCデータの捏造疑惑

今回、IPCCが2007年に出した第4次評価報告書で、ヒマラヤの氷河が「このまま地球温暖化が続くと、2035年までに消失する可能性が非常に高い」とした記述について科学的根拠がなかったことが判明した。

IPCC Fourth Assessment Report: Climate Change 200710.6.2 The Himalayan glaciers は以下の通り述べている。

ヒマラヤの氷河は世界の他のどこよりも速く後退しており、現在の速度が続くと、地球温暖化が現在のレートで続けば、2035年までに、多分もっと早く、消滅する可能性が強い。

ヒマラヤ氷河の後退は主に地球温暖化に起因する。氷河近辺の相対的に高い人口密度、森林伐採、土地の利用方法の変化なども影響している。

付記 IPCCは1月20日、この予測が誤りだったと発表した。

IPCCは可能性の強さを “very likely”としたが、これは90%以上の確率で発生するということを意味する。

アジアの何億人もが水の供給をこの氷河に依存しているため、何度も引用され、狼狽を引き起こした。

実は、この記述は、英国の一般向け科学誌The New Scientist10年も前にインドの氷河専門学者Jawaharlal Nehru 大学のDr. Syed Hasnain への電話インタビューでのものであり、きちんとした科学的根拠がなかった。

Dr. Hasnainは現TERI (Tata Energy Research Institute) のフェローをしているが、この記事の2035年消滅というのは誤って引用されたものであると述べている。 単なる推測であり、研究の成果ではないとする。
最近の彼の研究では小さな氷河がなくなるだけだとしている。

The New Scientistの記者はインドの雑誌の記事を見て1999年にDr. Hasnainに電話をした。
記者によると、報告はレビューを受けておらず、正式に科学誌に発表されたものでもなく、正式のものではないため、そういうものとして記事にしたとしている。
記者はその後、
Dr. Hasnainから資料を受け取ったが、2035年に全部消滅するとは書かれていなかった。Dr. Hasnainは、あのコメントはヒマラヤの氷河全体ではなく、その一部のことだと明らかにしたという。

The New Scientistの記事はその後忘れられたが、2005年にWWF(世界自然保護基金)がキャンペーンの材料としてこれを使用した。

しかし、IPCC報告の氷河の部分を担当したProfessor Murari Lal のグループはWWFの記事をソースとして挙げ、更に全面消滅の可能性を "very high"とした。

ケンブリッジ大学の学者は、ヒマラヤの氷河は平均して厚みが300mはあり、仮に1年に5m 溶けても60年かかるとし、2035年はありえないとしている。

但し、各地で氷河が後退していることは事実で、チベット高原を研究している中国の氷河研究者は、「研究では2035年までに30%が、2050年までに40%が、世紀末には70%が消滅する」としている。

どうしてこんな誤りがIPCCの報告に載ったのかが問題視されている。

IPCCPachauri議長は以前に、ヒマラヤの記事への批判を一蹴し、批判をエセ科学(voodoo science)とした。

本件が判明したのは、カナダのトレント大学のGraham Cogleyの努力による。
IPCCの報告に不審を持ち、New Scientist にたどりつき、Pearce記者にコンタクトした。記者はDr. Hasnain に再インタビューし、博士は推測であることを認めた。

担当のProfessor Murari Lal は、彼自身、氷河の専門家でなく、ヒマラヤに行ったこともなく、信頼できる資料に頼った、WWFの報告はインドの立派な学者の研究に基づいており、正しいものだと思ったと述べた。

専門家でないと認めている人が何故担当となったのか、
IPCCではコメントを拒否している。

ClimateGateに続いてこれが明らかになり、温暖化懐疑派がまた力をつけることとなる。

 

付記 中西準子さんがこれについて書いている。

 雑感504-2010.1.25「ヒマラヤ氷河2035年消失は2350年消失の間違い?−IPCCが報告書を訂正−」

付記

 国連環境計画(UNEP)は2月26日、IPCCの運営方法を再検討するため、独立委員会を設けることを決めた。

 ヒマラヤ氷河のほかにも、いろいろ問題が出た。
 オランダ環境評価庁はIPCC2007年報告を以下の通り修正した。

報告には「オランダの55%は海面下にある」としている。
正しくは、「オランダの55%は洪水のリスクがある。国の26%は海面下にあり、29%は河川洪水の恐れがある」

ーーー

Dr. HasnainがフェローをしているTERI の理事長でもある、IPCCのRajendra Pachauri議長に対する批判も出てきた。

英紙Daily Telegraph は、議長が、温室効果ガスの排出量取引などでもうけている銀行の顧問なども務め、その報酬は彼が理事長を務めるTERIに振り込まれていると報じている。
IPCC議長としての活動が、団体の活動拡大につながった可能
性を示唆、「利益相反」の疑いに言及している。

TERI 1974年にインドの財閥Tata Groupにより設立された。
Pachauri 1981年に理事、2001年に理事長となり、現在も理事長である。

記事によると、Pachauri IPCCの推奨するポリシーに依存して儲けている銀行、石油、エネルギー企業などに投資をし、また、地球温暖化産業で主導的な多くの組織の役員やアドバイザーをしているという。

最近、温暖化懐疑派の2人が議長に公開質問状を渡し、これを問題視した。公開状は各国代表に送られ、利益相反の理由で議長を辞めさせるよう求めた。

これに対し議長は、反対派のやけくその嘘だと批判、収入はすべてTERIに渡り、電気のない人々に太陽光電力を渡すLight a Billion Lives運動に使われていると反論した。「反対派は世界が化石燃料から離れつつあるため、必死になっている」と述べた。


2010/1/21 2009年米住宅着工件数、2年連続で最低記録更新 

米商務省は120日、12月の住宅着工件数を発表した。

12月の季節調整済みの年率換算で557千戸で、年間合計では553.8千戸となり、1959年の統計開始以来の最低記録を更新した。

付記:2010/2/17発表で遡及修正があり、年間合計は554.5千戸に修正された。
   
3/16発表で遡及修正があり、年間合計は554.0千戸に修正された。



2010/1/22  中国の2009年のGDP 前年比8.7%増

中国国家統計局が1月21日発表した2009年のGDP速報値によると、物価変動を除いた実質成長率は前年比8.7%となり、中国政府が必達目標としていた「8%前後」を達成した。GDP総額は約33.54兆人民元(約459.5兆億円)となり、世界2位の日本に一段と肉薄する水準となった

名目GDPで、日本は昨年1〜9月が349兆円、10〜12月が昨年同期並みであれば通年で479兆円となる。
なお、1人当たりGDPでは日本の10分の1以下にとどまる。

同時に発表した第4四半期のGDPは前年同期に比べ10.7%増えた。

 * 2009年1Qと3Qの数値は速報から修正された

内訳は
 一次産業  3.55兆人民元 前年比4.2%アップ
 二次産業 15.70兆人民元     9.5%アップ
 三次産業 14.29兆人民元      8.9%アップ

国家統計局では、昨年は21世紀に入り最も厳しい年であったが、政府の策が奏功、下降が止まり、回復が始まったとしている。
回復の主因は、積極的な財政政策と金融緩和、及び政府の景気刺激策としている。

中国政府は2008年11月9日夜、国内需要拡大のため2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施する緊急経済対策を発表し た。

2008/11/12 中国、緊急経済対策に57兆円

中国国務院は国内の10産業について景気刺激策を検討、2009年2月19日に軽工業と石油化学産業の景気刺激策を承認した。
既に、1月14日に自動車と鉄鋼、
25日に繊維と機械、211日に造船、218日にエレクトロニックスと情報産業について景気刺激策を発表している。

2009/2/25  中国政府、石油化学産業の景気刺激策を承認

軽工業の景気刺激策には「家電下郷」(家電を地方へ)が含まれた。これに自動車の「汽車下郷」が加えられた。

2009/4/17  「家電下郷」で中国で家電の販売急増

 

これらにより、都市部の固定資産投資は30.5%増、工業生産は11%増、小売売上高は15.5%増となった。
中国の2009年の自動車販売台数は前年比46.15%増の1364万台となり、初めて世界一となった。

2010/1/13 2009年の中国の自動車販売、世界一に 

上のブログ記載のキッシンジャー博士のコメントの通り、公的資金を長期的視点で迅速に有効に配分したのが効果を生んだといえる。

しかし、景気刺激策による固定資産投資の中には、過剰な設備投資も多い。

国務院は以下のように述べている。

過剰能力を減らすという政府の長年の目標を達成することは緊急の課題である。放置すれば、工場閉鎖、失業、銀行の不良債権が発生する。
注意すべきことは、過剰設備がありながら、まだ盲目的に拡大しているのが、鉄鋼やセメントのような昔からの産業だけではないことだ。風力発電機器やシリコンでも同様だ。

このため中国の10省庁(NDRC、工業・情報化部、財務部、環境保護部、人民銀行ほか)が昨年9月末に共同で特定分野の過剰能力を処理する提案を国務院に提出し、国務院はこの提案を承認した。

対象となるのは、鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、ポリシリコン、風力発電のほか、アルミ電解や造船、大豆油抽出などがある。NDRCは自動車についても警告している。

2009/10/19 中国政府、過剰能力是正に注力 

付記

国家統計局の馬建堂局長は経済運営の3つの懸念を挙げている。
1)経済の持続的回復をどのように維持するか
2)中小・老朽生産能力の淘汰の問題
3)資産価格の急激な上昇


2010/1/23 中国最大の環境汚染源は化学肥料

中国では多数の新しい石炭火力発電所が新設される状況で、これらが環境汚染の元とみなされているが、実際は農業、化学肥料の過剰使用が最大の問題だとする報告が出た。

中国人民大学の農業経済・農村発展学院の温鉄軍院長は、「多くの人が気づいていないが、農業が中国で最大の環境汚染源であり、もっと関心を持つべきだ」と述べた。

同学院とグリーンピースの研究によれば、農民(特に中国北部)は作物が必要とするよりも40%も多い化学肥料を使用しており、毎年10百万トンの肥料が川や湖に流入し、深刻な環境汚染を引き起こしている。

中国は世界の穀物の24%を生産しているが、肥料の消費は全世界の35%に達している。
1960年代以降、中国の穀物生産は8倍以上になっているが、窒素肥料の消費は55倍になった。

報告では化学肥料の使用を少なくとも50%はカットすべきだとし、政府は肥料メーカーに対する補助金を減らし、農民が家畜排せつ物を使用するのを応援するべきだとしている。

2009上半期に中国の化学肥料の生産は32.5百万トンで前年同期比9.5%増となった。
うち、窒素肥料は24.2百万トン、燐酸肥料は6.7百万トン、カリ肥料は1.5百万トンとなっている。


2010/1/25 欧州委員会、後発薬問題で製薬大手を調査

Pfizer 114日、製薬会社と後発薬メーカーとの間の後発薬特許契約に関する独禁法調査で欧州委員会から質問を受けていることを明らかにし、調査に協力すると述べた。

問題となっているのは後発薬の参入を遅らせるためにリベートを支払うという 'pay-for-delay' という取引。

何年もの調査に基づき、欧州委員会は多くの製薬会社に、20087月から200912月までの間の欧州における後発薬特許契約(generics settlement agreements)に関する情報提供を求めた。

Settlement agreements は、後発薬の参入の前に、複雑な特許係争によるリスクとコストを最小にするため、製薬会社と後発薬メーカーとの間で長年結ばれていた。

しかし、この結果として、後発薬参入を遅らせるために、製薬会社が後発薬メーカーにリベートを支払うことになれば独禁法問題が生じる。これが'pay-for-delay' と呼ばれ、患者は高価なブランド薬品を必要よりも長期間、使用せざるを得なくなる。

情報提供を求められているのは、ほかに、AstraZenecaBoehringer IngelheimGlaxoSmithKlineNovartisRocheSanofi-Aventisと後発薬メーカーのイスラエルのTevaと英・アイルランドのNiche Generics

これとは別に、欧州委員会は17日、デンマークの製薬会社 H Lundbeck A/S が抗うつ剤のCitalopram の後発薬参入を遅らせた疑いで初期調査に入った。

欧州委員会は、欧州経済領域(EEA)において、後発Citalopramの参入を防止又は遅らせるための慣行を調査するとしている。

欧州委員会では今後、これらのデータを毎年集める予定。

まず資料集めだが、独禁法上で懸念のある契約については調査する。

欧州委員会では後発薬の参入遅延で2000年から2007年の間で少なくとも30億ユーロの損失となっているとみている。

欧州委員会の競争政策担当委員のNeelie Kroes女史は今月までが任期で、2月から現経済・通貨担当のスペインの政治家 Joaquín Almunia Amann 氏が横滑りする。

ーーー

米国ではFTCが米国の製薬会社のsettlement agreementsのタイプや頻度に関する年報を作成している。
FTCpay-for-delay 契約をやめるよう、しばしば求めている。

下院を通過した医療保険改革法案では、pay-for-delay 契約を禁止する条項を含んでいる。
上院の案には含まれていないが、多くの市民運動グループがこれを含めるよう上院に請願している。

113日にはFTC委員長と議会の主要メンバーがpay-for-delay 契約禁止を求める共同声明を発表した。
  http://www.ftc.gov/opa/2010/01/payfordelay.shtm

ーーー

欧州委員会は20097月に医薬業界の問題点(Antitrust: shortcomings in pharmaceutical sector require further action)という報告を発表した。

調査は20081月に開始された。新規医薬品の上市が少ないこと、後発医薬品の参入が遅れることを問題視した。

報告によると、
2000年から2007年の間で特許が切れた医薬品で、後発医薬品発売は7ヶ月以上遅れ、20%の追加支出となった。
・後発医薬品は平均
40%安い。
 製薬会社は出来るだけ長く、後発医薬品なしで販売するよう、多くの手をうっている。
・新規医薬品の発売が減っている。製薬会社の慣行も原因となっている。

・欧州共同特許と統一特許訴訟制度の設立が必要。
 (特許訴訟の
30%がいくつかの国で平行して行われている。11%が国によって判決が異なる)

欧州委員会はメンバー各国に次の要請をしている。
・後発医薬品の承認を遅らせないこと
・後発医薬品の承認手続きを早める。
・後発医薬品の品質が問題とするような誤ったキャンペーンに対応策をとる。
・新規医薬品の評価を早くする


2010/1/25 BraskemPetrobrasの石油化学事業統合

Petrobras(ブラジル国営石油会社)とOdebrechtBraskemの主株主)124日、Petrobras 40%/UNIPAR 60%出資のQuattor Petrochemical UNIPAR持株を買収し、同社をBraskemに統合すると発表した。買収額は478百万ドル。

また、PetrobrasBraskemへの出資を増加する。
現在の
Braskemの主株主のOdebrechtは議決権の50.1%を保持するが、 Petrobras OdebrechtBraskemでの意思決定を共同で行う。
このため、両社は持株会社
BRK Investimentos Petroquimicosを設立する。

これにより、Petrobrasの石化事業とBraskemを統合して新Braskemが誕生することとなるが、同社は熱可塑性樹脂業界でアメリカ大陸最大のメーカーとなる。

ブラジルの5つの州 (Sao Paulo, Rio de Janeiro, Rio Grande do Sul, Bahia and Alagoas)26の工場を持ち、年間売上高260億ドルとなる。

なお、両社のJVとして、IpirangaCopesulPetroflexがあるが、これが新Braskemに統合されるのかどうか、現在のところ不明。

Braskemによると、新会社の能力は以下の通りとなる。

PE  304万トン
PP  197万トン
PVC  51万トン

合計は551万トンで、ExxonMobil 531万トン、Dow483万トンを上回る。

ーーー

2007811日、Petrobras União de Industrias Petroquimicas (Unipar) 両社のブラジルの化学品、合成樹脂事業を統合する協議を行っていると発表した。新会社の名称は Companhia Petroquimica do Sudeste (CPS) で、Uniparが主導権を持つとされた。

2007/12/6 Petrobras、石化事業を再編

2008年6月12日に新会社が設立された。社名は変更され、Quattor Petrochemical となった。

新会社にはPetrobras40%出資、UNIPAR60%出資した。

PetrobrasRioPolSuzanoを、UNIPARPQU, Polietilenos と同社の化学部門を拠出した。
統合対象各社は新会社の子会社となった。(社名変更)

  拠出会社 新社名(子会社)
持株会社   Quattor Participacoes SA
Petrobras
40%
Rio Polímeros(RioPol) Rio Polímeros SA
Nova Petroquímica
(Suzano Petroqu
ímica)
SA Quattor Petroquímica
UNIPAR
60%
Petroquímica União (PQU) Quattor Basic Chemicals SA
Polietilenos União Polietilenos Union SA
UNIPAR's Chemicals Unit  

2010/1/26 2009年 石油化学製品出荷実績

2009暦年の実績が発表された。エチレン生産量は前年を若干上回る6,913千トンとなった。

年の初めは操業度が75%程度であったが、5月には90%を超え、6月以降は95%程度の操業度を維持している。

エチレン生産    
   

 

合成樹脂の販売は、国内については全製品で前年を下回った。

国内販売が高水準であった2004年と比べると、LDPEでは17%ダウン、HDPEで19%ダウン、PPで15%ダウン、PSで25%ダウン、ABSで34%ダウン、PVCで35%ダウンと、各製品とも大きく減少している。

これに対して、輸出は、PSとABSを除き、前年を大きく上回っており、これがエチレンの高操業度の理由となっている。

問題は2008年秋までとは異なり、輸出市場の競争の激化で輸出価格が低いことと円高のため、輸出採算がよくないことである。

但し、内輸合計で見ると、LDPEとHDPEを除き、2007年から08年、09年と、出荷は大きく減少している。

特に、ABSとPVCの減少が大きい。ABSは内輸ともに大きく減少した。

PVCの場合、2009年の国内出荷960千トンは、1977年の974千トン以来の低水準である。内輸合計で見ても、輸出がほとんどなかった1987年以来の低水準である。

LDPE    
 
  内需 輸出 合計
2004 1,606 209 1,814
05 1,575 198 1,773
06 1,572 228 1,800
07 1,580 236 1,816
08 1,460 204 1,664
09 1,325 331 1,656
     
HDPE    
 
  内需 輸出 合計
2004 1,005 159 1,163
05 974 112 1,086
06 971 116 1,087
07 966 122 1,088
08 884 94 979
09 819 214 1,032
PP    
 
  内需 輸出 合計
2004 2,669 298 2,967
05 2,725 323 3,047
06 2,756 321 3,077
07 2,827 367 3,194
08 2,565 217 2,782
09 2,278 303 2,580
     
PS    
 
  内需 輸出 合計
2004 918 41 959
05 865 30 894
06 876 22 897
07 863 44 906
08 768 37 806
09 687 32 719
     
ABS    
 
  内需 輸出 合計
2004 341 215 556
05 322 197 519
06 334 180 515
07 334 197 530
08 298 185 484
09 224 131 354
     
PVC    
 
  内需 輸出 合計
2004 1,469 664 2,132
05 1,404 714 2,118
06 1,364 744 2,109
07 1,279 839 2,118
08 1,174 551 1,725
09 960 705 1,665
     

なお、原料のスチレンモノマーとVCMの出荷実績とその内訳は以下の通り。

SM    
 
  国内 輸出 合計
2004 2,069 1,395 3,464
05 1,944 1,577 3,521
06 1,949 1,405 3,354
07 1,952 1,621 3,573
08 1,737 1,203 2,941
09 1,379 1,650 3,030
国内向けは2年前の70%と大きく減少したが、輸出が堅調で、合計では前年出荷を上回った。
出荷合計のうち、国内向けは46%に止まる。
     
VCM    
   
  国内  
PVC用
国内  
その他用
輸出 
PVC用
輸出 合計 能力
2004 1,479 42 664 602 2,788 3,043
05 1,427 52 714 652 2,844 3,484
06 1,373 42 744 888 3,048 3,541
07 1,314 49 839 767 2,968 3,541
08 1,216 39 551 754 2,560 3,541
09 942 37 705 1,027 2,711 3,541

* 国内PVC向け出荷のうち、実際のPVC輸出数量を輸出PVC用として先取りした。

VCMの出荷は2,711千トンと、昨年を上回った。これはPVCの輸出及びVCMの輸出が伸びたため。
PVC国内出荷が激減したため、2004年には国内PVC用はVCM能力の約半分を占めたが、2009年は27%に過ぎない。

今後PVCの輸出が減少すれば、能力の大幅削減が必要となる。


2010/1/27 韓国のPTAメーカー KP Chemical 

中国国家発展改革委員会(NDRC)は昨年12月、浙江桐昆集団(Tongkun Group) 子会社の嘉興石油化学の年産80万トンのPTA計画を承認した。

30.4億人民元を投じて浙江省嘉興市の乍浦経済開発地区に建設するもので、2012年上期のスタートを目指す。

桐昆集団は浙江省嘉興市に本拠を置く私企業で、PETチップとPET繊維を主事業としている。
同社は2009年にPETチップ 286千トン、PETフィラメント 124万トンを生産した。
このほか、不動産、金融、教育、貿易なども行っている。

ーーー

この計画には当初、韓国ロッテグループのKP Chemical が参加することで検討してきた。
しかし、
KP Chemical は同社の投資方針の変更で昨年この計画から撤退した。

KP Chemical は2001年に経営不振に陥った大手繊維と化学メーカーの高合(Kohap Corp) からスピンオフして設立され、2004年にロッテグループのホナム石化が買収した。

蔚山でパラキシレン(750千トン)、PTA(950千トン)、PET(450千トン)、PIA(高純度イソフタル酸 200千トン)を有している。

同社は石油会社から混合キシレンを購入し、パラキシレンとメタキシレンを生産、パラキシレンからPTAPET、メタキシレンからPIAを生産している。

製品の90%以上を輸出している。

同社は2009年6月、ICI Omicron からパキスタン唯一のPTAメーカーPakistan PTAの株式75%を買収した。
Pakistan PTAは能力400千トンで、2002年から生産している。

ICI OmicronICIの子会社であったが、Akzo Novel ICIを買収した際に、これも買収した。

Akzo Novel は今回の売却について、この事業はAkzoの他の事業と合わないとしている。(AkzoICI本社の買収に際し、塗料事業以外は全て売却している)

    2007/8/13  
Akzo が ICI を買収

KP Chemical は海外進出戦略として桐昆集団との合弁での中国進出を図ったが、Pakistan PTAの買収でパキスタンに方向を変更したものと思われる。

なお、韓国のPTAメーカーは以下の通り。(能力は2009/5現在、千トン)

会社名 立地 能力
KP Chemical Ulsan   950
Sam Nam Petrochemical Yeochun  1,700
Samsung Atofina Ulsan  1,100
Daesan   700
SK Chemicals Ulsan   520
Taekwang Industrial Ulsan  1,000
Hyosung Corporation Ulsan   410
Total    6,380

2010/1/28 Saudi Aramcoジザン製油所建設へ

サウジ初の民間企業が建設する製油所として、多くの内外企業が関心を示していたJizan (Jazanの表記もある)製油所は、結局Saudi Aramcoが建設することとなった。

石油鉱物資源省は1月19日、サウジ国王の承認に基づき、Saudi Aramcoが出来るだけ早く ジザン製油所を建設するよう指示されたと発表した。

当初、製油所建設は100%民間資本で行うこととなっており、同省では入札を発表、サウジの8社と海外の45社が候補となった。

候補には以下のコンソーシアムがある。
TasneeSaudi Nama Chemicals GroupSaudi Advanced Refineries and Petrochemicals のチーム
Corral PetroleumArabian Peninsula のチーム(いずれもサウジのMohammed al-Amoudiが所有)

同省では各社の努力に感謝するが、事業規模や現在の状況により、この重要な計画をSaudi Aramcoにやらせることとしたとしている。

ーーー

アブドゥラ国王は2006年11月、総額300億ドルのジザン経済都市構想を発表した。
非石油産業の育成、十分な雇用機会、教育施設及び住宅の提供を目指した戦略の一環である。

経済都市構想の第一号事業は2005年12月に発表されたラービグ経済都市で、Petro-Rabighが建設された。

第二号事業は2006年6月にPrince Abdul Aziz bin Mousaed 経済都市(別名Hail 経済都市)で、運輸・兵站・食品関連作業に対象を絞っている。

第三号事業はMadinah経済都市(ITや医療企業を含む調査・研究を重視した知識基盤産業の誘致を目指す)。
第四号事業は
Um Al-Qura 経済都市(Makkah economic city)。

ジザンはサウジの南西端のYemenとの国境近くにある。



ジザン経済都市では、マレーシアのエネルギー・運輸コングロマリットのMMCとサウジのビン・ラディン・グループが主たる開発者となることが決定している。

新港、鉄道、高速道路、居住地区、不動産事業向けの巨額のインフラ投資が予定されており、新工業地帯に全敷地面積の2/3が割り当てられる。同工業団地には、港湾、アルミ精錬所、製鉄所、製油所、銅精錬所や漁業施設、その他アグロ産業が配置される。

近くには油田はなく、SABICが30年契約で原油を供給することとなっていた。

製油所の規模は日量25万〜40万バレルで、一次FSの結果では採算面から石油化学(ナフサ原料)を含める方がよいとされている。

製油所の建設費は少なくとも100億ドルはかかると推定されている。

ーーー

サウジの製油所は以下の通り。(千バレル/日) 
  
は計画
   
立地 事業者 能力 完成 備考
Khafji Aramco   30    
Jeddah Aramco   80    
Ras Tanura Aramco   550    
  400  2013 Dow/Aramco 石化JV計画
Riyadh Aramco   130    
Yanbu Aramco   230   2010年に330千バレル/日へ
Aramco/Mobil   400    
Aramco/Conoco   400  2013  
Rabigh Aramco   80   2008年にPetroRabighに移管
Al Jubail Aramco/Shell   305    
Aramco/Total   400  2012  
Jazan Aramco 右記  ? 能力 250400

(ソース http://www.pecj.or.jp/japanese/jpecnews/pdf/jpecnews200903.pdf )


2010/1/29 DSM、米国のNovomer CO2ベースのレジン開発

DSM Novomer Inc121日、CO2を原料とする画期的な塗料用レジンを共同で開発する契約にサインしたと発表した。
200711月にDSM子会社のDSM VenturingNovomer に出資し、協力契約を締結したのに続くもので、NovomerのユニークなCO2ポリマー化技術とDSMの技術及び営業力を結合する。

NovomerCO2とプロピレンオキサイドからポリプロピレンカーボネートをつくる技術を担当、DSMはポリマーを塗料や接着剤など用のレジンに加工する。

ポリプロピレンポリカーボネート等のポリカーボネートレジンは塗料等に使用されるが、コストが高く、製品固有の弱点もある。
今回の新しい
CO2ベースの脂肪族ポリカーボネートはこれらの弱点を解決する。

NovomerCornell UniversityDr. Geoff Coatesが開発した触媒技術を使用し、CO2とエチレンオキサイドからポリエチレンカーボネートを、CO2とプロピレンオキサイドからポリプロピレンカーボネートを作る技術を開発している。
前者は重量で
50%CO2を含み、後者は43%CO2を含んでいる。

同社はポリプロピレンカーボネートをNB-180 の商品名で販売している。

ーーー

二酸化炭素からプラスチックなどの高分子をつくる技術は東京理科大学の井上祥平教授(東大名誉教授:当時、東大助教授)と東大の鯉沼秀臣客員教授(当時、東大大学院生)が約40年前に見つけた。

井上教授 ECO JAPAN インタビュー 2007/5/29

私がこれを最初に発見したのは1968年、もう40年近く前のことです。これまで、私だけでなく、多くの研究者がこの理論をベースに、有効活用できるCO2由来の高分子を得られないかと研究を続けていますが、残念ながら実用化には至っていません。その理由はすでに多種多様なプラスチックが開発されていることに尽きますね。競合相手がたくさんいる中で選ばれるには、よほどの特徴がなければ難しいということです。

2007年に中国海洋石油の子会社の中海石油化学が生分解性プラスチック製造のため、海南島東方市の化学産業都市で年間 3,000トンのポリプロピレンカーボネートプラントの建設を開始した。
中国科学院・長春応用化学研究所が独自に開発した特許技術を使用している。
元の技術は1969年の S. Inoue の発明による)

なお、内蒙古の蒙西高分子材料有限公司が長春応用化学研究所からライセンスを受け、内蒙古のオルドスに年産 3,000トンの工場を持ち、2002年12月に販売開始している。

2007/8/20 中国のCNOOC子会社が生分解性プラスチック製造

東京大学、住友化学などの産学チームは2007年9月、二酸化炭素からプラスチックを作ることに成功し、量産技術の開発を始めると発表した。
野崎京子東大教授らが新しい触媒で耐熱性を改善し実用化のめどをつけたもので、新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受けて、2012年度にも実用化する。

2007/9/14  ニュースのその後 CO2からプラスチック


2010/1/29 2009年第4四半期 国産ナフサ基準価格

財務省が1月29日に発表した輸入通関速報によると、12月のナフサ輸入価格は42,309円/kl となった。また、11月の金額も修正された。

この結果、4四半期のナフサの平均輸入価格は 40,531円/kl となり、これを基にした国産ナフサ基準価格は42,500円/kl となる。

計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
4Q平均  50,047  52,000
09/1  21,500    
09/2  23,836    
09/3  28,632    
1Q平均  24,970  27,000
09/4  29,628    
09/5  30,783    
09/6  33,580    
2Q平均  31,294  33,300
09/7  37,900    
09/8  39,507    
09/10  40,162    
3Q平均  39,185  41,200
09/10  39,304    
09/11  39,854    
09/12  42,309    
4Q平均  40,531  42,500

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)

 


2010/1/29  2009暦年 住宅着工件数

国土交通省は1月29日、昨年12月度の建築着工統計調査報告を発表した。

それによると、12月の住宅着工は69.298戸で、年間を通じて毎月、前年を大きく下回った。
2007
620日の改正建築基準法の施行で同年8月、9月は着工が大幅に減少したが、2009年はこの年をも下回った。



暦年合計では788,410戸となった。2006年までは120万戸程度、その後の2年はなんとか100万戸を維持してきたが、昨年はこれを大きく下回った。
なお、1996暦年は1,643千戸であった。昨年はこの半分以下となった。

80万戸を下回るのは1964年(75万1429戸)以来、45年ぶり。

1980年以降、住宅着工とPVCの国内出荷数量に相関関係が見られる。
(それ以前は住宅用のPVC用途が少なかったためと思われる。)

1996年のPVCの国内出荷は2,012千トンであったが、2009年は960千トンで、1996年の48%となった。

 


2010/1/30 水俣病訴訟で和解協議開始

水俣病不知火患者会(水俣市、2600人)が国と熊本県、原因企業チッソを相手取り、1人850万円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁は1月22日午前、原告と被告双方に和解を勧告した。

これを受け、原告、被告による第1回和解協議が同日午後、始まった。協議には原告団の会長や弁護士ら約20人、被告側は環境省や県の職員、チッソの代理人ら8人が臨み、双方が互いの主張を確認して終了した。

東京や関西でも相次いだ水俣病関連訴訟で、国が和解協議に応じるのは初めて。

今後は原告、被告双方の和解条件などを調整して、裁判所が「和解案」を示すことになる。
環境省は訴訟を起こしていない被害者の救済にも「和解内容と同じ条件」を適用する意向を示している。

両者の相違点は以下の通り。

                       患者側 国側         
チッソが被害者に支払う
一時金
関西訴訟最高裁判決の賠償額
(450万〜850万円)相当
1995年の政治決着などを踏まえ
150万〜260万円の幅
被害者の診断方法 患者を診てきた医師らが作り、証拠として提出した
「共通診断書」に基づいて裁判所が決定
公的医療機関での診断を基本に
第三者委員会で判定

付記

水俣病不知火患者会の約2100人が国と熊本県、チッソに損害賠償を求めている訴訟の和解協議で、熊本地裁は315日、一時金は210万円、手当は月12,900円(70歳未満)、15,900円(70歳以上)、17,700円(入院被害者)、訴訟費用や団体の活動経費となる「団体一時金」を29億5000万円などとする内容の和解案を所見として示し、原告と被告の双方に合意を促した。

水俣病救済法ではこれらは「別途協議」となっている。

環境省は昨年12月、水俣病特別措置法に基づく救済措置方針の土台となる案を公表した。
対象地域に居住していなかった人でも一部救済対象に加えるなど、従来の条件を緩和する一方、被害者団体などが強く求める出生年制限の撤廃は盛り込まれなかった。
一時金や療養手当の金額は検討中とし、被害者団体から意見を聞き最終調整する。

小沢環境相は「救済手続きの開始目標にしている5月1日を念頭に作業していかないといけない」と述べたが、また「裁判も同時並行で行われており、バランスを考えながらやっていきたい」と、被害者団体の受け止めを見ながら作業を進める考えを示している。

これまでの解決は以下による。

・公害健康被害補償法に基づく認定患者は、1人1600万〜1880万円の一時金や医療費
 認定患者は熊本、鹿児島で2,271人(うち生存者579人)

・1995年政治決着では、認定に至らない被害者約1万人に一時金(1人 260万円)

現在の未解決の患者は、
・認定申請中 7,293人
・「新保健手帳」所持者(医療費が無料) 25,475人
・合計 32,768人
このほか、潜在患者(人数不明)

不知火患者会は、未認定患者の主要5団体のうち、「訴訟派」の最大組織で、合計2,018人が提訴している。
水俣病出水の会(鹿児島県出水市、3,700人)など3団体は既に特措法に基づく救済措置の受け入れ方針を表明している。

残る訴訟派団体の水俣病被害者互助会(水俣市、170人)は被害の全容解明など、より抜本的な解決を求めて裁判を続ける意向を表明している。

ーーー

新潟水俣病の未認定患者救済問題で、国と原因企業の昭和電工を相手に1人当たり約880万円の損害賠償などを求めた訴訟を新潟地裁で係争中の患者団体「新潟水俣病阿賀野患者会」(110人)は1月30日、新潟市内で集会を開き、4次訴訟原告(43人)の同意を得て、国と和解に向けた事前協議に入ることを正式に決定した。

新潟水俣病(第二水俣病)は昭和電工鹿瀬工場でアセトアルデヒドを生産中に生成され、未処理のまま廃液として阿賀野川に排出されたメチル水銀が、魚介類の摂取を通じて人体に蓄積された事による有機水銀中毒。

1965年に発生が確認され、昨年12月末現在で県内の認定申請者数は延べ2230人。認定患者は696名。延べ133人が棄却処分を受けており、140人が取り下げた。

新潟水俣病も「水俣病」に含まれる。

政府は1968年9月、水俣病に関する政府統一見解を発表した。

熊本で発生した水俣病は、チッソ水俣工場のアセトアルデヒド・酢酸製造工程中で副生されたメチル水銀化合物が原因と断定、また、新潟で発生した水俣病は、昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒド製造工程中で副生されたメチル水銀化合物を含む排水が中毒発生の基盤として、各水俣病を公害として認定した。


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