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2011/9/1  Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携

ロシアのRosneft本年1月、BPとの間でグローバルな戦略的提携で合意した。

しかし、BPのロシアのJVTNK-BPの株主のAlfa Access Renovaを構成する4人の新興財閥が、BPRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPTNK-BPの株主契約に違反するとして 反対した。

BPRosneftの契約は5月16日に時間切れで白紙となった。

2011/5/18 BPRosneft との提携、白紙に 

RosneftはBPに代わる提携先を探していたが、8月30日にRosneftとExxonMobilは両社が北極海と黒海の開発、技術協力、米国その他での共同事業の実施で合意したと発表した。

両社はStrategic Cooperation Agreementを締結したが、ロシア、米国、その他世界中での石油資源の共同探査・開発と探査開発技術の共有化をうたっている。両社はPutin首相が同席する中で調印した。

付記 両社は2012年4月16日、上記のStrategic Cooperation Agreementを実施する契約を締結した。

(1) ロシア

Rosneft が66.7%、ExxonMobilが33.3%出資するJVが北極海と黒海で事業を行う。投資額は32億ドルと見込まれる。

 ① ロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区East Prinovozemelskiy License Block 1,2,3)の開発
     2010年に
Rosneftが権利を取得したもので、South Kara Seaの深さ 50~150m126,000km2にわたるもの。

付記

ExxonMobil は2014年8月9日、Rosneftと共同でカラ海で資源探査のための掘削に着手した。

Rosneftはウクライナ問題での米欧による制裁の対象企業で、資金調達や技術供与が制限されているが、ExxonMobilでは今回の事業が既存の設備の利用などで、制裁に抵触しないとみている模様。
プーチン大統領は「現在の困難な政治環境にもかかわらず、実利主義と良識が勝っている」と主張した。

しかし、ExxonMobilは9月19日、資源探査を中断すると発表した。
米政府はExxonMobilの動きを問題視し、9月末までに資源探査をやめるように要求していた。

 

 

 ②黒海のTuapse Blockの開発
   深さ 1,000~2,000m の11,200
km2の地域

両社は2011年1月にこの開発で合意している。
 
2011/2/5 RosneftExxonMobilとも海底油田開発で合意

(2) その他の探査・開発

Rosneft はExxonMobilの多くの開発計画に参加する権利を得た。
これには、メキシコ湾の深海油田、テキサス州のタイトオイル、その他海外での開発を含む。

付記
・西テキサスの
Delaware Basin のLa Escalera Ranch projectに 30%参加
・U.S. Gulf of Mexico の20ブロックに30%参加
・AlbertaのWestern Canada BasinのHarmattan acreage in the Cardium formation に30%参加

両社はまた、西シベリアのタイトオイル開発の検討を共同で行うことでも合意した。

Tight Oil は孔隙率および浸透率の低い油層からの原油で、Shale gasと同じ手法で採掘する。
米国北部からカナダにかけて分布するBakken Shaleが代表的。

(3) Arctic Research and Design Center for Offshore Developments

深海油田開発のための研究センターをSt. Petersburgに設立する。
両社の研究員が参加し、両社の技術を持ち寄り、北極海の共同事業と他のRosneft の開発事業のための新技術を開発する。

(4) その他

技術及び経営のスタッフの交換計画

ExxonMobil は、今回の合意はサハリン1プロジェクトでの15年にわたる関係がもとになっているとしている。

サハリン1プロジェクト
事業主体 Exxon Neftegas
 (ExxonMobil子会社、オペレーター、30%)
・サハリン石油ガス開発(株)(通称:
SODECO
 (石油公団・伊藤忠・丸紅等 出資
30%)
ONGC Videsh(インド、20%)
Sakhalinmorneftegaz-Shelf(ロシア、11.5%)
Rosneft-Astra(ロシア 8.5%)                
投 資 額 約120億ドル以上
開発鉱区 オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ
推定可採
埋 蔵 量
①石油    約23億バレル
②天然ガス 約4,850億立方メートル

2011/9/2 青海塩業、金属マグネシウム・石炭化学統合コンプレックスのPP計画でUNIPOL法を採用

青海省の青海塩業 (Qinghai Salt Lake Industry) はこのたび、年産16万トンのPP計画でDowのUNIPOL法を採用した。
ホモポリマー、ランダムコポリマー、インパクトコポリマーを製造する。

UNIPOL法PPは今回が中国での8つ目のライセンスとなる。

青海塩業は中国最大の塩湖資源利用企業で、食塩等を生産しており、子会社のQinghai Salt Lake Potash (Sinochemも出資)で塩化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、カリウム金属などを生産している。

食塩等の生産は茶卡盐湖 (Chaka Salt Lake)などを中心に行っている。
塩化カリ等の生産は
察尔汗盐湖 (Qarhan Salt Lake)で行っている。

PP計画は青海省ゴルムド市の察尔汗盐湖での同社の金属マグネシウム・石炭化学統合コンプレックスの一環である。

金属マグネシウム・石炭化学統合コンプレックスの概要は以下の通り。

マグネシウムの製法には電解法(Dow法、IG Farben法など)やPidgeon法などがあるが、同社は電解法を採用した。
塩水からとった水酸化マグネシウムを無水塩化マグネシウムとし、これを電解して生産する。

これには塩素を使用するため、塩湖の塩水の電解で塩素と苛性ソーダを生産するが、塩素を利用してPVCの生産を行う。
PVC生産にはエチレン法とアセチレン法を併用、エチレンと塩素、及びアセチレンと塩素でPVCを生産する。

このため、石炭からメタノールを生産し、MTOプロセスでエチレンとプロピレンを生産、別途、石炭からコークスをつくり、これと生石灰でカーバイドを生産し、アセチレンをつくる。

今回のPPはMTOのプロピレンを使用する。

青海塩業は2010年7月に第一期計画を着工した。2013年下半期に生産開始の予定。

能力は以下の通り。(単位:千トン/年)
今回第一期のPPが決まったが、第二期でのプロピレンの用途は未定。

製品 第一期 最終
金属マグネシウム 100 400
メタノール 1,000  2,400
MTO エチレン 165 400
プロピレン 165 400
PP 160 160
PVC 500 2,000
苛性ソーダ 1,000 2,000
コークス 2,400 2,400
カーバイド 800 2,000
二塩化カルシウム 100 100
Source: ASIACHEM Consulting

 


2011/9/3 ロンドン・オリンピックとDow Chemical

ロンドン・オリンピック・パラリンピック組織委員会とスポンサー企業であるDow Chemicalは8月4日、2012ロンドン大会のスタジムを環境に優しい素材でラッピングすると発表した。

ダウは2010年7月、International Olympic CommitteeTOPThe Olympic Partnersになる契約を締結した。
スポンサー期間は2010年から2020年まで。条件は明らかにしていないが、1億ドル以上との報道もある。

1業種1社に限定されており、ダウは化学分野で契約した。
TOP
にはそれぞれの分野で、自社製品、技術、サービスの世界的マーケティング活動の独占的な機会が与えられる。

2010/7/31 ダウ、IOCのスポンサーに

ロンドン・オリンピック・スタジアムは一部の競技と開会式、閉会式の会場となる。

ラップは、高さ約25m、幅2.5mの336枚のパネルで構成され、スタジアムを視覚的に盛り上げると同時に、風除けにもなる。

Dowではこのラップは「Sustainable Olympic Games」という目標に 合致するとしている。

このラップにはDowの高性能プラスチック部門が製造する樹脂が使用され、より少ない原料で生産することが可能となる。
また、最大で35%軽量化され、従来の素材に比べて二酸化炭素削減につながる。
さらに、従来のインクに代わって紫外線硬化インクが使用され、印刷工程における排出量が減少し、揮発性有機化合物(VOC)も発生しない。

Dowはオリンピック閉会後にこれを有効利用すべく、現在、使用方法を検討している。

オリンピック委員会は会場での広告を禁止しているが、Dowは開会1か月前まではラップに広告をつけることを認められた。

英国政府が建設予算を11,400千ドルカットし、この案は棚上げになったが、今回、Dowが費用を肩代わりし、実施する。

ーーー

これが報道され、インドのBhopal問題が脚光を浴びた。

Bhopal問題ではインド側が犠牲者に対する補償の追加を求めているのに対し、Dow側は既に解決済みであること、Dowは問題解決後にUCCを買収したため無関係であることを主張している。

インドの司法長官はBhopal事故(1984123日発生)の記念日に当たる2010年123日、Dow Chemicalに犠牲者に対する10億ドル以上の支払いをさせるよう求めて、インド最高裁に対して申立を行った。

2010/12/8 インド政府、Bhopal事故補償で13億ドルの追加請求

この記事では1,270百万ドルとしたが、「異なるインフレ指数などにより、請求額は666百万ドルから13億ドルまで、いくつかがある」と付記している。インド司法省の弁護士は政府は500億ルピー(11億ドル)の訴えを最高裁に提出したとしている。

今回の報道はインドの国民を激怒させた。

活動家はインド・オリンピック委員会とSingh首相に対し、ロンドンオリンピックボイコットを訴える手紙を出した。

Bhopal運動のパンフレットは以下の通り述べている。

ダウのオリンピックスポンサーはオリンピック憲章の精神に反している。
オリンピック憲章は人種差別を禁止している。しかしスポンサー企業は人種差別を行っている。
Dowはン米国でUCCの法的債務を引き継いだのに、インドでの責任は拒否している。これは人種差別でないか。

 

英国のベテラン議員のKeith Vaz は、オリンピック委員会がDowの宣伝を載せるラップの費用をDowに支出させる決定をしたことに対し驚きを表明、Dowに対して「Dowはオリンピックに出す金があるなら、11億ドルの賠償を行うべきだ」と 伝えた。


2011/9/5 ダイムラーとBASF、先駆的な電気自動車を開発 

ダイムラーとBASFは9月1日、電気自動車全般に適応可能な、両社のアイデアを結集した最新のコンセプトカー「smart forvision」を開発したと発表した。

ダイムラーは、電気自動車で4つの量産モデルを発表した初の自動車メーカー。
2009年にはマイクロ・コンパクトカー「smart fortwo」の電気自動車の量産を開始している。

ダイムラーとBASFは、電気自動車の普及と日常生活への早期導入のため、幅広い研究開発に取り組んできた。

今回のコンセプトカーは、エネルギー効率、温度管理、軽量設計を特に重視した。
両社の技術力により、将来的に発生するさまざまな課題を解決する未来志向のコンセプトカーで、デザイン、ライフスタイル、テクノロジーを融合させることで、これまでにない包括的な機能性を実現した。

今回の新たなコンセプトカーで、5つの「世界初」を実装することに成功した。

・透明有機太陽電池
・透明有機発光ダイオード(OLED)
・完全プラスチック・ホイール
・新軽量ボディ部品
・赤外反射膜・塗料

特長は以下の通り

1)エネルギー効率化に貢献:ルーフからの明るさとエネルギー

ルーフの六角形の透明なエリアは、史上初の光伝達ルーフとして、エネルギーを生成する役割を担っている。
有機染料をベースとした透明な太陽電池がサンドイッチルーフに埋め込まれている。

太陽電池の透明な染料は、光で起動し、散光時や薄暗い状況下でも、マルチメディア機能および車内の温度・湿度管理をサポートする3つの換気システムを稼働するのに必要なエネルギーが生成される。
自動車が陽のあたる場所にある限り、太陽電池によって継続的な換気が可能であり、自動車の冷却状態が維持される。

透明な太陽電池の裏側に透明有機発光ダイオード(OLED)を組み合わせることで、ドアを開けた時やボタンを押した時にはOLEDが車内を照らし、スイッチがオフの状態では、外部が透けて見えるようになる。
日中はグラスルーフの効果が得られる一方、夜間には眩しすぎない快適な照明が得られる。
従来型の省エネランプと比べて、消費エネルギーは半分以下となる。

2)多機能・軽量化設計:差別化し、よりよく、スタイリッシュに

量産が可能な初の完全プラスチック・ホイールによって、大幅な軽量化と独自のデザイン性を実現している。
BASFが開発した最新の高機能素材(長繊維強化ポリアミド成形材料 Ultramid®)を活用したホイールにより、現段階でホイール1個あたり3kgの大幅な軽量化を達成した。

高機能複合材料の炭素繊維強化エポキシ樹脂をシャシー、ドアなどの部品にも使用している。
これにより、鋼との比較で50%以上、アルミニウムとの比較では30%の軽量化が実現した。
BASFの樹脂は硬化時間が短いことから、大量生産にも適している。
 

3)総合的な温度管理

 ①暖房:体の近くで、効率的に

最新の軽量・自立型のプラスチック製シートシェルがその基盤となっている。

従来型のシート暖房とは異なり、独自の導電コーティングを施した薄型繊維のe-テキスタイルが使用され、背中の中央部と腰のあたりで身体により密着した形で直接的に暖めることにより、快適な暖かさが得られる。ドアに取り付けたアームレストにも使用している。

シートフォームでもBASFの素材は、他社の素材と比べて約10~20%の軽量化を実現し、また、一度の動作工程で、クッションの部分ごとに硬さの度合いを変えることが可能。超吸収剤を含むフリース繊維をシートに織り込んだ受動的な温度・湿度管理により、シートの快適性は大幅に向上する。

 ②温度管理:熱の侵入を防ぐ

断熱材は、自動車用途では初の採用となるBASFの新赤外反射膜で構成されている。
これをフロントガラスやサイドウィンドウに採用することで、車内の温度上昇を防ぐ。
安全ガラスの窓枠の間に無金属のフィルムを取り付けることで、赤外線は効果的に反射される。

BASFの高機能発泡体を車体パネルに使用することで、車内の温度・湿度を快適に保つことができる。

 ③涼しい塗料で、車内も涼しく

赤外線を反射し、極めて傷のつきにくい塗料分野は、広範囲の温度管理システムに対するサポートと、その鮮やかで高品質な質感により、「smart forvision」独自のデザイン性を強調するという2つの機能を同時に発揮する。

ガラスフレークを用いたホワイトの特殊効果コーティングを採用しており、光り輝くメタリック調の外観となっており、重要な副次効果として、太陽からの熱線や光を極めて効果的に反射する。

BASFが誇る特殊な着色顔料により、熱放射を吸収するのではなく確実に反射し、暗色塗料の表面でも、これまでより大幅な冷却状態が維持される。
塗料表面温度は最大20℃、車内温度は最大約4℃下がる。

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なお、LGとGMは8月25日、LGによるChevrolet Volt やOpel Ampera用のバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表した。

2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 

 


2011/9/6 丸紅、英国の洋上風力発電事業に参加

丸紅は9月2日、デンマークの大手総合エネルギー会社 DONG Energy A/Sとの間で、2010年春に完工し、現在DONGが100%出資する172MWの発電容量を有する英国のGunfleet Sands洋上風力発電の権益49.9%を取得する事で、基本合意したと発表した。
権益取得対価は約2億ポンド。

日本企業として初の、商業運転中の洋上風力発電事業への本格出資参画となる。

丸紅は、洋上風力の分野で世界シェア第1位(28%)の実績を持つDONGをパートナーとする事で、洋上風力発電の開発及び操業のノウハウを吸収し、今後、同分野での欧州における事業参画を積極的に進めると同時に、北米や日本など、将来洋上風力発電事業が本格的に進められる可能性のある市場への投資を検討していく。

丸紅は、本件を加えると、日本国内を含む全世界23ヶ国においてネット保有発電容量が合計8,796MWに達し、このうち、水力発電所を含む再生可能エネルギー資産450MWを保有することになる。 最近のトピックスは以下の通り。

インドネシア・チレボン石炭火力IPPプロジェクト

660MWの新規石炭火力IPPプロジェクトをインドネシア西ジャワ州のチレボンにて建設中

蓼科小水力発電所

茅野市蓼科のビーナスライン沿線で休止中だった発電設備を2010年6月に買収

カナダRaleigh風力発電事業権益の取得

2010年12月、オンタリオ州の風力発電所78MWを保有するRaleigh Wind Power Partnershipの事業権益49%を米国Invenergy社から取得

豪州Hallett 4 風力発電事業

2010年12月、丸紅、豪州APA社、大阪ガス共同出資の132MW・豪州最大級の風力発電所が南オーストラリア州に完工

洋上風力発電用の大規模海底送電線事業(後記)

付記

丸紅は2012年3月、産業革新機構と共同で、Seajacks Internationalの事業を、米国投資ファンドのRiverstone Holdings LLCより100%買収することに合意したと発表した。
北海地域において洋上据付サービス専用の特殊船を保有し、洋上風力タービン発電機の据付ならびにオイル&ガス洋上プラットフォーム設備へのサービスを主要業務としている。

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Gunfleet Sands洋上風力発電と、その隣でDONGが建設中のLondon Array洋上風力発電の概要は以下の通り。

  Gunfleet Sands London Array
Owner Dong          50.1%
Marubeni  49.9%
DONG   50%
E-On      30%
Masdar (Abu Dhabi) 20%
所在地 英国Essex州の沖合7km 英国Essex州の沖合20km
設備概要 Ⅰ 3.6MW x 30基
Ⅱ 3.6MW x 18基
計 3.6MW x 48基:172MW
最終 1GW
Phase 1 
 3.6MW x 175基:630MW
稼働開始 2010年春 Phase 1   2012年末
供給世帯数 英国の約125,000世帯 480,000世帯

周辺には他に3つの洋上発電がある。

  Greater Gabbard Thanet   Kentish Flats
能力 500MW (建設中) 300MW 90MW
Owner Scottish and Southern Energy
RWE Npower Renewables
Vattenfall Vattenfall


DONG Energy A/Sは2006年にデンマークのエネルギー会社6社、DONG、Elsam、ENERGI E2、Nesa, Copenhagen Energy、Frederiksberg Forsyningが合併して設立された。

デンマーク政府が74%を出資する。

6社の統合により、下記の事業を幅広く行うこととなった。

 ・石油と天然ガスの開発・生産

 ・火力発電、再生可能エネルギー(水力発電、風力発電)

   水力発電はスウェーデンのIvdalsalvenに7基(JV)

   風力発電は下記(単独及びJV)    一部は陸上だが、大半は洋上

 

 ・ガス及び電力の配送

 ・エネルギーのコンサルタント

ーーー

丸紅の洋上風力発電用の大規模海底送電線事業の概要は以下の通り。

Googleは2010年10月、中部大西洋沖の風力発電所と本土を結ぶ大規模な海底送電網建設プロジェクト Atlantic Wind Connection を発表した。

Googleが37.5%を出資し、残りを 丸紅、スイスのプライベート・エクイティ・ファンドのGood Energies Investment Corp.、米国の規制送電線開発企業であるAtlantic Grid Development, L.L.C.が出資する。

今後中部大西洋岸4州(ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州、バージニア州)沿岸に建設が予定されている洋上風力電源と同州内陸電力系統を接続するもので、将来的には約6,000 MW相当の洋上風力電源を接続する見通し。
送電線開発・建設は5つのセグメントに分けて順次推進し、約1,500 MWの送電容量を持つ第1セグメントの開発を今後2年に亘り行い、2013年中の建設着工、2016年中の操業開始を目指す。


2011/9/7    中国政府、環境汚染対策を本格化 

中国で工場の環境汚染問題が多発している。

江西省萍郷市蓮花県にある アロイ等を生産する隆森實業公司で8月16日、鉛やクロムなどの有害物質を排出しているとして操業停止を求めた住民数千人が出入り口をふさいで抗議し、警官隊との衝突で20人以上が負傷した。

雲南省曲靖市陸良県では化学会社 陸良化工実業公司が4月から6月までの間、重金属であるクロムを含む汚泥を曲靖市内3カ所で、計5000トンを不法投棄したことが明らかになった。

2011/8/22 中国で工場の環境汚染相次ぐ

雲南省曲靖市の不法投棄事件を受け、中国の環境保護部は9月1日、曲靖市がクロムのスラグを処分し、汚染された土壌を浄化するまで、曲靖市の全ての新産業計画の審査を中止すると発表した。

Greenpeace の調査では、問題の陸良化工には14万トン以上のクロムのスラグが放置されている。工場周辺の地下水は高濃度の発がん性の六価クロムで汚染されており、周辺の住民に平均より高い確率で癌が発生している。

中国では新規プロジェクトは環境審査を受ける必要があり、曲靖市は上記事件の咎めを受け、経済発展にブレーキがかけられることとなる。

環境保護部はまた、年末までに危険廃棄物の不法投棄や貯蔵をターゲットにした全国的なキャンペーンを実施する準備をしている。
クロムや多結晶シリコンの製造や、下水汚泥や電子機器廃棄物の処分に従事する企業は厳重にチェックする。

環境保護部では曲靖市の不法投棄事件は一企業の問題ではなく、国全体の危険廃棄物の扱いの状況を反映したものとみている。
「大量の危険な産業廃棄物が土壌や水を汚染し、国民の健康への脅威となっている」としている。

2007年の最新の調査では、中国全体で4,574万トンの危険な廃棄物が排出されたが、12次5カ年計画(2011-15)期間中に年率5~7%で増えると見込まれている。
しかし、適切に処理されているのは約800万トンで、全体の20%以下である。
環境保護部では処理設備の不足、処理費用の高さ、環境当局の規制の緩みを理由として挙げている。

環境保護部は、クロム工場が貯蔵しているスラグ全てを適切に処理する期限を2012年末までと決めた。これまでに処理できない企業は生産停止を命じられる。

Greenpeace では環境保護部の対応を歓迎しつつ、保護部が関連情報を開示し、住民が監視に参加するのが重要であるとしている。

ーーー

別件だが、渤海湾の原油流出事故で、ConocoPhillipsは期限として決められた8月31日に、原油流出が止まったと発表した。

しかし、国家海洋局は流出が完全に止まっていないと判断し、9月2日に蓬莱19-3の生産停止を命じ、ConocoPhillipsはこの命令に従った。


2011/9/7 番外編  本のお奨め 

本年2月に開かれた武田計測先端知財団の武田シンポジウムの講演をまとめたものです。

  テーマ:新たな世界観をうみだす
    — はやぶさの帰還・宇宙の誕生・生命のゆらぎ −

「ゆらぎをテーマとして、異なる分野の三人の講師に、このような新しい発見のお話と、人間の意志の働きが大きな役割を果たしたお話をお願いいたしました。」

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「ゆらぎ」の力 −はやぶさの帰還 宇宙の始まり 高次な生命機能ー 

  第1章 「はやぶさ」が地球に持ち帰ったもの

川口 淳一郎 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所
         宇宙航行システム研究系 研究主幹 教授

  第2章 「ゆらぎ」が宇宙をつくる

佐藤 勝彦 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 機構長

  第3章 「ゆらぎ」を使うあいまいな動きと高次な生命機能

柳田 敏雄 大阪大学大学院 生命機能研究科 教授

  第4章 新たな世界観をうみだす

「総合質疑」 新たな世界観をうみだす
  司会: 唐津 治夢 財団理事/SRIインターナショナル日本支社 代表


2011/9/8  三井化学、フェノール・チェーンを強化・拡大 

三井化学は8月29日、フェノール・チェーン事業の強化・拡大の一環として、大阪工場のプロピレン法IPA(イソプロピルアルコール)プラント(年産28千トン)を停止し、アセトン法IPAプラント(60千トン)を新設すると発表した。
2013年4月に営業運転開始の予定。

同社はフェノール・チェーンをグローバルに拡大させる競争優位5事業の1つと位置付けている。
  ・フェノール・チェーン(フェノール、BPA)
  ・PO系コンパウンド(PPコンパウンド/アドマー)
  ・エラストマー(タフマー/EPT)
  ・メタロセンポリマー(エボリュー)
  ・高屈折率メガネレンズ

IPAは塗料・インキ分野を中心に使用される基礎的な汎用溶剤で、環境負荷の少ない溶剤として、アジア各国で需要の伸張が見込まれている。

今回の原料転換によるS&Bの背景は以下の通り。

フェノールの製法
  
ベンゼンプロピレン→フェノールアセトン

  原料プロピレンは需給が逼迫。
  フェノールに副生するアセトンは需要が少なく、フェノール増産のネックとなる。

IPAの製法
  従来法
(プロピレン法):プロピレンと水を高温高圧下で水和し、
                粗イソプロピルアルコール水溶液を分離し、精製
  

  新法(アセトン法):アセトンと水を気相反応(独自開発の高活性触媒を使用)

原料転換によりフェノールの原料で需給が逼迫するプロピレンの使用を止め、フェノールの副生品で余剰のアセトンを使用することで、両面からフェノールチェーンを強化しつつ、IPAを国内及びアジア市場に安定的に供給する体制を構築する。

なお、同社はこの触媒を使用したアセトンリサイクルシステム(ARS)をJVの千葉フェノールに導入している。
フェノール副生のアセトンをIPAを経由してプロピレンとし、再度フェノールの原料として使用している。

同社は現在、千葉、大阪、シンガポールの3拠点でフェノール92万トン、アセトン54万トンを生産しているが、うちアセトン14万トンをプロピレンに再生しており、アセトン販売量は40万トンにとどめている。

ーーー

三井化学は2009年4月15日にシノペックとの間で協力関係拡大の覚書を締結した。

その一環として2010年8月にフェノールの合弁事業化で合意した。

両社はビスフェノールAの合弁の上海中石化三井化工で、BPA原料のフェノールの合弁事業を行う。
既設の
上海中石化高橋分公司のフェノールプラントも合弁会社に統合する。

1. 所在地   上海市・上海化学工業区
2. 出資比率 50:50
3. 生産能力
   フェノール  アセトン  BPA
今回新設  25万トン  15万トン  
既設(上海中石化三井化工)      12万トン
既設(上海中石化高橋分公司)  12.5万トン   7.5万トン  
合計  37.5万トン  22.5万トン  12万トン
4. 新プラントプロセス 三井化学技術
5. 営業運転開始時期 2013年第2四半期

同社の誘導品事業(ビスフェノールA、MIBK)を含めたフェノール事業は、フェノール92万トン、誘導品54万トン、合計146万トンで2位だが、中国のフェノールを加え、世界トップを目指す。

2009/11/4  三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意

三井化学の中国以外のフェノールの状況は以下の通り。(単位:千トン)

三井化学(大阪)    200
    (千葉) 190
千葉フェノール  230
シンガポール  300
合計 920

2006/4/25 フェノール業界 

 


2011/9/9 陝西延長石油(集団)石炭化学を含む石油化学事業に重点

陝西延長石油Shaanxi Yanchang Petroleum)はこのたび、Ineos からInnovene PP 技術を導入した。

子会社の延安能源化工(Yanan Energy and Chemical)に建設するもので、能力は30万トン。

陝西延長石油は2010年3月にIneosからInnovene PP 技術と、Innovene S HDPE 技術を導入している。
いずれも
能力は30万トンで、子会社の榆林能源化工Yulin Energy and Chemical)に建設する。

陝西延長石油延安榆林、永平(Yongping)の3か所に製油所をもっており、延安榆林にはMTOプラントを持つ。

付記

陝西延長石油延安能源化工は2012年2月、イタリアのFasTech Srl からEPDM技術を導入した。

陝西省延安市にEPDM年産5万トンの設備を建設する。2014年第2四半期に生産開始の予定。
原料のエチレン、プロピレンは同地に建設中の新しいMethanol to Olefins(MTO)プラントから供給を受ける。

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陝西延長石油(集団)有限責任公司(Shaanxi Yanchang Petroleum Group Co.陝西省政府の100%出資会社。

省政府は2005年10月に、陝西省北部地域における石油資源の統合を推進するため、石油探鉱開発企業21社(陝西省の所管する石油開発会社7社、陝西省北部各区・県の所管する石油開発会社14社)ならびに製油所3社(延煉集団、永坪精油所、楡林製油所)を統合し、陝西延長石油を設立した。

統合により同社は、PetroChina, Sinopec、CNOOCに次ぐ中国第4位の石油会社となった。
上位3社が国有なのに対し、同社は唯一の省所有の企業。
ただし、活動範囲はあくまで陝西省に限られ、今後、他省あるいは国外において、石油の探鉱開発や精製事業を行うなどの事業規模拡大を行う可能性は極めて少ない。


陝西延長石油は2011年7月、石油・ガス資源が三大国有石油会社に抑えられているため、石油・ガス関連事業の比率を落とし、石炭化学を含む石油化学事業を強化する方針を明らかにした。

石油・ガス関連事業の売上高比率は2006-10年は約80%だが、これを60%に落とし、石炭化学を含む石油化学部門の比率を40%に引き上げる。

同社は現在年産300万トンのコールタールを生産しているが、今後5年で倍増する。
同社は豊富な石炭を活用し、成長の道を探る。
2011年~15年に1500億人民元を投資して、石炭・石油・ガス・塩を統合したプロジェクトを推進する。

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陝西省政府PetroChina は2007年5月、延安での大規模エチレン計画の契約を締結した。
陝西延長石油とPetroChinaの合弁で、100万トンのナフサクラッキングのほか、75万トンのPEや35万トンのPPも含まれる。
投資額220億元で陝西省延安市の洛川に建設される。

しかし、国家発展改革委員会は同事業を第12次5ヵ年計画期(2011~2015年)に先送りした。具体的な建設スケジュールは未定のまま。

2007/5/23 PetroChina、陝西省延安でエチレン100万トン計画

陝西延長石油集団と大連市は2010年10月、協力枠組協定に調印した。
延長石油集団は長興島臨港工業区に超大型石油化学コンビナートを建設するものだが、詳細は明らかにされていない

陝西延長石油(集団)は2011年6月、KBRKellogg Brown & Root )との合弁会社を中国に設立する契約を締結した

この合弁事業の目的は、Veba Combi Cracker(VCC)技術のマーケティング、販売、提供、サポートを実施すること。

VCC技術は水素添加技術で、石油精製、油田現場における改質石炭液化の過程において、精製残留物、コールタール、石炭石油混合物を高品質の蒸留物または合成原油へと処理するのに適した技術 。

この技術はドイツのVebaが開発した。
VebaDegussaに買収され、2002年にDegussa 親会社のE.On がBPに売却した。
2010年1月にBPとKBRがこの技術の販売のための
Collaboration Agreementを締結した。

合弁事業の運営は、延長石油集団が51%出資する北京石化工程有限責任公司とKBRの技術事業部門が行う。


2011/9/10 中国で3つのプロパン脱水素計画

浙江聚龍石油化工( Zhejiang Julong Petrochemical ) は8月26日、浙江省嘉興市独山港区でプロピレン工場の第1期建設工事を開始した。投資額は16.3億人民元、年産能力45万トンで、2013年の生産開始を予定している。
第2期は投資額28.5億人民元で、能力は75万トンの予定。現在FSの実施中。

同社は8月2日にUOPのOleflex法プロパン脱水素技術を導入した。UOPによると、この技術は1990年に完成、これまでに世界で9つの設備が稼働しているが、中国では今回が最初となる。
(UOPは本年6月にAbu Dhabi Oil Refiningに本技術を供与している。能力は50万トン。)

原料のプロパンは海外、特に中東から輸入する。
製品のプロピレンは国内需要家に販売する。今のところプロピレンの誘導品の計画はない。

浙江聚龍石油化工(本社:浙江省嘉興市平湖市)は浙江長江能源発展有限公司(Zhengjiang Changjiang Energy Development 、本社:浙江省温州市)の100%子会社。
長江能源の主業務はLPGの輸送、貯蔵、販売で、今回のプロピレン計画の原料プロパン輸入に同社の経験を活かす。


天津渤海化工集団(Bohai Chemical Industry Group )の子会社、天津渤化石油化工 (Tianjin Bohua Petrochemical )は本年6月末、天津市濱海新区でプロパン脱水素プラントの建設を開始した。
海外のプロパンを使用する計画で、2013年6月にスタートする予定

2010年8月にCB&I Lummus TechnologyからCATOFIN®法脱水素技術を導入した。触媒はズードケミーが供給する。
能力は60万トンで、Lummusによれば、これは世界最大で、中国では最初の脱水素プラント。

 

CB&I Lummus はまた2011年8月に寧波海越新材料(Ningbo Haiyue New Material)からCATOFIN®プロパン脱水素技術を受注した。
寧波市に60万トン設備を建設するもので、2014年にスタートの予定。

寧波海越新材料はガソリンやLPGの販売会社の浙江海越(Zhejiang Haiyue Co.)の子会社で、主製品はプロピレン、メチルエチルケトン、イソオクタン。

中国は年間150万トンのプロピレンを輸入しているが、今後、プロピレンの代わりにプロパンの輸入が増える可能性がある。

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中国ではポリプロピレンの新設も多い。

浙江鴻基石化(Zhejiang Hongji Petrochemical)は8月17日、浙江省嘉興市の乍浦工業パークでPPの生産を開始した。
2期合計300千トンの第1期の120千トンで、国産技術のZHG法を使用し、原料プロピレンは韓国など海外で調達する。
第2期180千トンの詳細スケデュールは明らかにされていない。

製品は同じオーナーの会社で湖北省宜昌市でコメ袋、小麦粉袋、セメント袋などの製造販売を行う宜昌雙龍塑料公司(Yichang Shuanglong Plastics )に供給され、一部は外販される。

   
青海省の青海塩業 (Qinghai Salt Lake Industry) はこのたび、年産16万トンのPP計画でDowのUNIPOL法を採用した。
原料プロピレンはMTOで生産する。

2011/9/2 青海塩業、金属マグネシウム・石炭化学統合コンプレックスのPP計画でUNIPOL法を採用

   
陝西延長石油Shaanxi Yanchang Petroleum)は、2010年3月に子会社の榆林能源化工Yulin Energy and Chemical)用にIneosからInnovene PP 技術を導入した(能力は30万トン)。

同社はこのたび、子会社の延安能源化工(Yanan Energy and Chemical)用に同じくIneosのInnovene PP 技術を導入した(能力は30万トン)

2011/9/9 陝西延長石油(集団)石炭化学を含む石油化学事業に重点

陝西延長石油延安榆林、永平(Yongping)の3か所に製油所をもっており、延安榆林にはMTOプラントを持つ。

   
寧夏省の寧夏寶豐能源集団(Ningxia Baofeng Energy Groupは9月7日、IneosからInnovene PP 導入した。
能力は30万トンで、原料プロピレンは石炭を原料に
Methanol-to-Olefins (MTO)
で生産する

 


2011/9/12 米上院、特許「先願主義」法案を可決 

米上院は9月8日、特許法の包括的な改正法案を89対9で可決した。下院では6月23日に可決されており、オバマ大統領の承認後、公布される。

変更の中心は、先進国では米国のみが採用していた「先発明主義」から世界共通の「先願主義」への移行であるが、このほか、米国特許商標庁が新規特許出願に対し独自の料金を設定し徴収できること、特許付与後の異議申立て制度の導入などがある。

米国は2007年には先願主義への改正法案が下院で可決されたが、個人発明家や中小企業団体などの反対で、最終的に法律が成立しなかった。

付記 9月16日に大統領が署名、成立した。2013年春以降に申請する特許から適用される見通し。

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米国の特許が先発明主義であるため、長期間経ってから出現する「サブマリーン特許」がある。

モンテカチーニ技術を導入した日本のPPメーカーは二度にわたってこの被害を受けている。

モンテからの技術導入に際して、日本での製造販売のほかに、PPを使った製品の米国等への輸出について許可を得ているが、モンテへの特許料の支払い完了後に、米国への輸出製品について2社(そのうち1社はモンテ技術の承継社)に特許料を払わされた。

1)米国での物質特許
米国ではフィリップスが1953年に特許を出願したが、モンテが1955年に出願し、先発明であるとして1973年に特許を取得した。
しかし、フィリップスは自社の先発明を主張して争い、最終的に最高裁でフィリップスの特許が認められた。
このため1983年にモンテ特許は取り消され、フィリップスが特許を取得、それから17年間、2000年まで特許が生きることとなった。

この結果、日本の全PPメーカーはPPを使った製品の米国への輸出についてフィリップスに特許料を支払わざるを得なくなった。
(本来は自動車メーカー等に支払い義務があるが、日本ではPPメーカーは需要家に特許保証をしており、PPメーカーに支払い義務を振られた)

2)米国での Ziegler特許
当初、米国では以下の触媒使用特許が申請された。
  ①1953 Ziegler     TiCl2/TEA
  ②1954 Ziegler/Natta TiCl2/(TEA or DEAC)
  ③1955 Ziegler     TiCl2/DEAC

米国特許庁は③の審議に当たり、これが②の後願であるとして拒絶した。
これに対しDr.Ziegler及びその死後その権利を受け継いだMax Plancの特許管理会社 Studiengesellschaft Kohle (SGK)が先発明を理由に再申請し、23年かけて争い、1978
11月にこの特許が認められた。

この結果、②の特許が既にとっくの昔に期限切れになっているのに、③のTiCl2/DEAC は1995年11月14日まで米国で有効ということになった。

198611月、モンテから導入したZiegler特許のライセンス契約が全て(米国向け製品輸出の免責条項も含めて終了した時点で、SGKは日本の自動車メ−カ−に対し、米国向け輸出自動車に使用されるPPに対してライセンスフィの支払いを要求した。

日本のPPメーカーは、この触媒を使用しているPPに関して、米国向け輸出自動車に使用されている分に相当するライセンスフィを支払わざるを得なかった。(三井石油化学や住友化学等の「担持型触媒」は対象外)

2006/4/20 ポリプロピレン特許係争

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米国の企業では、先発明を立証するための証拠として、毎日の研究結果を書類に残し、他の人が証明のため署名している。

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京都大学は2011年2月1日、米国のiPierian Inc.にiPS細胞関連特許のライセンスを許諾し、iPierian Inc.から同社保有のiPS細胞特許を譲り受けたと発表した。

米国では、米国特許庁がどちらが先に発明したかを選定する審判Interference)の開始を宣言する可能性が高まったが、米国では先発明主義のため、係争になると、どちらが先に発明したかの調査などに膨大な時間と多額の費用がかかる。

このため、iPierianは、山中教授の発明を尊重し、将来想定される京大との特許係争を回避するため同社保有特許を京大に譲渡したいと申し出た。

2011/8/15  京大のiPS細胞特許、米で成立

 


2011/9/13  SABIC、欧州の自動車用技術開発会社 Inproに出資 

SABICは9月8日、欧州の自動車用技術開発会社 Inpro に出資することで合意した。当局の承認を得て年内(10月にも)実施する。

INPROの社名はInnovation company for advanced production systems in the automotive industryから取られた。

1983年の設立で、現在の株主は、自動車メーカーのDaimler とVolkswagen、電機・電子のSiemens、鉄鋼のThyssenKrupp とBerlin特別市で、設立当初の株主にはBMW とBerlin Technical Universityがいた。
また、BASF Coatings が2001年から2010年に参加しており、機械メーカーで子会社にロボット専業メーカーのKukaを持つIWKA groupもかつては株主だった。

事業目的は生産技術のイノベーションを推進し、研究開発の結果を産業に移すことで、プロジェクトに参加するパートナーは結果を自社の生産に活用できる。

主なプロジェクトは以下の4分野:
 • Process simulation
 • Production systems and information processes
 • Manufacturing and automation technology
 • Layering and fastening technologies

最近のプロジェクトでは、電気自動車やバッテリー、燃料電池などが中心となっている。

同社のホームページは:http://www.inpro.de/index_en.php

SABICの参加について株主のDaimlerは、特に樹脂製窓と軽量化(特にカーボンファイバー関係)への貢献を期待していると述べた。カーボンファイバー複合樹脂のシミュレーションソフトウェアの欠如が自動車でのもっと幅広い利用を妨げているとしている。

ThyssenKruppではプラスチックとメタルのハイブリッドの研究開発に期待を示した。

SABIC側は、同社が従来のポリオレフィンなどから、アクリル樹脂、カーボンファイバー、エラストマーなどに活動の幅を広げていると述べた。

SABICCelanese2010年4月、サウジのJubail Industrial City National Methanol Co. (IBN SINA)で年産5万トンのポリアセタール(polyoxymethylene:POM)を建設する契約を締結したと発表した。

2010/4/7 SABIC、ポリアセタールに進出

三菱レイヨンは2011年5月、SABICとの間でMMAモノマーとアクリル樹脂成形材料の合弁会社設立を目的とする契約を締結することで合意したと発表した。

2009/8/7 三菱レイヨン、サウジでMMA合弁会社 

SABICは2011年6月、イタリアのMontefibreとの間でカーボンファイバーの技術導入契約を締結したと発表した。

2011/6/17 SABIC、カーボンファイバーの技術導入

旭化成は2011年4月、サウジにおけるアクリロニトリル及び青化ソーダの共同事業化の詳細検討を行うため、SABIC及び三菱商事と、合弁会社Saudi Japanese Acrylonitrile Company(仮称)の設立を決定したと発表した。

2011/4/28  旭化成、サウジでのアクリロニトリル事業化のため合弁会社設立 

SABICでは、アクリロニトリルと青化ソーダは、自動車、建材、水処理等々の産業に使われるABS、カーボンファイバー、アクリル繊維、アクリルアマイドなど、川下分野に多角化するための重要な原料であるとしている。


2011/9/14 東レ、次世代型電気自動車を試作 

ダイムラーとBASFは9月1日、電気自動車全般に適応可能な、両社のアイデアを結集した最新のコンセプトカー「smart forvision」を開発したと発表した。

2011/9/5 ダイムラーとBASF、先駆的な電気自動車を開発

 

東レは9月9日、次世代型の電気自動車(EV)「TEEWAVE AR1」を試作したと発表した。
試作車は2人乗りで、屋根のないスポーツカー。最高時速は147kmで、公道を走るための車両登録も可能。

東レが取り組む次世代自動車向けグリーンイノベーション戦略を体現するフラッグシップとして自動車メーカーに向けて提案する。

車体基本構造には熱硬化炭素繊維複合材料(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製のRTM(Resin Transfer Molding)一体成型モノコックとCFRP製衝撃吸収体を採用、車体重量は846kgと、鋼板主体の従来型のEVに比べて4割以上軽量化し、同時に高い車体剛性と衝突安全性を実現した。
また、ボンネットハッチやルーフには、1分程度のハイサイクル成形が可能な熱可塑CFRP適用する。

付記 主な適用素材・技術

ユーザー向けには高い衝突安全性(衝突エネルギーの吸収量は約2.5倍)と軽量化による低燃費、自動車産業向けには熱可塑性樹脂の活用による部品点数の削減 (車体の基本構造に使われる部品点数は約1/20)、高生産性車体と塗装代替技術を提案する。

炭素繊維は価格が高く、製作費用は約3億円。
同社では「炭素繊維でどれだけの乗用車をつくれるか、極限を試すための実験」としているが、「2015年以降には普通車の価格帯で、こうした自動車の実現を目指していきたい」とする。

9月14、15日に東京国際フォーラムの展示ホールで開催される「東レ先端材料展2011」で初公開する。

「東レ先端材料展2011」では、同社のバイオマス由来繊維の製品、開発品を一斉出展し、その総合力を紹介する。
米国Gevo社と共同で試作した世界初の完全バイオマス原料由来PETのチップ、およびフィルムを初公開する。

東レは2008年に名古屋事業場にオートモーティブセンター(AMC)を開所し、炭素繊維、熱可塑性樹脂、製造プロセス、評価・分析技術等を融合した、自動車向けの最適材料の開発を続けている。

同社は2011年1月、ダイムラーAGとの間で、東レが開発した炭素繊維複合材料 (CFRP)の革新的成形技術である「ハイサイクルRTM成形技術」を活用してCFRP製自動車部品を製造・販売する合弁会社(東レ 50.1%、ダイムラー 44.9%、その他 5.0%)を設立する契約を締結した。

同社は2011年6月、オランダのTenCate Advanced Compositesとの間で、航空機用途向け熱可塑性樹脂複合材料用の炭素繊維の長期供給基本契約を締結したが、合わせて、自動車に使用される熱可塑性複合材料における市場開拓および製品の共同開発を検討していくことにも合意した。

炭素繊維については 2006/9/9 炭素繊維


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