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2010/7/1 BP、パートナー2社に事故関係費用分担金を請求 

TPM MuckrakerBPがパートナーのAnadarkoに送付した5月分の請求書コピー(全6ページ)を掲載した。
http://www.talkingpointsmemo.com/documents/2010/06/bps-invoice-to-anadarko-for-response-costs-may-2010.php?page=1

Anadarkoには272百万ドル、Moexには111百万ドルで、62日(請求日)までにBPが支払った10億ドル以上に対するそれぞれの持分、25%10%に相当する。1ヵ月後の支払いを求めている。

これにはリリーフ井戸(2本)を掘る費用、流出対応費用に加え、政府への回収費用支払い、機器の損傷、被害者への賠償などが含まれている。

AnadarkoBP側に重大な過失、意図的な違法行為があるとして、事故に関する費用を支払わないとの声明を出している。
同社では請求書に関して、検討しているとのみ述べた。

これに対し、BPは、以下の通り反論している。

共同操業協定では、BPは オペレーターとして作業を行う責任を有するが、権益保有者は、石油漏洩のクリーンアップを含む作業のコストを権益比率で負担することとなっている。

更に全ての権益保有者は米連邦政府に対し、Oil Pollution Act of 1990の規定に基づき、他の関係者とともに、漏洩した石油の回 収コストと被害について、連帯して責任を持つとの書類を提出している。

2010/6/19 メキシコ湾石油流出事故の損害負担(その2) 

6月16日のオバマ大統領とBP首脳陣の会談で、BPが原油流出事故の補償コストをカバーする200億ドルの基金の創設することで合意した。

大統領は、200億ドルの資金は第三者機関の管理するエスクロー勘定に入金されると述べるとともに、200億ドルは賠償額の上限で はないと説明した。

BPは2010年第3四半期にまず30億ドル、第4四半期に20億ドルを払い込み、残りを四半期ごとに12.5億ドルずつ 支払う。

この200億ドルは将来の支払いのための準備金であり、BPは現在のところ、この分担をパートナーに求めていない。

「権益保有者は、石油漏洩のクリーンアップを含む作業のコストを権益比率で負担することとなっている」との主張に基づき、月次費用の分担を求めている。

Anadarkoと三井石油開発としてはどう対応するか、難しいところである。
契約によれば、問題が生じた場合は先ず調停にかけることとなる。

これとは別に、米国ではAnadarkoと三井石油開発もファンドに拠出するべきだとの声が挙がっている。


2010/7/2 AkzoNobelNational Starch 事業を13億ドルで売却

Akzo Nobelは621、20081月に買収したICIの一部、National Starch 事業を、米国のスターチや甘味料のメーカーのCorn Products International に売却すると発表した。
Akzoは現金13億ドルを受け取り、National Starchの年金債務等はCorn Products負担となる。

関係当局の認可を得て、第3四半期に取引完了の予定。

AkzoはICI買収の時点で、National Starchの事業のなかの接着剤とエレクトロニック材料事業をHenkelに売却しており、今回、National Starchのメインの部分(食品添加物とスターチ)を売却するもの。

塗料や特殊化学品を中心とする企業に衣替えしたAkzo Nobelにとって、スターチ事業のNational Starch は異質であった。

National Starch 2009年の売上高は12億ドル、8カ国11工場に2,250人の従業員を抱える。

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Akzo20078月に、ICIを約80億ポンド(約19000億円)で買収することで合意し、200812日に発効した。

2007/8/13 Akzo ICI を買収

ICI1997年 に、化学品のなかでも付加価値が高く、投下資本が少なく、景気変動の影響が少なく、研究開発により重点を置いた事業に急速に転換することを決めた。

19977月、ICIは英蘭系Unileverの特殊化学品4社、National Starch(工業用接着剤、レジン、産業用でんぷん)、Quest(香料、乳化剤、芳香剤)、Uniqema(脂肪酸、グリセリン)、Crosfield(シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト:その後売却)を買収すると同時に、既存事業を順次、分離・売却していった。 

その結果、ICIはスペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わった。
塗料のほかは、Unileverから購入したNational StarchQuestUniqemaが中心である。

2006年にはQuestUniqema を 売却し、売却代金を退職年金不足額の充当と負債の返済に充てた。

この結果、Akzoが買収した時点のICIは塗料事業とNational Starchだけとなっていた。

ICIの事業の変遷は以下の通り。


2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 

三井物産とダウは7月1日、両社が折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁事業の設立に関する合弁契約書を締結した。

三井物産は約1.4億ドルを出資するとともに、プロジェクトファイナンスの活用に向け関係各社と協議中。

生産能力は苛性ソーダ約88万トン、塩素約80万トンで、2013年央に生産開始の予定。

製品は両社が半分ずつ引取るが、三井物産は塩素についてはダウにEDCへの加工を委託し、EDCを主にアジアで販売、苛性ソーダはダウを通じて米国内を中心に販売する。

三井物産は2009年4月に、塩事業、アルカリ事業、塩化ビニール原料事業、塩化ビニール樹脂事業、ウレタン原料事業を統合し、当該事業チェーン全体を川上から川下まで統括するクロールアルカリ事業部を発足させた。

同社はEDCをはじめとする塩素を原料とした商品群の販売を世界規模で展開しているが、本合弁事業を通じ、ダウとの関係を深化し、同社が強みを持つ商品の製造事業に参入するという意義があり、戦略的提携の一環として位置付けられる。

付記

ダウは12月16日、このJVが設立されたことを発表した。
社名は Dow-Mitsui Chlor-Alkali LLCで、ダウが操業と設備の保全を担当する。

三井物産の持分の塩素はダウに委託してEDCに加工し、三井物産が全世界に販売する。
苛性ソーダはダウがJVから販売を受託する。

新プラントは2013年央に生産開始の予定。

付記

ダウは2014年3月31日、商業生産開始を発表した。
ダウの同地にある同能力のプラントを停止する。

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今回の計画はダウが2008年1月に発表したダウ単独のChlorine 7 ”計画に代わるものである。
当初は2011年のスタートを目指すとしていたが、経済情勢の悪化で延期されていた。

ダウは信越化学と提携し、シンテックの原料VCMは全量ダウが供給していたが、シンテックは2004年12月にルイジアナ州で塩素45万トン、VCM75万トン、PVC60万トンの工場建設を発表(1期は2008年10月に稼動、2期は本年後半に完成予定)、更に 2007年5月には、テキサス州で電解工場(塩素50万トン)とVCM工場(825千トン)を建設する許可申請を同州環境庁に提出した。

2007/6/1  シンテック、テキサス州にVCM工場の建設許可を申請 

ダウは2004年11月に、テキサス工場のEDCプラント1系列を2005年末までに停止し、VCMの生産も縮小すると発表、これにより、両社の関係が薄まりつつあるとの見方がなされた。 

しかし、ダウは20081月に、 テキサス州フリーポートでクロルアルカリ設備(Chlorine 7 ”)の建設を開始すると発表、同時に30年以上の需要家であるシンテックとのVCMの長期供給契約の更新を発表した。

Andrew N. Liveris 会長兼CEOは、「この供給契約は新投資の操業を保証するもので、JVの形はとっていないものの、シンテックはクロルアルカリ事業での戦略的パートナーである」とし、実質的にAsset- light 戦略であるとした。シンテックはテキサスの 電解・VCM計画を無期延期とした。

2008/1/31  ダウ、テキサスでのクロルアルカリ設備新設、シンテックとのVCM供給契約更新を発表

旭化成ケミカルズは20082、ダウからテキサス州 Freeport 工場向けにイオン交換膜法食塩電解の大型設備を受注したと発表している。受注金額は約70億円。

ダウのChlorine 7 ”計画は2011年のスタートを目指すとしていたが、20092月にダウは経済情勢の悪化で延期すると発表した。

20081月の上記発表時点では、ダウは「シンテックは戦略的パートナー」としていたが、本年に入り、ダウと信越の姿勢に変化が見られた。

信越化学は20104月、Shintechがルイジアナ州PlaquemineVCMの第2工場の建設工事を開始したと発表した。
第2工場の生産能力は、
VCM 80万トン、カ性ソーダ 53万トンで、投資金額は約1000億円、2011年の完成を目指している。第2工場が稼動すると、VCM能力は160万トンとなり、Shintechのテキサス州の工場も含めたPVCの全生産能力264万トンの60%を自給することとなる。

ダウのCEOAndrew Liveris20102 に、塩素/EDC /VCMついてもAsset Light戦略を検討する意向を明らかにした。
同氏は「信越とのパートナーシップは2011年には明らかに終了する」とし、「クロルアルカリは資本集約的事業で、ダウの大規模設備は有利であり、PVC業界とのパートナーシップも探求する。塩素でもAsset Light戦略を行う積もりだ」と述べた。

2010/4/6  信越化学、米国でVCM増強 

Andrew Liveris信越とのパートナーシップは2011年には明らかに終了する」という発言の意味は不明だが、ダウがシンテック向けを前提に単独で実施しようとしたChlorine 7 ”を、三井物産を相手にしたAsset Light戦略に切り替えたこととなる。

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ダウは中東と中国でのクロルアルカリの投資計画を発表している。

中東ではダウはサウジアラムコとの間で、サウジのラスタヌラに世界最大級の石油化学コンプレックスを建設する覚書を締結したが、これにはワールドスケール の電解設備と、VCM、ポリウレタン、エポキシレジンなどが含まれている。

       2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設

中国では中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。
計画では "clean coal" technologies を使用し、石炭からメタノール、メタノールからエチレンとプロピレンを生産するが、電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCM、有機塩素等を生産する。

       2007/5/21 ダウの海外進出  

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シンテックはダウとの間で共存共栄体制を取り、これがシンテックの高収益の要因の一つとされた。
シンテックはPVC、ダウは塩素ーVCMに特化し、VCM価格にはPVC市況を反映させるものと言われている。

シンテックの塩素ーVCM進出により、両社の関係が薄まったものと思われる。

金川会長は著書の「毎日が自分との戦い」のなかで、原料進出について、述べている。

(シンテックが1996年に原料一貫工場を計画した際に、環境を理由に反対運動が起こったこと、ダウが原料供給を増やす計画を立てたことで、一貫生産を見送ったが、)
こうした経緯を元ダウ社長でシンテック取締役を務められたブランチ氏に話すと、憮然とした表情で一言「ノー・フューチャー」(未来がない)。私は「エッ?」と言ったきり、言葉に詰まってしまった。同氏は、そろそろ独自に原料をつくらないと、シンテックには将来性はないと言いたかったのだろう。

一貫生産にこぎ着けるまでの過程では、ブランチさんの「ノー・フューチャー」が心の大きな支えとなった。

一貫生産は信越化学の戦略であるが、ダウとの共存共栄体制が切れるのは惜しい気もする。


2010/7/3 Reliacne IndustriesPioneer Natural Resources と組んでテキサスのShale を開発

Reliance Industries 624日、米国のPioneer Natural Resources CompanyJVを設立し、PioneerEagle Ford Shale45%を取得すると発表した。
同社はさきに
Marcellus Shaleエリアでの権益を取得しており(下記)、米国での2番目のShale権益確保となる。

現在この計画に16%の権益をもつNewpek LLCも権益の一部を譲渡、JVの比率はPioneer46%Reliance 45%Newpek9%となる。
JV289千エーカーの鉱区のうちの91%の権益を保有する。

Relianceは対価として13.15億ドルを支払う。
263百万ドルの前払いに加え、今後4年間のPioneerNewpekが支払うべき投資資金の75%分の10.52億ドルをその都度支払う。

Eagle Fordは南テキサスにあり、品質がよく、立地が便利なことから、北米で最も魅力的な非在来型石油資源の一つとされている。(地図

Pioneer 開発地域では1,750以上の井戸を掘り、10 tcfe (Trillion Cubic Feet Equivalents)を得ることを想定している。(Reliance持分 4.5 tcfe)

Pioneer Natural Resources は1997年にParker & Parsley Petroleum Company MESA Incの合併で誕生した。
コロラドやテキサス州のほか、アラスカでは
North Slopeで独立系では最初に石油を掘削した。チュニジア(陸上)や南ア(沖合い)でも石油の掘削をしている。

付記

Pioneer Natural Resources CompanyとReliance Industries は その後、このEagle Ford Shale からのコンデンセートや天然ガスを集荷、処理するためのEagle Ford Shale Midstreamを50.1/
49.9で設立した。

しかし、Relianceは2014年11月4日、両社がこの事業の売却を計画していることを明らかにした。

付記

PioneerとReliance は2015年6月1日、Eagle Ford Shale MidstreamEnterprise Products Partners L.P.に21.5億ドルで売却する契約を締結した。

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Reliance Industries 201049日、米国のAtlas Energy, Inc.と の間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得する契約を締結したと発表した。

ここでは、3000以上の井戸を掘り、13.3 tcfe (Trillion Cubic Feet Equivalents)を得ることを想定している。(Reliance持分 5.3 tcfe)

2010/4/15  Reliacne IndustriesAtlas Energy と組んで Marcellus Shale を開発

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三井物産は本年216日、三井石油開発とのJVMitsui E&P USA を 通して、Anadarko Petroleum が 米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエ リアにおいて開発・生産中のシェールガス事業に参画すると発表した。

住友商事も2009年12月15日、米国の独立系開発会社であるCarrizo Oil & Gasが米国テキサス州Barnett Shale fieldに保有している天然ガスコアエリア開発プロジェクトに12.5%参加した

2010/2/18 三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画

 


2010/7/5 2009年度 エチレンセンター損益 

経済産業省化学課は630日、エチレンセンター11社の2009年度の収益状況の集計結果を発表した。

経常利益は、2008年度はナフサ価格の下落で、製品価格に原料コストを転嫁しきれず、在庫評価損を計上する等により1,825億円の赤字を計上したが、2009年度は、在庫評価損が減少したことや、石油化学製品の生産量及び販売数量が回復したこと等により94億円の赤字に減少した。

これを半期別にみると以下の通りで、下期には若干ながら黒字に転換している。
各社の決算で見ると、2008年度下期のうちの4Q(2009年1〜3月)が最悪である。

営業損益は以下の通りで、単独ベースでは3億円、連結ベースでは338億円と、いずれも黒字に転換した。

しかし、石化事業の損益悪化で危機感が高まり、三菱化学の四日市エチレン停止や、塩ビ業界やポリオレフィン業界の再編、住友化学と三井化学の全面的統合案などが相次いだ2000年頃の損益よりは、はるかに低い水準である。

集計区分は以下の通り。
  単独ベース
  エチレンセンター
連結ベース 
三井化学 三井化学、大阪石油化学 基礎化学品、機能材料部門
丸善石化 丸善石油化学 単独
旭化成 山陽石油化学 ケミカルズ部門
出光興産 出光興産(石油化学部門) 石油化学製品部門
東燃ゼネラル 東燃化学 石油化学製品部門
昭和電工 昭和電工 石油化学部門
住友化学 住友化学 石油化学部門
東ソー  東ソー 石油化学部門
三菱化学 三菱化学 ケミカルズ、ポリマーズ
新日本石油 新日本石油(石油化学部門) 石油化学製品部門

 


2010/7/5 米司法省、原油流出事故関係各社に資産売却等の事前通知を要請 

米司法省は6月23日付けで、三井石油開発の米子会社Moex USAを含む関係各社に、損害賠償責任があると判断された場合に賠償支払いに充てられるかも分からない資産を処分する前に政府に事前通知をするよう要請するレターを出した。Bloombergが情報公開法に基づき入手した。

司法長官は、米国最大の原油流出事故のクリーンアップの費用を米国民が支払うことはないとし、政府は責任のある会社に責任を取らせると述べている。

要請先はBPAnadarko PetroleumMoex USAの権益保有3社と、Deepwater Horizon rig の所有者で掘削作業のコントラクターのTransocean 及びセメント作業のコントラクターのHalliburton 5社。

レターでは、裁判で損害賠償を行うよう命じられた場合に賠償支払いに充てられるべき資産を各社が処分することがないよう、米国政府は強い関心を持っているとし、支払い、売却、リストラ、買収などを含む行動を行う場合は30日前に連絡するよう求め、この要請に応じるかどうかの返事を求めている。

Transoceanへのレターでは、同社は30億ドル以上の自社株買いと10億ドルの配当を決めたが、賠償支払い能力を減らす可能性があり、特に、事故が420日に発生し、賠償責任の可能性があるのに気が付いていながら、514日に10億ドルの配当支払いを承認したのは、問題だとしている。

BPは本年に年間105億ドルの配当を予定していたが、大統領との会談後、配当政策を見直し、既に発表済みの6月21日予定の第1四半期配当を取り止め、第2、第3四半期の配当も取り止めた。

BP Transocean へのレターでは、毎月の財務諸表、金融機関との借入契約その他の提出を求めている。

このほか、BPHalliburtonTransoceanAnadarko と問題のリグを製作した現代重工業に対して、原油流出事故に関する情報の保持を求めている。政府の調査を予想して記録を破棄すれば司法妨害に問われると警告している。

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米国政府は「重大な過失、意図的な違法行為」を理由に、米国油濁法による負担限度額(75百万ドル)の適用を除外する意向の模様。
    2010/6/22 
メキシコ湾石油流出事故の損害負担(その3)

米国ではAnadarkoと三井石油開発もファンドに拠出するべきだとの声が挙がっている。
ルイジアナ州財務長官は6月24日、Anadarkoと三井石油開発もファンドに拠出すべきだと述べた。両社とも利益とリスクを共有しており、また、これにより万一BPが破産した場合のヘッジとなるとした。

既報の通り、BPはAnadarkoと三井石油開発に対し流出対応費用や賠償額を含む5月の総費用の分担を求める請求を行ったが、今後も毎月、自動的に請求を行うと思われる。

    2010/7/1 BP、パートナー2社に事故関係費用分担金を請求

米Coast Guardは最近、米国政府の費用として70.9百万ドルを請求したが、請求書はBPだけではなく、他のパートナー2社とTransocean及びその保険会社Lloyd’にも送られた。「油濁法によれば責任ある当事者と保証者にも連帯責任がある」としている。

付記

White Houseは713、BPに対して4回目の請求書(99.7百万ドル)を送付した。前回同様、AnadarkoMOEX Transoceanにも送付した。
過去3の合計122.3百万ドルはBPが支払っている。

パートナー3社間及びコントラクターの間の責任に基づく負担問題は、米国政府や被害者には関係のない話である。

事故対応への支出(毎月必要)と、責任に基づく負担(解決に時間が必要)が絡み、三井石油開発や三井物産にとって問題が深刻になってきた。

なお、三井石油開発の付保については、5月10日の三井物産決算説明会で以下の説明がある。(同社ホームページ記載)

「付保状況については、三井石油開発にてプロジェクト100%ベースで、 暴噴制御費用保険300百万ドル、第三者賠償責任保険150百万ドルを付保している。保険が本件に関しどのように適用されるかは現時点では不明である。」

同社の比率は10%のため、暴噴制御費用保険30万ドル、第三者賠償責任保険15万ドル、合計45万ドルとなる。

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三井物産の持株比率は2006年初めには44.34%であったが、その後、順次買い増し、現[email protected]%となっている。

本年2月には、三井化学(4.98%)、三井住友銀行(4.28%)、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行から、合計12.85%を約320億円で購入している。


2010/7/6 シェルと三菱商事、イラク南部で油田ガス回収事業

イラク内閣は6月29日、シェルと三菱商事のイラク南部での油田ガス回収事業を承認した。調印時期は未定。

JVはBasra Gas Companyという名前で、イラクが51%出資し、シェルが44%、三菱商事が5%出資する。

所要資金は120億ドル(将来170億ドルまで増える可能性あり)で、イラク南部の4つの巨大油田ー
RumailaZubairWest Qurna Phase 1Majnoon油田ーでそのまま燃やされている付随ガスを回収、当初はイラクの電力不足解消のため発電に使用、将来は液化設備をつくり、最大日量6億立方フィートの輸出を行う。

イラクの現在の発電所は夏の需要ピーク時には必要な発電が出来ず、厳しい割当制度で5時間のうち1時間しか配電がない状況となっており、 最近もデモが相次いでいる。

現在、ガス処理設備がないため、4つの油田から日量10億立法フィートもの付随ガスがそのまま燃やされている。

この計画は3月にサインする予定であったが、主にイラク側の資金調達がネックとなり、最終決定に到らず、6ヶ月延長で合意していた。
イラク側負担も大きいが、イラクは本年は190億ドル程度の財政赤字が予想され、余裕がない。
今回の決定発表に当たり、資金手当てについては一切明らかにしていない。
(なお、所要資金120億ドルのうち、既存のガス設備が15億ドル程度含まれているため、当初のイラク側の追加支出は不要との報道がある)

イラクは2009年に第一次、第二次の油田開放を行った。
シェルは、第一次でExxonMobil (80%)/Shell(20%)でWest Qurna
Phase1、第二次でShell(60%)/Petronas(40%)Majnoonの開発権を得た。

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

当初はShell参加のこの2油田でのガス開発を目指したが、イラク政府の要請で、Rumaila BP/CNPCが開発権)とZubair (Eni/ Occidental/ 韓国ガス公社が開発権)のガスも含めることとした。

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イラク政府は昨年6月の第一次入札にAkkasガス田とMansuriyahガス田を出したが、どこも応札しなかった。

石油相は9月の第三次入札に3つのガス田(上記2つと南部のSibbaガス田)を出すことを計画している。


 


2010/7/6 チッソ を「特定事業者」に指定

環境省は7月6日、水俣病特別措置法に基づき、チッソの分社化に向けた手続きの一環として、同社を「特定事業者」に指定し、通知した。

「分社化」はチッソの事業部門を100%子会社化して上場・独立させ、現在のチッソは補償部門だけを担う親会社とする内容。
上場後の株式売却益で約1500億円の公的債務と約400億円の金融機関に対する債務に加え、将来も続く患者補償を担う。
親会社は
当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、 譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するとしている。

2010/1/11 チッソ会長、「10月分社化目指す」

鳩山内閣は4月16日に、水俣病の未認定患者を救済するための特別措置法の「救済措置の方針」を閣議決定した。
熊本地裁が3月15日の第4回和解協議で所見を示 し、年内に決着するよう要請、政府、チッソ、患者会はいずれも、これの受け入れを決め、3月29日の第5回和解協議で和解に基本合意した。
「方針」はこれを折り込み、特措法の具体策を決めたもの。

ただ、水俣病被害者互助会(水俣市)など依然として訴訟を続ける被害者団体もある。
また現時点で救済を求めている人のほかにも、自分が水俣病だと気づい ていない人が相当数いるとみられる。「被害地域の全住民の健康調査で被害の全容を明らかにしなければ、最終解決にならない」との指摘がある。

2010/4/16 水俣病「救済措置の方針」を閣議決定

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チッソは6月4日に事業者指定を申請した。( 特定事業者指定申請書 

チッソは今後、分社化に向け事業再編計画を申請。環境相が認可し、裁判所が許可すれば分社化が可能になる。

後藤舜吉会長は株主総会後に、「事業再編計画策定の準備はできている。特定事業者に指定されれば直ちに提出するつもり」と述べている。

チッソの事業者指定申請には、水俣病不知火患者会など被害者7団体が反発。「全被害者救済への道筋も全く見えない時期に、分社化による責任逃れのみを急ぐ態度に抗議する」として、環境相に申請を認めないよう求める声明を出していた。

小沢環境相は指定について、「もともと特措法が想定している話。救済をしっかりやるために必要なことは必要なタイミングで進めていく」と説明。分社化には「(被害者団体などに)拒否感があることは承知しているが、救済手続きを進めてほしいという声もある。皆さんの反応を受け止め、現実的な 対応をしていきたい」と語った。


2010/7/7 エネルギー供給構造高度化法で重質油利用促す新基準、石油業界の再編圧力に

経済産業省は7月5日、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」((通称「エネルギー供給構造高度化法」)に基づき、
・化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する基本方針(告示第160号)及び
・原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断の基準(告示第161号)
を発表した。

基本方針
1. 事業者が講ずべき措置に関する事項
  石油精製業者は、石油をめぐる諸情勢を勘案し、重質油分解能力の向上、コンビナート連携の促進、関連技術の開発の推進等を通じて、原油等の有効な利用に取り組むこととする。
   
2. 施策に関する事項
  国は、石油をめぐる諸情勢を踏まえ、石油精製業者による原油等の有効な利用に係る取組が適切かつ円滑に進むよう、重質油分解装置の装備率の向上に係る基準を定め、着実に運用するとともに、石油精製業者による重質油分解能力の向上のための設備の運転面の改善等を促し、コンビナート連携の促進、関連技術の開発の推進等に係る所要の環境整備を進めることとする。
   
原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断の基準
 

我が国の重質油分解装置の装備率を2013年度までに現状の10%から13%程度まで引き上げることを目標とする。
  
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/koudoka/resource/kokuji4.pdf

アジアでは安い重質油を処理できる最新鋭の製油所が増えている。経産省によれば、アジア各国の重質油分解装置の装備率は中国が35%、シンガポールが22%。アジア平均でも19%だが、日本は10%程度にとどまり大きく立ち遅れている。

経産省では、我が国の重質油分解装置の装備率を2013年度までに現状の10%から13%程度まで引き上げることを目標とし、この目標達成のため、各石油精製業者又はそのグループ会社ごとに、以下のとおり、重質油分解装置の装備率を向上させることを求めた。

石油精製業者は、石油をめぐる諸情勢を総合的に勘案し、重質油分解装置の新設若しくは増設又は常圧蒸留装置の削減により適切に対応することとしている。

重質油分解装置の装備率 改善率
10%未満の企業  45%以上
10%以上13%未満の企業  30%以上
13%以上の企業  15%以上

重質油分解装置の装備率=重質油分解装置の処理能力÷常圧蒸留装置(トッパー)の処理能力

重質油分解装置の新設には500億円以上かかるとされ、内需が縮小する中で新増設は非現実的で、実質的にはトッパー能力削減しかないとされる。

国内の原油処理能力は日量479万バレルだが、ガソリンなどの需要減で現状の処理量は日量300万バレル台で推移、日量100万バレル以上の過剰能力を抱えている計算になる。

アジアでの競争力を高めるためにも、国内で設備廃棄による収益改善が急務ではある。

但し、この法律の本来の目的は安い重質油の分解能力の向上である筈だ。しかしながら、内需が縮小する中で、500億円もかかる重質油分解装置の新設はありえない。
その中で、重質油分解装置の装備
率の向上に係る基準を定めて強制するのは、経産省が設備処理を強制することとなり、法律の正しい運用かどうか、疑問である。

経産省が設備処理を強制することは出来ないが、装備率の向上を理由に、実質的に設備処理を強制している。
しかも過去の経営判断で重質油分解能力が低いところが、狙い撃ちされることとなる。
どういう原料を使って、どういう製品をつくるかは、企業の判断であり、国が方向性を決めるのはよいが、強制するのはどうか。

付記 2010/7/21 エネルギー供給構造高度化法は第二の産構法か?

付記 
石油精製各社は、「エネルギー供給構造高度化法」による重質油分解装置の装備率の新基準について10月末に経済産業省に計画を提出したが、その内容は非開示であるという。

付記
出光興産は2011年11月1日、徳山製油所(12万バレル/日)を2014年3月に停止すると発表した。

ーーー

週間ダイヤモンド(2010年6月22日号)は4月時点で発表された案に基づき、各社別の試算を行っている。

重質油分解装置の装備目標達成のために、(重質油分解装置新設ではなく)トッパー処理能力をいくら減らすべきかを試算し、既に発表済みの削減計画でクリアできるかどうかをチェックした。(表は一部補正、重質油分解能力は逆算した)

昭和シェル石油グループ、JXグループ、出光興産は既に発表しているトッパー処理能力削減計画により基準をクリアできるが、コスモ石油、東燃ゼネラル石油はクリアできない。

社名 製油所 トッパー
処理能力
(万bbl/d)
重質油分解装置 改善達成
のための
トッパー
能力
(万bbl/d)
トッパー
能力
削減
義務量
(万bbl/d)
トッパー能力
削減計画発表
分解能力
(万bbl/d)
現状
装備率
(%) a
改善
目標率
(%) b
改善後
装備率(%)
 a x b
昭和シェル石油グループ
  昭和四日市石油 四日市 21   29.0         2011
 
西部石油 山口 12            
東亜石油 京浜 6.5   14.6          
昭和シェル 扇町 12             12
合計   51.5 8.8 17.1 15 19.665 44.8 6.7 -12
JXグループ 2013年度末までに
60万バレル
  ジャパンエナジー 水島 20.52   14.6         (2012/8)  
鹿島石油 鹿島 21           -1.75
日本海石油 富山 6              
新日本石油精製 室蘭 18            
仙台 14.5   29.7          
根岸 34   11.8         -7
大阪 11.5           JV
   -11.5
水島 25   18.4         -9
麻里布 12.7   17.3          
大分 16   16.3         -2.4
合計   179.22 20.6 11.5 30 14.95 137.9 41.4 -31.65
出光興産 2013年度中に
10万バレル
    北海道 14   23.6          

(2014/3
千葉 22            
愛知 16   31.3          
徳山 12          

-12

合計 64 8.3 13.0 15 14.95 55.7 8.3

-12

コスモ石油
    千葉 24           付記   
四日市 15.5            
10   31.3          
坂出 14           -14
合計 63.5 2.5 3.9 45 5.66 43.8 19.7 -14
東燃ゼネラル石油
    川崎 33.5   8.4         (2012/8)  
15.6            
和歌山 17            
合計 66.1 2.8 4.2 45 6.09 45.6 20.5

0

太陽石油 四国 12 2.5 20.8 15 23.92    

 

富士石油 袖ヶ浦 19.2 2.4 12.5 30 16.25 14.8 4.4

付記   -5.2

極東石油工業 千葉 17.5 3.4 19.4 15 22.31 15.2 2.3  

コスモ石油、東燃ゼネラル石油はいずれも30%程度の設備削減が必要で、製油所周辺地域への製品の安定供給などの観点から「他社との提携に踏み切らざるを得ない」との見方もあり、業界再編につながる可能性もある。

付記

AOCホールディングスは2010年11月1日付で富士石油・ 袖ケ浦製油所の第1常圧蒸留装置(5.2万バレル)の廃棄を経産省に届け出た。(能力 19.2→14.0万バレル)

コスモ石油は 2013年7月付で坂出製油所(14万バレル)を閉鎖すると発表した。

付記

太陽石油は四国事業所でRFCC(残油流動接蝕分解装置)が完成し、2010年10月28日に竣工式を行った。能力は2万5000バーレル/日であり、トッパー能力は12万バーレル/日を保有しているため、重質油分解装置の装備率は20.8%となる。
装備率を2013年度までに現状の10%から13%程度まで引き上げることが目標であり、これ以上を求めるのが妥当か?

ーーー

エネルギー供給構造高度化法は2009年7月1日に成立した。

電気やガス、石油事業者といったエネルギー供給事業者に対し、非化石エネルギー源の利用を拡大するとともに、化石エネルギー原料の有効利用を促進することを目的とするもの。

具体的には、経済産業大臣が基本的な方針を策定するとともに、エネルギー供給事業者が取り組むべき事項について、ガイドラインとなる判断基準を定める、これらの下で、事業者の計画的な取組を促し、その取組状況が判断基準に照らして不十分な場合には、経済産業大臣が勧告や命令をできる。

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律  (平成21年法律第72号)

ーーーーーーーーーー

2011年1月8日にコメントがあった。

EMは日本撤退か?もう一つ地下タンク一重殻タンクの問題も2013年迄だ、石油業界はどうなってしまうのか?

これに対して、以下のコメントを行った。

石油精製各社は、「エネルギー供給構造高度化法」による重質油分解装置の装備率の新基準について10月末に経済産業省に計画を提出したが、その内容は非開示であるという。

もしかしたら、METIが独禁法違反という批判を気にしたのか。

ExxonMobil(東燃ゼネラル)については、これについて述べているブログを見つけた。
http://oilers.blog101.fc2.com/blog-category-22.html

製油所の廃棄はないだろうというもの。
筆者もこの見方に同意する。堺も和歌山も存在の意味があり、仮にどちらかを止めても、まだ不足する。

どう見ても独禁法に違反するMETIの「告示」(法律ではない)を強制はできないだろう。

付記
東燃ゼネラルは「株主の皆さまへ」で以下の通り述べている。

エネルギー供給構造高度化法に関する省令を順守するための計画

これまで当社が培ってきた強い事業基盤と技術力をもとにさまざまな選択肢を検証し、最善の結論を導き出します。

化石燃料の有効利用に関する経済産業省の指針は、石油精製会社に対し、原油処理能力に対する重質油分解装置の能力比率(装備率)の引き上げを2014年3月末までに達成するよう求めています。当社は、この指針に対応するためさまざまな可能性について徹底的に検証しました。2010年10月末に提出した計画には、
常圧蒸留装置の削減および重質油分解装置の能力増強も含んだ複数のケースが盛り込まれています。2014 年3月31日の期日までに約3年あることから、今後も厳密な検討を続け、従業員、地域社会、顧客および株主の皆さまにとってどのような影響があるのかを十分に考慮した上で判断したいと考えています。規制への対応には困難が伴いますが、これまで当社が培ってきた強い事業基盤と技術力をもってすれば、自ずと当社の長期的戦略に合致するベストな解決策にたどり着けるものと考えています。

地下タンク一重殻タンクの問題は下記参照
    
http://www.city.sapporo.jp/shobo/yobo/kikenbutsu/shisetsu/chika_tank20130201.html#2

背景 http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g60421a04-2j.pdf

 


2010/7/8  中国でまた、産業スパイで有罪

北京市第一中級人民法院は7月6日、44歳のアメリカ国籍(移民)の地質学者Xue Feng(薛峰)に対し、中国の石油産業のデータを買った国家機密入手・取引の罪で8年の懲役刑を命じた。合わせて20万人民元(約29,850ドル)の罰金を科した。
3人の中国人が共謀で有罪となった。

情報は
Xue Feng が勤務する米国のコンサルタント会社 IHS Energy に渡されたとされる。

Xue Feng2007年末に逮捕された。

昨年11月に訪中したオバマ大統領が胡錦濤国家主席に解放を求めたほか、在北京米大使館側も30回以上本人を訪ね、取り調べで中国官憲から暴行や拷問を受 けたとの証言も得た。

駐北京の米国大使館は、ワシントンは判決に落胆していると述べ、人道的見地からの保釈と米国送還を要請した。

今回のケースもRio Tinto事件と同様、外国企業が中国で市場調査をする場合の法律上の扱いが問題となった。

2010/3/31 中国、Rio Tinto 社員に重刑 

判決では事実関係は明らかにされていない。
弁護士側は、一般に入手可能な石油産業のデータを購入しようとしただけとしている。
Xue
は中国人の友人との会話中に、このデータのことを知ったが、問題データとは考えなかったとのこと。

しかし、データはCNPC(PetroChina)の3万以上の陸上の石油・ガス井の地質学的状況に関するものとの報道もある。

中国は「国家機密」の定義を「その機密の暴露が国家の安全保障や政治、経済、公共の国家の利益を傷つける」という程度の曖昧な定義しかしていないが、特定のデータが外国人の手に入るのを国家の安全保障を弱めるとして神経質になっている。

政府はどの情報が国家機密であるかを決める権限を持つが、4月に発表された国家秘密保持法改正法(10月1日から施行)のドラフトでは主要な国営企業のビジネス機密は国家機密になるとしている。

米議会の政策諮問機関の「米中経済安保調査委員会」は6月30日の公聴会で、中国側の「国家機密保持法」の不透明で恣意的な適用に批判の光を当てた。

米国の株式市場に上場された中国の企業はSECへの情報開示が義務づけられるが、国有企業の場合、共産党から送りこまれる経営陣の正体、国有銀行から注がれる不明確な資金などが本国の国家機密保持法により開示されないことが多いとされた。

米国人弁護士のGordon Changは公聴会で、「中国共産党は国家機密保持法を今年10月に強化し、中国領内で活動する外国の企業や個人への抑制や懲罰の武器とする構えだ」と述べた。

 

中国での情報収集活動には注意が必要である。

 


2010/7/9 ChemChina、山東省で酸化チタン生産開始 

中国化工集団公司(ChemChina)の藍星グループの子会社の済南裕興化学(Jinan Yuxing Chemical
は6月20日、山東省済南市の済南化学産業パークで酸化チタンの第一期の生産を開始した。

15億人民元を投じたもので、第一期の能力は年産10万トンで、原料の30万トンの硫酸プラントを含む。

酸化チタン製法には硫酸法と塩素法があるが、同社は硫酸法を採用している。

硫酸法: チタン鉱石→硫酸溶解→チタン析出→焼成→粉砕→仕上処理

硫酸法はイ ルメナイト(チタン鉄鉱 FeTiO3)を原料とする。
チタン原料鉱石は粉砕され、約300℃に加熱された濃硫酸により、酸化チタン分が硫酸塩 (TiOSO4)となる。
その後、焼成、粉砕され、仕上げ処理が行なわれる。
TiO2 50〜60%のイルメナイトを大量(原単位3〜4t)の硫酸で処理するため産業廃棄物が多く、公害処理費が大きい。

塩素法: チタン鉱石→塩素化→TiCl4精製→酸化→仕上処理

塩素法は ルチル鉱または合成ルチル(TiO2)を原料とする。
塩素化して四塩化チタン TiCl4とし、これを高温で酸化して、仕上げ処理が行なわれる。
TiO2 90%のルチルを塩素で処理し、塩素は90%回収するため産業廃棄物は硫酸法の1/10以下で、公害対策設備費は1/3以下といわれる。

同社は同じ済南市に年産3万トンのプラントを持っていたが、2009年末に環境問題で停止、済南化学産業パークに新設した。

同社は第二期20万トンも計画しており、完成すれば能力30万トンで中国最大のメーカーとなる。

ーーー

山東省ではDuPontがワールドスケールの酸化チタン計画を持っているが、環境問題で難航している。

同社は2005年11月に山東省東営市の経済開発地区で当初能力年産20万トンの酸化チタンを生産することで地方政府と合意書を締結した。総投資額は10億ドル。

高品質の白色顔料を生産し、中国の塗料、プラスチック、紙ラミネート業界に貢献しようというもの。
中国では自動車塗料や白物家電、その他高品質製品用の白色顔料の多くは、海外から輸入されている。

環境アセスメントは既に政府の承認を得ているが、まだ最終承認が得られていない。当初は2010年完成予定としていた。

DuPontは裕興化学と異なり、塩素法を採用しており、液体廃棄物は地下深くに注入している。

同社の立地は大慶油田に次ぐ中国第 2の油田の勝利油田の近くにあり、液体廃棄物が漏れ出すのではないかとの懸念が出ている。環境を理由にしているが、デュポン進出で影響を受ける中国のメーカーの反対も背景にある模様。

デュポンでは
塩素法は最も進んだ、環境にも優しい製法であり、中国政府も硫酸法よりも好んでいるとし、液体廃棄物処理については、50年近く、Underground Injection 技術(UI法、Deepwell 法ともよばれるで処理しており、なんら問題を起こしていないとしている。
液体廃棄物は地下深く注入されて自然の地層のなかに分散され、自然の化学反応で無害になるとしている。

DuPont Titanium Technologies は世界最大の酸化チタンメーカーで、米国ミシシッピー州、テネシー州、デラウエア州と、メキシコ、ブラジル、台湾で生産している。
全ての工場で塩素法を採用している。

Deepwell法は米国で認められた液体廃棄物の処理方法で、地下1500m以上の岩塩層の下に圧力をかけて流し込む。対象は揮発性有機化合物(VOC)、準揮発性有機化合物(SVOC)、燃料、爆薬、農薬など。
岩塩層の上部のモニター井戸で、地下水に廃棄物が漏れ出ていないかどうかをチェックする。
日本では認められていない。

付記(その後の情報)

国土資源部による評価が必要だが、これには東営市当局の承認が必要。
2008年初めに人事異動があり、新市長は
高度のeco-friendliness政策を持ち込んでいる。

ーーー

日本では石原産業が硫酸抽出法で抽出した後の廃硫酸を中和処理せずに伊勢湾に捨てたとして、四日市海上保安部から摘発され、垂れ流した廃硫酸が約1億トンに上がることが認定されて、1980年に津地裁で有罪判決を受けている。

その後、同社は使用済み硫酸を再生利用し、土壌埋戻材(「フェロシルト」)として販売したが、フェロシルト中から基準値を超える6価クロムやフッ素化合物も含まれていることが分かった。

2006/11/13 石原産業フェロシルト不法投棄事件

ーーー

2009年に中国は105万トンの酸化チタンを生産した。輸入は245千トンで、104千トンを輸出している。

 


2010/7/10 メキシコ湾石油流出事故対策の現状

4月20日夜10時頃、ルイジアナ州ベニス南東約84キロで掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig で爆発事故があり、作業員11人が行方不明(死亡とみられる)、負傷者は17人おり、うち3人が重傷。

リグは2日後に沈没、水深約1.5kmの海底までパイプでつながれていたが、パイプは破損し、パイプ3箇所から原油が噴出した。パイプの元には自動的に原油流出を止める噴出防止バルブ(BOPblow-out preventer)が備えられていたが、装置が稼動しなかった。

原油流出量については、米政府の最新推定は日量6万バレルだが、下院のマーキー議員がテレビで、BPが最悪のケースでは日量約10万バレルにも達すると推定する社内文書をまとめていたことを明らかにした。

BPでは、この数字は噴出防止装置の主要部分が取り外された場合のもので、噴出防止装置を取り外す計画はないため、この数字には意味がないとしている。

これまでの対策と現状、計画をまとめた。水面下1500mの作業は初めてで、難航した。

1) ロボットで噴出防止バルブをとめる作業(下図@)は失敗した。

2) 大きなContainment Chamber を被せて、油とガスを吸い上げる作業(下図A)は、温度と圧力と海水が作用してシャーベット状のgas hydrates が生成し、パイプが詰まり、失敗。

上図のBは最終解決策のRelief well

3) その後、折れたパイプの先端にロボットでバルブをつけるのに成功、ここからの漏れは止まった。
 (残り2箇所からの漏れは続く)

4) パイプにRiser Insertion Tube を挿入するのに成功、流出原油の一部の回収を行った。( 6)により終了)

5) 流出源の油井に泥を流し込みセメントでふたをするTop Kill 作戦は失敗。

6) BPは6月4日、油井の元の機能しなかった噴出防止バルブ(BOP)の先からパイプを切り取り、 BOPにキャップをかぶせるのに成功し、そこから石油のくみ上げを開始した。
但し、キャップは完全にはかぶさっておらず、なお、大量の油が漏れている。

下図の@のLMRP CapLower Marine Riser Package Cap)からパイプでDiscovery Enterprise掘削船)に原油とガスを吸い上げ、原油(日量15〜18千バレル)は回収、ガスは燃焼する。

付記
LMRP Cap を別のSealing Cap に置き換える案が承認された。完成すれば回収能力は50千バレル以上となる。

7月12日に新しいCapが設置された。
うまくいけばキャップがバルブを締め、徐々に流出を封じ込めることができる。
また、流出が完全に止まらなくとも、以前より多くの原油を回収できる設計になっている。

これを検証する"well integrity test"の実施は政府の検討のため延期されている。

7) その後、BOPそのものからの回収を開始。

上図のAで、多岐管からのパイプで Q-4000(海上プラットフォーム)に原油とガスを吸い上げ、原油(日量5〜10千バレル)とガスは燃焼している。

8) 現在作業を進めているのが、Floating Riser Containment Systemで、原油回収船Helix Producer)に固定せず、自立式で水深約300フィートの所に浮かぶライザー管で原油とガスを吸い上げる。

船に固定しないため、嵐などの場合に切り離したり接続したりするのが容易になる。
これにより日量20〜25千バレルの原油の回収を見込んでおり、これが完成すれば回収量は日量40〜53千バレルとなる。

付記
Helix Producerは7月12日、原油回収作業を開始した。フル稼働には5〜6日かかる。

9) 最終の解決策はRelief Well で、現在2本の井戸を掘削中。1本目は5月2日に、2本目は5月16日に掘削を開始した。

下図のとおり、海面下18千フィート(海底下13千フィート)近くの油源近くで現在の井戸に接続、油圧を分散した上で、泥やコンクリートを流し込む。完成は8月の見込み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 * ソース BP発表  Technical briefing presentation slides

ーーー

BPAnadarkoと三井石油開発(Moex)に対し、62日までにBPが支払った10億ドル以上に対し、Anadarkoには25%272百万ドル、Moexには10%のに111百万ドルを支払うよう、請求書を送った。

2010/7/1 BP、パートナー2社に事故関係費用分担金を請求 

BPはAnadarkoが7月7日に、Relief well 掘削等の流出防止対策の費用を含め、支払いを保留するとの通知をしてきたことを明らかにし、契約と油濁法に基づく義務を果たさないことに対し失望したと述べた。

三井石油開発については支払期限は7月12日となっている。

付記
三井石油開発は7月12日、事故原因が究明されていないことなどから、現時点では費用負担に応じないことを明らかにした。

なお、Anadarkoと三井石油開発のトップは7月22日に、上院の小委員会で両社の責任についての見解を証言する予定。

Anadarko Jim Hackett CEO、三井石油開発は孫会社で権益を持つ現地法人のMOEX Offshore 2007 LLC の石井直樹社長が証言する。


2010/7/12 米財務省、中国の為替操作国認定を見送り 

米財務省は7月8日、主要な貿易相手国・地域の為替政策に関する為替政策報告書を公表した。

中国については人民元相場の弾力化方針を評価し、中国の為替操作国への認定は見送った。
ただ、人民元は「過小評価されている」と指摘、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視していく」とした。

オバマ大統領は6月下旬のG20後の記者会見で、中国の切り上げ姿勢は、「3か月ではっきり分かる」 として、期限を明示した上で中国側に対応を迫った。
10月の次回の報告書発表までの人民元相場の動きを見定めた上で、切り上げペースが不十分なら、為替操作国に認定することも辞さない構えとみられる。中国を為替操作国に認定すれば、正式な2国間協議に移ることになる。

財務省は、意図的に為替相場を操作していると判断した国を「為替操作国」に認定する。
認定は一方的なものだが、被認定国は米国のみならず各国から通貨切り上げを政治的に強く求められることになる。

米国が同報告書において中国を「為替操作国」と認定していたのは、1992年春季から1994年春季までの約2年間だけ。当時の中国は人民元を1ドル=5元台から8元台に切り下げていた最中。

財務省は議会に対して半年に1度、外国為替相場についての状況を説明する報告書を提出することとなっている。当初は4月15日発表の予定であったが、中国の動きを見るため、延期していた。

対中強硬派のシューマー上院議員(民主)は「報告には失望した」と指摘、人民元の過小評価分に相殺関税をかける法案などが必要との考えを示した。

付記

米財務省は2011年2月4日、(前年10月発表予定の)外国為替報告書を発表した。

中国の人民元については「依然として大幅に過小評価されている」と指摘したが、「為替操作国」への認定は見送った。

6月の弾力化発表以来、人民元は1月27日現在でドルに対し3.7%上昇した。年率では約6%になる。
中国の昨年下半期のCPIインフレ率は年率で米国よりも5%ポイント以上高い。
このため、インフレを調整した実質ベースでは人民元は年率で10%以上、切りあがったこととなる。

これらと、胡錦濤主席が訪米の際に述べた「国内需要を増やし、交換レートの弾力性を更に高める」との約束を勘案し、財務省は包括貿易・競走力強化法3004条の「為替操作国」規定は中国には当てはまらないと結論づけた。

今後、中国による人民元切り上げのペースを注意深く見守っていく。

ーーー

中国は2005年7月21日に2.1%の切り上げを発表、その後、管理フロート制を取ってきたが、2008年夏の金融危機以降、 レートを1ドル≒6.8人民元でほぼ固定してきた。

中国の中央銀行である中国人民銀行はG20サミットを控えた6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。

しかし、初日の終値こそ基準値比 0.44%アップと上限に近いものとなったが、その後は政府が介入した結果、非常に緩やかな変動となっている。

2010/6/28  再び人民元論争

7月9日時点では終値は6.7735ドルで、6月18日比で0.79%しか元高になっていない。

基準値は、中国人民銀行が取引開始前に、前日相場などを勘案して発表するもので、毎日の上下限はこれの0.5%。


2010/7/12 新潟水俣病で和解勧告 

新潟県・阿賀野川流域で1960年代に発生した有機水銀による公害の新潟水俣病をめぐり、未認定患者ら125人が国と昭和電工に損害賠償を求めた第4次訴訟で、新潟地裁は7月8日、原告、被告の双方に和解を勧告した。
草野裁判長は「新潟水俣病の発生から45年。被害者の高齢化が進み、早期の全面解決が必要と考えている。解決に向け、真摯で積極的な努力を尽くすことを切望する」と原告と被告に求めた。

国は「原告が早期の和解を望んでいることを踏まえ、和解協議に入る」、昭和電工も「勧告の趣旨に異存はない」とした。
同日、1回目の和解協議が開かれた。患者側は早ければ10月中旬に和解条件の基本合意を目指したいとしている。

熊本の水俣病訴訟が本年3月に水俣病不知火患者会と、被告の国や熊本県、原因企業チッソが和解合意し、政府は4月に新潟水俣病を含む未認定患者「救済措置の方針」を閣議決定している。

付記

新潟水俣病第4次訴訟で、原告と国、昭和電工が10月21日、新潟地裁で和解に基本合意した。

原告1人あたりの一時金を210万円などとする内容で、3月に熊本地裁で水俣病不知火患者会と国などが合意した案をほぼ踏襲した。今後、原告173人について、「第三者委員会」が和解対象者かどうかを判定。全原告の判定終了後、正式な和解が成立する。  

ーーー

2011年3月3日、新潟地裁で和解が成立した。第三者委員会は原告173人全員を支給対象と判定した。
東京・大阪・熊本地裁でも今後、和解が成立する見通し。

昭電会長は新潟を訪れ、責任とお詫びを表明。
国は治療に関する調査研究を行うほか、昭電と協力して、地域振興や健康増進事業の実施に努める。

新潟地裁ではほかに未認定患者ら20人の3次訴訟が判決を求めて係争中。

 

新潟4次訴訟の原告はいずれも阿賀野患者会に所属し、2009年6月、1人880万円の賠償を求め提訴した。
患者会は和解に伴い、阿賀野川流域であらためて国が住民の健康調査をすることや、首相と昭和電工社長の謝罪を求めている。

新潟地裁ではほかに、未認定患者ら17人の3次訴訟が係争中で、原告は和解ではなく、判決を求めている。

ーーー

1965年5月に水俣病が熊本で公式確認されて9年後の1965年に阿賀野川流域で水俣病が発生した。

1965年1月に、原因不明の疾患の患者を東京大学脳研究所の椿忠雄助教授(当時)が診察、有機水銀中毒の疑いが持たれた。
同年4月から5月にかけて数名の患者が発見され、この事実が学会で報告された。

患者の居住地はいずれも阿賀野川下流の沿岸に限定されており、患者には典型的な水俣病の症状が現れていた。

水俣病が熊本で公式確認されて9年後であり、政府が水俣病が発生した時点で原因究明を行い、チッソ水俣工場と同様の生産を行っていた昭和電工鹿瀬工場の操業停止という措置をしておれば、被害拡大は避けられた。

同年9月、厚生省に新潟水銀中毒事件特別研究班が組織され、原因究明に当たった。

研究班は、1967年4月、疫学的調査結果等を踏まえ、原因は阿賀野川の上流にある昭和電工鹿瀬工場(アセトアルデヒドを生産)の排水である旨の報告を提出した。また、新潟大学と県は工場の排水口の水苔からメチル水銀を検出するなど、工場の排水が原因であることを明らかにした。

1936   昭和合成化学工業鹿瀬工場、水銀等を触媒にしてアセトアルデヒドの生産を開始
1957   昭和電工、昭和合成化学を吸収合併し、鹿瀬工場のアセトアルデヒドを増強
1965/1  鹿瀬工場、アセトアルデヒド生産停止、プラント撤去
       (製造工程図を焼却したとされる)

昭和電工はこれに反論し、発生が公表された前年に新潟県内を襲った新潟地震によって流出した農薬が原因であるとの説を主張した。

新潟地震の際に、信濃川河口付近の農薬倉庫から流出した農薬が阿賀野川の河口まで達し、その後阿賀野川を逆流して下流域を汚染したとするもの。

1968年9月に政府は水俣病に関する政府統一見解を発表した。

厚生省は、熊本における水俣病は新日本窒素肥料水俣工場のアセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀化合物が原因であると発表した。
同時に、科学技術庁は新潟有機水銀中毒について、昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀を含む工場廃液がその原因であると発表した。
この2つを政府統一見解とした。

昭和電工はその後も農薬説を主張したが、1971年の新潟水俣病第1次訴訟の判決で、原因は工場排水であることが確定した。

新潟県当局は被災した農薬の全量を把握しており、いずれも安全に処理されていたことを確認している。
また、農薬として使用されていた水銀はほとんどがフェニル水銀であり、水銀中毒の原因物質となったメチル水銀ではない。

農薬説は第一次訴訟までに被害を訴えていた患者が下流域にしかいなかったことを根拠としていたが、その後、より上流の地域にも患者が発生していたことが明らかになった。

なお、昭電は新潟水俣病の発生が公表される頃には、アセトアルデヒドの製法変更で、工場での生産を止めていた。

現在この工場では、昭和電工の関連会社の新潟昭和がセメント製品を生産している。

ーーー

経緯は下記の通り。

1956/4 (水俣病公式確認)
1965/5 新潟水俣病公式確認
1967/6 一次訴訟(四大公害訴訟ー両水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病ー最初の訴訟)
1968/9 (共通)政府統一見解、「工場排水が原因」
1971/9 一次訴訟で患者側勝訴。昭和電工の工場排水が原因と確定
1982/6 二次訴訟
1995/12 (共通)政府が未認定患者救済策を閣議決定
1996/2 閣議決定を受け、二次訴訟和解
2007/4 三次訴訟
2009/6 四次訴訟
2009/7 (共通)水俣病救済法 成立
  2009/7/3 
水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し
2010/3 (水俣訴訟、熊本地裁で和解)
  2010/3/20 
水俣病集団訴訟で和解案
2010/4 (共通)政府、水俣病特別措置法の「救済措置の方針」を閣議決定
  2010/4/16 
水俣病「救済措置の方針」を閣議決定 
2010/7 四次訴訟和解勧告、協議開始→付記 10月21日基本合意
 三次訴訟は(和解ではなく判決を求め)係争中

 (共通)は水俣病、新潟水俣病の両方

 

資料 新潟県 新潟水俣病のあらまし


2010/7/13 伊藤忠、米国リチウム資源開発会社に資本参加

伊藤忠商事は7月5日、リチウム資源の確保を目指し、米資源開発会社であるSimbol Mining Corporationに資本参加したと発表した。出資は約20%となる。

Simbol Miningは、カリフォルニア州南部のソルトン湖(Salton Sea)近くに位置する地熱発電所の使用済み地熱かん水に含まれるリチウムを回収、 リチウム化合物を製造する事業を推進しており、数年以内の商業生産に向けて製造技術の開発及び改良を行っている。

同事業は、地熱かん水を利用する世界初のリチウム化合物製造事業で、同社が開発を進めているカリフォルニア 州南部地域に存在する地熱かん水にはリチウムが多く含まれていることが確認されている。

Simbol Miningは、熱水や塩水から特殊なイオン交換技術で回収し、脱水・濃縮して低コストで炭酸リチウムを量産化でき る技術を確立した。
また、地熱かん水に含まれる炭酸ガスや地熱かん水の持つ熱源を利用する等、地熱かん水が持つ特長を活用することにより競争力のあるリチウム化合物の生産だけではなく、二酸化炭素排出を抑えた、環境に優しい事業を推進している。

地下水よりも深い場所からくみ上げるため、飲み水を汚染しない。

年間生産量は約16,000トン(炭酸リチウム換算)となる予定で、原料である地熱かん水からリチウム化合物の生産が短時間で行えることから、需要拡大に応じて短期間で増設・増産が可能
このため、将来は、現在の世界の生産能力である約123,000トンの約50% に相当する年産64,000トンの炭酸リチウム生産が可能であるという。

南米の塩湖がリチウムの数少ない供給拠点と なっているが、塩湖の水を天日干しにして採取するため出荷まで1年半も時間がかかり、生産量は天候に左右されやすい。

これに対し、Simbol Miningの方法では1日半で出荷できる。

2009/5/5 韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ

伊藤忠は、Simbol Miningの生産するリチウム化合物の販売につき、日中韓を含めたアジア(インドを除く)向け総販売代理店権を獲得し た。
今回の投資に当たっては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による融資を受ける方向で検討を進めている。

伊藤忠は中期経営計画において環境・新エネルギーに注力、中でも「蓄電池」を重点的に取り組む分野と位置付けている。
米国のリチウムイオン電池メーカーの EnerDelを傘下に持つEner1への出資や、戸田工業との合弁事業による北米での正極材・同原料の生産等、リチウムイオン電池関連事業に積極的に参画しており、本投資により上流の資源確保にまで踏み込んだバリューチェーン構築を加速する。

伊藤忠は2009年12月にEner1(エナール・ワン)に20百万ドル(5%弱)の出資を行った。
Ener1の100%子会社である EnerDel社は、OEMレベルの車載用のリチウムイオン電池システムを製造可能な電池メーカーで、米国内で唯一、セルから電池システムまで一貫して開発・製造できる量産設備を持っている。

付記

クレハが製造・販売するリチウムイオン電池用負極材がEnerDelのEV用LiB負極材として採用された。
クレハはいわき事業所の製造設備(年産600トン)を2012年1月までに年産1,600トンへ増強するとともに、クレハ、伊藤忠、EnerDelは、米国で2013年初めに稼動する新設プラントの第1期工事に係る設計業務開始について合意した。

伊藤忠と戸田工業は本年3月、リチウムイオン電池の正極材の生産・販売を行う合弁会社を設立し、また、正極材原料を生産するカナダの戸田工業の子会社を合弁会社とすることで基本合意した。
リチウムイオン電池の主要部材である正極材の新工場を米国ミシガン州に建設する。新工場は2011年に操業を開始 し、欧米の電池メーカー向けに出荷を開始する予定。

ーーー

Simbol Miningは、2007年に米国エネルギー庁傘下のLawrence Livermore National Laboratoryのスピンアウトとして発足した。

当初、Lawrence Livermore からシリカの抽出技術を導入した。普通の方法ではパイプやフィルターが詰まるため、この技術はリチウムや他の物質を抽出する道を開いた。

同社は2008年8月に670万ドルの増資を行い、MDV-Mohr Davidow Ventures Firelake Capitalなどのベンチャーキャピタルが株主になった。Lawrence Livermore National Laboratoryも株主。
米エネルギー庁から300万ドルの補助金を受けている。

事業化の目処が立ったことから今回、戦略的パー トナーとして伊藤忠商事の事業参画を受け入た。

 


2010/7/14 イラク、4製油所を新設、外資導入

イラクのHussein al-Shahristani 石油相は6月26日、4つの新製油所の建設計画を明らかにした。
それぞれ50億ドル程度の建設費で、合計は200億ドル強に達する。

新製油所の建設により、現在の能力の日量55万バレルに対し、74万バレルを追加する。

イラクは現在、北部のBaiji、南部のBasra、バグダッドの南のDora に製油所を持ち、合計能力は55バレル。
ガソリン1,200リットル、ディーゼル1,500リットル、灯油 900リットル、大量の発電用燃料油を生産している。

新設するのはイラク中央の
Karbala (14万バレル)、北部のKirkuk 15万バレル)、南部のNasiriyah30万バレル)とMaysan15万バレル)の合計74万バレル。

イラク中央のKarbala を最優先し、製品を北部、南部に輸送、その後に3製油所を建設する。
3製油所の生産量は当初は内需を上回り輸出されるが、そのうち内需が増加するとみている。

イラク石油省は6月下旬に外国企業を対象とする説明会を開催、日本からは日揮が参加した。近く国際入札を実施する。

外資になんら制限をつけず、真のパートナーを求めるとしている。
全額外資でもよく、イラクとのJVでもよい。
イラク議会は2007年に全額外資の製油所を認める法律を通している。

免税措置や土地の供給、輸送費などを勘案すれば、原料の原油価格は国際価格と比較して5%のディスカウントとなるとしている。

イラクは現在の原油採掘量日量250万バレルを6年間で1,200万バレルに増やす計画を持ち、新油田の開発を各国の石油会社に順次解放している。
権益は与えず、生産量に応じ報酬を支払うもので、高い目標・安い報酬にも係らず、世界の石油会社が応札した。

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

石油相は、「6年後には原油の最大の生産国、輸出国になるだけでなく、精製製品の大輸出国になる」としている。

ーーー 

上記の4製油所のうち、Nasiriyah製油所は日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)がNasiriyah油田の開発権を得る条件として提案してきたものである。

イラク政府は2009年6月に第一次解放対象の国際入札を行った。

2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展

イラク政府は、第一次開放とは別枠で、日量数十万バレルの生産が見込まれる有望油田のNasiriyah油田の交渉を日本連合及びEniと行った。

日本連合は開発権の確保のため、発電所や製油所建設も含め1兆円規模の投資と技術支援、人材育成などを提案したとされる。日本政府も国際協力銀行などを通じて全面的に支援した。

対抗していたEniはイラクの第一次入札でOccidental Petroleum及び韓国ガス公社(KOGAS)と組んでZubair油田を落札し、調印した。同社はこれに注力するため、Nasiriyah油田は放棄する意向で、日本連合に権利が与えられるのは確実とみられた。

ところが報道によると、新日本石油の代表が交渉のために2009年11月初めにバグダッドに到着したが、空港から出て石油省に行くのを拒否したとされる。
石油相は、「多忙のためオフィスを離れて外で交渉する訳には行かない。多くの石油会社が石油省で交渉をしているのに、石油省に来ないというのは分からない。新日本石油のやり方は不可解である」と述べた。

その後、交渉が行われないまま、本年3月には石油省の局長が、「新日石側との交渉は、最終合意に達せずに終了した」と断言、マリキ首相も「外国石油会社との契約はこれ以上交わさないよう閣議で石油相に伝えた」と発言した。

今回、入札にNasiriyah製油所が含まれたのは、Nasiriyah油田と込みで提案していた日本連合案が捨てられたことを意味する。

ほぼ確実といわれた案が、バグダッドに行きながら、安全上の理由で石油省に行かなかったことで壊れたとすると、残念至極である。

付記 2013/4/25 日本経済新聞 私の履歴書で、渡文明・JXホールディングス相談役は以下の通り述べている。

会長になって早々、イラクの当時のジャファリ首相が、自衛隊の派遣にお礼を述べるために来日した。小泉純一郎首相が官邸で歓迎晩さん会をやり、私も経団連の中東・北アフリカ地域委員長だったこともあって招かれた。
終わりごろ、小泉首相が「渡さん、この際、言っておくことはないか」と振ってくれた。待ってましたとばかりに、こう申し上げた。
「わざわざおいでくださりありがとうございます。何か希望はとおっしゃったので、ひとつお願いがあります。日本は無資源国で、貴国に眠っている原油がぜひ欲しい。平和になったら、いの一番に私たちに原油の採掘権を与えていただきたい」
「承知しました、約束しましょう」と言ってくれたが、社交辞令と受け止めた。ところがシャハリスタニ石油相が、こちらの希望を聞くために来日した。日揮の重久吉弘会長などと一緒に会談し具体的に提案した。
ナシリア油田を日本勢は掘りたい。資金の融資はもちろん、製油所や発電所も造りましょう。出てきた原油を売った収入で返してもらえば結構というのが骨子だ。
それから話が進み、マリキ首相に会うため、イラクのバグダッドを訪れた。私と日揮の重久さんと国際石油開発帝石会長の松尾邦彦さんの3人が代表して2009年に、チャーター機で中継地のドバイを飛び立った。
飛行場を一歩出ると、そこは戦場だ。みな鉄かぶとに15キログラムもある防弾チョッキを着せられる。私は腰の手術の後だったため11キロのものにしてもらったが、弾丸が貫通するぞと脅かされた。
装甲車のような車に乗せられ、兵隊の護衛つきで官邸に行き、マリキ首相やシャハリスタニ石油相らと会談した。我々の提案の実現を強く要請して日帰りでドバイに引き返し、無事を喜び合って、みんなで乾杯した。だが残念ながら、このプロジェクトはイラクの政変などでいまだに実現しておらず、ぜひ現役の人たちに夢を託したい。
 


2010/7/15 韓国、「二次電池の競争力強化に向けた統合ロードマップ」を確定

韓国政府は、二次電池(充電式電池)を次世代の基幹産業に育てる2020年までの長期計画をまとめた。

知識経済部が、企画財政部や教育科学技術部、グリーン成長委員会(*)と共に、「二次電池の競争力強化に向けた統合ロードマップ」を確定し、7月13日に李明博大統領が出席した第8回グリーン成長委員会で報告、李大統領はリ チウムイオン電池など新エネルギー分野に関し「我々の技術で世界市場に挑まねばならない」と強調した。

グリーン成長委員会は、国全体のグリーン成長戦略を策定する大統領直轄組織で、2009年2月に設置された。
2010年4月には低炭素グリーン成長基本法が施行された。地球温暖化対策の推進と環境科学技術産業(グリーン産業)の育成を関連付けて規定し、これを経済成長の新たなけん引力にすることを目指すもの。

二次電池は市場規模が2020年には現在の6倍以上(780億ドル)に急成長する見込みで、携帯電話やノートパソコンなどの小型家電製品から、最近は電気自動車や大規模エネルギー貯蔵用へと拡大され、中大型市場は小型市場より10倍以上早いテンポで膨らんでいる。

二次電池では日本が世界市場の43%を占め、その後を、韓国(32%)と中国(21%)が追っているが、韓国のオリジナル技術力や素材技術力は日本の30%と50%に過ぎず、その格差は大変大きい。

知経部では、「韓国の小型二次電池の競争力は世界トップの日本と同様だが、中大型分野の力量は相対的に弱い」と言い、「中大型市場を狙ったR&Dに、4〜5兆ウォンを投資する予定だ」としている。

また、「二次電池の素材分野の企業は、そのほとんどが零細企業で、R&Dの環境は劣悪だ」と言い、「二次電池素材の外国依存度が80%を上回っている」と指摘している。素材全体の韓国の国産化率は20%以下(特に負極材の自給率は 1%)にすぎず、大部分を日本からの輸入に頼っている。

このため、政府は今後10年間、二次電池分野の修士・博士級人材を1,000人ほど育成し、この一部を、技術革新型中小・中堅企業に派遣する。二次電池分野のグローバル素材企業を10社以上育成し、世界市場のシェアも50%へと引き上げる。

各大学の課程拡大や専門大学院の新設を検討する
リチウムイオン電池の重要部材である正極材や負極材などの技術者も育てる。

ーーー

自動車向け二次電池では韓国企業が受注活動を進めている。
日本がハイブリッドカー用ニッケル水素電池に集中する間に韓国企業はリチウムイオン電池に勝負をかけ た。

LG化学は電気自動車用バッテリー分野で世界1位で、これまで韓国の現代・起亜車と電気自動車メーカーのCT&T、 米国のGMと自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車、スウェーデンのボルボの6社と電気自動車用バッテリー供給契約を結んでいる。

LG化学は20091、「2010年に発売予定のGMの電気自動車 シボレー・ボルトに搭載されるリチウムイオン・ポリマー・バッテリーを供給する唯一の企業として選ばれた」 と発表した。

2009/1/17 LG化 学、GMに 電気自動車用バッテリー独占供給へ

本年4月にはスウェーデンのボルボに電気自動車(EV)の基幹部品であるリチウムイオン電池を供給する契約を結んだことを明らかにした。バッテリーセルだけでなく、制御システム(BMS)などさまざまな部品で構成された全体バッテリーパック形態で行われる。

2010/4/29 LG化学、ボルボに電気自動車の バッテリー供給

Ford Motor は713、2011に生産販売を開始する Focus modelの電気自動車用のリチウムイオン電池をLGの子会社Compact Power から購入すると発表した。

付記

9月30日、LG化学は、ルノーが推進している「純電気自動車プロジェクト」のリチ ウムイオン電池供給企業に最終決定したことを明らかにした。
LG化学はルノーが2011年から量産する電気自動車にリチウムイオン電池を供給する。
ルノーは
2012年までに50万台程度の電気自動車量産能力を確保するため、世界各地に生産工場を建設している。

LG化学は2009年6月、ソウルの 90km南方の忠清北道梧倉産業団地の梧倉テクノパーク730百万ドル を投じる電気自動車用バッテリー工場の起工式を挙行した。

2010年上半期中に工場を完成させ、現代自のアバンテ・ハイブリッドと起亜自のフォルテ・ハイブリッド向けにバッテリーを供給、11月からはGMの電気自動車、シボレーVOLTにもバッテリーを供給する。

LGは本年3月、同社の米国子会社でリチウムイオン電池メーカーのCompact Power Inc.(本社ミシガン州Troy)がミシガン州Holland303百万ドルを投じてリチウムイオン電池工場を建設すると発表した。2012年稼動の予定。
A123 Systems(工場はデトロイト近郊のLivonia)とJohnson Controls-Saft (工場はHolland) と組み、プラグインハイブリッドベースで20万台分(E-REV=充電用エンジン搭載車ベースでは5万台分)を生産する。
オバマ政権の
24億ドルの補助金から151百万ドルを受ける。

同工場では715日に起工式を開催するが、オバマ大統領はこれに出席し、祝賀スピーチを行う予定。
米国の大統領が外国企業のイベントに参加すること自体、異例なことで、特に韓国企業の工場を訪問するのは初めて。

 

Samsung SDI とドイツBosheは合弁会社SB LiMotiveを設立、2009年9月に蔚山市で起工式を行った。5億ドルを投資する。
同社はBMWのEV用電池の単独供給企業として選定された。2010年から試作品用リチウムイオン電池を一部供給し、13年から20年まで本格的な供給を行う。

米部品大手Delphi と2012年からの10年間の納入契約も結んだ。

付記

SKエナジーは7月26日、忠清南道瑞山市瑞山産業団地に約7万坪)規模の電気自動車用二次電池生産工場を建設することにした、と明らかにした。
2012年完工予定で、年間ハイブリッド自動車50万台(500MWh)分の二次電池を生産する。


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