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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は  http://blog.knak.jp


2014/2/1   英国、プラスチック紙幣発行


2014/2/3 リチウムで米国企業と中国企業が合弁

米国のInorganic Specialty Chemical メーカーのRockwood Holdings は2013年12月2日、中国のバッテリーメーカーの成都天齊實業集團( Chengdu Tianqi Industry Group)とJVを設立すると発表した。

2012年に両社が獲得争いをし、2013年に成都天齊が買収した豪州のリチウムメーカーのTalison LithiumをJVにするもので、Rockwoodが196百万ドル(出資比率49%)、成都天齊が204百万ドル(51%) 出資する。

RockwoodはJVに670百万ドルを利率8%で融資する。
Rockwood は
成都天齊に対し、リチウム事業の子会社Rockwood Lithium に20〜30%出資する3年間のオプションを与える。

JVはこの資金を買収のために借りた借入金返済に使う。

Rockwoodはこれにより、自社の米国とチリのリチウム源に加え、大きなリチウム源を確保するとともに、経営資源をコア事業に集中するという戦略を実現できることとなる。

Rockwoodはリチウムと表面処理をコア事業として、2013年9月に、非コア事業とする添加剤事業と二酸化チタン事業を現金11億ドルと年金債務(225百万ドル)でHuntsmanに売却する契約を締結した。2013年12月に米国の独禁法審査を終え、他の手続きの完了待ちとなっている。

ーーー

Talison Lithium(トロントで上場)は西豪州のPerth近郊のGreenbushesでリチウムの採掘・生産を行うとともに、チリのAtacama Region IIIでリチウム開発を行っている。

Greenbushesでは25年以上、リチウムの生産をしており、現在では年間35万トン以上の製品を世界市場に供給している。

チリの Atacama Region III では、7つの塩湖(Salar) で開発中で、このうち5つは30kmの範囲内にあり、チリのパートナーとともに100%の権益を有している。

ーーー

Rockwood の現在のコア事業のリチウム と表面処理事業は元はドイツのChemetall の事業で、1982年にドイツのMetallgesellschaft(現在のMG Technologies)の子会社として創設された。

その後、ChemetallはMG Technologiesの子会社のDynamit Nobelの部門となった。

2004年8月にMG TechnologiesChemetall を含むDynamit Nobelの4部門をRockwoodに売却、Rockwoodは2012年にChemetall を分割し、リチウム事業をRockwood Lithiumとし、表面処理事業をChemetall とした。

買収したDynamit Nobel の他の3部門は、
 Sachtleben:酸化チタン
    CeramTec:セラミック
    DNES Custom Synthesis:医薬中間体

付記
Rockwoodは2013年9月、酸化チタンその他の事業をHuntsmanに売却する契約を締結した。
  
Titanium Dioxide Pigments:上記Sachtlebenブランド
   Color Pigments & Services
   Timber Treatment Chemicals
   Rubber/Thermoplastics Compounding
   Water Chemistry. Th

 付記 Huntsmanは2014年10月1日、買収完了を発表した。
 

チリと米国ネバダ州でリチウムを採掘・生産し、ドイツのLangelsheim でリチウムコンパウンド、リチウムメタルの生産をしている。

  立地 製品
チリ Antofagasta (Atacama塩湖)
    上の地図参照
リチウムカーボネート、リチウムクロライド、
カリ、Bischofite(塩化マグネシウム)
米国 Silver Peak, Nevada リチウムカーボネート、リチウムクロライド

同社では、リチウムカーボネートを2010年の33千トンから2020年に50千トン以上に、水酸化リチウムを5千トンから15千トンに拡大する計画を持っている。

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成都天齊は2003年設立の世界最大のリチウム化学品メーカーで、他に農業用機械などを扱っている。
Talisonから輸入したリチウムからリチウムカーボネートその他を製造し、世界中で販売している。

ーーー

過去の経緯は以下の通り。

 2012年8月

Rockwood Holdings はTalison Lithium の全株式を1株 6.50カナダドル(総額732百万米ドル)で買収する契約を締結したと発表した。
Talison Lithium の取締役会は株主に対し、売却に応じるようリコメンドした。

Rockwoodではこれにより、世界のリチウム市場で、自社の20%のシェアにTalisonの30%のシェアを加え、世界市場の半分を抑えることを目指した。

 これに対し、Talisonの主需要家である中国の成都天齊は危機感を抱いた。

 2012年11月

成都天齊は子会社Windfield Holdingsが既にTalisonの株式の約15%を取得していること、残りの全株式をRockwood よりも高い価格で買収する意図を明らかにした。

 2012年12月

成都天齊は、子会社Windfield HoldingsがTalison の株式の残り全てを1株 7.50カナダドル(Rockwood よりも1株 1カナダドル高い価格)で買収することで合意したと発表した。

TalisonはRockwood との間で、8月に結んだ契約を解約した。Talisonは700万カナダドルの違約金を支払った。

これに対し、Rockwoodでは成都天齊が資金手当てを出来ないこともありうるとし、買収のために手当てした資金を他に流用せず、依然として買収を狙うとした。

 2013年3月

豪州政府は成都天齊によるTalison 買収を承認した。

成都天齊では、政府系投資ファンドのChina Investment Corporationの子会社の Leader Investmentから3億カナダドルの融資契約を締結、 Credit Suisseから2億ドル、中国工商銀行から1億2千万ドル、ADMキャピタル子会社から50百万ドルの融資を受けた。

3月26日、成都天齊はTalison Lithiumを買収した。

その後、諦めていないRockwoodと成都天齊が裏で交渉を続けていたと思われる。

成都天齊は リチウム製品のメーカーであり、リチウム採掘に乗り出す計画はなかったが、Rockwoodにリチウムソースを抑えられるのを恐れて非常に高値でTalison を買収し、多額の借り入れを行った。

今回の取引で、Rockwoodからの資金で借入金の返済が出来るだけでなく、リチウムの世界的なメーカーであるRockwoodと組むことで原料リチウムのソースを拡大し、安定的に安価なリチウムの供給を受けることができることとなる。

 

南米でのリチウム開発については下記参照 
 
    2009/5/5  韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ

    
2012/6/27 韓国がボリビアでのリチウム事業権獲得 

        2012/9/28  豊田通商、アルゼンチンでリチウム開発に参加

 


2014/2/4 米国の量的緩和縮小とその影響 

米連邦準備制度理事会(FRB)は1月29日に開いた会合で、債券買い入れ規模を減らし、量的緩和の縮小を継続する方針を決めた。
アメリカ経済は消費や設備投資が一段と改善し、景気は「上向いた」という見方を示した。

FRBは2012年9月以来、毎月850億ドルの債券買い入れを続けていたが、2013年6月にバーナンキFRB議長が、経済指標次第としつつも「年内に証券購入ペースを緩めるのが適切」と述べた。

2013年11月の会合では縮小見送りを決めたが、12月の会合では2014年1月の買い入れ額を100億ドル減らすことを決めた。

2月の債券買い入れ額は、更に100億ドル減らして650億ドルとする。

付記 2014年4月からは550億ドルとする。
            2014年5月からは450億ドル。
            2014年7月からは350億ドル。
            2014年8月からは250億ドル。
            2014年10月からは150億ドル。
            2014年10月会合で購入停止を決める。

付記 FRBは2014年10月29日、QE3での資産購入を10月いっぱいで終了することを決めた。
   ゼロ金利政策は「相当な期間、維持するのが適切」とした。

今回の量的緩和の縮小にあたり、FRBは実体経済改善に従って緩和策を縮小していく姿勢を強調しており、市場では、今後も毎回の会合で100億ドル程度の縮小を決め、年後半には買い入れを終えるとの見通しを強めた。

これを受け、新興国経済の先行き懸念が、世界の金融市場を揺さぶっている。
日経平均株価が一時500円以上値下がりしたほか、アジアの主要株価指数も軒並み下落した。
(FRBは新興国通貨の下落については言及していない。)

米国の量的緩和の縮小により投資資金が引き揚げられるとの観測が強まったことから、特に「Fragile Five」と呼ばれる新興国(トルコ、ブラジル、インド、インドネシア 、南アフリカ)が通貨安となり、これら諸国は通貨安が輸入物価を上昇させ、インフレを悪化させることを恐れ、相次いで利上げした。

ーーー

米国はサブプライム・ローン問題から波及した金融危機に対応するため、2008年11月に量的緩和を行い、1兆7250億ドルが供給された。
(QE1:Q
uantitative Easing 1)

2010年11月には、米国の景気回復ペースの鈍化を受けて、第2弾の量的緩和(6000億ドル)を行った。(QE2)

2012年9月には、雇用を増やして景気を回復させるため、第3弾の量的緩和を行った。(QE3)

市場から住宅ローン担保証券(MBS) を月額400億ドルを買い取るとともに、月額450億ドルの国債の借り換え(operation twist)を実施した。

2013年1月からはこれを拡大し、月額400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)に加え、国債を月額450億ドル買い取ることとした。

  QE1
2008/11〜2010/6
QE2
2010/11〜2011/6
QE3(月額)
2012/9〜2012/12 2013/1〜 2014/1 2014/2
米国債 3000億ドル 6000億ドル   450億ドル 400億ドル 350億ドル
米国債
(
operation twist *)
    (450億ドル)      
住宅ローン担保証券
(MBS)
1兆2500億ドル   400億ドル 400億ドル 350億ドル 300億ドル
その他 1750億ドル          
合計 1兆7250億ドル 6000億ドル 400億ドル 850億ドル 750億ドル 650億ドル
 * operation twist:買い上げている国債のうち、短期の国債を一部処分し、長期の国債に乗り換え(追加買い上げはゼロ)

ーーー

10年前にGoldman Sachs は新興経済成長国として Brazil、Russia、India、China をBRICs と名付けた。

2013年にMorgan Stanley は米ドルの影響を最も受ける通貨として、Brazil のreal、Indonesia のrupiah、南アのrand、インドのrupee、トルコのlira を"Fragile Five"と名付けた。

各国の通貨は昨年末以来、下落している。

各国は相次いで利上げを行った。

Brazil 1月15日、政策金利を10.00%から10.5%に引き上げ。
South Africa 1月29日、0.5%の利上げを決定。
主要政策金利であるレポ金利を5.50%とすることを決めた。
India 1月28日、政策金利のレポ金利 を従来の7.75%から8%に引き上げた。
Turk 1月28日、通貨防衛と物価上昇の抑制を目的に政策金利の大幅な引き上げを決めた。
翌日物貸出金利を4.25%上げ、12%とする。

Indonesia 2013年11月12日、政策金利のBIレートを0.25%ポイント引き上げ、7.50%とした。
貸出ファシリティー金利も0.25%ポイント引き上げ、7.50%とした。
翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)は0.25%ポイント引き上げ、5.75%とした。
 
 

2014/2/5    中国の石油化学製品の輸入統計

中国の2013年の石油化学製品の輸入統計が発表された。

合成樹脂では製品により増減があるが、いずれも日本のシェアは非常に小さい。

日本の石油化学が競争力がないことを示している。2013年は大幅な円安となったが、数量増には結びついていない。
モノマーでは日本品は依然として高いシェアを占めているが、これはコスト競争力があるためではなく、国内の操業度維持のための輸出である。

SMの場合、2013年の生産量は2,592千トン、輸出は1,177千トンで45%を占める。
VCMは生産量は1,089千トンで、輸出は534千トンで49%。但し東ソーは海外子会社等への輸出を目的とした生産を行っている。

LDPE

2009年から中国の需要が急増し、輸入量が増大したが、その後も増えている。
サウジ、韓国、シンガポールが中心だが、最近はタイとイランからの輸入が多い。
タイはLLDPE、イランはLDPEが主である。

HDPE

LDPEと同様、需要急増により輸入が増えているが、2013年の伸びが大きい。
イランからの輸入が韓国、サウジを上回った。

PP

PPも2009年から需要が急増した。その後、生産が増加し、輸入量は減りつつある。
韓国、サウジが中心。

PS

輸入量は2002年の半分以下に減った。
日本からは1999年に186千トンの輸入があったが、2013年は19千トンに減っている。

香港経由の輸入が多いが、これのソースは不明。

PVC

輸入量は減少し、100万トンを割った。
合成樹脂のなかでPVCのみ、台湾、米国に次ぎ3位を占めている。
米国は2009年以降、高水準の輸出を続けている。

なお、PVCの中国からの輸出は下記の通りで、662千トンに達した。
月別には輸出が輸入を上回っており、輸入の減少傾向が続けば、年間でも逆転する可能性が出てくる。

モノマーの輸入状況は次の通り。

エチレン

2012年末の能力は16,765千トンで、2013年には武漢化学の800千トンが4月にスタートしたが、彭州石化の800千トンは環境問題などで本格稼動に入っていないといわれており、需要の増に生産増が追いつかない状況と見られる。
韓国と日本からの輸入がほとんどで、日本からの輸入も増大した。

プロピレンについても同じ。こちらは台湾からの輸入も多い。

SM

高水準の輸入が続く。
韓国がトップで、日本・韓国・サウジがその半分程度で並ぶ。
SMについてもイランからの輸入増が目立つ。

VCM

中国のPVCはアセチレン法が多く、PVC業界の全体の動きとの関係は少ない。

2011年11月の東ソー南陽工場の事故で2012年の日本からの輸入は激減、全体の輸入減もこれを反映している。
2012年5月に第一工場、7月に第二工場が再開、これを受け、日本からの輸入量も増えつつある。


2014/2/6 日本ペイント、Wuthelam Groupとの戦略的提携の基本合意 

日本ペイントは2月3日、シンガポール塗料会社のWuthelam Groupを引受先とする約1000億円の第三者割当増資を実施すると発表した。
Wuthelam は日本ペイントの筆頭株主で14.5%を出資するが、増資により出資比率は30.3%に高まる。

更に、Wuthelam は、第三者割当後の2年間に限り、市場での購入で出資比率を39.0%まで増やす意向で、日本ペイントもこれを認めている。
(日本ペイントによる2月5日の追加発表)

Wuthelam Groupはシンガポール国籍のGoh Cheng Liangが設立した企業グループで、現在は息子のGoh Hup Jin(吴学人) の一族が所有している。

Goh Cheng Liangは1955年にシンガポールで開業し、日本ペイントのディストリビューターとなった。

日本ペイントとWuthelamグループは、1962年にJVのNippon Paint Southeast Asia グループNIPSEAグループ)をつくり、その後、アジア各国で自動車や建築用塗料などを中心に、日本ペイントが技術、Wuthelamがマーケティングを担当して合弁事業を展開してきた。

日本ペイントは調達した資金で中国やマレーシア、シンガポールなどのWuthelam とのJVの出資比率を51%に引き上げ、連結子会社にする。
これにより、日本ペイントの連結売上高は年間5千億円弱となり、塗料メーカーとしては世界10位から4位に浮上する。

Wuthelamは2014年8月に、子会社であるNIPSEA Internationalを通して日本ペイント株を追加取得し、議決権ベースで20.35%保有した。
日本ペイントはWhthelamの関連会社になった。

ーーー

Wuthelam Groupは2013年1月21日、日本ペイントへの出資比率を約45%まで高めて傘下に収めるため、720億円を投じて8千万株を取得する提案を日本ペイントの取締役会に提出した。

しかし、日本ペイントとの協議の結果、Wuthelamは3月12日付で日本ペイントへのTOB提案を取り下げた。
両社は、Wuthelamの日本ペイントに対する持株比率の引き上げと、両社のJVの日本ペイントによるマジョリティ化について協議を開始した。

2013/1/23 シンガポール塗料大手、日本ペイントに買収提案 

今回の基本合意はそれに基づくものである。

提携強化により、アジア地域の合弁会社の更なる企業価値向上と両グループの協業関係の深化、及びそれらを通じた 日本ペイントの企業価値の向上を目指す。

1)第三者割当増資

株数:60,000,000 株
発行価額:1023億円(手取り概算1012億円)
割当先: Nipsea International Limited (Wuthelam の100%子会社)

  募集前 募集後
1位株主 First Industries Corp.
 (Goh Hup Jinが代表)
14.51% Nipsea International  18.44%
2位株主     First Industries Corp.  11.84%
(Wuthelam Group)   (14.51%)   (30.28%)

Wuthelam Group は日本ペイント株式を日本ペイントの競合他社に対して譲渡 しない。
Wuthelam Group が他社に譲渡する場合は、日本ペイントは先買権を有する。

2)日本ペイントによるJVの出資比率引き上げ

当初、日本ペイントはシンガポール、タイ、韓国、中国などのJVでは40%、その他ではそれ以下の出資比率であったが、2006年5月に、両社は合弁事業の更なる企業価値向上と両社の協業関係をより強固にするため、合弁会社の出資比率を見直す協議を行うことで基本合意に達した。

基本合意では、合弁会社における日本ペイントの持株比率を51%以上とするよう協議を行うと決め、逆にWuthelamが日本ペイントの株式を最大10%まで取得することが決められた。(当時の持株は5%弱)

その後、タイ、韓国、台湾のJVの日本ペイント出資比率が51%に引き上げられた。

しかし、2008年12月に
Wuthelamが日本ペイントへの出資を14.51%に引き上げたことが判明した。
基本合意での「最大10%」を超えたため、この合意を一旦白紙に戻し、改めて協議することとなった。

その後に設立されたJVのうち、統括会社は50/50。
 
今回当初の基本合意に従い、下記のJVの出資比率を51%に引き上げる。
対価は1033億円。
 
  JV名 出資比率
香港
中国
Nippon Paint (H.K.)
 100%子会[email protected] Paint China Holdings
  その100%子会社 Langfang Nippon Paint
                                          Nippon Paint (Tianjin)
40%→51%
Nippon Paint (China) 40%→51%
Guangzhou Nippon Paint
Nippon Paint (Chengdu)
マレーシア Paint Marketing Co. (M) 25%→51%
Nippon Paint (Malaysia)
シンガポール Nippon Paint (Singapore) 40%→51%
Nipsea Technologies 50%→51%

   
 

付記

日本ペイントは2014年11月27日、手続きが完了し、12月初めに実行すると発表した。
  Wuthelamの持株は39%となる。
  日本ペイントの上記のアジア各社への出資比率は51%となる。

 

 

日本ペイントとWuthelam Groupのアジアの連携の全貌は以下の通り。

 
既に 51%保有
 
今回 51%に
 
      日本ペイント  
本部 シンガポール Nipsea Management 50% アジア地域統括
Nipsea Technologies 50%→51% 研究開発
一般

 

 

シンガポール Nippon Paint (Singapore) 40%→51%  
スリランカ   (60%) Nippon Paint Lanka   Silicon Coatings 40%
マレーシア Paint Marketing Co. (M) 25%→51%  
Nippon Paint (Malaysia) 25%→51%  
バングラデシュ   (90%) Nippon Paint (Bangladesh)   現地10%
タイ Nippon Paint (Thailand) 40%→51%  
Nippon Paint
Decorative Coatings (Thailand)
51% 上記から分離
韓国 Nipsea Chemical 40%→51%  
台湾 Asia Industries 34.8%→51%  
香港 Nippon Paint (H.K.) 40%→51% 中国統括&塗料販売
中国   (100%) Nippon Paint China Holdings (40%→51%)  
  (100%)Langfang Nippon Paint    
(100%) Nippon Paint (Tianjin) 廊坊立邦立東塗料&
天津立邦聖連達粉末塗料を統合
Nippon Paint (China) 40%→51%  
Guangzhou Nippon Paint 40%→51%  
Nippon Paint (Chengdu) 40%→51%  
Guang Li Chemicals (Shanghai) 38.65%  
Nipsea Chemical (Shanghai) 51%  
フィリピン Nippon Paint Philippine 51%  
インド Nippon Paint (India) 50%  
パキスタン Nippon Paint (Pakistan)    
船舶 日本 日本ペイントマリン 60% Nipsea Pte.,Ltd 40%
シンガポール   Nippon Paint Marine (Singapore)    
マレーシア Nippon Paint Marine (Malaysia)
韓国 Nippon Paint Marine (Korea)
台湾 Nippon Paint Marine (Taiwan)
中国 Nippon Paint Marine (China)
Nippon Paint Marine (Zhangjiagang)
Nippon Paint Marine (H.K.)

 


2014/2/7 タイの混乱

タイの混乱が続いている。

2013年11月にインラック首相は、実兄で実刑判決を受けて海外逃亡中のタクシン元首相を対象に含めた恩赦法案を下院で強行採決で可決させた。これに反対する抗議デモが活発化し、上院はこれを否決した。

首相は12月に議会を解散し、本年2月2日の総選挙を決めた。

2月2日の総選挙は、反政府派の妨害によって全体の約1割にあたる1万ヶ所余りの投票所が閉鎖され、投票率は45.8%にとどまった。

政府は妨害活動で投票中止に追い込まれた選挙区で再選挙を行う方針だが、最大野党の民主党は、全国で同じ日に選挙をしないのは違憲だとして、総選挙を無効にすることなどを求める訴えを憲法裁判所に起こした。

野党が総選挙に反対するのは、選挙でタクシン派が圧倒的な勝利を抑えることを恐れてのことである。

憲法裁判所は反政府派寄りとされていて、過去にもタクシン派の与党に解党命令を出したことがあり、選挙を無効とする可能性もある。

インラック政権は選挙管理内閣のため、権限が制限され、予算編成など内政はストップし、外交への影響も避けられない。

付記

憲法裁判所は2月12日、総選挙は無効だと訴え、政権与党の解党処分を求めた最大野党、民主党の申し立てを証拠不十分で却下した。
民主党は、下院選が同一日に全選挙区で投票できなかったこと、下院解散後にインラク政権が非常事態宣言を発令したことなどを理由に、今回の下院選が違憲な方法による権力の掌握を禁じた憲法条項に違反したと主張していた。

憲法裁は同日、反政府デモ指導者の行動が違憲な方法による権力の掌握を禁じた憲法条項に違反しているかどうかの判断を与党が求めた裁判で、デモ隊はタクシン元首相らに恩赦を与える恩赦法案への反対と政府への不信から抗議活動を行っているだけだとして、違憲ではないとする判断を下した。

ーーー

タイ憲法裁判所は3月21日、2月2日に行われた総選挙(下院選)を無効とする判決を下した。

憲法裁判所は、反政府デモ隊の妨害により28選挙区で立候補受け付けを行えず、候補者ゼロのまま選挙が実施されたことが、全国で同一日に選挙を行うとした憲法の規定に違反するとの訴えを認めた。

ーーー

タイの憲法裁判所は5月7日、インラック首相による2011年の政府高官人事は違憲として、インラック氏と当時の閣僚を失職とする判決を言い渡した。

裁判では、インラック氏が首相就任後、新しい国家警察庁長官の登用に伴って、玉突きで国家安全保障委員会事務局長を更迭した人事が問題とされた。警察庁長官が首相の親族だったことから、「憲法が禁じる自己利益のための不当な人事介入」と反政府派の上院議員らが訴えていた。

一方で、判決は反政府派が求めた全閣僚の失職は認めず、首相を除く 35閣僚中26閣僚が残って選挙管理内閣を継続する。

ーーー

背景には以下の状況がある。

タイでは、王室を筆頭に財界、官僚、軍などの既得権益がタイの富を独占し、農民、低所得者などの大多数が貧困に悩むという状況がある。

UNDPのタイの所得5階層分布では、トップの20%が全所得の55%を占めている。

トップ20%の高所得者の収入は、ボトム20%の低所得者収入の平均12.8倍(2008年、UNDP調べ)にものぼる。
この比率は、東南アジア諸国でも9〜11倍、欧米では4〜8倍といわれ、タイの貧富の差はあまりにも大きい。

タイには、相続税、贈与税、土地保有税のような資産課税がない。日本の固定資産税に相当する土地保有税がないのは、タイだけとされる。

 

タクシン元首相は貧困対策に取り組んだ。

健康保険制度の整備や30バーツの低額医療、借入金の返済繰り延べ、村落基金の創設、地方における建設やインフラを中心とした公共事業など、貧しい農家向けに相次いで政策支援を打ち出し、その人気で選挙に圧勝し続けた。

複雑なのは、タクシン自身が既得権益層に属することで、タクシンも一族が土地を持つため、土地保有税の導入などは全く考えていない。

タクシンは自身の携帯事業事業が成功し、株価が暴騰すると、全株式をシンガポール企業に売却し、2000億円以上を手に入れている。
タイでは株式売却益は無税であるが、反タクシン派はこれを汚職・蓄財と騒ぎ、大問題とした。

インラック首相も昨年夏に農村部の優遇策として「コメ担保による融資制度」をスタートさせた。

政府は、希望する農家から収穫されたコメを引き取り、そのコメを担保に農家に資金を融資する。
融資額は1トンあたり約4万5000円で、市場で流通する価格のおよそ1.8倍にもなる。
この制度は事実上、政府による「コメの高値買取制度」である。

これまでのタイの政治混乱は、タクシン派と権益を奪われることを恐れる反タクシン派の争いである。

反タクシン派は、総選挙をすれば敗北は必至であるため、選挙を妨害し、首相を退陣に追い込むという戦略である。
場合によってはクーデターもありうる。
(但し、今回は軍の4人の司令官が投票を行っており、直ちにクーデターの可能性は少ないとされる。)

反タクシン派にとり、コメ買取制度は政府攻撃の一つの材料となった。

世界的な供給増でコメの価格が下落する中で、政府には売れない1300万トンのコメが集まり、政府の負担は1兆円を超えるものとなった。

反タクシン派は、この制度は納税者を犠牲にしてタイの貧しい農村部の有権者の支持を得るために首相がつくりだした一連の政策の一つだとし、国家汚職追放委員会は、首相が財政面での打撃を無視してこれを実行したのかどうかの調査を始めた。

国家反汚職委員会がタイと中国間のコメ売買契約の透明性について調査を開始したことを受け、中国がタイ米を120万トン購入する契約を撤回した ことも攻撃材料となった。

更に、農家100万人に対し、買い取ったコメの代金約4000億円の支払いが滞ったことから、農家からも政権批判が出始めており、インラック政権にとっては裏目に出た。


しかし、仮にインラック首相を退陣させても、その後の姿は見えず、混迷が長期化すると思われる。

付記

タイ憲法裁判所は3月12日、タクシン元首相派のタイ貢献党が主導し、昨年に国会で成立した大型公共事業のための2兆バーツ(約6兆4000 億円)の特別借り入れ法案について違憲判決を下した。

大型公共事業は総延長1356キロメートルの高速鉄道4路線、バンコク首都圏の都市鉄道10路線の建設など全54事業からなり、2020年までの完成を目指していた。
政権は案件ごとの閣議承認を不要にして早期に着工・完成させるため、年次の通常予算の枠内ではなく、民間からの借り入れによる資金調達を目指した。

憲法裁は「国家の支出は緊急時を除き通常予算で実行されなければならない」とした規定に反するなどとし、同法案に違憲判決を下した。


2014/2/8  鳥インフルエンザ抗体

日本国内では人の発症例がない毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)のウイルスに作用する抗体を、愛知県内の60代男性が体内に持っていることが、藤田保健衛生大の研究グループの調査で分かった。

インフルエンザへの抵抗力は、感染やワクチンで体内に「抗体」が作られることでできる。
ただ、インフルエンザウイルスは遺伝子変異を繰り返し、過去に得た抗体では、変異したウイルスには抵抗できないとみられており、H5N1型は国内で抗体を持つ人はいないと考えられていた。日本では発症した人は確認されていない。

米オンライン科学誌 PLOS One で2月5日に発表した。

Two Types of Antibodies Are Induced by Vaccination with A/California/2009pdm Virus: Binding near the Sialic Acid-Binding Pocket and Neutralizing Both H1N1 and H5N1 Viruses
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0087305

愛知県豊明市の藤田保健衛生大の抗体プロジェクト研究部門(黒沢良和教授:学長)は、各種疾患に対する治療用ヒトモノクローン抗体開発を研究室のメインテーマに掲げて研究を展開している。

各種固形癌に対して、治療用ヒト抗体を開発することを最大の目標としているが、ヒト体内のインフルエンザウイルス中和抗体レパートリー解析にも成功しており、新型インフルエンザウイルス対策に貢献することを目指している。

男性は1947年生まれで、子供の時に数度インフルエンザ(恐らく H1N1とH2N2:アジアかぜ) にかかっており、1968年にも一度インフルエンザ(恐らくH3N2:A香港型)にかかった。
その後41年間、インフルエンザにかからず、インフルエンザワクチンも打っていなかった。

研究グループは、2009年に流行したインフルエンザ(H1N1型)のワクチンを男性に接種し、接種前と、接種から1カ月後にそれぞれ血液中の成分を取り出し、体内で作り出された抗体を調べた。

その結果、H1N1型に作用する抗体とは別に「VH1-69」という抗体も作られていた。
これは、H1N1型のほかH5N1型など複数のインフルエンザウイルスの感染を阻害する効果のあることが確認された。

黒沢学長は以下のように述べた。
・2種類のウイルスはH5N1型と形がよく似ている。男性は過去にインフルエンザ感染を繰り返す中で、H5N1型に作用する抗体を作る能力を自然に身につけたと考えられる。
・さまざまな型があるインフルエンザ全てに抵抗できる『万能抗体』を作るワクチンの作製が期待できるのではないか。
・多くの人が同じように抗体を作り出せる可能性がある。世界的な大流行に対応するため、もっと多くの人の調査を進めるべきだ。

 

鳥インフルエンザ(H5N1)の感染動物は鳥類(主に水禽類)で、ヒトは、感染した鳥やその排泄物、死体、臓器などに濃厚に接触することによってまれに感染することがある。

日本では発症した人は確認されていない。

鳥類では東南アジアを中心に、中東・ヨーロッパ・アフリカの一部地域などで感染が確認され、ヒトでの症例はアジア、中東、アフリカを中心に報告されている。

 


2014/2/10 三井化学の事業構造改善計画 

三井化学は2月6日、ポリウレタン材料事業とフェノール事業、高純度テレフタル酸(PTA)の再構築を発表した。

これに伴い、事業構造改善費用として206億円を特別損失に計上した。

今回の対策により、3事業の赤字 230億円を先ず(市況回復のない場合で)140億円改善、更なる合理化で早期の黒字化を図る。
いずれもかつては同社の主力製品であったが、状況の変化は早く、また著しい。


1)ポリウレタン材料事業

TDI及びMDI事業は、中国を中心とするアジアでの大規模な新増設による市況悪化のため収益が低迷している。

同社のウレタン部門の営業損益は2012年度が -26億円であったが、2013年度予想(2月6日発表)では -40億円と悪化している。

今回、特徴ある特殊イソシアネートで、コーティング・機能材事業、メガネレンズモノマーの更なる強化・拡大を図り、
汎用ウレタン原料は、国際競争力が劣位の鹿島TDI、大牟田MDIを2016年12月末に停止し、国際競争力を十分有する他のプラントで、最適生産体制による同事業での勝ち残りを図る。

対策:

鹿島工場  2016年12月末 閉鎖
  TDI(年産117千トン) 停止
  無水マレイン酸(32千トン)、フマル酸(151千トン) 停止、事業終了
  特殊イソシアネート群(2400トン) 大牟田工場に生産移管

付記
5月16日、扶桑化学工業が三井の有機酸事業(無水マレイン酸32千トン、フマル酸 151千トン)を承継することで基本合意した。

大牟田工場
  MDI(年産60千トン) 停止  2016年12月末
  特殊イソシアネート群の大型プラント(5000トン)新[email protected]年10月稼動

付記

三井化学は2015年4月、大牟田工場で新規ポリウレタンエラストマーFORTIMO®及びポリイソシアネートSTABiO®)を製造する新プラント(2,000t/年)の起工式を行った。2016年8月に営業運転を開始する予定。

なお、三井化学は2012年2月26日にSABICにTDI及びMDI製造技術をライセンスした。
Al-Jubail地区でのプラント運転開始時期は2016年の予定で、
合弁事業への参画を含めた提携検討で合意 している。

2012/3/2  三井化学、ウレタン事業でSABICとの提携を検討、ウレタン事業を再構築

また、三井化学は2013年8月29日に、非可食植物由来のひまし油を主原料とした「バイオポリオール」の製造会社をインドに設立する合弁会社設立契約を締結した。
インドは世界のひまし油の8割を生産する。

社名:Vithal Castor Polyols Pvt. Ltd.
立地:インド グジャラート州
株主:Jayant Agro-Organics Ltd 50%  世界最大のひまし油メーカー
    三井化学 40%
    伊藤製油 10% 日本におけるひまし油事業のパイオニア
能力:年産 8,000トン
営業運転開始:2015年1月

三井化学グループのポリウレタン材料生産能力は以下の通り。(千トン)
  TDI MDI PPG 備考
大牟田工場   120 60   MDI 2016/12 停止
鹿島工場 (旧 武田薬品) 117     全工場 2016/12 停止
名古屋工場       57  
徳山分工場 (旧 武田薬品)     50  
錦湖三井化学(韓国) (錦湖化学 50%)   200    
千葉ポリオール (日本曹達 10%)     (28) 2012/6 停止

2001年4月に三井化学と武田薬品はウレタン事業を統合し、三井武田ケミカルを設立した。(三井 51%、武田 49%)

設立当初の契約に従い、2006年4月1日に三井化学が武田薬品の持分全株式を取得し、三井化学100%出資の子会社 三井化学ポリウレタンとし、2009年4月に三井化学に統合した。

鹿島工場は武田薬品の工場で、1972年にTDIおよび無水マレイン酸の生産を開始し、その後、フマル酸、XDI、HDIと製品を増やしてきた。

三井化学鹿島工場となったが、今回、全工場が閉鎖される。

ーーー

2)フェノール事業

2011年頃には、同社ではフェノール・チェーンを、グローバルに拡大させる競争優位5事業の1つと位置付けていた。

2011/9/8  三井化学、フェノール・チェーンを強化・拡大

現在、フェノール及びビスフェノールA事業は、中国での新増設ラッシュによる市況悪化のため収益が低迷している。

国内では、国内需要の減少(30万トンの供給過剰)と輸出採算の悪化(中国向けはアンチダンピング課税、高い輸送コストで大幅赤字)により、稼働率が低下しており、設備能力削減による事業再構築が課題となっている。

対策:

出光興産とのJVの千葉フェノール(フェノール 250千トン、アセトン 80千トン) 2014年9月末に停止、解散 
市原工場のビスフェノールA(90千トン) 2014年3月末に停止

 なお、出光のビスフェノールA(70千トン)用の原料フェノールは三井化学が供給

これらにより、国内の需給ギャップは解消され、収益が改善する。

シンガポールのビスフェノールAの1基 70千トンを停止
  石炭系用役に切り替え、徹底的コストダウン、中国向け輸出を停止し全量ASEAN域内で販売


  中国は、2014年5月稼働予定のSinopecとのJV(上海中石化三井化工)によりカバー

三井化学及び出光興産の生産能力は以下の通り。(千トン)
  フェノール アセトン BPA 備考
三井化学 大阪 200 120    
    65 旧 共同ビスフェノール製造
 (三菱化学との50/50JV)
千葉 190 114    
    90 旧 日本GEプラスチック 2014年3月停止
名古屋     (55) 2009年停止
岩国大竹   38   メタパラクレゾール副産
千葉フェノール 出光千葉 250 80   三井55%/出光45% 2014年9月末停止
出光興産     70 千葉フェノール停止で三井からフェノール購入
Mitsui Phenols Singapore 300 180 230 -70 BPA 1基(70千トン)停止
上海中石化三井化工 125 75   既設(旧 上海中石化高橋分公司)
    120 既設(上海中石化三井化工)
250 150   新設 2014年5月稼動予定
(375) (225) (120)  

 参考:上海中石化三井化工

ーーー

3)テレフタル酸

中国での新増設で、2013年以降大幅余剰が継続する(供給過剰 1500万トン)

対策:

インドネシアのJV P. T. Amoco Mitsui PTA Indonesia 持分をBPに売却

立地:西ジャワ州 メラク
株主:BP 50%、三井化学 45%、三井物産 5%  
能力:450千トン
生産開始:1997 

売却2014年3月末三井物産も同時に株式を手放す方針)

 

三井化学のPTA関連生産能力は以下の通り。 (千トン)
  PTA PET 備考
岩国大竹 400 145 PET販売はMCTペットレジン
インドネシア Amoco Mitsui PTA 540   45%出資売却、撤退
Petnesia Resindo   80 三井化学 41.58%、東レ 47.1%
タイ Siam Mitsui PTA 3プラント計
 1,440

 
三井化学 49%、Cementhai Chem 49%
中国向け輸出停止で、1プラント停止中
Thai Pet Resin   100 三井化学 40%、東レ40%、SCG Chemicals 20%

日本及びタイについては、将来、ベトナムのNghi Son 計画からの安価な原料調達を期待。

  
2013/6/11 出光興産と三井化学、ベトナムのNghi Son 製油所・石油化学コンプレックスへの最終投資決定

MCTペットレジンについては、2010/8/10 三井化学と帝人、国内のボトル用PET樹脂事業を統合


三菱化学も2009年2月にテレフタル酸事業の事業構造改革を発表した。
国内生産から撤退、本社機能を海外に移した。

2009/2/24  三菱化学、テレフタル酸事業の事業構造改革


2014/2/11   2013暦年 国際収支状況

財務省は2月10日、2013暦年の国際収支状況(速報)を発表した。

円安により輸入金額が増大し、それに対して輸出数量が伸びなかったことから、貿易収支の赤字幅が拡大、所得収支の黒字幅拡大を相殺し、経常収支の黒字幅は 比較可能な1985年以降で最少となった。

ドル・円相場(インターバンク直物相場・東京市場中心値の年中平均レート)は以下の通り。
             2013年 97.71円/米ドル
       2012年 79.79円/米ドル
       前年比  22.5%の円安

ここでの貿易収支は決済ベース。内容の詳細は、通関ベースを参照。
 
    2014/1/28   2013年の貿易赤字、過去最大11兆円

一方、資本収支では円安による外人投資家の日本企業の株式投資が急増、過去最大の流入超過となった。

 

 1.経常収支  (貿易収支は決済ベース)

  金額 前年比  
貿易・サービス収支 ▲12兆2,349億円 ▲3兆9,308億円 赤字幅拡大
  貿易収支 ▲10兆6,399億円 ▲4兆8,258億円 赤字幅拡大
  輸出 66兆9,694億円 +5兆5,273億円 +9.0%増加
輸入 77兆6,093億円 +10兆3,532億円 +15.4%増加
サービス収支 ▲1兆5,950億円 +8,950億円 赤字幅縮小
所得収支  16兆5,318億円 +2兆2,595億円 黒字幅拡大
経常移転収支 ▲9,908億円 +1,538億円 赤字幅縮小
差引 経常収支 3兆3,061億円 ▲1兆5,176億円 黒字幅縮小▲31.5%

付記  

財務省が5月12日に発表した国際収支統計では、2013年度の経常収支は前年度(4兆2233億円)の81%減の7899億円であった。
貿易収支は10兆8642億円の赤字。
 

 

貿易収支は決済ベース

通関ベース(確報値)
輸出  69兆7,868億円
輸入  81兆2,671億円
貿易収支 ▲11兆4,803億円

サービス収支:「輸送収支」「旅行収支」「その他サービス収支」がともに赤字幅を縮小

所得収支:直接投資に係る配当金・配分済支店収益の受取増加等により直接投資収益が増加
       証券投資に係る債券利子等の受取増加等により証券投資収益も増加
       (昭和60年以降では、既往最大の黒字額)

なお、四半期別には第4四半期は経常収支で初めて赤字となった。
貿易収支の赤字は増加傾向にあり、
市場は2010年代中に日本が経常赤字に転落し、財政赤字と「双子の赤字」を抱えるリスクを警戒し始めていると報じられた。

 

2.資本収支

  2013年 2012年  
資本収支 4兆6,090億円 ▲8兆1,878億円  
うち
日本からの投資      
  対外 直接投資 ▲13兆1,943億円 ▲9兆7,782億円 日本企業による海外子会社の増資引受け等
対外 株式投資 6兆6,197億円 2兆1,351億円 銀行等(信託勘定)が売り越し幅を拡大
対外 中長期債投資 ▲3,136億円 ▲17兆 484億円 銀行部門が売り越しに転じた
海外からの日本への投資      
  対内 直接投資 2,232億円 1,382億円 海外親会社による本邦子会社への出資等
対内 株式投資 17兆 118億円 2兆3,512億円 過去最大の流入超  円安による日本株投資増大
対内 中長期債投資 ▲1兆3,942億円 2兆7,195億円 中長期国債が売り越しに転じた

 

財務省は同日、2013年12月末の国債及び国の借入金の残高を発表した。初めて1000兆円を超えた。


2014/2/12 三菱ガス化学、中国のポリカーボネート生産子会社で減損処理

三菱ガス化学は2月5日、連結子会社で、ポリカーボネート及びポリカーボネートコンパウンドの製造を行う三菱瓦斯化学工程塑料(上海)が118億円の減損損失を計上したと発表した。
中華圏におけるポリカーボネート市況は、供給過剰と需要の停滞により、低迷が続いており、市況回復の遅れにより減損の兆候が認められたため。

三菱瓦斯化学工程塑料(上海)は素材生産からコンパウンド、テクニカルサービスの一貫拠点を構築するもので、2012年6月に商業運転を開始したばかり。

同社は2009年7月に設立された。

社名:菱優工程塑料(上海) その後、現社名に変更
株主:三菱ガス化学 80%
    三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP) 20%
立地:上海市 上海化学工業区
能力:PC 製造設備(界面法)年産80千トン、その後100千トンまで増設予定
    造粒設備 年産 60千トン
    コンパウンド設備 年産 28千トン
テクニカルセンター:
2011 年8 月より先行して運営開始 
販売:三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)

三菱ガス化学は2009年4月よりスタートした新中期経営計画で、PC 事業を“伸びる・勝てる”コア事業のひとつと位置づけ、PC需要の中心である中国にPC の総合拠点を設立し、界[email protected]を積極的に展開することで、「ユーピロン®」ブランドを確固たるものとし、PC 事業の一層の強化・拡充を進めるとしていた。

ーーー

三菱グループでは三菱化学もPC事業を行っている。

三菱化学と三菱ガス化学は1994年3月に両社折半出資で三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)を設立、両社のエンジニアリングプラスチック事業の販売を統合した。

製造についてはそれぞれが行い、新しく設立する海外子会社にはMEPが出資している。
但し、タイのThai PolycarbonateはMEPとして設立している。

中国においては、三菱化学が同じ2009年の5月に北京にSinopecとのJVのPC樹脂と原料BPAを製造するJVを設立しており、いずれもMEPが参加しているものの、グループとして統一した戦略に立っているようには見えない。
三菱化学は後述の通り、欧州でDSMのPC事業を取得している。

両社のPC事業の状況は下記のとおり。(千トン)

    日本 韓国 タイ 中国 備考
三菱化学 黒崎 60        
三養化成 麗川   120     三養社 50%、三菱化学 25%、MEP 25%
中石化三菱化学聚碳酸酯(北京) 北京       60 SINOPEC 50%
投資会[email protected]%(三菱化学:80%、MEP:20%

他に、BPA 150千トン生産      
Thai Polycarbonate バンコック    

140

  MEP 60%、三菱ガス化学 5%、三菱化学 5%、TOAケミカル 30%
三菱ガス化学 鹿島 110       2002/4 70千トン増強
大阪 (25)       2002/9 停止
三菱瓦斯化学工程塑料(上海) 上海       80 三菱ガス化学 80%、MEP 20%

三菱化学は2010年2月、Royal DSMとの間で事業の交換(ポリカーボネート事業の買収及びナイロン事業の売却)で合意したと発表した。

DSM Engineering Plasticsが欧州を中心に展開しているPC事業を欧州三菱化学へ譲渡する。
但し、
DSMPCレジンは製造しておらず、Dowから供給を受けている。

欧州三菱化学は、MEPヨーロッパを総代理店としてPC樹脂を販売する。
欧州三菱化学から
DSM Engineering PlasticsへPC樹脂コンパウンド品の欧州における生産を委託する。

三菱化学はオランダGeleenChemelot Research and Technologyの構内にR&Dセンターを設置する。

  2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意 

三菱化学は2009年5月、植物由来のポリカーボネートの開発及び量産化に向け、黒崎にパイロットプラントを建設することを決定したと発表した。能力 300トン/年。


2014/2/13    米、日本向けLNG輸出 3件目を承認 

米エネルギー省は2月11日、三井物産と三菱商事が輸入契約を締結しているLNG輸出プロジェクト Cameron LNGに対し、Louisiana州 Cameron ParishにあるCameron LNG Terminalからの、米国とFTAを締結していない国に対するLNGの輸出を承認した。(FTAを締結している国への輸出については、既に2012年1月に承認を受けている。)

輸出承認は日量1.7Bcf の天然ガスを20年間となっている。年間ベースでは1200万トンの輸出枠となる。

FTA非締結国向けの輸出については、法律により、公共の利益に反しないことという条件がついている。
今回の承認は5件目で、日本向けとしては大阪ガスと中部電力及び東芝(追加)が契約している
Freeport LNG、住友商事が契約しているDominion Energyに次いで3件目となる。

エネルギー省は今回、輸出申請を慎重に検討し、特に、経済、エネルギー安保、環境への影響を考慮するとともに、LNG輸出に対する賛成、反対のコメント(20万件に及ぶ)を検討した結果、20年間の1.7Bcf/dの輸出は公共の利益に反しないと判断したとしている。

米国の天然ガスの開発が進み、EIAの予想では2014年の生産量は日量 720.2億立法フィートに達するとしている。
(2013年の生産は日量 699.6億立法フィートとしていた。)

LNG輸出に反対しているDow Chemicalは2月11日、以下の内容の声明を発表した。

今回で輸出承認は日量8.0bcfを超え、多くの人が、天然ガス価格が急上昇し米国経済に悪影響を与えるとみている。
エネルギー省は長期的な影響を考慮し、輸出承認手続きを休止するべきだ。

ーーー

三井物産と三菱商事は2013年5月17日、Sempra Energyとの間で、Cameron LNGに関する天然ガス液化加工契約及び合弁会社設立契約(液化事業への参加)を締結したと発表した。 

三菱商事は日本郵船とのJVで参加、他にGDF Suezも参加する。
年間400万トンx 3基の設備の1基ずつを三井、三菱、GDFSが委託することとなる。

2012/4/20 三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ 

付記

 東北電力は三菱商事から30万トン、GDF Suez から27万トン、合計 57万トンを購入する。

 東京ガスは2014年7月、三井物産から年間52万トンを購入する契約を締結した。
 
Dominion Cove Point LNGの住友商事からの140万トンを加え、192万トンとなる。

ーーー

承認を受けた5つの計画の概要は以下の通り。
 
は日本向け

このうち、2番目に承認を受けたFreeport LNG は年間900万トンの承認で、大阪ガスと中部電力が計440万トン、BP Energy が440万トンの契約をしていた。
2013年9月9日、東芝が220万トンの液化加工契約を締結したと報じられた。しかし、この時点では承認枠は既に契約済みで、余地はなかった。

エネルギー省は11月15日、Freeport に対し300万トンの増量を認め、合計1200万トンとなった。

会社名 立地 概要
Cheniere Energy

本事業のため
Blackstoneが出資

Sabine Pass LNG Terminal
(Cameron Parish, LA)
承認:2011/5(FTA締結国向けは 2010/9)
数量:2.2 Bcf/d(年間1600万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   BG Group   550万トン
   Gas Natural (スペイン)   350万トン
   Gail(インド)   350万トン
   Kogas(韓国)   350万トン
   合計    1600万トン

  注. 承認時は韓国はFTA未発効

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題
Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
数量:1.4 Bcf/d(年間900万トン)
   
1.8 Bcf/d (年間1200万トン)(2013/11増量承認)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
   大阪ガス   220万トン
   中部電力   220万トン
   BP Energy   440万トン
   合計     880万トン
    東芝    220万トン
     再計   1100万トン
2013/5/20  米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可
Lake Charles Exports

株主:
Southern Union Company
BG Group
Lake Charles Terminal
(Lake Charles, LA)
承認:2013/8(FTA締結国向けは 2011/7)
数量:2.0 Bcf/d(年間1500万トン)
期間:20年間
輸出契約:
    BG Groupがパートナーのため、当然BGは対象
2013/8/12 米エネルギー省、非FTA締結国向けLNG輸出で3件目の承認
Dominion Energy Dominion Cove Point
  LNG Terminal
(Chesapeake Bay
 in Lusby, Md.)
承認:2013/9(FTA締結国向けは 2011/10)
数量: 0.77Bcf/d 年間525万トン
期間:20年間
液化開始:2017年
輸出契約:
    住友商事  

230万トン

 
     (東京ガス)  

(140万トン)

 
          (関西電力)   ( 80万トン)  
   Gail(インド)   230万トン  
   合計    460万トン  
2013/9/13   米、日本向けLNG輸出 2件目を承認
Cameron LNG

株主:
Sempra Energy 50.2%
三井物産 16.6%
Japan LNG 16.6%
(三菱商事
/日本郵船)
GDF Suez  16.6%

 

Cameron Parish, LA 承認:2014/2/11(FTA締結国向けは2012/1)
数量:1.7 Bcf/d(年間1200万トン)
期間:
20年間
輸出開始:2017年
輸出契約:
   三井物産  

400万トン

 
   三菱商事  

 400万トン

 
   GDF Suez   400万トン  
   合計    1200万トン  
 今回承認

住友商事と東京ガスは2014年2月12日、上記の液化加工,LNG輸出のため、共同事業会社ST Cove Point LLCを設立したと発表した。(住友商事 51%、東京ガス 49%)
LNGは既計画通り、東京ガスが140万トン引取り、住友商事が関西電力に80万トン販売する。

 


2014/2/14  米債務上限上げ法案可決 デフォルト回避確定

米議会上院は2月12日、連邦債務上限を引き上げる法案を賛成多数で可決した。下院では11日に可決済みで、オバマ大統領の署名を経て成立する。

案は、歳出削減などに関する条件を設けずに、債務上限の適用を2015年3月まで凍結するもので、その間は自由に国債を発行できる。
これにより2月末にも懸念されていたデフォルト(債務不履行)は回避された。

下院多数派の野党共和党は、退役軍人に対する年金削減の見直しを前提に上限を引き上げる法案を検討していた。
しかし、もっと厳しい条件を求めるTea Partyなど党内保守派などを抑えられず法案提出を断念し、「無条件の引き上げ」を求める与党民主党と協力して、超党派で法案を通す方針に転換した。

共和党はこれまで、Tea Partyなど党内保守派の主張を入れて厳しい条件抗争を続けてきたが、デフォルトを「人質」に取って譲歩を引き出す強硬姿勢が世論の批判を招いたため、2014年11月の中間選挙を考え、方針を転換した。

ベイナー議長は、自身を含め共和党は法案可決に必要な「最低限の支持票」しか投じないとし、民主党が大半の賛成票を確保する必要があると言明した。

下院の結果は下記の通りで、民主党系からは2名の反対と5名の棄権が出た。共和党からは28名が賛成した。

  賛成 反対 棄権 合計
民主党系 193 2 5 200
共和党 28 199 5 232
合計 221 201 10 432

米議会では党議拘束がなく、多数を押さえていても法案が通せるとは限らない。

日本のような「賛成多数、可決」などはなく、全ての法案への各議員の投票結果が新聞に開示される。
議員が公約に反する投票をすると、次期選挙で負ける恐れがある。

このため、各議員はそれぞれの判断で投票する。
特に共和党内のTea Partyグループは増税には絶対反対であり、Defaultになっても構わないとしている。

上院では共和党保守派のTea Party系の一部議員がフィリバスター(審議妨害)を画策したが、共和党指導部の協力で審議打ち切り動議が可決された。

上院審議打ち切り動議:

  賛成 反対 棄権 合計
民主系 55 0 0 55
共和 12 31 2 45
合計 67 31 2 100

上院にはフィリバスターの制度があり、長時間演説を続けて審議を妨害できる。
これを避けるには、上院の3/5以上(60人以上)による打ち切り決議が必要で、共和党の一部の賛成が必要となる。

上院の採決の結果は以下の通りで、党勢をそのまま表している。

  賛成 反対 棄権 合計
民主系 55     55
共和   43 2 45
合計 55 43 2 100

ーーーーーーーーーー

連邦政府の債務については、 1917年成立の公債法(Second Liberty Bond Act)で上限が定められている。
その後、順次引き上げられている。

最近の動きは以下の通り。

2011/5 14.29兆ドルの上限に達する
 以降、つなぎの資金繰りで対応
 (8月2日までに引き上げないとデフォルトに)
2011/7/31 債務上限を16.4兆ドル引き上げ
 条件として今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を削減(達成できないと自動予算カット)
  2011/8/3  米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避 
2012年末 16.4兆ドルの債務上限に達する
 政府支出の強制削減
+大型減税期限切れ(「財政の崖Fiscal Cliff)」
2012/12/31 「財政の崖」、当面の回避案で合意
     
2013/1/4   米国、「財政の崖」問題を当面回避
2013/2/4 法定上限を暫定的に引き上げる法案成立
 2013年5月18日まで
2013/3/1 政府予算の強制削減措置 発効
2013/3/21 暫定予算案を承認
 850億ドルの歳出強制削減を維持、削減に一定の裁量
    2013/3/25 米議会が暫定予算可決
2013/5 約16兆7000億ドルの債務上限に達する
   
2013/8/29 米国債、再びデフォルト懸念
2013/10/1 予算成立せず、政府機関の一部閉鎖開始
    2013/10/1   米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖
2013/10/16 債務上限を来年2月7日まで引き上げ 、政府の一部閉鎖も解消
    2013/10/17 速報 米国、政府デフォルトを直前に回避 
2013/12/18 2014、2015会計年度(2013/10〜2015/9)の2年分の予算案成立
 
2013/12/18  米国、予算案成立の見込み → 成立
2014/2/7 債務上限  期限到来(約17兆2010億ドル)
 やりくり期限は2月27日
2014/2/12 債務上限の適用を2015年3月まで凍結する法案を可決

米国の政治の混乱の理由は上下両院のねじれにある。

上院議員の定数は、各州2名ずつ、合計100名で、任期は6年、2年ごとに約3分の1ずつ改選となる。
下院議員の定数は435で、10年に一度、国勢調査の人口比率で各州に配分する。任期は2年。

最近の状況は以下の通り。(当選時)

  上院   下院  
民主系  共和系  民主系 共和系
Bush
 第一期
'00/11 50 50 214 221 上院均等、下院与党
'02/11 49 51 206 229 上下院 与党
Bush
 第二期
'04/11 45 55 203 232
'06/11 51 49 233 202 上下院 野党(イラク戦争への批判など)
 
Obama
 第一期
'08/11 59 41   257 178 上下院 与党 2010/3 医療保険改革法案 成立
'10/11 54 46 196 239 上下院ねじれ
Obama
 第二期
'12/11 55 45 202 233
'14/1現在 55 45 200 232
'14/11          

Obama政権では、当初は与党民主党が上下院を押さえており、2010年3月には医療保険改革法案を成立させた。

しかし、2010年11月の中間選挙では下院で共和党が勝ち、上下院のねじれが発生した。

これまでも「ねじれ」はあったが、妥協が成立しており、今回のように混乱が継続することはあまりなかった。

Bob Woodwardの近著 The Price of Politics によれば、Obamaは大統領就任直後、共和党首脳に対し、話し合いで決めていきたいと述べた。
しかし、実際は民主党が上下院を押さえていることから、全て押し切った。

政権の初期、2009年から2010年まで大統領首席補佐官を務め たRahm Emanuel の口癖は、"We have the votes. Fuck 'em" (こっちが多数だ。やっちまえ!)であった。

中間選挙で下院を共和党が押さえると、状況は一転した。予算が通らず、政府機関が一時閉鎖されたのも、数度にわたりデフォルト寸前までいったのも、 当初の民主党のやり方に対する反発の影響が大きい。また、共和党内で Tea Party系の議員が急増し、増税絶対反対の強硬姿勢を取ったことも影響している。(Tea Party系の議員は「Defaultが問題だとは思わない」と公言している。)

共和党の上院院内総務 Mitch McConnell は「我々のやりたい最重要事はObama大統領を一期限りの大統領にすることだ」と述べた。
(「大統領が妥協するなら協力する。大統領が失敗するのを望んでいるのではなく、変わって欲しいのだ」と付け加えている。)

共和党は福祉予算を初めとする支出のカットと金持ち増税反対を終始、主張し続けている。
特に共和党内のTea Partyグループは増税には絶対反対であり、Defaultになっても構わないとし、強硬姿勢を貫いている。

Bush減税は当初、2010年末に期限切れとなったが、Obama大統領は11月の中間選挙の敗北を受け、公約に反し、「2年限り」として減税継続を認めた。

2012年末の「財政の崖」危機では、大統領が、
年収40万ドル超(夫婦合算申告では45万ドル超)の個人の所得税減税措置の打ち切りを勝ち取ったが、共和党は次は民主党が降りる番であるとして、強硬姿勢を続けている。

今回、下院多数派の野党共和党首脳は、2014年11月の中間選挙のことを考え、方針を転換した。


2014/2/15 カネカ、マレーシアでカネカロン製造 

カネカは2月10日、マレーシアのパハン州ゲベン工業団地にある100%子会社 Kaneka (Malaysia) Sdn. Bhd の敷地内にアクリル系繊維(カネカロン®)の製造設備を新設すると発表した。

建設費は約90億円で、能力は年産12千トン、2015年10月の稼動を予定している。

カネカロンはカネカ(当時は鐘淵化学工業)が1957年に事業化した国産技術による合成繊維の代表的素材で、アクリロニトリル 50%と塩化ビニルモノマー(VCM) 50%を共重合し、溶剤で溶かして紡糸する。

カネカは高砂工業所に年産61千トンの工場を持っており、合計能力は73千トンとなる。

製品は全量、黒人の女性の間で必需品として使用される頭髪用の付け毛(エクステンション)用にアフリカ向けに販売する。

サブサハラ(サハラ砂漠より南の地域)は今後も着実な人口増加が見込まれ、2040年には中国、インドを抜いて世界一の人口を擁する地域になると推定され
ており、旺盛な需要の増加が見込まれる。

エコファーを中心としたパイル分野及び防護服やインテリア商品に使われる難燃分野などについては引き続き日本からの供給を拡大していく。

カネカはマレーシアに多くの工場を持ち、経営リソースが集約されていることに加えて、原料を安定的に調達できるメリットがあり、さらに、世界的なハブ港であるシンガポールに隣接していてアフリカへの輸出も容易であるなど利点が多いことから、同国を新工場の建設地に選んだ。

なお、カネカは国連WFP(World Food Programme)の『飢餓と貧困を撲滅する』という使命に賛同し、その活動を支援するため、WFPコーポレートプログラムへ参加している。
アフリカでの売り上げの一部を国連WFPに寄付し、学校給食プログラムを通じてアフリカの女性と子供たちをサポートする。

ーーー

鐘淵化学工業は1949年に鐘紡の非繊維部門が独立して出来たが、鐘紡のVCM、PVC試験設備を引き継ぎ、1950年に大阪でVCM、PVCの生産を開始した。

このVCMの利用のため、1957年にカネカロンを事業化した。VCMが50%のため、アクリルが主体であるアクリル繊維とは区別され、モダアクリル繊維と呼ばれる。

重合速度が大きく異なるVCMとアクリロニトリルモノマーの共重合のため、技術的にも生産的にも難しく、繊維としての品質的にも、紡績性が悪いこと、染色性に劣っていること、耐熱温度が低いことなどの劣性がある。

カネカはVCMの新しい用途の一つとしてこれを開発したが、明確な用途を想定して事業化したのでなかったため、最初からつまずいた。

その後、カネカロンを含むアクリル繊維は一時、ウィッグのブームで巨大な利益を得たが、ブームの終焉で価格が急落、各社は撤退した。
しかし、カネカは撤退がVCMの大幅減産につながるため、撤退せず、再建する道を選んだ。

カネカは顧客のニーズを把握して、ウイッグに加え、頭髪用の付け毛用を開発した。

現在、頭髪装飾用では、他の製品も開発している。

カネカロン Kanekalon
塩ビ繊維 Advantage
難燃ポリエステル繊維 Futura
コラーゲン蛋白繊維 ULTIMA

マレーシアの100%出資子会社のKaneka Innovative Fibersでは頭髪装飾製品用難燃ポリエステル繊維を生産している。
これは主として米国市場で高い評価を受けている。

更に、人毛・獣毛のようなタッチを利用したエコファー(fake fur) を中心としたパイル分野や、燃えにくい特性(火源がなくなると自己消火)を生かしたカーテン用、防護服用素材などの分野に進出した。

カネカロンの開発については、阪大Knowledge Archive「コア・コンピタンスに基づく市場の特定 : 合成繊維カネカロン事業の再建」という論文がある。
  http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/17130/1/oep057_1_043.pdf

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カネカはマレーシアのパハン州ゲベン工業団地に以下の100%出資子会社を持つ。

社名 設立 製品 能力 備考
Kaneka (Malaysia) 1995 MBS樹脂「カネエースB」等 30千トン 日米欧を合わせ、4拠点合計203千トン
カネカロン(今回) 12千トン 日本と合わせ、73千トン
Kaneka Electec 1995 グネットワイヤー   2009年10月閉鎖
Kaneka Eperan 1996 発泡ポリオレフィン樹脂
「エペラン」「エペランPP」
3.6千トン  
Kaneka Paste Polymers 1999 ペーストPVC 60千トン  
Kaneka Innovative Fibers 2010 難燃ポリエステル繊維
 Futura
  頭髪装飾製品用(主に米国市場向け)
Kaneka Apical Malaysia 2012 ポリイミドフィルム   600トン 日・米を合わせ、合計 3,200トン
グラファイトシート    

 


 

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