韓国 カナダとFTA交渉妥結=車など関税撤廃へ

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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2006-5-1

2014/3/17  日本の貿易収支の分析 

2013年の貿易赤字(速報、通関ベース)は過去最大の11兆円となった。

  輸出 輸入 差引
2010 67兆3996億円 60兆7650億円 6兆6347億円
2011 65兆5465億円 68兆1112億円 -2兆5647億円
2012 63兆7476億円 70兆6886億円 -6兆9411億円
2013 69兆7877億円 81兆2622億円 -11兆4745億円

2014/1/28   2013年の貿易赤字、過去最大11兆円 

円安の影響が大きいが、全ての輸出入に円安が響く訳ではない。

税関ホームページでは、半年ごとに「貿易取引通貨別比率」を発表している。
   http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/tuuka.htm

これによると、2013年下期の日本の輸出入の通貨別比率は下記の通りである。

  米ドル ユーロ 豪ドル その他
輸出 53.4% 35.6% 6.1% 1.2% 0.6% 3.1%
輸入 74.1% 20.6% 3.5% 0.4% 0.3% 1.0%

輸出については全体の35.6%が円建てだが、輸入は20.6%しかない。

仮に、輸出と輸入が同額であっても、輸入の方が外貨建てが多いため、円安の場合は貿易赤字となる。
輸出停滞・輸入増であればこの影響は更に拡大する。

日本の輸出入の円建・外貨建別の推移は下記の通りとなる。(半年ごとの通貨別比率で計算)


平均レートは2012年が79.55円/ドルで、2013年が96.91円/ドルである。

2013年の外貨建分を2012年のレートに置きなおすと、下記の通りとなる。
(ドル建以外のものも、ドル建と比例するとみなして計算した。)

                                      単位:兆円
  2012 2013 実増減 レート差
以外
レート差
実額 '12レート
輸出  63.7 69.8 61.7 6.0 -2.0 8.0
輸入  70.7 81.3 69.7 10.5 -1.0 11.5
差引収支 -6.9 -11.5 -7.9 -4.5 -1.0 -3.5

2012年レートで計算すると、2013年の輸出は前年比で2兆円の減、輸入は1兆円の減となった。

為替レート差は、輸出は外貨建ては64.4%のため8兆円に過ぎないが、輸入は外貨建てが79.4%あるため11.5兆円に上り、差引3.5兆円となる。

即ち、円安になったが、実輸出は増えず、レート差を除くと輸出は輸入の倍額の減少となっており、レート差は輸入の方に大きく響くため、貿易収支は4.5兆円もの赤字増となった。
2013年だけ取ると、円安の効果は全く出ていない。

2014年1月の経常収支統計では前月比で貿易収支赤字は倍増している。
 

輸出のうち円建が35%もあるため、今後も、輸出がかなり大幅に増えないと、円安のメリットを享受できず、逆に、貿易収支の赤字が拡大し、経常収支が赤字化する恐れが強い。


2014/3/18 韓国とカナダ、FTA交渉妥結

韓国とカナダは3月11日、ソウルで通商閣僚会談を行い、両国間の自由貿易協定(FTA)交渉を妥結させた。
両国での手続きが順調に進めば、来年中に発効する。

付記 2015年1月1日 発効

アジア諸国でカナダとFTAを妥結したのは韓国が初めてで、韓国がFTAを締結したのは、これで12カ国・地域となる。

両国は2005年7月からFTA交渉を進めてきたが、2003年にカナダでBSEが発生すると韓国はカナダ産牛肉の輸入を全面禁止した。
このため、2009年にカナダが牛肉市場の開放を求めて韓国をWTOに提訴し、交渉が約5年間中断していた。
韓国は2012年1月に、9年間にわたる牛肉禁輸措置を解除した。

カナダ国際貿易省によると、韓国向け輸出は2012年に37億カナダドル(34億米ドル)で、韓国からの輸入は64億カナダドルだった。
カナダは、FTA締結によって輸出が年間32%増加すると見込んでおり、韓国は輸出が20%増加するとしている。

韓国側は、FTA締結は安定的な資源確保にも寄与するとの見通しを示した。

両国は協定発効後、10年以内に大多数の品目の関税を段階的に撤廃することにした。

このFTAで主に恩恵を受けるのは韓国の自動車メーカーカナダの肉牛農家である。

カナダは乗用車の輸入関税(現行 6.1%)を協定発効から引き下げ、2年後には完全撤廃する。
乗用車は昨年の韓国の対カナダ輸出で最も多い42.8%(22億3千万ドル)を占めている。

自動車部品(関税率6%)、冷蔵庫・洗濯機(6〜8%)などの家電製品は発効と同時か、または3年以内に関税を撤廃する。

カナダに進出している日本の自動車メーカーは当初、韓国とのFTAに反対を表明していたが、その後、カナダと日本のFTAにつながる可能性もあるとして態度を軟化させたと報じられている。

韓国はコメや粉ミルク、チーズなど211品目を関税撤廃の対象から除外するが、牛肉(40%)は15年以内、豚肉(22.5〜25%)は5〜13年以内に関税を撤廃する。

2013年12月に交渉が妥結した韓豪FTA交渉でも、韓国はコメ、粉乳、果実(リンゴ、梨、柿など)、大豆、ばれいしょ、水産物(カキ、明太子など)など171品目 (1.4%分)は関税免除から除外したが、牛肉などの492品目は10年以上かけて撤廃する。
 

両国は、北朝鮮の開城工業団地で韓国企業が生産する製品を韓国産として認めるかどうかを話し合う委員会も設置することにした。

ーーー

日本もカナダとの間で日加経済連携協定(EPA)交渉を行っている。

2012年3月の日加首脳会談で交渉開始で一致し、同年11月から2013年11月まで4回の交渉を行っている。

対加貿易(2012年、財務省貿易統計):
 
  貿易額 主要品目
日本による輸出     8189億円 輸送用機器、一般機械、電気機器
日本による輸入  1兆 125億円 鉱物性燃料、農産品、林産品

ーーー

韓国は米国、EU、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド)、ASEAN10ヵ国、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結しており、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称している。

日本はFTA締結国の数では韓国より多いが、米国、カナダ、EU、豪州と締結できていない。

  韓国 (12) 日本 (13) TPP参加国
(日本含め12)
ASEAN 物品貿易 2007年6月1日発効
サービス貿易 2009年5月1日発効
投資分野2009年9月1日発効
2008年12月から順次発効  
  シンガポール 2006年3月2日発効 2002年11月発効
マレーシア 個別には発効していないが、ASEANとして既に発効済み 2006年7月発効
タイ 2007年11月発効  
インドネシア 2008年7月発効  
ブルネイ 2008年7月発効
フィリッピン 2008年12月発効  
ベトナム 2009年10月発効
インド  2010年1月1日発効 2011年8月発効  
オーストラリア 2013/12 実質合意  ---
ニュージーランド  ---  ---
トルコ 2013年5月1日発効  ---  
米国 2012年3月15日発効  ---
カナダ 2014年3月11日妥結  ---
メキシコ  --- 2005年4月発効
チリ 2004年4月1日発効 2007年9月発効
ペルー 2011年8月1日発効 2012年3月発効
コロンビア 2013年2月21日 正式署名  ---  
EFTA 2006年9月1日発効  ---  
  スイス (EFTAとして締結) 2009年9月発効  
EU 2011年7月1日暫定発効  ---  
 

ーーー

韓米自由貿易協定が2012年3月15日に発効し、2年経った。

韓国貿易協会と産業通商資源部によると、韓国の輸出全体は2012年が1.3%減、2013年が2.1%増にとどまったのに対し、FTAが発効した2012年の対米輸出は585億3000万ドルと前年比4.1%増加、2013年は620億5000万ドルと6.0%拡大した。

このうち自動車部品をはじめとする輸送機械は年平均17.0%増、化学製品は13.1%増、石油製品は10.4%増であった。

米国からの輸入は、関税が8%から4%に引き下げられた米国製自動車の輸入は年平均49.9%増加した。自動車輸入増では日本メーカーが韓国向け輸出の一部を日本製から米国工場からの供給に切り替えた影響 (日本のFTAへの対応の遅れの表れ)が出ている。

また、チェリーやアーモンド、ワインなどの農産物や加工食品も3〜4割増となったが、全体では2012年が2.8%減、2013年が4.2%減であった。
 

FTA発効後の2年間、米国の対韓投資は80億4000万ドルで、発効前の2年間に比べ82.5%増加した。


2014/3/19 日軽金、日本唯一のアルミ精錬工場を停止 

日本軽金属は3月14日、静岡市清水区の蒲原製造所におけるアルミニウム電解事業を、本年3月31日をもって終了すると発表した。

同社のアルミは平均純度99.95%と、一般の地金(純度99.7%程度)よりも純度が高く、主に電機・電子分野向け高純度製品の材料として使用されているが、老朽化が著しく、事業継続には多額の投資が必要なため、停止する。
同工場は稼動後50年以上が経過しており、更新には30億円超が必要とされる。

蒲原工場は1940年に年産 9千トンでスタートした。

日本のアルミ精錬は1978年時点では164万体制で、日軽金も新潟、苫小牧を加えて合計能力377千トンであったが、石油危機による電力料の急騰で苦境に陥り、110万体制、70万体制、35万体制と順次縮小し、その後の円高 (安価な輸入品の流入)、関税引き下げを受け、他社は1987年を最後に全て停止した。

日軽金も1980年12月に新潟、1985年4月に苫小牧を停止したが、水力発電所をもつ蒲原工場のみ35千トンに規模を縮小し、生産を続けた。
その後、1995年に20千トン、1999年に11千トンに能力を落とし、現在能力は7,000トンとなっている。

2012年度の生産実績は4,141トンで、2013年度は2,600トンの予想。

日軽金蒲原工場は富士川の中・下流域にわたって6ヶ所、合計142,500KWの自家用水力発電所を持つ。

 

アルミ精錬には1トン当たり13,000〜14,000kWhの電力が必要なため、「電気の缶詰」と呼ばれる。

参考 日本メーカーは赤泥処理の問題から国内でのアルミナ生産からも撤退した。
       
2008/3/8 アルミナメーカー、ボーキサイトの国内精製から撤退へ
    
    日軽金は現在も清水工場で
水酸化アルミニウムとアルミナを生産している。
    (同社はベトナムの新工場に水酸化アルミニウムの生産拠点を移転することを計画したが、取り止めた。)

ーーー

日本のアルミニウム製錬各社の設備能力推移(単位:t)     

 

164万t体制
 1978/4

110万t体制
 1979/4

70万t体制
 1982/4

35万t体制
 1986/4

 
 1988/4


 現状

全面停
止時期

住友
アルミニウム
製錬

磯浦

78,980

78,980

1982/3

名古屋

52,796

1979/3

富山

177,681

118,454

82,917

82,917

1986/10

東予

98,712

98,712

98,712

1984/12

408,169

296,146

181,629

82,917

 

日本軽金属

蒲原

94,960

63,854

63,854

63,854

  34,691

  7,000

2014/3

新潟

147,663

20,717

1980/12

苫小牧

134,413

134,413

72,365

1985/4

377,036

218,984

136,219

63,854

34,691

7,000

 

昭和軽金属

千葉

170,290

127,508

57,945

31,690

1986/3

喜多方

28,716

16,922

16,922

1982/9

大町

42,803

17,931

1982/6

241,809

162,361

74,867

31,690

 

三菱軽金属

直江津

160,164

160,164

1981/10

坂出

192,481

76,427

76,427

50,952

1987/2

352,645

236,591

76,427

50,952

 

三井
アルミニウム

三池

163,827

144,366

144,366

124,906

1987/3

住軽
アルミニウム

酒田

98,712

98,712

98,712

1982/5

合計

1,642,198

1,157,160

712,220

354,319

34,691

7,000

 

石油危機により深刻の度を深めるアルミニウム産業について、1977年と78年に産構審が答申を行った。

@最小の国民経済的コスト A供給ソースとしての必要かつ十分性 B国際競争力の回復の可能性の基準に基づき、中長期的、総合的に判断した製錬設備の「適正規模」の考え方が取り入れられ、それを超える設備の処理が提言されるようになった。

  1977年11月中間答申で125万トン体制、1978年10月答申で110万トン体制とした。 

1982年3月に特定不況産業安定臨時措置法(特安法)による第二次安定基本計画が告示され、処理対象設備能力を53万トンから93万トン(当初能力の57%)に拡大した。また、電力源の石炭転換への推進、新製錬法の技術開発などが基本計画に追加された。
これにより製錬業界は年産能力70万トン体制に入ることになった。
(1983年の産構法の制定で構造改善基本計画としてほぼ追認、告示された。)

1984年12月、産構審非鉄金属部会は、今後のアルミニウム産業およびその施策のあり方について答申を行った。

答申では、世界の生産能力は適正水準で推移し、中長期的には世界の製錬コストからみて適正な水準に回復するとしており、1988年までに高コスト設備の処理により、国内製錬能カを今後存続可能な年35万トン程度に削減するというものである。
これに基づき、1985年2月に「構造改善基本計画」が告示され、年産能力35万トン体制に入った。
政府は国内精錬設備の円滑な処理を図るため、産構法に基づく処理量を限度に、精錬業者の輸入する地金の関税を軽減する制度を導入した。

しかし、世界的なアルミニウム地金の構造的な供給過剰傾向、1985年秋以来の円高の一層の進行により、国内地金市況は低下し、長期的低迷から回復のめどが立たない状況となった。
さらに日米通商交渉の結果、地金の輸入関税(9%)が1988年から米国並みの1%と決定され、各社は撤退を決定した。


2014/3/20  日本化学会、第5回化学遺産認定 

日本化学会は、平成21年度から化学関連の学術あるいは化学技術遺産の中で特に歴史的に高い価値を有する貴重な史料を認定する『化学遺産認定制度』を開始し、これまでの 4回で 22件を認定・顕彰している.

今回、第5回化学遺産認定として次の6件を認定した。

(1)「日本の近代化学の礎を築いた櫻井錠二に関する資料(石川県立歴史博物館など)」

ロンドン大学に留学、1881年に日本に帰国し、東京大学理学部講師になり、翌年には教授に昇進した。
日本の化学研究、学術研究体制の基盤を築き上げた。
理化学研究所(初代の副所長)や日本学術振興会の創設にかかわる。

(2)「エフェドリンの発見および女子教育に貢献のあった長井長義関連資料(大日本住友製薬など)」

ベルリン大学に留学、帰国後、政府の要請で大日本製薬会社の製薬長に就任、機械の設置から薬の製造までを担当し、国産の製薬事業をスタートさせた。

併せて、東京大学教授として化学・薬学を指導し、麻黄の薬効成分を単離・構造決定し、エフェドリンと命名した。 (ぜんそく治療薬)

当時、輸入薬品が主流で、製薬の国産化事業は進展しなかった。

このため政府の援助を得て1883年に半官半民の大日本製薬会社が設立された。

他方、大阪では大阪薬種卸仲買商組合の有力者を発起人として1888年に大阪薬品試験会社が設立された。
1897年には大阪に近代的な製薬所を設立し、純良医薬品を提供するため、
武田、塩野義、田辺の道修町御三家などが出資して、大阪製薬株式会社が設立された。

大阪製薬は1899年に、経営難に陥っていた大日本製薬を吸収合併して「大日本製薬」となった。
1908年には大阪薬品試験を吸収合併した。

2005年10月1日、大日本製薬と住友製薬が合併し、大日本住友製薬となった。 

長井は「日本においても女子教育が必須である」という信念で妻のテレーゼ(ドイツ人)とともに、女子教育に力を入れた。

付記 

、大日本住友製薬は大阪本社ビル内に、くすりの町・道修町と大日本住友製薬のあゆみに関する資料展示スペースを開設した。
海老江製薬所の再現模型や、医薬品製造に使用していた蒸留缶・濾過器(化学遺産認定) などを展示している。

(3)「旧第五高等学校化学実験場および旧第四高等学校物理化学教室(熊本大学など)」

熊本の旧第五高等学校の化学実験場は1889年に建設され、戦後、熊本大学に継承された。
金沢の第四高等学校物理化学教室は1890年に建設され、戦後、金沢大学に継承された。

(4)「化学技術者の先駆け宇都宮三郎資料(早稲田大学)」

幕末に舎密開宗を独習するなどして化学の腕を磨き、蕃所調所精錬方で技術の向上と後進の指導に努めた。
第二回認定(第8号)の川本幸民が初めて使った
「化学」という語を導入し、蕃所調所精錬方を化学所と改称した。

(5)「日本のプラスチック産業の発展を支えたIsoma射出成形機および金型(旭化成ケミカルズなど)」

1933年にドイツのFranz Braun社が開発した画期的な機械駆動式横型射出成形機。
日本には1937年に旧式射出成形機が初めて輸入され、翌年にはそれをモデルにした手動式機会が初めて国産化された。

川崎市川崎区が戦前・戦中の産業文化財として展示している。

付記
積水化学工業は、同社が保有する日本現存最古の射出成形金型「Isoma金型」が、旭化成ケミカルズが保有する「Isoma射出成形機」とともに「化学遺産」に認定されたと発表した。

「クシ」と「ウイスキーコップ」成形用の2つの金型でドイツ製。
積水化学の前身である日本窒素肥料が1943年に射出成形機とともに現地企業から購入し、ドイツの潜水艦で運ばれた。
2つの金型は1947年、積水化学がプラスチック加工メーカーとして創業した際、日本窒素から提供された。
 

(6)「日本初のアルミニウム生産の工業化に関わる資料(昭和電工)」

昭和電工創設者の森矗昶は、長野県大町の水力発電による電気を使って、電解精錬によるアルミニウムの生産に挑戦し、1934年に日本初の国産アルミニウムの工業的生産に成功した。

なお、原料のアルミナは1933年に横浜(現 昭電横浜事業所)で明礬石を原料として生産を開始した。

付記
認定対象は同社の「国産アルミニウム一号塊」、「明礬石」、「アルミニウム製花瓶」、「大町工場建設日誌」、「常盤発電所配電盤」および「積算電力計」。

  国産アルミニウム一号塊

ーーー

過去に認定された化学遺産は下記の通り。

2010/3/18
 
  化学遺産認定
第1号  杏雨書屋蔵 宇田川榕菴化学関係資料
第2号  上中啓三 アドレナリン実験ノート
第3号  具留多味酸(グルタミン酸) 試料
第4号  ルブラン法炭酸ソーダ製造装置塩酸吸収塔
第5号  ビスコース法レーヨン工業の発祥を示す資料
第6号  カザレー式アンモニア合成装置および関連資料
2011/3/17 
   
化学遺産、第二回認定
第7号   日本最初の化学講義録 朋百舎密書(ポンペせいみしょ)
第8号   「化学新書」など日本学士院蔵 川本幸民化学関係資料
第9号   「日本のセルロイド工業の発祥を示す建物および資料」
第10号  日本の板硝子(ガラス)工業の発祥を示す資料
2012/3/17 
    化学遺産、第三回認定
第11号  眞島利行ウルシオール研究関連資料
第12号  田丸節郎資料(写真および書簡類)
第13号  鈴木梅太郎ビタミンB1発見関係資料
第14号  日本の合成染料工業発祥に関するベンゼン精製装置
第15号  日本初期の塩化ビニル樹脂成形加工品
第16号  日本のビニロン工業の発祥を示す資料
第17号  日本のセメント産業の発祥を示す資料
2013/3/21 
    化学遺産、第四回認定
第18号  小川正孝のニッポニウム発見:明治日本の化学の曙
第19号  女性化学者のさきがけ、黒田チカの天然色素研究関連資料
第20号  フィッシャー・トロプシュ法による人造石油に関わる資料
第21号  国産技術によるアンモニア合成(東工試法)の開発とその企業化に関する資料
第22号  日本における塩素酸カリウム電解工業の発祥を示す資料

ーーー

日本化学会は認定内容を、第8回 化学遺産市民公開講座〜日本の化学教育・産業の基盤作り〜 で具体的に紹第号介する。

日時 3月29日 (土) 13時 30分 〜 17時15分 第号
会場 名古屋大学 東山キャンパス 法経本館共用
第号館1階第2講義室

  (3月27日から30日まで、同キャンパスで日本化学会第94春季年会が開催されている。)

http://www.chemistry.or.jp/event/calendar/2014/02/8-52.html


2014/3/21 LG化学、逆浸透膜事業に進出 

LG化学は、米国の逆浸透(RO)膜メーカーのNanoH2Oを2億ドルで買収することを決めた。4月末までに契約完了を目指す。

付記 2014年4月30日に買収が完了、9月1日に LG NanoH2O Inc. に改称した。

NanoH2Oは2005年設立の海水淡水化に特化したRO膜メーカーで、University of California, Los Angeles (UCLA) からTFN(Thin Film Nanocomposite)膜技術の独占実施権を受けてテストを続け、2009年12月に工場を建設した。

投資家には、
Khosla Ventures、Oak Investment Partners、BASF Venture Capital GmbH、Total Energy Ventures International、中国向けファンドのKeytone Venturesなどが含まれる。

カリフォルニア州El Segundoに本社、工場、R&Dセンターを持つ。

同社のTFN膜QuantumFlux は34カ国100箇所で、日量25万m3の水を生産している。

同社は2013年10月に上海の西方250kmの揚子江デルタにある栗陽市に第二工場を建設すると発表した。45百万ドルの投資で2014年末稼動を目指す。

2013年11月に、同社はサウジで海水淡水化事業を 2件受注した。
一つは
Al Fatah Water and Power International からの受注で、Jubail の海水淡水化工場の第二期で日量13千m3の水を生産するもの。
第二はAES Arabia の設計によるKing Abdullah University of Science and Technology (“KAUST”) Research Parkの淡水化設備で、日量15千m3の水を生産するもの。

ーーー

LG電子は2012年2月、日立プラントテクノロジーとの水事業に関するJVのLG-Hitachi Water Solutions を設立した。

出資比率はLG電子が51%、日立プラントテクノロジーが49%で、主に韓国における各種工場の排水処理設備や上水・下水処理施設向けの機器の製造・販売をはじめ、システムの設計・調達・建設、施設の運転・維持管理、および水処理技術の研究開発を行う。

将来的には、第三国における水事業に参画していくことも検討するとしている。

 

2014/3/22  公取委、自動車運送の船舶運航事業者に課徴金納付命令 

公取委は3月18日、自動車運送業務を行う船舶運航事業者に対し、独禁法違反行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

各社は遅くとも2008年1月以降、日本から北米、欧州などに新車を運ぶ4航路で、値上げ幅などを事前に話し合い、航路ごとに同じ会社が継続受注できるようにし、価格維持を図ったという。

日本と海外を結ぶ航路では、運賃表を国土交通省に届け出るなどすれば独禁法適用を例外的に除外すると定められている。
適用除外カルテルではベースレートが全ての荷主に対して一律に適用されるが、今回は荷主ごとに相対の交渉により運賃を取り決めており、当てはまらないと判断した。

商船三井は違反を事前に自主申告したため、課徴金減免制度の適用を受けた。

  北米航路 欧州航路 中近東 大洋州 課徴金
(千円)
日本郵船  ○     
4,022,420 《30%》  
○      
3,876,500《30%》
○  3,549,190
《30%》
○ 
1,652,960
《30%》

13,101,070
川崎汽船
1,918,910
《30%》

1,561,430
《30%》

1,155,090
《30%》

1,062,960
《30%》

5,698,390
Wallenius Wilhelmsen Logistics
(
ノルウェー)

54,350

3,441,360
   
3,495,710
日産専用船  
423,310
《30%》
   
423,310
商船三井
《100%》

《100%》
《100%》
《100%》
合計 5,995,680 9,302,600 4,704,280 2,715,920 22,718,480
《 》は減免率
日産専用船は商船三井、日産自動車、ノルウェーのHoegh AutolinersのJV

このカルテルを巡っては米司法当局や欧州連合も調査している。

課徴金の総額は227億1848万円で、これまでで第二位、日本郵船の131億107万円は1社として過去最高となる。

付記

米司法省は2014年9月26日、川崎汽船が roll-on, roll-off cargo の海上輸送のカルテルを認め、67.7百万ドルの罰金支払いに同意したと発表した。

2014年12月29日、日本郵船がカルテルを認め、59.4百万ドルの罰金支払いに同意した。

このほか、2014年2月にチリのCompañía Sud Americana de Vapores S.A.が8.9百万ドルの罰金を払っている。

ーーー

(合計額 過去最高)

公取委は2010年11月、全国の自治体が発注するごみ焼却炉工事を巡る入札談合で、総額269億9789万円の課徴金納付を命じる審決を出した。
各社が2007年3月の公取委による同命令を不服として、審判で争っていた。

東京高裁は請求を棄却、最高裁第3小法廷は2009年10月6日、5社の上告を退ける決定をした。

 

課徴金(千円)

三菱重工業 6,496,130
JFEエンジニアリング 5,732,510
川崎重工業 5,165,580
日立造船 4,901,020
タクマ 4,702,650
合計 26,997,890

ーーー 

(1社での過去最高)

公取委は1月19日、トヨタ自動車等の自動車メーカーが発注する自動車用ワイヤーハーネス及び同関連製品の見積り合わせの参加業者らに対し、排除措置命令と課徴金納付命令を行った。

  排除
命令
課徴金額 (千円)   《 》は減免率
トヨタ
    向け
ダイハツ
     向け
ホンダ
    向け
日産
   向け
富士重工
    向け
合計
矢崎総業 5 4,979,950
《30
%
872,150
《30
%
2,763,500
《30
%
440,030
《30
%
551,500
《30
%
9,607,130
 
住友電気工業 738,610
《50
%
482,950
《50
%
880,660
《50
%
0
《100
%
2,102,220
 
フジクラ 1件 1,182,320
《30
%
1,182,320
 
古河電気工業 0
《100
%
0
《100
%
0
《100
%
0
《100
%
0
 
合計 12,891,670

2012/1/28  公取委、自動車用ワイヤーハーネスのカルテルで課徴金 

 


2014/3/22 EU、ベアリングカルテルで制裁金

EUの欧州委員会は3月19日、自動車向けのベアリングで、日本企業4社と欧州企業2社の計6社が2004年から7年以上にわたって欧州内でカルテル行為を実施したとして、うち5社に9億5300万ユーロの制裁金を科したと発表した。

日本のジェイテクトはカルテルの存在を通知したため、制裁金 86,037,000ユーロを免除された。

 

Leniency

示談制度割引

制裁金 (€)

ジェイテクト 100% 10% 0
日本精工 40% 10% 62,406,000
不二越  30% 10% 3,956,000

SKF (Sweden)

20%

10%

315,109,000

Schaeffler (Germany)

20%

10%

370,481,000

NTN

 

10%

201,354,000

Total

   

953,306,000

ジェイテクトは2006年1月に光洋精工と豊田工機が合併
NTNは旧東洋ベアリング

本件は、米国などで摘発が続いている自動車部品カルテルの一部。

欧州委員会は既にワイヤーハーネスとマットレス・カーシートの2件を摘発しているが、他にも調査を進めている。

1)ワイヤーハーネス (2013/7/10発表)

  制裁金(€)
矢崎総業 125,341,000
古河電気工業 4,015,000
住友電気工業 0
S-Y Systems Technologies
(矢崎総業)
11,057,000
Leoni (ドイツ) 1,378,000
合計 141,791,000
 住友電工はカルテルの存在を通知し、制裁金 291,638,000ユーロを免除された。
    古河、矢崎、SYS、Leoni は協力割合に応じ、20〜50%の減免を受けた。
 また各社は示談にすることで10%の減免を受けた。

2)自動車用マットレス、シート(2014/1/29発表)

 

Leniency

示談制度割引

制裁金 (€)

Vita

100%

10%

0

Carpenter

 

10%

75,009,000

Recticel (自社分)

50%

10%

7,442,000

Eurofoam(Recital/Greiner JV)
- Eurofoam, Recticel and Greiner
- Greiner and Recticel
- Recticel

50%

10%


14,819,000
9,364,000
7,443,000

Total

   

114,077,000

  Vita は制裁金61.7百万ユーロを免除された。

欧州委員会では他に、エアバッグ、安全ベルト、ハンドル、エアコン、エンジン冷却製品、照明システムなどで調査を進めている。

ーーー

日本ではベアリングカルテルについて3社を告発、うち2社については罰金判決が出た。(NTNは無罪を主張している)
公取委は2013年3月29日、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

  排除命令 課徴金
(千円)
減免 罰金判決
(千円)
NTN 7,231,070    裁判中
日本精工 5,625,410 30%  380,000
不二越 509,390 30%  180,000
ジェイテクト 100%
合計   13,365,870    

罰金の刑に処せられ、同裁判が確定している事業者については、独占禁止法第7条の2第19項の規定に基づき、当該罰金額の2分の1に相当する金額を控除した額を課徴金額としている。

ワイヤーハーネスについては、公取委は2010年2月、米国司法省、欧州委員会などとほぼ同時期に調査を開始し、2012年1月に課徴金納付命令を行った。

2012/1/28  公取委、自動車用ワイヤーハーネスのカルテルで課徴金 

ーーー

米国では多数の日本企業および個人が自動車部品カルテルで摘発されている。(現在も続いている。)

  ベアリングではジェイテクト、日本精工が、ワイヤーハーネスでは古川電工、矢崎総業、フジクラが司法取引を行っている。

  現状の明細は 2013/10/1 米司法省、自動車部品カルテルで更に9社、2名と司法取引に付記している。

 


2014/3/24   ドイツ大手エネルギー会社RWE、石油・ガス事業をロシアの富豪に売却

ドイツの大手エネルギー会社RWE AGは3月17日、石油・ガス事業子会社のRWE Dea AGを51億ユーロ(約6億ユーロの負債込み)でLetterOne Groupに売却する契約を締結したと発表した。
Deaは英国、ドイツ、ノルウェーなどで石油とガスの採掘を行っている。

RWE Deaは現在開発中では最大のガス田の一つの北海南部のBreaghガス田のオペレーターを務めている。

脱原発政策が進むドイツでは電力大手が危機的状況に陥っている。再生可能エネルギーの普及で電力市価が下落し、火力発電所の収益が悪化しているためで、RWEは2013年決算で1949年以来の赤字(2,757百万ユーロ)に転落し、307億ユーロの負債に苦しんでいる。

このため、RWEは資産の売却を進めており、2013年に石油・ガス事業の売却を決定した。
報道によると、LetterOneのほかに、BASF子会社のWintershallやハンガリーの石油・ガス会社MOLなどもRWE Dea 買収を狙っていたとされる。

RWEのライバルの EON SE も200億ユーロの資産売却を行った。

E.ONとRWEは欧州のウラン濃縮企業URENCOの株主だが、ともに持ち株の売却の検討を始めている。

ーーー

売却先のLetterOne Groupは、ロシアの新興財閥のAlfa Groupがグローバルに石油・ガス事業を展開するために2013年に設立、200億ドル以上を投資するとしている。当面100億ドル以上を投資するとしており、多数のエネルギー企業の経営者を顧問として雇っている。

Alfa GroupはTNK-BPの株主であったAlfa-Access-Renova(AAR)の株主。

AARはTNK-BPの50%持分を280億ドルでRosneftに売却したが、Alfa Groupは入手した140億ドルの一部をLetterOne 設立に充てた。

AAR Alfa Group ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。
Mikhail Fridman と German Khan が50%ずつ保有。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Renova Holding ロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg (SUALの大株主)のベンチャーキャピタル。


 


2014/3/25 ロシアのRosneft、イタリアのタイヤメーカー Pirelli の筆頭株主に

ロシアの国営石油会社OAO Rosneft は3月17日、間接的にイタリアのタイヤメーカーPirelli の筆頭株主になる契約を締結した。
Pirelliに出資する最大の持株会社の権益を5億ユーロ(695百万ドル)で取得する。

現在のPirelliの株主構成は以下の通りとなっている。

最大株主はPirelliの会長のMarco Tronchetti Proveraと投資会社のClessidra 及び2つの銀行が出資する持株会社Cam Finanziaria (Camfin) だが、交渉の結果、Camfinを解散し、新しい持株会社をつくり、Rosneftが50%を出資する。Clessidra は離脱し、会長と2つの銀行は新比率で出資することとなった。

最終的にRosneft のPirelliへの出資比率は13.1%となり、Marco Tronchetti Provera会長の10.5%を上回り、最大株主となる。

Cam Finanziaria
(Camfin)
Nuove Partecipazioni
(Marco Tronchetti Provera)
39.09% 新持株会社 Rosneft 50% Pirelliの13.1%
Clessidra SGR
(private equity company)
24.06% 新会社 Nuove Partecipazioni 80% 50% Pinelliの10.5%
Intesa Sanpaolo
(bank)
18.43% Intesa Sanpaolo 10% Pinelliの1.3%
Unicredit
(bank)
18.43% Unicredit 10% Pinelliの1.3%

この数年、Pirelliの株主の間で会長の力を弱めようとの動きがあり、それに対抗して会長が昨年、Clessidra と2銀行に出資を依頼し、Camfinを設立したという経緯がある。Clessidra は2017年までの出資としていた。

Rosneftが安定株主として入ることで、株主関係が安定化する。

RosneftとPirelliは2012年12月に契約を結び、RosneftのガソリンスタンドでPirelliのタイヤを販売しており、原料の供給も行っているが、関係を更に強化する。

Pirelliは住友ゴムと並び世界5位のタイヤメーカー(シェア4.1%)だが、イタリアでの販売は全体の6%で、ロシア、中国、ラテンアメリカでの事業が大きい。

Rosneft は合成ゴム事業に関心を有しており、Pirelliとの提携はこれを推進することとなる。

2013年12月にRosneftとPirelliはアルメニアのOil Technoとの間で、アルメニアでの合成ゴム、特にSBRの生産をすることに関し、共同でR&Dを実施する覚書を締結している。

主体はRosneftで、PirelliはRosneftに協力し、実現した場合には長期的に購入する意向を示した。


2014/3/26  中国とEU、欧州産ワインのダンピング問題で和解 

3月22日からの習近平国家主席の欧州訪問を前に、中国は欧州産ワインに対するダンピング調査をめぐり、EUと和解することで合意した。

中国の高虎城商務相は3月21日、欧州産ワインのダンピング問題を巡って双方の業界が紛争解決で合意したと発表し、調査を打ち切る方針を示した。

中国商務部は3月24日、公告19号で調査打ち切りを発表した。

EUは同日、声明を発表、欧州ワイン企業委員会(CEEV:European Committee of Wine Companies) と中国酒業協会(CADA:Chinese Alcohol Drinks Association)が合意に達し、2013年7月に開始された欧州原産ワインの反ダンピング調査、反補助金調査が終了することを歓迎した。

中国と欧州の間で太陽光パネルの貿易紛争が激化していた2013年7月に商務部が事実上の報復措置としてワインのダンピング調査を開始した。
中国ワイン協会が国内ワイン産業を代表して調査を要請した。

実際は、EUの反ダンピング課税を強く支持したフランスを標的にした報復である。
2012年の中国のEUからのワイン輸入量は25万7千キロリットルと2009年比で4倍に膨らみ、約70%がフランスからとなっている。

2013/7/5   中国、EU原産の輸入ワインで反ダンピング&反補助金調査を開始

EUは2013年7月23日、中国の太陽光パネルのダンピング問題で中国側と和解に達したと発表した。
欧州委員会は8月2日、これを承認した。

2013/7/28 EUと中国、太陽光パネルダンピング問題で和解

中国政府によるダンピング調査と並行し、2013年11月に欧州ワイン企業委員会 (CEEV)と中国酒業協会(CADA)による"Business to Business"協議が北京で開始された。

今回合意された覚書によると、中国業界は反ダンピング、反補助金調査の申請を取り消し、両者間で当初2年間、技術支援・協力活動を実施する。

中国政府のダンピング調査の終了を待ち、EUのワイン業界は中国側にぶどう栽培(果樹試験場と機械化技術)、ワイン醸造と品質管理、マーケティング、ワインテースティング、原産地保護制度などの分野での一連の技術支援を行う。

中国側はEU側が中国でEUのワインのテースティングを行うのを支援し、中国の消費者にワインの知識を植え付け、ワインとワイン文化の認識を深める。
両者は更に関係を強化する。

中国のワインの伸びは大きく、EUからの輸出は2012年に764百万ユーロに達し、全輸出の8.6%を占める。
このうち、フランスが71%、スペインが11.7%、イタリアが10.1%となっている。


2014/3/27 米エネルギー省、西海岸からの非FTA締結国向けLNG輸出を承認 

米エネルギー省は3月24日、Jordan Cove Energy Project, L.P. に対し、オレゴン州Coos Bay のJordan Cove LNG Terminal からの非FTA締結国向けのLNG輸出を承認した。承認数量は日量0.8Bcf (年間600万トン)で期間は20年間となっている。

カナダと米国の天然ガスを液化し輸出する計画で、顧客と既に非拘束の契約を締結しており、年末までに全量について契約を締結するとしている。

Jordan Cove Energy Project, L.P.はカナダのCalgaryに本拠を置くエネルギー関連インフラ投資会社のVeresen Inc. (旧称 Fort Chicago Energy L.P.)が経営する。

オレゴン州Coos Bay の北方に16万m3のLNG貯蔵タンク2基と年産600万トン(将来900万トンへの拡大予定)の液化設備を建設する。

合わせて、カナダ及びRocky Mountain地区の天然ガスのハブであるオレゴン州Malin とJordan Cove LNG との間にPacific Connector Gas Pipelineを新設し、カナダからのWillimas Northwest Pipeline、TransCanada Pipeline、Rocky Mountain地区からのRuby Pipelineと接続する。

操業時はカナダ産天然ガスが70%、米国産天然ガスが30%で、最終的には比率を 65/35 とする。

同社では、アジア太平洋市場のLNG需要は2025年までに年3億トンを超えると見ており、Jordan Coveはアジア太平洋及び南米市場のほとんどに最短で、運賃が最も安いと自負している。

日本向けLNG運賃は以下の通りで、Jordan Cove とKitimat は近接している。

  Kitimat(カナダ西海岸)   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gorgon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25  

付記 同資料によると米国東海岸から欧州への運賃は 1.05$

参考 LNG日本着価格は、天然ガス価格+液化費用(3ドル程度)+運賃となる。
   天然ガス価格は現在は4ドル程度だが、6ドル程度までアップすると見られている。
   仮に天然ガスを6ドルとすると、
US Gulf Coastからでは12ドル、西海岸からでは10.3ドルとなる。(百万BTU当たり)
   現在の日本の輸入価格は16ドル程度。

これまでの非FTA締結国向けの輸出承認は下記の通りで6ヶ所7件(Freeport 追加を含む)となっている。

会社名 立地 概要
Cheniere Energy

本事業のため
Blackstoneが出資

Sabine Pass LNG Terminal
(Cameron Parish, LA)
承認:2011/5(FTA締結国向けは 2010/9)
数量:2.2 Bcf/d(年間1600万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   BG Group   550万トン
   Gas Natural (スペイン)   350万トン
   Gail(インド)   350万トン
   Kogas(韓国)   350万トン
   合計    1600万トン

  注. 承認時は韓国はFTA未発効

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題
Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
数量:1.4 Bcf/d(年間900万トン)
   
1.8 Bcf/d (年間1200万トン)(2013/11増量承認)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
   大阪ガス   220万トン
   中部電力   220万トン
   BP Energy   440万トン
   合計     880万トン
    東芝    220万トン
     再計   1100万トン
2013/5/20  米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可
Lake Charles Exports

株主:
Southern Union Company
BG Group
Lake Charles Terminal
(Lake Charles, LA)
承認:2013/8(FTA締結国向けは 2011/7)
数量:2.0 Bcf/d(年間1500万トン)
期間:20年間
輸出契約:
    BG Groupがパートナーのため、当然BGは対象
2013/8/12 米エネルギー省、非FTA締結国向けLNG輸出で3件目の承認
Dominion Energy Dominion Cove Point
  LNG Terminal
(Chesapeake Bay
 in Lusby, Md.)
承認:2013/9(FTA締結国向けは 2011/10)
数量:
0.77Bcf/d 年間525万トン
期間:20年間
液化開始:2017年
輸出契約:
    住友商事  

230万トン

 
     (東京ガス)  

(140万トン)

 
          (関西電力)   ( 80万トン)  
   Gail(インド)   230万トン  
   合計    460万トン  
2013/9/13   米、日本向けLNG輸出 2件目を承認
Cameron LNG

株主:
Sempra Energy 50.2%
三井物産 16.6%
Japan LNG 16.6%
(三菱商事
/日本郵船)
GDF Suez  16.6%

 

Cameron Parish, LA 承認:2014/2/11(FTA締結国向けは2012/1)
数量:1.7 Bcf/d(年間1200万トン)
期間:
20年間
輸出開始:2017年
輸出契約:
   三井物産  

400万トン

 
   三菱商事  

 400万トン

 
   GDF Suez   400万トン  
   合計    1200万トン  
 2014/2/13    米、日本向けLNG輸出 3件目を承認
Jordan Cove
Energy LNG

株主:
Veresen Inc

 

Coos Bay, Oregon 承認:2014/3/24
   (FTA締結国向けは2011に900万トンで承認)

数量:0.8 Bcf/d (年間 600万トン)
期間:20年
輸出開始:2017年
輸出契約:2014年中
本件

なお、次に承認を受けるのは、同じオレゴン州の WarrentonのSkipanon Peninsula に建設予定のOregon LNGと見られている。
(上のパイプライン地図に表示)

ーーー

米議会は3月25日、ウクライナ情勢を受け、米同盟国がロシアの天然ガスに依存しなくても済むよう、WTO加盟国に政府の許可なしでLNG輸出を認める法案の審議を開始した。但し、仮にこの法案が通っても、実際の輸出には5〜6年かかる。

この案に対する反対も多く、公共の利益に合うかどうか考えずに無制限に輸出を認めると予期しない重大な悪影響を生むかも知れないとの意見が出ている。

当初から天然ガス価格の値上がりを懸念している Dow Chemical などは当然、反対している。

 



 
2014/3/28 太陽光発電のSunEdison、三星グループとの関係を強化

原材料のシリコンから太陽光発電システム・ファイナンスをはじめとする発電事業に至るまで一貫したサービスを提供する SunEdison は、シリコンウエハー事業をSunEdison Semiconductorとして分離独立させることを決めたが、このたび、三星ファインケミカル及び三星電子との間で一連の契約を行い、この事業の強化を行った。

三星ファインケミカルとSunEdisonは韓国で太陽電池用ポリシリコンを生産するため、2011年 に折半出資でSMP(Samsung-MEMC Polysilicon)を設立している。

また、三星電子は韓国天安市に、SunEdison 80%、三星電子 20%出資のシリコンウエハー製造のJV、MEMC Korea Companyを持つ。
三星電子はシリコンウエハーの需要家である。

SunEdison は旧称MEMC Electronic Materials で、2013年5月30日に社名を変更した。

米国でシリコンを製造するため、Monsanto Chemical が1959年にMonsanto Electronic Materials Company (MEMC) を設立した。

1989年にドイツのVEBAの子会社 Huls がMonsanto から同社を買収、別途1987年に買収したイタリアのDynamit Nobel Silicon と合併させ、MEMC Electronic Materials, Inc とした。

1995年にNew York で上場、その後もHuls は72%の株を持っていたが、Huls の親会社 VEBA が VIAG と統合して E. On になり、E. On は2001年にTexas Pacific Group (現在名はTPG) に全持株を売却した。

Texas Pacific はその後、大部分を売却した。

MEMCは1991年に韓国で シリコンウエハー製造のため、三星電子、Pohang Iron & Steel (POSCO)とのJVのPosco Huls を設立した。
2000年に MEMC は
POSCO の持株を買収して80%の株主となり、社名をMEMC Korea Companyと改称した。

また、1994年には台湾で China Steel その他とのJV、Taisil Electronic Materials, Inc.を設立した。2005年には台湾初の300mm ウェーハをスタートさせた。(現在MEMC 100%)

1995年にはTexas Instruments とのJV、MEMC Southwest, Inc.を設立し、現在は100%子会社としている。

同社は半導体部門と太陽光発電部門を持つ。部門別売上高は下記の通り(百万ドル)

  2012 2011 2010
Semiconductor Materials 917.5 1,023.1 992.6
Solar Energy 1,612.4 1,692.4 1,246.6
Total Net Sales 2,529.9 2,715.5  2,239.2

SunEdison は2013年9月、シリコンウエハーを生産するセミコンダクター部門を分離、250百万ドルのIPOで SunEdison Semiconductorとして独立させることを決めた。

太陽光パネルの価格の下落で、SunPower Corp(Totalが66%保有)やFirst Solar Inc などは太陽光発電所(solar farms)事業に重点を移しているが、SunEdisonもその方向に向かっており、SunEdison SemiconductorのIPOによる収入をsolar farms の建設に充てる。


今回、三星ファインケミカル、三星電子との間で下記の契約を締結した。

・三星ファインケミカルはSunEdison Semiconductor のIPOに応じ、100百万ドルを出資する。

・SunEdison は三星ファインケミカルとのJVのSMPの三星の持株50%のうち35%を買い取り、自社持分と合わせ、SunEdison Semiconductorに現物出資する。

SMPはSunEdison Semiconductorが85%株主となり、SunEdison Semiconductorに新たに出資する三星が15%を保有する。

SMPは低コストの流動床リアクターベースのポリシリコン工場(年産1万トン)を三星ファインの蔚山工場内に建設中で、2014年下期に完成の予定。
当初は太陽光発電用ポリシリコンをSunEdison に供給、将来は半導体用グレードをSunEdison Semiconductorに供給する。

・合わせて、SunEdison は三星電子との間で、三星電子が持つMEMC Koreaの20%持分を購入する交渉を始めた。
  代償としてSunEdison Semiconductorの株を渡す。

・三星電子はSunEdison Semiconductorとの間で半導体用ウエハーの長期購入契約を締結した。
  これにより、今後3年間、三星電子との取引は毎年増加する。

これがまとまると、SunEdison Semiconductorは、原料のシリコンを製造する三星ファインケミカルと、製品のウエハーを購入する三星電子を株主とすることとなる。
 


2014/3/29  WTOパネル、中国のレアアース輸出規制をWTO規定違反と認定 

日本、米国、EUが中国のレアアース、タングステン、モリブデンの関連商品の輸出管理措置を巡り共同提訴した件で、世界貿易 機関(WTO)は3月26日、中国の輸出管理措置が規定に反すると認定した紛争処理小委員会の報告書を発表した。

付記

WTOの紛争処理上級委員会は8月7日、日米欧の提訴内容をほぼ全面的に認める最終報告書を公表し、中国の敗訴が確定した。

中国の輸出制限について、国内産業を恣意的に優遇する政策だと断定。「環境や天然資源保護のためなら、国内生産を制限する代替措置をとるべきだ」と判断した。

中国商務部は本報告について遺憾の意を表し、WTOの紛争解決手続きに基づき今後の後続作業を行うとしている。

WTOは2012年にも、中国のレアメタル輸出規制に対してWTOのルールに違反しているとの報告書を出し ている。
中国による上級委員会への上訴は却下され、中国は貿易制限を廃止した。

対象は、ボーキサイト、亜鉛、黄燐、コークス、蛍石、マグネシウム、マンガン、炭化ケイ素、シリコン金属の9種の鉱物資源で、中国は輸出関税、輸出割当、最低輸出価格、輸出許可制などの輸出制限 を行っていた。

2012/2/6   中国のレアメタル輸出規制、WTOが規則違反認定 

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中国は1997年にレアアース製品の輸出許可制度を開始した。

2006年に輸出枠を減らすとともに、11月からレアアース鉱石・酸化物の輸出に10%の課税を開始、2007年6月からはレアアース金属にも10%課税した。
2008年にレアアース製品の輸出税を15〜25%に引き上げた。

中国の輸出枠の推移は以下の通り。(トン)

2005 2006 2007 2008
65,580 61,070 59,643 49,990

2009年に中国のレアアースの過度な開発問題について、全国人民代表大会(全人代)代表の周洪宇氏が「レアアース生産・輸出の厳格な規制を求める建議」を全人代に提出した。中国のレアアース生産量は2005年に世界の96%を占め、輸出量で世界一となったが、乱開発されており、無秩序な開発で採掘現場での回収率も低効率の状態にあるとした。

国家発展改革委員会は乱開発がこのまま続けば、20〜30年で中国のレアアースは枯渇すると した。

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限? 

中国政府は2010年下期に輸出枠を激減させ、年間輸出枠を前年の50千トンから30千トンへと4割減らし、その後もその水準を維持している。

      2009 2010 2011 2012 2013 2014
輸出枠 上期 軽希土       18,585トン 13,563トン 13,314トン
中重希土 2,641トン 1,938トン 1,796トン
合計 21,728トン 22,282トン 14,446トン 21,226トン 15,501トン 15,110トン
下期 軽希土       8,537トン 13,821トン  
中重希土 1,233トン  1,679トン  
合計 28,417トン 7,976トン 15,738トン 9,770トン 15,500トン  
年間 軽希土       27,122トン    
中重希土 3,874トン 3,617トン   
合計 50,145トン 30,258トン 30,184トン 30,996トン 31,001トン   
輸出実績   39,813トン 18,600トン 16,265トン 22,493トン   

更に2010年12月に、2011年からのレアアースの輸出税を更に引き上げた。

  現状   2011年
ネオジム 15% 25%
ジスプロシウム  25% 25%
テルビウム 25% 25%
ランタン 0% 25%
セリウム 0% 25%
他のレアアース・スカンジウム・イットリウムとの混合物 25% 25%

2010/12/18 中国、レアアース輸出税を引き上げ

輸出枠の急な削減で、レアアースの価格は急騰した。


 

更に、2010年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件の後、日本向け輸出の審査が停滞し、大混乱となった。

レアアースの輸出実績は以下の通りで2003年をピークに減少している。
輸出枠が急減した2010年下期は輸出量を集計している間に枠を超え、年間輸出量は枠を超える40千トン弱となったが、その後は激減した。

輸出枠の急減と価格の高騰に対し、日本企業を中心に、中国以外のソースの権益取得、新技術・代替材料採用によるレアアースの使用減、レアアース製品のリサイクル等の対策を取った結果、2011年には中国の輸出量は輸出枠を下回るに至った。

中国工業情報化部では以下の通り述べている。

2011年のレアアース輸出割当は、余りが出るだろう。
中国はレアアースの輸出を制限していない。レアアース業界に対して行った規制強化も市場供給に影響しなかった。

輸出割当分の輸出が行われなかったのは、需要が減少したためである。
この主な理由はレアアース価格の高騰による需要の減少だ。これまでレアアース価格が低く見積もられていたが、現在はそれが是正された。

(2012年には中国は輸出枠未達の理由を密輸によるものとしている)


          http://www.fas.org/sgp/crs/row/R42510.pdf

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2012年3月、日本、米国、EUは、中国のレアアース、タングステン、モリブデンの輸出制限をWTOに提訴した。

問題となったのは次の点:

 対象品目:レアアース、タングステン、モリブデン

 輸出制限行為:
   1)輸出税
   2)輸出割当
   3)輸出企業に課せられた制限

今回の報告内容は以下の通り。

1)輸出税

 提訴側:

WTO加盟議定書で中国は付属書記載以外の輸出税を撤廃するとしている。
タングステン鉱石とその濃縮物以外は付属書に記載されておらず、輸出税は課すことが出来ない。

 中国側:

GATTのArticle XXには "General Exceptions" の規定があり、人・動物・植物の生命・健康の保護に必要な場合は対策が認められている。
これら製品の採掘による公害から生命・健康を保護するために輸出関税は必要である。

 パネル:

General Exceptions規定は中国の加盟議定書での輸出税撤廃義務違反の正当化には使用できない。(多数意見)
(例外意見:General Exceptions規定は適用できないと明示された場合以外は適用できる。輸出税撤廃は不適用と明示されていない)

仮にGeneral Exceptions規定が適用されたとしても、輸出税は人・動物・植物の生命・健康の保護に必要ではない。(全員意見)

2)輸出割当

 中国側:

この制限はGATT 1994に違反だが、枯渇する天然資源の保護のためであり、Article XX(g) にある例外規定で正当化される。

 パネル:

中国の輸出割当は資源保護のためよりも産業政策目標の達成のためである。

Article XX(g)の "conservation"は単なる天然資源の "preservation"よりも大きな意味を持つもので、各国は持続可能な開発のニーズを考慮に入れることが出来る。しかし、"conservation"を天然資源の国際市場をコントロールする手段に使うのは許されない。

更に、Article XX(g)の要件に国内市場の制限策が求められているが、これが行われていない。

中国側の主張する国内での諸策を検討した結果の結論は、全体としての効果は、国内の採掘を推進し、中国の製造者がこれを優先的に使用するのを確保するためということになる。

Article XX(g)のもとで求められる公平性("even-handedness")が見られず、輸出割当はこの規定では正当化できない。


3)輸出企業に課せられた制限

 パネル:

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これを受け、商務部条約法律司の楊国華副司長は「中国は今、WTOルールに合致した規範・制度を構築して、レアアースなどの戦略的資源を保護することを考えている。たとえば採掘総量の制限や資源税といった方法により資源類製品の輸出を管理する道を模索している」と述べた。(人民網)


2014/3/29  「石油化学」に代わる新しいネーミング 

石化協は昨年12月、近年の石油化学業界の様々な新しい取り組みを踏まえ、「石油化学」に代わる“新しい化学”にふさわしいネーミングを募集した。

変わり行く石油化学 “新しい化学”へ

原料多様化がすすみ、石油以外のものも原料として利用する取り組みが始まっている。
 ・シェールガス
 ・バイオマスによる原料・燃料
 ・微細藻類がつくるオイル
 ・人工光合成による化学品原料も検討されている。

人類が抱える多くの課題:資源・エネルギー枯渇、地球温暖化・環境問題、爆発的な人口増加、・・・を化学の持つ様々な先進技術で解決
 ・持続的・安定的エネルギーの供給
 ・地球環境への貢献
 ・安全・安心、健康長寿の実現

 

石化協は3月28日、審査結果を発表した。最優秀賞は「循環炭素化学」となった。

このほか、以下が入賞した。

カラフルケミストリー
くらし化学
生活創造ケミストリー
つながる化学
みらい資源化学


2014/3/31  INEOS、アクリロニトリル技術供与契約違反でシノペックに法的アクション 

INEOSは3月21日、同社の技術の根幹の一つであるアクリロニトリル技術について、Sinopec Ningbo Engineering Company (中石化寧波工程)が昔からの契約に違反し、INEOSの同意なしに一連のワールドスケールのアクリロニトリルプラントを建設したとして、Sinopec Ningbo Engineeringと建設したSinopec各子会社を北京高級法院(Beijing High Court)に訴えるとともに、 スウェーデンで調停を申請したと発表した。

Jim Ratcliffe会長は次のとおり述べている。

・INEOSはベストの技術を中国に持ち込みたいが、同時にそれは保護されねばならない。
・アクリロニトリル事業は重要な石化事業であり、INEOSの事業は世界一で、30億ドルを売り上げ、5000人を雇用している。
・中国で多くのコピープラントを作られれば、INEOSの事業は破綻する。
・INEOSの価値は技術にある。なにがあっても守らざるを得ない。

INEOSのアクリロニトリル技術は元はStandard Oil of Ohio (Sohio) の技術で、1987年にBPがSohioを買収した。
INEOSは2005年にこれを含むBPの石化子会社 Innovane を買収した。

Sinopecとの提携はBPが行ったもので、BP は1970年代初めから中国に進出しており、現在も石油化学では上海SECCO石油化工(Sinopec とのJV)と酢酸、PTA事業を継続している。
   2008/1/28 BP、中国事業を更に拡大

BPは1984年にSinopec Ningbo Engineering にアクリロニトリル技術を供与し、安徽省安慶に5万トン設備、黒竜江省大慶に5万トン設備、吉林に66千トン設備などをつくってきた。

しかし、最近になってSinopec各社はSinopec Ningbo Engineeringの技術でINEOSの了承なしで大規模プラントを順次建設している。

INEOSはこれを死活問題として訴えたもの。

これに対し、Sinopec側は、「Sinopec Ningbo Engineeringは50年の研究開発の後にコア技術を開発した。Sinopecはそれら技術に完全な知的財産権を有しており、INEOSが主張する技術侵害の根拠は無い」と反論している。

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なおINEOSは中国の石油化学の今後の長期的な発展を確信しており、中国各社と提携して事業を行っていきたいとしている。
同社は最近、自社技術を持ち込み、2つのJVを設立することで合意した。

1)天津渤海 とのアクリロニトリル

INEOSと天津渤海(Tianjin Bohai Chemical Industry Group)は2013年5月、50/50JVを設立して天津に年産26万トンのアクリロニトリルプラントを建設するとの覚書を締結した。

INEOSの最新プロセス・触媒を使用するもので、2016年待つの完成を見込んでいる。
需要の増加に応じ、将来増設することも検討している。

天津渤海はプロピレンやSM、ABSなどを製造しており、子会社の天津大沽はPVCを生産するとともにLGとのPVCのJVも持っている。

2007/8/23 天津大沽化工、天津でSM 500千トンプラント建設

丸紅が戦略的パートナーシップ契約を結んでいる。

2010/6/24 丸紅、天津渤海化工集団との戦略的パートナーシップ契約締結 
 

2)SinopecとのフェノールJV

INEOS とSinopec 揚子石化は2014年2月20日、南京市に50/50JVを設立する契約を締結した。
JV名は INEOS YPC Phenol (Nanjing) Companyで、Sinopecのキュメン技術とINEOSのフェノール技術を使用し、フェノール、アセトンを製造するもので、投資額は5億ドル、2016年末の完成を見込んでいる。

能力は中間製品のキュメンが55万トン、製品のフェノールが40万トン、アセトンが25万トン。

ベンゼン+プロピレン キュメン → フェノール+アセトン


 


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