2006-5-1

ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は  2006-5-1 http://blog.knak.jp


2014/7/1   SolvayとIneosの塩ビJV、INOVYN の設立契約、ようやく調印

SolvayとIneosは6月26日、欧州塩ビJVの設立契約に調印した。

両社は2013年5月7日に欧州の塩ビ事業を統合し、50/50のJVとする覚書に調印したが、独禁当局が問題視したため、両社と欧州委員会で交渉が続けられ、欧州委員会は5月8日、両社の案を一部修正した条件で、本件を承認した。

2014/5/13 SolvayとINEOSの塩ビJV、EUが条件付でようやく承認 

実際のJVの設立は、欧州委員会が条件とした5つのIneosの工場の分離が実行されてから行われる。
両社は2014年の第4四半期中の設立を目指している。

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JVの名称はINOVYN となる。

SolvayはJV設立の3年後に離脱することが決まっているが、その手続きが今回の契約で修正された。

・ Solvay は契約実行時に175百万ユーロの前払いを受ける。
・ 合わせて、JVに資産を移管する際に、年金債務や環境問題の債務など250百万ユーロの債務もJVに移管する。

・3年後の離脱の際には、目標 250百万ユーロの現金を追加で受け取る。
 これは3年間のJVの業績により調整され、最低額は75百万ユーロとなっている。

JVはロンドンに本社を置き、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリー、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国の14箇所に工場を持つ。
2013年ベースでは売上高は30億ユーロを超える。

Solvayの離脱までは、両社が50/50で経営に参加する。

 


2014/7/2 Dow Chemicl、新エチレン設備の建設着工 

Dow Chemical は6月30日にテキサス州 Freeport のDow Texas Operations で年産150万トンのエチレンプラントの建設を開始した。2017年上期の生産開始を目指す。

会長兼CEOのAndrew N. Liverisは、このプラントは、付加価値の高いマーケット指向の事業での成長を可能とするため低コストで有利なシェールガスを利用するというDowの戦略の基本であると述べた。

同社では既に下記の誘導品の投資を発表している。

 ・次世代メタロセンEPDM(NORDEL™ )年産20万トン

2012年10月、DowはメタロセンEPDMのプラント建設を発表した。
2016年の稼動を目指している。

 ・High Melt Index Specialty Elastomers  年産32万トン

ホットメルト接着剤用

 ・ 高機能性ポリエチレン樹脂(ELITE™)年産40万トン

Dowの INSITE™触媒技術を使った伸縮性、低温ヒートシール性、押出特性および加工性能を持つポリエチレンで、Enhanced PE (EPE) と呼んでいる。

 ・新しいスペシャルティLDPE 年産35万トン


同社は既に
FreeportDow Texas Operations でプロパン脱水素による新しいプロピレンプラント(年産75万トン)を建設中で、既に30%完成している。2015年に生産開始の予定。

 2012/3/12  Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定

同社では、Freeportにおけるワールドスケールのエチレン、プロピレンプラントの建設は、コスト面で有利な原料とPerformance Plasticsなどの同社の高マージンの川下事業を結びつけるもので、フル稼働時には25億ドルのEBITDA(金利・税金・償却前利益)を上げ、磐石な基盤となるとともに、Dowの市場での競争力を更に強化するものとなるとしている。

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Dowは2006年3月に、原料高騰、値下がりにより収益性が低下していた基礎部門の強化を“Asset light” strategy により行う方針を明らかにした。

各社が原料高騰の影響を受けやすい汎用製品事業を売却するのに対し、Dowは基礎部門の新規事業を他社とのJVで実施するだけでなく、既存事業についても分離して他社とのJVにしようとするものである。

Kuwait Petroleum Corporation と50/50JVのMEGlobalを設立してダウの設備を出したのをはじめに、2010年にスタイロン事業を売却、三井物産と折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁を設立している。

Dowは2007年12月に、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間で、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売するグローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。

しかし、2008年末にこれは一転して破談となった。(事業のうち、PCはスタイロン事業の一部として売却)

しかし、米国のシェール革命で同社は国内事業の方針を変換した。

Dowは2011年4月にエチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

MarcellusやEagle Ford のシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

具体的な計画は以下の通りで、エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとし た。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表

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参考  2014/6/20 Chevron Phillips Chemical、年産50万トンのPEプラント2基の建設着工

                 2014/6/20    ExxonMobil もエチレンとポリエチレン工場の建設開始          


2014/7/3   BP、ロシア制裁開始後にRosneft との関係を強化 

EUは6月27日の会議で、ウクライナの親ロ派に対し、停戦検証の仕組みや国境の実効的な管理、ウクライナ当局への国境検問所3カ所の返還、捕虜解放、ポロシェンコ大統領の和平計画履行に関する実質的な協議開始について、6月30日までに合意するよう求めた。

ウクライナのポロシェンコ大統領は、親ロシア派との停戦合意が期限切れを迎えたことを受け、停戦を7月1日に終了すると表明した。

ロシア、ウクライナ、仏、独の4カ国外相は7月2日、ウクライナ情勢をめぐり会談し、ロシアとウクライナが新たな停戦合意を目指し、5日までに親ロシア分離派を交えた3者協議を開くことで一致した。

EUは、 親ロシア分離派が緊張緩和に向けた行動をとらなければ、対ロシア制裁を拡大し、資産凍結の対象となる個人や企業を広げる可能性がある。

しかし、エネルギー分野においては、欧州の企業はむしろ、ロシア企業との関係を強化している。
制裁の開始後も、Total、BP、Statoil、ExxonMobil などのトップがロシアを訪問しており、ロシアとのビジネスの重要性を示している。
  各社の状況 
2014/5/3 ウクライナ問題でのロシア制裁の影響 

BPは5月24日にRosneft との間でボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区 などの開発を推進する覚書を締結したが、6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

BPはRosneft に19.75%を出資し、CEOのBill Dudley など2人がRosneft の取締役になっている。

2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収

BPのBill Dudley CEOは今回、「Rosneftが制裁対象ではない。ロシアの事業には影響はない」と語っている。

Rosneftは企業としては制裁リストに入っていないが、同社の Igor Sechin CEO は米国からビザの停止と米国資産凍結の措置を受けている。

Igor Sechinは「米国に資産がないので問題ない」とし、「アメリカをバイクで横断したかったが、出来なくなって残念」と述べた。

米国務省によると、米国民は一般的に制裁ブラックリストに載った人物と取引することを禁止されるが、BPのBill Dudleyは米国市民である。

付記

オバマ米大統領は7月16日、ロシアの主要なエネルギー企業や銀行を対象に追加制裁を科すと発表した。

対象:エネルギー Rosneft、Novotek
     金融    Gazprom Bank、
国営対外経済銀行VEB

 

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BPとRosneftは5月24日、ボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区 などの開発を推進する覚書を締結した。調印式にはPutin大統領が出席した。

両社はRosneft 51%、BP 49%のJVをロシアに設立し、共同でパイロット計画を実施、成功の暁には共同開発を行う。

今回、BPはRosneft がこれまでにドマニク累層の開発に使った費用の一部を負担し、ライセンス鉱区の2箇所で実施するパイロット計画のため3億米ドルまでのファイナンスを行う。


ロシアではソ連時代からシェールオイルなどを「採掘が困難な石油」と呼んでいる。

ロシアはこのような油の採掘に必要な、技術の応用条件を整えるために、税制改革を始めた。
2013年末、バジェノフ累層、アバラク累層、ハドゥム累層、ドマニク累層の4累層の難採油の鉱床について、鉱物採掘税を10〜15年免税にした。

ドマニク累層の地域は下図の通り。

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BPは6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

少なくとも15億米ドルの前払いとなるが、世界の主導的金融機関が融資に応じた。

両社の長期の石油製品取引をバックアップするため、世界の8つの金融機関が20億ドルの前払い与信枠を与える契約に調印した。
これにはDeutsche Bank、Bank of China、Societe Generale、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行が含まれている。

BPへの出荷は7月に始まるが、Rosneftによると、更にいくつかの銀行が関心を示しており、与信枠は更に増える可能性がある。

但し、英国政府が一部保有するLloyds Bankは英政府が政治的に困惑するのを避けるため、15〜20億ドルの与信枠供与を撤回した。

 


2014/7/4 経済産業省、2年続きで石油精製能力削減を強制 

経済産業省は2010年7月5日、通称「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、告示を出した。

日本の重質油分解装置の装備率を2013年度までに10%から13%程度まで引き上げることを目標に基準を定め、引き上げを義務化した。

重質油分解装置の装備率=重質油分解装置の処理能力÷常圧蒸留装置(トッパー)の処理能力

処理期限の2014年3月末に各社の対策がまとまった。

東燃ゼネラル川崎が分解能力を増加した以外はすべてトッパー能力の削減による対応で、METIの狙いは達成されたといえる。

当初能力の日量4,830千バレルから3,848千バレルへ、982千バレルの減少となった。
(2014年4月の公称能力はJXグループの鹿島と水島のコンデンセートスプリッター能力 98,500バレルを加算、3,946,700バレル)

経緯と各社の状況  2014/3/14   エネルギー供給構造高度化法 処理期限

しかし、告示の目的が達成されたにもかかわらず、茂木経済産業相は6月10日の閣議後記者会見で、過剰供給構造の解消を目指す産業競争力強化法に基づき、石油業界の市場構造調査に乗り出す方針を表明した。6月末をめどに石油製品の需給動向や製油所の供給能力を調査し、公表するとした。

市場構造調査の結果を踏まえ、今後3年を期限とした製油所の設備削減計画や、他社の製油所との統合案などを盛り込んだ再編計画を提出させると報じられた。

2014/6/9  石油業界に第二の産構法?

 

経産省は6月30日、産業競争力強化法第50条に基づく調査報告「石油精製業の市場構造に関する調査報告」を発表した。

本文 http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/008_02_02.pdf
概要 http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/008_02_01.pdf

結論は以下の通り。

我が国の石油精製業は「概ね過剰供給構造にある」と認められる。
今後、現在の収益状況や精製能力が継続するとすれば、本格的な過剰供給構造に陥るおそれが大きい状況にある。

課題
1)製油所の生産性の向上
  @過剰精製能力の解消
  A統合運営による設備最適化
  B設備稼働率を支える稼動信頼性(設備保全)の向上
  Cエネルギー効率の改善
  D高付加価値化(残油処理能力の向上、石油化学品等の得率向上)
2)戦略的な原油調達
3)公正・透明な価格決定メカニズム等の構築
4) 国際的「総合エネルギー企業」への成長

以上の課題を解決するため、今後、石油精製業者は「資本の壁」や「地理的な壁」を超えた事業再編等に積極的に取り組むことが期待される。

経産省はこれに合わせ、総合資源エネルギー調査会の資源・燃料分科会がまとめた「平成26年度以降の3年間についての原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断基準(告示)案」を公表した。
    http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/008_03_01.pdf

新告示案の概要:

 目的:「残油処理装置装備率」の向上

   装備率=残油処理装置の処理能力 / 常圧蒸留装置の処理能力

残油処理装置は前回の「重質油分解装置」に、重油直接脱硫装置、流動接触分解装置(FCC)、溶剤脱れき装置(SDA:脱れき油がFCCで分解されることを前提とするもの)を加えたもの。

  改善目標

   現状(2014/3/31) 平均45%程度を50%程度まで向上

   各企業の目標改善率
      45%未満の場合   13%以上改善
      45〜55%       11%以上
      55%以上        9% 以上

   上記の装置能力は前回の基準達成後の2014年4月1日現在のものとする。

   常圧蒸留装置能力は公称能力削減も認める。

前回は廃棄が条件。
例外的に、
コスモ石油が坂出の140千バレル停止でも未達のため、暫定措置として四日市を43千バレル減産(公称能力削減)で対応した。 

   各社は、計画作成において、他社との連携を含む事業再編の方針もあわせて示すこととしている。

@連携等による設備能力の融通措置を認める、A事業再編等を進める場合、必要に応じて本則
に「準ずる措置」を講ずることを認めるなど、企業が連携に取り組む場合の措置を導入。
(製油所統合による能力削減の場合、削減量を按分)

  前回 今回
目的 重質油分解能力装備率」の向上 「残油処理装置装備率」の向上
装備率 重質油分解装置能力 / 常圧蒸留装置能力 残油処理装置能力 / 常圧蒸留装置能力
対象装置 残油流動接触分解装置(RFCC)
残油熱分解装置(コーカー等)
残油水素化分解装置(H-Oil)
残油流動接触分解装置(RFCC)
残油熱分解装置(コーカー等)
残油水素化分解装置(H-Oil)
   +
重油直接脱硫装置
流動接触分解装置(FCC)
溶剤脱れき装置(SDA)
  脱れき油がFCCで分解されることを前提
目標 現状の10%→13%程度 45%程度→50%程度

 

鹿島石油は鹿島製油所で2015年度中の完成を目指し、溶剤脱れき装置を建設している。

能力は18千バレル/日で、石油精製の過程で生成する重質油を溶剤脱れき装置(SDA:Solvent De-Asphalting)にて、「脱れき油」と超重質な抽出残渣(SDAピッチ)に分離し、「脱れき油」は分解して石油化学製品原料や軽油製品に、SDAピッチはボイラおよびタービン発電設備で燃焼し新電力事業用電力に変換する。

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前回の告示について、当ブログは官製カルテルと批判した。
     
2010/7/21 エネルギー供給構造高度化法は第二の産構法か?


今回は前回よりもひどい。
しかも、前回の告示の目的が達成された直後に、ほぼ同じ内容の基準をつくっており、計画性がない。

前回は「重質油分解能力装備率」の向上を表面上の目的とした。

アジアでは安い重質油を処理できる最新鋭の製油所が増えている。
経産省によれば、アジア各国の重質油分解装置の装備率は中国が35%、シンガポールが22%。アジア平均でも19%だが、日本は10%程度にとどまり大きく立ち遅れている。

重質油分解装置の新設は実際的ではなく、分母の常圧蒸留装置能力の削減によるのが大部分で、これが 本来の目的であった。

今回は「残油処理装置装備率」の向上を目的としたが、 日本の現状はそれほど他国に劣っていない。
    

しかも、前回は基準達成のため、重質油分解能力の増強か、常圧蒸留装置能力の廃棄を求めたが、今回は廃棄なしでの減産(公称能力削減)も認めてい る。

これは供給能力削減が目的であることを明示している。

現在の原油処理能力は、告示前の能力比で982千バレル減少したが、経産省は今回も各社がすべて常圧蒸留装置の能力削減で対応した場合には、更に40万バレルの削減につながると試算している。

各社は、他社との連携を含む事業再編の方針もあわせて示すこととなっており、経産省の狙いは同一地区内の製油所を統合させ、余剰設備を廃棄させることと思われる。

コスモ石油と東燃ゼネラル石油は6月18日、コスモの千葉製油所と極東石油工業(東燃ゼネラル石油子会社)の千葉製油所を統合することにより、「国際競争力を持った国内トップクラスの製油所を目指す」との認識で一致したと発表した。本年中の基本契約締結を目指す。

しかし今回は届出上の精製能力の削減も認められるため、実質的には精製する原油量を減らすだけで済み、抜本的な再編にはつながりにくいとの見方も出ている。

報道では、合理化への取り組みが著しく不十分な企業には、経産相による勧告・命令や罰金(100万円以下)を科すことも検討するとしているが、再編を強制できるであろうか。

そもそも、本来は各社が自主的にやるべきもので、経産省に介入してもらわないとやらないことがおかしい。
また、単なる「告示」で再編を強制するのも正しくない。
 


2014/7/5   中国商務部、トヨタの中国ニッケル水素電池生産JVの設立を承認  

中国商務部は2014年7月2日、公告49号で、トヨタの中国のニッケル水素電池生産JVの設立を、製品を第三者にも販売するという条件付で承認したと発表した。
2013年12月31日に申請を受け付け、独禁法に基づき審査してきた。

条件は、
  (1)公平・合理的・無差別に製品を販売する
  (2)生産開始から3年以内に製品の対外販売を始める
  (3)命令の履行状況を毎年報告する
  (4)この義務の実行計画を作成する
というもの。

トヨタと湖南科力遠新能源が合弁会社を設立し、HV向けのニッケル水素電池を生産するもので、生産されたニッケル水素電池はトヨタが2015年頃に中国市場に投入する計画のハイブリッド車(HV)に搭載される。総投資額は156億3千万円。

トヨタは技術流出懸念からハイブリッド車(HV)の現地生産に慎重だったが、諸般の事情を勘案し、技術移転を決めた。
中国では充電可能な環境自動車(エコカー)への補助金を電気自動車(EV)などに限っており、ハイブリッド車(HV)は対象外であった。
中国政府の求めるHVの現地生産を行うことで、補助金対象をHVにも広げることを狙った。

但し、現地生産するHVは従来のニッケル水素電池を使い、 軽量だが割高なリチウムイオン電池などの最先端技術は国内にとどめる。

合弁会社の名称は科力美汽車動力電池有限公司Corun PEVE (China) Automotive Batteryで本社は常熟市に置かれる。

出資比率は以下の通りで、日本側と中国側が50/50となっている。

プライムアースEVエナジー( Primearth EV Energy)   41%
トヨタ・モーター・チャイナ・インベストメント   5%
豊田通商     4%
湖南科力遠新能源(Hunan Corun New Energy)    40%
常熟新中源創業投資(ンチャーキャピタル )   10%

 

プライムアースEVエナジーはPEV・HEV用ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池、Battery Management Systemの開発・製造・販売を行っている。

1996年12月11日   パナソニックEVエナジー叶ン立(出資比率はトヨタ自動車60%、パナソニックグループ40%)
2010年4月   第三者割当増資を実施。出資比率:トヨタ自動車80.5%、パナソニックグループ19.5%
2010年6月2日   プライムアースEVエナジー 」に変更

湖南科力遠新能源は2011年1月31日、パナソニックとの間で、車載用ニッケル水素電池事業を行っているパナソニックの湘南エナジーの株式の譲渡契約を締結した。特許を含む知的財産権を使用出来る契約で、全株式を4千万元(約5億円)で譲り受けた。
現在の社名は
湘南Corun Energy となっている。

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上記の@パナソニックEVエナジーからプライムアースEVエナジーへの改称、Aパナソニックグループの出資比率減少、B湘南エナジーの譲渡の3件は、中国商務部がパナソニックの三洋電機買収を承認する条件の一部である。

商務部は2009年11月5日に下記条件で買収を承認した。

1) 自動車用ニッケル水素電池 (合併で中国市場で77%のシェア)

パナソニックの茅ケ崎市の湘南工場の第三者への売却

トヨタとの合弁のパナソニックEVエナジーへの出資比率を40%から19.5%に引き下げ、取締役指名権ほかの放棄、JVの社名からの「パナソニック」の除外

2) コイン型リチウム二次電池(同上 62%のシェア)

三洋電機の鳥取県岩美町の鳥取工場の第三者への売却(FDKに譲渡)

3) ニッケル水素電池(同上 46%のシェア)

三洋電機の群馬県高崎市の高崎工場の第三者への売却(FDKに譲渡)
又は、三洋電機の蘇州市の工場か、パナソニックの無錫市の工場の売却


2014/7/7   田辺三菱製薬、鹿島工場を沢井製薬に譲渡 

田辺三菱製薬は6月30日、子会社の田辺三菱製薬工場鰍フ鹿島工場を沢井製薬に譲渡する基本合意書を締結したと発表した。


田辺三菱製薬は2013年8月に、戦略課題の一つである「事業・構造改革の加速化」の一環として、国内5工場を、小野田工場と吉富工場の2拠点に集約し、足利工場はシミックに譲渡、残る鹿島工場と大阪工場は2017年までに閉鎖する方針を発表していた。

足利工場については2013年11月に田辺三菱製薬 100%出資のシミックCMO足利鰍ニして分離、本年4月1日にシミックホールディングスが買収した。
従業員は雇用が継続され、株式譲渡後も引き続き田辺三菱製薬の製品の製造を受託する。

今般、閉鎖する方向で検討を進めていた鹿島工場を沢井製薬に譲渡することで基本合意に至った。
譲渡は2015年4月1日の予定で、従業員は本人の同意のもと沢井製薬へ転籍する。
また、田辺三菱製薬は譲渡後も製品の製造を沢井製薬に委託する。

小野田工場 旧 田辺製薬 存続・強化
吉冨工場 旧 吉冨製薬
足利工場 旧 吉冨製薬 2014/4/1 シミックに譲渡、シミックCMO足利
鹿島工場   閉鎖検討→2015/4/1予定で沢井製薬に譲渡 
大阪工場 旧 田辺製薬 閉鎖方針

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田辺三菱製薬は2007年10月に、三菱ウェルファーマと田辺製薬が統合して設立された。
小野田工場と大阪工場は田辺製薬の工場である。

2007/2/8 三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併発表

田辺三菱製薬は2013年8月に、「事業・構造改革の加速化」の一環として、将来的に必要とされる製造能力等を総合的に検討した結果、小野田工場および吉富工場の2拠点に集約し、その他の製造拠点については譲渡を含めた再編を推進する方針と した。

1)  足利工場(栃木県足利市)

 2013年8月1日 シミックホールディングスへ譲渡することで基本合意書を締結 
     11月1日  田辺三菱製薬がシミックCMO足利鰍ニして分離。
 2014年4月1日 シミックホールディングスが買収

シミックグループの事業は下記の通り。

・CRO(医薬品開発支援)
・CMO(医薬品製造支援)
・CSO(医薬品営業支援)
・ ヘルスケア
・IPD(知的財産開発)

CMO(医薬品製造支援)事業では、日本、韓国(CMIC CMO Korea)、米国 (CMIC CMO USA)の3カ国に生産拠点を有し、医療用医薬品、OTC医薬品などを受託生産している。

国内の製造体制は下記の通りとなる。

 ・シミックCMO梶@
   静岡工場:
錠剤、カプセル剤、散・細粒剤などの固形剤を生産
   富山工場:
軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤などの半固形剤を生産

 ・シミックCMO足利
:固形剤、注射剤を生産  

2012年度 生産実績
 錠 剤 21億錠
 散・顆粒 32トン
 半固形剤 269トン
 注射剤 276万本
   
2) 鹿島工場

2017年度末を目処に閉鎖する方向で検討を進めていたが、今般、2015年4月1日付で沢井製薬へ譲渡することで合意した。

沢井製薬は、千葉県茂原市の関東工場に新製剤工場を建設し、年間100億錠の生産体制の早期構築を進めている。

2013年4月の厚生労働省の「後発医薬品のさらなる使用促進のロード マップ」において、2018年3月末までにジェネリック医薬品の数量シェア60%以上にするという目標が掲げられたことから、ジェネリック医薬品の今後一層の需要増加が見込まれ るため、田辺三菱製薬の鹿島工場を譲り受けることで、安定供給力の さらなる増強を前倒しで実施することとした。

また、鹿島工場の高い技術力と高度な品質管理水準を持つ従業員を受け継ぐことで、生産増強に必要な人材の確保にも努める。

2012年度 生産実績
 錠 剤 3億錠
 散・顆粒 34トン
 注射剤 225万本
   
3) 大阪工場

2017年度末を目処に閉鎖する方向で検討を進めている。

注射剤、固形剤の少量・多品目の製造に適する機動力を有する。

2012年度 生産実績
 錠 剤 1億錠
 散・顆粒 3トン
 注射剤 210万本

 


2014/7/8   INEOS、BASFからスチレン系製品のJV Styrolutionの持分を買収

INEOSは6月30日、BASFから両社の50/50JVのStyrolutionの持分を11億ユーロで買収すると発表した。
2011年の設立JVにINEOSがこのオプションを持つことが含まれている。独禁法の手続きを経て、2014年第4四半期に完了する予定。と

付記 2014年11月17日 取引完了。

付記 2016年1月 INEOS Styrolutionに改称


BASFは2007年7月、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。
売却対象は、SM、PS、ABS、SBS (スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)と、それらのコポリマー。
利益率が低く、原料の動向に左右されるコモディティからの離脱を狙った。

その後、売却準備を続けてきたが、全くまとまらなかった。

2008/8/20 BASF、スチレン系事業の売却準備 進める

BASFとIneosは2010年11月30日、両社のスチレン、PS、ABS、SBC、その他スチレン系コポリマーとそのブレンドの事業を新しい50/50JVのStyrolutionに統合すると発表した。

統合に先立ち、BASFは2011年1月1日にスチレン系ポリマー事業を分社し、Styrolutionを設立した。
この時点で、将来事業を売却することを決めていた。

2011年10月1日、BASFとIneosのスチレン系事業を統合した50/50JVのStyrolutionが各国の独禁法当局の承認を得て発足した。
社名は、“Styrenics” と“Solution”を合成したもの。

新会社の製品は、SM、PS、ABS、スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBC)、スチレン系コポリマー(SAN、AMSAN、ASA、MABS)と、それらのブレンド(ABS/PA、ASA/PA、ASA/PC)で、発泡ポリスチレン(EPS)は対象外で両社に残った。

2011/10/11 BASFとIneosのスチレン事業を統合した Styrolution がスタート 

付記

Ineosは INEOS ABS をJVに統合していなかったが、2015年3月、Ineos ABS をStyrolutionに統合すると発表した。

付記

INEOSは2016年8月31日、EPS事業をポーランドのSynthos S.A. に80百万ユーロで売却した。 

売却対象には、 北フランスのWingles工場とRibécourt工場、オランダのBreda 工場を含む。

ーーー

BASFと並ぶスチレン系の大手であったDowも、スチレン系事業のStyronを投資会社Bain Capital Partnersに売却している。

同社は2010年3月2日、Styron DivisionをBain Capital Partnersに16.3億ドルで売却する契約を締結したと発表した。ポリカーボネートや合成ゴムも含まれる。

同社は2007年にChevron PhillipsとのSM/PSの50/50JVAmericas Styrenicsを設立、米国と南米のPS工場を拠出したが、この持分も売却対象に含まれる。

2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了

Styronは2011年末に社名を Trinseo に変更した。

TrinseoはIntrinsic(「固有の」、「本質的な」、「内在する」)から取った。
同社の製品や技術が、需要家の製品にintrinsic な役割を果たし、需要家の成功に不可欠なものになるという意味。

なお、PSの商標は従来通り Styron を使用する。


2014/7/9 LG Chem、南京に電気自動車用バッテリー工場建設 

LG Chemは7月2日、ソウル市内で南京市政府とEV用バッテリー工場の建設など包括的協力に関する覚書を締結した。
韓国の梧倉工場、米
ミシガン州Holland工場、中国・南京工場を結ぶEV用バッテリーの三角生産体制を確立する。

LG Chemは南京の子会社 LG Chem (Nanjing) Information & Electronic Materials で スマートフォンなど携帯端末向けの小型バッテリーを生産している。

後述の通り、韓国勢ではサムスンSDIとSK Innovation も中国でEV用バッテリーの生産に乗り出している。

LG Chemは8月に南京市政府系の国有企業、南京紫金科技創業特別社区建設発展(Nanjing Zijin Technology Incubation Special Park Construction Development Co)、南京新工投資集団(Nanjing New Industrial Investment Group)の2社と合弁会社を設立する。
LG Chemが50%出資、残りは中国の2社が握るが両社の出資比率は未定。

年間生産能力はEV10万台分以上とし、数億ドルを投じる。
9月に起工式を行い、2015年末までの完成を目指す。

LG Chemの権暎寿社長は「南京工場が操業を開始すれば、中国国内での生産分だけで毎年1兆ウォンを超える売り上げが可能だ」と述べた。

既に上海汽車、第一汽車、長安汽車、観致汽車(Qoros)など中国の自動車メーカーをはじめ、中国に進出した海外の自動車メーカーからも年10万個を超える受注を確保した。

世界最大の自動車市場である中国は、石油消費の急増と環境問題解決に向け、EVの本格普及を目指している。

中国政府は国内のEVを2015年までに50万台、2020年までに累計で500万台普及させる計画を立てており、中国は米国を抜き、世界最大のEV市場に浮上するとみられている。

ーーー

サムスンSDIは2014年1月22日、安慶環新集団(Anqing Ring New Group)および陜西省政府と「電気自動車用電池生産拠点建設投資3者了解覚書」に調印した。
サムスンSDIは5年間に約6億ドルを段階的に投じ、安慶環新集団と省政府の西安高科集団と合同で西安ハイテク区に中国最大規模のEV用リチウムイオン電池の生産拠点を建設する。

安慶環新集団は中国最大シェアのピストンリングとシリンダーライナーの製造会社で、サムスンSDIは「安慶環新集団の自動車部品事業のノウハウとサムスンSDIのバッテリー分野の技術力で相乗効果が生まれる」と説明し ている。

本年4月に合弁会社を設立、サムスン電子が西安で建設している半導体工場の隣接地に工場を建設する。
本年下半期に着工、来年上半期には操業開始の見込み。

自動車産業は西安ハイテク区の重点産業の一つで、比亜迪汽車(BYD)、自動車部品メーカーの法士特汽車電動集団中型・ 大型バスの陜西欧舒特汽車などの企業を中心に、完成車組み立て、動力、制御システム、シャーシ、重要部品、自動車関連サービスが一体となったシステムが整っている。EV用電池生産拠点の稼働で西安ハイテク区の新エネルギー自動車産業チェーンはさらに完全なものになる。

サムスンSDIは7月1日、グループの第一毛織Cheil Industriesと合併した。

第一毛織は第一製糖とともにサムスングループの最初の製造業で、織物事業から始まり、1980年代にファッション事業、1990年代にケミカル事業(PS、ABS等)、2000年代には電子材料事業へと進出してきた。

サムスンSDIは1970年にブラウン管事業からスタートし、2002年に新規事業としてバッテリー事業を加え、2010年には小型バッテリー市場でトップに立った。

サムスンSDIは第一毛織が持つバッテリー寿命などを向上させる二次電池セパレータ技術と有機素材技術を取り込むことでバッテリー事業の競争力を強化できると説明した。
また、第一毛織の合成樹脂事業をこれまでの電子、IT中心から自動車向けへと拡大することができるとしている。

サムスンSDIの社長は「電気自動車がうまくいくためには一度の充電で持続する時間が画期的に増えなければならず、充電時間も短縮されるべきだが、いま使っている素材ではできない。新しい素材を発掘しなければならない」と述べた。

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SKイノベーションは2013年7月8日、中国の自動車大手の北京汽車集団と、国有大型電子産業グループの北京電子控股 と3社合同でEV用リチウムイオン電池を製造する合弁会社を北京市内に設立したと発表した。

合弁会社の名称は北京電控愛思開科技で、北京電控が41%、SKイノベーションが40%、北京汽車が19% を出資する。
北京経済技術開発区にEV用リチウムイオン電池工場を建設、2014年6月の稼働を予定する。

製品は北京汽車傘下でEVの研究開発を手掛ける北京汽車新能源汽車に供給する。北京汽車は2015年までにエコカーの年産能力を15万台まで拡大する予定で、このうちEVは5万台を目指している。

SK イノベーションは旧称 SK Energyで、石油事業(SK Energy) と化学事業(SK Global Chemical)を分離し、2009年設立のSK Lubricantsとともに100%子会社とした。

SKイノベーションは2013年に、自動車部品世界大手のドイツのContinental AG とリチウムイオンバッテリーシステムの共同開発、製造、供給を行う合弁会社SK Continental E-motion  をベルリンに設立している。

ーーー

参考  2014/7/5   中国商務部、トヨタの中国ニッケル水素電池生産JVの設立を承認



2014/7/10   中国、アイスランド、スイスとのFTAが発効 

中国とアイスランド、中国とスイスのFTAが7月1日に発効した。
中国としては8番目、9番目のFTAで、欧州の国との締結はこれが初めて。

アイスランド

2013年4月15日、中国の李克強首相は、訪中したアイスランドのシグルザルドッティル首相と会談し、FTAを締結した。

中国はFTAを通じた経済協力の見返りに、アイスランドから中国が北極圏開発に発言権を持つことへの支持を取り付けた。

中国は、北極圏を通過してアジアと欧州を短距離で結ぶ北極海航路の開発など、北極海進出に意欲を示している。

北極圏開発のルールづくりを各国が話し合う北極評議会は2013年5月、中国と日本、韓国、インド、イタリア、シンガポールの6カ国を評議会の「オブザーバー」に加えることを決めた。

アイスランドの国家エネルギー機関(Orkustofnun)は2014年1月22日、中国海洋石油(CNOOC)に対し、北極圏での石油開発の認可を与えた。

2014/3/7  中国海洋石油(CNOOC)、北極圏油田開発に参加

また、中国は、地熱探査やグリーンエネルギーなどの分野での協力強化、氷河や火山、地震などの共同研究と技術協力、海洋と極地共同研究センターの構築に力を入れていきたいとしている。

2014年7月1日、中国・アイスランドFTAが発効した。

アイスランドは中国から輸入するすべての工業製品および水産品の関税をゼロにする 。これらは中国の対アイスランド輸出総額の99.77%を占める。

中国はアイスランドから輸入する関税分類で7380種類の製品にゼロ関税を実施 する。これらは中国のアイスランドからの輸入総額の81.56%を占め、アイスランドの主要輸出品の水産品も含まれている。

ーーー

スイス

中国とスイスのFTAは2013年7月6日に調印され、2014年7月1日に発効した。

スイスは欧州大陸および世界の経済国上位20カ国の中で、初めて中国とFTAを締結した国。

スイスは 中国の99.7%の輸出に対し、直ちにゼロ関税を実施する。
中国の工業製品に対する関税を撤廃し、農産品に対しても、ゼロ関税または関税の大幅減免を実施する。
スイスがFTAのパートナーに対して農産品市場をこれほど大幅に開放するのは初めて。

中国はスイスの84.2%の輸出に最終的にゼロ関税を実施する。
医薬製品、チョコレート、チーズ、電子機器、機械といった製品への関税も大幅に引き下げられる。
スイス製の腕時計に課す輸入税を今後10年間に60%引き下げる

中国は、スイスの先進的な時計の検査測定技術の導入を拡大し、中国の時計産業の発展レベルを引き上げる。
両国は漢方薬協力対話を展開し、漢方薬の「走出去」(中国企業の海外進出)を推進する。

政府調達、環境、労働者と就業の問題に関する協力、知的財産権、競争など、中国がこれまでのFTAの協議で直面することの少なかった規則に対し、たとえ国際基準がなくても、これを避けることなく「求同存異」(相違点は残し共通点を求める)の原則に照らし、多くの共通認識に達 した。
 

中国は、スイスにとってEU、米国に次いで3番目に大きい輸出相手国で 、2012年のスイスの中国向け輸出額は78億3000万スイスフラン、中国からの輸入額は102億9000万スイスフランだった。

ーーー

中国がこれまでに締結し、発効済みのFTAの相手国は以下の通り。 

  シンガポール   2004/11 発効
  チリ   2006/10/1 発効
  パキスタン   2007/7 発効
  ニュージーランド   2008/10/1 発効
  ASEAN   2010/1/20 発効
  ペルー   2010/3 発効
  コスタリカ   2011/8/1 発効

他に、下記の協定(地域間のFTAに相当)がある。

 香港 経済連携緊密化協定(CEPA)   2004/1/1 実施
 マカオとの経済連携緊密化協定(CEPA)   2004/1/1 実施
 台湾との海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)   2010/9/12発効
     

 


2014/7/11    天然ガスを巡るEUとロシアの攻防

ロシアの天然ガスの価格を巡るウクライナとロシアの交渉が決裂し、ロシアはウクライナ向けの天然ガス供給を停止した。

ロシアの欧州向け天然ガスは現在、ベラルーシ経由、ウクライナ経由、バルト海経由(Nord Stream) があるが、ロシアはウクライナを迂回するSouth Streamの建設を急いでいる。
2009年初めにウクライナ向け供給を停止した際に、ウクライナが
欧州向けのガスを抜き取ったため、欧州向けの供給も停止する事態になったことがある。

South Streamはロシアと中央アジアの天然ガスを欧州に送るもので、黒海の湖底を通って対岸のブルガリアに渡り、その後、2手に分かれる。
北西ルートはブルガリア、セルビア、ハンガリーを通ってスロベニア、オーストリーに通じる。
南西ルートはギリシャからイタリアに通じる。

当初、GazpromとENIとの均等出資で計画されたが、2011年にBASF子会社のWintershallとフランスのElectricite de France SAが15%ずつ参加し、ENIの比率は20%となった。

ロシアのGazpromとパートナーは2012年12月7日、南ロシアの黒海東岸の Anapa市でSouth Stream pipeline の着工式を行った。

2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工

ロシアとブルガリア、セルビア、ハンガリー、ギリシャ、スロベニア、クロアチア、オーストリアの各国との建設契約が締結されている。

これに対し、EUは2013年12月4日、各国が締結した建設契約はEUの法に違反しており、ゼロから再交渉する必要があるとした。

ウクライナは2013年に欧州連合との政治・貿易協定の仮調印を済ませたが、ロシア寄りの姿勢を見せるヤヌコビッチ前大統領が2013年11月、EUとの関係を強化する「連合協定」の締結を見送り、ロシアとの協力関係を密にする方針に転換した。

EUがこの時になって急に問題提起をした背景にはこれがあった。

South Stream pipeline 建設契約が反しているとされるEUの規則は、2007年9月に採択された第三次電力・ガス自由化パッケージである。

これはエネルギーに関する消費者の選択、フェアな価格、クリーンエネルギー、供給の保証を目的とするもの。
再生可能エネルギーに投資するなどの小企業でもエネルギー市場に参入できるようにするもので、具体的には、エネルギーの生産と輸送ネットワークの所有を分離する。これにより電線やパイプラインの所有者が、利用を拒否したり、高い価格を要求したりして参入を妨害するのを防ぐことを狙うものである。

South Stream pipelineについては、天然ガスの生産者であるGazpromがパイプラインを所有することになるため、これに違反するという主張である。
Gazpromの天然ガスだけを送るパイプラインは認められないとした。

ーーー

ロシアのPutin大統領は6月24日、オーストリアを公式訪問し、Fischer大統領と会談した。
同日、ロシア国営ガス大手Gazpromとオーストリアのエネルギー会社OMVは、ロシア産天然ガスをオーストリアに運ぶ South Stream Pipelineの新たな建設契約に署名した。

総延長2446km のうち今回、オーストリア国内分の約50kmのパイプラインを約2億ユーロで建設する 。
320億m3の天然ガスを同国に送る。

South Streamについては、EUの欧州委員会が「計画凍結」を求めているが、Putin大統領は同日の記者会見で「契約は何ら不自然ではない」と正当性を強調。「米国が欧州に自分たちのガスを売りたいのだ」と批判した。

Fischer大統領も「契約は有益なものだ」と説明した。

OMVは6月17日にEUに対し、South Streamプロジェクトの実現加速化を求めた。
「EUはSouoth Streamに関する交渉を遅らせるのではなく、逆に加速させるべきだ」と主張した。

ロシアのラブロフ外相は6月17日、セルビアのイビツァ・ダチッチ外相との会談後、セルビア政府がサウスストリームの建設工事を継続する意思を確認したことを明らかにした。

ラブロフ外相は7月7日には、ブルガリアの首都ソフィアでビゲニン外相と会談し、South Streamについて意見を交わした。

ブルガリアは先月、EUから法律違反のおそれがあるとの指摘を受けてパイプラインの工事を停止しているが、会談で両国は建設の必要性を確認した。
会談のあと、ビゲニン外相は「South Streamはブルガリアの国益にかない、建設を支持する」と話した。


オーストリアや東欧各国はロシアの天然ガスへの依存が大きく、ウクライナ経由のパイプラインに不安を持つため、South Streamへの期待が大きい。
これら各国は2009年にウクライナ経由の輸入がカットされ、被害を受けた経験を持つ。


2014/7/12    Fortune Global 500 に中国から100社

Fortuneは7月7日、最新の世界企業500社番付(Fortune Global 500, 2014)を発表した。
2013年の売上高によるランクである。
    http://fortune.com/global500/wal-mart-stores-1/

世界の500社の業績は、売上高で前年比 2.5%アップ、利益では27%アップとなり、景気の回復を表している。

SinopecとCNPCが前年3位のExxonMobil に代わり3位、4位を占めた。中国企業が同ランキングのトップ3入りを果たすのは、これが初めて。

中国本土からは95社が入り、台湾・香港・マカオを加えると100社がランク入りした。

トップ30社は下記の通り。

  社名 前年
1 Wal-Mart Stores 2
2 Royal Dutch Shell 1
3 Sinopec Group 4
4 China National Petroleum (CNPC) 5
5 Exxon Mobil 3
6 BP 6
7 State Grid Corporation of China( 国家電網
7
8 Volkswagen 9
9 Toyota Motor(日) 8
10 Glencore 12
11 Total 10
12 Chevron 11
13 Samsung Electronics (韓) 14
14 Berkshire Hathaway 18
15 Apple 19
16 AXA  保険会社 20
17 Gazprom(露) 21
18 E.ON 15
19 Phillips 66 16
20 Daimler 23
21 General Motors 22
22 ENI 17
23 日本郵政(日) 13
24 EXOR Group (伊) 26
25 Industrial & Commercial Bank of China(中国工商銀行) 29
26 Ford Motor 28
27 General Electric 24
28 Petrobras(ブラジル) 25
29 McKesson  米国最大規模の医療関連企業 42
30 Valero Energy 27
 

トヨタ、日本郵政以外の100位以内の日本企業は以下の通り。

45 ホンダ 45
51 JXホールディングス 44
53 NTT 32
61 日産自動車 47
78 日立 54


 



2014/7/14 日本の石化の将来に厳しい予想 

経済産業省が 経営コンサルタントのA.T.カーニー鰍ノ委託した「石油化学産業の市場構造に関する調査」の報告が公表された。

平成25年度石油産業体制等調査研究として、2013年12月に入札され、米国の経営コンサルタント A.T. Kearney の日本 子会社が受注した。

2014年3月付けの報告となっている。
 全文  http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004116.pdf

報告では前段で、日本の石油化学企業と欧米の企業との収益構造の比較を行っている。

日本の石油化学企業は、欧米の企業とくらべて営業利益率が低く、特に2009年のリーマンショック以降は以前の稼働状況に戻せていないための低稼働が利益率を引き下げるなどして、直近の営業利益率は比較的低位である。

日本のエチレン・プロピレンの生産の将来見通しについては、化学品の将来の需要に影響を与えるいくつかのキーとなる要素を組み合わせてシナリオを設定し、各シナリオについて日本の内需に対する影響を検討した。

先ず、第三者機関の予測をベースにしたベースシナリオは以下の通り。

上記のベースシナリオに対し、次の5つのリスク因子を考慮した。

<需要の変動を引き起こす要素>

@日本の需要

日本の製造業の空洞化の加速で、エチレン・プロピレン・ブタジエンの国内での需要は減少する。
海外移転企業は現地にて新規の調達を行う可能性が高い。

A中国の需要の減少

多くの予測では、中国の需要は今後も大幅な減速は無く経済成長を続け、需要が増え続けることを想定している 。
他方で、中国の人口構成をみると、2020年代以降に人口オーナス期に突入し、経済成長が停滞する可能性も存在する。
中国等の需要が大幅に減少するケースについても想定する必要がある。

中国の2012-2030年のGDPを低位ケースとした場合、需要はベースシナリオから20%程度下振れのリスクがある。

<供給の変動を引き起こす要素>

B北米の生産

シェール革命による北米の化学品コスト低下
いろいろなボトルネックがあり、第三者機関によるNGLの将来産出量には幅がある。
NGL産出量が上振れし、想定以上にボトルネックが解消されれば、オレフィンの生産量は一般の予測よりも上振れる。

C中国の増産

中国は石炭由来の化学品生産を大規模に進め、自給自足を目指す見込み。
どの程度の自給率に到達するか、国外輸出を目指すか、などによりアジアの市場環境は大きく変動することが想定される。

(2025〜2030) エチレン プロピレン
ベースシナリオ 45百万t/年 53百万t/年
最大 62百万t/年 62百万t/年

D中東の増産

中東の安価な随伴ガスの生産量には限りがある。
国家政策として、原油を製品化して販売することに注力してきており、原油・ナフサ由来の化学品を大量生産する可能性も考えられる。

(2025〜2030) エチレン プロピレン
ベースシナリオ 36百万t/年 11百万t/年
最大 45百万t/年 18百万t/年


日本のエチレン、プロピレンの生産量予想に当たっては、日本の需要減に中国の需要減が加わるケースと、日本の需要減に北米、中東、中国が増産するケースを考えた。

中国の需要が減少する場合は供給量はある程度調整されるために、双方のリスクが100%同時に発生することは無いという考え。
但し、中東は市場原理とは独立した判断により、下流側の産業の育成に力を注ぐと考え、日本・中国の需要減の場合も増産が行われるとした。

日本の国内生産への影響が最大となるシナリオの場合で、エチレン生産は、現状6.7百万トンのものが2020年で4.8百万トン、2030年で3.1百万トンとなり、プロピレン生産は、現状5.2百万トンのものが、2020年で3.7百万トン、2030年で3.3百万トンとなると予想している。
 
日本のエチレン、プロピレンの生産量予想 (百万トン)
シナリオ エチレン   プロピレン
現状 METI
 2018
2020 2030 現状 METI
 2018
2020 2030
日本の需要減 &
中国の需要減 &
中東増産
6.7 6.1 5.0 4.3 5.2 5.3 4.2 3.9
日本の需要減 &
北米、中東、中国の増産
4.8 3.1 3.7 3.3

いずれのシナリオも荒唐無稽なものではなく、十分在り得るものである。

ーーー

経産省は6月13日に世界の石油化学製品需給動向(2014年)を発表した。

2018年の日本のエチレン、プロピレンの予測は以下の通りで、今回の報告は これを大きく下回る。

千トン エチレン プロピレン
能力 6,438 5,848
生産 6,061 5,287
需要 5,460 4,271

 

 

METIは年初から、「石油化学産業市場構造研究会」を設置、エチレンセンター各社参加の下、石化産業の将来展望、競争力強化策の検討を重ねてきた。
近く予定されている最終報告では、今回の報告も客観的調査による需給見通しとして示される。

問題は、人員整理が難しいなか、どのような形で撤退していくかである。

 


2014/7/15   大宇造船、砕氷LNG運搬船9隻を28億ドルで受注

韓国の大宇造船は7月8日、 大宇造船海洋 (Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering ) がカナダ、中国、日本の海運会社と17万立方メートル級ARC7 砕氷LNG船9隻に対する受注契約を締結したと発表した。

西シベリアのYamal ProjectのLNGを輸送するためのもので、 カナダのTeekay Corporationと中国の中国液化天然気合資企業(China LNG)が合弁で設立したTK &CLNGが6隻を、日本の商船三井(MOL : Mitsui O.S.K. Lines)と中国海運(集団)総公司 (China Shipping (Group) Company) が合弁で設立したMOL & CSLNGが3隻を発注した。受注総額は28億4000万ドルに上る。

Yamal LNG は合わせて16隻の砕氷LNG船を発注する方針で、大宇造船は3月にロシア国営海運会社 Sovcomflot から最初の1隻を受注し ている。同社の受注はこれで10隻となる。

Putin大統領が国産を強く主張し、大宇造船の受注が一時棚上げになった。

ARC7 は最大2.1mの厚さの氷を砕きながら運航できるLNG運搬船で、氷点下52度まで耐えられるよう、外部パイプラインを船内に配置し、船員移動通路に熱線処理をするなど防寒処理技術を適用する。

新造砕氷LNG船の概要
  主要寸法 : 全長 299m、幅 50m
  船型 : 172,000m³メンブレン型
  アイスクラス/仕様 : ロシア船級 ARC7 / 極寒地を対象とした特別仕様
  砕氷航行能力 : 船首砕氷バウ構造、船尾3軸PODプロペラ
   最大砕氷能力 氷厚2.1m (後進時)
  造船所 : Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co., Ltd.

 
 

これらの船は2020年上半期までに建造され、西シベリアのヤマル半島の天然ガスを開発するYamal Project に投入される。
Yamal LNGプロジェクトは北極海に面するオビ川河口にあるが、1年のうち9カ月は氷に閉ざされる。

最大氷厚2.1mの氷海において単独砕氷航行可能な仕様となっており、ロシア・ヤマル半島サベッタ港のYamal LNG基地から、通年にわたり世界各地への輸送に従事する が、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航される。

ヤマル半島から日本までは約18日、欧州までは約11日で航海する。
北米ガルフコーストからパナマ運河を経由してLNGを輸入するのに約25日必要とされ、ヤマル半島からはこれより7日早く運べることとなる。

また、欧州 から日本までは、従来のスエズ運河経由 で約40日かかるが、北極海航路では約30日と、10日短縮できることとなる。

商船三井では、「世界で初めて砕氷LNG船を使用した本プロジェクトへの参画は、当社にとって大きなマイルストーンになる。北極海航路における過去に例のない大型プロジェクトで 、このプロジェクトへの参画を通じて、北極海航路運航のために必要なノウハウおよびリソースを蓄積して、当社事業の核である海上輸送サービスの一層の充実と拡大に取り組んでい く」としている。


Yamal LNG はYamal半島のSouth Tambey ガス田を開発する。推定埋蔵量は1兆2500億m3で、年間1650万トンのLNGの生産が可能。
LNG基地を含む投資額は200億ドルとされる。

Yamal LNG にはロシア天然ガス2位のNovateが60%を出資、フランスのTotalが20%、中国のCNPCが20%を出資する。

日揮がフランスのTechnipと共同で、このLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等を受注している。

同地に多機能海港のSabetta港の建設が進められており、LNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

2013/4/8  日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注

北極海航路が航行可能となる7月から11月は東側へ船を進め、ベーリング海峡経由で日本等に輸送する。西欧へは通年輸送する。

ロシア海運最大手ソフコムフロートは2010年8月25日、北極海を初めて横断航行している同社傘下の大型タンカーBaltika が北極海航路の難関部分の通過に成功し、ロシア東端のチュコト(チュクチ)自治管区Pevekに達したと発表、「大型船舶の運航の可能性が実証された」と表明した。

タンカーは北欧に近いMurmanskを出港。天然ガス副産物の軽質原油コンデンセート約7万トンを積み、数隻の砕氷船を伴い、難関部分の約2,500カイリを予定より早い11日間で航行、今後の運航に役立つデータも集めた。

2010/9/1  北極海横断航路で初輸送 

2012年11月7日には、GazpromがStatoilの生産したLNGをノルウェーのHammerfestでLNG船オビ・リバー号に積み込み、ベーリング海峡を通り、12月5日に北九州市戸畑区の港に到着した。原子力砕氷船を同行させた。


 


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