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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2016/12/1 米、中国の「市場経済国」認定見送り 

米政府は11月23日、中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」と認定しない方針を明らかにした。

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中国は2001年12月にWTOに加盟した。

その際、中国以外のWTO加盟国が、中国産品についてAD 措置又は相殺措置に係る調査を行う際の価格比較及び補助金額の算定に関し、中国を「非市場経済国 (Non Market Economy)」として扱う特例が、加盟後15年間認められた。

WTO協定では「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国で、すべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、規定の適用上比較可能な価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める」と規定している。

この結果、「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。

これまでにロシア、ブラジル、ニュージーランド、スイス、オーストラリアなど81国(2016/2時点)が中国の市場経済国家の地位を認めた。
しかし、米、EU、日本、カナダなどの多くの国々や地域は未だに承認していない。

中国は、中国を「非市場経済国」とする根拠となっている条項は15年が経過する2016年12月11日に失効するため、自動的に「市場経済国」へ移行すると主張している。

2016/2/12 中国の「市場経済国」認定問題

ーーー

プリツカー米商務長官は11月23日の記者会見で、「市場経済国への移行は機が熟していない」と述べた。

中国は15年の経過で移行するとしているが、長官は、「WTO協定は中国が市場経済国に自動的に移行するとは定めていない」と主張した。
そのうえで、移行の条件は法律で決めれれた6つの基準に従って決めるとし、「現時点では機が熟していない」とした。

米国では、1930年関税法第771条(18)(B)で、ある国が非市場経済国であるかどうかを判断する基準が次のように決められている。

 1)どの程度当該国の通貨が他国通貨と交換可能であるか、
 2)どの程度労使間交渉により賃金水準が決まっているのか、
 3)どの程度外資による投資が認められているか、
 4)どの程度政府が生産手段を統制するのか、
 5)政府による資源配分、価格、および生産決定に対する統制はあるのか、
 6)その他当局が適切であると考える要因

鉄鋼製品など中国の安値輸出に歯止めをかける狙いがある。

中国は過剰生産設備の解消が遅れ、鉄鋼などのダンピングが世界的に問題視されている。

中国が「市場経済国」になれば、ダンピングの判断は中国の輸出価格が中国国内の価格に比べて安い場合となる。
しかし、国内の設備過剰により鉄鋼製品の国内価格が国際価格よりも大幅に安いため、輸出価格が第三国の国内価格より安くてもダンピングとみなされないこととなる。

  中国国内価格 中国輸出価格 第三国国内価格
非市場経済国の場合:    

ダンピング認定可

市場経済国の場合:

ダンピングでない

   
これに対し、中国外務省は 「中国が市場経済を発展させた成果は世界が認めている」と強調した。

トランプ次期大統領は大統領選中、「為替操作国である中国からの輸入品に45%の関税を課す」と主張してきた。当選後はこの件に触れていないが、中国には危機感が強い。

ーーー

EUは2月2日、中国をWTO協定上の「市場経済国」と認めるかどうかの協議を始めた。

欧州議会は5月に中国の「市場経済国」としての扱いに反対するとの決議を採択し、欧州委員会に対して本件についての適切な措置を提案するよう求めた。

欧州委員会は7月20日、中国を12月以降に「市場経済国」として扱う 場合、どのような政治的、経済的及び法的な影響がもたらされるかを中心に、3つの選択肢について審議したと発表した。

 @中国を「非市場経済国」としているEUの現行法制を維持する 。
 A中国を「非市場経済国」のリストから外し、ダンピングの認定手続き等について通常の方式を適用する。
 BWTO加盟国としてのEUの国際的な義務を履行する一方で、貿易上の防御制度を抜本的に見直し、新たな方式によりダンピング問題等に対処する 。

審議の結果、欧州委員会はWTOの法的な枠組みの下でのEUの国際的な義務を尊重するとともに、現在の実態 :特に、現存する鉄鋼製品等の過剰生産問題:に対処することができる新たな貿易上の防御手段を備える必要があるとの点で意見が一致した。

WTO上の義務に違反して中国から損害賠償を求められるおそれのある事態を回避し、同時に「市場経済国」として認定することによってもたらされると考えられる安値競争に対抗できなくなるという事態をも回避するために、EU域内での新たな通商上の救済措置を策定することを選択したこととな る。

欧州委員会は11月9日、輸入製品が不当にEU域内で安く販売された場合に適用する、反ダンピング課税の算出に関する制度改正案をまとめた。
鉄鋼の過剰生産などで域内企業を脅かす中国を念頭に、WTOルールとの整合性を保ちつつ、制度の実効性を確保するのが狙い。

まず、輸入品のダンピング判定に関しては、中国を含む15カ国を指定している非市場経済国のカテゴリーの廃止を提案する。

一方で、国家介入によりゆがめられていると見なされる市場を有する国に対し、反ダンピング税算出の特別な公式を策定することを目指している。
これにより中国製品への反ダンピング税は現行水準で維持できることとなり、域内の経済成長や雇用に障害となる安い中国製品の大量流入の可能性に対する産業界の懸念と政治的懸念の双方に対処できる。

これに対し中国は、EUが中国の「市場経済国」としての地位を完全には認めていないことに政府は失望していると述べた。

EUの提案は、 中国が「非市場経済国」であるとの認定を取り下げるものだとみなすが、欧州委員会が「著しいゆがみ」が生じた場合の条項を盛り込んだことに失望していると述べた。

「現状をひそかに維持することを許容したに過ぎない」と述べ、新しい基準は「公正で合理的かつ、透明性を持つべきであり、新しい形で差別を行うものであってはならない」と主張した。

付記 人民日報は次のように伝えている。

EUはすべてのWTO加盟国に対して統一的に反ダンピング調査を行い、中国のみを対象とする調査方法を改める。中国はもう「差別」されないように見えるが、実際には新提案はすべてのWTO加盟国に対する反ダンピング調査に、「市場経済国」の認定手続きを加えている。これはEUが、中国を対象とする反ダンピング調査に「代替国」基準を適用し続ける「裏口」を設けたようなものだ。
 

日本は外交関係も考慮して市場経済国か否かを明確にせず、事実上は非市場経済国としての対応を取るものとみられる。

付記 経済産業省は12月8日、中国のWTOでの立場について、引き続き「市場経済国」と認定しないことを決めたと発表した。


2016/12/2 財務省、中国など5カ国を特恵関税の対象から除外 

財務省は11月24日の関税・外国為替等審議会で、特恵関税制度の対象国の要件を見直し、2019年度に実施する方針を示した。

現在は「高所得国」を対象外としているが、これを、3年連続で「高中所得国」で、かつその国の輸出額が世界の輸出額の1%以上の国も対象外とする。

新規定では、高中所得国に属している中国とメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの5カ国が適用対象外となる。

EU とカナダ も同様の制度改正を行っている。

この報道を受け、中国商務部の報道官は24日の定例記者会見で、次のように述べた。

報道に注意している。中国は今なお世界最大の発展途上国だ。中国の経済規模は世界2位だが、一人あたり平均GDP、都市部・農村部の発展、社会福祉などでは先進国とはまだ大きな開きがあり、近代化実現への道のりは依然として遠い。

中日はともに世界の貿易大国であり、お互いに重要な経済貿易パートナーであり、両国経済は相互補完性が高く、協力の発展は双方の利益に合致しており、双方がともに努力し、同じ目標に向かって進み、中日経済貿易関係の健全な発展を後押しし、グローバル経済の成長に貢献することを願う。

ーーー

特恵関税制度は、開発途上国を原産地とする特定の輸入品について、一般の関税率よりも低い税率を適用して、開発途上国の輸出所得の増大、工業化の促進を図り、経済発展を支援しようとするもので、日本では1971年8月から実施している。

対象国については、

農水産品については、一部の品目を対象としており、その関税率は品目ごとに異なる。
鉱工業品については、一部の例外を除く全ての品目を対象としており、その関税率は原則として無税だが、一部有税のものがある。

後発開発途上国(LDC)からの輸入に関しては、特別特恵関税制度で、ほぼ全ての品目に対して無税が適用される。

現在の特恵関税の対象国は、国際復興開発銀行(世銀)が公表する統計において、「高所得国」に分類される国又は地域以外となっており、現在は138カ国と5地域が対象で、そのうち47カ国が特別特恵受益国となっている。

2016年度の世銀統計では、2014年時点の1人当たり国民総所得により分類している。

高所得国 $ 12,736 以上
高中所得国 $ 4,125 超 $12,736未満
低中所得国 $ 1,045 超 $4,125 未満
低所得国 $ 1,045 以下
現在のルールでは、前年までの3か年の世銀統計において、連続して「高所得国」に分類された国は 特恵対象から除外することとなっている。(特恵卒業国)

今回、ウルグアイ、セントキッツ・ネーヴィス (セントクリストファー・ネーヴィス)、チリの3カ国がこれに該当し、2017年度に卒業する。

過去には、EU加盟国は、上記の条件に関係なく、EU加盟に伴って対象から外れた。

今回、現在の要件に加え、3年連続で、@「高中所得国」以上に該当し、かつ、A世界の総輸出額に占める当該国の輸出額の割合が1%以上で国を対象外とする。
実施は2019年度が適当としている。

背景には、特恵制度の適用実績では、便益を享受している国が一部の高中所得国に偏在していることがある。

2015年度の一般特恵輸入額実績
   高中所得国     1兆320億円
   低中所得&低所得国     390億円

このなかで中国は、日本の輸入額の4分の1を占める。
2015年度に優遇税率を適用されたものの6割が中国からの輸入品。

そのなかで、中国など5カ国は急速な経済成長で輸出競争力を上げており、輸出額が世界の輸出額の1%以上を占めている。

EUとカナダが同様の改正を行っている。

  特恵除外 改正時期 特恵対象国
EU 「3年連続で高中所得国に該当」 2014年1月 177→85
カナダ 「2年連続で高中所得国に該当」、かつ、
「2年連続で世界の総輸出額の1%以上」
2015年1月 175→103
日本 「3年連続で高中所得国に該当」、かつ、
「3年連続で世界の総輸出額の1%以上」
2019年4月 143→138

 


2016/12/3   Reliance、世界初の大型エタン輸送船を受け取り

Relianceはこのたび、サムスン重工業の巨済市の造船所で世界初の大型エタン輸送船(Very Large Ethane Carrier:VLEC) 2隻、Ethane Crystal と Ethane Emerald  の引渡しを受けた。

Relianceが2014年に発注した6隻の最初の2隻で、輸送量は87,000 m3、これまでで最大のエタン輸送船である。
フランスのGaztransport et Technigaz SA (GTT) の新しいメンブレンを使用している。

LNGやエタンの輸送には球形独立タンク方式(モス方式)とメンブレンタンク方式がある。後者は船体内部に防熱材を取り付けてその表面をメンブレン(金属の薄膜)で覆っ
た構造となっている。メンブレンは貨物漏れ防止の液密を保持することが目的である。

本船はGTT社製のMarkIII メンブレン型のカーゴタンクシステムおよび再液化装置を搭載しており、約 -92℃の液化エタンを輸送する。
LNG船が約 -162℃、LPG船が約 -42℃の貨物を想定しているのに対して、VLECはいわば両者の中間に位置づけられる。

価格は1隻 120百万ドル。

商船三井(Mitsui O.S.K. Lines)が2014年12月にこれらの船の管理の契約を締結した。2016年末より順次竣工を予定するVLEC6隻の建造を監督し、竣工後は長期契約のもと本船の船舶管理および運航を行う。

日本の海運会社として初めて、本格的な液化エタン輸送に参入する。

ーーー

Reliance は米国のシェールのJVからの年間150万トンのエタンをインドのGujarat の石化コンプレックスに輸送する計画。

RelianceはMarcellus shaleでChevron及びCarrizo Oil & Gasとの2つのJVを持っている。

Reliance Industries は2010年4月9日、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得する契約を締結したと発表した。

Relianceは、Atlasが権利を持つ合計30万エーカーの未開発鉱区のうち不可分の40%の権利を取得する。
操業はAtlasが行うが、Relianceは将来、Atlasの主操業地区以外で操業を行うオプションを持つ。

Reliance は権利取得に339百万ドルを支払うとともに、7年半の開発期間中に自社枠の開発投資のほか、Atlas分の開発投資の75%(13.6億ドルが限度)を負担する。

その後、2010年11月にChevronがAtlas Energyを買収すると発表した。

2010/4/15  Reliacne Industries、Atlas Energy と組んで Marcellus Shale を開発

Relianceは2010年8月、Carrizo Oil & Gas Inc.とのJVを設立し、Marcellus shaleの鉱区の60%の権利を取得した。

同鉱区では、Avista Capital PartnersのACP II Marcellus LLCと.Carrizoの50/50JVが権利を持っていたが、RelianceはAvistaの権利全てとCarrizoの権利の20%を合計392百万ドルで取得することで、権益の60%を取得する。

Relianceは更に、Eagle Ford Shaleでも権益を有している。

Reliance Industries は2010年6月24日、米国のPioneer Natural Resources CompanyとJVを設立し、PioneerのEagle Ford Shaleの45%を取得すると発表した。

この計画に16%の権益をもつNewpek LLCも権益の一部を譲渡、JVの比率はPioneerが46%、Reliance が45%、Newpekが9%となる。
JVは289千エーカーの鉱区のうちの91%の権益を保有する。

Relianceは対価として13.15億ドルを支払う。

Pioneer Natural Resources と Reliance はその後、このEagle Ford Shale からのコンデンセートや天然ガスを集荷、処理するためのJV Eagle Ford Shale Midstreamを50.1/
49.9で設立した。

しかし、PioneerとReliance は2015年6月1日、Eagle Ford Shale MidstreamEnterprise Products Partners L.P.に21.5億ドルで売却する契約を締結した。

2010/7/3 Reliacne Industries、Pioneer Natural Resources と組んでテキサスのShale を開発


2016/12/5    OPEC、8年ぶり減産合意 

 
OPECは11月30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶり(国別)の減産で合意した。

総会では9月28日のアルジェリアでの臨時総会で合意した日量3,250万〜3,300万バレルの下限である3,250万バレルに減産することで加盟国がまとまった。
2017年1月1日から実施し、実行をチェックするためのHigh-level Monitoring Committeeの設置を決めた。

発表文では「OPEC14カ国の生産枠を3,250万バレルとする」としているが、報道されている国別枠の合計では32,682千バレルで、現状からは1,164千バレルの減産となる。 (「現状」は新生産枠と減産量から逆算したもので、10月の外部ソースの実績とは一致しない。)

当初は全加盟国に減産協力を求めるサウジと、減産の適用除外を求めるイランが対立していた。また、政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指していた。

今回、アルジェリアの仲介で、イランへの譲歩に難色を示してきたサウジが軟化し、下記の調整をすることで合意に達した。

政情不安などで生産量を落としているナイジェリアとリビアは減産の適用を免れた。

昨年、OPECに再加盟したインドネシアは、石油の純輸入国であることから減産への参加を見送り、加盟を一時停止した。

イランはかねて、米欧の経済制裁前の生産量である日量400万バレルへの回復を主張してきた。
今回の合意では、現状の生産量を9万バレル上回る380万バレル弱の生産量を割り当てた。

これ以外の加盟10カ国は現状から4.6%の減産となる。
当初はイランなどの例外措置の分をサウジが引き受けると見られていたが、そうはなっていない。

OPECでは、生産調整に協力する姿勢を示すロシアなどの非加盟国と12月上旬に協議する 。

非加盟国の合計で60万バレルの減産を求める考えで、非加盟国の参加を減産実施の条件とする。
OPEC議長国カタールのサダ・エネルギー相は総会後の記者会見で、「ロシアは30万バレルの減産に応じる」と述べ、他の非加盟国にも減産への参加を呼びかける。

今回、約120万バレルの減産が決まったが、新しい生産枠は2016年の第1四半期の生産量より多く、たいした減産ではない。
原油市場の需給は2017年に均衡に向かう
見通しだが、シェールオイルが増産する可能性が高く、高価格が続く可能性は少ない。

ーーー

OPEC発表の生産実績(外部ソース)と報道による国別の減産量と新しい生産枠は下記の通りとなる。

ーーー

OPEC生産枠の推移は下記の通り。(千バレル/日)

  2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 2009/1 2012/1 以降
Algeria 794 1,357 1,357 1,357 1,286






Iraq
 含まず

 

 

Iraq
 含む
 

 
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817 3,618
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531 2,399
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712 1,623
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163 2,050
Qatar 663 828 828 828 785
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943 8,477
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567 2,433
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470 2,341
Angola     ー     ー 1,900 1,900 1,801
Equador     ー     ー 520 520 493
Iraq (ー) (ー) (ー) (ー) (ー) (ー)
Indonesia 1,370 865 865

離  脱

2015再加盟
Gabon

離   脱

2016再加盟
Total 25,800 27,253 29,673 28,808  27,300 24,845 30,000

枠なし

 


2016/12/6   Trump 次期大統領、米空調大手のメキシコ移転阻止

米航空機エンジン・機械大手 United Technologies 傘下の空調大手 Carrier は11月30日、メキシコに移転予定だったインディアナ州のIndianapolis 工場の1,000人の雇用を維持することで、Trump  次期大統領と Pence 次期副大統領(同州知事)と合意したと発表した。

Carrier は2016年2月にメキシコ移転を発表 した。Indianapolis 工場は閉鎖となる。移転は2017年に始まり、2019年に完了、約1,400人の雇用が犠牲になる。

Trump 氏はCarrierが2月のメキシコへの生産移転を発表した直後からこれを批判しており、最近も同社の名前をあげて移転を阻止する方針を明らかにしていた。

しかし、会社側は計画を進め、7月には労働組合が退職条件で会社側と合意している。

大統領選挙での勝利を受け、Trump氏はCarrier の親会社のUnited Technologies のGregory Hayes CEOに電話し、計画取り止めを求めた。CEOがメキシコに新工場を建設済みだと反論したのに対し、「貸すか、売るか、壊すかしろ。知ったことか」と応えたという。

インディアナ州知事でもあるPence 次期副大統領とHayes CEOが水面下で交渉した。

今回の合意に伴い、インディアナ州はCarrierに10年間で700万ドルの助成金を支給する。

具体的には以下の通り。

The Indiana Economic Development Corp. (インディアナ経済開発公社)[email protected]に対し、平均時給 30.91ドルで 1,069人の雇用を維持する条件で、

1)  年50万ドルの税額控除を10年間行う。(計500万ドル)

2)  従業員訓練費用の補助金として100万ドルを支払う。

3) Carrierが同工場に将来投資をすることを条件に100万ドルの税額控除を行う。

Carrierはこの取り決めで、工場の従業員1400人中 800人前後と本社の開発・ 管理要員など 300人前後の雇用を継続する。

United TechnologiesのCEOは、Indianapolis 工場を維持するため2年間で1600万ドル以上を投資すると表明している。

合計でも1年当たり70万ドルの助成で、工場移転で想定していたコスト削減効果のごく一部に 過ぎない。

米メディアによると、Carrier はメキシコでの平均賃金を日給11ドルと見込んでおり、30.91ドルとは大きな開きがある。
1,069人をメキシコに移す場合の人件費の差は年間 45百万ドルに達する。

親会社のUnited Technologies は子会社にジェットエンジン製造のPratt & Whitney を持つ防衛関連のコントラクターで、連邦政府向けの売上高は全体の約10%の56億ドルもある。連邦政府はまた、同社に15億ドルの研究開発費を払っている。

メディアでは同社とTrump 次期大統領との間でなんらかの約束があるのではないかと見ている。

United Technologiesが軍用機事業で政府側の取引停止など報復を恐れたとの報道もある。
Trump次期大統領はUnited TechnologiesのCEOに対し、メキシコ移転で失業する従業員の多くを救済する道を探さなければ、次期政権の怒りを買うと警告していた。

同社は「Trump - Pence 次期政権がビジネス社会を支え、国内ビジネス環境の改善と競争力強化を進める方針を力説したため、今日の合意に至った」と表明した。

Trump次期大統領は12月1日に同工場を訪問した際、他の企業へのメッセージとして、生産を海外に移す企業が製品を米国に輸入する際、その製品に厳しい関税を課するとの誓約を実行する積もりだと述べた。「我々は米国の労働者を守らねばならないということをCorporate America は理解する必要がある」と述べた。

12月4日のツイッターでは海外移転企業の米国への輸入品に35%を課税すると述べた。

また、NAFTAは「全くの災害」と批判し、「それは変わるだろう」と見直しの必要性を改めて示唆した。

Ronald Trump は10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表している。
その中で、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとし、「TPPからの撤退宣言」と「米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」などを挙げている

2016/11/11 トランプの公約 

今回、Carrier はメキシコに雇用を移す予定であった1400人のうち、800人をIndianapolis 工場に残すが、残り600人分の雇用をメキシコ工場に移す。Carrier は更に、インディアナ州Huntingtonの工場を閉鎖し、700人分の雇用をメキシコに移す予定である。

United TechnologiesはCarrier のほかに Pratt & Whitney(ジェットエンジン)やOtis (エレベーター)を持ち、20万人を雇用するが、そのうち米国での雇用は1/3に過ぎない。

ーーー

米国の資本主義はルールと法をベースにする。

Carrierに関しては、次期大統領は飴と鞭を使って自分の望むようにやらせた。

Reagan 大統領の空港管制官ストライキへの対応は小さな行動だったが大きな影響を与えた。今回のことも小さなことだが、そうなるのではなかろうか。

大統領が、国民が何を求めているか見当をつけ、それを国民に与えるよう企業に圧力をかけるのが良いことだという原則が確立されつつある。

中国が自分の意思をどんどんと課している香港のように、我々は、ルールに基づく資本主義(rule of law capitalism)からその場しのぎの合意に基づく資本主義 (ad hoc deal-based capitalism) への逆行の第一歩を踏み出したのかも知れない。

大統領は大きな権限を持つ。しかし、その使用を制限するのが、我々と独裁国 (banana republics ) との重要な違いの一つだ。

もし、企業が大統領の望む場所に工場をつくり、大統領の再選の選挙資金を寄付し、大統領が望む人を雇用し、大統領が望む研究開発を行い、大統領が支援したい人に金を貸すなら、どうなるか?

私が間違っていることを望むが、結果として我々がより貧しくなるだけでなく、より不自由になると考える。


2016/12/7 米政府、中国企業による独社の米子会社買収を禁止 

半導体製造装置メーカーのドイツのAixtron は 2016年5月23日、中国の福建芯片投資基金 (Fujian Grand Chip Investment Fund:FGC) が ドイツ子会社の Grand Chip Investment (GCI) を通じて同社を買収することで合意したと発表した。

GCIはAixtron の全発行済み普通株式の取得を目指してTOBを実施する。買収総額は約6億7000万ユーロにのぼる見込み。

Aixtron は1983年創業で、ドイツのヘルツォーゲンラートに本社を置く。買収手続き完了後も、ヘルツォーゲンラートの本社と技術拠点、および英国のケンブリッジと米国カリフォルニア州 Sunnyvale にある技術拠点を維持する。

これによりAixtron は中国市場に事業を拡大し、アジアでの地歩拡大を図ることができる。Aixtron は 2015年12月、中国Sanan Optoelectronics(三安光電)の発注キャンセルを受けて業績見通しを引き下げ、株価が43%下落した。

ーーー 

これに関し、オバマ米大統領は12月2日、Aixtron のカリフォルニア州の子会社 Aixtron Inc の買収を禁止すると発表した。軍事利用が可能な技術が対象に含まれ、米国の安全保障の脅威になると判断した。

Aixtronは発光ダイオード(LED)照明やレーザーなどに使う化合物半導体の製造技術を持つ。研究機能のある米子会社がこの技術に重要な役割を果たしているという。
また取引先には米防衛大手 Northrop Grumman が含まれる。

窒化ガリウム(GaN)ベースの新しい半導体技術が問題になったのではとされる。

米財務省の声明は、今回の買収に関し「中国政府が資金調達で支援している」と指摘した。

対米外国投資委員会(CFIUS)がAixtron の技術が軍事用途に使われる可能性があると判断しており、米子会社買収が「緩和措置を講じても解決できない安全保障上のリスクをもたらす」と強調した。

米国は外国からの米国内直接投資を歓迎するが、国家安全保障を保護するための例外を設けている。
外国投資委員会(CFIUS)が審査を行い、投資内容が米安全保障にかかわるものと大統領が判断した場合には究極的には買収案件を拒否できる。

まずCFIUSが外資による投資の予備審査をした後、同委員会が必要と認める案件についてのみ、本審査を行い、最終的に大統領の決定を仰ぐ。
財務省が議長となり、国土安全保障省、商務省、国防総省、国務省、司法省、エネルギー省、通商代表部、労働省、国家情報局がメンバーとなる。

ホワイトハウスが米国の安全保障リスクを理由に海外の買い手による投資を拒否するのはここ 4半世紀余りで3度目となる。

最初は 1990年2 月にGeorge Bush大統領が行ったもので、China National Aero-Technology Import and Export Corp(中国宇宙航空技術輸出入公司)による航空機部品メーカーのMAMCO Manufacturing, Inc.の買収である。

オバマ大統領は2012年9月28日、「国の安全保障に関わる」として、中国系企業Ralls Corp. によるオレゴン州の米海軍施設近くの風力発電企業4社の買収と所有を禁止し、本年取得した所有権を放棄することを求めた。

2012/10/4  オバマ大統領、米国内での中国企業の風力発電買収を阻止 

しかし、これについては、2015年11月4日、三一重工と米国政府の間で全面和解に至った。

三一重工側が訴訟を撤回し、米国政府も大統領令の強制執行を撤回する。
Ralls Corp.は風力発電企業4社を第三者に売却できる。
外国投資委員会(CFIUS)はRallsが買収した他の風力発電事業が国の安全保障上で問題がないことを認め、将来の更なる投資を歓迎する。

実質的には三一重工の勝利である。

2015/11/10 中国の三一重工、米国での風力発電買収阻止事件で米政府と和解、実質勝利 

今回が3度目で、オバマ政権としては2度目である。

これを受け、Aixtron は12月3日、「大統領令は米国事業に限られ、GCIが Aixtron 株を取得することは禁じていない」との声明を出し、米子会社を除いた買収に切り替える方針を示した。

中国外交部は12月2日、買収は通常のコマーシャルなM&Aであり、市場のルール、原則に従って取り扱うべきだと述べた。

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ドイツ政府は9月8日に買収を承認しているが、10月21日にこの承認を取り消し、買収の審査手続きを再開すると発表した。

ドイツ政府は、今回の米国の決定とは無関係としている。

FGCでは、買収を撤回しないとし、認可取り消しの法的な影響を精査しているという。

 

付記

福建芯片投資基金は12月8日、独 Aixtron の買収取り止めを発表した。声明の中で「米大統領が禁止の決定を下さないことが買収の必要条件だった」との説明を行っている。

米子会社を除いた買収も検討したが、戦略拠点の米子会社が除外され、独政府の認可の行方も不透明なことから買収を断念した。


2016/12/7  ソフトバンク孫社長、米に500億ドル投資 

ソフトバンクグループの孫正義社長は12月6日、Trump 次期米大統領とニューヨークの Trump Tower で45分間会談した。

孫社長は、米国のスタートアップ企業などに500億ドルを投資し、5万人の雇用を生みだすと約束した。

Trump 氏は会談後、孫社長とともにTrump Tower のロビーに現れ、孫氏を「業界で最もすばらしい男の1人」とたたえた。

孫氏は記者団に対し、「我々はもう一度、米国に積極的に投資をすると話した」と語り「会談は大成功だった」と述べた。米国で規制緩和が行われ、再びビジネスをやる国になることを期待しているとしている。

Trump氏はその後、自身のTwitterでこれを発表した。孫社長は、Trumpが勝たなければやらないと述べたという。

Masa (SoftBank) of Japan has agreed to invest $50 billion in the U.S. toward businesses and 50,000 new jobs....

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Masa said he would never do this had we (Trump) not won the election!

孫社長は具体的な投資先については明らかにしていないが、投資は今後4年間で行われる。

会談は孫氏から申し入れ、共通の友人を介して実現した。

総額1,000億ドルにもなるとされる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(仮称)を通じての投資と思われる。

付記

孫社長はTrump 次期大統領とともに記者団の前に現れた際、写真の紙を示した。

次の4年に米国に500億ドル+70億ドルを投資し、米国に50千人+50千人の雇用を生むとなっており、Softbank に加え、Foxconn鴻海精密工業)の社名が示されている。

鴻海の要請で追加したという。

鴻海精密工業は12月7日、米国内での事業拡大に向けた協議の初期段階にあると明らかにした。「投資規模は未定だが、当社首脳と米関連当局との直接協議が完了後に詳細を明らかにする」との声明を発表した。

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ソフトバンクグループは10月14日、グローバルにテクノロジー分野へ出資することを目的とした私募ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(仮称)の設立を決定したと発表した。

ソフトバンクグループは、今後5年間で少なくとも 250億米ドルを本ファンドに出資する。

また、サウジアラビアの公的投資基金(Public Investment Fund :PIF) との間で、主要な資金パートナーとして本ファンドへの出資を検討することについて、覚書を交わした。
さらに、本ファンドへの出資を目的に、複数のグローバルな大手投資家たちと協議中で、1,000億米ドルとなる可能性がある。

2016/10/17 ソフトバンクグループ、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立 



2016/12/8 イタリア国民投票、憲法改正を否決 

イタリアでは、第2次世界大戦後の1948年に施行した憲法によって、上院と下院が完全に対等な力を持っている。

ファシスト政権を生んだ戦時の反省から、政党の暴走を抑止するために設計された仕組みだが、法案の審議に時間がかかり過ぎることが欠点とされてきた。

マッテオ・レンツィ首相は、これが政策運営を進めにくくしている構造的な要因だと考え 、改革に取り組んだ。

まず、2015年5月に下院新選挙法を成立させ、2016年7月に施行された。

下院は比例代表制で、「プレミアム議席制度」がある。

第一回投票で最も多くの得票を得た第一党に、得票に関係なく、全630議席の54%に相当する340の「プレミアム議席」が与えられる。(40%の最低得票率を超える政党がない場合は上位2党で決戦投票を行う。)

残りのうち、277議席は2位以下の政党及び政党連合に比例配分する。
他の12議席は国外在住者選挙区定数で、残り1議席は有効投票の最多数を獲得した候補者を当選人とする。

これまでは、プレミアム議席制度は複数の政党が組んだ政党連合にも及ぶため、プレミアム議席を狙って、政策的な主張が一致しない党とも政党連合を組む現象が起こり、連立政権がまとまらず、政権の不安定化を招いてきた。

改正で、プレミアム議席(340議席)の配分先から政党連立が除外され、第一党のみが配分対象となる。 第一党は議席の過半数を握り、政策を進めやすくなる。

憲法改正は上院の改革で、上院と下院が対等である現在よりも、上院の権限を大幅に縮小する一方で下院の力を高める仕組みを構築しようと いうものである。

・ 上院の立法権限を制限し、憲法改正など一部の例外を除き、法案成立に上院の議決を必要としない。
・ 上院は下院が可決した法案の修正を求めることが出来るが、下院がこれに従う義務はない。
・ 政権発足時の内閣信任投票は下院のみで必要となり、上院で信任投票は行われない。
・ 上院が内閣不信任動議を提出することはできない。
・ 終身議員を除いた上院の定数を、現在の315人から100人に削減する。うち95人は地方議会によって選出され、5人は大統領が指名する任期7年の議員。

これにより、上院を諮問機関的な役割を担うものに変更し、実質的な一院制にする。
7月に施行された改正選挙法で最大政党が「ボーナス議席」を得て過半数を確保できるようになったのと併せ、レンツィ氏の政治制度改革が実現することになる。

首相は憲法改正が実現した場合、法案成立のスピードは大幅にアップし、さらに年間5億ユーロほどのコスト削減が可能になると訴えていた。

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本来、政治改革の是非を問うはずだった国民投票は、首相の「負けたら退陣」発言でレンツィ政権発足後の2年間の成果に対する信任投票の意味合いを帯びてしまった。

イタリア国民の多くは、レンツィ首相の政策によって景気が回復したという実感に乏しく、中東やアフリカ地域からの移民が増え続けるなど、イタリアの課題を何も解決していないと考える人が多い。

イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票は12月4日開票され、改正案は賛成 40.89%、反対 59.11% で否決された。

これを受けて、改憲を推進していたレンツィ首相は引責辞任すると表明した。

野党の決定的な勝利で、主導したのは共通通貨ユーロからの離脱も主張する大衆主義的な「五つ星運動」である。
「五つ星運動」は、次の総選挙での勝利と、EUとの関係見直しを目指すとしており、政権獲得の準備に着手した。

党名の「五つ星運動」は社会が守り抜くべき5つの概念で、水資源 (public water)、持続可能性な発展 (sustainable development) 、持続可能な交通 (sustainable transport)、環境主義 (environmentalism) 、インターネット社会 (right to Internet access) を指す。

今後、EUに懐疑的な政党が躍進した場合、EUの混乱はさらに広がるのではないか、との懸念が生じた。

イタリアには、金融機関の不良債権問題もある。

イタリア銀行3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行 は7月に経営再建策を発表した。

モンテ・パスキは年末までに50億ユーロを調達する必要があるが、政治不安から見通しがついていない。憲法改正案が否決され、首相が辞意を表明したことから政治的不透明感が高まり、資金調達が難しくなった。

公的資金の投入が必至だが、EUのルールが障害となる。

金融危機を受け、EUでユーロを使う国々は各国でばらばらだった金融行政を一元化する「銀行同盟」を進めた。
銀行の破綻処理のルールも1月から施行し、まず銀行の債券などを持つ投資家に一定の割合の損失を負わせることにし、公的資金の利用を制限する仕組みにした。

しかし、イタリアでは銀行の債権者に個人投資家も多いため(個人が銀行債を預金に近い感覚で購入している)、このルールを適用すれば反発を招くおそれがある。 
個人投資家は20億ユーロに上る劣後債を保有している。

2016/8/1 欧州銀行監督機構の欧州の銀行の健全性審査とMonte dei Paschi 銀行の再建策

暫定首相が指名されると、国がいくら拠出し、投資家(特に劣後債の保有者)がどの程度の損失を負担するか、といった最終的な救済策の詳細について議論が始まるとみられる。

付記 

モンテ・パスキは12月7日、救済計画の完了期限を3週間延長し2017年1月20日とするよう要請したが、ECBの監督委員会は12月9日の会合でこの要請を拒否した。延期することで得られる効果はほとんどなく、イタリア政府が介入する時期に来ていると判断した。

 


2016/12/9 ドイツの憲法裁判所、原発廃止で原発事業者の補償請求権を認める

2011年の福島第1原発での事故を受け、ドイツ政府が自国の原発の停止を命じたことについて、ドイツの連邦憲法裁判所は12月6日、原発を操業していたエネルギー企業各社が補償を求める権利を認める判断を下した。

原発事業者のRWE、E.ON とスウェーデンに本社を置く Vattenfall の3社が所有権、職業及び事業の自由を侵害されたとして、憲法裁判所に訴えていたもので、3月15日から2日間公判が行われた。3社とも脱原発に異議はないとした上で、適切な損害賠償(190億ユーロ)を求めた。

2002年に当時のSchröder政権(ドイツ社会民主党と緑の党の連立政権)が原子力法を改正し、原発の運転年数を32年と定めて順次停止し、2022年までに原発を廃止すること、原発の新規建設は認めないことを決定した。

しかし、2009年にMerkel 政権(キリスト教民主・社会同盟と自由民主党の連立政権)が成立し、方向転換した。

1980年以前に稼働を開始した原発7基の稼働期間を8年、1981年以降に稼働を開始した原発10基の稼働期間を14年延長する「エネルギー計画2050」を決定し、2010年12月に原子力法を改正した。

ところが、2011年3月11日の福島第一原発事故で、この決定が覆ることになった。メルケル政権は、すべての原発を2022年までに廃止するという以前の決定を受け入れることになった。

争点となっているのは、2011年の原発8基の即時停止及び、2022年までの稼働期間制限が国家による収用に相当するか否かで、事業者側は、2002年に締結された脱原発契約における脱原発までに生産可能な「残留電力量」が、憲法の保証するところの所有権にあたるという主張した。

これに対し、政府側は、「残留電力量」は当時の政府の予想電力量であり、事業者に生産の権利を保証したものではないという見解で、それが減ったからと言って損害賠償を求める根拠にはならないとした。

8人の憲法裁判所判事たちは、「所有権」の根拠に疑念を抱いていることを匂わせた。
判事の一人は「収用」の条件として、国家が物資を統治権に基づいて調達し、自らそれを使用した場合又は使用する意図を持っていた場合を挙げ、原発による発電量の制限はこれに当たらない、という見解を明らかにした。

今回の判決で、憲法裁判所の主席判事は「福島の事故をきっかけとして国民の健康と環境を守るために議会が原子力発電からの脱出を加速させたことは容認できる」と述べた。
さらに段階的廃止の決定自体も合法だとしながら、企業側が政府から「適切」な補償を受け取る権利があると認めた。

2011年の法律が補償に関する規定が欠けているとしたが、電力会社の資産の収容であるという主張は否定し、補償額に限度があることを匂わせた。

憲法裁判所は補償額の決定は行わない。政府に対し、2018年央までに補償額を決めるよう指示した。Goldman Sachs は補償額を、EONの場合は7億ユーロ、RWE の場合は4億ユーロ程度と予想している。

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電力各社は、これとは別に、政府を相手に個別に損害賠償を求める訴訟を行っている。

停止命令を受けたRWEは直ちに訴訟を起こし、2014年1月にドイツ最高行政裁判所から停止命令が違法であるとの判決を得た。
(2014年8月にRWEは連邦政府とヘッセン州政府を相手取って、235百万ユーロの損害賠償の支払いを求める民事訴訟を起こしている。)

ドイツ北部ハノーバーの地方裁判所は7月4日、エネルギー大手E.ON が政府などに計約380百万ユーロ(約434億円)の損害賠償を求めた訴訟で、請求を棄却した。

E.ON が命令を受けた時点で法的措置を取らなかったためとしている。E.ONは一時停止であると考え、損害賠償訴訟にかかる時間は一時停止期間を上回るとの判断から、提訴を行わなかった。しかし2011年6月に議会はこれらの原子炉の閉鎖を決めた。
裁判長は、「E.ONが直ちに訴えを起こしていれば、運転停止による損失を回避できた可能性がある」としている。

電力会社EnBW も、Neckarwestheim 1 原発とPhillipsburg 1 原発の停止命令に関し、RWE訴訟での判決を受け、261百万ユーロの賠償を求め訴えたが、Bonn 地裁は2016年4月、これを却下した。停止命令を受けた時点で、直ちに全ての法的措置を取らなかったとしている。

なお、もう1社の電力会社で、スウェーデンに本社を置く Vattenfall は、ワシントンの投資紛争解決国際センター (ICSID)に47億ユーロの賠償を求め、訴えている。

2016/7/12 ドイツの原発停止訴訟、電力大手の敗訴続く


2016/12/10 米国産LNGの初輸入 

東京電力と中部電力の共同事業会社 JERA は12月8日、米国産LNG 約7万トンを2017年1月初旬に輸入すると発表した。

JERAは、燃料上流・調達から発電まで火力発電事業のサプライチェーン全体に係る包括的なアライアンスのために2015年4月30日に設立された。

東京電力フュエル&パワーと中部電力が折半出資している。

事業:
 燃料上流事業、燃料調達事業
 燃料輸送事業、燃料トレーディング事業
 国内火力発電所の新設・リプレース事業
 海外発電・エネルギーインフラ事業

 両社の既存火力発電事業のJERAへの統合は、2017年春頃判断するとしている。

  2015/4/20 東京電力と中部電力、共同事業会社JERAを設立

LNGの調達先はCheniere Energyで、同社が運営するルイジアナ州のSabine Pass LNGプロジェクトで生産されたLNGを購入した。

12月7日に LNG船 Oak Spirit に積み込まれた。2017年1月初旬に、中部電力のLNG基地に到着、上越火力発電所で使用される。

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Cheniere Energyは2016年2月にブラジル向けに米国のLNGの初輸出を行った。

2016/2/27 米国のLNGの初輸出 

2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出されたが、同社は、多国間での自由貿易協定を目指すWTO加盟国へのガス輸出を禁止することが正当かどうかの判断を政府に求め、エネルギー省は2011年5月、同社に条件付きですべての貿易相手国への輸出を認めた。

同社はSabine Pass に年産450万トンの液化設備 7系列(合計年産 3,150万トン)を建設中で、第1、第2系列が既に完成している。

このうち、1〜5系列分(能力合計2,250万トン)について、既に6社との間で年 1,975万トンの20年間の長期販売契約を締結している。

契約概要は下記の通り。

相手先 年間数量
 万トン
固定費
$/MM Btu
製造系列 完成時期
BG Group(英) 350 2.25 第1系列 2016/4-5
200 3.00 第2, 3, 4 系列  
GasNatural(スペイン) 350 2.49 第2系列 2016/8
Kogas(韓国) 350 3.00 第3系列 2017/4
Gail (インド) 350 3.00 第4系列 2017/8
Total (仏) 200 3.00 第5系列 2019/8
Centrica (British Gas) 175 3.00 第5系列  
合計 1,975      

FOB価格は、原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)。
15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージン。

第1、第2系列合計900万トンのうち、BGが350万トン+α 、GasNatural が350万トンの長期契約を締結しており、残りはCheniere Marketingが、長期契約ベースではなく、スポットで販売する。

今回のJERAの購入はこの分である。今回の購入はスポットのため上記の価格フォーミュラは適用されない。

しかし、このベースでの日本着価格は次のようになる。(10月のHenry Hub天然ガス価格に15%の口銭を乗せ、加工賃3ドル、運賃3ドルとした)

現在の価格では日本の輸入LNG価格より割高となるが、日本の輸入価格は原油価格スライドが中心で、原油価格の上昇で、今後10ドル近くまで戻る可能性はあり、その場合、米国産LNGも競争力を持つ。



 

2016/12/10 米国議会、来年4月28日までの暫定予算を可決 

米上院は12月9日午後11時16分に、2017年4月28日を期限とする連邦政府の暫定予算案を賛成 64票 反対36票で可決した。

昨年とほぼ同レベルの支出を政府に認めるもので、Hurricane Matthew の災害対策など若干の追加を含んでいる。

4月29日以降についての本格予算はトランプ次期政権が発足してから審議する。

現在の暫定予算は12月9日に期限切れを迎えるため、審議が遅れれば2013年10月以来の政府機関の閉鎖の恐れもあった。ギリギリの可決である。

2014年度が開始する2013年10月1日には暫定予算も成立せず、政府機関が一部閉鎖された。

2013/10/1   米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

米下院は前日の12月8日に暫定予算案を賛成 326票、反対 96票賛成多数で可決し、既に休暇に入っていた。
(このため、上院で法案を修正しても、下院での12月9日の修正はできない。上院議員の一部はこれを無責任として強く非難している。)

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2016年10月1日から始まる2017会計年度の予算について、12月9日までの暫定予算が決まり、オバマ米大統領は9月29日に署名し、成立した。

2016/10/5 米国、2017会計年度も暫定予算でスタート 

債務上限問題については、2015年10月に債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長して、乗り切っている。

    2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名 

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上院民主党は、元探鉱労働者への医療費給付の期限延長を共和党が拒否したことに反発、採決繰延の可能性も出た。

問題は、米国の多くの炭鉱が破産しているが、破産企業の労働組合員の炭鉱夫2万人に対する医療保険が年末に打ち切りになること。

暫定予算案ではこれを来年4月まで延長することとしているが、炭鉱を抱える州の民主党議員がより長期の延長を求め、政府閉鎖を人質にした。
炭鉱夫も議会前でデモをし、議員を訪問し、訴えた。石炭復活をうたい、大統領選で票を得た Trump 陣営にも訴えた。

しかし強硬派はフィリバスターに必要な41票を確保できず、期限切れ直前に暫定予算案を可決した。

フィリバスター制度で、演説を長時間続けて議事妨害することが出来る。
フィリバスターを宣言するだけでフィリバスターが有効となるが、上院の5分の3以上の議員(60人以上)が打ち切りに賛成した場合は、1時間以内に演説者は演説をやめなければならない。

破産企業の労働組合員の炭鉱夫2万人に対する医療保険は来年4月まで延長されるが、それ以降については今後の議論となる。

 


2016/12/12 SamsungとAppleの特許権裁判で米連邦最高裁、下級審に差し戻し、賠償金大幅引下げへ  

 
米連邦最高裁は12月6日、特許権をめぐるAppleとSamsungの裁判について、Samsung に多額の罰金支払を命じた控訴審判決の一部を無効として連邦巡回区控訴裁判所に差し戻した。

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AppleとSamsung の特許訴訟で、特許訴訟を専門に扱う米連邦巡回区控訴裁判所は2015年5月18日に、SamsungがAppleの複数の特許を侵害したと認定、賠償額は 548百万ドルとなった。

これを受け、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われた。

しかし、Samsung は2015年12月14日、米最高裁判所に上告し、上記の548百万ドルのうちのデザイン特許に対応する399百万ドルについて、意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか、またどのような賠償を請求できるのかについて指針を示すことを求めた。

2016年10月11日、連邦最高裁でヒアリングが行われた。連邦最高裁が上訴を認める確率は1%にも満たない。
最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは、1800年代にスプーンの取っ手、カーペット、鞍、ラグなどに関するものが最後で、
約120年ぶりとなる。

ヒアリングは Samsung に有利な方向で進んだ。

2016/3/26 米最高裁、Samsung とApple のデザイン訴訟を審理

2016/10/21 Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で米最高裁のヒアリング

連邦最高裁は、Samsung による上告のうち、「デザイン特許が製品の1つのコンポーネントにのみ適用される場合、そのコンポーネントに起因する部分に限定して侵害による利益を算定すべきではないか」という点についてのみ上告を受理し、審査した。

デザイン特許に関しては、1887年に制定された特許法289条の規定を根拠に、製品の全体の価値(Entire Market Value:EMV)ルールに基づく算定が現在も行われている。

第289条 意匠特許の侵害に対する追加的救済

(2)特許意匠若しくは実質的に周じ意匠が利用されている製造物品(“article of manufacture”)を販売した者、若しくは販売のために展示した者は、$250を下回らない総利益を特許権者に支払う責任を負い、当該回収は当事者に対する管轄権を有する合衆国地方裁判所において行われる。

Samsung はこの all-profits rule をスマートフォンのような複雑で多くの部品からなる製品に適用するのはフェアでないと主張した。

控訴審では、スマートホンのfront face やスクリーンは個別に売られていないため、スマートホン全体が “article of manufacture”であるとし、製品の総利益で罰金を計算した。

今回、最高裁はこの考え方を否定し、多くの部品からできた製品の場合、“article of manufacture”は最終製品である必要はなく、その製品の部品であってもよいとした。

第289条に規定する “article of manufacture” は 手作業または機械により製造された物品を示すに過ぎず、最終製品のほかにその部品も含んでいる。

特許法§171(a)では、“design for an article of manufacture” をデザイン特許の対象としているが、特許庁も裁判所判決も、多くの部品でできた製品の特定部品のデザイン特許を認めている。今回の解釈はこれと矛盾しない。

  “article of manufacture” 損害賠償のベース
従来の判決 最終製品
(部品は売られていない)
最終製品の総利益
今回の最高裁 販売対象とは限らない。
部品もあり得る。
部品の利益相等分

判決文 https://www.supremecourt.gov/opinions/16pdf/15-777_7lho.pdf

その結果、控訴審による狭い意味での解釈は289条に一致しないとして判決を差し戻し、最高裁の意見に従った判断を示すよう命じた。裁判官 8人全員一致である。

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Samsung は上告に当たり、「この判例が効力を持った場合に影響を受けかねない大小すべての米国企業のために、米最高裁判所に上訴することが重要であると考えている」と述べているが、多くの企業、団体がSamsung を支持する法廷助言書(amicus curiae)を提出した

Google、Facebook、eBay、Hewlett-Packard、Dell、Vizioなどの各社に加え、スタンフォード大学やジョージタウン大学などの法律専門家、Public Knowledgeや電子フロンティア財団といったNPO、Computer & Communications Industry AssociationやHispanic Leadership Fund などの権利擁護団体がそれぞれ提出した。

いずれもSamsung の要求を支持するもので、 「最近の判決は一部装飾的な特許を違反したとの理由で (スマートフォンのような)複雑な革新製品の全体を侵害したと見なしており、憲法的価値と合わない」と述べ、最高裁に対して、デザイン特許に関する定義を明確にすることや、この特許の侵害に関する賠償金の額を制限することなどを求めている 。

これはSamsungに好意をもってのことでなく、情報技術業界の利益がかかる問題であるためだと見られた。

Samsung は、「今回の記念碑的判決で、市場の公正な競争や技術発展が促進されることを期待する」と述べた。
 


2016/12/12 OPEC と非加盟国、原油の協調減産で合意

OPECとロシアなどの非加盟の主要産油国は12月10日、ウィーンのOPEC本部で閣僚会合を開き、協調減産で合意した。

OPECは11月30日に国別としては8年ぶりの減産で合意した。日量1,164千バレルの減産とし、2017年1月以降の生産枠を32,684千バレルとしたが、非加盟国の参加を減産実施の条件としていた。

2016/12/5    OPEC、8年ぶり減産合意

参加したのは、ロシア、メキシコなど、合計11国で、ロシアが日量300千バレル、メキシコが100千バレルなど、合計558千バレルの減産を約束した。これにより、OPECと合わせて1,722千バレルの減産となる。

参加国と減産量は下記の通り。(千バレル)

ロシア 300
メキシコ 100
オマーン 40
アゼルバイジャン 35
カザフスタン 20
バーレーン 小計  
63
ブルネイ
赤道ギニア
マレーシア
スーダン
南スーダン
非加盟国合計 558
OPEC 1,164
合計 1,722

減産の実施状況を確認するため、アルジェリア、クウェート、ベネズエラのほか、非加盟のロシアとオマーンの5カ国で構成する監視委員会を設置する。


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OPECと非加盟国の協調減産は2001年以来となる。

OPECは1999年4月以降、減産目標を強化したが、非加盟国のメキシコ、ノルウェーほか4カ国合計で388千バレルの減産を約束した。

その後、2001年12月に、OPECの要請に応じ、アンゴラ、メキシコ、ノルウェー、オマーン、ロシアが合計462.5千バレルの減産を声明、OPECは2002年1月から6ヶ月間、1,500千バレルの減産を実施した。

今回はそれ以来となる。

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但し、この協調減産により原油価格が一時的に上昇したとしても、その後も上昇が続くかどうかは疑問である。

米国のシェールオイルの生産コストは50ドル台前半にまで下がってきているとされ、シェールの増産で価格が抑えられると思われる。

 


2016/12/13 福島第一原発の処理費用 21.5兆円

経済産業省は12月9日、東京電力の経営再建策を検討する有識者会議「東京電力改革・ 1F問題委員会」で、福島第1原発の廃炉や損害賠償・除染などの事故費用が、現状の約11兆円の予想からほぼ倍増し、21.5兆円になるとの試算を公表した。これらの費用を確保するために、東電に原子力や送配電事業の再編・統合を求め、収益力を高めることを明記した。

福島第1原発事故の処理費用の見積もりと、その負担案は下記の通り。(単位:兆円)

  従来

今回

負担

  増加理由 東電 他電力 新電力
廃炉 2.0 8.0 燃料デブリ取り出し 2.0→8.0      
賠償 5.4 7.9 営業損害、風評被害
新たな賠償項目
2.7→3.9 2.7→3.7 0→0.24   
除染 2.5 4.0 工事費などの増加 2.5→4.0      
中間貯蔵 1.1 1.6       1.1→1.6
合計 11.0 21.5   7.2→15.9 2.7→3.7 0→0.24 1.1→1.6

1)  廃炉費用  東電負担

管理型積立金(東電がコスト削減などによって捻出した資金を原子力損害賠償・廃炉等支援機構機構に積み立て)

2)  賠償費用

当初案 東電を含む原子力事業者が負担

東電がコスト削減などによって捻出した資金を機構に積み

今回案 新電力も負担

増加分は2.4兆円で、経産省は「本来は電力会社が原発事業を始めた時から、事故に備えて一般負担金を積み立てておくべきだった」ものの不足分で、大手から新電力に移行した消費者も含め「過去分」の負担金を請求する。

この分を2020年から40年間、新電力も支払う送電線使用料(託送料)に上乗せし、上乗せ額は電気料金に転嫁される。

新電力負担分を1/10の 0.24兆円とした。40年回収とすれば、年額60億円で、託送料金0.07円/kWh(一般標準家庭で18円/月)となる。

この案には自民党内からも費用の上ぶれなどを懸念する声が出た。このため、経産省は12月12日、託送料に上乗せする上限を2.4兆円にする方針を明らかにした。新電力負担上限は0.24兆円となる。

賠償額がさらに増える場合は従来の負担方法で対応する。

 

3) 除染費用  東電の株式売却益で充当する。

東電の収益力を拡大し、将来の株式売却益を増やす。

現状年間 0.4兆円の利益を、0.5兆円に。(送配電コスト改革)
更に柏崎刈羽原発 2基再稼動で、0.1兆円

国は1兆円で株式取得、腰を据えて売却益4億円を実現

中部電力との共同発電会社(JRRA)による既存火力も含めた統合
送配電事業の共同事業体設立(共同調達、火力調整電源の共同運用、連系線の共同投資、デジタル化対応、海外展開)
原子力事業の共同事業体設立(共同調達、安全防災の共同投資、廃炉の事業化、海外展開)

付記

政府は12月20日、福島の帰還困難地域に限り、除染をインフラ整備などの公共事業と位置づけ、国が負担することを決めた。3〜5千億円を見込む。

 

4) 中間貯蔵 電源開発促進税を充てる


なお、経産省は12月12日、上記の処理費用のなかに、帰還困難区域の復興拠点の整備費用や、炉内の燃料デブリ取り出し後に生じる廃棄物の処分費が含まれていないことを明らかにした。総額が21.5兆円から更に増加することが確実である。

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河野太郎衆院議員の「ごまめの歯ぎしり  河野太郎の国会日記」(2016/12/7) は、原発ゼロの会(8党・会派及び無所属の衆参国会議員78名が参加、共同代表:自民党の河野太郎と民進党の近藤昭一) 役員の談話 「東電賠償・廃炉費用、老朽炉廃炉費用の託送料金上乗せについて」を掲載している。


「電 力システム改革貫徹のための政策小委員会」と「東京電力 改革・1F問題委員会」で議論が進んでいる。

国民的議論はもちろん国会の関与も一切ないままに原則を歪めた国 民負担増大案がまとめられるのであれば言語道断である。これまでに提 案されている託送料金上乗せ案には根拠がないか飛躍した 論理が用いられており、そもそも議論の前提となる数字等も十分に公開 されていない。

原発ゼロの会は各種費用の託送料金上乗せに反対するとともに、「原 発の後始末費用」については原則に立ち返るべきであると強く主張する。

■ポイント
【総論】
1. 既に東電賠償・廃炉費用は国民負担に転嫁されはじめている
2. 東電債務超過回避のために費用見積りを隠すべきではない
3. 老朽炉の廃炉関係費用の見積りを明らかにすべき

【東電賠償・廃炉費用について】
4. 原賠機構一般負担金「過去分」はあり得ない
5. 「使用済燃料再処理等既発電費」の前例を悪用すべきではない
6. 1F廃炉費用の託送料金上乗せの根拠がない
7. 1Fへの廃炉会計制度(廃止措置資産)適用には歯止めがない
8. 東電破綻処理、株主・貸し手責任の完遂が前提

【老朽炉の廃炉費用について】
9. 「安全神話」の反省がない
10. ベースロード電源市場とのバーターにすべきではない
11. 廃炉促進の特別法で分割償却を担保すべき
12. 託送料金上乗せは電力会社に不当な損益改善効果
13. 会計制度を歪めるべきではない
14. 「原発は安い」というコスト計算に意味はない

 

「そもそも、事故リスクを過小評価し、事故費用の備えを怠ったどころか、 リスクに備えると原発が危険だと思われる恐れがあり、また投資に金が嵩 むことから、賠償費用の備えをせず安全投資も抑えた国及び電力会社 の甘い判断の問題である。『安全神話』を流布させてきた責任を棚に上 げ、賠償の原資不足を電気利用者全員で負担しろと言うような、事故検 証と断絶した費用負担論は認められない。」


2016/12/14 欧州中銀、量的緩和の規模を縮小、実施期間は延長 

欧州のユーロを使う19カ国の金融政策を決める欧州中央銀行(ECB)は12月8日の理事会で、量的緩和政策の実施期間を9カ月間延長し、少なくとも2017年12月末まで続けることを決めた。
ただ、2017年4月から国債などの購入規模を現在の月800億ユーロから月600億ユーロに減らす。

ECBは拡大を続けてきた量的緩和の方向を転換するが、市場の状況などで物価が上がらない場合は、買い入れ規模の再拡大や実施期間の延長をする考えも示した。

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ECBは2015年1月22日、定例理事会を開き、ユーロ加盟国の国債などを購入し、資金を大量に金融市場に供給する「量的緩和政策」の導入を決めた。

ユーロ圏は物価が下落し続けるデフレの懸念が強まっており、量的緩和はこれを払拭する狙いで、量的緩和の導入は1998年のECB創設以来初めて。

量的緩和政策の概要は下記の通り。

1) 2015年3月から2016年9月末まで、毎月 600億ユーロ、総額1兆1400億ユーロの金融資産を買い取る。

2) ユーロ圏の全加盟国の残存期間2〜30年の国債を購入対象とする。購入はECBへの出資比率に応じて行う。

3) 購入した国債の信用が低下し、国債価格が急落して、ECBに損失が生じた場合、
          損失の2割は全加盟国で分担
          残る8割は、国債を発行した国の中銀が負担。

4) ギリシャの場合、EU、ECB、IMFの3機関で構成する国際債権団がまとめた支援プログラムの条件を順守する必要がある。

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2016年4月、買い入れ規模を当初の月600億ユーロから月800億ユーロに増額した。

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当初案では量的緩和は2016年9月末までとなっていたが、ECBは2016年9月8日、3つの政策金利の据え置きと量的緩和(QE)プログラムの現状維持を発表した。

主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利を0.00%で据え置く
下限政策金利である中銀預金金利はマイナス0.4%、上限政策金利の限界貸出金利は0.25%で維持した。

ECBは2016年3月10日、追加緩和で -0.4%に引き下げた。

 

資産購入規模は月額800億ユーロの現状を維持し、少なくとも 2017年3月まで実施し、必要に応じその後も継続すると確認した。

いずれにしても、インフレ率が中銀の目指す方向に沿った軌道で持続的な調整が認められるまで続けると表明した。

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今回、量的緩和政策の実施期間を9カ月間延長し、少なくとも2017年12月末まで続けることを決めたもので、2017年4月から国債などの購入規模を現在の月800億ユーロから月600億ユーロに減らす。

  当初期限 買い入れ規模
2015/3〜 2016/9 月 600億ユーロ
2016/4〜   月 800億ユーロ
2016/9 2017/3
2017/4〜 2017/12 月 600億ユーロ

買い入れ規模の縮小を決めた背景には、物価上昇が緩やかに続いていることがある。

ドラギECB総裁は、 原油価格の上昇などに後押しされて物価が上向くと説明。2019年の消費者物価上昇率が1.7%と、政策目標である「2%未満で、その近辺」に近づくとのシナリオを示した。

しかし、ドラギ総裁は「(量的緩和の規模を段階的に縮小 して終了する)Tapering は議論していない」と繰り返した。市場の状況などで物価が上がらない場合は、買い入れ規模の再拡大や実施期間の延長をする考えも示した。

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米国は2012年9月にQE3 を開始し、以降、毎月850億ドルの債券買い入れを行ってきたが、2014年1月には、債券買い入れ規模を減らし、その後、毎月の債券買い入れを順次減少させ、2014年11月には買い入れをゼロとした。

そして、2015年12月16日に、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識に立ち、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%〜0.25% から0.25%〜0.50% に引き上げ、2016年中に4回の利上げを予想した。

2015/12/17  米国、利上げ

その後、利上げを見送ったが、12月13日〜14日の連邦公開市場委員会では利上げが決まると予想されている。


2016/12/15   ロシア政府、Rosneft の株式 19.5%をスイスのGlencore とカタール投資庁に売却へ

 


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