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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp


2017/7/1 ベルギー、原発閉鎖へ5万人の「鎖」 
 
原子炉に多数のひびが見つかっているベルギー南部 HuyのTihange 原発2号機などを巡り、6月25日、周辺住民ら 5万人超(主催者発表)が手をつな ぎ、Tihange 原発前から Liege、オランダのMaastricht を経てドイツ西部Aachen に至る3カ国にまたがる約90キロの「人間の鎖」をつくり「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。
 


ベルギーの原発は下記の通り。

原発 万kW 運転開始 運転停止
BR(Belgian Reactor)
   Molの原子力研究所内
3  1.0 1962 1987
Doel  1 43.3 1974 2015→2025
2 43.3 1975 2015→2025
3 100.6 1982 2022
4 100.8 1985 2025
Tihange 1 96.2 1975 2015→2025
2 100.8 1982 2023
3 105.4 1985 2025

稼働中の7基はフランスのエネルギー大手GDF Suez 傘下のベルギー電力大手Electrabelが運用する。

ベルギーは2025年までに国内の原発を段階的に全廃する原則を盛り込んだ脱原発法を制定している。

Doel原発の1、2号機、Tihange1号機は建造から40年が経過しているため、2015年の閉鎖が一度確定していた。しかし、ベルギーでは代替エネルギーの確保が遅れ、電力供給不安が発生していることから、2009年10月に、事業者が再生エネルギー研究・開発へ資金提供することなどを条件に10年間延長された。

エネルギー担当相は、「現在の情況を考慮すると2025年までの脱原発は現実的ではない」と語っている。
 

Tihange 2号機はDoel 3号機と共に2012年に圧力容器に微細なひびが見つかり運転停止した。
原子炉は1年間運転停止、2013年に再稼働したが、安全性の欠陥のため何度も停止した。2号機の圧力容器外壁には9cmにも及ぶひびが2000か所見つかった。

Federal Agency for Nuclear Control は2015年11月に再稼働を認めたが、その後の定期検査中に内在有害欠陥に変化があるかどうかをモニターすることとした。

超音波検査の結果、5月5日に、ひびが広がっていないこと、新しいひびがないことが分かったと発表、再稼働を認めた。

Doel 3号機も2016年11月の定期検査中に同じ超音波検査を行い、異状がないことを確かめ、2016年12月に再稼働した。

今回、周辺住民らが「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。オランダ、ドイツとの国境が近いため、両国の住民も「人間の鎖」に加わった。

ベルギーは電力の約55%を原子力発電に依存している。
 


2017/7/3   世界の石油化学製品の需給動向 (2017) 

METIは6月28日、2021年までの世界のエチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。

            http://www.meti.go.jp/press/2017/06/20170628004/20170628004.html

結論(要約):

1.中国の石炭化学の動向等

石炭化学プロジェクトは、公表済みの約50件の計画(エチレン換算で約1700万トン)のうち、稼働済みのものを含め、2017年末までに19プロジェクト(同600万トン)が実行される見込み。
しかし、CTO(Coal to Olefin)やMTO(Methanol to Olefin)のナフサに対するコスト競争力が低下し、プロジェクトの実施は後退しており、今後どの程度実行されるかは不透明な状況。

一方、エチレンの生産能力は、原料の多様化、環境問題等に対応する新規エチレンプラント構想が打ち出されるなど、ナフサクラッカーも含めた新増設計画の進展により、2200万トン(2015年)から3600万トン(2021年)まで増加する。

プロピレンについては、PDH(プロパン脱水素法)による採算が確保可能との観測から、新規プロジェクトの急速な進行が見られ、生産能力は2700万トン(2015年)から4000万トン(2021年)まで増加する。

2.米国のシェール革命の影響

シェールガス由来の新増設エチレンプロジェクトは、ナフサに対する絶対的な価格競争力は変わらない。

2017年秋までに新規エチレンプラントが稼働するのを皮切りに、今後、エチレン生産能力の増強が本格化する見込み。その結果、エチレンの生産能力は2900万トン(2015年)から4000万トン(2021年)まで増加する見込み。

3.世界の需要見通し

世界全体のエチレン系誘導品の需要量の伸び率は、堅調な中国内需とインド、ASEANの伸びに支えられ、引き続きアジアが需要の伸びを牽引し、2015年〜2021年で年平均3.0%となる見通し。

プロピレン系誘導品についても同様に、世界の経済成長に応じて、引き続きアジアが需要の伸びを牽引し、2015年〜2021年で年平均3.4%となる見通し。

4.需給バランスのポイント

エチレン系誘導品は、中国では生産能力が増加するが、それを上回る伸びで需要が増加し、2021年には需要超過幅が2000万トン(2015年1700万トン)に広がる。

一方、中東では主にイランでの生産能力増加の影響から、2021年には2100万トン(2015年1700万トン)の供給超過になる。

北米では輸出増を目的とした新規プロジェクトの稼働が続くと見込まれ、供給超過幅が2021年には1300万トン(2015年810万トン)に広がる。

 

プロピレン系誘導品の需給バランスは、中国ではPDHプロジェクト等の進展に伴い、需要超過幅は緩和し、2015年に470万トン、2018年には230万トンまで需要超過幅は縮小するが、その後は再び拡大し、2021年には430万トンになる。

いずれも、能力比では需要との差は更に大きく拡大する。


概要は以下の通り。

1.世界のエチレン系誘導品

1)生産能力 2)需要

   3)バランス (百万トン)

    世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2015 能力 168.1 66.9 27.5 32.7 29.1
生産 144.4 53.1 19.6 32.9 26.8
需要 135.8 63.0 36.8 24.8 9.4
バランス 8.6 -9.9 -17.2 8.1 17.4
2021 能力 204.0 81.6 34.6 41.4 34.5
生産 174.4 69.1 29.4 40.1 32.6
需要 161.8 80.3 49.9 27.3 11.5
バランス 12.6 -11.2 -20.4 12.8 21.2
能力比 42.2 1.3 -15.3 14.1 23.0

 

2.世界のプロピレン系誘導品

1)生産能力 2)需要

    3)バランス(百万トン)

    世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2015 能力 121.7 65.6 37.9 17.0 12.2
生産 97.3 51.3 27.3 14.9 8.1
需要 92.9 51.2 32.0 13.3 5.2
バランス 4.4 0.2 -4.7 1.6 2.9
2021 能力 142.7 81.5 50.0 18.3 13.0
生産 118.5 67.2 39.5 16.9 10.8
需要 113.8 66.4 43.8 14.9 6.8
バランス 4.7 0.8 -4.3 2.0 4.0
能力比 28.9 15.1 6.2 3.4 6.2

 

3.主要製品の需給 (総能力、総生産と地域別需要)

   
   
   
   
 
   

製品別の、能力・需要・生産の地域別推移と、各国・地域ごとの能力・需要・生産の推移を下記のサイトでグラフ化した。

http://www.knak.jp/METI-world/meti-2017/index.html

 


2017/7/3   出光興産、増資発表 

出光興産は7月3日、公募増資で1385億円を調達すると発表した。

発行済み株式の3割にあたる4800万株を、国内で3360万株(970億円)、海外で1440万株(415億円)を募集する。

海外での投融資、国内での有機EL等への設備及び研究開発への投資、及び昭和シェル石油買収に伴う金融機関からの短期借入金の返済に充てるとしている。

しかし、これにより出光一族の出資は現在の33.92%から26%に低下し、株主総会で合併を拒否できる3分の1を下回る。

このため創業家の代理人は同日、「創業家の保有する議決権比率の希釈化を目的とすることは明らかで、直ちに株式発行の差し止めの仮処分を申し立てる方針だ」とのコメントを発表した。

一方、会社側は「創業家の影響力の低下を意図したものではなく、引き続き説得を続ける」としているが、出光興産の会社側と創業家側との経営をめぐる争いは法廷闘争に発展することになった。

付記 

東京地裁は7月18日、差し止め請求を却下する決定をした。「新株発行の主要目的が不当とは認められない」として出光側の主張を認めた。

創業家の持ち株比率を相当程度減少させ、支配権をめぐる争いを有利にする目的があったことは認め、出光側のベトナム製油所建設などの費用というのも的確な証拠がないとしたが、昭和シェル株の取得の際の借入金返済については弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高いと認めた。

創業家側は東京高裁に即時抗告した。

東京高裁は7月19日、「新株発行の目的が不当であると認められない」として、申し立てを退けた東京地裁決定を支持し、創業家側の即時抗告を棄却する決定をした。

但し、高裁は「増資後、直ちに株主総会が開かれ、合併が議題になることをうかがわせない」としており、総会をすぐに招集できない。合併には時間がかかる。

ーーー

東京地裁、東京高裁の判断:

支配権を維持する目的 支配権を巡る実質的な争いで経営陣が自らを有利な立場に置く目的が存在したと一応認められる。 不当
資金調達目的 戦略的投資 製油所など戦略的投資に充てるために新株発行で資金調達をする必要性、合理性があるとは認められない。 不当
借入返済 昭和シェル株の取得の際の借入金返済については弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高い。 正当
公募増資 第三者割当増資に比べ、経営陣に反対する株主の支配権を弱める確実性は弱い。 正当
合併提案時期 増資後直ちに合併承認議案を臨時株主総会に諮る恐れが高いと認められない。 (裁判所推定)
結論 新株発行の主要な目的が、経営陣が自らを有利な立場に置くとの目的とまで断定できない 「著しく不公正」ではない
 

昭和シェル株の取得時に増資構想はなし。
著しい低金利時代に増資による借入金返済が妥当か?

 

創業家側は出光興産の議決権の33.92%を握っており、総会決議で拒否権を持つ。

日章興産 * 16.95%
出光文化福祉財団 7.75%
出光美術館 5.00%
(小計) (29.70%)
名誉会長 * 1.21%
長男 * 1.51%
次男 * 1.51%
合計 33.92%

創業家側は2016年8月8日、上記*の共同保有の届出を行った。21.18%となる。

今回の増資に伴う株式の変動は次の通り。

   

創業家

株数 比率
現在の発行済株数 160,000,000

54,272,000

33.92%
増資株数 48,000,000 (ゼロとして)  
増資後株数 208,000,000 54,272,000 26.09%

 

会社側は、増資手取りの用途を次の通りとしている。(単位:億円)

海外投融資  255

ベトナム 製油所(NSRP)  142

インドネシア 潤滑油事業(出光ルプテクノ)63 

インド 潤滑油事業(出光ルプインド)16 

台湾 水添石油樹脂事業 (台塑出光特用化学品) 25 

ベトナム 給油所       9

合計                        255

電子材料(愛知製油所)112

有機EL材料関連製造装置
地熱事業地域の調査活動用機器
C8スプリッター

研究開発費 155

有機EL材料の開発・用途拡大
固体電解質の工業化実証設備等

短期借入金返済 863

昭和シェル石油買収の金融機関からの短期借入金 1,590億円の一部

合計      1,385

 

これまでの経緯

2015/8/3   出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意
2015/11/16   出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結
2016/6/29   出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」
2016/8/5   出光創業家、合併阻止へ強攻策
2016/9/22   出光販売店の具申書
2016/9/27   出光興産と昭和シェルの合併をめぐる出光販売店と創業家の動き
2016/12/20   公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得を承認
2016/12/20   出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

 


2017/7/4 EU、Google に24億2千万ユーロの制裁金 

EUの欧州委員会は6月27日、Googleがインターネット検索で自社のサイトが有利になるようにし、EU競争法に違反したとして、2,424,495 千ユーロの制裁金を命じたと発表した。
EUが競争法違反で科す制裁金では、2009年に
半導体市場での競合企業排除で命じられた Intel の 10億6千万ユーロを抜き、過去最大となる。

Googleはネット検索市場での支配的な地位を乱用し、商品価格を比較する際に同社のサイト Google shopping を競合他社のサイトよりも目立つように表示されるようにすることで、公正な競争を阻害した。

Google が90日以内に是正しなければ、Googleの親会社Alphabet の全世界の1日当たり売上高の平均の最大5%の罰金を課す。罰金は別途定める。
更に、違法行為のあった各国での民事訴訟のリスクを負う。

欧州委の競争政策担当のMargrethe Vestager 委員は次のように述べた。

Googleは革新的な製品やサービスを提供し、世界の人々の生活を変えた。それは良いことだ。

しかし、同社の比較購入サービスの戦略は、単に消費者により良い製品を選ばせるということではなく、検索エンジンの市場支配力を利用して、自社の比較購入サービスを優先し、他社のサービスを降格している。

同社の行為はEUの独禁法に違反する。競合の機会を奪っただけでなく、最も重要なのは、欧州の消費者の選択肢を否定したことだ。

一方、Googleは、欧州委員会は Googleのサービスの意義を過小評価していると主張、決定に同意できないとし、「決定を詳細に審査し、上訴を検討する」としており、法廷闘争は長期化する見通し。

ーーー

Googleは2004年に欧州での比較ショッピング市場に進出した。最初は"Froogle"と呼び、2008年に"Google Product Search"に改称し、2013年からは"Google Shopping"と呼ぶ。

欧州経済領域 (EEA) の次の13か国でこの事業を行っている。

ドイツ、英国、フランス、イタリー、オランダ、スペイン、チェコ、オーストリー、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン。

消費者はオンラインで製品比較、価格比較を行い、オンラインで購入できる。

Google進出時には多数の競合業者があり、社内資料ではFroogleは失敗だとしていた。

2008年から戦略を変え、比較ショッピングでの優劣で競うのでなく、同社のインターネット検索での優位を利用することとした。

EUによると、問題点は下記の通り。

消費者が商品比較のため Google検索をすると、Google shopping が先ず並び、競合するショッピングサービスは数ページ先に並ぶ。

調査によると、デスクトップパソコンで最初のページの10件が全体のクリックの約95%を占める。トップにあるものは全体のクリックの35%を占める。
2ページ目になると、全体のクリックの1%に過ぎない。
画面の小さいモバイルでは影響はもっと大きい。

4ページ目以降に置かれた他のショッピングサービスは消費者に見てもらえない。

検索エンジンの市場支配力を乱用して、自社のGoogle shopping を有利にしたのは違法であるとしている。

制裁金は2006年のガイドラインに基づき、対象13カ国での比較ショッピングサービスの売上高をベースに決めた。

 
EUはGoogleについて、他の2件でも調査を続けている。

1)    Android operating system

2)    AdSense  (自分のウェブサイトに広告を掲載するだけで収益が得られる無料のサービス)

 


2017/7/4     東芝メモリ売却 難航

東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の買収で優先交渉先となった産業革新機構などの「日米韓連合」内で、韓国半導体大手 SKハイニックスが最大33.4%の議決権取得を要求していることが、分かった。
SKは協議の過程で、将来的にBain Capitalから議決権(33.4%) の一部か全部を取得できる権利などを持つことを求めたという。33.4%の議決権は重要議案への拒否権を発動できる。

SKはBain Capitalに融資する形で参画するため、東芝の綱川智社長は「SKには議決権がなく、技術流出は防げる」と指摘していた。
しかし、SKハイニックスが単に融資のためだけに参加することはあり得ず、事業への参加を狙っているのは当然のこと。

競合企業が当初計画の融資ではなく出資とみなされる形で参画すれば独占禁止法の審査が長期化し、2018年3月末までの売却は難しくなる。

加えて、Western Digital は、売却差し止めを求めて米国の裁判所に提訴しており、7月14日(日本時間15日)に審問が予定されている。Western Digital はSKへの技術流出の懸念が顕在化したとして対決姿勢を強めるのは必至である。

そもそも、半導体業界で生き残るには、年間3000億円程度の設備投資を毎年のように続けなければならない 。産業革新機構や日本政策投資銀行とBainの寄合所帯がその判断を素早くできるのかとの疑問が出されている。今回の決定前に、「烏合の衆に、大胆で迅速な決断はできない。これが、東芝メモリが地獄に陥る最悪のケースである」との声があった。

本来は、シャープを再建した鴻海が最適だと思われるが、政府の介入で外された。

その鴻海傘下のシャープの首脳は7月3日、東芝メモリの買収について、「長引くと技術のチャンスがなくなる」と述べ、交渉が長期化する場合は撤退する考えを示した。ゆさぶりをかけたもの。

東芝の上場廃止の可能性も出てきた。

ーーー

東芝は6月21日、取締役会を開き、SKハイニックスが参加する韓米日連合を半導体メモリー事業の売却に向けた優先交渉対象者に決定した。6月28日に開かれる株主総会までに契約を結ぶ方針であった。

機構が議決権のある普通株を50.1%、日本政策投資銀行が16.5%をそれぞれ出資、日本勢が66.6%と3分の2を占め、技術流出につながる経営判断などを防ぐ。
Bain Capital とSKの外資勢は全体の3分の1にあたる33.4%を持ち、株主総会で合併や事業譲渡などの重要事項で拒否権を発動できるようにする。
但し、SKはBain Capitalに融資を行うもので、直接、普通株を所有せず、議決権を持たない。これにより、各国の独禁法審査を避ける。

出資2兆円のうち8500億円は議決権のない優先株などで調達し、4分の3を外資勢が、4分の1を政投銀がそれぞれ出す。
銀行団が5500億円融資する。

  普通株 優先株 融資 合計
産業革新機構 50.1% 3000億円     3000億円
日本政策投資銀行 16.5% 1000億円 2125億円   3125億円
Bain Capital 33.4% 2000億円 6375億円   8375億円
SK Hynix    
銀行団       5500億円 5500億円
合計   6000億円 8500億円 5500億円 2兆円

韓国紙によると、SK Hynix は3000億円を出すとのこと。

これに対し、Western Digitalは6月26日、米投資ファンドのKKR(Kohlberg Kravis Roberts)とともに、東芝のメモリ事業子会社である東芝メモリの買収について、再提案を行ったと発表した。

東芝は6月28日に株主総会を開いたが、調整に時間がかかり、間に合わなかった。綱川智社長は総会で、売却契約の遅れなどについて「度重なるご迷惑とご心配を掛け、心からおわびする」と陳謝した。

東芝は同日、不正競争防止法違反等を理由として、Western Digital に対して、不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て及び総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟を東京地裁に提起した。

Western Digial は東芝メモリ売却の入札手続きに対して、看過できない妨害行為を継続的に行っている。
東芝とSunDiskの合弁会社の持分を東芝メモリへ譲渡すること及び東芝メモリの株式を第三者に譲渡することについてWestern Digital の同意が必要などを流布し、信用を毀損した。

Western Digitalは6月14日、同社のSanDisk系子会社がカリフォルニア州上級裁判所に、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めたと発表した。ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として請求している。7月14日(日本時間15日)に審問が予定されている。

また、Western Digital は、合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセス権を有するSunDiskの従業員をWestern Digitalに転籍させること等により、機密情報を不正に取得、使用している。

これらの行為が不正競争防止法や民法上の不法行為に該当すると判断した。

合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセスについては、本日をもって遮断することとした。


付記  米カリフォルニア州の上級裁判所は7月11日、東芝によるWD技術者に対する情報アクセス遮断を取りやめるように命じる暫定判断を下した。
    WDは売却差し止めを求めた訴訟とは別に情報アクセスを認める措置を求めて同裁判所に申し立てていた。

 

ーーー

今回、革新機構が50.1%を出資するが、革新機構の志賀俊之会長は2017年3月18日の週刊東洋経済で、次のように述べた。(当方で編集)

産業革新機構は産業競争力強化法という法律に基づき設置されており、成長事業にしか投資できない。
法律でわれわれの資金は投資先の借金返済には1円も充てられないことになっている。

昨年のシャープ(鴻海に敗北)の時は、ジャパンディスプレイとシャープの液晶事業の統合や、シャープの家電事業と東芝の家電事業の統合を狙っていて、業界再編による成長戦略があった。

フラッシュメモリを買収するだけでは意味がない。成長戦略が描けず我々としても身動きができない。

どこかのフラッシュメモリ会社から「東芝と一緒になってシナジーを作りたいが資金が足りないから一緒に投資してくれ。将来的にはIPOも考えている」というシナリオを頼まれれば検討できるかもしれないが、機構1社で持つのはイグジットを考えると難しい。

この発言に対し、今回の出資をどう説明するのだろうか。

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なお、東芝は7月3日、ランディス・ギアについて、9月末までをめどにスイス証券取引所で新規株式公開(IPO)による上場を計画すると発表した。
同社の売却手続きも同時に進める。

日立製作所と英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズは価格などの条件面で折り合わず、手続きからいったん撤退したもよう。

2017/4/29 東芝のスイス子会社ランディス・ギアの売却

 


 

2017/7/5 日本触媒、バイオマスの新規資源化プロセスを神戸大学と共同開発 

日本触媒は6月28日、神戸大学(大学院工学研究科サスティナブルケミストリー寄附講座)と共同で、バイオマスの新規資源化プロセスを開発したと発表した。

日本経済新聞は同日、紙おむつの高吸水性樹脂(SAP)の原料をパームヤシ殻から生産する技術を開発したと報じた。

ーーー

バイオマス利活用の技術の一つとして水熱分解(Hydrothermal Liquefaction)がある。

この方法は、高温水中でバイオマスを熱分解し、水溶性および油溶性分解物を得る方法だが、従来の方法では、水溶性分解物および油溶性分解物の収率は各々約15wt%と低いうえに、分解物中の酸素含有量 が高いため、水素添加など追加の脱酸素工程が必要である。

加えて約40wt%と大量に生成する炭化物(チャー)の処理が最大の課題でもある。

今回の方法では、リグノセルロースを 250-300℃の高温水中、金属鉄存在下で高効率で炭素数 2-6程度の水溶性化合物群に分解する

金属鉄を共存させて酸化鉄とすることで酸素を除外し、水溶性分解物を60wt%程度の高い収率で得ることができる。

このときの水溶性分解物中の酸素含有量は、原料に比べて約2割減少しており、脱酸素により炭化水素化が進んでいることも認められた。

さらに銅やパラジウムなど水素化能をもつ金属を添加することで、分解と水素化(脱酸素)をより効率的に進めることができ、一段と炭化水素化が進んだ水溶性分解物を得ることができることも分かった。

従来から大きな問題であった副生チャーは金属鉄の再生に用いる還元剤として活用できるため、バイオマス全体の高い利用効率を実現できるというメリットもある。

得られた水溶性化合物群は、ZSM-5などの固体酸触媒を用いて、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン系炭化水素やベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素に変換できることも確認した。

種々のグリーンケミカルズの基礎原料として有望と考えられる。

バイオマスから作ったプロピレンを既存のアクリル酸プラントに供給することができれば、再生可能資源由来のアクリル酸を製造でき、環境にやさしい高吸水性樹脂→紙おむつ へとつながる。


この成果は、ACS Sustainable Chem. Eng., 2017, 5 (4), pp 3562–3569 で発表された。

Fe-Assisted Hydrothermal Liquefaction of Lignocellulosic Biomass for Producing High-Grade Bio-Oil

ーーー

共同研究の神戸大学・大学院工学研究科サスティナブルケミストリー寄附講座は、2012年7月に日本触媒の寄付講座として開設された。

サスティナブルケミストリーによる産業創出を目指し、再生可能資源バイオマスの利活用(バイオリファイナリー)技術、再生可能エネルギー生産技術、温室効果ガスである二酸化炭素の再資源化技術等に関する革新的技術の実践的な研究を行うとともに、新産業創出を担うイノベーション創出型の人材育成も行うことを目的とする。

文部科学省「先端融合領域イノベーション創出拠点形成」プログラムの一つであり、神戸大学が中心となって推進している「バイオプロダクション次世代農工連携拠点(iBioK)」と協働して、より緊密に産学連携のネットワークを構築し、大学保有の独自性のある様々な基本技術と企業保有の実用化技術や事業形成力を融合させることで、化学品製造のために新規な先端融合的製造プロセス開発を推進 するとしている。

設置期間は2017年6月末までの5年間で、寄付金額は総額2億5500万円。

特命教授に喜多裕一・日本触媒 顧問(前 取締役専務執行役員)、特命助教に平野喜章・日本触媒 企画開発本部開発部主任部員が就任した。


付記

日本触媒は、神戸大学(大学院工学研究科(応用化学専攻)に、共同研究講座「サスティナブルケミストリー(日本触媒)」を2017年7月1日に開設した。

名称:サスティナブルケミストリー(日本触媒)

場所:神戸大学大学院工学研究科(応用化学専攻)

研究体制:教授 荻野千秋 [神戸大学大学院工学研究科教授(兼任)]
     特命准教授 平野喜章[日本触媒より出向、工学博士]

設置期間:2017年7月1日から2019年6月30日までの2年間

ーーー

別途、日本触媒は2017年4月1日、大阪大学大学院工学研究科(吹田キャンパス内)に、「日本触媒協働研究所」を開設した。

2014年4月に共同研究講座を開設し、大阪大学の最先端触媒・合成技術と日本触媒の保有技術を融合させ、革新的で競争力のある機能性化学品合成に関する基盤技術の創造に取り組んできたが、これを発展的に解消し、協働研究所を新たに開設した。

大阪大学が強みとしている医工連携分野と日本触媒の触媒、有機合成、高分子合成などの保有技術の融合を図り、他大学・企業との多面的連携を視野に入れながら、革新技術の創出、事業創出、そして研究人材の育成を目指す。
 

【協働研究所の基本方針】
1.既存製品の革新技術の創出
2.新規事業に育成のための革新技術の創出
3.医工領域(医学と工学の学際領域)の新規事業創出

研究体制:
所長:三浦雅博 (大阪大学大学院工学研究科 教授)
副所長:原田信幸 [大阪大学大学院工学研究科 特任教授(常勤)](日本触媒 常務執行役員)
  
設置期間: 2017年4月1日から2020年3月30日までの3年間

 


 

2017/7/6     サムスン電子、平沢半導体団地で操業開始 、2兆円の投資計画を発表

 

サムスン電子は7月5日、ソウル近郊の平沢市の新しい半導体製造ラインで量産を開始、権五鉉副会長ら約100人が出席する中、製品の出荷開始式を行った。

このラインは、サムスンによる最新の第4世代の64層、256GbのV-NANDフラッシュチップを製造する。

2015年5月の着工から約2年で完工したラインは、単一生産ラインとしては世界最大規模。最大生産能力は月産でウエハー20万枚程度で、既存工場の2倍に達する。


サムスン電子は同日、半導体の生産能力拡大に向け、20兆4千億ウォン(約2兆円)の投資を行うと発表した。

平沢工場の拡張には、約14兆4千億ウォンを追加投資する。「工場は複層構造で、1階に続き、2階に大規模生産ラインを構築する」と説明した。
すでに投資された15兆6千億ウォンを含めると、2021年までの同工場への投資は30兆ウォンに達する見通し。

華城市の半導体工場にも最先端半導体ライン建設に向け6兆ウォンを投資する。

2014年に完工した中国・西安工場の半導体ライン(現在100%操業)を増設し、NAND型フラッシュメモリーの最大の需要地である中国市場に対応することを決めた。

これとは別に、韓国中部牙山市にあるサムスンディスプレーの工場にも年内に1兆ウォンを投資し、有機発光ダイオード(OLED)の新規ライン用の敷地造成を終える。

 

半導体事業が好況のなか、東芝がもたついているが、サムスン電子はライバルを蹴落とす好機とみて、攻めの投資を続けている。

IHS Technologyによると、NAND型フラッシュメモリーの世界シェアは次の通り。(2017/7/5 日経)

Samsung Electronics 韓国 35.2%
JV 東芝 日本 19.3%
Western Digital 米国 15.5%
Micron Technology 米国 12.0%
SK Hynix 韓国 10.1%
Intel 米国 6.9%
others   1.0%

この業界で生き残るためには東芝メモリ / Western Digital JVも積極的に投資をするしかない。

JVは利益を全額投入し、さらに追加借り入れを行って投資を続けるしかない。

産業革新機構や日本政策投資銀行は、東芝メモリを買収した場合、このような大胆な投資ができるであろうか。誰が投資を決めるのだろうか。


なお、機構は3000億円、政策投資銀行は3125億円を投資するが、これは東芝メモリの買収のため東芝に払われる。
これの回収には、東芝メモリの配当しかないが、配当を求めた場合は投資が停滞することとなる。

Bain Capitalの場合は、東芝メモリの企業価値が上がった時点で売却し、利益を得ることを考えていると思われる。
このため、当面は積極的に投資を続けることを主張するとみられる。

 

 


2017/7/7     公取委、LNGの取引実態調査

公取委は6月28日、液化天然ガスの取引実態に関する調査の発表を行った。

http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170628_1.html

公取委は,特定の分野における事業活動の実態等について競争政策の観点から調査を行い,独禁法又は競争政策上問題となるおそれのある取引慣行,契約条件等がみられた場合,調査結果を公表し,事業者による自主的な改善を促すこととしている。

LNGについては、下記の環境変化があるが、LNGの余剰が発生した場合(@、A)、仕向地制限等により余剰分の再販売が妨げられる懸念がある。
  @原発再稼動やエネルギー供給構成の多様化に伴う国内需要の緩和
  A電力小売市場及びガス小売市場の全面自由化に伴う国内需給の見通しの不透明化
  Bアジアを始めとする世界的な需要量の増加
  C非在来型天然ガスの開発等による世界的な供給量の増加

このため、公取委は取引実態に関する調査を実施することとしたもの。

 

報告の概要  http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170628_1.files/170628_2.pdf

1)  日本のLNG取引実態  船舶輸送により輸入

供給者 2016/4/1時点     

供給者 契約数量
(万トン)

株主 (筆者作成)

Malaysia LNG

1,692

  Petronas 州政府 三菱商事 Shell JX Diamond
Malaysia LNG 90% 5% 5%      
Malaysia LNG Dua 60% 10% 15% 15%    
Malaysia LNG Tiga 60% 10%   15% 10% 5%
MLNG 9  (new) 90%       10%  

2016/6/7   JX、Petronas LNG 9 への資本参画

Qatargas 1,169
  Qatar
 Petroleum
Exxon
Mobil
Total Mitsui Marubeni Conoco
Phillips
Shell
Qatargas 1 65% 10% 10% 7.5% 7.5%    
Qatargas 2 C 70% 30%          
D 65% 18.3% 16.7%        
Qatargas 3 68.5%     1.5%   30%  
Qatargas 4  70%            30%
 https://www.qatargas.com/English/QGVentures/Pages/default.aspx
豪州North West Shelf LNG 964 BHP Billiton
BP
ChevronTexaco
Shell
Woodside Energy
Japan Australia LNG(三井物産/三菱商事)の6社が均等出資
Sakhalin Energy 547
Gazprom  Shell Mitsui Mitsubishi
50% 27.5% 12.5% 10%

2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景

Abu Dhabi Gas Liquefaction 430
ADNOC Mitsui BP Total
70% 15% 10% 5%
その他 3,267  
合計 8,069  

購入者  2015年度(万トン)

現 JERA 東京電力 2,289
中部電力 1,251
東京ガス 1,327
関西電力 874
大阪ガス 780
その他 1,836
合計 8,357

2) 世界事情

3) LNG取引の特性

長期契約の必要性

Take or Pay 条項

引き渡し条件には、DES(仕向け港揚げ地渡し)とFOB

利益分配条項(再販売利益の一部の売主への還元)と再販売条項

価格

アジア向けのLNG取引は,基本的にJCC価格(貿易統計の輸入原油平均価格)を価格指標とする石油価格連動方式

近年は,米国のHenry Hub価格(原油価格に連動しない天然ガス価格)を指標とする市場価格連動方式も増加しつつある。
 

4) 競争政策上の考え方

 仕向け地制限

  FOB契約 DES契約
仕向け地条項 拘束条件付取引として問題 不可欠
変更制限 同上 必要性・合理性あるのに拒否は拘束条件付取引となる恐れ
競争制限的条件は拘束条件付取引となる恐れ

 利益分配条項

事実上、再販売を間接的に制限している。
再販売の機会を喪失させる効果がある。

市場閉鎖効果が生じる場合は、拘束条件付取引となる。

FOB条件の場合、利益分配条項の規定は拘束条件付取引となる恐れが強い。

DES条件の場合は、契約条件を変更して再販売を行う代わりに再販売利益を配分するため、一概に合理性がないとは言えない。

但し、合理性が認められない分配効果がある場合、利益構造やコスト構造を開示させて再販売を妨げる効果がある場合は問題。

 Take or Pay条項

直ちに問題となるものではない。

売主の地位が優越している場合に、一方的に厳格な義務を決める場合は、優越的地位の濫用となる恐れがある。

 

今後、動向を注視し、違反行為には厳正に対処する。


2017/7/7 EU、キヤノンの東芝メディカル買収で異議告知書、GEと独Merckの買収案件も 

欧州委員会は7月6日、キヤノンによる東芝メディカル買収、独Merck によるSigma-Aldrich の買収、GEによるデンマークの風力発電 LM Windの買収の3件について異議告知書を送付したと発表した。

キヤノンについては承認前に買収をしたこと、他の2件については十分な情報を出さなかったことが理由で、買収自体への影響はないが、今後の検討で問題だと認定した場合、罰金支払を命じる

キヤノンの場合、世界全体でのキヤノンの年間売上高の最大10%にもなる。他の2件の場合はそれぞれ、
独MerckとSigma-Aldrich の世界全体での売上高の1%、GEの世界全体での売上高の1%となる。

ベステアー欧州委員(競争政策担当)は記者会見で「企業は、われわれが適切な決定を行えるよう、十分かつ正確な情報を提供する必要がある」と指摘。「情報には経済への重要性が増す技術革新に対する影響も含まれる。将来的な戦略に関する説明責任は企業側にある」と述べた。

ーーー

東芝は2016年3月17日に下記取引で東芝メディカルを売却し、2016年3月期に売却益を計上した。

  東芝メディカルを売却  
    A種類株(議決権あり)20株   MSホールディングに譲渡(対価 9万8600円)
         
    B種類株(議決権なし) 1株

キヤノンに譲渡(対価 6655億円)
    新株予約権


日本の独禁法では
新たに20%又は50%を超える場合は公取委の事前承認が必要となっているが、第10条2項の規定は、具体的には、取得後の議決権の数の割合が新たに20%又は50%を超えることとなる場合となっている。
キヤノンには議決権無しの株と新株予約権のみを譲渡しており、表面上は問題ないこととなる。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手 

公取委は2016年6月30日、これを承認したが、株式取得のスキームが、事前届出制度の趣旨を逸脱し、独占禁止法第10条第2項の規定に違反する行為につながるおそれがあることから、両者に対し異例の注意を行った。

2016/7/4   公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認  

中国商務部は2017年1月4日、事前届け出義務違反を問題とし、キヤノン (佳能)に30万元(約500万円)の 罰金を科す「行政処罰決定書」をウェブサイトで公表した。

2017/1/6    中国、東芝メディカル買収でキヤノンに罰金の行政処分

EUは2012年8月12日に買収の通知を受け、9月19日に承認した。

しかし、EUに買収を通知し、承認を受ける前に、第三者を使った2段階の取引の第1段階で既に実質的に買収を実施しており、EUの買収規則に違反しているというのがEUの予備的な結論であり、その旨を通知した。

キヤノンの2016年12月期の連結売上高は 6.3兆円。

ーーー

他の2件の概要は次の通り。

1) Merck/Sigma-Aldrich

取引については下記参照。

 2014/9/25 独Merck KGaA、研究用試薬の米 Sigma-Aldrich を170億ドルで買収

欧州委員会は2015年4月21日に申請を受け、2015年6月15日に承認した。特定の実験用のケミカルを問題とし、Sigma-Aldrichの資産の売却を条件とした。

現在欧州委が問題とするのは、両社が本件に関しての革新的プロジェクトの情報を提出しなかったことで、この情報が提出されておれば、当然それを売却資産に加えていた。
情報提出がなかったため、売却資産は強さや競争力が損なわれたものとなっていた。

最終的にMerckは本件の技術を売却資産を買ったHoneywell にライセンスしたが、ほとんど1年遅れであり、しかも欧州員会が第三者の情報でこれを知ったためである。

2) General Electric/LM Wind

General Electricはデンマークの風力発電用のローターブレードの開発・生産者であるLM Wind Powerを買収した。欧州委員会には2017年1月11日に申請があった。欧州委員会は当時、ドイツのSiemensによるスペインの風力発電業のGamesaの買収の審査も行っていた。

現在問題とされるのは、GEの特定の製品の研究開発に関する情報を提示しなかったことで、この情報は、GEの将来の業界での地位、風力発電タービンの市場の今後の競争状況を正しく評価するのに必要なものであった。

GEは2017年2月2日に買収申請を一旦取り下げ、2月13日にこの情報を加えて、再申請した。これにより、欧州員会は市場について正しい判断を下せるようになった。

欧州委員会は、2017年3月20日にGEによるLM Windの買収を、3月13日にSiemens による Gamesa の買収をそれぞれ承認した。

 

 

 


2017/7/8    アサヒビール、中国飲料JVの株式を売却

アサヒグループホールディングスは6月30日、持ち分法適用会社で中国飲料大手、康師傅飲品の保有株全てを売却すると発表した。2019年までに約20.4%の株全てを合弁相手の中国即席麺最大手、康師傅に612百万ドルで譲渡する。

Anheuser-Busch InBevによるSABMillerの買収に際し独禁法当局の条件に基いて取得したSABMillerの西欧・東欧事業に投資を振り向ける。

2016/2/16 アサヒビール、英SABMillerの欧州事業の一部を買収

アサヒは2004年に中国の飲料事業の強化を狙って、伊藤忠とともに康師傅とのJVで茶系飲料や水飲料などを手掛ける康師傅飲品を設立した。

日本側持株会社 50%、康師傅50%。
日本側持株会社への出資比率はアサヒが80%、伊藤忠商事が20%。その後、伊藤忠は離脱。

アサヒから生産や販売のノウハウを提供し、中国清涼飲料では最大手に育っている。2015年末までのアサヒの連結業績への寄与は、累計で約1200億円超(税引き前)となっているという。

アサヒは後記の通り、2010年に康師傅の親会社の頂新の株式を取得したが、その際にアサヒが所有する康師傅飲品の株式 40%のうち8%を頂新に520百万ドル売却した。

アサヒはその後、2016年9月、欧州事業に資金を振り向けるため、当時保有していた康師傅飲品の持ち株 30.4% のうち10%を康師傅が属する頂新グループ2社に334億円で売却した。

現時点での康師傅飲品の株主は次の通りで、今回、アサヒは100%子会社エイ・アイ・ビバレッジホールディングの持つ20.4%をすべて売却する。

康師傅(BVI) 52.5% 持株会社
頂新(Cayman) 22.1% 康師傅の親会社
AIB 20.4% アサヒビール100%
康師傅 5.0%  
合計 100%  

アサヒの持株推移 40%→32%→30.4%→20.4%→0

 

なお、アサヒは康師傅を傘下に持つ中国食品大手、頂新ホールディングに出資しているが、同社グループとの連携は続けるとみられる。

頂新グループは1958年に魏和コが台湾に創設した製油会社「鼎新製油工廠」が起源で、1974年に「頂新製油公司」となった。

1992年に天津開発区に「天津頂益国際食品有限公司」(現在康師傅)を設立し、康師傅ブランドのインスタント食品などを製造した。
現在では頂新グループは中国の食品・流通最大手である。

アサヒは2010年に頂新株式の約6.54%を取得した。

同時に頂新株式の20%を持つ伊藤忠(2008年に出資)と、中国及び台湾市場における食品事業の拡大を目指し、合弁会社シーエフアイ(アサヒ 25.93%、伊藤忠 74.07%)を設立した。
頂新への出資はシーエフアイを通じて行うこととした。

その後、伊藤忠は2014年にアジア有数の大手複合企業の一つ タイのCharoen Pokphnad Group (CP)と資本・業務提携契約を締結した。

2014/7/26 伊藤忠、タイのチャロン・ポカパングループと資本・業務提携     

伊藤忠とCPグループは2015年1月、中国最大の政府系企業グループ「中信集団」(CITIC Group) の3社間で戦略的な業務・資本提携を行うと発表した。

2015/1/22 伊藤忠商事、タイのCPグループと共同で中国中信集団と戦略的業務・資本提携 

伊藤忠は、中信集団と中国で食料・物流分野の市場開拓を進めていることから同業である頂新との競合を避け、円滑に協業を進めるため、経営への関与を薄める必要があると判断し、頂新ホールディングを連結対象外にすると発表した。

アサヒとの共同出資会社シーエフアイを通じて保有する頂新株の伊藤忠の持ち分をシーエフアイから買い取る。
伊藤忠が保有するシーエフアイ株全てをシーエフアイに1619億円で売却する。

この結果、シーエフアイはアサヒ100%子会社となった。頂新には約6.54%を出資する。

ーーー

アサヒは2016年10月25日、出資する中国の食品大手「頂新ホールディング」の企業価値が減少したとして、株式評価損 371億円を計上すると発表した。

中国経済の成長鈍化で頂新傘下の食品会社などの業績が悪化、株価が下落した。

 



2017/7/10 イタリア、
モンテ・パスキ銀行の国有化を正式決定

イタリア政府は7月4日、自力再建を断念した1472年設立の同国銀行3位モンテ・パスキ(Banca Monte dei Paschi di Siena)の国有化を正式に決めたと発表した。

ーーー

多額の不良債権を抱えるイタリア第3位の銀行 モンテ・パスキは2016年12月22日、増資と劣後債の株式交換などを通じて50億ユーロを調達する計画は失敗に終わったと発表した。

アンカー投資家としてカタール投資庁(QIA)との間で10億ユーロの増資引き受けを交渉したが、まとまらなかった。

このため、同行は
債務の株式交換計画も撤回した。
増資とともに不良債権の売却も計画していたが、増資が失敗に終わったことで不良債権売却も進めることができなくなった。

イタリア政府は公的資金注入による救済の検討を始めたが、EUが定めた銀行再建ルールが障碍となった。

金融危機を受け、EUでユーロを使う国々は各国でばらばらだった金融行政を一元化する「銀行同盟」を進めた。
銀行の破綻処理のルールも2016年1月から施行し、まず銀行の債券などを持つ投資家に一定の割合の損失を負わせることにし
(Bail-in 制度)、公的資金の利用を制限する仕組みにした。

しかし、イタリアでは銀行の債権者に個人投資家も多いため(個人が銀行債を預金に近い感覚で購入している)、このルールを適用すれば大問題となる。

モンテ・パスキ は12月26日、欧州中央銀行(ECB)が同行について88億ドルの資本不足を指摘したことを明らかにした。

2016/12/23 イタリア政府、モンテパスキ銀行の支援決定

その後も人員削減の規模などを巡り伊政府と欧州委の調整が進まなかった。


欧州委員会は2017年6月1日、伊政府による
モンテ・パスキ  への公的支援となる「予防的な資本増強」を承認することで伊政府と大筋合意したと公表した。

伊政府は「納税者の負担を抑えつつ、EU規則に沿って、予防措置としてモンテ・パスキへ公的資金を注入できる」との声明を発表した。

EUルールでは本来、個人投資家も損失負担が必要だが、銀行債を保有する個人が多いイタリアで完全に適用すれば社会的な影響が大きい。
このため、劣後債保有者のうち、
劣後債のリスクを十分に知らされないまま購入していた個人投資家については、伊政府の出資の一部を使ってモンテパスキが損失を補填することで懸案事項を解決した。


欧州委員会は7月4日、
条件付きでモンテ・パスキ に対するイタリア政府の公的支援を正式承認した。

 税金を使用するための条件

5年の再建計画
 事業モデルを個人、中小企業向けとし、効率を重視、信用リスク管理の改善
    その一部として、経営トップの給与制限(従業員平均の10倍)

不良債権 261億ユーロの民間ファンドへの時価での移管

  イタリア政府の支援

資本不足 81億ユーロ  
     
伊政府出資 54億ユーロ  
株主・劣後債保有者負担 43億ユーロ 劣後債の株式転換後に減資
特定劣後債保有者保護 -15億ユーロ 劣後債のリスクを十分に知らされないまま購入していた個人投資家(条件あり)の保護
 政府出資分を基に、劣後債をシニア債に転換

 

記者会見したパドアン経済・財務相は「公的資金を取り戻すだけでなく、利益が出るとの自信がある」と語った。

ーーー

これとは別に、欧州中央銀行(ECB)は6月23日、イタリアの中小銀行2行 、ベネチア近郊の地銀ベネトバンカ(Veneto Banca SpA)と中堅銀バンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァ(Banca Popolare di Vicenza SpA)が再建不能な状態になったと発表した。

ともに民間ファンドの傘下で立て直しを目指したが経営は改善せず、ECBに提示した再建策も不十分と判定された。

欧州委員会は6月25日、イタリア政府による両行の公的支援を伴う破綻処理策を承認した。

イタリア政府は同日、2銀行の破綻処理に必要な緊急法案を閣議決定した。

2行を優良資産と不良資産に切り分け、優良資産を同国銀行2位のインテーザ・サンパオロ(Intesa Sanpaolo)が買い取る。
インテーザが自己資本比率への悪影響を避ける形で資産を買い取れるようイタリア政府がインテーザに52億ユーロを支払い、インテーザが1ユーロで取得する。

インテーザは今後、2行の従業員を3千〜4千人ほど削減する。

今後の資産査定で健全な融資が不良債権に格下げされるリスクに備えるため、政府はさらに120億ユーロを保証金として準備する。

預金者とシニア債の保有者は保護される。シニア債はインテーザの債務となる。一方、株主と劣後債保有者は損失を被る。

 

この処理では、シニア債保有者が保護され、清算費用の大半を国庫が負担することになっており、批判の矛先は、投資家が損失を負担すべきだとするEU各国指導者の合意原則を破ったイタリア政府や、それを許した欧州委員会に向かっている。

政府と欧州委員会が、まったく異なる説明をしているのが取り上げられている。

イタリア政府は、両行が倒産するとベニス地区の経済が無秩序に倒壊するとしてシニア債保有者の保護を説明した。

これに対し、欧州委員会は、2つの銀行は非常に小さく、競争の観点からは問題ないとした。


2017/7/11 サムスン電子、第2四半期営業損益 過去最高

Samusung Electronics が7月7日に発表した2017年4〜6月期連結決算の速報値は、営業利益が14兆ウォン(約1兆3700億円)と前年同期比72%増えた。

四半期ベースで2013年第3四半期の10兆1640億ウオンを超え、過去最高となる。売上高は18%増の60兆ウォン。

速報値は全社ベースのみの発表だが、韓国の証券アナリストの推定では、半導体部門の営業利益は7兆ウォンを超えたとの見方が多い。
Samsung は、DRAMとNSND型フラッシュという2つのメモリーで世界首位。

サムスン電子は7月5日、ソウル近郊の平沢市の新しい半導体製造ラインで量産を開始、権五鉉副会長ら約100人が出席する中、製品の出荷開始式を行った。最新の第4世代の64層、256GbのV-NANDフラッシュチップを製造する。

更に同日、半導体の生産能力拡大に向け、20兆4千億ウォン(約2兆円)の投資を行うと発表した。

2017/7/6 サムスン電子、平沢半導体団地で操業開始、2兆円の投資計画を発表

自社製スマホを主体とするIT & Mobile communications 部門の営業利益は、4月に発売した最新の旗艦機種「Galaxy S8」が寄与し、4兆ウォン程度だったとみられる。

しかし、朝鮮日報によると、Samusung社内では慎重なムードが目立つという。Samsung関係者は、「李在鎔副会長が拘束されており、グループを率いてきた未来戦略室の経営陣が全て退任した状況で、業績が良いと笑ってばかりはいられない。今後会社がオーナーのリーダーシップ不在という難局をどう乗り切っていくのかという不安感が少なくない」と述べた。

朴槿恵大統領が絡む疑惑と親友の崔順実被告の国政介入事件を調べている韓国の特別検察官の捜査チームは1月16日、贈賄などの容疑でグループの事実上のトップ、李在鎔サムスン電子副会長の逮捕状を請求したが、ソウル中央地裁は1月19日、特別検察官チームによる李在鎔副会長に対する贈賄や横領、偽証容疑の逮捕状の請求を棄却した。

特別検察官は2月14日、李在鎔サムスン電子副会長について贈賄などの疑いで再度、逮捕状を請求した。

ソウル中央地方裁判所は2月17日、副会長の逮捕を認めた。「新たに構成された犯罪事実と追加の証拠資料などを考え、拘束の必要性を認める」と説明した。
地裁側も、朴氏の疑惑に対する国民の関心が高く、野党が一致して李副会長の逮捕を求めていたことを考慮したとみられる。

2017/1/20 ソウル地裁、サムスン電子副会長の逮捕を認めず → 逮捕を認める(付記)

しかし、その状況でも 2兆円もの投資を発表できるというのは驚きである。

ーーー

最近の部門別営業損益は下記の通り。単位:10億ウオン≒1億円

  2016 2017
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q
Consumer Electronics 503 1,030 774 331 2,638 380  
IT & Mobile communications 3,894 4,318 99 2,497 10,808 2,065 (4,000)
Device Solutions 2,327 2,787 4,397 6,340 15,851 7,592  
うち Semiconductor 2,632 2,645 3,369 4,949 13,595 6,314 (7,000)
Display Panel -265 137 1,019 1,336 2,227 1,305  
others -48 9 -70 53 -56 -139  
Total 6,676 8,144 5,200 9,221 29,241 9,898 14,000
                                                                       2017/2Q 内訳は業界の推定

取扱製品:

Consumer Electronics TV、Monitor、Refrigerator、Washing Machine、Air Conditioner、Medical Devices、etc.
IT & Mobile communications Smart phone、Network System、Computer、etc.
Device Solutions Semiconductor DRAM、NAND Flash、Mobile application processors
Display Panel LCD panel、OLED panel、etc.
 

 


2017/7/12 コニカミノルタと産業革新機構、米国の遺伝子診断企業を買収

コニカミノルタと産業革新機構は7月6日、がんの遺伝子診断技術を持つ米国の Ambry Genetics Corporation を共同で買収する契約を締結したと発表した。

手続き完了後に8億ドルを支払う。業績連動型のアーンアウト方式 (Earn Out Deal) の採用により、同社の今後2ヶ年度の決算数値に応じて、追加代金が最大2億ドル発生する可能性があ る。

出資比率はコニカミノルタが 60%、INCJが 40%。

コニカミノルタは、売上高ベースで約8割を稼ぐ事務機事業が市場の縮小で苦戦を強いられており、ヘルスケア事業を強化する。

同社のヘルスケア事業の全売上高に占める割合は10%程度で、主力製品は病院向けに販売するX線撮影装置。
創薬支援や個別診断といった医療関連への新規参入も目指している。

買収する Ambry Geneticsは、最先端の遺伝子診断技術を持ち、高度な商品開発力、多様な検査項目、高い検査処理能力、遺伝子カウンセラーチャネルでの圧倒的な強さを背景に、成長著しいがん領域を中心とした米国の遺伝子検査市場におけるリーダー的存在となってい る。

同社は世界で初めて、診断を目的としたエクソーム解析試験 (遺伝子の中でタンパク質に翻訳される領域であるエクソン領域のみを濃縮して解析することにより、エクソン上の変異を効率的に検出する手法)を始め、遺伝性および非遺伝性の腫瘍、心臓疾患、呼吸器疾患、および神経疾患など多数の臨床分野向け遺伝子検査を提供してい る。

カリフォルニア州に所有する最先端の大規模ラボにおいて、すでに 100 万件を超える遺伝子検査の実績を持ち、500 種の遺伝子において 45,000 以上の突然変異を特定している。

 → 解析

コニカミノルタは、最先端の遺伝子診断技術、バイオインフォマティクスを駆使した高度な IT 解析技術、最新鋭で大規模な検体検査ラボ、高収益なサービス事業を取得し、がん治療などに今後大きな役割を期待されているプレシジョン・メディシン(個別化医療)推進に向けた戦略的取り組みの先駆けと する。

プレシジョン・メディシンは、個々人の細胞における遺伝子発現やタンパク質などの特性を分子レベルで判別することで個々の患者を精密にグループ化し、最先端の技術を用いて適切な投薬、治療と予防を提供する医療。

従来の画一的な方法ではなく、患者特性に応じた集団ごとの治療法から疾病予防までを確立する事により、適切な投薬、治療が可能となり、膨張する国民医療費削減の切り札として世界中で注目されている。

さらに、コニカミノルタの固有技術であるタンパク質高感度定量検出技術(HSTT:下記)と、Ambry Geneticsの遺伝子診断技術を合わせる。

コニカミノルタの山名社長は記者会見で「(買収により)世界トップクラスの遺伝子とたんぱく質の診断・解析技術をあわせ持つことになる」と述べ、「個別診断事業に本格参入し、5年後には売上高1000億円以上を目指す」と意気込みを語った。

今後、両社の技術を基に、プレシジョン・メディシンを Ambry Geneticsがリードする米国から、日本・アジアおよび欧州展開によりグローバル・リーディング・カンパニーへと 成長する。

産業革新機構は、経営上のサポート及び日本展開のサポートを行う。

ーーー

コニカミノルタは東北大学と共同で、蛍光ナノ粒子を用いてがん細胞に発現するタンパク質を正確に検出する新技術 「HSTT(High Sensitive Tissue Testing)」を開発した。がん細胞に発現する特定のタンパク質の数や位置を解析し、早期に高精度な病理診断を可能にするもの。

従来の免疫染色「DAB法」では、がん細胞に特定のタンパク質が存在しているかどうかを確認できた が、HSTTでは、特定のタンパク質の有無だけでなく、数や位置まで正確に解析することが可能になる。

HSTTでは、 一般的な蛍光色素の約1万倍の輝度で、高い耐久性を備える独自開発の蛍光ナノ粒子(Phosphor Integrated Dots)を用いる。

患者から採取した組織に2段階の抗体を介して反応させる等の工夫をして蛍光ナノ粒子を特定タンパク質(抗原)に確実に付着させ(特異吸着)、 蛍光ナノ粒子の表面処理と特殊加工剤(ブロッキング剤)により、それ以外に付着する(非特異吸着)確率を減らす。

コニカミノルタは蛍光ナノ粒子によって発光した病理組織を蛍光顕微鏡で撮影し、その画像をソフトウェアで解析する技術も開発した。



2017/7/13 日揮、米国西海岸初の大型LNGプラント建設プロジェクトを受注 

日揮は7月7日、米国の Kiewit Energy Group および Black & Veatch Constructionと共同で、Jordan Cove LNG社が米国西海岸で計画するJordan Cove LNGプラント建設プロジェクトを受注したと発表した。

プロジェクトの詳細は、下記の通り。

契約先 Jordan Cove LNG LLC
建設場所 オレゴン州 Coos Bay地区

契約

最大で年産780万トン(5系列合計)の天然ガス液化設備、
ガス貯蔵設備、
LNG
出荷施設
に係る設計・調達・建設工事(EPC)役務

契約形態 ランプサム契約
受注金総額 非公表

受注総額は6000億〜7000億円とみられ、日揮の担当部分は2000億円弱のもよう(日経)。

日程 2024年の生産開始を目指し、2019年を目途に最終投資判断
 
ーーー

米エネルギー省は2014年3月24日、Jordan Cove Energy Project, L.P. に対し、オレゴン州Coos Bay のJordan Cove LNG Terminal からの非FTA締結国向けのLNG輸出を承認した。
承認数量は日量0.8Bcf (年間600万トン)で期間は20年間となっている。

2016年3月22日、東京電力と中部電力が設立した火力発電用の燃料調達会社JERAが年間150万トンの20年契約を締結した。
同年4月8日には、伊藤忠との間で 年間150万トンの20年契約を締結した。

Jordan Cove Energy Project, L.P.はカナダのCalgaryに本拠を置くエネルギー関連インフラ投資会社のVeresen Inc. (旧称 Fort Chicago Energy L.P.)が経営する。

オレゴン州Coos Bay の北方に16万m3のLNG貯蔵タンク2基と年産600万トン(将来900万トンへの拡大予定)の液化設備を建設する。

合わせて、カナダ及びRocky Mountain地区の天然ガスのハブであるオレゴン州Malin とJordan Cove LNG との間にPacific Connector Gas Pipelineを新設し、カナダからのWillimas Northwest Pipeline、TransCanada Pipeline、Rocky Mountain地区からのRuby Pipelineと接続する。

操業時はカナダ産天然ガスが70%、米国産天然ガスが30%で、最終的には比率を 65/35 とする。

今回、日揮はこの計画の建設を行うもので、契約会社の社名、LMG能力が変更されている。

ーーー

すでに稼働しているメキシコ湾のプラントからパナマ運河経由で東アジアに運ぶと20日間かかるが、西海岸からは8日しかかからない。

Jordan Coveはアジア太平洋及び南米市場のほとんどに最短で、運賃が最も安いと自負している。

日本向けLNG運賃は以下の通り。

  Jordan Cove &Kitimat   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gorgon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25  

2017/7/14     三菱重工業、フランスの アレバ原子炉事業に出資 

フランス電力(Électricité de France:EDF)は7月10日、同国の原子炉製造会社 Areva NPの買収に三菱重工業と地元のエンジニア大手ASSYSTEM が参加すると発表した。

三菱重工業は15%出資するが、出資比率は最大 19.5%になる可能性があるとしている。
ASSYSTEMは5%を出資する。

付記

三菱重工業は7月31日、Areva NPに約630億円を出資すると発表した。出資比率は19.5%。年末までに手続きを完了させる。

EDFは2016年11月15日に新しいAreva NP の51%〜75%を取得する旨の契約を締結、他の投資家との間で交渉を続けた。

今回の発表によると、新しいAreva NP の買収価額は、25億ユーロと確認された。業績連動型のEarn Out 条項あり。借入金は引き継がない。

三菱重工業の出資額は3.75億ユーロ(最大で4.875億ユーロ)となる。下記の通り、Newcoにも5%(2.5億ユーロ)を出資するため、アレバに最大で1000億円弱の投資となる。

EDFは他の参加者も歓迎するとしている。今後、中国が参加する可能性がある。

核燃料再処理のNewCoへの出資については、中国の原発大手の中国核工業集団(CNNC)も交渉をしていたが破談になった。日本側より多い出資や取締役派遣を求め、フランス側が断ったとされる。安全保障の観点から米国や日本政府が強い懸念を伝えたともいわれる。

しかし、ArevaやEDFには中国の参加を求める声が強い。
今後の原発新設の大部分は中国であり、受注のために関係を良くしたい。またEDFの英国計画は中国との共同事業である。

英国のHinkley Point 原発計画には、中国広核集団(CGN) が33.5%を出資、残りをEDFが出資する。

EDFが英国のSizewell とBradwellで予定する新規原発建設計画にも中国が参画、後者については欧米で初めて中国製の原子炉を採用する。

 2015/10/28   中国、英国の原発に出資、中国製原発も導入  

手続きは年内に終える予定。 

2001年に発足したArevaはウランの採掘から原子炉の製造、核燃料の再処理まで、原発に関わる一連の分野を手掛ける総合原子力メーカーで、フランス政府が過半を出資する。

フランスの原子力政策はフランス原子力庁 (CEA) が主導し、民間企業のFramatomeが原子炉プラントの製造を、CEA子会社のCogemaが核燃料製造を担当する分業体制であった。
2001年にFramatome はプラント需要低迷に危機を迎えていたドイツ Siemensの原子力部門を買収し、 更にCogema と統合し、Areva となった。

Framatomeと Siemensは1989年から欧州加圧水型原子炉(EPR)の開発で協力していた。

福島第一原発の事故で、欧州の一部の国が脱原発を決めたほか、日本の原発の再稼働が遅れてビジネス機会が減少、更にフィンランドの新型原発の建設で費用が膨らみ、2015年12月期まで5期連続の最終赤字を計上した。2014年には48億ユーロの赤字、2015年には20億ユーロの赤字となった。

フィンランドのオルキルオト原発3号機 はArevaが建設する160万kwの欧州加圧水型原子炉(EPR)で、2005年8月に建設が始まった。当初は2009年に開業予定であったが、 まだ完成していない。
EPRの特徴である二重封じ込め構造の構築にも時間を要しているとされる。

コストは41億ドルの予想が72億ドルに上昇、契約価格は固定されているので、費用の増加分は同社の利益を圧迫する。

Arevaの救済のため、フランス政府は抜本的な同社の構造改革を決めた。2017年に実行される。

仏電力公社(EDF)が原子炉製造を担う子会社 Areva NPの過半数(51%〜75%) を握る大株主になる。三菱重工業が出資を検討するとしていた。

フィンランドのオルキルオト原発3号機については、Areva SA に残し、政府が責任をもって完成させる。

燃料再処理部門を分社する(仮称 Newco)。

三菱重工業業は2017年2月3日、Newcoに5%(250百万ユーロ)を出資することで大筋合意したと発表した。
日本原燃も5%出資する。

2017/2/6 三菱重工業、仏原子力大手Arevaの新会社に出資 


 

ーーー

三菱重工業とArebaは、1991年に燃料サイクル分野において合弁会社を設立、2006年には原子力事業でのより広範な協調で合意した。

2007年にArevaとの折半出資による合弁会社ATMEA社を設立、両社技術を融合した電気出力110万kW級の最新鋭の加圧水型軽水炉(PWR)ATMEA 1 を開発した。

ATMEA 1 はトルコのSinop原発で110万kW 4基の採用が決まった。ロシアのRosatomが受注したAkkuyu 原発に続くもの。

2013年5月に日本・トルコ両政府は原子力協定と原子力発電所建設の細目を規定した政府間協定に調印したのに続いて2013年10月に商業契約を締結した。

事業主体の国際コンソーシアムには、三菱重工業 15%、伊藤忠商事 15%、GDF Suez(現 Engie)21%、トルコ国営電力会社(EUAS)49%が出資する。

2008年4月11日、両社は新規原子力発電プラントの開発にとどまらず、新たに原子燃料ビジネスにまで協力関係を広げていくことで合意した。

2009年4月1日、三菱重工業と三菱マテリアルの原子燃料事業を移管し、三菱原子燃料鰍ェ設立されたが、これにArevaが出資した。

設立時の出資比率は、三菱重工業 35%、三菱マテリアル 30%、Areva 30%、三菱商事 5%であった。

2016年3月、三菱重工業が三菱マテリアルと三菱商事の保有する全株式と、Arevaの保有する株式30%のうち25%を取得し、三菱重工業 95%、Areva 5%となった。

Newcoへの出資の際、三菱重工業は次のように述べている。

Arevaグループと原子力発電事業において長年の協力関係を有しており、1991年に燃料サイクル分野における合弁会社を設立して各種再処理関連機器を製造・販売しているほか、2007年にはArevaと当社の最新技術を融合した加圧水型(PWR)原子力発電プラントの開発に着手、電気出力110万キロワットの最新鋭PWRプラント「ATMEA 1」を開発、トルコを始め世界各地での販売活動を展開しています。

当社はNewCoの事業拡大を通じたArevaグループの今後の成長戦略の実現を支援するとともに、従来以上の事業面・技術面での協力関係構築により、2015年10月に日仏両政府間において確認された両国政府および原子力産業界の連携強化にも重要な役割を果たし、原子力事業の世界的なバリューチェーンの強化を目指します。

 

各国で脱原発の動きが相次ぎ、フランス本国でも原発が一部停止される。東芝は原発建設からは撤退する。

このなかで三菱重工業はフランス政府の救済を受けるAreva に多額の出資を行う。


2017/7/14     フランス、2025年までに原発17基を閉鎖

フランスのNicolas Hulot 新エコロジー相は7月10日、仏メディアの取材に「2025年までに原発約17基を閉鎖するつもりだ」と発言した。仏国内にある原子炉58基の約3割に当たる。

フランスの議会は2015年にオランド前政権の下、2025年までに全発電量のうち原発が占める割合を約75%から50%まで削減することを政府に義務付ける法案を可決した。

フランスには現在、58基の原発(合計63,130MWe)があり、1基(1,630MWe)が建設中。
2015年に原発の全発電量に占める割合は 76.3 % であった。

オランド氏は2012年の大統領選で原発を段階的に閉鎖する「縮原発」政策を打ち出し、原子力割合を75%から2025年に50%まで引き下げ、再生可能エネルギーを増やす公約を掲げて勝利した。

同政権は、2012年11月〜2013年7月まで「全国討論会」を開催し、同7月には同討論会の結果を総括した報告書を発表した。
内容は、1)総発電電力量に占める原子力発電比率を現在の75%から2025年には50%に低減する、
2)省エネルギーでは2050年に2012年比で最終エネルギー消費量を50%削減すること、
3)温室効果ガス排出量を2030年に1990年比で40%削減し、2050年には75%削減すること等々である。

2015年7月22日に「エネルギー転換法(Energy Transition for Green Growth Act)」が成立した。

オランド前政権はドイツ国境沿いにある仏最古のFessenheim 原発を2018年に閉鎖することを決めている。

エコロジー相は7月6日の記者会見で依存度を5割まで下げるというオランド前政権が掲げた目標を維持すると表明しており、今回は詳細に踏み込んだ。

エコロジー相は、「計画を練る必要があるが、おそらく閉鎖は17基程度だ。よく調べてみないといけない」と述べた。電力消費量を減らすことや、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの生産量を高めることで実現するという。どの原発を閉鎖するかは示さなかった。 

ただ17基分の発電量を再生エネなどでどれだけまかなえるかは不明。

ーーー

欧州の2016年11月時点での稼働原発は合計186基。
うち、フランスが最多の58基である。

Country

in operation
under construction
number

net capacity MWe

number

net capacity MWe

Belarus

-

-

2

2.218

Belgium

7

5.913

-
-
Bulgaria

2

1.926

-

-
Czech Repuplic

6

3.930

-
-
Finland

4

2.752

1
1.600
France

58

63.130

1

1.630

Germany

8

10.799

-
-
Hungary

4

1.889

-
-
Netherlands

1

482

-
-
Romania

2

1.300

-

-

Russia

36

26.557

7

5.468

Slovakia

4

1.814

2

880

Slovenia

1

688

-
-
Spain

7

7.121

-
-
Sweden

10

9.651

-
-
Switzerland

5

3.333

-
-
Ukraine

15

13.107

2

1.900

United Kingdom

15

8.918

-
-
total

186

163.685

15

13.696

http://www.euronuclear.org/info/encyclopedia/n/nuclear-power-plant-europe.htm

フランスの原発は下記の通り。


2017/7/15  OPECの6月生産量 増加 

OPECは7月12日発表のMonthly Oil Market Reportで、加盟14カ国の6月の生産量(外部ソースによるもの)が日量3261万バレルとなったと発表した。

1月の協調減産実施後の最高水準で、減産適用を除外されているリビアやナイジェリアの生産量が大きく回復した。

OPEC 生産枠と生産実績 (千バレル/日)

 

生産量では減産適用除外のナイジェリアとリビアが大幅増産となっている。2国の生産量に上限を設ける見直し論が浮上している。

イラクもイスラム国との戦闘に伴う財政難を理由に増産を行っている。

米国のシェールオイルも増産が続いており、投資銀行各社は原油相場の見通しを引き下げている。

付記

OPEC加盟国と非加盟の主要産油国は7月24日、減産合意の適用を免除されているナイジェリアの産油量に上限を設けることで合意すると共に、一部の産油国に対し減産合意の一段と厳格な順守を求めた。

ナイジェリアが産油量を現在の日量約180万バレルから増加させないこと、さらに将来的に減産を行うことで合意したことを明らかにした。ただ期限は設けず、ナイジェリアの産油状況を向こう数週間見守るとした。

リビアについては、産油量が当面は日量100万バレルを超えず、2011年の内戦勃発前の生産能力である日量140万─160万バレルを回復する公算は小さいため、産油量の制限は見送った。

ーーー

OPECは2016年11月30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶり(国別)の減産で合意した。

総会では9月28日のアルジェリアでの臨時総会で合意した日量3,250万〜3,300万バレルの下限である3,250万バレルに減産することで加盟国がまとまった。
2017年1月1日から実施し、実行をチェックするためのHigh-level Monitoring Committeeの設置を決めた。

発表文では「OPEC 14カ国の生産枠を3,250万バレルとする」としているが、報道されている国別枠の合計では32,682千バレルで、 当時の現状からは1,164千バレルの減産となる。 (「現状」は新生産枠と減産量から逆算したもので、10月の外部ソースの実績とは一致しない。)

また14か国とは当時はインドネシアを含めた国数だが、インドネシアは一時離脱を決めており、減産対象外。またリビアとナイジェリアは減産の適用除外である。
新しい「生産枠」が何なのか、明確でない。
今回の生産量には、本年5月25日の総会で加盟を認めたばかりの赤道ギニアの生産量が含まれている。
 

当初は全加盟国に減産協力を求めるサウジと、減産の適用除外を求めるイランが対立していた。また、政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指していた。

今回、アルジェリアの仲介で、イランへの譲歩に難色を示してきたサウジが軟化し、下記の調整をすることで合意に達した。

政情不安などで生産量を落としているナイジェリアとリビアは減産の適用を免れた。

2015年にOPECに再加盟したインドネシアは、石油の純輸入国であることから減産への参加を見送り、加盟を一時停止した。

イランはかねて、米欧の経済制裁前の生産量である日量400万バレルへの回復を主張してきた。
今回の合意では、現状の生産量を9万バレル上回る380万バレル弱の生産量を割り当てた。

これ以外の加盟10カ国は現状から4.6%の減産となる。

2016/12/5    OPEC、8年ぶり減産合意
 

ーーー

OPECは2017年5月25日の総会で、減産を7月1日から9カ月延長することと、赤道ギニア(Equatorial Guinea)のOPEC即時加盟を承認した。

現在の加盟国は14か国。

    加盟 離脱 再加盟 一時停止 加盟
イラク 中東 1960        
イラン 中東 1960        
クウェート 中東 1960        
サウジアラビア 中東 1960        
ベネズエラ  南米 1960        
カタール 中東 1961        
インドネシア アジア 1962 2009 2015 2016  
リビア  アフリカ 1962        
UAE 中東 1967        
アルジェリア  アフリカ 1969        
ナイジェリア アフリカ 1971        
エクアドル 南米 1973 1993 2007    
ガボン  アフリカ 1975 1994 2016    
アンゴラ  アフリカ 2007        
赤道ギニア アフリカ         2017
加盟国 14   14 -3 +3 -1 +1

 


2017/7/15   米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し


Western Digitalは6月14日、同社子会社(=SanDisk系子会社)がSan Francisco County Superior Courtに、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めたと発表した。ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として請求している。


裁判所は7月14日、この訴訟の審問を開いた。

Harold Kahn判事は双方から主張を聴取したが、結論を持ち越した。次回の審問は7月28日に開く。


審問で裁判官は「東芝が売却の契約締結の2週間前にWestern Digitalに通告する」との命令案を提案した。

これに対し、東芝側は、JVが日本企業であり、取引はほとんどが日本で行われており、米裁判所には管轄権がないと主張していることから、米裁判所の命令に従うことには問題があるとした。
Western Digital 側は、東芝が管轄権を否定しているため、東芝が約束を破った場合、命令が実行できないとの懸念を表した。

裁判官は、双方で命令案を作成するよう指示し、次回の審問を7月28日に設定した。

東芝は7月28日までは事業売却ができないことになる。

「売却完了」=買収代金の払い込みが終わる手続きができないとの意味で、東芝は「当社が進めているメモリー事業売却の契約締結を妨げるものではない」との声明を出した。

命令案が正式に決まれば、東芝は進行中の売却手続きを止める必要がない一方、Western Digital 側には通告を受けて何らかの法的措置を起こす余地を残す判断になる。

Western Digital 側は「2週間あれば売却への対抗措置をとるのに十分な時間を取れる」としている。
 


この Harold Kahn判事は7月
12日、東芝によるWestern Digital社員への情報遮断を一部やめさせる
仮制止命令を下した。

東芝は6月28日、不正競争防止法違反等を理由として、Western Digital に対して、不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て及び総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟を東京地裁に提起したが、合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセスについては、同日遮断した。

Western Digital は売却差し止めを求めた訴訟とは別に情報アクセスを認める措置を求めて同裁判所に申し立てていた。

東芝によると、 Western Digitalのアクセスが認められた情報は、アクセス遮断前に発生した情報で、かつ、東芝情報を含まない情報であり、アクセスの期間も限定的な期間(数週間)である。
東芝又は東芝メモリに帰属する情報やアクセス遮断後(6月28日)に発生した情報を引き続き遮断することが認められた。

今回の命令は別の案件とはいえ、同じ合弁会社との争いについて同じ裁判官が米裁判所の管轄権を認めたことを意味する。

東芝は同日、「今回の命令については不服であり控訴する」との声明を出した。

付記

東芝は、この仮停止命令を不服として、カリフォルニア州控訴裁判所に上訴するとともに、仮制止命令の執行の一時停止を申し立てた。

控訴裁判所は7月18日、仮制止命令の執行の一時停止を認める判断を行った。

東芝はこれに基づき、アクセス遮断を再開した。 (遮断対象は東芝と直接的な契約を結んでいないWestern Digital 社員であり、SunDisk 社員は継続的にアクセス可能という。)

ーーー

控訴裁 8月2日に上記判断取り消し
東芝、8月3日に遮断を解除


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